こんな「除染」はやってはいけない2011/12/04 11:34

「除染」によって住民の内部被曝危険性が増している

郡山市の市民が、「放射性物質の除染作業による被曝から守るため市民に除染作業をさせない事を求める署名」というのを始めた。⇒こちら

背景には、「除染」を巡って戦時中の隣組的な社会が形成され、子供を含めた多くの市民が「除染活動に参加させられることによる内部被曝の危険性増大」に直面しているという実態がある。
このブログこのブログにも記されているように、除染が大規模にかつ効率的に「儲からない」都市部では、「除染」は市民に丸投げされる傾向があり、それに参加しないと「自己中心的な人間だ」と、隣人たちから糾弾されるという図式ができあがってしまっているのだ。

//お父さんや家族の都合が悪ければ、お子さんを連れて除染に行くのだそうです。行かなければ、協力的でないと後ろ指をさされます。なのでお母さんが行くのだそうです。//

//地域のために皆がんばることなので、手伝わない人は非国民扱いで村八分だそうです。
若いお母さんなどは、乳幼児の我が子から目が離せないのですが、でも参加しなくてはならず、幼い子どもを連れて除染作業に参加するそうです。//


この「みんなと一緒に足並みを揃えない者は非国民」的な空気が形成されてしまうことがいちばんの問題。
福島県内では、3.11以降、あちこちでこうした事態が起きている。
被爆を避けて県外に移住すると「逃げ出すのか」と罵られたり、除染をする、いや、下手に引っかき回すとかえって被曝するからしない、という言い争いもあちこちで起こっている。

何度も書いているように、いちばん怖いのは内部被曝。
「除染」作業の現場というのは、土やアスファルト、コンクリートにこびりついている放射性物質を再び空中や水中に解き放つということをしているわけで、それを吸い込んだり呑み込んだりする危険が一気に増すのは自明のこと。
しかし、「除染」は今やこの国で最大の国策事業、莫大な税金が投入される公共事業になってきており、自治体(地方行政)はもちろんのこと、失業した労働者、建設会社、土建会社、清掃会社、森林組合、商工会……ありとあらゆるところから「雇用が回復できる魅力的な事業」として見られている。
除染作業従事者養成講座的なものに、土建会社や清掃会社、はてはリサイクル業者などが殺到しているが、その講座を仕切っているのが、今までさんざん原発建設を進めてきた原子力ムラの連中だったりするのだからやりきれない。

「除染」現場に駆りだされた母親たちは、重機を使えるわけでもなく、土の削り取りや運搬、草むしり、側溝掃除などを手作業でやらされる。付着して、ある程度安定していた放射性物質は再び拡散するから、それを吸い込んだり呑み込んだりする可能性が増え、除染の現場では普段より余計に被曝する。
水をぶちまけて流せば、水が流れていく場所が新たに汚染を増すだけのこと。
剥ぎ取って集められた土は、公園や空き地の隅に穴を掘ってひっそり埋められる。表土を剥ぎ取った場所の空間線量は下がるが、そこにあった放射性物質はどこかに移動しただけ。
もはや、どこにどれだけの汚染物質が埋められたのか、あるいは流されたのか、分からない状態。

これが都市部の「除染」の実態だ。

では、莫大な税金が投入され、除染実験が始まった農村や森林地帯はどうか。
人が入らない森林を伐採するなどということをしたら、水源が涸れ、かつ、余計な地下水汚染を引き起こしかねない。
ところが、そういうことを理解していないのは素人だけでなく「専門家」と呼ばれる人たちも同様で、「森林を伐採しないと、放射性物質が里に流れ出して汚染を広げる」などと言い、それを恐れた住民が、森林を全部伐採しろと叫んでいるような状況だ。
こうして除染という名の森林伐採が押し進められている。こちらのほうが、人の目につかない場所で大規模に行えるために、関係業者は大きく、効率的に儲けやすい。

川内村の我が家周辺は、今、大量の落ち葉で埋もれているが、線量は少しずつだが確実に減ってきている。もちろん除染などしていない。
雑木林や唐松林など、落葉樹の森林は、3月には葉っぱをつけていなかったので、今の落ち葉にはほとんど放射性物質が付着していないのだ。
一部の「専門家」は、樹木が土中の放射性物質を吸い上げて葉に蓄積させる云々と言っているが、どうやらその話もいい加減で、やはり降り積もった放射性物質のほとんどは、土の表面から5cmくらいの層に溜まっているのだろう。
そこに新しい落ち葉が落ちて、落ち葉の層を形成していくので、多少は放射線がシールされているのかも しれない。
もちろん、ガンマ線はそんなものもろともせず突き抜けるが、毎年これを繰り返していけば、土中の放射性物質は少しずつ地下に潜り込んでいくのだろう。だが、数メートル下には到達しないだろうから、放っておいても地下水脈は無事なはずだ。そこに深い穴を掘って汚染物質を埋めたりしない限りは……。

程度の薄い汚染地帯は、下手に引っかき回さず、何もしないほうがいい。
ベラルーシまで行って、チェルノブイリ事故後の汚染地帯がどうなっているかを実際に見てきた「視察団」の人たちも「森は除染できない。しない」と明確な答えを得てきたはずだ。

それでも無理矢理進めていけば、放射性物質入りの土埃や粉塵を吸い込んで、作業員は確実に内部被曝する。
大変な健康危機と税金と引き替えに森林伐採、表土削り取りが進むと、森が死滅し、農地は使いものにならなくなる。保水力を失った山は土砂崩れ、水害発生源となる。養分の多い表土を剥ぎ取られた農地は荒れ果てる。
もちろん、山の保水能力の低減で渇水も起きる。
放射能汚染に加えて、取り返しのつかない環境破壊の連鎖が、今、人間の手で進められようとしている。

こんなとんでもない国に、我々は住み続けなければならない。自分の命を自分で守りながら。
これは大変なことだ。
みんな、自分の命や暮らしを守ることで精一杯だが、とりあえずは、郡山市など、都市部で起きている「除染隣組」には声を上げないと。
このままでは、人間の余計な所業によって、汚染地帯に住まざるをえない住民の内部被曝の被害がどんどん増えていく。

