4K・8Kテレビ放送の虚無2020/11/27 14:57

デジタル放送開始当時のテレビと今のテレビのリモコン
居間のテレビが冬になると液晶画面がおかしくなり、しばらくウォーミングアップしないと映らなくなっていた。数年前からなのだが、どんどんひどくなって、今年は室温15度以下でもおかしくなる。
あと、ときどき地上波のTBSが電波が弱くて乱れる。これはテレビのせいではなく、アンテナの受信環境のせいだろうから、ブースターを追加したり、いろいろやってなんとかしのいできたのだが、先日、これもひどくなり、アンテナ配線を抜き差ししているうちに、今度はBSが映らなくなった。
不思議なことに、BSが映らなくなったのに、110度CSは映るチャンネルと映らないチャンネルがある。
それも、時間と共に映らないチャンネルが増えていく。
これはアンテナ関連ではなく、内蔵チューナーがいかれてしまったんだろうと判断。しょうがない。買い換えるか。
このテレビ(42型)は購入してまだ9年しか経っていない。その前に使っていた37型のほうはまだピンピンしていて、しかも画質がきれい。同じREGZAなのに、なんで新型のほうが画質が悪いのかと不満には思っていたのだが、まあ、うるさく言うほどではないので、いろいろ調整して使ってきたわけだが、9年でアウトかい~。

どうせ買い換えるならでかいやつ、ということで、当初は42型⇒55型を考えたのだが、妻が「ついでにこの両脇のスピーカーも片づけられないの?」と言うので(北欧のAudio Proだったかな、なんかお洒落なトールボーイ型スピーカーを使っている)、スピーカーをどけた場合の最大サイズ(壁の横幅いっぱい)に収まる65型にした。

多分、65型でトリプルチューナーのやつではいちばん安い。USB外付けHDD4台つなげられる。540が出て、現在値崩れ中?Amazonで購入

ネットで調べて、いちばん安い店に発注したら、届くのに6日かかった。

機能的には満足のいくものだし、同じREGZAなので、使い方もほぼ一緒なのだが、案の定、音は悪い。
オーディオスピーカーは片づけてしまったので、なんとか調整して内蔵スピーカーで我慢……と思ったけれど、どうにも我慢できず、余っていたPC用のミニスピーカーを取り付けた。これ、なかなかの優れものなのよね。
大きさ的にも邪魔にならず、うまくいった。


こんな感じで落ち着いた。

4Kと従来のBSって、区別つく?

……で、ここからが本題。
知らないうちに、売られているテレビのほぼすべてが4Kチューナー内蔵になっていた。だから、届いたテレビも4Kチューナーが内蔵されていて、BSの4K放送が見られる。
しかし、4Kだの8Kだのって、まったくいらんなあ。
NHKの朝ドラなどは、BSプレミアム(解像度:1920×1080)と4Kチャンネル(3840×2160)が同じ内容を同時放送しているが、切り替えても違いが分からない。
もっと馬鹿げているのは、BSで4K、8K放送を開始するために、NHKのBS1や民放キー局のBSチャンネルの解像度が、それまでの1920×1080から地上波デジタルと同等の1440×1080に落とされた(2018年から)ことだ。
こういうのを本末転倒という。
このときも事情を知った視聴者や放送現場からは「なんとバカなことを」という声が上がっていたが、テレビメディアは一切このことを報じなかった。
しかも、「実際には放送各社のほとんどが番組の映像を1440×1080の規格で管理しているため、解像度が変更となった後も実際の画質はこれまでと変わらない」などという説明がされる始末。つまり、「ほとんどの放送コンテンツは1440×1080で編集・保存されているんだから、1440×1080で十分なのだ」と告白しているわけだ。
NHKの朝ドラはお金をかけて映像制作しているだろうから、解像度の違いが分かるはずだと思ってじっくり見てみた。
地上波(1440×1080)とBSプレミアム(1920×1080)の解像度の微妙な差はなんとなく分かる(画面に近づいてじ~~っと見て、そうかなぁ……と感じる程度)。でも、BSプレミアムと4Kの差は分からない。65型でも分からないのだから、42型くらいのテレビなら、まったくと言っていいほど分からないんじゃないだろうか。
ものすごく高いテレビだと液晶のクオリティが高くなって分かるのかもしれないけど、あたしゃ老眼だし、大画面テレビの目の前に座り込んで見ているわけではないので、意味なしホウイチだ。
ましてや、1日中通販番組をしている4Kチャンネルで「今ならお値段そのままで、もう一台オマケでついてきます!」なんてやっている人の顔をデカデカと映し出されてもねえ。

金のかけ方がおかしい

大宅壮一が「一億総白痴化」という言葉を使ったのはいつのことだったか。今ではその言葉を知っている人のほうが少なくなっているだろうなあ。
我々視聴者はもともとテレビによって白痴化していたのだが、テレビがでかくなっていき、4Kだ8Kだと騒ぐにつれ、さらにバカになっていく。
これ以上バカになっていいのか? 4K、8Kインフラに投資するより、質の高い番組を作るために金をかけようよ。それやらないと、俺たち貧乏人が作るYouTubeコンテンツにも負けるよ。

NHKにしても、昭和の懐かし映像を無理矢理高解像度化した変な映像なんて、元画像が粗いんだから、4Kで放送する意味はないでしょ。

貴重な電波の周波数帯資産、もっと違うものに割り当てられないのかと呆れるばかり。
テレビ放送が全部デジタル化したのはいいとして、あのとき、地上波の利権構造はリセットしておくべきだった。デジタル放送を受信可能エリアの狭いUHF帯中心でやる必要はまったくない。BSやネット回線が中心ということにして、地上波(AM、FM、UHFなど)はローカルメディアやデータ送信に割り当てていくべきだった。
それまでの利権を守るために、わざわざ狭くて性能の悪いメディアに固執した。これは総務省とテレビ局の癒着による罪。

今のテレビには最初からhuluだのNetflixだのというアプリがインストールされていて、視聴者に有料放送サービスを購入させるようにさせるようにと前のめりで攻めてくる。
クラウドサーバーに自動的に視聴者の視聴記録や嗜好を集めて、そのデータを裏で売買したり、あらゆる営業活動に利用したりする仕組みも入っている。
そこまでやっておいて、未だに地上波はBS、CSよりえらいとか、昔ながらのサンプル数が極端に少ない「視聴率」なんてものに振り回されていたりして、放送業界もバカで凝り固まっている。

道具に支配された人間

テレビの解像度が上がるにつれ、肝心の番組の質はどんどん劣化しているのは確かだ。
この「ハイテク道具に支配され、主人であるべき人間の知性や感性が劣化する」という現象は、テレビ業界だけでなく、あらゆる産業、文化の分野で起きている。
結局、道具ばかり進化しても、使う我々がそれに振り回されるだけで、道具によって想像力が奪われてしまうのだろう。
受け手の想像力が劣化すると、送り手(創り手)の創造力もそれに合わせて低レベルな方向に合わせていく。そうしないとビジネスにならないから。
道具が進化して、今なお安価で入手できることはありがたいのだが、ある程度、道具は不自由、不完全なほうが、創意工夫をしながら、形のない価値(芸術とか哲学とか)を育てる力が育つのだろうな、と思う。

