真夏は太陽光発電の効率が落ちる2018/08/06 16:06

京都市メガソーラー航空写真(Googleマップより)
表の日記には1ページで書いたのだが、長文になったので、こちらブログ版では何回かにトピックを分けてUPする。

今年の夏は異常な暑さで、我が家の周辺では雨もほとんど降っていない。これだけ強烈に晴れていればさぞソーラー発電も頑張っているだろうと思いがちだが、実際にはそうではない。
1年のうちで、太陽光発電からの発電量がいちばん多い月は5月だという。なぜ日照時間の多い8月ではないのかというと「8月は暑すぎるから」。
太陽電池は「パネル温度が高くなるほど発電効率が低下する」のだ。
温度が上昇すると、電流は若干上昇するのですが、電圧の低下の方がそれよりもはるかに大きいため、温度が高くなるほど電流×電圧=電力は低下し、発電効率が落ちるということになります。

日射量の増大により発電量が順調に増えているように見えますが、その裏で、実は太陽電池パネルの温度上昇により電圧が低下し、発電効率は下がっているのです。
「太陽電池パネルの温度と発電電力」 ㈱ラプラスシステム提供 太陽光発電モニタリング基礎講座 より)


太陽光発電システムのメーカーが計算式まで示してきちんとこう説明している。

他にも、
ソーラーパネルは外気温や日射で発電面が熱されることで出力(日射を電力に変換できる能力)が落ちます。真夏の気温の高さはあなどれず、条件次第では冬場より発電量が落ちる可能性も少なくありません。
太陽光発電総合情報「太陽光パネルの温度と損失係数 夏と冬では発電量逆転の可能性も?」

など、太陽光発電システム導入を進めているサイトでも、この事実はきちんと説明されている。

それなのに、菅直人の惚けかたはエスカレートしていて、
なぜ前代未聞の猛暑なのに電力不足が生じないのでしょうか。それは太陽光発電が普及したからです。
「太陽光発電が猛暑の電力不足を救う」 政治に市民常識を 菅直人Officialブログ 2018/08/02

などと、根拠のない妄言をはき続けている。この人が残したFIT制度導入という悪法のおかげで日本の国土が破壊され続けているのに、未だに基本的なことも学んでいないだけでなく、能天気、無責任、非科学的な言葉を吐き続ける。立憲民主党にとっていちばんの老害、地雷ではないか。

真夏のソーラーパネルといえば、2年前には住宅のそばに建てられた太陽光発電所のおかげで熱中症になったという訴訟があってメディアでも取り上げられた。この手の苦情、訴えはその後も全国で増えている。
「ソーラーパネル 気温上昇」で検索すると、ソーラーパネルとヒートアイランド現象との関係について調べようと試みた研究論文がヒットした。
この論文の「結論」部分にはこんな記述がある。
各種表面からの顕熱フラックス*を、日射量に対する比で比較するとソーラーパネルは草地や屋上緑化よりも大きく、草地や屋上にソーラーパネルを設置することで、周辺の温熱環境へ影響を与えることが懸念される。
また、今後の課題として、ソーラーパネルのヒートアイランド現象の影響についての対策が必要であると考えられ、ソーラーパネル設置時における顕熱フラックスの算出等のシミュレーションによる検討が必要であり、今回の結果を活用したモデル化が望まれる。
太陽光発電パネルの熱収支特性の評価に関する研究 野村洋平、日本工業大学研究報告 第45巻 第1号 (平成 27年6月)収録)
*顕熱フラックス:温度の高いところから低いところへ輸送されるエネルギー


↑エントロピー環境論を子どもから大人まで伝えたいという気持ちで書いた、これは私の「遺言」です

コメント

トラックバック

このエントリのトラックバックURL: http://gabasaku.asablo.jp/blog/2018/08/06/8934987/tb

※なお、送られたトラックバックはブログの管理者が確認するまで公開されません。