『マイルド・サバイバー』の60秒CM?2022/08/28 20:36

『マイルド・サバイバー』55ページ目
50年前のAKAIのラジオCMを改めて聴いてみて、ああ、こういう仕事をしてみたかったな、という思いがあるのだが、今はもうCM音楽そのものが絶滅危惧種になってしまっている。
このまま死んでいくのも悔しいので、いっそ架空のCM音楽でも作ってみようかな、なんて思った。
「あ、大林製薬」
という一言(女声)から始まるイベルメクチンのCMとか……。

でも、そこまでやるなら、その前に実際のCM作ってみたらどうか、ということで、こんなのを作ってみた↓

で、どうせならもう少しちゃんとした?やつを……ということで、もう1パターン作ってみた↓。


どうせだから、目次部分も再掲しておきますね。

序章 二度の震災被災で学んだこと

  • 揺れ続ける我が家を庭から見ていた
  • よく行くスーパーの隣で原発が爆発した
  • 生死を分ける「正常化バイアス」の怖さ
  • 「同調圧力」が招いた悲劇
 

第一章 間違った「常識」こそが日本を滅ぼすモンスター

  • 「リアル・サバイバル」時代がきた!
  • 日本はもはや「先進国」ではない
  • 思考硬直が命取りになる
  • ノイジー・マイノリティにはならない
  • 「家族保守主義」の落とし穴
  • 抗うよりも柔軟にのりきるという戦略
 

第二章 まずは今の自分の身を守れ

  • 「命あっての物種」
  • 原発爆発が東京湾岸の発電所で起きていたら
  • 危険度がいちばん高いのは高層マンションとゼロメートル地帯
  • 都会人は電動アシスト自転車を買え
  • 誰でもできるリアルサバイバル対策
  • 必需品は「予備」を買っておく
  • 「衣・食・住」ではなく「食・住・通」
  • 若い人たちは「生涯現役」の覚悟が必要
  • リタイアしてから考えるのでは遅い

第三章 都会を脱出せよ

  • 都会に食料が届かなくなる日
  • 東南海地震、富士山噴火、首都直下型地震は必ず起きる
  • 都市ガス、上下水道は災害に弱い
  • 医療・介護も大都市ほど崩壊しやすい
  • 二地域居住という「二股保険」のすすめ
  • キャリアを捨てられないという固定観念
  • 子どもがいるから都会を離れられないという思いこみ
  • 都会の「ミニマリスト」は生き残れない?
  • 一年間暮らせる預金があるなら仕事は後から考えてもよい

第四章 移住するなら北関東

  • 「ほどほど」の田舎がいちばん暮らしやすい
  • 年代別、タイプ別の移住先選び
  • 認知症老人の一人暮らし
  • 年金も預金もない老後の場合
  • 役場と地元のお店に行ってみよう
  • 北関東こそ魅力度ナンバー1
  • 「不人気」地域こそが狙い目
  • 土砂災害・水害の危険性のある土地は絶対ダメ
  • 迷惑施設建設地として狙われる可能性
  • クルマを使えない人は地方移住は無理か?
 

第五章 田舎物件の選び方

  • 今から家を建てようとするな
  • 農家の空き家物件は覚悟が必要
  • 田舎物件の価格は疑ってかかれ
  • リゾート空き家物件の注意点
  • 農村に隣接した新興住宅地は狙い目
  • 道路と玄関の位置関係
  • 設備面でのチェック
  • 建物はまず基礎と屋根を見る
  • 建物内部のチェックポイントと改装
 

第六章 田舎暮らしに必要な技術と道具

  • 高速光回線とWi-Fi環境
  • 田舎暮らしの「足」問題
  • 電動アシスト自転車で得られる幸せ
  • 最強の移動手段は中古自動車
  • 日本には軽自動車がある!
  • 不人気車を狙う
  • 燃費の差についての考え方
  • 田舎暮らしに必要な道具
 

終章 柔軟で持続性のある分散型地域経済を作るには

  • ナチュラリスト思考の移住者と地元民の対立
  • 「ほどほど農業(マイルド・アグリ)」のすすめ
  • 田舎におけるマイルド・サバイバーの立ち位置
  • 一人で始められる商売を考える
  • 「仕事ができる大人」が集まる地域社会に
  • Amazonでビールを買ってはいけない理由
  • 分散型地域社会を構築するためのデジタルサバイバル
  • マイルド・サバイバーになる
 

■おわりに ~ グレート・リセット vs マイルド・サバイバー



「マイルド・サバイバー」 (たくき よしみつ・著、MdN新書)

   
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「マイルド・サバイバー」という生き方2022/07/02 20:11

久しぶりに新書を出す。
一般的な本の出版進行としては相当短期間だったが、とてもていねいに書いた。気も使った。だから、心残りはない。
特にあとがきの部分……かな。このあとがきを書き残せただけでも十分に満足している。
書きながら、俺っていろんなこと経験してきたんだなあ……とも、改めて思った。

PR用のページを takuki.com と note に作ったのだけれど、同じものをここにものせておきます。
予約が増えるとAmazonの仕入れ数も増えるので、ぜひ!
<(_ _)>福助足袋。



「マイルド・サバイバー」 (たくき よしみつ・著、MdN新書)

   
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「マイルド・サバイバー」とは?