私は一般家庭にテレビがない時代に生まれた。近所のお金持ちが初めてテレビというものを買って、それを庭から縁側越しに覗きに行っていた時代を知っている。
テレビは今も完全な受動態道具だけど、創作や自己表現のための道具──例えば楽器なんかも贅沢品だった。
紙と鉛筆でさえチビチビと使わなければ怒られた。
本も高くて買ってもらえなかったから、同じものを何度も読み返した。
子どもの頃に何度も読み返した「シートン動物記」の文章がしっかりしていたから、今の文章作成能力につながったのかなあ、なんて思う。

ワープロが出てきたのは20代後半だったかな。そのうちにパソコンが出てきて、デジタル信号ですべて処理・記録するようになって……と、その後の劇的なデジタル革命を全部見てきたから、今の「最初からデジタルだけ」の世代とは違う価値観や歴史観を持っている。
まあ、いい時代に生まれたんだろうなあ。

……と、ジジイ根性丸出しの戯言はこのへんにして、さっさと創作活動をしなさい、って。

……というわけで、オマケはこんなのを……。


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ズブズブと森のおともだち2020/11/27 13:45

NHK総合で年に1度やる「コントの日」。過去2回はいまひとつスッキリしない感じが残って、まあ、NHKだからなあ……と受け流していたのだが、今年は面白かった。
すでにネットでも⇒こんな記事が出ていたりして、そこそこ話題になっているようだ。
概要は⇒ここにもまとまっているので、見逃した人はNHKの見逃し配信(あれって有料なんだっけ?)で見てみよう。
文春のサイトに、劇団ひとりと東京03のインタビュー記事も出ている。
テレビ雑誌のミニコラムでこれを取り上げようと思い、録画を復習見した。裏話とか読んでから見ると、2度楽しめる。

冒頭の「袋、いりません」は、アベノマスクやらレジ袋有料化で世の中に不必要な混乱と迷惑をもたらしたバカ政治への風刺が効いているし(しかも、あのコントなら文句も言えない)、「ステイホームで覚えたラーメン」は、本当の自分と向き合うことの難しさ、そして勇気という哲学的な?テーマを扱っていながら、東京03角田の怪演で、誰もそんなことを考えないまま笑っていられる。さすがは1年に1度の練り上げられたコントだわ。

そしてなんといっても、今回は「ズブズブと森のおともだち」の直球ぶりがすごかった。
ざっと内容をまとめると……

「ズブズブ」(劇団ひとり)はズルくて、闇の人脈を駆使して甘い汁を吸うのに長けた森のふくろう。ロボットの「マジメカ」(ロッチ・中岡)が買ってきたケーキを一人でこっそり食べてしまう。
そこに紅茶を持って「みんなでお茶にしましょう」とやってきた美少女・アリス(新川優愛)に、マジメカが「ズブズブさんが一人で僕のケーキを食べてしまった」と訴える。
アリスはズブズブを「人のものを勝手に食べたら、それはドロボーになるの」と戒める。
⇒「ひとのもの」(税金)、「勝手に食べる」(横領)

しかしズブズブは、歌手志望のアリスに「今度の森の歌手オーディションの審査員長は村長で俺の友達だ。今夜会うから、きみのこと話しておくよ。共存共栄。もちつもたれつでやっていこうじゃありませんか」と持ちかけると、アリスはそれに乗って、マジメカを「証拠はあるの? そもそもケーキなんてあったのかしら」と、逆に責める。
驚いたマジメカが「この森に正義はないのですか?」と訴えると、アリスは「真面目か!」と切り返す。
「あんたみたいなタイプ見てると、イライラするのよね」
(⇒真面目な人が上の地位に就いてきっちり指示されるより、悪代官やバカ殿に支配されているほうが気が楽だという、現政権支持層の声を代弁)

そしてナレーション:
「何はともあれ一件落着。みんなおともだちを大切にしようね。そうすればいけないことをしても、もみ消してくれるから

このへんで「森のおともだち」⇒森友 ってことに気づく人がどれくらいいたか……。
第2話はさらにすごい。
森の運動会で「かけっこ」で競うことになったズブズブとマジメカ。ズブズブは鳥なので走るのは苦手。そこで審判員のアリスに「鳥は走るのが苦手なんだよね。1位の賞品のいちごは大好物なんだけどなあ……」と耳打ちする。
アリスは、ズブズブの口利きで森の音楽会に出られたお礼として、ズブズブのスタート地点をゴールテープの直前にするというとんでもない贔屓をする。「私はただ、いちごが好きって言っただけですよ」とにんまりするズブズブ(⇒直接指示はしない。相手に忖度させるという暗喩
それでもほとんど歩けずにマジメカに負けてしまうズブズブ。
すると今度は村長がこっそり、1位と2位の賞品を入れ替えてしまう。1位がドングリのキーホルダー。2位は山盛りのいちごに。「ズブズブさんのおかげで例の誘致の件もうまくいきそうですしねえ」と村長(東京03豊本)。
憤慨するマジメカに、マジメカを作った博士(ロッチこかど)がやってきてこう言う。「だから俺はおまえを作ったんだ。この森の深い闇と戦うために。でも、正面からまともに行っても無理なんだ」(⇒野党の非力さを嘆く人々の声を代弁

このへんで、徒競走とかじゃなくて「かけ」っこと言っていることに気づく人はほとんどいなかっただろうなあ。
最後は劇団ひとり作詞、竹内まりや作曲のテーマソングをみんなで歌う。

♪友達大好き。僕はズブズブ。芸能プロの社長さん、闇カジノのオーナーさん、演歌歌手のタニマチさん、家族ぐるみさ。みんな大好き。ズブズブになれば笑顔になれるから。甘い蜜舐めようよ。盃交わそうよ。骨までズブズブ♪

そこに桜の花びらが舞い落ちるという、ど直球なエンディング。

江戸末期、お上の華美禁止令に負けず、「じゃあ、色をつけなければいいんだろ」と、白木彫刻を極めていくという楽しみ方を追求した彫刻屋台の彫刻師たちや、その屋台を繰り出して祭りを続けた町民の精神で、このトンデモな時代をのりきりたい。

テレビ番組制作者たちよ、庶民を軽く見てコントロールしようとする番組作りではなく、庶民と共に文化を作り上げるのが君たちの仕事だ。
いつかまたルネッサンスはくる。そう信じて、こういう番組作りをじっくりつづけるのじゃよ。

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『彫刻屋台図鑑01 鹿沼の彫刻屋台』

ユネスコ無形文化遺産登録で注目が集まる鹿沼の彫刻屋台。全27屋台を128ページフルカラーで「アート」として見つめ直す写真集。
B6判・128ページ フルカラー オンデマンド 無線綴じ  1680円(税別) 送料:220円
■ご案内ページは⇒こちら 

『彫刻屋台図鑑02 宇都宮・今市の彫刻屋台と天棚』 

写真・文:たくき よしみつ 写真:鐸木郁子  地元の人でも滅多に見ることがないという石那田、徳次郎の屋台(計12台)の他、今市の6台、その他、東下ヶ橋の天棚など、合計23台をフルカラー写真で収録。収録写真画像500枚超。類書がない貴重な資料。
B6判・132ページ フルカラー オンデマンド 1680円(税別) 送料220円
ご案内ページは⇒こちら


