お勧めデジカメ2009年8月版2009/08/07 18:38

SONY α330
本宅サイトガバサク談義に、お勧めデジカメの09年8月版を掲載しました。
デジタル一眼レフはSONYのα330。コンパクト機はどんどんひどくなる一方で、結局、重くてもLX3。
中級機はSONYのHX1。
あと、動画機能重視派には、マイクロフォーサーズのGH1。
SONYの健闘が光ります。

総務省が言う「地デジ化は電波の有効活用」は本当か?2009/08/24 10:49

総務省が税金を使って全世帯に配布している郵便物
郵便受けにこんなものが入っていた。
実にものものしい。
差出人は総務省。
「全国全世帯を対象に配布」しているのだそうだ。一体、いくらかかっているのだろうか。
2011年までにアナログテレビ放送を中止するという政策については、さんざん批判が出ているにもかかわらず、今日まで強引に進められてきた。現在、アナログ地上波放送は画面の右上に「アナログ」と表示され、一日に何回も、脅迫まがいのスポット広告が流れる。言っている内容は、「このままだとテレビが見られなくなるぞ、早くテレビを買い換えろ」ということに等しい。

アナログ地上波テレビ放送を完全廃止することの主な理由は「電波の有効活用」なのだという。
しかし、地上波テレビが出ていった跡地利用の詳細は、よく分からないことばかりだ。
デジタルラジオ、道路交通情報システム、警察無線、地方行政防災無線、5000万人分の次世代携帯電話などの他、ワンセグの発展形のようなモバイル向けマルチメディアコンテンツ放送が予定されているらしいが、総務省としても本音は「予定されているとはいうものの、具体的な内容については未だによく分からない」というのが本音らしい。
例えば、「道路交通情報システム」には、走行中の自動車から電波を発信して他の車の位置を確かめ、衝突しそうになったら音声で警告したり、自動的にブレーキをかけるなどという仕掛けも含まれているらしいのだが、果たしてどれだけ有効なのか。有効だとしても、今後も長期に続きそうな自動車不況の中で、採用率が上がるのか、ちょっと想像してみても大きな疑問符がつく。
「ワンセグの発展形のようなモバイル向けマルチメディアコンテンツ放送」に至っては、もっと分からない。しょーもないものである可能性は大きい。

総務省と放送局はすでに何度も「電波の有効活用」精神に反することをしている。
典型的なのはBSデジタル放送における「電波の無駄遣い」だ。
最初は2000年12月のBSデジタル放送開始時。このとき、BSでの放送に参入した民放キー局は、ネット傘下にある地方局の利権をそのまま持続させるため、地上波で放送している「金のかかった番組」は一切BSに乗せず、通販番組やらどうでもいいような番組を並べた。これこそ電波の無駄遣いだが、総務省はなんら指導をしなかった。
このときにBSデジタルを地上波の高画質同時放送中心にしていれば、BSデジタルは一気に普及していただろう。未だに日本全国に残る難視聴地域も一掃されていたはずだ。
次はNHKのアナログハイビジョン(BS9)が終了した2007年。NHKアナログハイビジョンが出て行った後の48スロット分(「スロット」は伝送容量を表す。標準画質なら6スロットで1チャンネル分だから、48スロットは8チャンネル分もある)の「空き地」には、BS11デジタル、スターチャンネル、TwellV(トゥエルビ)という3つのチャンネルが入居したが、これらがどれだけ国民の利益になっているだろうか。
最も許せないのはTwellV(親会社は三井物産)で、24時間通販チャンネルのQVCをワイド/高画質化したものをほとんど1日中サイマル(同時)放送している。
QVCはスカパー!、スカパー!e2でも無料放送されており、それを貴重なBS電波資源を使って高画質で同時放送する意味はまったくない。こんなことを許すくらいなら、NHKの地上波をハイビジョンで完全同時放送させたほうがはるかによかった。
さらに許し難いのは、2011年、アナログのNHK BS1と2、アナログWOWOWが終了した跡地(144スロット分=標準画質なら24チャンネル分)および追加で設置するBS19の新規48スロット分についての放送事業者選定のいかがわしさだ。2009年6月に発表されたが、英国BBCや無料放送すると言っていたディズニーを排除し、WOWOWの追加チャンネル分、スターチャンネルの追加(映画・13スロット×2)、アニマックス(アニメ・16スロット)、FOX(16スロット)、スカパー!系のスカチャン804(スポーツ中継など・16スロット)、放送大学(16スロット)、グリーンチャンネル(競馬中継など・16スロット)、Jスポーツ(スポーツ番組・16スロット×2)……という結果だった。
WOWOWが今の視聴料を据え置いてチャンネルを増やすというならこれは歓迎だ。今も他の有料チャンネルに比べればはるかにまともな番組を放送している。
しかし、べた塗りのアニメや放送大学の教授の顔をハイビジョンで見る必要性はまったくない。さらには、競馬情報中心の有料チャンネルである「グリーンチャンネル」をハイビジョン可能なスロット数で採用するというのはまったく理解しがたい。
このチャンネルは、「財団法人競馬・農林水産情報衛星通信機構」というところが運営しているが、これは農林水産省・総務省共管の委託放送事業者であり、日本中央競馬会の関連法人でもある。民主党政権に変わる直前の、滑り込み天下り先対策かと疑ってしまう。
BSデジタルは、少ない投資で全国民が平等に高画質放送を視聴できる貴重な資源だ。それをこのように馬鹿な使い方をさせて荒れ地にしている総務省が言う「電波の有効活用」を、鵜呑みにできるわけがない。特に、英国BBCを拒否したことは許し難い。放送先進国の文化に日本国民が触れるチャンスだったのに。