汚染地帯に暮らす母親たちには、勇気を持って「私は除染作業には加わりません」と、拒否姿勢を貫いてほしい。あなただけでなく、子供たちを守るために。

「除染」は幻想を捨てることから始まる2011/09/26 21:57

■完全な「除染」なんてできない と結論されたリポート

山内知也 神戸大学大学院海事科学研究科教授が、「放射能汚染レベル調査結果報告書 渡利地域における除染の限界」というリポートを発表した。

「渡利小学校通学路除染モデル事業が8月24日に実施されたが、報告された測定結果によれば、各地点空間線量は平均して「除染」前の 68%にしか下がっていない」
「除染作業の実態は側溝に溜まった泥を除去したということであって、コンクリートやアスファルトの汚染はそのままである。道路に面した住宅のコンクリートブロック塀や土壌の汚染もそのままである。一般に、除染は広い範囲で実施しなければその効果は見込めない。今回の計測において通学路の直ぐ側の地表で 20 μSv/h に及ぶ土壌の汚染があった」


などとして、

「文字通りの『除染』は全く出来ていない。Cs-134 の半減期は2年、Cs-137 のそれは30年である。したがって、この汚染は容易には消えず、人の人生の長さに相当する。そのような土地に無防備な住民を住まわせてよいとはとうてい考えられない」

と結論づけている。

渡利地区に人を「住まわせてよいかどうか」という判断は簡単にはできないが、「除染」について多くの人が抱いている幻想を打ち砕く内容であることに間違いはない。

報道では「早く住民が戻れるように国が全力を挙げて除染に取り組むべし」といった論調が目立つ。そう言っておけばいちばんの安全牌だということだろうが、具体的な内容に踏み込まないで、単純化された正義として「除染事業」が暴走することを恐れる。
この問題を論じるためには、大前提として、「放射性物質を消滅させる技術は存在しない」という認識を全国民が持つことから始めなければならない。しつこいようだが、除染というのは、放射性物質を「移動」か「拡散」させることであって、消せるわけではない。
屋根に付着したセシウムを洗い流せば、屋根から流れ落ちたセシウムが付近の地表や排水に流れ込むから、排水枡や雨樋の出口などでは除染後にむしろ線量が高くなるのはあたりまえのこと。前出の「放射能汚染レベル調査結果報告書~」でもそうした結果を報告している。
では、除染──特に都市部の除染が簡単にはできないということを認めた上で、何を優先的にするべきなのか。
このリポートを書いた山内教授のように「そのような土地に無防備な住民を住まわせてよいとはとうてい考えられない」と結論づけるなら、そこから先、具体的にどうすればいいのか。
まず、そのような場所に、

1)住んではいけないので強制的に退去させる
2)住むか住まないかは住人の判断に委ねる

という選択肢がある。

1)の場合は、低線量被曝をしてもいいから今の場所に住み続けるという「権利」を奪うことになる。その結果、ストレスや経済苦で死期を早める人のほうが、放射線が原因で死ぬ人よりはるかに多いことははっきりしている。特に高齢者はそうだ。
それでも住民を強制的に退去させることは正しいことなのか。正しいとするなら、何を基準に線引きをするのか。(空間線量の数値だけでよいのか)

1)の場合も2)の場合も、住民がそこを出て新しい場所で生活をするための支援・賠償をしなければならない。その場合の支援はどうするのか。
例えば、豪邸に住んでいた金持ちと安アパート暮らしの貧乏人に対する支援(賠償)額に差をつけるのか、それともその人が所有していた不動産の価値には関係なく、一律で金を支払うのか、という問題が出てくる。
さらには、子供のいる世帯と大人だけの世帯では差をつけたほうがいいという考え方も当然出てくる。

事業所を失う場合や、移転した場合、事業そのものができなくなる場合の補償はどうするのか。
例えば、何十年もかけてその地区で信用を得て生徒数を増やしてきた学習塾などは、他の場所に移転しても同じ事業をすぐに始めることは不可能だ。温泉宿とかプロパンガス配給、新聞配達店など、その場所でしか営めない事業はたくさんある。
そうした個別の対応は到底不可能だと分かっているからこそ、国は「除染をして戻りましょう」と言っているのではないか。
出ていく決断をした人たちが、「効果が薄い除染などに税金を注ぎ込むくらいなら、移転費用として補償金を出せ」と考えるのは当然のことだ。

あまりにも問題は深刻かつ複雑。本気で検討し始めたらとんでもない金額の話になってしまうし、福島県が消滅しかねない。
その結果と言うべきか、現時点では、都市部の住民に対する補償はほとんどされていない。話題にすることも避けられている印象がある。
このまま「除染」だけが公共事業として進められると、本来、賠償を受けるべき住民たちの財産は踏み倒されたまま、税金が新たなビジネスに注ぎ込まれて、そこで儲ける者が出現するだけということになりかねない。

空間線量というのは、現時点では地表や建造物、植物などに付着したセシウムから出ているガンマ線(正確にはセシウムはベータ線を出して放射性バリウムになり、その放射性バリウムがガンマ線を出して安定バリウムに変わる。その過程で放射されるガンマ線)の数値がほとんどだ。排水溝などで飛び抜けて高い数値が出るという場合は、たいていはベータ線も一緒に計っている。ベータ線は空気中ではせいぜい1メートル程度しか飛ばないので、地表から1メートルの高さで測っている場合はベータ線の影響はほとんど数値に出ない。
これらを外部被曝した場合のことを指して、一部の「専門家」は、安全だ、まったく問題ない、と主張している。
外部被曝だけであれば実際そうかもしれない(そうではないかもしれないが)。
だからこそ、空間線量だけの議論に持ち込まれてはいけないのだ。
問題は放射線を出している物質を体内に取り込んでしまい、体内で被曝し続ける内部被曝。中でもいちばん恐ろしいのはプルトニウムを吸い込んで肺に付着させることだが、プルトニウムが本当に拡散していないのかどうか、信用できそうなデータがなかなか出てこない。このことのほうが問題だ。プルトニウムの検出には高価な機器と手間(長い検査時間)を要するからだが、まずはこれに金を注ぎ込んで徹底した調査をしなければ、どれだけの危険が存在しているのか分からない。
食品の検査態勢がまったく手薄であることも明白で、検査態勢強化のために金を惜しんではならない。
優先順位をつけるとしたら、そっちではないか。
もし、微量であってもプルトニウムやストロンチウムが広範囲に飛び散っているということが分かったら、それらを体内に取り込んで内部被曝するかどうかは、くじ引きのようなものになる。ほとんど防ぎようがない。空間線量が高い場所では放射性物質が多いわけだから取り込んでしまう確率も高くなるが、低いから安全だということにはならない。量の問題以前に、取り込むか取り込まないか、○か×かという問題になってくるからだ。
土やアスファルト、コンクリートの表面を剥いで移動させたりする作業をすれば、何かに付着して動きを止めていたプルトニウムをまた空中に舞い上がらせ、それを吸い込む危険性も増すだろう。
プルトニウムはアルファ線を、ストロンチウムはベータ線を出すが、これらは例の「ホールボディカウンター」でも検出できない。つまり、セシウムよりずっと危険な核種を体内に取り込んでしまっているかどうか、知る術がない。
となれば、それが原因で死んだとしても証明ができない。
何から何まで分からないのであれば、内部被曝の確率を下げるためには、もうもうと粉塵を巻き上げながら道路の表面を大規模に剥がし始めた福島になど暮らしたくない。ひたすら福島から遠くで生活するしかない、という結論に達する。
子供を福島から遠ざけたいと思うのは、親としては当然のことだろう。
この危険回避には金がかかる。つまり、できる人とできない人がいる。
命を守れるかどうかは金次第という世界。