新型コロナとエイズ2020/08/27 14:54

エイズを題材にした小説
「感染」を巡って、恐怖や疑念が世の中に渦巻き、メディアが騒ぎ、不当な差別・偏見が広がる……かつてこれに似たことがあった。
今から30年近く前、1990年代初めの、エイズをめぐる報道や社会の風潮がそれだ。
30年も前のことだから、若い人は知らないだろうし、30代くらいの人も記憶にはないだろう。
私は強烈に覚えている。
というのも、「エイズをテーマにした映画を作るから原作を書いてみないか」と持ちかけられ、実際に書き上げたからだ。
主人公が若い男女で、エイズの絡んだ話であればなんでもいい。映画はその「原作」とは関係なく脚本家を立てて進めるので、「原作」ということにさえしてくれればOKである……という、ひどい依頼内容だった。
出版社の担当編集者の知人が持ち込んできた話だった。
日本を代表する映画会社の社長が代替わりして、その若社長が社長就任と同時に「エイズ映画を作る」とぶち上げたという。映画はもう制作着手しているが、売り出すために「原作」となる文芸作があったほうがいいから、何かないか……という。
「どうする? 話の筋はなんでもいい、って、ひどいよね。でも、あなたを売り出すきっかけにはなるかもしれない」
「受けたほうがいいでしょうか?」
「そうね。話題になれば、本を買って読んでみようという人も出るし、読めば、作品のクオリティは映画とは別にちゃんと評価されるでしょうから」
編集者にそう言われ、私も同意し、書き上げた。
当時、精神的に不安定な時期で、自分の人生、命というものを見つめ直す作業として取りかかった。
書き上げた小説は純文学路線で評価が高かったが、映画の「原作」にはならなかった。当時、テレビに多く露出していた女性「ノンフィクション作家」のルポ本を「原作」とすることにした、とのことだった。
そのルポはアメリカでのエイズ患者との交流を書いたノンフィクションだから、完全なフィクションの恋愛ドラマである映画とはなんの関係もない。それでも「原作」と銘打てるのかと呆れ、驚いたが、内心、自分の作品が「原作」として使われないことになってホッとしたものだ。

話が少しずれたが、今のコロナ騒ぎを見ていると、あのときの空気感に似ているなと思うのだ。

もちろん、HIVと新型コロナウイルスでは、感染の仕方も違うし、エイズは日本の社会をひっくり返すほどの現象は生まなかった。
しかし、連日のようにメディアが騒ぎ立て、人々がエイズという得体の知れない感染症に対して恐怖を植えつけられ、多くの人がエイズ感染者に対して偏見と差別の眼を向け、排除するような行動をとったという点で、今の社会と共通するものがある。

そこで、改めてエイズ騒動がその後どうなったのか、確認しつつ、今の新型コロナウイルスの状況と比較してみた。

HIV保有者数
  • 世界:3800万人(2020年現在の推定。UNAIDSによる)
  • 日本:2万836人(2018年末。エイズ動向調査委員会)

SARS-CoV-2陽性反応者数
……このデータを見ると、現時点で、全世界では、SARS-CoV-2陽性反応者(PCR検査陽性者)の数よりHIV保有者のほうが1.6倍くらい多いらしい。
では、それぞれのウイルスが原因で死んだ人の数はどうか。

HIV関連疾患による死者数
  • 世界:2019年1年で69万人(50万~97万人)が死亡。HIV感染が始まってからの累計では3270万人(2480万~4220万人)が死亡。(UNAIDSによる)
  • 日本:現在は治療薬が普及して年間死者が2桁を超えることはない(2018年は18名。APIネット調べ)。HIV感染者の平均余命も健康人とほぼ変わらない。

COVID-19による死者数
  • 世界:累計で約82万人(8月26日時点 ジョンズ・ホプキンス大学による)
  • 日本:累計で1218人(8月26日時点 同上)
エイズ感染者と関連死の数は、現在ではアフリカが圧倒的に多い。これは貧困層に治療薬が行き渡っていないことも大きな要因だろう。
しかし、当初は欧米での死者も多かった。

日本における死亡者は,1995年に男子52名,女子4名であり,以後,男子50名前後,女子数名の状況は変化せず,2006年には男子55名,女子5名となっている.
アメリカの状況は日本とは大きく異なる.1987年の男子12,088名,女子1,380名からはじまり,急速に死亡者が増加し,1995年には男子35,950名,女子7,165名とピークを示した.その後急激に減少し,2005年には,男子9,189名,女子3,354名となっている.
1995年以降の死亡者の急激な減少は,HAART療法の効果によるものと推定される.
一方,ポルトガル,ウクライナ,ロシアなどでは,この死亡者の急激な減少はみられず,特に南アフリカでは死亡者が1990年以降急激に増加し,減少傾向はまったく見られない.HAART療法等により,未だHIV/AIDSによる死亡者の減少が見られない諸国において,死亡者が減少することを期待したい.
東京都健康安全研究センター年報,60巻,283-289  2009年

↑この報告は2009年のものでかなり古い。
その後は少しずつ死者数が減っているが、
2017年末現在、HIVとともに生きている人は世界で3,690万人となっています。また、2017年に新たにHIVに 感染した人は180万人、エイズ関連疾患によって亡くなった人は94万人となっています(国連エイズ合同計画(UNAIDS)より)。
日本では、近年1,500人前後が新たにHIVに感染・エイズを発症していると報告されています。また、HIVに感染していたことを知らずに、エイズを発症して初めて気づいたというケースが、新規HIV感染者・エイズ患者数の約3割を占めています。
日本政府広報オンライン

……だそうで、現在は年間69万人(推定)だが、2000年代前半には世界で年間約200万人が、数年前までは年間100万人前後の人がエイズ関連で死んでいたのだ。

しかし、日本で暮らしていると、エイズで年間100万人死んでいるという話を聞くことはほぼない。エイズのことなど長い間忘れていたという人がほとんどではないだろうか。

日本国内では男子数十名、女子数名のレベルの死者だった1990年代、同じ時期、アメリカでは男子数万、女子数千名レベルでエイズで死んでいたというのも、今のCOVID-19による死亡状況に通じるものがある。2桁どころか3桁多い。

新型コロナもエイズ同様に忘れられていく?

