今起きていることと今後のこと2011/03/21 15:10

ここ数日で感じていることは、(保安院は問題外なので無視するとして)政府、東電、テレビ番組に呼ばれて解説している学者らが言っていることを、見ている私たちは、非常に高度な技術で「翻訳」して聞かなければならないのだな、ということです。
話している人の性格や個性、所属している団体とその人の生活を保障しているであろうお金の出本(東電社員なら東電から給料をもらっているし、御用学者は国から研究費をもらっている。官僚は何があっても関係がない最も安定した収入基盤がある)、そして老化速度(はっきり言えばボケ具合)やもともとの頭の程度などを総合的に見抜いた上で、彼らが言っている内容から、嘘と事実を選別し、正しい情報、ものの考え方の指針などを抽出し、さらに残った材料を自分で再分析する必要があるわけです。
これには大変な技術と冷静さが要求されます。

……ということを前提として、細かい説明ははしょった上で、いろいろな人が言っていることをまとめてみます。これは本当だろう、まともな考え方だろうと、「私」が今の時点で判断し、予測を立てたことは以下のことです。自分への忘備録としてここに残しておきます。

■何が起きているのか
  1. ・炉心溶融は起こっていない。従って再臨界や炉心の爆発はない
  2. ・しかし、燃料棒がかなり壊れている可能性が高い
  3. ・使用済み核燃料プールは一部あるいは相当部分が空焚き状態になっている
  4. ・相当量の放射性物質が漏れ出している非常事態には間違いない
  5. ・放射性物質の拡散状況には偏りがあり、今までのところ、なぜか北西方向の汚染がひどい
  6. ・首都圏の汚染はまだ深刻ではないが、21日午後、これを書いている時点でじわじわと線量数値が上がっている傾向が見られる(手元のガイガーカウンターでは、ときおり瞬間的に0.3マイクロシーベルト/時を超えるので、短く警報音が鳴り始めた。昨日はこんなことはなかった。ただし、概ね0.15マイクロシーベルト前後なので、怖がるようなレベルではまったくない)
  7. ・メディアでの「安心です」キャンペーンは、内部被曝と外部被曝の区別をしていないのが大きな問題。重要なことは、内部被曝を少しでも減らすため、放射性物質を吸い込まない、飲まない、食べないようにすること
■今後の予測と対策(短期)
  1. ・おそらくこのままゆっくりと収束に向かうが、今出ている放射性物質を大まかに封じ込めるまでにも相当な時間がかかる
  2. ・3号炉や1号炉など、建屋が吹き飛んでいる炉では設備の損壊が激しく、電源をつないだからすぐに制御が回復することはまずないだろう。汚い海水(ゴミだらけの塩水)をジャバジャバかけてしまったので、電気系統はもはや使いものにならないだろう。電気系統どころか、バルブも動かなくなっているというが、海水の塩分が付着して動かなくなった可能性がある
  3. ・放射性物質の飛散状況は風向きなどによって大きく違ってくるので、細心の注意を持って監視していかなければならない(それなのに気象庁が詳しいデータを出さない。現場周辺のアメダス情報もなぜか止まったまま)
  4. ・周辺住民は放射能雨に濡れないようにすることが最重要。雨が降っていないとき、風上にあるとき、まだガソリンがあるうちに、できるだけ遠くに避難できるなら避難すべき
  5. ・放出されている放射性物質は主にヨウ素とセシウム。ヨウ素は半減期が8日なので、1か月以上経てば自然に消滅する。ヨード剤はあまり意味がないのではないか。セシウムは半減期が30年と長いので、吸い込まないようにすることが重要。体内に入ったものも、尿と一緒にかなり排出される分があるので、オシッコを我慢しないこと。
■長期的な予測と対策
  1. ・使用済み核燃料プールには鉛を入れて封印するしかない。あそこからもはや使用済み核燃料を他に移動させることはできないので、福島第一原発全体がチェルノブイリと同じ「象の足」状態に鉛封印されるはず。ということは、福島が永久に使用済み核燃料(正確には「使用中」だった核燃料も含む)最終埋設場所になる
  2. ・その代わり、福島県に新規原発は建たないだろう(それを許すようであれば、救いがない)
  3. ・いくら政府が安全宣言を出したところで、福島県を中心とする周辺エリアの風評被害は今後避けようがない
  4. ・福島県の農業、漁業は壊滅的な風評被害を受ける
  5. ・原発周辺の自治体は大連合を結成し、一刻も早く独自の安全確認施設を立ち上げる必要がある。その施設で正直な検査をして結果を発表する。国や県の指示待ちではダメ。今後は自分たちで再生する決意が必要
  6. ・農作物、水産物は地産地消重視にシフトするしかない
  7. ・地元経済力を保持するために、それ以外の分野(技術分野、サービス分野、あらゆるベンチャービジネス)での産業振興を急ぐべき