コロナパンデミック騒動が勃発した2020年以降の世界は、それまでの常識では考えられないような変貌を続けている。食料やエネルギー資源の供給が危機的状況に陥り、それに異常気象や天変地異も加わって、ゲームや比喩ではない、生きるか死ぬかのリアルなサバイバル時代に入った。
「グレート・リセット」の時代などともいわれるが、端的にいえば「今までの常識が通用しなくなり、多くの人は生き残れず脱落し、まったく新しい秩序の世界になる」ということだ。
戦後生まれの日本人は人生の中で飢餓や戦争の恐怖を経験していないので、食べるものがなくなって飢えるとか、都市が壊滅し、あってあたりまえだったインフラや住む場所さえも失うといった事態を想像できない。「不安な気持ちはあるけれど、どうしていいか分からないし、動けない」「今は厳しいけれど、このまま耐えていればそのうちなんとかなるだろう」と諦めてしまうが、その惰性と「正常化バイアス」こそが命取りだ。
大金持ちや天才ではない「普通の人」は、社会を変えるような力は持っていない。政治や社会体制に怒ったり、間違いを指摘したりしても、それで社会が急によい方向に向かうわけではない。
どんなにひどい社会になっても、従来の生活スタイルや価値観を見直して、合理的な方法を見つけ、自力で生き抜く術を構築していくしかない。
今の生活環境や生活のスタイルを変えることは自力でできる
悪化していく社会環境の中で、正気を保ち、幸福感を維持するためのささやかな方法論。ゆるく、賢く生き抜く「普通の人が普通に生きる」ためのサバイバル術

今まで自分の中で「常識」「絶対」だと思っていた尺度を根底から見直すことから始め、発想の転換と少しの工夫、そしてそれを柔軟かつ合理的に実行していく決断力を持った「マイルド・サバイバー」生き証人が提案する具体策の数々がここに。

内容

序章 二度の震災被災で学んだこと

  • 揺れ続ける我が家を庭から見ていた
  • よく行くスーパーの隣で原発が爆発した
  • 生死を分ける「正常化バイアス」の怖さ
  • 「同調圧力」が招いた悲劇
 

第一章 間違った「常識」こそが日本を滅ぼすモンスター

  • 「リアル・サバイバル」時代がきた!
  • 日本はもはや「先進国」ではない
  • 思考硬直が命取りになる
  • ノイジー・マイノリティにはならない
  • 「家族保守主義」の落とし穴
  • 抗うよりも柔軟にのりきるという戦略
 

第二章 まずは今の自分の身を守れ

  • 「命あっての物種」
  • 原発爆発が東京湾岸の発電所で起きていたら
  • 危険度がいちばん高いのは高層マンションとゼロメートル地帯
  • 都会人は電動アシスト自転車を買え
  • 誰でもできるリアルサバイバル対策
  • 必需品は「予備」を買っておく
  • 「衣・食・住」ではなく「食・住・通」
  • 若い人たちは「生涯現役」の覚悟が必要
  • リタイアしてから考えるのでは遅い

第三章 都会を脱出せよ

  • 都会に食料が届かなくなる日
  • 東南海地震、富士山噴火、首都直下型地震は必ず起きる
  • 都市ガス、上下水道は災害に弱い
  • 医療・介護も大都市ほど崩壊しやすい
  • 二地域居住という「二股保険」のすすめ
  • キャリアを捨てられないという固定観念
  • 子どもがいるから都会を離れられないという思いこみ
  • 都会の「ミニマリスト」は生き残れない?
  • 一年間暮らせる預金があるなら仕事は後から考えてもよい

第四章 移住するなら北関東

  • 「ほどほど」の田舎がいちばん暮らしやすい
  • 年代別、タイプ別の移住先選び
  • 認知症老人の一人暮らし
  • 年金も預金もない老後の場合
  • 役場と地元のお店に行ってみよう
  • 北関東こそ魅力度ナンバー1
  • 「不人気」地域こそが狙い目
  • 土砂災害・水害の危険性のある土地は絶対ダメ
  • 迷惑施設建設地として狙われる可能性
  • クルマを使えない人は地方移住は無理か?
 

第五章 田舎物件の選び方

  • 今から家を建てようとするな
  • 農家の空き家物件は覚悟が必要
  • 田舎物件の価格は疑ってかかれ
  • リゾート空き家物件の注意点
  • 農村に隣接した新興住宅地は狙い目
  • 道路と玄関の位置関係
  • 設備面でのチェック
  • 建物はまず基礎と屋根を見る
  • 建物内部のチェックポイントと改装
 

第六章 田舎暮らしに必要な技術と道具

  • 高速光回線とWi-Fi環境
  • 田舎暮らしの「足」問題
  • 電動アシスト自転車で得られる幸せ
  • 最強の移動手段は中古自動車
  • 日本には軽自動車がある!
  • 不人気車を狙う
  • 燃費の差についての考え方
  • 田舎暮らしに必要な道具
 

終章 柔軟で持続性のある分散型地域経済を作るには

  • ナチュラリスト思考の移住者と地元民の対立
  • 「ほどほど農業(マイルド・アグリ)」のすすめ
  • 田舎におけるマイルド・サバイバーの立ち位置
  • 一人で始められる商売を考える
  • 「仕事ができる大人」が集まる地域社会に
  • Amazonでビールを買ってはいけない理由
  • 分散型地域社会を構築するためのデジタルサバイバル
  • マイルド・サバイバーになる
 

■おわりに ~ グレート・リセット vs マイルド・サバイバー


  • 書名:マイルド・サバイバー
  • 発売:2022年8月8日
  • 著者:たくき よしみつ
  • 種別:新書 256ページ
  • 版元:エムディーエヌコーポレーション
  • ISBN 978-4-295-20410-7
  • 価格:1000円+税
  • 情報戦争、天変地異、食糧危機、エネルギー危機、経済崩壊……「リセット」世界で淘汰されるがままになってたまるか。金も地位もない「普通の人」が無理なくできる生き残り術を具体的に提案。「マイルド・サバイバー」という生き方とは?