……というような話も含めて、昨年末にはほぼ書き上げていた原稿がようやく出版される。
このテーマは、放送局、および放送局と提携関係にある新聞社、出版社にとってはタブーであり、まず無視する。
例えば、BS17計画(地デジの完全普及は無理だと判断している総務省が、BS17チャンネルを使って難視聴対策に首都圏のキー局5局+NHK2局の番組をスクランブルをかけて同時放送する計画)における地方情報格差、差別問題について論じた私の文章を、共同通信社が全国地方紙に向けて配信したが、全文をそのまま掲載したのは福島民友一社だけで、他社はことごとく無視してくれた。
となると、残る情報発信の手段は、放送メディアと関係の薄い出版社から本を出版することだが、独立系出版社も、「たかがテレビのことを、一般大衆はいちいち本を買ってまで知ろうとはしない」という理由で、次々に断ってきた。
テレビや新聞が報じない内容だからこそ、出版メディアが伝えなければ、という気概を持った版元はなかなか現れなかった。
しかし、出版界は広い。まだまだ捨てたものではない。
去年の年末に原稿を書き上げていたものの、版元が決まらず、ほとんど諦めていた7月、これを最後にしようと持ち込んだ出版社が「ぜひやりたい」と快諾、即決してくれた。編集者が私と同じ問題意識を持っていたことも嬉しかった。

『テレビが言えない地デジの正体』(ベスト新書)、2009年9月10日発売。
この本を書くにあたって、様々なことを調べ、知識を得たが、その内容は驚くべきものだった。日本の電波行政はここまで腐りきっていたのか。テレビにまつわる様々な疑問、「もやもや」は解明されたが、怒りと絶望感は残った。
読んで楽しい本ではないかもしれない。しかし、37型未満の液晶テレビのほとんどはフルハイビジョン放送画質をそのまま映し出すだけの解像度を持っておらず、画素を半分間引いている、とか、ケーブルテレビへの接続方法のあれこれ、とか、ブルーレイディスクレコーダーは市販のソフトを見る以外には当面いらないのではないか、とか、NHKのBS1とBS2は今なお標準画質であり、通販番組より画像が粗い、といった実用的な情報も網羅したので、「とにかく分からないことが多い」「今のテレビはなんだか面倒くさい」と感じている人(私を含めてほとんどすべての日本人はそうだと思う)は、読んで得をするはずだ。
これ以上、総務省や家電メーカーに好き放題させていてはいけない。

『テレビが言えない地デジの正体』(ベスト新書) なぜ地デジにしないといけないの? もやもやの正体はこれだった!

