線量の高い場所に「避難」している意味2012/04/19 11:52

郡山市内の空間線量を表示させたところ

ようやく線量の低い場所に戻ってきた役場と学校

文科省WEBサイトに「全国及び福島県の空間線量測定結果」というページができた。
今までは地名と数値がずらずら並んでいるPDFなどで出していたが、原発が爆発して1年以上経ってから、ようやくこのように多少は視覚的に分かりやすいものが出てきた。
今までPDFの資料をダウンロードしてまで読もうと思わなかった人たちも、これで少しは見る気が起きて、現状を分かってもらえるようになるかもしれない。

川内村の村長が「帰村宣言」をしたことに対して「子供たちを汚染された村に戻そうなんて、とんでもない話だ」と憤っている人が未だにたくさんいるようなのだが、事実は逆なのだ。
川内村の村民の多くは、郡山ビッグパレットそばの仮設住宅、あるいは郡山市内のマンションやアパート、戸建て住宅を「借り上げ」て仮設と同じにみなしてもらう制度(入居者数により最高月額9万円まで家賃補助)を使って郡山市内に「避難」しているのだが、空間線量のことだけをいうなら、川内村から郡山市に「避難」する意味はまったくないことがよく分かる。
ビッグパレットからいちばん近い計測ポイントを抜き出してみると、

日出山公園
0.518μSv/h

虹保育園
0.520μSv/h


……といった数値が出てくる。
一方、川内村の中心部を見ると、

川内村立川内小学校
0.110μSv/h

川内村立川内中学校
0.129μSv/h

かわうち保育園
0.168μSv/h

川内村役場
0.146μSv/h

……となっている(2012年4月19日時点)。この0.1xμSv/hというのは、首都圏とあまり変わらない。柏市あたりよりはよほど低い。

その他、ざっと見たところでも、郡山市内のほうが川内村中心部より、どう考えても線量は高い。
郡山市に「避難」している子供たちが川内村に戻って川内小学校や川内中学校、かわうち保育園に通うことは、被曝線量を下げることになる

川内村中心部の線量(0.1xμSv/h)でも十分に高いから危険だと主張する人がたくさんいる。となると、郡山市、福島市、二本松市、本宮市、伊達市といった福島県の都市部は、問題外で住めないということになる。
中心都市部に居住できないなら、福島県は廃県にするしかない。
そういう議論を仕掛けていることになる。
壇上に上がって「帰村宣言などとんでもない!」と声高に叫ぶ人が、川内村の名称すら正しく言えない(かわうちちょう、とか、かわまたむら、とか言っている)というシーンも見たことがある。
考え方がいろいろあることは分かるが、少なくとも単純な事実誤認は避けてほしいものだ。

30km圏の住民が、線量の高い都市部に「避難」していていつまでも戻って来ないのは、被曝が怖いからではないのだ。

↑郡山市内の学校は除染でかなり線量が下がった。こういう場所からピンポイントで除染していくことは必須。


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