「世界陸上」における日本選手の歴史 ― 2019/05/31 13:47
陸上競技の世界最高峰大会は、オリンピックよりも世界陸上選手権かもしれない。
名誉やニュース性ではオリンピックのほうが上かもしれないが、参加選手数や優勝者の記録レベルでは世陸のほうが上だ。特に、最近では真夏に開催されるオリンピックより、世陸のほうが競技コンディションがよいので、真の「世界最高レベル」が見られる可能性が高い。
というわけで、世陸における日本選手のメダル獲得歴史を振り返ってみた。
日本選手は初期の頃、マラソンで優勝者を3人出している(谷口、浅利、鈴木)。
特筆すべきは個人のトラック競技でメダルをとっている千葉真子(銅 女子10000m、1995年 アテネ)、為末大(銅 400mハードル、2001年 エドモントンと2005年 ヘルシンキ の2回!)、末續慎吾(銅 男子200m、2003年 パリ)だろうか。
あと、メダルには届かなかったが、8位入賞までを見ると、
……といったあたりが印象的だ。
ヘルシンキの女子マラソンで6位の原裕美子はその後、競技の成績ではなく、あんなことで有名になってしまったし、弘山晴美はトラックでもマラソンでも結果を出している(3大会で3度入賞!)のに、オリンピック代表選考レースでは悲劇を味わった。
逆に、高橋尚子は優勝確実と言われた1999年の世陸セビリア大会は、代表に選出されていたが脚の怪我で欠場。世陸での成績は1つも残していないが、翌2000年のシドニーオリンピックの金メダルで歴史にも人々の記憶にも名を残すことになった。
競技レベルではどちらも世界最高レベルなのに、世陸とオリンピックの「格差」がいかに大きいかを改めて感じさせられる。
スポーツも、世界最高レベルで競い合えるのはほんの一握りの人たちの、人生におけるごく短い時間。その時期を過ぎた後の人生をどんな風に生き抜くか。一度、「世界レベル」を味わい、死闘を繰り広げた人たちにとっての「その後」はどんなものなのだろう。
見ているだけの我々は、ただ単に競技というドラマに興奮する時間を与えられるだけだが……。
名誉やニュース性ではオリンピックのほうが上かもしれないが、参加選手数や優勝者の記録レベルでは世陸のほうが上だ。特に、最近では真夏に開催されるオリンピックより、世陸のほうが競技コンディションがよいので、真の「世界最高レベル」が見られる可能性が高い。
というわけで、世陸における日本選手のメダル獲得歴史を振り返ってみた。
1987年 ローマ
メダルなし1991年 東京
- 谷口浩美 ●金 男子マラソン (2時間14分57秒)
- 山下佐知子 ●銀 女子マラソン (2時間29分57秒
1993年 シュツットガルド
- 浅利純子 ●金 女子マラソン (2時間30分03秒)
- 安部友恵 ●銅 女子マラソン (2時間31分01秒)
1995年 イエテボリ
メダルなし1997年 アテネ
- 鈴木博美 ●金 女子マラソン (2時間29分48秒)
- 千葉真子 ●銅 女子10000m (31分41秒93)
1999年 セビリア
- 市橋有里 ●銀 女子マラソン (2時間26分33秒)
- 佐藤信之 ●銅 男子マラソン (2時間14分07秒)
2001年 エドモントン
- 室伏広治 ●銀 男子ハンマー投げ (82m92)
- 土佐礼子 ●銀 女子マラソン (2時間26分06秒)
- 為末大 ●銅 男子400mハードル (47秒89)
2003年 パリ
- 野口みずき ●銀 女子マラソン (2時間24分14秒)
- 末續慎吾 ●銅 男子200m (20秒38)
- 室伏広治 ●銅 男子ハンマー投げ (80m12)
- 千葉真子 ●銅 女子マラソン (2時間25分09秒)
2005年 ヘルシンキ
- 為末大 ●銅 男子400mハードル (48秒10)
- 尾方剛 ●銅 男子マラソン (2時間11分16秒)
2007年 大阪
- 土佐礼子 ●銅 女子マラソン (2時間30分55秒)
2009年 ベルリン
- 尾崎好美 ●銀 女子マラソン (2時間25分25秒)
- 村上幸史 ●銅 男子やり投げ (82m97)
2011年 テグ
- 室伏広治 ●金 男子ハンマー投げ (81m24)
2013年 モスクワ
- 福士加代子 ●銅 女子マラソン (2時間27分45秒)
2015年 北京
- 谷井孝行 ●銅 男子50km競歩 (3時間42分55秒)
2017年 ロンドン
- 荒井広宙 ●銀 男子50km競歩 (3時間41分17秒)
- 小林快 ●銅 男子50km競歩 (3時間41分19秒)
- 多田修平、飯塚翔太、桐生祥秀、藤光謙司 ●銅 男子4×100mリレー (38秒04)
日本選手は初期の頃、マラソンで優勝者を3人出している(谷口、浅利、鈴木)。
特筆すべきは個人のトラック競技でメダルをとっている千葉真子(銅 女子10000m、1995年 アテネ)、為末大(銅 400mハードル、2001年 エドモントンと2005年 ヘルシンキ の2回!)、末續慎吾(銅 男子200m、2003年 パリ)だろうか。
あと、メダルには届かなかったが、8位入賞までを見ると、
- 1991年 東京 7位 高野進 男子400m 45秒39
- 1997年 アテネ 8位 弘山晴美 女子5000m 15分21秒19
- 1999年 セビリア 4位 弘山晴美 女子10000m 31分26秒84
- 2005年 ヘルシンキ 6位 原裕美子 女子マラソン 2時間24分20秒
8位 弘山晴美 女子マラソン 2時間25分46秒 - 2017年 ロンドン 7位 サニブラウン・A・ハキーム 男子200m 20秒63
……といったあたりが印象的だ。
ヘルシンキの女子マラソンで6位の原裕美子はその後、競技の成績ではなく、あんなことで有名になってしまったし、弘山晴美はトラックでもマラソンでも結果を出している(3大会で3度入賞!)のに、オリンピック代表選考レースでは悲劇を味わった。
逆に、高橋尚子は優勝確実と言われた1999年の世陸セビリア大会は、代表に選出されていたが脚の怪我で欠場。世陸での成績は1つも残していないが、翌2000年のシドニーオリンピックの金メダルで歴史にも人々の記憶にも名を残すことになった。
競技レベルではどちらも世界最高レベルなのに、世陸とオリンピックの「格差」がいかに大きいかを改めて感じさせられる。
スポーツも、世界最高レベルで競い合えるのはほんの一握りの人たちの、人生におけるごく短い時間。その時期を過ぎた後の人生をどんな風に生き抜くか。一度、「世界レベル」を味わい、死闘を繰り広げた人たちにとっての「その後」はどんなものなのだろう。
見ているだけの我々は、ただ単に競技というドラマに興奮する時間を与えられるだけだが……。
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