老人や庶民から「合法的に」金を奪う商法2017/11/18 11:52

切り替えさせられた新カードの説明書きより

プリペイドカードには気をつけろ

ときどき行くスーパーのカードが切り替わるとかで、分厚いプリペイド機能付きのものになった。その切り替えで、おばさんが客に5分くらい説明をする(その説明を聞かないと旧カードから新カードに切り替えできない)。
プリペイド機能を使うとポイントが2倍になります。チャージはお釣りが出ませんので、1万円札を入れたら1万円がチャージされます。1年間使わないとポイントが消えます。……なんだらかんだら。

まとめるとこういうことだ。

  • 買い物200円ごとに1ポイント。500ポイント単位で支払いに適用できる⇒500円値引きしてもらうまでには10万円の買い物が必要
  • ポイントの有効期限は最終利用日から1年間。⇒1年以上使わないと貯まったポイントは消える
  • プリペイドカード機能で支払うと200円ごとに2ポイント。毎月の支払い合計が2万円を超えるとポイントのつきかたが上がる。
  • クレジットカードで支払うとポイントはつかない(そもそもその店はクレジットカード非対応店)。
  • カードへのチャージは専用機で現金のみ受け付ける。使えるのは紙幣のみ。釣りは出ないので、1万円札を入れると自動的に1万円チャージになる。一旦チャージした金の返金はできない
  • チャージ金額の残額有効期限は最終支払いまたは最終チャージから4年間⇒4年間使わないと残高が失効する。
説明を聞いているのは僕を含めて年寄りばかり。
結局、プリペイドチャージさせて、使わないままにさせる魂胆じゃん。プリペイドカードって、それが狙いでしょ。
利用者が死んじゃったり、店が閉店したり、チャージしたままカードを紛失したり、カードの存在を忘れたりして死蔵カードになるのを狙っている。

認知症になったままひとり暮らしを続けていた親父の部屋を片づけたときにも、使った形跡のないプリペイドカードがいっぱい出てきた。コンビニ系、通信会社系、交通系……。そのほとんどに数千円程度の残高があった。
こうした「死蔵金」の総額はものすごい金額になるだろうが、ニュースなどで発表されたことはないと思う。
プリペイドカードのチャージ残高は一種の「預金」みたいなものだが、死蔵カードの残額は、人の預金を「合法的に」奪える商法といえる。

年会費のかかるカードにも気をつけろ

昔、某電器店チェーンのカードを作らされた。カード入会は無料です。カード会員様は今日から特典が適用され、今お買い上げの商品も特価になります……とかなんとかで、じゃあ、作らないほうが損だよね、と応じたのだった。
ところが、その直後にその店は撤退して、生活圏からは消えてしまった。そのカードはクレジット機能付きだったが、メインのカードではなかったのでそのまま。以後、年会費1080円が毎年銀行口座から引き落とされていた。
先日、ようやく電話して解約できたのだが、それも電話、なかなかつながらなくて、何度かかけ直してようやくつながった。
30年くらい、使わないまま年会費だけ取られていたから、軽く3万円以上、金を捨てていた(巻き上げられていた)わけだ。

こういうのも、年寄りはいっぱいカモにされている。

今の日本のGDPだの経済なんとか指数だのって、そういう「死んだ金」「合法的詐欺まがいの経済活動」が占める割合、相当なもんじゃないのかな。これから超高齢化社会になるから、この手の「高齢者の預金を合法的に吸い取る商法」はどんどん盛況になるだろう。

そういえば、先日、親父のケータイを解約しに行った。
これもものすごく面倒で、本人が署名捺印した委任状を作成し、本人の身分証明書(保険証など)のコピーを用意し、代理人(僕)の身分証明書も提示し、店頭でしか手続きができない。
ケータイショップは常に混んでいて待たされるのが分かっているから、なかなか動けない。でも、放置していれば基本料金が毎月親父の口座から引き落とされる。介護費用をまかなわなければならない重要な口座から、だ。
で、ようやく解約できたのだが、なんとか割の縛り期間が今年に切り替わったばかりだったので、違約金を1万数千円とられた。それでも次の契約切り替えまで最低コースで契約を続けるよりは安いということで、解約。

なんか、この国の経済はどんどん世知辛く、貧乏くさく、詐欺的になっている。
政治家は自分の財布から金を出さないことが多いから、こうした「空気」を感じることもできないまま、側近やらからブリーフィングされる数字だけで「経済が~」って演説をぶつ。
脱力だなあ。

「経済」という語は中国晋代の書『抱朴子』(外篇)にある「経世済民」を略したものだという。
「経世済民」とは「世を治め民をたすける」という意で、現在ではむしろ「政治」に関わるもろもろの事柄をさしていたそうだが、現在の経済は、やりたい放題やって金儲けする者たちのマジックワード。どうせ時が「」てば「」んだことになって誰も責任を取らない──の略かな。