原子力エネルギーを使うのはやむをえないという考え方は、こういう不平等社会を「仕方がない」と思う人たちの考え方だ。そういう考えの人たちが「除染」を熱心に口にするときは、注意したほうがいい。
 
裸のフクシマ

『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(たくき よしみつ・著)

(2011/10/15発売 講談社 単行本)…… ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。
驚愕の事実とメディアが語ろうとしない本音の提言が満載。
第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

今すぐご注文できます 
アマゾンコムで注文で買う  ■立ち読み版は⇒こちら

福島第一原発で何が起きていたのか、今分かってきたこと2011/04/06 16:08

福島第一原発に使われているアメリカGE社製の原子炉Mark1構造図

2号機、3号機で何が起きたのか? 今、どうなっているのか?

 ここ数日、気になる情報が矢継ぎ早に入ってきました。
 まずは、今中哲二氏(京都大学原子炉実験所助教)がリーダーとなって急遽編成された「飯舘村周辺放射能汚染調査チーム」が3月28日、29日に行った「飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告」というもの。
http://p.tl/RN_n
 ↑PDFでここに発表されていますが、サーバーの能力が低いらしくて、常時重いので、一部内容をそのまま抜粋します。

3月28日と29日にかけて飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告
飯舘村周辺放射能汚染調査チーム

調査メンバー:
今中哲二(代表) 京都大学原子炉実験所
遠藤暁 広島大学大学院工学研究科
静間清 広島大学大学院工学研究科
菅井益朗 國學院大學
小澤祥司 日本大学生物資源科学部
---------------------------------------------------
//3月15日午前の2号炉格納容器破壊または4号炉使用済み燃料プール火災にともない放射能大量放出があり、それが北西方向に流れて『高放射能汚染トレース』が形成されたものと推察される。
放射性ヨウ素がかなりの割合で存在することを考えると、06:10 に発生した2号炉格納容器破壊にともなう大量の放射能放出が北西方向へ向かったと考えるのが妥当であろう。
添付1のデータによると、飯舘村での放射線量率の最大値は、3月15日18:20 の 44.7μSv/h である。
右は、アメダス飯舘ポイントの当時の気象条件である。
3月15 日 06:10 の格納容器破壊で放出された放射能雲が約12 時間かけて飯舘村近辺に達し滞留・沈着したものと思われる。//

//図5に基づくと、3月15 日の沈着から90 日間の積算被曝量は、曲田で95mSv、村役場で30mSvと予想される。
この値は、あくまで牧草地などの土壌の上に常時滞在する場合であり、車中で2/3程度、木造でも家の中では1/2 程度、コンクリート製の建物中では1/10 に軽減されるものと考えられる。
なお、原子力安全員会の『原子力施設の防災対策について』に定める『屋内退避及び避難等に関する指標』においては、外部被曝による予測線量(放射性物質又は放射線の放出期間中、屋外に居続け、なんらの措置も講じなければ受ける線量)が10~50mSv のときは『自宅等の屋内へ退避すること』、50mSv 以上のときは『コンクリート建屋の屋内に退避するか、又は避難すること』と提案されている。飯舘村の放射能汚染状況が深刻なものであることは言をまたないものである。//
----------------------------------------------------


 図や表は転載していませんが、要するにこれを読んで分かることは、

  1. これだけの高濃度汚染があることを国や関係機関は15日時点で分かっていたはずなのに、当該地区への情報伝達をしなかった
  2. (衝撃的映像として放送された)1号機、3号機の水素爆発よりも、むしろ映像としては伝わってこない2号機や4号機からの高濃度の放射性物質漏れが主要な原因と思われる。
  3. 飯舘村付近が突出して汚染されたのはそのときの天候条件による「たまたま」の結果である。つまり、他のどの地域も飯舘村並み、あるいはそれ以上に汚染された可能性がある。風が海側から吹いていた場合などは、首都圏で同様の汚染が起きたことも十分考えられる。飯舘村以外の場所の汚染が軽度だったのは、ものすごく運がよかっただけ。(実際、海洋上ではとてつもない汚染を受けたが、海水が薄めていることと、人がほとんどいないことで結果が出てこないだけ)


 今中チームはどうやら、1号機や3号機の水素爆発よりも、2号機からの放射能漏れを重視しているようです。
 2号機は外から見る限り、建屋があまり壊れていないので、1号、3号、4号機に比べればまともなのかと錯覚しがちですが、実は、3月15日午前6時10分に爆発を起こしています。東電は保安院に「この爆発により、サプレッション・チェンバー(圧力抑制室=上の図で、いちばん下に見えているドーナツ状部分)が損傷している恐れがある」と報告しています。
 圧力抑制室は炉心に直結している部分で、原子炉本体と呼べる「圧力容器」の下部を構成しています。
 タービン(原子炉外部にある蒸気発電機)が停止して原子炉から主蒸気をタービンに送ることができなくなったとき、蒸気をベント管等によりこの圧力抑制室に導いて冷却し、原子炉圧力容器内の圧力を低下させるための設備です。また、非常用炉心冷却設備(ECCS)の水源としても使用されます。
 これが爆発により破壊された(要するに穴が空いて中の水が抜けた)というのです。
 つまり、2号機ではこの時点で炉心内の放射性物質が直接環境中に吹き出したと考えられます。
 1号機や3号機の爆発は、建屋が吹き飛び、めちゃめちゃになったものの、格納容器、そしてその中に収められている圧力容器は概ね無傷で残ったとされています(もちろんタービンと結んでいる配管などは大きく損傷しているでしょうから、そこからは漏れているはずですが)。
 対して、2号機は炉心を構成する圧力容器の一部がすでに壊れているという恐ろしい事態になったわけですから、そこから環境中に出てしまった放射性物質の濃度は桁違いでしょう。
 現地で、その後の冷却作業を2号機中心に切り替えたことも、事態の深刻さを裏付けています。