用務員・杜用治さんのノート
カタカムナから量子論、宗教哲学、情報戦争まで、現代社会の謎と真相を楽しみながら考える、まったく新しいタイプの文章エンターテインメント  用務員・杜用治さんのノート』 Amazonで購入で買えます


           


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新シリーズ「幸せビンボー術」連載中!2021/02/09 19:13

コロナ禍とポンコツ政治のせいでヘトヘトの毎日。真面目に生きている人ほど貧乏にますます拍車がかかりそうです。
嘆いていても、怒っていても、事態はよくなりません。こんな状況下でも、自力で生き抜くしかない……。
ビンボーでも、巣ごもり生活でも、なんとか幸せを感じられる生き方のための「具体的な」技術や知識を、私なりにまとめていく幸せビンボー術」というシリーズを別館(https://takuki.com/happy/)で始めました
25回目までできましたので、目次をご紹介します。takuki.comのWEBサイト内とは別に、同じものを note にもマガジンとして公開しています。お使いの端末画面で読みやすいほうを選んでください。
以下、クリックするとtakuki.comの該当ページに飛べます。

ジャンル別目次 (各項目をClick!)

序章:幸福は「相対的な価値」

地方移住の勧め

自前の移動手段を考える

デジタル道具の選び方

私が愛用しているPCソフト

ビンボーでも楽しめる、ウィズコロナ時代の趣味




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中古住宅物件の選び方(3) 建物内部のチェックポイントと改装2021/01/19 21:40

繊維壁の上から板を張って大壁方式で改装中
建物の基礎や屋根工事は素人では手が出ない部分がありますが、内装関連についてはDIYでもかなりのことができてしまいます。
例外は水回りや配管で、これは素人工事では無理ですし、電気関連は資格も必要です。
そのことを頭に入れて、見た目の印象などよりも、どのように改装できるのかをチェックしていくことが大切です。

まずは水回りをチェック

 中古住宅のチェックでいちばん重要なのは水回りです。水回りが問題を起こすと、修理に高額な費用がかかるだけでなく、他の箇所にも大きなダメージを与えます。
 給水・排水共に、配管の大部分は目に見えない部分を通っていますので、かなり注意深く見ていかないといけません。
給水管の種類
 水が水道なのか井戸なのかといったことについての注意点はすでに説明しましたので、次は配管を点検します。
 まずは、給水管の種類を見ます。古い鉄管だと、内部がほぼ確実に錆びたり痩せたりしていますので、今はなんとかなっていても、すぐに漏水する可能性があります。
 寒冷地では凍結に強い、内部が樹脂でシールされている鉄管が使われていることが多いのですが、この種類の配管であればかなり安心できます。
 比較的新しい家では、塩ビ管など樹脂製の配管が多いです。塩ビ管は劣化がほとんどなく、凍結にも強いので、まともな塩ビ管をしっかり固定配管してあれば、これも安心できます。
 壁の裏や床下を走っている配管は見ることはできませんが、壁に湿気が出ていないか、台所やトイレ、浴室の壁や床に不自然な染みや水滴がついていないかをしっかりチェックします。

↑シンクや洗面台の下も覗き込んで、こうしたジョイント部分からの漏水がないかもチェック。
給湯設備
 給湯はボイラーで行うのが普通ですが、ガスなのか灯油なのかをまず確認します。どちらが優れているというわけではありませんが、ボイラーの製造年や性能・形式は確認します。あまりに古いものであれば、今は使えてもすぐに壊れる可能性があります。
 ボイラーは新しいものほど燃費などの性能がよくなっていますので、古いものは最初から交換したほうがいいかもしれません。そうした費用も計算に入れながら見ていきます。
 台所の内部に設置する小さな給湯器は、昔の家ではあたりまえにありましたが、今は新築の際に設置することはまずないでしょう。そのタイプの給湯であれば、給湯システム全体を付け替えるくらいのことを考えたほうがいいかもしれません。
 もちろん、昔ながらに、囲炉裏で土瓶にお湯を沸かす生活がいいのだ、というスタイルを否定するものではありません。
↑屋外設置のガスボイラー(給湯器)の製造年をチェック。これは2008年製。製品の形式番号をネットで検索すれば、製造時期や性能も詳しく分かる。寿命は大体10~15年。
浴室
 現状のまま使えるのかどうか。改装するならどこまでやるのか、といったことを考えながらチェックします。
 古い浴室で、風呂釜が室内にあったりするような面倒な構造であれば、いっそ浴室内を空っぽにして、ただの浴槽だけの製品を入れて、ボイラーからの給湯とシャワーだけにするという改装がいいかもしれません。コストがかからず、きれいに仕上げられます。

