過剰反応と間違った報道規制──両極端の危険性2011/03/18 14:33

海外のメディアでは、一部、落ち着いた報道に切り替えているところも出てきました。
アルジャジーラ経由で伝わってきたところによれば、国連原子力委員会は、「これ以上悪化はしないだろう」と予測しているとのこと。ただしそれは、あくまでも日本から離れた国から見ての話で、国内の事情はそう簡単ではありません。
2日前、ニコニコ動画の生中継では終始にこにこ笑顔で(彼の場合、テレビカメラの前ではいつもそうですが)話していた「安全な原発推進派」を宣言している武田邦彦氏は、ここにきてテレビ報道の重大な間違い or 意図的なごまかし報道について強い警戒を表明しています。
そのまま一部を引用します。

もう一つ極めて危険な報道があります。
これは NHK ではなく、民放の女性のアナウンサーでしたが、
「放射線レベルは低いので心配することはない。」
と大きな声で叫んでいました。
その番組で示された図は全く間違っている図で、アナウンサーが口にしている数字は「1時間あたりの放射線の強さ」であり、図に示しているのは「最終的にその人がどのくらいの被曝するか?」という値です。
女性アナウンサーは、
「10マイクロシーベルトだからこの図から言えばとても小さい。まったく問題ない」
と繰り返していました。このアナウンサーは放送を降りた方が良いと思います.?人の命に関係することですから「私はアナウンサーだから知らない」ということではすまないのです。
1時間に10マイクロシーベルとということは、たった1時間しかそこにいない人ならその数字で良いのですが、生活をしていて1ヶ月あまり同じ場所にいたら、10ミリシーベルトになります。これは法律でも許されてないような大きな値なのです。
重要なことなので繰り返して説明します。
時間に10マイクロシーベルとというのは放射線の強さですから、1秒あたりで言っても、1ヶ月あたりで言っても良いわけです。
1秒あたりで言えばとても小さな値になりますし、1ヶ月あたりで言えば大きな値になります。
瞬間的にその場所を通り過ぎるのならば、1秒あたりでも1分あたりでもいいと思いますが、今多くの人が判断しようとしているのは、「ここに住んでいて良いのか」、「赤ちゃんは大丈夫か」ということです。
そうなると1ヶ月はそこにいますし、子供は感度が高いのです.
恐らくは東京にいるアナウンサーだから、原発の近くにいて不安に思っている人の気持ちがわからないのだと思います。
またその横にいた専門家は、それに気がついたようでしたが、間違いを指摘しませんでした。だれかに「危険を煽ってはいけない」と言われて、逆に危険なことを言っているということです。

武田氏のような専門家ですら慌てる事態にあって、ましてや我々一般人が放射線・放射性物質汚染についての基本知識を学ぶことは困難です。しかし、今言えることは、「あらゆる情報を、一度自分の頭で整理し直し、判断しなければいけない」ということです。
とりあえず、

1)X線検査のような瞬時に浴びる放射線量と1時間あたりの放射線量(テレビで発表されているマイクロシーベルトやミリシーベルトはすべて「毎時」で1時間あたりの量)を同じに比較しても意味がない。
2)「放射線」は一時的に浴びてもダメージは自然治癒力などで回復できるが、「放射能」(正確には放射性物質が放射線を発する能力のことだが、ここでは大まかに「目に見えない微粒子としての放射性物質」と同義)は体内に取り込むと、その後もずっと体内被曝をもたらすので、これも放射線量の数字と同義に考えることはできない。

ということです。

海外の過剰反応は怖いですが、今の日本のメディアの報道規制ぶりも怖いです。
とにかく、原発に近い人で、離れられる人は極力離れることが必要である、という状況には間違いないです。

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