 今中チームが考えたように、もし飯舘村の放射能汚染の主原因が2号機からの放射性物質拡散であったとすれば、2号機の圧力容器が壊れたままで、炉心に注入している水がだだ漏れである以上、これから先も、何が起きるか分からないということになります。
 炉心の温度は確実に下がってきているので、再臨界などはまず起きないでしょうが、問題は、炉心部分と外界がつながってしまっている、遮る手段がない、ということなのです。
 水を入れなければ燃料集合体が露出して炉内の温度が上昇し、そこから高濃度の放射性物質が空気中に出ていきます。それを防ぐためには水を入れ続けなければいけませんが、圧力容器が壊れて水が漏れるのですから、注入した水は循環することなくそのまま外に出て行きます。この水は炉心を通っている水ですから、とんでもない汚染水です。

 その後の報道によれば、敷地内地下の配管系統やU字溝の類が古くてあちこち損傷していて、汚染水の流出経路もすぐには特定できないという信じがたい状況ですから、敷地内の土壌汚染はすでに致命的です。
 燃料集合体が露出して炉心の放射性物質が空気中に出てしまう(風次第でどこに飛ぶか分からない)よりは、水浸しにして敷地の土壌と海を汚染させたほうがまだマシだという判断の下に、切ない作業が今も進んでいるのです。
 4月6日になって、報道では「高濃度汚染水の漏れが止まった」と報じていますが、漏れが止まったということは、流入口が開いたままでの田圃の排水口を閉めたのと同じですから、これからは敷地内が田植え前の田圃状態になります。超高濃度汚染水でびたびたになった田圃で田植え作業ならぬ復旧作業を強いられるわけで、これはこれで想像を絶する図です。

 ついでに言えば、15日の時点で、政府や東電、関係省庁などは、一気に周辺地域への汚染が進み、そのときの風向きと降雨により、高濃度汚染エリア(いわゆる「ホットスポット」)が飯舘村周辺にできたことを知っていました。
 しかし、気象庁はだんまりを決め込み、日本気象学会理事長・新野宏は、気象学会会員である学者たちに「リサーチを勝手にするな。発表するな」と圧力をかけていのです。
 呆れたことに、この「お達し」は、これを書いている4月6日現在もまだ気象学会のWEBサイトに掲載されています
 消える前に当該部分を抜き出しておきます。

2011 年 3 月 18 日 日本気象学会会員各位
日本気象学会理事長 新野 宏

(~略)この地震に伴い福島第一原子力発電所の事故が発生し、放射性物質の拡散が懸念されています。大気拡散は、気象学・大気科学の1つの重要な研究課題であり、当学会にもこの課題に関する業務や研究をされている会員が多数所属されています。しかしながら、放射性物質の拡散は、防災対策と密接に関わる問題であり、適切な気象観測・予測データの使用はもとより、放射性物質特有の複雑な物理・化学過程、とりわけ拡散源の正確な情報を考慮しなければ信頼できる予測は容易ではありません。
今回の未曾有の原子力災害に関しては、政府の災害対策本部の指揮・命令のもと、国を挙げてその対策に当たっているところであり、当学会の気象学・大気科学の関係者が不確実性を伴う情報を提供、あるいは不用意に一般に伝わりかねない手段で交換することは、徒に国の防災対策に関する情報等を混乱させることになりかねません。放射線の影響予測については、国の原子力防災対策の中で、文部科学省等が信頼できる予測システムを整備しており、その予測に基づいて適切な防災情報が提供されることになっています。防災対策の基本は、信頼できる単一の情報を提供し、その情報に基づいて行動することです。会員の皆様はこの点を念頭において適切に対応されるようにお願いしたいと思います。


 4月4日には、読売新聞が、気象庁が海外向けには放射性物質拡散予測データを渋々伝えているものの、国内に向けてはまったく発表していない事実を報じました。
 国際原子力機関(IAEA)は、「国境を越える放射性物質汚染が心配されるときには、各国の気象機関が協力して拡散予測を行うこと」を要請しています。
 これに従い、日本の気象庁も、東日本大震災当日の3月11日から毎日1~2回、放射性物質の拡散予測を計算していました。それを海外には伝えており、ドイツやノルウェーなどの気象機関はそのデータにさらに独自の分析を加えて拡散予想を公開していますが、事故の当事者国である日本国内では隠されていたのです。

■3号機の爆発は水素爆発だったのか?

 もうひとつ気がかりなのは、3号機の爆発が1号機と同じ水素爆発だったのか、ということです。
 私自身は今でもそう思っていますが、そうではないと見ている人もいるようです。
 週刊現代4/16号に、福島第一原発の原子炉(米GE社のMark1)設計を担当したGE社のもと設計士・菊地洋一氏という人物のコメントが紹介されています。
「3号機だけが熱でグニャグニャに曲がっているでしょう。アメ状に折れ曲がっている。これは明らかに水素爆発ではありません。何らかの理由で鉄骨を溶かす800度以上の超高熱にさらされ、鉄骨の骨組みが溶けた。水素爆発ではここまでの事態にはならない。何かもっと重大な事態が起き、それがいまだに報告されていないか、誰も正確に事実を把握していないのでしょう」

