「ヤバい世界」を知る人たちの証言(1)戦争編2022/05/10 19:24

ロシアとアメリカ(& NATO)の攻防についてはすでにいろいろ学びすぎて気持ちが悪くなっているのだが、中でもいちばん現実味を持って読んだのが前国連兵器査察官スコット・リッター氏に独立系ネットメディア「グレーゾーン」がインタビューした動画。
The Sun Snorer Pressさんがその全部を日本語訳してくれたおかげで、英語ができない私もその内容を知ることができた。感謝。
この人の献身的な情報提供(日本語翻訳作業)には本当に頭が下がる。
インタビュー動画の翻訳は7回に分けて日本語訳が掲載されているけれど、7回目だけでも読むべき(だけでも、って言っても、十分長いんだけど)

7回目では、グレーゾーンの女性スタッフ アーニャ・パランピルがスコットに、

「今や、ロシアと中国は歴史上かつてなかったほどの実質的なパワーとなってアメリカを脅かしているのです。そのためにアメリカはナチスさえ必要としているのではないかと思いました」

と感想を述べているのに対して、スコットは、

「なぜアメリカはナチスを必要としているのかについて、あなたの考えは100%正しいと思います。私はさっきランド研究所(RAND Corporation)での研究について話しました。ウクライナを第二のアフガニスタンに見立て、いかにしてロシアをその泥沼に引き摺り込むかという、つまりロシアを弱らせるための研究です。
その戦略として考案されたのは、ロシアが絶対に許せないものをウクライナ国内に作ることでした。ナチスです」

と答えている。
※ランド研究所というのは、1946年にアメリカ陸軍航空軍が、第二次世界大戦後の軍の戦略立案と研究を目的とした「ランド計画/Project RAND」として設立したシンクタンクで、現在はカリフォルニア州サンタモニカに本部がある(Wikiより)。
ランド研究所の名前が出ると、すぐに「陰謀論出た~」と騒ぐ人がいるが、スコット・リッターは実際に国連の兵器査察官として中東の政府中枢部や軍組織、テロ集団、そしてアメリカ政府中枢部の最右翼や軍中枢を渡り歩いて知り尽くしている人物だけに、無責任な想像で語っているのではないだろう。
このインタビューの6回目までを読めば分かるが、CIAやマドレイン・オルブライト、クリスチア・フリーランドらの話は、実体験も含めて極めてリアルだ。

動画の翻訳をしてくれたThe Sun Snorer Pressさんが最後にまとめ的な解説を加えているが、非常によくまとめているので読み逃さないでほしい。
事の本質は、24時間365日8年間にわたりドネツスク・ルガンスク住民に対してウクライナ政府が実行してきた戦争犯罪を”国際社会”が黙認したためにドネツスク・ルガンスク住民に生存上の脅威があったこと。
2014年2月のクーデター後、大統領に就任したポロシェンコの公式就任演説は「今日からウクライナの子どもは学校に行き、自由に公園で遊び、買い物に行きなささい。ドニエツク・ルガンスクの子どもは防空壕の中で集中砲火に怯えながら毎日を暮らしなさい」というものでした。
さらに、理解を深めるための参考資料として、ピーター・カズニック(米国の歴史学者、アメリカン大学歴史学部教授)のレクチャー動画も、重要点を日本語にしてくれている。
史上最大規模の軍事力を投入して始まったドイツの電撃作戦バルバロッサはソ連の防衛網をことごとく粉砕しながら破竹の勢いで進み、半年後、首都モスクワ30キロの地点まで迫りました。
しかし、そのドイツを徐々に押し返し、ついにベルリンを陥落させ、ヒットラーを自殺に追い込んだのは他ならぬソビエトでした。アウシュビッツをはじめとする強制収容所のほとんどを解放したのもソビエトでした。
しかし、そのためにロシア(ソビエト)が支払った代価は実に2700万人という途方もない数の犠牲者だったのです。人口と比較して(1億9400万人/USSR, 1940年)、その数字の持つ意味を想像してみてください。
ロシア人のDNAにナチス残虐の記憶が刻み込まれ、ナチスを絶対に許さないという信念が刻み込まれている理由はそこにあります。


それを利用して、ロシアを挑発する作戦をさせた者たちの狂気を想像すると、目眩がする。


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