↑浴室に、単独の洋風浴槽(舟型で給湯管接続しない、ただの湯舟タイプ。受注生産品で約10万円だった)を持ち込んでみる。このまま置いてもいいが、埋め込むことも可能。



舟型の洋風浴槽をセメントで埋め込んでいるところ。



タイルで仕上げた。配管は浴槽に直結しておらず、上から入れる方式。沸かし直しなどしない生活ならこれで問題ない。
トイレ
 よほど古い農家物件などでない限り、今はもうポットン便所(くみ取り式)はないでしょうが、もしそういう物件であれば、迷わず、水洗化しましょう。
 浄化槽を設置することになりますが、山奥の一軒家で広い敷地があるなら、土壌浄化方式というのも可能です。これはDIYでもできます。

 水洗トイレでも、和式を洋式に変更するといったことはそれほど難しくありません。これは業者に任せましょう。便器は高いですが……。
 洋式便器がついているトイレに洗浄便座を追加するのは簡単です。価格も2万円くらいでありますし、DIYですぐにつけられます。ただし、トイレ内にコンセントがないと、そこまで電源を引っ張ってこないといけませんので、面倒です。コンセントの有無を確認しましょう。
 トイレの内装はDIYで十分できます。壁紙を貼り替える、板を貼るなどで、まったく雰囲気が変わります。

↑越後時代のリフォーム。和式のポットントイレを洋式に変更し、室内の壁を板張りに。板張りはDIYでやった。
 壁紙の張り替えはDIYでもできますし、コストも壁紙代だけですので大したことはありません。しかし、皺がよりやすいので、素人が失敗して何度もやり直して壁紙を無駄にするよりは、プロに依頼したほうがいいでしょう。内装屋さんに依頼しても、大工仕事は入らないのでそんなに高くはなりませんし、時間も短時間で終わります。
 面倒なのは古いタイプの繊維壁(表面がザラザラしていてボロボロ削れるタイプの壁)で、上に直接壁紙を貼れないため、下地工作が必要になります。壁が改装しやすいかどうかも確認しましょう。
 繊維壁や塗り壁の場合、いっそ板を柱の上から張って柱を見えなくさせる「大壁(おおかべ)」方式もお勧めです。これもDIYで十分にできます。趣味だと思えば楽しい作業です。
↑このタイプの繊維壁は、上から直接壁紙を貼れないが……、
柱の上から板を被せていく「大壁」方式の改装でガラリと印象を変えられる。


床(和室を洋室に)
 古い和室の畳を出してしまい、床を張って、壁も板張りにしてウッディな洋室に……といったことも、その気になればDIYでできます。自分でやれば材料費だけで済みますので、大工さんに頼むのとは桁違いに安くできます。
 ていねいにやる自信と根性がある場合は、下地板の上に根太(ねだ)を這わせて、間に断熱材を入れるといったこともできます。
 しかし、壁張りに比べると難易度はぐっと上がるので、初心者はプロに任せたほうがいいでしょう。「壁は自分でやるから、床だけお願い」という依頼の仕方もあります。大工作業は材料費よりも手間賃がバカにならないので、DIYと組み合わせることでコストがかなり変わってきます。
↑かつては(かいこ)部屋になっていた畳敷きの屋根裏部屋の畳を撤去して板張りに。洋風のロフト寝室になった。この程度はDIYでもできる。

照明
 田舎は夜になると周囲がまっ暗になります。室外灯が壊れていたり、なかったりする場合、1000円くらいから売られている中国製のソーラーライトがお勧めです。
 どのタイプも性能がよくて、いちいち配線をしなくていいのでお手軽。こんなのが役に立つのか?と思うかもしれませんが、明るさも十分ですし、5年くらいは問題なく使えます。安いので、壊れてもまた替えればいいだけです。

↑このタイプのソーラーライトは超お勧め。

↑配線いらずなのでどこにでも簡単に設置できる。

↑光量も十分で、電池交換の必要もない。安いので壊れたり劣化したりしたときは買い換えればいい。5年くらいは平気で初期性能を維持する。

 屋内の照明は好みで付け替えればいいのですが、古い家ですと照明用の電源ブラケットの規格が違っていたりして、ちょっと面倒なことがあります。

 照明に限りませんが、住宅の屋内設備の規格などは、概ね平成10(1998)年あたりで大きく変化(進化)しています。それ以降の建築であれば、概ね現代の規格と同じですが、それ以前の建築ですと、かなり贅沢な仕様の住宅でも、細かなところで「あれ? 規格が合わないな」とか「知っているのと違う」といったことが出てきます。
 中には、トイレの水洗タンクのように、昔ながらの方式(空気の入ったポリエチレンの浮き球で水の出口や給水バルブの開閉を行う完全機械式)のほうが、電気を使っている最新型(停電すると水が流せない)よりも非常時に強く、修理も楽、といったものもあります。なんでもかんでも電気に頼る都市型の生活は、災害時にはダメージが大きいことも覚えておきましょう。

↑階段上の照明が妙に和風なものがついていたので……、

↑洋風のものに交換した。



↑和室についていた照明がダサかったので……、
↑階段上についていた照明と取り替えた。

塗装
 塗装業者がよくセールスに回ってきますが、そういう業者に依頼することはお勧めしません。セールス要員は素人で、そうした素人セールス要員を雇わないとやっていけない業者にはぼったくりが多いのです。高いだけでなく、派遣されてくる作業員が素人もどきでろくな仕事をしないこともあります。
 よほど特殊な作業でなければ、塗装くらいはDIYでやってみましょう。