 3号機の爆発が1号機のときとはまったく違う規模だったことは、爆発映像を流したテレビでも言っていました。
 煙の色も違うし、爆発の瞬間に炎が建屋を包んでいるし、煙も上方向に高く上った、という解説で、両方の爆発シーンを並べて比較した映像も紹介されました。
 しかし、その後3号機も水素爆発だったと発表されてからは、誰もこのことには触れません。
 本当に「何かもっと重大な事態が起き、それがいまだに報告されていないか、誰も正確に事実を把握していない」のであれば、その重大な事態とはなんなんでしょうか。

 私自身は、今の情報だけであれば、3号機の爆発は水素爆発であり、1号機より大きな原子炉だったから溜まっていた水素も多く、爆発も大きかったのだろうと推測しています。
 3号機の爆発が飯舘村のようなホットスポットを作りだした原因だったとすれば、逆に、これから先、爆発が起きなければ放射性物質の空中への大量飛散はないということになるので、むしろ安心できます。
 このへんも、しっかり調査・分析して報告してほしいものです。

 ところでこの菊池氏が同じ週刊現代の記事の中で、過去における驚くべき体験を証言しています。
 1970年代末、彼がGEの設計士として福島第一原発に赴任していたとき、2号機の補修が必要になって作業を開始しようとしたところ、東京電力社内に原子炉工事をしたときの図面が残されていなかった、というのです。
 福島第一原発の歴史を見ると、

1967年9月29日:1号機を着工する。
1968年(昭和43年)3月29日:国が2号機の原子炉設置を許可する。
1969年(昭和44年)4月4日:福島県と東京電力の間で「原子力発電所の安全確保に関する協定」が締結される。
7月1日:3号機の原子炉設置許可申請を提出する。
1970年(昭和45年)1月23日:国が3号機の原子炉設置を許可する。
7月4日:1号機において核燃料を初めて装荷する。
11月17日:1号機の試運転を開始する(翌年5月11日に記念式典を実施する)。
1971年(昭和46年)2月22日:5号機の原子炉設置許可申請を提出する。
3月26日:1号機の営業運転を開始する。


 ……となっています(Wikipedia参照)。
 71年に営業運転を開始した原子炉の建設図面が、70年代末には東電社内に残っていなかった??
 そんなバカな話があるでしょうか。
 いくらなんでもこの記事は信用できないのではないかと私は思ったのですが、4月5日、高濃度汚染水が海に漏れだしていた件は、パイプやトンネルからではなく、その下の「砕石層」を通って流れ出していたという報道に接し、考えが変わりました。そこまでいい加減な工事をしていて、老朽化にも気づかなかったのであれば、最初から杜撰だった、気が緩んでいたということもありえるだろうと。
 少し詳しく説明すれば、当初、汚染水が噴き出しているのを目視できた場所の上流には、電線などが通る管路や電源ケーブル用のトンネルなどがあって、汚染水はこれらを通ってきていることが分かりました。もちろんこれらは「水路」や「排水管」ではなく、ケーブル類をまとめて這わせたり、人間が点検しやすいように作っているトンネルですから、決して水が入ってはいけない通路です。
 そこに高濃度汚染水が流れ込んできていること自体が大問題なのですが、その経路を遮断しても汚染水の海への流入は少しも止まりません。そこでさらに調べると、そうした通路の下に土台として埋めた砕石層(要するに土の中)を通っていることが分かったので、そこに直接止水剤を注入したというのです。
 私は越後の家で「土壌浄化層」「土壌トレンチ」という土壌バクテリアを利用して排水を浄化するシステムを自分で作ったことがあるので、砕石層が水の通路になることは体感的にもすぐ分かるのですが、ここに通っているのは炉心を通過して高濃度に汚染された水なのです。これが、U字溝やパイプではなく、地面の下の土壌そのものに流れ出しているというのですから、もはや冗談にもなりません。
 ここに止水剤を注入したとしても、今なお汚染水はだだ漏れ状態なのですから、敷地内はどんどん汚染水で水浸しになっているのです。

 福島第一原発が今後どうなっていくのか、現時点では誰にも分かりません。
 分かってきたのは、「想定外」の堕落、怠惰、無責任、無能力が、電力会社と政府、そしてアカデミズムの世界で構成される「原子力村」にて蓄積されていたことです。
 今まで大きな事故が起きなかったことのほうが奇跡的と思わざるをえません。

武田邦彦氏の件に限らず……という話2011/03/22 11:02

当日記・緊急時バージョンに、武田邦彦氏のブログがリンクされていることについて、あんなトンデモ学者の扇動に加担するとはどういうことか、といったメールをいただいています。
同様のご意見をお持ちのかたがたくさんいらっしゃると思いますので、ここで少し私のスタンスを説明しておきます。

私は基本的にこの人に好印象を持っていません。環境問題の嘘、温暖化議論の嘘をテーマに大変な数の本を出していますが、基本的な考え方は概ねいいものの、いつもやり方が雑だからです。
彼のブログを見れば分かるように、誤字脱字、単純な文章のミスを校正しないで出しています。物書きとしては、これだけひどい原稿を、いくら緊急時だからといってそのまま露出する神経は理解できません。
例えば「原子炉から出る有害な放射性物質の半減期は、ヨウ素が8日、バリウムとストロンチュームがともに30日、そしてプルトニウム141が14年です」などという記述がありますが(平成23年3月20日20時 執筆とある。これを書いている22日10時21分時点で訂正なし)、プルトニウム141というものは聞いたことがありません。プルトニウム241という同位体はあり、半減期は14.4年です(ちなみに使用済み核燃料の再処理で得られるプルトニウム239の半減期は約2万4000年で、人間にとっては永久にアルファ線を出し続けているのと同じ)。
しかし、グーグルで「プルトニウム141」と検索すると、多数のページがヒットします。そのどれもが、武田邦彦氏のブログの誤記をそのままコピーしたもののようです。「専門家」と名乗っているのですから、こうしたミスには細心の注意を払っていただきたいものですが、彼の場合、単純な誤記があまりに多く、そのことをいっこうに気にしていないところが困るのです。
私の原稿も誤字はありますが、都度、見つければ直す努力は惜しんでいません。

彼に対していちばんがっかりしたのは、今回のことではなく、以前、リサイクル問題のことを書いた原稿の中に恣意的なデータ捏造があったことです。こういうことを1度でもすると、それだけで他の部分まで信用がおけなくなり、全体としての論旨も嘘ではないかということになってしまいます。これは、真面目にリサイクル「神話」の問題点を指摘してきた他の人たちにとっても大変な迷惑です。