テレビが言えない地デジの正体』(ベスト新書 9月8日発売!)

ハイクオリティメディアのBSを通販番組のゴミ捨て場にしたのは誰か? 欧米は「地デジ化」したのではなく、「デジタル放送化」したのである。地デジ化で困る人たちはこんなにいる。地デジテレビでアナログ画質を見続けなければならない人たちとは……?
伝えられていない驚くべき真実がいっぱい。テレビに騙されることなく「仕組み」を知って、賢く対処するための本。
すでに買い換えた人も、これからの人も必読。 地デジの嘘、錯覚、思いこみから、現実的な現代テレビ購入術まで、巷で言われている曖昧な情報を一掃し、クリアな見通しを提示。
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総務省地デジPRの怪しい「封書DM」2009/08/27 09:08

前回、「総務省」からものものしい封書が届いたと書いたが、その数日後、今度はこんな葉書が届いた。
なんでしょうねぇ、これは。
ここにある「地上デジタル放送のご案内」という郵便物とは、前回このブログに書いた、オレンジ色の封筒に入った郵便物のことだろう。左上には大きく「総務省 重要」と書いてある。
中身は「総務省による説明会(無料)を開催します。ぜひご参加ください」という案内である。そのチラシの最後には「質問・疑問はこちらまでご連絡ください」とあり、「総務省地デジコールセンター」なるところの電話番号が書いてある。
これが「誤ったもの」だったから破棄しろというのである。
何がどういう風に誤ったものだったのだろうか。
この封書には、福島県双葉郡の富岡町、双葉町における具体的な「地デジ説明会 会場一覧」という印刷物も入っており、定員と開催日時が記されている。定員は会場によってまちまちだが、40名から150名。「事前の申し込みは必要ありません。当日は先着順となります。それぞれ定員になり次第、受付け(ママ)を締め切らせていただきます」とある。
行っても満席だと入れないということらしい。
このチラシのいちばん下には「総務省 福島県テレビ受信者支援センター説明会事務局」という名義で電話番号が書いてある。
さてさて、この印刷物のどの部分が「誤った内容」だったのだろうか。
説明会の情報全部が誤っていたのであれば、ここに記された会場に当日行っても、何もやっていないということなのだろうか? そういうことはこの謎のはがきの文言からはまったく分からない。
想像するしかないが、おそらく、この「総務省 福島県テレビ受信者支援センター説明会事務局」なる表記がまずかったということではないのかな。
お詫びのはがきを送ってきたのはどこなのか、差出人名が記されていないが、「この件に関する問い合わせ先」として、株式会社DMPA「地デジ事務局」という名称が載っている。ここが先のオレンジ色の封筒の印刷物やこの「お詫びはがき」を出したのだとすれば、株式会社DPMAが総務省の名称を騙ったことが問題とされたということだろうか。
「株式会社DMPA」をググってみると、こういう会社らしい。
代表取締役会長は、名古屋の印刷会社の社長。代表取締役社長は、社団法人 日本ダイレクト・メール協会 常務理事、NPO法人 ダイレクトメール推進協議会 理事長、株式会社DMPA 代表取締役社長、パラシュート株式会社 代表取締役会長 ……という肩書きも持っているようだ。
ここに出てくる「NPO法人 ダイレクトメール推進協議会」なる組織は、「事務局: 東京都千代田区麹町」とあり、電話番号、FAX番号ともに、今回のお詫びはがきに記載されている「株式会社DMPA」と同じだった。
では、社団法人日本ダイレクト・メール協会とはなんぞやと調べてみると、
// 社団法人日本ダイレクト・メール協会は、1984年(昭和59年)6月に総務省(当時は郵政省)所管の社団法人として発足した公益法人です。
協会設立の目的は、「ダイレクト・メールに関する調査研究、普及、啓発等を通じて、ダイレクト・メールの健全な発展及び情報提供の活発化を図り、国民の豊かな暮らしに奉仕する」ことを目指しています。//