中越地震で越後(震源地の一つであった川口町)にコツコツと建てていた「終の棲家」を捨てなければならなくなり、阿武隈の地で生活を始めて7年目。
正直に告白すると、私はこの地の風土に息苦しさを感じ始めていました。
はっきり言えば、「補助金、助成金たかり体質」がすっかり形成されてしまい、「生きていくには仕方ないべ」と、ふるさとの豊かな自然を切り売りし、国家権力や巨大企業の下で、そこそこの金をもらう代わりに大人しく生きていく道を選んでしまう。
そこに一石を投じ、「そうではなく、自分たちの力で『外貨』を獲得するという気概を持ちましょうよ」と提唱する「よそ者」は、危険分子として排除する。
都会から移ってきた人の中にも、そうした「なあなあ」に慣れることが地元に溶け込むことだと勘違いしている人がいる。
そうした人は、実は一部にすぎず、多くの人たちは素朴で、粘り強く、愛情豊かな人たちなのですが、風力発電問題などで、一部の人たちのずるさや無責任さ、自分だけ儲かればいいという人間性の低さに辟易していたことも事実です。

そこに起きたのが、今回の原発事故です。
まさかここまで東電がバカだったとは、思ってもいませんでした。それこそ「想定外」のバカさ加減。

これ以上の汚染が避けられて、ゆっくりと収束していくのであれば、おそらく私は、多少の放射能汚染が残っていても、阿武隈の地に戻り、地元の復興に少しでも貢献できるよう、生活し続けることになると思います。
そういう決意を固めつつあるところです。
大量の放射性物質がばらまかれてしまったことで、むしろ今まで以上に前向きな気持ちで生まれ故郷の福島に向き合えそうだという気持ちになっています。
今まで以上にやりがいのある仕事をし、生き甲斐を感じられる人生を送れる気がします。
放射能で人生が10年縮んだとしても、私自身は50代半ばまで大きな悲劇も苦労もなく生きてきましたから、もう十分です。私の年代以上の人たちも、今、そうした覚悟を固めている人が多いのではないかと思います。
おっちょこちょいや無責任な人がいなくなって、心ある人たちだけが残れば、理想を持ってリスタートしやすいかもしれません。

しかし、もし、この期に及んでも、地元住民の多くが「復興のためには新しい原発を建ててもらうしかない」「俺たちには何もできないんだから、連中の言うことをきくしかない」という考えなら、希望が持てません。そうした土地で教育活動からやり直すだけの時間はありませんので、残りの人生設計を根本から変更する必要が出てくるでしょう。
昨日も書きましたが、これは私にとって、残りの人生における「生き甲斐」の問題です。
ですから、一般論として書いているのではありません。くどいようですが、私自身への忘備録ですので、ご批判にいちいち耳を傾ける気はありません。

阿武隈が、これから先も、魅力ある、そこで暮らす人たちにとって生き甲斐を感じられる場所であり続けてほしい。今はそう願いつつ、原発の放射能漏れがこれ以上ひどくならずに収束に向かうことを祈っています。

たんぽぽ舎・山崎久隆氏の緊急レクチャー2011/03/21 20:26


↑2011年3月21日夕方に行われました。とても分かりやすい。なぜこのレベルの解説が地上波テレビで行われないのか?

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