今回のことでも、時間を追うごとに内容が粗くなり、恣意的に誇張した数字を出してくるようになっていることに、またか、という思いを抱いています。

ただ、この人の言っていることの中には、重要な主張も含まれています。
例えば、

1)内部被曝と外部被曝を区別していない報道はおかしい
2)1時間あたりの放射線量数値と累積被曝の数値を比べるのはおかしい

これはその通りでしょう。
例えば、「50mSv被ぱくによる小児(O~15才)の白血病リスクはゼロだ」という主張をしている人がいます。
これが正しいのかどうか、私には分かりません。ただ、仮に正しいとしても、ここに出てくる50ミリシーベルトは累積被曝であって、今テレビで報道されている各地の線量(1時間あたり)計測値と比較することはできません。
1マイクロシーベルト/時は、単純に1年間浴び続けたことにすれば365×24=8760マイクロシーベルト=8.76ミリシーベルトです。
実際にはその間、わずかに損傷を受けたDNAがあったとしても自然に修復を繰り返しながら1年間が経過するわけで、1時間に一気に8.76ミリシーベルトを浴びたときの危険性とは比較にならないくらい低くなるでしょう。
ちなみに50ミリシーベルトを8.76で割ると5.7ですから、毎時1マイクロシーベルトを5.7年浴び続けると累積被曝50ミリシーベルトになります。
すでに私も書いたように、福島第1原発から30km北西では、事故後ずっと150マイクロシーベルト前後が記録されていて、21日になっても100マイクロシーベルトを下回りません。100マイクロシーベルト/時は、年間87万6000マイクロシーベルト=876ミリシーベルトです。10年なら8760ミリシーベルト=8.76シーベルトです。このくらいの数値になると、もはや安全だと言いきる人はほとんどいないでしょう。
さらに問題なのは、外部からの被曝はそこから遠ざかれば終わりですが、放射性物質を体内に入れてしまった場合の内部被曝はずっと続くということです。
ヨウ素は半減期が短く、8日ですので、16日後に1/4、24日後に1/8、32日後に1/16……と減っていきます。セシウムはかなり長く放射能を持ちますが、尿などに混じって体外に出るものもあります。でも、いいことばかりを出して「全然心配ない」というのも片寄った報道でしょう。

何度も書きましたが、私たちは正確なデータと判断の材料を求めているのです。そこから先は、自分のケースにあてはめて判断するしかありません。
東京は安全だという論調は、首都圏での買い占め騒動を抑える目的でなされていると思いますが、原発周辺に住んでいる人間にとっては少し頭に来る言い方です。
首都圏のために福島で電気を作ってきたのに、いざ福島に放射能がばらまかれると、「福島は別として東京は安全だ」と繰り返す。それはないだろう、と。

武田邦彦氏の初期の役割は終わり、そろそろ危ない面のほうが大きくなってきた感じなので、今日の更新分からは、彼のブログへのリンクは外しておこうと思います。
ただ、今は誰がインチキだとか罵倒しあっている時ではないでしょう。
彼に限らず、立派な仕事をしてきた学者のみなさんの多くが、テレビに出てくると妙に嬉々とした話し方で、ランナーズハイじゃないですが、今回のことで妙に舞い上がっている印象を受けます。きっと、学者というのはそういう面を多かれ少なかれみな持っているのだと思います。
昨日も書いたように、いちいち腹を立てたり揚げ足取りをしたりするより、錯綜する情報や主張の中から、有用なものだけをうまく取りだしていくことが大切です。

ガイガーカウンター到着2011/03/20 15:18

昨日(19日)昼頃、発注してあったガイガーカウンター(RADEX RD1706)が届いた。
イギリスのショップから取り寄せたのだが、そのショップも、昨日見たら、すでにすべての携帯式ガイガーカウンターは売り切れていた。
ショップのJameさんからは「Thank you for your email. We are pleased that your order arrived fairly quickly and that you are safe and well.
Hope you manage to keep safe and well.」という短い励ましのメールが届いた。
売り切れ!

RD1706はそこそこ高性能なガイガーカウンターで、放射線量の測定可能範囲は0.05~999マイクロシーベルト。
つまり、1ミリシーベルトまでを計れる。詳細には、
ガンマ線:0.1~1.25MeV(ミリオン-エレクトロン-ボルト=イオン・素粒子などのエネルギーの単位を表す)
X線:0.1~1.25MeV
ベータ線:0.25~3.5MeV

リアルタイムにマイクロシーベルト値でその場の放射線量を表示し、設定値以上になると警告音やバイブレーションで警告を発する。また「バックグラウンドモード」というのがあり、最初にその場の環境標準値(5箇所で5回計って平均を出す)を測定し、バックグラウンドモードに切り替えると、その基準値をどれだけ上回ったかを示す。
一般向けのRD1503、RD1503+といったモデルより上級機で、測定線量が1桁高いところまで計れる(一般向けの1503シリーズは上限が99マイクロシーベルト)のとバックグラウンドモードが使えるのが特徴。
すでに30km離れていても150マイクロシーベルト以上を計測している場所もあるので、そういう場所では99マイクロシーベルトまででは振り切れてしまうのでこっちにしたのだ。

ロシア製。ボタンにマークも付いていない。でも、説明書を読んだら(ロシア製だが、説明書は英語)、想像していたよりはるかに簡単・明瞭な機械だったので安心した。
ツイッターで、ガイガーカウンターは初期設定や調整が難しく、素人には到底扱えるものではないなどと言っていた人もいたが、それは研究所にある本格的な測定器の話だろう。さっき見たテレビで、東工大の助教が同じものを持って「このスタジオでは○○で、まったく安全です」とやっていた。

これによれば、現在僕がいる川崎市麻生区では、0.15マイクロシーベルト前後である。
日本における大地からのγ線の時間当たりの空間線量率は、0.02~0.08μGy/h(1時間あたり)であり、ラドンを除く自然放射線による年当たりの線量当量率は、約1.1mSv/y(年間)だそうだ。1.1ミリシーベルト/年ということは、年間1100マイクロシーベルトだから、365×24で割ると0.12~0.13マイクロシーベルト。数値そのものはまったく問題になる数値ではない。かつて、もっと高いときはいくらでもあった。しかし、関東地方での最近の数値は0.0xマイクロシーベルトだから、原発事故の影響で高くなったことは間違いない。