だそうである。

総務省にうかがいたい。
  • この「総務省」と記されたものものしい封書を出したのは結局「総務省」で合っているのか?
  • 株式会社DMPAが出したのだとすれば、それを依頼したのは総務省なのか?
  • 今回の「総務省」名義の封書郵便物の製作・郵送費用、人件費などの合計額はいくらで、誰が出しているのか?
  • 配布された郵便物に入っている「地デジ説明会」は開催しないということなのか?
  • 「総務省」から送ったということにしてあるのは問題ないが、単に地域の説明会日程表に間違いがあったということなのか?
  • そうであればなぜそのように説明を入れず、単に「誤ったものを配布」などという表現なのか?
  • 総務省名で送られてきた郵便物を「廃棄しろ」という葉書が一株式会社を問い合わせ先として送られてくるというのはどういうことなのか?
繰り返すが、もしこのような郵便物(お詫びはがきも含めて)に税金が使われているのであれば、こういうのこそ無駄遣いである。


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民主圧勝と言うけれど、実際には今までの自公連合より少ない2009/08/31 18:53

民主圧勝というが、ただ「逆転」しただけ

昨日(30日)、投票日の開票直前、ネット経由で各報道機関の出口調査の結果が速報として配信されてきた。

報道各社の衆院選結果予測によると、民主党が300議席を超える見通しで、政権交代が確実に。
各社による政党別の獲得議席予測は以下の通り。
◆自民  96~106
◆公明  18~23
◆民主  315~326
◆共産  10~12
◆社民  7~11
◆国民新 3~4
◆みんな 6~7
◆日本  1~2
◇午後6時現在の投票率は48.40%(前回比-1.60%)
◇期日前投票は1398万人(同+56%)で過去最多

結果は、この予測より自民党(119)が多く、民主党(308)が少なく、公明(21)は予想通り、共産(9)、社民(7)、国民新党(3)は軒並み予想の下限だった。
民主の予想獲得議席上限が326となっているが、民主党が送り出した候補者数の合計は330だから、これはもう比例区で足りなくなり、何議席か損するな……と思っていたところ、その通りになった。
比例区近畿ブロックで13人分の当選枠を得ながら、比例区単独候補を8人しか届けず、選挙区で落選した候補者が3人しかいなかったため、2議席を自公候補に譲るというおバカ(というか、超余裕?)なことをした民主党。 その落ちた3候補も、惜敗率は98.1%、92.0%、87.3%と接戦であり、下手をすると2議席どころか5議席を他党に渡す結果になったかもしれない。
2議席が民主から自公に移ったということは、これだけで4議席差が縮んだことになる。民主党がミスをしなければ、310議席は確実に取れていたわけだ。
今回の選挙の結果、自公連合対その他の勢力図は、選挙前の331対147から140対340(うち、民主・社民・国民系は322)になった。民主の圧勝と言われているが、その前の自公連立の議席数331より今回の民主・社民・国民新党系合計の322は9議席少ないのである。
参院で突き返されても衆院で法案を再議決できるオールマイティ状態は3分の2(320)議席。322議席というのはそれを満たしてはいるが、わずか2議席だから、今までの自公連立の331議席よりはずっと微妙な線と言える。政策面で正反対を向くことが多い社民党と国民新党を一緒にまとめるのは、自民党が公明党を説得するよりずっと大変であろうし……。

またしても自公候補をアシストした共産党

今回の選挙では、今まで連戦連勝だった公明党が、小選挙区で全敗するという事態が起きた。
公明党は基本的に選挙区候補者の比例区への重複立候補をさせていないので、比例区では候補者は1位から完全序列がつく。つまり、1位指名候補者はその時点で事実上当選である。
小選挙区は自民党と選挙協力して勝てるところにしか候補者を立てない。このように、自信満々に投票結果を完全に読み切った選挙をする党だが、いかに党員を大量動員できる公明党といえども、投票率が70%近くまで上がれば(実際には小選挙区が69.28%、比例区が69.27%で、前回の衆院選の67.51、67.46%よりわずかに上がった)、無条件で小選挙区に勝つことはできないということが証明された。