新型コロナウイルスが、 前回の「まとめ」にあるようなものであるとすれば、今後、時間はかかるだろうが、エイズ騒動と同じように推移していくのだろうか。
つまり、

  • 世界は新型コロナウイルスと共存していく。人々はこのウイルスが存在していることを徐々に忘れて、普通に生活するようになる。
  • 日本では発病者や重症化する人の数が少ないので、メディアも徐々にこの話題に飽きて、もっと刺激的な話題へとシフトしていく。
  • しかし、世界レベルでは医療が十分受けられない国、人種、貧困層などで、毎年相当数の人がCOVID-19で死んでいく。
  • 死者は貧困層や途上国に集中するようになる。
  • ワクチンや治療薬開発、販売を巡って、製薬会社などと国家レベルでの取り引きが行われるが、詳細は一般人には知らされない。


……歴史が教えてくれるところでは、こうなっていく気がする。
また、医療現場や介護現場は疲弊し続け、今までのレベルでは医療・介護サービスを受けることが困難になり、COVID-19以外での死者も増えるが、そうしたデータや現場の事情は徐々に報道されなくなるだろう。

ちなみに、UNAIDSでは、新型コロナウイルスパンデミックによって、HIV治療薬の高騰や中低所得国への供給不足が懸念されるとしている。
これはHIVに限らず、他のあらゆる疾病や怪我の患者にもいえることだ。

冷静にデータを読み取り、医療や介護の金とマンパワー資源を合理的に配分し、福祉レベルを下げないことを目指す政治に切り替えることが急務である。

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コロナより「コロナ自粛強要」で社会が壊れる2020/08/26 22:00

暴露と感染の広がり方 高橋泰教授の説明図(https://toyokeizai.net/articles/-/365254?page=4 より)

↑「新型コロナウイルス感染の広がり方」(高橋泰教授による説明図 「東洋経済ONLINE」より)

「自然免疫で撃退説」のおさらい

前回、COVID-19に対する高橋泰教授らの「実態予測と提言」をまとめたものを紹介したが、こうした提言が複数の医師や研究者から出てきてひと月以上経つのに、未だにメディアは毎日「新規感染者数は○人でした」という伝え方を変えていない。
高橋教授の主張は、東洋経済ONLINEにいくつか出ているので読める。
●新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化(2020/07/17)
●高橋泰教授が新型コロナをめぐる疑問に答える 暴露と感染の広がり方、PCR検査の問題を解説(2020/07/27)
●新型コロナ、「2週間後」予測はなぜハズレるのか 高橋泰教授「データに合う新型コロナ観を持て」(2020/08/07)

詳しくは原文を参照してほしいが、1つだけ重要な指摘をあげれば、
「PCR検査陽性者」イコール「新型コロナウイルス感染者」ではない、という点だ。
  • 新型コロナウイルスは暴露力(体内に入り込む力)は強い
  • しかし、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わる
  • ウイルスが身体に入り込んだ状態でPCR検査をすれば陽性反応が出る。
  • しかし、多くの場合(高橋教授らのチームは、日本では98%と推定)、自然免疫だけでウイルスを排除してしまうので、無症状かごく軽い風邪のような症状で終わってしまい、ほとんどの人はウイルスが身体に入り込んだことに気づかない
  • この「自然にウイルスを排除した人たち」は、体内に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体を作るまでもなく終わっているので、その後、抗体検査をしても陰性となる。
  • 残り2%の人たちは自覚的な症状(風邪や肺炎のような症状)が出て、SARS-CoV-2に対する免疫を獲得する(その後、抗体検査をすれば陽性と出る)。
  • この2%の人のうち、ごく一部の人たちにサイトカインストーム(免疫暴走)が発生して重症化し、死者も出る。

……そういう分析内容だ。
つまり、「PCR陽性者」=「新型コロナ感染患者」ではないし、必ずしもスプレッダー(ウイルスをばらまき、感染者を増やす人)だともいえない。
PCRが陰性になった人は感染歴がない人ではないし、明日以降、スプレッダーになる可能性はある。

もちろんこれは現時点では1つの仮説なのだが、現状と照らし合わせてみると、非常に納得がいく仮説だと思える。
重要なのは、何人がウイルスに暴露しているか、暴露したか、ではなく、重症化する人を減らすこと、重症化する人をいち早く見つけて有効な治療をすること、なのだ。
で、問題はサイトカインストームが発生して重症化する確率だが、
20代では暴露した人10万人中5人、30~59歳では同1万人中3人、60~69歳では同1000人中1.5人、70歳以上では同1000人中3人程度、
……という推定値だという。

この確率が、アジア人はなぜか欧米人より二桁低い。その理由がいわゆる「ファクターX」などと呼ばれるようになったものだ。
BCG説や生活習慣要素など、様々な「ファクターX」候補が挙げられているが、HLA型などの遺伝的要素が最も大きいのであろうということは、多くの医師、研究者が感じているし、すでに多くの論文も出てきている。

「新規感染者数」という伝え方の問題

以上のことを踏まえれば、「新規感染者数」の増減で騒ぐことにはほとんど意味がない。
なぜなら、PCR検査で陽性が出た人の数というのは、その時点でたまたま体内にSARS-CoV-2が入り込んでいる状態で、それが検査したから判明した、ということであって、COVID-19(SARS-CoV-2に感染して病理症状が出た状態)の増減傾向を示すものではないからだ。
同様に、抗体検査で陰性を示す人が、過去にSARS-CoV-2に暴露していないことにもならない
「感染経路が不明な人の割合」というのはもっと意味がない。感染経路など分からなくてあたりまえなのだから。
家族の一人にPCR陽性者が出たので家族全員を検査したら全員陽性だったとする。その場合、「家庭内で感染」と分類されるのかもしれないが、その家族全員が別々の場所でウイルス暴露して、たまたまそういう人たちが集まっている家庭なのかもしれない。
暴露する力が非常に強いウイルスなのだから、どんなに注意をしてもウイルスが身体に入り込むことはある。それを「感染者」というレッテルを貼って「隔離しなければ」とか「不注意だ」とか「マスクもしないで……」などと騒ぎ立てる──しかもそれを一部メディアが率先してやっていることのほうがよほど恐ろしいし、社会に大変なダメージと悪影響を与えている。

厚労省などは「クラスター対策」を最重視してきたようだが、日本ですでに3割以上がウイルス暴露を経験しているとすれば、「一人の陽性者の周辺を調べれば一定数の陽性者は出る」のは自然なことだろうから、それが「クラスター」なのかどうかも分からない。
高橋教授はこのことを図で説明している(↑冒頭の図)。
↑高橋泰教授が説明に使った図。東洋経済ONLINEの記事より。Clickで拡大)
その説明を要約すると、
  • 図の水色の四角で囲んだ部分が、新型コロナに暴露した(ウイルスを体内に取り込んだ)人。
  • その中で色がついているのが暴露した後に感染(細胞内にウイルスが入り込んでしまった)人。
  • 青色の人は自然免疫が強く、ほぼ無症状か気がつかないほどの軽症。ウイルスの排出もほとんどなくスプレッダーにならない。
  • 黄色の人は「無自覚スプレッダー」。一時的にウイルスを排出するが、自分は自然免疫で治ってしまい、感染したことに気づかない。
  • ところが、発生確率は低いが、自然免疫では抑えられず獲得免疫が出動し、風邪のような症状もかなり出て、ウイルスも多めに排出して人にうつすオレンジの人が出てくる。
  • さらに、明らかな熱や咳などの症状が出たのが赤色の人で、PCR検査したら陽性になって入院することになる。
  • その赤色の人の周辺を検査したら陽性者が4名見つかった。そこで、この赤色の丸で囲まれた部分を、現状では「クラスターが発生した」と表現しているが、実はたまたま、見つかったにすぎない。
  • 現在は検査を増やしているので、陽性者の発見が増えている。3月下旬は検査数が少なかったが、実効再生産数はピークであり、この時にもっと検査していたら、今の数十倍から数百倍のPCR陽性者が見つかっていたのではないか。