このまま収束してくれると思っていたのに、最新のニュースによれば、3号炉(プルトニウムを含んだMOX燃料が炉内に入っている!)の炉心溶融が進んでいるらしく、格納容器に穴を開けて圧力を下げないと危ないらしい。これは危機的な状況だ。建屋はすでにボロボロで、格納容器は剥き出しなのだから、それに穴を開けるということは、高濃度放射能が風に乗ってばらまかれることを覚悟の上で、そうしないと爆発する状況まで来てしまっているのだ。
まったく、どこまで期待を裏切られ続けるのだろうか。

11日、津波でバックアップ電源がすべて流された段階で、とりあえず大型蓄電池を運び込むことはできなかったのか。そういう備えが数百キロ圏内にさえなかったということなのか。


★義援金にご協力を★取次業者、ROUTER.FM様のご厚意により、2011年3月16日から同4月15日までの1か月間、タヌパックを含める全レーベルの音楽配信における取次手数料全額が東北関東大震災への義援金として使われることになりました。音楽を聴いて心を落ち着けながら、些少でも寄附ができるということです。右のアルバム試聴プレイヤーのBUYでご希望の配信ショップ(iTunesストアやAmazonなど)からご購入できます。ご協力を!! 

箱を開けてみる。思っていたより小さいな


とりあえず測定したところ、0.12マイクロシーベルトだった


バックグラウンドモードを起動するために5箇所の平均値を計測する画面

取説には、1.20マイクロシーベルトを超えたらその場から離れて、しかるべき組織に連絡した上で適切な処置を受けよという注意が書かれている。
文科省の測定では、昨日の東京(新宿区)や神奈川(茅ヶ崎)の測定値は0.04マイクロシーベルト前後で、0.15レベルが宇都宮市、水戸市で0.17くらい。もしRD1706の計測値0.12が正しければ、昨日の宇都宮市や水戸市よりは少しマシな程度ということになる。
いずれにしても、この数値自体は全然問題にならないのだけれど、いつもの値でないことは確か。

テレビで嬉々として喋りまくる石川迪夫を見ていて、1988年に放送された『朝まで生テレビ』を思い出した。顔がすっかり変わってしまっていたが、あのとき、推進派の先頭でひとり調子っぱずれなことをまくし立てていたのが石川迪夫だった。当時の肩書きは「日本原子力研究所・動力試験炉部長」。
正確な記録を見たいと思ってアマゾンに古書を注文した後、あれ? これってうちにあったのでは……と思って、書棚を見たらしっかりあった。うっかりしてしまった。
読み直してみると、広瀬隆や槌田敦がいかにまともなことを言っていたか、そして石川迪夫がその適確な指摘を関係のない数字や余計な説明を得意げにまくし立て、それに対して??となった司会の田原総一朗がいちいちストップさせて話題を変え、推進派の論理破綻に逃げ道を与え続けていたかがよく分かる。
詳細は今度、落ち着いたときに。
今は3号炉の致命的崩壊⇒高濃度放射能の拡散がとにかく心配だ。
3号炉はプルトニウムを含んだMOX燃料である。
なぜ日本でも有数の老朽化原発である福島第一でプルサーマルを許可するのかと迫られながらも認めた佐藤雄平県知事、国、そして、まったく必要のない危険因子追加行為を強行した東電は正気の沙汰ではない。


もう読むことなどないと思っていたのに……


石川迪夫──あの人は今2011/03/19 14:04

■I先生への返信

I先生

ごぶさたしております。
私も家内も無事です。昨日までは、対応してもらえるメディアを相手に緊急原稿を書いたり、ネット上にバラバラに出ている風向きや放射線量の数字などのデータをまとめて、そのデータを元に、郡山の避難所に待避した村の友人たちに向けて、「大丈夫だから安心するように」と伝えたり、1日中あたふたしていましたが、今日はかなり静かな日になっています。
テレ朝では、石川迪夫(日本原子力技術協会前理事長、現最高顧問)を昨日、今日と出演させ、全国民の怒りを沸騰(いや、「臨界」か?)させていますが、これはとてもいいことです。
細かい理論が分からない庶民でも、こういう人物が原子力の最高権威者として長い間この国をミスリードしてきたということがよく分かるでしょうから。
嬉々として喋りまくる彼の姿や表情を見て、恐怖を感じない人は相当鈍感な人でしょう。

僕が「エントロピー」という言葉を初めて知り、地球全体が宇宙に向かって増大したエントロピーを吐き出している「環境エンジン」構造をしているということを学んだのは、四半世紀前に、テレ朝の『朝まで生テレビ』を見たのがきっかけでした。
そのときの出演者一覧です。


「朝まで生テレビ」 1988年7月29日放送

司会:田原総一朗、渡辺宜嗣、美里美寿々

<推進派> 
逢坂國一((財)省エネルギーセンター専務理事)
石川迪夫(日本原子力研究所・動力試験炉部長)★
加納時男(東京電力(株)原子力本部副本部長)
近藤達男(日本原子力研究所・燃料・材料工学部長)
竹内榮次(中部電力(株)原子力計画部長)
田中紀夫((財)日本エネルギー経済研究所研究理事)
沼宮内弼雄(日本原子力研究所・保健物理部長)
舛添要一(東京大学・教養学部政治学科助教授)
森雅英(関西電力(株)原子力本部副本部長)
渡辺昌介(元・動力炉・核燃料開発事業団環境資源部長)

<是々非々派> 
西部邁(評論家)
コリーヌ・ブレ(フランス「リベラシオン」特約記者)
山口令子(ニュースキャスター)
栗本慎一郎(明治大学法学部教授)

<反対派> 
石沢善成(青森県南津軽郡常盤村農協組合長)
大島渚(映画監督)
小原良子(大分県主婦。著書「原発いらん、命がだいじ」ほか)
小中陽太郎(作家、評論家)
槌田敦(理化学研究所研究員)
暉峻淑子(埼玉大学教授)
中島哲演(福井県明通寺福住職)
平井孝治(九州大学工学部助手)
広瀬隆(著書「東京に原発を!」ほか)
室田武(一橋大学経済学部教授)