ところで、かつて「与党218 対 野党262 という試論」という文章を書いた(2003年11月10日執筆  2003年11月18日 asahi.com のコラムAICに掲載 内容は⇒こちら
比例区で民主党が自民党の投票数を上回った2003年の衆院選で、なぜ野党は与党に60議席も負けたのか、その最大原因は日本共産党が、勝てない小選挙区すべてに候補者を立てて、結果的に自公候補を強力にアシストしたからだ、という論考である。
今回の2009年衆院選において、日本共産党は小選挙区への立候補者をかなり減らした。一説には、没収供託金の額が億単位になって負担に耐えられなくなったからだという。
(ちなみに、今回ほぼ全選挙区に候補者を立てた幸福実現党の没収供託金は、ざっと計算すると、小選挙区288人×300万円+比例区49人×600万円=11億5800万円である。幸福の科学は形を変えて「納税」したつもりなのだろうか)

今回、共産党が小選挙区で候補者を絞り込んだことは民主党や民主党と選挙協力した社民党、国民新党、新党日本などの候補者には有利に働いたはずだが、実際には共産党が候補者を見送った選挙区の多くで民主党候補は自民党候補に大差をつけて圧勝しており、それほど関係なかったと思われる。
共産党が候補者を立てた選挙区は、自民党の大物が立っている注目選挙区が多かった。そこではことごとく自公アシストを招いている。
例えば、東京11区

◎ 下村 博文(自民) 117,472 重複1位
× 有田 芳生(日本) 113,998 重複1位(97.0)
× 徳留 道信(共産)  36,487 重複4位(31.1)

◎は当選、○は比例区復活当選、×は落選、最後の( )内数字は惜敗率

日本新党の副代表・有田芳生候補は、前回の参院選選挙でも僅差で敗れて涙をのんだが、今回も共産党の自民党援護射撃によって、わずか3474票差で破れた。共産党票の10分の1があれば下村候補を破れた。
共産党の徳留候補は比例では4位指定であり、最初から当選はできるはずがない候補である。党としても、間違っても当選は期待していない。結果として、自民党の元官房副長官当選を強力にアシストした。

次に東京8区。

  候補者名 (政党) 得票数  比率   

◎ 石原 伸晃(自民) 147,514 49.95% 重複1位
× 保坂 展人(社民) 116,723 39.52% 重複1位(79.1)
× 沢田 俊史(共産)  24,965  8.45% 単独

ここは民主党が社民党の保坂候補を推薦して選挙協力をした選挙区だが、共産党は勝てる見込みがまったくない候補者を立てた。法定得票数(6分の1)にも供託金没収分岐点(10分の1)にも満たない8%台の得票しか得ていない。それを分かっている共産党支持者の多くは、保坂候補に投票したのではないだろうか。
しかし、それでも2万5000票の共産党票が死に票となり、自民党の石原候補を後押しした。
この2万5000票全部を保坂候補の票に上乗せしても、石原候補の票にはわずかに届かない。しかし、最初から共産党が選挙協力をしていたら、保坂候補はもう少し石原候補を追いつめ、もしかしたら破っていた可能性はある。
保坂候補は、前回、自民党が圧勝した2005年のいわゆる「郵政選挙」で、自民党が圧勝したため、比例区東京ブロックで候補者が足りなくなり、自民党が獲得した議席を次点だった社民党が棚ぼたで取ったために当選したという経歴を持つが、その後、議会では民主党の長妻議員などと並んで数々の質問を政府に提出し、自民党の暴走を食い止めようと健闘してきたジャーナリスト出身議員だ。巨大風力発電プラント建設の危険性、補助金申請におけるいい加減さなどにもいち早く問題意識を持って対応してきた。こうした議員は党派を問わず希少であり、必要な人材と言える。
社民党の保坂展人候補の落選と新党日本の有田芳生候補の落選は、議会内で具体的なデータを示しながら問題提起ができるジャーナリスト出身議員が誕生しなかったという重大な損失を招いた。残念でならない。


