免震重要棟なしで再稼働許可って……2016/01/20 22:08

これがあったから辛うじて1Fでの対応ができたのではないのか?
雪に閉ざされているので家にこもってオンデマンド本の編集作業に明け暮れる。
今度は、2013年に電子書籍で作った『数字と確率で実感する「フクシマ」』を紙の本にしてみた。
原稿はあるのだから、そんなに大変ではないだろうと思ったが、結構大変だった。
紙の本はレイアウトが面倒だ。あとはあれから3年経って(早いなあ)、一部書き足したり変更したりする必要があった。
できあがったのはこんな内容の本↓
目次
↑こんな内容(クリックで拡大)

免震重要棟ってなくてもいいものなの?

「免震重要棟」のところで、今は免震重要棟を新設した原発がいくつできたのだろうと調べたら、呆れ果てるニュースが見つかった。

九電、免震棟新設を撤回 川内原発 再稼働の前提ほご

 九州電力は八月に再稼働した川内(せんだい)原発(鹿児島県)をめぐり、事故が起きた際に対策所を置くとしていた免震重要棟の新設計画を撤回した。川内原発の免震棟は原子力規制委員会の審査でも設置が前提とされていたが、対策所の広さが三分の一以下の暫定施設を使い続けるとしている。
 九電は「方針変更は総合的に判断した。費用面も全く無関係ではない」としている。規制委幹部は「一度設置すると約束したものをやめるのならば説明が必要だ」として、九電に経緯や機能の説明を求める方針だ。
(以下略)
東京新聞 2015年12月26日夕刊

なんじゃこれは?
免震棟作るから再稼働を許可してね、と原子力規制委員会に申請して、それが完成もしない前から再稼働を認める規制委もどうかしているが、再稼働したら途端に「やっぱ作るのやめたわ」と言って平気な顔をしている。
どうなっているんだろうこの国は。

味をしめた九州電力は、玄海原発でもシカトを決め込んだ。

玄海原発の免震棟「白紙」 九電社長も明言

 九州電力の瓜生(うりう)道明社長は12日、玄海原発(佐賀県玄海町)の重大事故時の拠点となる免震重要棟の建設について、「これからの検討課題で現時点では白紙としか答えられない」と述べた。九電はすでに川内原発(鹿児島県薩摩川内市)では建設を撤回し、代替施設をつくると表明。玄海原発については役員が「白紙」としており、瓜生社長も同様の方針を明言した。(以下略)

朝日新聞デジタル 2016年1月12日


これを見て、他の電力会社も「なんだ、作らなくてもいいのか」と思ったか、

再稼働安全審査 半数の7原発15基、「免震」断念

 原子力規制委員会に再稼働の安全審査を申請している全国16原発26基の事故対策拠点「緊急時対策所」について、約半数にあたる7原発15基で免震構造によって作る当初計画を撤回して耐震構造に変更したり、再検討を進めたりしていることが分かった。免震構造は揺れを抑える機能に優れ、ビルなどで導入が進んでいるが研究の蓄積が少なく、安全性の証明が難しいため、電力会社は二の足を踏んでいる。(以下略)

毎日新聞 2016年1月19日


……と、もう完全に骨抜き状態になってしまっている。

今日、編集を終えたオンデマンド本『奇跡の「フクシマ」──「今」がある幸運はこうして生まれた』では、免震重要棟の部分を次のように書き換えた。

 1Fの1~4号機が次々に壊れ、放射性物質がだだ漏れになる中、現場にいた所員や関連会社の作業員たちの司令室として機能した「免震重要棟」という建物があります。
 ニュースでもたびたび紹介され、多くの国民がその存在を知ることになったわけですが、実はこの免震重要棟はすべての原発に備えられているわけではありません。
 2012 年末の時点で、設置されているのは、

東北電力女川原子力発電所
東京電力福島第一原子力発電所
東京電力福島第二原子力発電所
東京電力柏崎刈羽原子力発電所
中部電力浜岡原子力発電所
四国電力伊方発電所
日本原子力発電東海第二発電所
日本原子力発電敦賀発電所
日本原燃六ヶ所再処理施設

 ……の9原発・施設。
 これ以外の原発、核施設には免震重要棟がないのです。
 関西電力は美浜、大飯、高浜のすべて、中国電力(島根)、北陸電力(志賀)、九州電力(玄海、川内)も、北海道電力も、全原発に免震重要棟を設置していないのです。
 そもそも1F と2F に免震重要棟が作られたきっかけは、2007 年7 月に発生した新潟県中越沖地震でした。このとき、柏崎刈羽原発本館の対策室の扉が開閉不能になり、対策指揮会議を屋外で行わざるをえませんでした。それを知った新潟県の泉田裕彦知事が東電に強く要請して免震重要棟を作らせました。その後、柏崎刈羽にあって福島にないのはまずいだろうということで、福島第一、第二原発にも免震重要棟が作られました。(2014 年10 月15 日、日本外国特派員協会での記者会見談話)
 泉田知事の東電への「強い要請」が日本を救ったのかもしれません。

(略)

この、震度7 にも耐え、最新式のパソコンや東電本部との通信設備などを揃えた免震重要棟が1F、2Fに設置されたのは3.11 のほんの8か月前のことです。
 免震重要棟が完成する前は、事務本館という場所に緊急時対策室がありました。
 その事務本館は、地震で天井が落ち、滅茶苦茶になりました。そんな場所で現場の指揮などとれるはずがありません。もし、あの地震が1年早く襲ってきていたら、1Fも2Fも現場での対応がまともにできなかったのです。

 こうしたことを実際に経験したにもかかわらず、九州電力は2015 年8 月に免震重要棟の設置なしで川内原発を再稼働させました。原子力規制委員会は「再稼働には免震棟設置が前提」としていましたが、設置されないままの再稼働を許してしまったわけです。しかも、再稼働後、九州電力は免震重要棟の新設計画そのものを撤回しました。
 さらには玄海原発でも同様に、地上3階建てで延べ約6600㎡の免震重要棟を建設するとしていたのを「白紙撤回」しました。(2016 年1 月9 日朝日新聞「玄海原発の免震棟「白紙」 九電幹部、唐津市議会委で)
 これにならったかのように、原子力規制委員会に再稼働の安全審査を申請している全国16 原発26 基のうち約半数にあたる7 原発15 基で、事故対策拠点「緊急時対策所」について、免震構造によって作る当初計画の撤回、変更、再検討を進めています。(毎日新聞2016 年1 月19 日「再稼働安全審査 半数の7 原発15 基、『免震』断念」)
 九州電力と原子力規制委員会は、免震棟なしでの見切り発車でも原発を再稼働でき、再稼働後に免震棟建設を白紙撤回しても許されるという前例を作ってしまったのです。


そんなこんなでとりあえず作ってみた。
以下はサンプル。









『奇跡の「フクシマ」──「今」がある幸運はこうして生まれた』
オンデマンド A5判40ページ ご案内は⇒こちら

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製本形態

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