このとき、僕は推進派の「じゃあ、代替エネルギーはどうするんだ?」という質問に対して、室田武や槌田敦が、「その言い方は不誠実だ」「石油に代わるエネルギー源などない」「代替エネルギーなどということを言う前に省エネを考えるべきだ」といったことを苦汁に満ちた顔で答えたのが腑に落ちず、その後、二人の著書『エネルギーとエントロピーの経済学』(室田武著、東洋経済新報社)と『資源物理学入門』(NHKブックス)を読んでみました。
そして、人生観がガラッと変わったのでした。
ああ、世界というのはこうなっていたのか……と。
そこからは、まったく新しい目で世の中が見通せるようになりました。あのとき、二人がなぜ苦汁に満ちた顔をして答えなければならなかったのかも、よく分かりました。

ちなみにこのとき、「原発で事故など起こりえないんです!」と主張した推進派グループの中にあって、もっとも押しの強い態度で喋りまくっていたのが、昨日、今日、世界中の人たちから戦慄の目で見つめられていることに気づいていない、石川迪夫です。
話し方が与える独特の違和感、昔どこかで聞いた覚えがあるような気がしたのですが、やはりそうでした。
この期に及んで、「原発をやめたら日本の経済は衰退する」「津波でバックアップ電源が流れたのだから、今度は地下に埋めるとか小高い山の上に置けばいい」などと笑顔で言っています。
これはいわゆる「学者バカ」というタイプともまったく違いますね。
テレビはしばらくこの人をいっぱい露出するとよろしい。それがいちばん、国民に対して分かりやすい「解説」の仕方でしょうから。

東京がとりあえず危険な状態になっていないからOKだという論調には辟易します。
それは確かなことでしょう。でも、「事故など起こりえないんです!」と大声で言っていた人たちは、とりあえず黙って福島原発方向に深く頭を下げなさい。
被曝しながら作業している人たち、本来必要のない避難を強いられた住民、取り残された動物たち、これから先長い間、放射能汚染を気にしながら、また、風評被害で産業が壊滅状態になり、資産価値も失ってしまった状態で暮らしていかなければならない住民たちのことを、一瞬でも考えているんですか?
被害の規模がどの程度かなどという分析を、あなたたちにしてほしくない。

理論上どんなに安全な施設を作り得たとしても、それを動かす業界のトップ、学界のトップ、監視役組織のトップが正常な人間でなければ、安全ではありません。
危険なのは原発そのものよりも人間だということが、今回のことで改めてよく分かりました。

M9.0の地震(というより、大規模な地下の地滑り)により、予想されていた東南海地震が目前に迫っているかもしれません。浜岡原発は今も運転しています。
中部電力は「高さ12mくらいの防波堤を作る」などと言っているようです。そんな金があるなら、さっさと浜岡を安全に廃炉に向かわせ、同時に、安定即戦力である天然ガスや石炭火力発電設備を充実させて大規模災害時のバックアップをしておくことが先決だということくらい、誰が考えてもあったりまえのことでしょうに。
浜岡が福島の二の舞になったら、東京のパニックは尋常ではありません。そのときは覚悟を決めましょう。


★義援金★取次業者、ROUTER.FM様のご厚意により、2011年3月16日から同4月15日までの1か月間、タヌパックを含める全レーベルの音楽配信における取次手数料全額が東北関東大震災への義援金として使われることになりました。音楽を聴いて心を落ち着けながら、些少でも寄附ができるということです。右のアルバム試聴プレイヤーのBUYでご希望の配信ショップ(iTunesストアやAmazonなど)からご購入できます。
(追記)
1989年10月28日の第二回放送時の出演者一覧も載せておきます。
私が強く印象に残っているのはこの第二回のほうです。
司会:田原総一朗、渡辺宜嗣、美里美寿々

<推進派> 石川迪夫(日本原子力研究所・動力試験炉部長)、板倉哲郎(日本原子力発電(株)取締役技術開発本部副本部長)、加納時男(東京電力(株)原子力本部副本部長)、住谷寛(日本原燃サービス(株)常務取締役)、鈴木雄太(日本原燃サービス(株)取締役調査部長、宅間正夫(東京電力(株)原子力業務部長)、橋本寿(青森県六ヶ所村原子燃料サイクル施設対策協議会会長)、堀紘一((株)ボストン・コンサルティング・グループ日本担当副社長)、舛添要一(東大助教授。国際政治学者)、大和愛司(動力炉・核燃料開発事業団東海事業所安全対策課長)、山本正男(動力炉・核燃料開発事業団環境資源部長)

<反対派> 石川好(作家。ジャーナリスト)、大島渚(映画監督)、生越忠(地質学者)、久保晴一(青森県核燃阻止農業者実行委員会委員長)、高木仁三郎(原子力資料情報室代表)、槌田敦(理化学研究所研究員)、暉峻淑子(埼玉大学教授)、西尾漠(原子力資料情報室会員)、野坂昭如(作家)、室田武(一橋大学経済学部教授)、山本コータロー(ミュージシャン。タレント)

医者には絶対書けない幸せな死に方
「医者には絶対書けない幸せな死に方」(講談社プラスα新書)
2018年1月18日発売  内容紹介は⇒こちら

以下のいずれからでもご購入できます(Click)
Amazonで買う   hontoで買う    7ネットで買う  bookfanで買う  LOHACOで買う  Yahoo!ショッピングで買う  楽天ブックスで買う


タヌパック書店
たくき よしみつのオリジナル出版物販売 「タヌパック書店」は⇒こちらから



『So Far Away たくき よしみつSONGBOOK1』

原発が爆発する前の2010年、阿武隈山中のスタジオにこもって制作した自選ベスト曲アルバム
「メロディの価値」を信じての選曲。20代のときの幻のデビュー曲から阿武隈時代に書いた曲まで、全13曲
iPhone、iPadのかたはiTunesストアから、アマゾンmoraでも試聴可能


iTunesで!    アマゾンで!   
   

『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』
『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』 (2012/04/20発売 岩波ジュニア新書)…… 3.11後1年を経て、経験したこと、新たに分かったこと、そして至った結論
今すぐご注文できます 
アマゾンコムで注文で買う

立ち読み版は⇒こちら
裸のフクシマ 『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(たくき よしみつ・著) (2011/10/15発売 講談社 単行本)…… ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。
今すぐご注文できます 
アマゾンコムで注文で買う

立ち読み版は⇒こちら

Amazon Prime会員なら無料で読めます↓