続いて京都5区。

◎ 谷垣 禎一(自民) 87,998 46.53% 重複3位同率
○ 小原 舞 (民主) 80,966 42.81% 重複1位(92.0)
× 吉田早由美(共産) 17,941  9.49% 単独

ここも、共産党・吉田候補は供託金没収だが、その票を「反自民」に使えていれば、小原候補は98907票となり、楽々と選挙区当選を果たすと同時に、谷垣候補は惜敗率88.97%で破れる。

次に神奈川2区。

◎ 菅 義偉(自民) 132,270 46.52% 重複1位 (党選対副委員長)
○ 三村和也(民主) 131,722 46.32% 重複1位(99.6)
× 高山 修(共産)  20,366  7.16% 単独

ここも同じで、共産党・高山候補は供託金没収。当選した自民党・菅選対副委員長と次点の民主党・三村候補の票差はわずかに548票である。2万余票の共産党票のわずか3%が加われば逆転していた。

もうひとつ、塩崎・自民党元官房長官が出ていた愛媛1区。

◎ 塩崎 恭久(自民) 130,330 48.60% 重複1位
○ 永江 孝子(民主) 127,562 47.57% 重複1位(97.9)
× 田中 克彦(共産)  8,035  3.00% 重複2位(6.2)

ここも、共産党・田中候補の得票率は3%に過ぎないが、民主党・永江候補の票にこの8千票を足せば、自民党・塩崎候補を逆転できたのである。
四国は比例区でも共産党は議席を取れていない。従来からの保守王国で、共産党が四国で議席を獲得できる可能性は極めて低かった。比例区四国ブロックの定数は6だが、共産党が獲得した票数は6.67%である。議席1つでもを獲得するためには獲得票の倍以上が必要なので、最初から無理だと分かっているエリアと言える。
そういうブロックでも、共産党の比例区候補者はきっちりと1位、2位と事前に党から順位をつけられるのだから、これはもう民主主義、つまりは投票者が議員を選ぶ選挙とは言えない。

伊吹文明候補を復活当選させた共産党票

自民党が選挙区で敗れ、比例区で復活当選した選挙区でも、共産党は自民党候補者の惜敗率を上げて復活当選しやすくするというサポートをしている。例として、元自民党幹事長・伊吹文明候補が選挙区で敗れ、比例区で復活当選した京都1区を見てみる。

◆京都1区

◎ 平 智之 105,818 43.03% 民主 新 経営指導会社長 重複1位
○ 伊吹 文明 81,913 33.31% 自民 前 〈元〉党幹事長 重複3位同列(77.4)
○ 穀田 恵二 54,605 22.21% 共産 前 党国対委員長 重複1位単独(51.6)


伊吹文明候補の惜敗率は77.4で、近畿ブロックで自民党が獲得した9議席分の7番目で拾われ、復活当選した。
自民党近畿ブロックでは、1位と2位は単独候補で、この2人は選挙をやる前から事実上当選が決まっている。
3位に選挙区との重複立候補者が40名、同順位で並び、惜敗率順に拾われることになっていた。
以下のような結果だ。