つまり、
  • 3月下旬頃に検査数を増やしていたら、今よりずっと多い陽性者が出ていたはず。
  • 今は「クラスター」とみなしているグループも、多数存在している陽性者の一部をたまたま切り取っているだけ。

……だというのだ。

求められる対策とは

こうした説が、複数の医師、研究者から出されているのに、メディアはなぜかひと月以上経った今でも無視、あるいは意図的に排除しているように思える。なぜなのか?
厚労省をはじめ、対策に関わる人たちの多くは、すでにこの説の妥当性について肯定的な考えに傾いていると思われるが、箝口令を敷いたかのように口を閉ざしている。 政府上層部、多くの政治家は、この説の内容を理解することさえできておらず、問題にコミットすることを恐れている。さらにひどい連中は、コロナを利用して、いつも通りの利益誘導型政策を連発することになんら罪悪感も羞恥心も持っていない。

そんな状況で、私のような素人が、またまた「合理的な対策とは」などと主張するのも虚しすぎるのだが、やはり一人一人が声を上げることが求められていると思うのでまとめておきたい。

  • 政治や行政のリーダーは、国民に向かって、真摯に、新型コロナウイルスの最新分析情報を分かりやすく説明し、過剰反応や間違った認識を改めるように言葉を尽くすべき。
  • PCR検査については、医療従事者、高齢者施設従事者などの定期的な無料検査の速やかな実施と、クリニックレベルの個人病院からでも、医師が必要と判断した場合の保険診療、検査機関(民間含む)への検体提出を可能にする。そのための設備投資やシステムの合理化を進める。
  • 医療や介護の現場でのリスクを下げ、医療・介護従事者の負担を減らすためのシステム構築と資金の投入。合理的なマンパワーの配分。
  • アベノマスクやGoToキャンペーンなど、現場を混乱させ、マイナス要因を増やすだけのバカ政策、コロナと無関係な利益誘導政治を反省し、金とマンパワーを必要とされる現場に有効かつ速やかに投入できる施策へ転換。
  • メディアは政府の顔色を窺わず、視聴者や読者の「食いつき」を計算せず、危機を情緒的に煽らず、社会の木鐸としての自覚を持ち、正しい情報を分かりやすく伝える努力を。
  • 50代までの層には、正確なリスクを伝えると同時に、高齢者や病人など、高リスクの人たちへ自分たちが感染させて死なせる可能性を自覚させ、行動規範の形成を促す。
  • 教育現場やスポーツやイベントビジネスの現場などでは、過剰な自粛要請よりも、常識的な新マナーの共有で正常化を。

今のままでは、ウイルスによる病死などより、ウイルスが引き金となった思考停止による「社会崩壊」のほうがはるかに恐ろしい結果をもたらすだろう。

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GoToキャンペーンの「実態」を見よ!2020/07/16 15:07

申請の方法すらまだ「調整中」と言いながら強引に発車
日本政府は、当初から非難囂々だった「GoToキャンペーン」なるものを、当初の予定より前倒しして、2020年7月22日からスタートさせると言っている。
もはや正気の沙汰ではない。
メディアもSNSも「コロナ感染拡大を招く」という論調だが、それ以前に、このキャンペーンの実態を把握していないのではないか。
もう、ほんとにこういうのにつき合うのは嫌なのだが、観光庁の最新のFAQ集から重要ポイントを簡単にまとめてみたので、ぜひ確認してほしい。
とにかく分かりにくい。何度読み直してもよく分からない。しかも「詳細は調整中であり、近日中に改めてお知らせする」なんて答えが随所に出てくる。多分、業界内でも正確に把握している人は少ないだろうし、「詳細は調整中」のまま強行するらしい。

  1. 基本的に、このキャンペーンに登録した旅行業者のツアーが対象
  2. それ以外の個人旅行は、旅費などが対象外であるのはもちろん、宿泊代金も、宿泊先の旅館やホテルなどがキャンペーン登録業者であることが必要
  3. 宿泊業者などが旅行業者を通じずに宿泊させた客などにキャンペーン割引きをするためには、「宿泊施設の予約システムを通じて宿泊記録が外部に確実に蓄積・保管される仕組みが構築されているなど、適正な執行管理のための体制が確保されていること」を条件とした事前登録が必要。
  4. 個人での旅行では、事後に宿泊代の領収書原本、申請書、宿泊証明書(旅館側が発行)、個人情報同意書などを提出する必要がある。
  5. その申請先の事務局はまだ立ちあがっておらず、現時点でもまだ「調整中」いつから申請できるかも「調整中」
  6. 割引適用率は50%で、一泊最大2万円まで。
  7. その50%のうち3割(全体の15%)は9月以降に発行予定の「地域共通クーポン」であてられるので、現時点での旅行では関係がない。よって、現時点での割引きは最大で35%。一泊4万円以上のツアーの場合、その50%の2万円の70%である1万4000円割引きが最高額となる。
  8. 旅行会社の判断で、割引率をきっちり35%にしなくてもよい。
  9. 日帰り旅行では最大1万円というが、旅行会社が組んだツアー旅行だけで、個人で旅行をしたらまったく無関係

●要するに、基本、旅行業者を通さない個人旅行は蚊帳の外。全然関係ない
●三密を避けてなるべく人と接触しないで旅行をするというなら、個人や夫婦などで車を使ったささやかな旅行などをイメージするが、そういうものはまったく対象外。逆に、旅行会社を通した団体旅行(修学旅行や社員旅行など)は丸ごと適用される。
●旅行代理店・業者を通じない個人旅行では、泊まった旅館が登録業者になっていなければならないが、旅館側も「そんな話は聞いていないので何も分からない」と言っている。
●旅館が登録業者になるための手続き申請方法も、個人が後から宿泊代の35%をペイバックしてもらうための申請方法も、未だに「調整中」。準備も何もできていないのに22日からスタートするというありえないお話。
●割引適用の宿泊数に制限はないので、例えば旅行業者を通じて夫婦で一泊4万円以上する旅行を10泊分するならば、旅行会社に支払う金額のうち最大で28万円割引きされる。……庶民とは無縁の話。

Q:本事業による割引旅行・宿泊商品を取り扱う事業者となることを希望しているが、国(事務局)への参加事業者登録はいつから始まるのか。また、具体的にどのような内容を申請することになるのか。

A:参加旅行業者・宿泊事業者の登録は、7月半ば頃から開始することを予定している。詳細は、観光庁HPなどを通じてお知らせする。例えば、事業者の名称・所在地・連絡先、給付金の振込口座等の情報を事務局に申請いただくこと等を想定しているが、いずれにせよ近日中に改めてお知らせする

Q:参加事業者の登録前に商品を割引で販売することは可能か。既存の予約分については予約の時点で登録ができていないが、還付の申請はできるのか。

A:不可。予約の時点で登録ができていない場合であっても還付の申請はできる。ただし、要件を満たさない等の理由により事業者の登録が認められない場合は割引や還付の対象とはならない
観光庁 Go To トラベル事業 よくあるご質問(FAQ)7/13(月)時点版 より)

↑何度読み返してみても、すでに登録済みの旅行業者(あらかじめ選別していた?)を通じての旅行以外ではまったく無理。旅館等がキャンペーン割引き適用の予約を直接取ることも事実上不可能。