 バルコニーや玄関ステップなどの防水、撥水が必要な部分は、すべり止め入りの防水塗料を使います。これは若干価格が高めですが、接着性がよく、雨に濡れても滑らないので安全面でもお勧めです。
 錆びてボロボロになった鉄柵や鉄階段などは、デボマリンという特殊な塗料(接着剤に近い?)を使うと、見栄えはともかく、驚くほどの強度回復が望めます。
 これは鉄橋などの補修に使うもので、プロの塗装屋さんでも知っている人は少ないと思います。一部の塗料専門店でしか入手できませんが、売っている店に頼めば通販もしてくれるでしょう。
 デボマリンは粘土状で扱いが面倒。価格も高く、一般の塗装には向いていません。錆がすでに出ている鉄部の塗装には、ビルドという湿気に強い塗料が向いています。ビルドは柔らかくて、塗装後なかなか乾かないので扱いづらく、価格も普通の塗料より高いので、普通の塗装屋さんは使いたがりません。
 塗装に関しては、腕(塗る技術)よりも、ていねいさと、使う塗料の種類(性能)によって、その後の持ちが大きく違ってきます。時間をかけてていねいに(東北の言葉でいえば「までいに」)作業をする覚悟があれば、プロに頼むよりもDIYのほうがよい結果になることがあります。
 塗料については、塗料専門店に相談すると、いろいろ教えてもらえます。塗装屋さんと塗料専門店は、儲ける部分がまったく違う職種なので、塗装屋さんに訊いてもダメです。塗装屋さんは利益が出やすいように安い塗料を使いたがりますし、自分の職種を奪われてしまうようなDIYの秘訣は教えたがりません。しかし、塗料専門店としては、価格に関係なく性能のよい塗料を売ったほうが気持ちがよいので、本当のことを教えてくれます。
↑上がデボマリン、下がビルド



↑↓このくらいボロボロになった鉄の階段も……、



デボマリンを塗って穴を塞ぎ……、


上からビルドを塗っておけば、当分は大丈夫。


 その他、DIYによる補修、改修はいろいろ経験してきましたが、要するに、建物の基本構造部分がしっかりしていれば、内装や諸設備は工夫次第で、ある程度どうにでもなるということです。
 DIY補修を楽しむくらいの余裕と気力がないと、田舎暮らしは続きません。
 逆に言えば、そうした体力や元気がない年齢になってからの移住であれば、山奥の一軒家などは難しいので、適度にスカスカした住宅地のそこそこ新しい建築の物件を選んだほうがいいでしょう。十分にきれいな物件でも、地域によっては、都市部では考えられないような値段で売りに出されています。

 また、プロに発注する場合、手数料を取られても、良心的な建築設計士に依頼したほうが安心です。建築士はいい加減なことをすれば仕事が続けられなくなるので、施主の立場に立って責任ある仕事をします。最新の材料情報や工法についても勉強しているので、古いタイプの職人さんよりも合理的な方法を提示してくれるかもしれません。また、施工後に問題が出た場合、責任をとらなければならないので、職人さんとの間に立って問題を解決する努力をします。
 建築士は多方面にわたって職人さんを知っていますし、いい加減な仕事をする職人さんは建築士としても仕事を任せられないので淘汰されていきます。建築士が依頼する職人さんは、素人が直で依頼する場合よりも安心できます。
 結果として、1割の手数料を支払ってでも、ちゃんとした建築士を介したほうが安心で、安上がりになることが多いのです。

 移転先で信頼できる建築士に出会えれば幸いです。良心的な建築士かどうかは、少し話をすれば分かります。自分の仕事に誇りを持っている人は、話し方や話の内容で、熱意や責任感が伝わってくるものです。

 このままコロナ禍が続いたり、首都圏が直下型地震に襲われたりすると、地方物件が高騰することも考えられます。身体が動き、金銭的にもギリギリまで追い込まれていないうちに、生活を変える決断を下す勇気と柔軟さが必要かもしれません。


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中古住宅物件の選び方(2) 建物のチェックポイントとリフォーム2021/01/18 11:36

地方移住のススメ(6)

中古住宅を見に行った際、素人は外見の立派さ、きれいさ、新しさなどに気を取られがちですが、しっかりチェックすべきポイントを見落とすと大失敗します。今回は、見逃してはいけないポイントと、欠陥や弱点をどうカバーできるかについて、経験をもとにまとめてみます。

まずは基礎と屋根を見る

 中古住宅を見る際にいちばん見落としがちなのは基礎と屋根です。どちらも位置的に目に入りにくいから見逃すのですが、外壁や内装よりも重要なポイントです。
基礎
 基礎とは建物を支えている下の部分です。外からは、ごく一部しか見えませんので、中古住宅を購入したことがない人の中には、まったく見ないまま家の中に入ってしまう人もいますが、とんでもないことです。
 基礎はやり直しが効きません。
 すでに上に建物が乗っかっているわけですから、建物をどかさなければ根本的な作り直しなどできません。それだけに重要なチェックポイントなのです。基礎に欠陥がある場合は、一見新しくきれいな建物に見えても、すぐにあちこちに狂いが生じたり、壁にひびが入ってきたり、建物全体が傾いてきたりします。
 明らかに目立つ亀裂が複数箇所入っている場合は、地盤沈下や基礎部分の不完全施行など、致命的な原因があると疑ってみるべきでしょう。

 基礎は大きく分けて布基礎ベタ基礎に分けられます。
 
布基礎:建物の外周部や主要な間仕切り壁の骨組(軸組)の下、トイレや浴室の下だけに設置する。建物を「線」で支えている。
隙間部分は土が露出したままの場合と、コンクリートを薄く流し込む場合があり、後者は見ただけではベタ基礎と区別するのが難しい。