名簿順位 氏名 経歴 重複 惜敗率/修正後の惜敗率
○ 1 近藤 三津枝 前 単独 (元キャスター)
○ 2 柳本 卓治 前 単独 (党大阪特別顧問)
○ 3 高市 早苗 前 〈元〉少子化担当相 (奈良2区) 96.1/83.0
○ 3 竹本 直一 前 〈元〉財務副大臣 (大阪15区) 87.3/72.0
○ 3 石田 真敏 前 財務副大臣 (和歌山2区) 79.2/--
○ 3 松浪 健太 前 〈元〉内閣府政務官 (大阪10区) 77.6/66.4
○ 3 伊吹 文明 前 〈元〉党幹事長 (京都1区) 77.4/51.0
○ 3 谷 公一 前 〈元〉国交政務官 (兵庫5区) 76.8/--
○ 3 谷畑 孝 前 党政調副会長 (大阪14区) 76.7/63.7
× 3 河本 三郎 前 〈元〉文科副大臣 (兵庫12区) 76.2/--
× 3 上野 賢一郎 前 〈元〉総務省職員 (滋賀1区) 73.1/62.1
× 3 中山 泰秀 前 〈元〉外務政務官 (大阪4区) 72.8/60.2
× 3 岡下 信子 前 〈元〉内閣府政務官 (大阪17区) 70.2/57.5
× 3 渡海 紀三朗 前 〈元〉文部科学相 (兵庫10区) 69.6/--
× 3 北川 知克 前 党副幹事長 (大阪12区) 67.9/58.5
× 3 奥野 信亮 前 〈元〉日産自取締役 (奈良3区) 67.5/60.0
× 3 大塚 高司 前 〈元〉参院議員秘書 (大阪8区) 67.4/57.6
× 3 中馬 弘毅 前 〈元〉行革担当相 (大阪1区) 66.8/56.9
× 3 盛山 正仁 前 〈元〉国交省部長 (兵庫1区) 66.3/55.9
× 3 関 芳弘 前 〈元〉銀行員 (兵庫3区) 66.3/56.0
× 3 原田 憲治 前 〈元〉大阪府議 (大阪9区) 65.1/56.8
× 3 松浪 健四郎 前 党外交部会長 (大阪19区) 64.3/56.7
× 3 渡嘉敷 奈緒美 前 〈元〉杉並区議 (大阪7区) 63.4/51.5
× 3 藤井 勇治 前 〈元〉自治相秘書官 (滋賀2区) 60.9/--
× 3 木挽 司 前 〈元〉伊丹市議 (兵庫6区) 60.2/51.8
× 3 谷本 龍哉 前 内閣府副大臣 (和歌山1区) 59.9/54.3
× 3 戸井田 徹 前 〈元〉厚労政務官 (兵庫11区) 59.0/--
× 3 清水 鴻一郎 前 病院理事長 (京都3区) 55.8/44.6
× 3 武藤 貴也 新 〈元〉議会会派職員 (滋賀4区) 53.9/46.0
× 3 宇野 治 前 内閣府政務官 (滋賀3区) 53.1/48.4
× 3 井沢 京子 前 機械製造業役員 (京都6区) 52.2/44.1
× 3 大前 繁雄 前 学校法人理事長 (兵庫7区) 51.5/44.7
× 3 森岡 正宏 元 〈元〉厚労政務官 (奈良1区) 50.9/45.3
× 3 井脇 ノブ子 前 学校法人理事長 (大阪11区) 45.1/37.7
× 3 山本 朋広 前 〈元〉松下政経塾生 (京都2区) 42.3/社民あり
× 3 川条 志嘉 前 党国際局次長 (大阪2区] × 38.5/無所属あり
× 3 中川 泰宏 前 JA京都会長 (京都4区] × 32.1/無所属あり


リストの最後の数字は、その選挙区の共産党票を当選した民主党票に足したときの惜敗率である。「--」と書いてあるのは、その選挙区には共産党候補が立っていなかったことを示す。
伊吹文明候補は、もしこの選挙区で共産党候補が取った54,605票が当選した民主党候補に流れていたとしたら、惜敗率は77.4から一気に51.0へと激減し、近畿ブロックでの惜敗率で20人に抜かれ、完全な復活圏外となる。
このように、共産党候補が票を取れば取るほど自民党候補の惜敗率が上がり、復活当選しやすくなる。
一方、以下は比例区近畿ブロックでの共産党候補リストである。
日本共産党 近畿ブロック候補者
名簿順位 氏名 重複か 惜敗率
○ 1 穀田 恵二(京都1区) 51.6
○ 2 吉井 英勝(大阪13区) 42.4
○ 3 宮本 岳志(比例単独)
× 4 瀬戸 恵子(比例単独)
× 5 原  俊史(京都2区) 25.6