結局、13年超の中古車には自動車税を割増し課税するが、「エコカー」認定された高級車を新車で買えば減税するという悪法と同じ、富裕層相手の税金ばらまき。しかも、その予算の多くは「事務手数料」にあてられている⇒アベノマスクと同じ、ピンハネ商法。

こんなものを強行したらどうなるか?
地域経済を混乱させ、地域間ヘイトを無用に増大させ、小規模事業者や個人経営者には今以上に客が回らないようにさせるという、恐ろしいキャンペーン。
そのために使われる金は税金。まさに「GoTo(強盗)」である。

★これを何度か書き直しているうちに、今度は「東京発、東京への旅行は除外する」とか言いだしたらしい……ほんっとに恥ずかしい。

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日本ではCOVID-19第一波は終わっている?2020/05/08 21:10

神戸市立医療センター中央市民病院(同市中央区)では、4月上旬までに外来患者千人に対してSARS-CoV-2の抗体検査をしていた。5月2日にその結果を発表したが、3.3%に抗体陽性反応があったという。
100人に3人程度がすでに4月上旬までにSARS-CoV-2に感染して抗体を持っていたということになる。その人たちは感染していることに気づかず、軽い症状、あるいは無症状のまま抗体だけができた、ということだ。
これを読んで、ああ、やっぱり! と思った。
神戸でこの数字であれば、おそらく東京や神奈川など首都圏ではもっと多いだろう。
実際、慶応義塾大学病院(東京都新宿区)は、4月23日までに新型コロナウイルス感染症以外の治療目的で来院した無症状の患者67人にPCR検査を行ったところ、4人(6%)が陽性者だったと公表している。

もしかして日本では感染の第一波は収束していて、今出てきているのは第二波なんじゃないかと想像していたのだが、こうしたデータを見る限り、あながち妄想ではないと思えてきた。
つまり、武漢から直で入ってきた第一波のウイルスは、なんらかの要因(多分DNA的な要素?)で(運よく)日本人にはそれほど被害を及ぼさず、抗体だけはついた。
今、死者がポツポツ出ているのは欧米から入ってきた、変異したウイルスによる第二波なのではないか?? ……と。

日本だけがなぜ感染者数も死者も少ないのかという謎がずっと論じられてきたが、「死者は少なかったが、感染者は少なくなかった」ということではないか。検査していないから感染確定例の数が極端に少ないというだけで、実際にはそこそこの数の感染者はいた。しかし、なんらかの要因で発病~重症化する確率が低かった。
日本人は欧米人に比べて清潔好きで、普段から手洗いの習慣があり、逆にハグやキスの習慣がないから感染が抑えられたという説が根強くあるが、「感染者が相当数いた」のであれば、そういう説明だけでは無理がある。「感染しても気づかないほど軽症、無症状である人の割合が、欧米人より高い」ということではないか。
「どちらかというと、これは非常にラッキーなデータ。感染拡大初期に行ったデータで既に3%に達していた。そこから1カ月がたってどう変化したのか大変興味がある。もしかしたらもう少し高いデータが出ている可能性があることは、大いに考えられる」
(神戸市立医療センター中央市民病院の木原康樹院長)
なんにせよ、まだまだ謎だらけ。今が第二波だとすれば、第二波がどの程度で収まるのか、第三波は?? などなど、分からないことだらけだ。

ざっくりと推理して、中都市で3~4%、大都市では5~6%、地方の田舎町でも1%くらいはすでに抗体を持っている人がいるとすると、これからの対策としては、
  • 若者同士の交流、感染はある程度仕方がないと考える
  • 若者が高齢者や入院患者などと接触することは徹底的に避ける
  • 病院や高齢者施設での感染防止を徹底させる
  • 発病した人への早期の対応
  • 保健所と医療現場を切り離す(保健所は本来の仕事に戻し、医療現場からの検査依頼などは民間に回す)
  • 唾液でのPCR検査を認める
  • その上で、必要な社会インフラを回しながら、社会構造全体の合理化を進める
……といったことではないか。

「医療崩壊」という言葉は曖昧すぎて違和感があるが、要するに、
  1. 医療現場での役割分担ができていない
  2. 医療資源(人も装備も設備も)が圧倒的に足りない
……ということが問題なのだ。
1はすぐにでも対応できるはずなのに、厚労省のメンツや指示みたいなものが効率化や最適化を阻止している。
それを制御できないどころか、問題の本質を理解できていない政府中枢はもっと大きな障害だ。

問題は「生き方」をどう変えるか

現状を見ていると、この国が今から目を見張るような見事な対応をしていくとは思えない。
各現場では本当に頑張っている人たちが多いのに、それを生かせない「システム」に縛られ、改革すべき上の人たちがあまりにも無能・無責任すぎる。これをすぐに変革していくことは困難だろう。
そんな中で、我々庶民はどうすればいいのか?
新型コロナは、人々の連帯も引き裂いていく。フランスの経済学者でEU結成の立て役者でもあるジャック・アタリ氏はこう主張する。
「ウイルスに怯えると『自分さえよければいい』と考えてしまいがちで、『他人のために生きる』という人間の在り方が失われていくのです」
その結果生じているのは「分断」された弱肉強食の世界だ。
たとえば、裕福な人と貧しい人の分断だ。新型コロナの感染拡大を防ぐには、外出を減らし接触を減らす必要がある。だがおカネがない人は、仕事に行かないと生活できず、自宅待機はできない。
M・ガブリエル氏ら世界的知性が答えた「コロナと人類の未来について」 週刊現代 2020/05/04

↑まさにそういうことだ。
しかも、運送、製造、医療、介護といった、止められない社会インフラを回している人たちほど自宅待機はできない。そんなことをしたら、誰も(金持ちも貧乏人も)が生きていけない。
そのことを忘れて、パチンコ屋が開いているだの、公園で凧揚げしているだの、川辺でBBQしているだのという視聴者の煽り目的の映像ばかり流しているテレビメディアは猛省せよ。問題の本質はそういうことではない。
死者を極力減らす、という目的なら、考えること、論じることは別にある。それができない社会である、ということが問題だ。

理論的には、感染が消えることがない限りは、封鎖や自粛をしてもしなくても、最終的に死者の総数はあまり変わらないということになる。
ワクチン開発はできるかどうか分からないし、時間がかかるだろう。できたとしても、遺伝的副作用や特異体質の人への危険性などが確認できないままの見切り発車になる。
できることは、重症化する人が集中して救急医療の現場がパンクしないようにすることと、高齢者や病人、そして医療関係者を感染させないようにすること。
その前提で、いかに医療現場への負担を減らすか(集中を避ける、余計な仕事を増やさない、役割分担を徹底する)、ストレスや過労による死や家庭崩壊、人間性崩壊、文化の停滞・後退を防ぐか、ということを考えていかないと、このままではもたない。


もはや腹をくくるしかない?