ベタ基礎:基礎の立ち上がりだけでなく、建物の床下全面が鉄筋入りのコンクリートになっている。家の荷重を全体の「面」で支えている。

 地震に対しては、面で支えているベタ基礎のほうが強いことは素人でも理解できます。
 大地震に襲われたときのベタ基礎と布基礎の違いを、私は2004年の中越地震で嫌というほど知らされました。
 集落には昭和時代の古い家と、最近建て替えたばかりの新しい家が混在していましたが、古い家が軒並み全壊したのに対して、新しく建てたベタ基礎の家は被害が少なく、ほとんど壊れることがなかったのです。
 私の家は布基礎ですらなく、主要な柱部分の下に石やコンクリートを入れただけ(線ですらなく、「点」で支えている)基礎だったので、ひとたまりもありませんでした。
 この苦い経験から、川内村に引っ越した後に建てた6坪のスタジオ兼ゲストハウスでは、予算がない中で、設計士には「何はなくとも基礎はベタ基礎で」と要求し、実現させました。
 基礎工事をした基礎屋の親方は「こんな小さな建物でベタ基礎なんて聞いたことない」と半ば呆れていましたが、おかげでその後の東日本大震災でもびくともしなかったのです。
川内村で人生最初で最後の「新築」体験。6坪の小さな建物でも、基礎はベタ基礎にした。


床下全面に鉄筋を入れている。この鉄筋の間隔が狭いほど強度が上がる。この基礎は「役所仕様」で、鉄筋の間隔が狭い。


上からコンクリートを流し込むと、鉄筋は隠れて見えなくなるため、鉄筋を入れていない「なんちゃってベタ基礎」との区別がつかない。

 かつてはベタ基礎と布基礎ではコストがかなり違ったので、布基礎の家が多かったのですが、現在は工法も合理化されてコスト面での差があまりなくなったため、多くの家がベタ基礎になっています。
 古い建物で基礎がベタ基礎になっている場合は、建て主がそれだけ気合いを入れて建てた証拠といえるかもしれません。

 ただ、布基礎でも、隙間部分に後からコンクリートを薄く被せてしまえば、見た目はベタ基礎と同じになるため、見分けるのは困難です。
「なんちゃってベタ基礎」(左)と本物のベタ基礎(右)
布基礎の隙間にコンクリートを薄く敷いただけの「なんちゃってベタ基礎」(↑左)は、ベタ基礎ではない。布基礎に化粧をしただけ。ベタ基礎と呼べるのは底面全面に鉄筋を入れている場合だけ。

 通風口の狭い隙間から懐中電灯で照らして覗きこんだくらいでは、ベタ基礎と「なんちゃってベタ基礎(=化粧布基礎)」との区別はつきません。
通風口に虫除け、ネズミ除けの網が張ってあるのはちゃんとしている証拠だが、おかげで中がよく見えず、基礎の種類が分かりづらい。土台や土台周辺の外壁にひびが入っていないかどうかもチェックしたい。

 しかし、ベタ基礎の家には、たいてい家の中のどこか(多くは台所や洗面所の床あたり)に床下点検口があり、そこから床下に入れたりしますので、徹底的にチェックするには、床下点検口を捜しだして床下に潜ってみるといいでしょう。
 仲介不動産屋に訊いても、そこまでは分かっていないことが多いですが、建物の設計図面が残っている場合は確認できます。

 ただし、布基礎でも、地下にしっかりとした土台を作った上で布基礎にしてある場合は、ベタ基礎同様の安定度を得られるでしょうし、二階建てと平屋では、基礎にかかる負荷が違います。  斜面に建つ家や敷地に段差がある場合はベタ基礎が不可能ですから、円柱などの基礎柱や基礎ブロックを使うしかありません。この場合、土に埋まっている部分がどのくらい深いのか、その下にしっかり土台を築いているかが問題ですが、掘ってみるわけにもいかないので、なかなかそこまでは確認できません。

このような円柱や角柱の基礎は、斜面に建つ家や倉庫などの簡易的建物でよく見る。この下がどのくらいしっかり固められているかが問題。

 また、ベタ基礎であっても、基礎面が周囲の地面より低くなっているような建物では、流入した水が溜まってしまい、建物に湿気が入り込んで床下が腐ったりシロアリにやられたりすることになるので、その点もチェックしてください。
 ベタ基礎の場合は、水分が地下に浸透していかない分、湿気を抜く対策が重要です。
 最近の建築では、基礎の外側に通風口を開けず、建物との間全体に、外からは見えないような隙間を開けて湿気を逃す構造のものもあります。
屋根
 基礎同様に目が届きにくいのが屋根です。
 上から見ることができないので、欠陥があってもなかなか気づきません。
 しかし、屋根の材質や苔や錆のつき具合くらいは分かるはずなので、しっかり見てください。