京都1区に共産党から立候補した穀田候補は、比例近畿ブロックで単独1位であるから、選挙区選挙をしなくても当選は最初から決まっていた。
つまり、穀田候補が京都1区で取った5万4605票というのは、自民党の大物・伊吹候補を復活当選させるための強力なサポートになっている。

似たようなことは岐阜1区でも見られる。

◆岐阜1区

◎柴橋 正直 111,987 50.03% 民主 新 〈元〉UFJ銀行員 重複1位
○野田 聖子 99,500 44.45% 自民 前 消費者行政相 重複1位(88.8)
×鈴木 正典 9,832  4.39% 共産 新 〈元〉赤旗記者 重複4位(8.8)


野田候補は選挙区で敗れたが、自民党比例区東海ブロックの惜敗率3位(自民党が獲得したのは6議席)で復活当選を果たした。
ここでは、共産党・鈴木候補の票が2桁違っていて(供託金没収)、これが民主党・柴田候補に全部流れたとしても、野田候補の惜敗率はそれほど下がらなかった。計算してみるとその場合の野田候補の惜敗率は81.7%で、東海ブロックの自民党獲得議席6の最後に滑り込む。
しかし、次点候補二人が81.1%で続いているので、かなりきわどかったと思われる。
野田候補は声をからして「野田聖子を助けてください!」と絶叫している姿がテレビで何度も流れていたが、共産党・鈴木候補は少なからず彼女を助けていたのである。

拘束名簿式比例代表選挙は民主的な選挙と言えるのか?

今の衆議院選挙のルールについて、「選挙区で落ちた候補者が比例で復活するのは納得できない」という声はよく聞く。
しかし、民主党のように、選挙区候補者を全員1位で並べて名簿を提出する場合、当選は惜敗率で決まるので、ある程度は選挙民の1票が「候補者を選ぶ」機能を果たしている。
しかし、日本共産党や公明党のように、当選圏内の人数を厳格に順位付けして名簿を提出した場合は、投票する側はまったくと言っていいほど「候補者」を選ぶことができない。
公明党のように、選挙区で立候補している候補者は比例区に重複立候補はさせないというのであれば分かる。しかし、共産党は重複立候補だろうか比例単独だろうが関係なく、最初から順位を指定している。選挙をやる前から、比例区で票が取れるブロックで1位指名された人は当選するし、そうでない人は復活当選もありえない。
自民党も、重複立候補者の上に単独比例候補者を並べているブロックがある。
東北ブロック単独1位の吉野正芳候補(環境副大臣)、同単独2位の秋葉賢也候補(元・総務政務官)。北関東ブロック単独1位の佐田玄一郎候補(党政調副会長)。北陸信越ブロック単独1位の長島忠美候補(元・山古志村村長)。近畿ブロック単独1位の近藤三津枝候補(党報道局次長、元・テレビキャスター)、同単独2位の柳本卓治候補(元・環境政務次官)。中国ブロック単独1位の阿部俊子候補(元・日本看護協会副会長)。九州ブロック単独1位の野田毅候補(元・保守党党首)。
……以上8人は、選挙をする前から当選が決まっており、投票する側としては彼らの当落にまったく関与できない。
前回、東京比例区で単独1位で、投票前から当選が決まっていた猪口邦子氏は、今回、出たいなら重複立候補者の後ろに回って23位になれ、と言われて断った。猪口氏は、事実上一度も選挙の洗礼を受けないまま大臣を経験し、なおかつ党から捨てられるという特殊な経歴を持つことになった。
中越地震のときの復興シンボル的な元村長や環境副大臣といった人たちが、なぜ特別扱いで「無投票当選」扱いになるのか、自民党支持者でも理解不能だろう。

こうした不透明で理不尽なことに満ちている選挙のルール。
今回は民主圧勝の印象だけで忘れられそうだが、ネットでメッセージを発するのが選挙違反に問われるという、馬鹿げたルール(公選法)もまだそのままになっているし、ひとつひとつ変えていかなければいけないことは山のようにある。
ほんとに大変ですね、民主党「さん」も。

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