抗体検査も、唾液によるPCR検査も、検査キットが足りていれば別に専門的な技術は必要ない簡単な作業なのだから、やれないはずはない。実際、他の国ではやっているわけだし。
(PCR検査は専門職が時間を取られ、感染リスクと戦いながらやる大変な作業だ、という主張は、旧式の方法を元にしての主張のような気がする。唾液からの検体採取は認めないというルールがあったり、自動化した検査装置がありながら活用できていなかったりしているようだから、まずはそうした理不尽な縛りを解消することが先だ)
とにかくデータがないと戦略が取れない。
それができない以上は、もう腹をくくるしかない。ダメなときはダメなんだ。でも、確率的には、多分大丈夫なんだろう……という腹の据え方。
志村けんさんみたいに、すぐに国内最高レベルの医療機関が、ありとあらゆる最先端の方策を駆使しても、残念ながらダメなときはダメ。
一方、放っておかれても、苦しんでも、なんとか自力で回復する人もいる。(もちろん、苦しむ前に医療を受けられないとまずいのだが、実際問題受けられない人がいっぱいいて、すぐには状況が変化しないのなら、それを覚悟して向き合うしかない)
どこかで腹をくくった上で、人間として充実した生き方を見失わないようにしないと。このままでは人間社会全体が物理的な死の前に「精神的な死」に直面してしまう。

実際、こんなことをボソッと書いている私でも、寝ている間に見る夢の中にもコロナは入り込んできているし、朝、起きるときの鬱状態が日々悪化している。
次にこれをやろうかな、というアイデアはいろいろあるのだが、「どうせ……」という否定形の思考が支配的になって、動けない。
これを乗り切るには、自分を変えていかなければいけないのかもしれない。
利己的な発想を捨てて、利他的に動くことに意味を見出す……とか。
若いときにわがまま放題、自己中心で生きてきたツケが回ってきたのかもしれない。
謙虚に、そして否定形の思考ばかりに支配されないように意識して生きる。

……やれることは、そういうことかなあ……。


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気になる不顕性感染者の実数2020/03/14 21:23

これを書いている現在(2020/03/14 16.28)、世界でCOVID-19に感染して死んだ人は5429人だという。
中国湖北省を除くと、イタリアが1266人で断トツに多い。以下、イラン:514人、スペイン:133人、フランス:79人、韓国:72人、米国ワシントン州:37人……と続いている。
死者/確認感染者数を比べると、中国以外では、
  • イタリア:1266人/17660人 (0.072
  • イラン:514人/11364人 (0.045
  • スペイン:133人/5232人 (0.025)
  • フランス:79人/3667人 (0.022)
  • 韓国:72人/8086人 (0.009
  • 米国:47人/2174人 (0.022)
  • 日本:21人/725人 (0.029)
……で、イタリアとイランの死亡率の高さが目立つ。特にイタリアは致死率が高い。
武漢のように医療体制が崩壊したからだというが、それだけではないのでは? という気もする。遺伝子的に重篤化しやすい人が多いのではないだろうか。
韓国が一桁低いのも目を引くが、これは検査数を徹底的に増やしているからという理由の他に、検査している対象に例の新興宗教信者が多く、その大半が40歳未満の女性だから、ということのようだ。
日本は検査数が異常に少ないのでこの数字は鵜呑みにできない。検査されないまま、ただの肺炎とされて死んでいる高齢者が相当数いるはずだ。今のままだと早急に手当てすれば回復する可能性のある患者をどんどん重篤化させてしまうだろう。
さらには、クラスター感染と呼ばれているケース(スポーツジムや屋形船など)を追跡調査した結果を見ていると、日本では若年層を中心に不顕性感染者の数が諸外国より多いのではないかという気もする。もしかすると韓国よりも多いのではないだろうか。
上昌広医師は、日本と韓国で死者数が少ないのを「ウイルスの特性」に要因があるのではないかとツイートしているが、この「特性」というのはやはりHLA型との関係を示唆しているのだろうか。ただ、データがない現状でHLA型との関連に言及することで、ただでさえ多い雑音が増えるのを回避しようとして明言を避けているのだろう。

そこで改めて日本国内でのPCR検査結果(3月13日時点。クルーズ船、チャーター便帰国者除く)を見てみると、
  • 検査総数:11231
  • 陽性者:659
  • ↑そのうちの無症状者:68
となっている。
陽性者のうち1割以上が無症状というのが不気味だ。
ちなみにダイヤモンドプリンセス号だけのデータを見ると、
  • 検査数:3711人(内、日本国籍は1341人で36%)
  • 陽性者:697人(19%)
  • ↑内・無症状者:328人(47%)
で、なんとおよそ半数は「無症状者」なのだ。
この「無症状者」というのは、「(隔離)入院後に有症状となった者は無症状病原体保有者数から除いている」とのことなので、ウイルスが体内に入ってもまったく発病しなかった人という意味になる。
感染しても1割以上の人は自分が感染したことが分からないどころか、なんの症状も出ないから普段通りに行動しているわけだ。
微熱程度の軽い症状のままで動いている人を含めればもっとずっと多いだろうから、今の日本では、自分が感染していることを認識しないまま普段通りに行動している感染者が数多くいると考えられる。
メディアでは指摘するのが半ばタブー視されているようだが、普通に考えれば「感染しても無症状または症状が軽い若年層が、意識せずに高齢者層にウイルスを感染させ、高齢者が発病する」という図式ができあがりつつあるのではないか。
この可能性を提起することで無用な差別発言やパニックが広がるのか、それとも各人が今まで以上に注意を払って高齢者の感染リスクを下げる努力を冷静にかつ紳士的にしていけるのか……後者であることを祈りたい。

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新型コロナ報道のあり方がひどすぎる2020/02/24 22:07

メディア(特にテレビ)がCOVID-19感染関連の報道をする際に、重要なことを言わず、視聴者を煽るのを目的としたようなミスリードをしていることは前回の投稿ですでに書いた。
もうやめようと思っていたのだが、あまりにも目に余るので、また書く。

感染症問題は「加害者・被害者」の関係ではない

今日(2月24日)、テレビのワイドショーに呼ばれた某医師が、千葉の60代女性教諭のことを「具合が悪くなった時点で仕事を休んでいればスプレッダーにならなくてすんだ」と責めていた。そういう言葉がどんどん世間をミスリードしていく。
この60代の教師は「休みたくても休めなかった」「休ませてもらえなかった」のではないかと、日本の社会風土を知る我々は容易に想像できる。そういう職場環境、休めない空気を作りだしていることを問題にすべきである。
そもそも彼女が「スプレッダー」になった証拠は何もない。生徒が感染していてそこからうつされ、過労が重なったので60代教師が最初に発症した可能性もある。
新たな感染者が報告されるたびに、まるでその人が起点となって周囲にウイルスをまき散らし続けたような印象を与える伝え方をするのは報道のあり方として許されることではない。JRの駅員も、給食配膳の人もそうだが、その人はすでにたくさんいる(はずの)感染者の1人に過ぎず、たまたま発熱などの症状が出てきて、たまたまCOVID-19感染検査を受けることができて、その結果陽性反応が出たにすぎない。
多くの感染者の中から「たまたま発症した」のは、その人が感染に対する「弱者」であったからだ。
千葉の女性教諭は、連日の仕事で疲労が溜まっていて、しかも60代という年齢でもあり、ウイルスに勝てなかったのだろう。
こうした「弱者」の存在こそが最もケアされるべきなのであって、新たな病人を「感染源」のように報じるのは、注意喚起の仕方として完全に間違っている
例えば、千葉の女性教諭が勤めている中学校に、70代の用務員とか外部からの80歳の清掃員とか、あるいはペースメーカーをつけた教員とかがいれば、その人たちは「感染弱者」と見なせる。そうした感染弱者に危険が及ばないように、しっかり健康状態を観察して、異変があればすぐに対応する、といった方向の注意喚起をすべきである。