 屋根材は、大きく分けて次のようなものがあります。
  1. 粘土系瓦……古来からある一般的な焼き物の瓦。釉薬をかけたものと素焼きのものがある。遮音性、耐熱性、耐久性に優れるが、重い。
  2. セメント・コンクリート系瓦……セメント・水・砂を主原料とした瓦。重いわりに粘土瓦より耐久性が劣るなど欠点が多いため、現在、新築ではまず使われない。
  3. スレート瓦(コロニアル、カラーベスト)……薄くて軽く、着色も楽なので一時期大流行したが、耐久性がないので、今ではあまり使われない。
  4. 金属系……昔は「トタン屋根」などと呼ばれる亜鉛メッキ鋼板がよく使われていたが、今はほとんどない。代わりにアルミニウムが55%程度含まれるガルバリウム鋼板がどんどん進化してきて主流になった。現在はガルバリウム鋼板の表面に細かな石粒を吹き付けたジンカリウム鋼板と呼ばれるものも登場し、お洒落な瓦風屋根も登場している。
 このうち、中古住宅の屋根として点数が低いのは、2のセメント・コンクリート瓦と3のスレート瓦です。
 まず、コンクリート瓦は傷んできた場合の吹き替えが面倒です。上から塗料を塗ってもすぐにボロボロと剥げていきますし、費用が無駄になるため、全部剥がして別の屋根材でやり直ししなければならず、かなりのコストがかかります。
 地震などにも弱く、重さがあるために建物への負荷が高く、落下してきたときの危険性も無視できません。遠目には普通の瓦と区別がつきにくいので、よく確かめましょう。

 スレート(コロニアル)も避けたい材質です。一時期大流行したため、都会風のお洒落な建物にも使われていたりします。別荘地物件にも非常に多いのですが、耐久性がなく、バブル期に建てられたお洒落な別荘などでは、屋根が苔だらけでボロボロになっているのをよく見かけます。
 そもそもこの素材は、商店の庇屋根などに使うために開発されたもので、外国では一般住宅の屋根に使っている例はまずありません。
苔が付き風化が進んだスレート瓦の屋根。これ以上傷みが進むと撤去して吹き替えるしかない。



この手のお洒落な瓦も、10年に1度くらい塗装が必要になることがある。

 1の一般的な瓦屋根は、瓦の材質は変わらなくても、施工した職人の技術が劣っていると、地震や暴風のときに瓦が落ちたり飛ばされたりします。
 あまり知られていないことですが、この「施工技術の差」は大変なもので、隣り合っている家の同じような瓦屋根が、災害に遭ったとき、片や無残に飛ばされ、片やまったく無傷のままだったということもよくあります。
 また、瓦の材質も、セラミック系の軽い素材のものも出てきて、見た目だけでは分からない性能差があります。
中越地震と大雪でペシャンコになった我が家。皮肉なことに、吹き替えたセラミック瓦の屋根は、瓦1枚剥がれることなく、きれいなまま落下していた。

屋根のリフォーム
 スレート屋根や古い金属系の屋根(トタン屋根など)は、傷みが進んで屋根裏に水が漏れる前に張り替えなければなりません。屋根から水が入り込んでいても、屋根裏で止まっている場合は気づくのが遅れ、壁や配線関連などにまでダメージが進んでからようやく気づくことになります。そのときはもう手遅れで、修繕費が桁違いにかかってきますので、「まだ大丈夫かな」という甘さは大敵です。
 スレートや古い金属系の屋根の場合は、上から最新のガルバリウム系鋼板を被せる方法(重ね葺き・カバー工法)がオススメです。今までの屋根がそっくり下に残るため、断熱や遮音の点で有利ですし、古い屋根の撤去費用(これがかなりな金額になる)もかかりません。
 屋根だけはケチってはいけません。重ね葺きで改修する場合も、鋼板の裏には防音ウレタンを張ったものを選び、古い屋根との間にはゴムアスの厚い防水シート(ルーフィング)を貼ります。
 ガルバリウム系鋼板の性能はこの10年くらいで驚くほど向上しています。昔の製品のように錆が出ることもなく、一度張ればほぼ一生心配はいらないでしょう。

裏に防音材(ウレタン)を張ったガルバリウム鋼板の屋根材。

古い屋根の上にゴムアスファルト系の防湿シートを貼る。接着剤のついているものは高価だが、隙間をピッタリ塞いでくれるので、防音効果もある。

二階建て以上の建物は足場を組む必要があるため、平屋より工事費が高くつく。屋根の勾配も問題で、きつい勾配の屋根は格好はいいが、修理や吹き替えのときは大変苦労するので、コストもかかる。



 このように、屋根が傷んでいる場合は後からかなり大がかりな工事が必要になるため、購入時にはしっかりチェックする必要があります。傷みが進んだ屋根の物件でも、他の長所を考えると「買い」だと思ったら、屋根のリフォーム代を最初から購入費に算入して考えましょう。
外壁
 外見でいちばん目につきやすく、建物の印象を支配するのが外壁です。
 しかし、それだからこそ、見た目の印象に左右されず、実質的な判断をするための基礎知識が必要です。

 中古物件の外壁には次のようなものがあります。
  1. モルタル系(湿式吹き付け塗装。吹付けタイル、リシン、スタッコ)
  2. サイディング(窯業系、金属系、樹脂系、木質系)
  3. 板張り
  4. ALC(軽量コンクリート)

 古いローコスト建築ではリシン吹きつけに代表されるモルタル系の外壁が中心でした。下地建材の上に骨材(細かい石や砂の粒)を混ぜた塗装材をスプレーガンで吹き付けていくもので、工事も簡単、コストもかからないということで、広く使われていました。仕上げ材の種類や吹きつけ方によって、吹付けタイル、リシン、スタッコなどの種類があります。
 この工法の外壁はひび割れが生じやすいという欠点があります。塗装を定期的に施さないと、はがれや塗膜の膨張などが生じかねません。
 特に、凹凸が多いスタッコ仕上げの壁は、細かい表面のリシンや吹きつけタイルに比べると凸凹に汚れが入り込んだり、空気が入って膨らんだりしやすいので、再塗装の際に手間や塗料代が何倍もかかったりします。新築時の見た目がリシンなどより豪華なので、一時期流行りましたが、今ではスタッコ仕上げを勧める業者はいないと思います。
 リシンや吹きつけタイルの壁は、その気になれば素人でも塗り替えやある程度のメンテナンスはできます。ただし、二階建て以上では足場を組んだりしなければならないので、素人では難しいし、危険でしょう。

 サイディングは現在最も多く使われている外壁です。中でも多いのは窯業系で、新築一戸建ての70%以上が窯業系サイディングだそうです。
 セメント系の素材に繊維を混ぜた薄い板を張り合わせていくもので、外見は石、タイル、木の板、煉瓦など、どんな柄にも似せられます。
一見すると煉瓦貼りに見えるが、煉瓦風のサイディング。↓
 
 重厚感はないですが、とにかく手軽にきれいな仕上がりになるし、防火性能や耐震性にも優れているので、コストパフォーマンスのよい外壁ではあります。
 この外壁の弱点は板と板の合わせ目で、シーラント剤が劣化して、そこから雨水が染み込むことがあります。
 しかし、これは素人でも補修は可能です。市販のシリコンシーラントを埋め込むだけで、当面は防水面での心配はなくなります。
 プロは、乾燥した後に上からの塗装も可能な変成シリコンシーラントのコーキング剤を使うのですが、今までの経験では、防水性だけなら、一般の安いシリコンシーラントのほうがむしろ劣化しにくいようにも感じています。透明なものがいちばん使いやすいのでお勧めです。はみ出しても目立ちません。
 透明のシリコンシーラントはパイプの割れ目を塞ぐ補修剤代わり、石やセメントブロックに冬季や金属の小物などを貼り付けるときの接着剤代わりにもなる便利なものなので、我が家では常備しています。
 



サイディングのつなぎ目のコーキングが劣化していくと、そこから水が染み込む恐れが出る。

透明なシリコンシーラントを塗り込んで補修。透明なので目立たず、劣化も少ない。

これは建築時に大工さんが釘を打ち損ねたのだろう。こういう傷もシーラントで補修しておくとよい。

 古いサイディングは、表面が劣化して粉を吹いたような状態になります。これは、できれば早いうちに、表面に透明なコーティング剤を上塗りすると、耐久性が上がります。その際、汚れや、粉吹き成分をしっかり水洗いして落としてから塗ることが大切です。
 これも、平屋なら素人にもできます。
↑二液性のUVプロテクトクリヤーというコーティング剤がお勧め。塗る前に2液を混ぜ合わせ、薄めるのはシンナーで。


↑UVプロテクトクリヤーを塗った後の外壁。見違えるように雨水を弾くようになった。5年以上経った今でも撥水性能はほとんど変わらない。




 純粋な木の板張りの家というのは、古い農家物件などの他は、あまり見なくなりました。地域によっては防火上、新築では許可されていないこともあります。
 古い家で、板がすでに落ち着いている場合などはいいのですが、塗装が傷んだり、色が変わってきたり、劣化・風化でどんどん薄くなってきたりといったことがありますので、メンテナンスはある程度覚悟しなければなりません。
 傷みが激しい場合は、いっそその上から新しい板を貼り重ねるとか、下地板を貼った上でサイディングにするといった改装もありえます。

 ALCを使った中古住宅はかなり新しい建築でしょう。火災保険料なども安くて済みますし、特に問題はないので、こういう物件があれば、ポイントが高いと思います。
 木造住宅でも、外壁は耐火性の高い軽量コンクリート系の板を使っているものもあります。風合いはないので、古民家趣味の人などは好まないかもしれませんが、性能的には板張りや吹きつけ塗装などより優れています。

 特殊な物件として、ログハウスというのもあります。
 ログハウスはカッコいいのですが、建てるときのコストがかなりかかります。
 安い土地にログハウスキットを購入して自分で建てられないかと考える人がいますが、簡単ではありません。
 安いキットは部材が薄いので、仕上がりもチープですし、本格的なログであっても、建てて1年後には必ず狂いが出るので(ログハウスの宿命)、調整・修正が必要です。これは素人には難しいでしょう。
 ログハウスは落ち着いてしまえば、頑強で地震にもびくともしないという長所がありますが、後から細かく改装したり増築したりするのはほぼ無理ですし、電気などの配線が難しい(剥き出し配線になる)という不便さもあります。ログとログの間に隙間が空いてしまったときの補修なども、かなり専門的な技術が必要です。
 木の風合いが好きな人は、ログハウスにするのではなく、外見はある程度諦めて、内装をすべて板張りにするといった方法のほうが、後々改装などの自由度が高くなります。
外壁はサイディングだが、内装はすべて無垢板張りという豪華な作りの家。外見と中の印象がまったく違った。(2011年、秩父)

古い板張りの上から、新たに板を貼る。越後の家でDIY中。危険なので、高い場所の素人工事はお勧めしない。
この家の屋根はコンクリート瓦なので、後にセラミック瓦に吹き替えたのだが、その後、中越地震で全壊した。


 このように、基礎、屋根、外壁という外側部分だけでもかなりのチェックポイントがあります。

 安い物件、古い物件にはいろいろと欠点もありますので、その後のリフォームのやりやすさやコストまで考えて購入計画を立てることが必要です。

 長くなりましたので、内部のチェックポイントは次項に分けます。


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