感染検査させない国の方針こそが追及されるべき

韓国の感染者数急増を騒いでいる連中の馬鹿さ加減にもほとほと嫌気がさす。韓国は検査数を増やしたから感染者数が増えたのであって、日本も検査数を増やせばたちまち1桁2桁増える。
韓国で新型コロナウイルスの感染者が全国で出ている中、検査件数も急増している。
中央防疫対策本部によると、23日午前9時現在、6039件の検査が進められている。1日約5000件の検査能力を上回る件数だ。
新型コロナ検査能力 1日1万3千件に拡大へ=韓国 聯合ニュース 2020/02/24
日本は何をやっているんだ、という話である。
1日万単位の検査は可能だといわれているのに、理解不能な縛りをかけて数千件しか検査しようとしない国が世界から信用されるはずはない。
なぜ検査体制を国が統制しようとするのか? メディアはそこをなぜ徹底的に追及しないのか?

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新型コロナウイルス 専門家たちの発言・まとめ2020/02/23 22:26

COVID-19について、感染症対策の専門家たちはどう発言しているか、まとめてみた。
参考にしたのは、
  • 岡田晴恵(白鴎大学特任教授・専門は感染症学、公衆衛生学、児童文学)……連日テレビに出演し、すっかり顔が知られているあの人。
  • 岩田健太郎(神戸大学病院感染症内科診療科長・教授)……YouTubeにクルーズ船内の状況がひどいという動画をUPして注目されたあの人。
  • 高山義浩(厚労省技術参与)……岩田教授のYouTube動画についてフェイスブックで一部訂正・反論するコメントを出して注目された人。
  • 上 昌広(医療ガバナンス研究所理事長・元東京大学医科学研究所特任教授)……「そもそも総研」の玉川氏のインタビューなどで、政府がCOVID-19の感染検査を本気でしようとしていないことを批判。
  • 高橋 央(新ゆり内科院長・米国CDC実地疫学認定医。2003年にはWHO短期コンサルタントとして、フィリピンSARS封じ込め チームリーダーとして活動)……2月23日放送の日本テレビ「バンキシャ!」では「東京五輪を強行突破で行ってはいけない。引き返す勇気も必要」と発言。
……など、感染症研究を専門とし、学術だけでなく、実際にパンデミック現場を生で見てきた人たち。

全員がほぼ一致しているのは、
  • 日本での感染はすでに拡大期に入っており、今からできるのは感染者・重症患者の増加カーブをなだらかにする努力だけ
  • ピークカーブを押さえてカーブをなだらかにするために、収束時期が遅くなることは仕方がない
  • 感染ルートはもはや追えないし、追っても意味がないので、これから出てくる重症者をいかに減らすか、重症者を死なせないかが最大の課題
ということだ。

以下、いくつかの意見・見解をまとめてみた。

高山義浩氏が 2020/02/16 にFacebookに投稿した文章の要点
  • 新型コロナに感染したときの臨床像は、上図のような2つのパターンに分けられる。
  • 大半の人は、風邪症状が1週間ぐらい続き、そのまま軽快する。普通の風邪は2、3日で治るが、新型コロナだと長引くのが特徴。
  • その1週間で軽快しない場合は、倦怠感と息苦しさが出てくる。体のむくみや下痢などが出ることもある。高齢者や基礎疾患のある人がここまでこじらせやすいが、子供は稀。
  • 感染してから発症するまでの潜伏期間は5日(1-11日)ぐらい。入院を要するほどに重症化するのは、さらに10日(9.1-12.5日)経ったころだと見積もられている。
  • 感染力が強いのは、発症から3~4日目ぐらいだと考えられるが、重症化すると感染力も維持されて院内感染を引き起こしやくなる。
  • 世代別の疫学報告がまだ出揃っていないので正確なことはいえないが、ざっくりとした印象では、若者の重症化率と致命率はほぼゼロではないか。一方、感染した高齢者の1割ぐらいが重症化して、1%ぐらいが死亡するのではないかと感じている。要介護高齢者や入院患者では、さらにリスクが高まる。
……とした上で、
  • もはや、流行を抑止することは主たる目的ではない。重症化する人を減らし、死亡する人を極力減らすことに力を注ぐべき
  • 高齢者や基礎疾患(糖尿病、高血圧、腎臓病など)のある人(=ハイリスク者)に感染させないようにすることが最重要課題
  • このような家族がいる場合、ウイルスを外から持ち込まないように、玄関先にアルコールを置いて帰宅時の手指衛生を徹底すること。
  • 同居人が風邪をひいたら、症状が治まるまで家庭内で隔離。難しければ、ハイリスクの者を親族の家などに疎開させる。
  • 風邪症状に過ぎないのに新型コロナかどうかを確認するためだけに、救急外来を受診することは避ける。そこでハイリスク者に感染させてしまうことになりかねないから。
  • 高齢者施設の感染管理は極めて重要。100人の入所者がいる施設で新型コロナがアウトブレイクした場合、30人以上が発症し、10人以上が救急搬送を要して、数人が死ぬというイメージが必要。
……と、特に高齢者や病人にウイルスをうつさないことの重要性を強調している。

岩田健太郎氏も2020/02/16付のブログで「COVIDと対峙するために日本社会が変わるべきこと」と題し、同じようなことを言っているが、そもそも「日本の社会風土を変えていかなければいけない」と訴えている。
  • 感染症の広がりはウイルスだけが決めるのではない。社会や個人の振る舞いも大きく影響する。
  • 日本人は風邪症状くらいでは休まないから、他の国より感染が広がる可能性が高い(和歌山の医師が発熱後も解熱剤を飲んで大阪の病院でバイトしていたのがよい例)。
  • COVID-19での死者を減らす方法は、日本の社会風土を変えていくことである。
具体的には、
  • 風邪をひいたり体調を崩したら家で休む。社会もそれを許容する
  • しんどくなったらマスクを付けて速やかに病院を受診する。しんどくなければ必須ではない。しんどさの基準は個人差があるので個々の判断で。
  • 自宅に家族がいれば、病気の人はマスクを付けて、神経質に何かに触るたびに手指消毒をする。何度でも。
  • 仕事や学業を効率化する。人が集まらねばならない会議は最小化して、メールでできること(特に連絡事項)はすべてメールやチャットなどでやる。自宅でできる仕事も自宅でやる。
  • 医療リソースと公衆衛生リソース(役所含む)を大切にする。モノと人、マスクを無駄遣いしない。人も無駄遣いしない。すぐに病院に駆け込まない。「何かあったらすぐ病院に」と勧めない。夜中の記者会見など無駄なことはしない(記者会見もチャットでやればいい。昼間に)

翌、2/17のブログ「結果を出すということ(COVID対策)」ではさらに、こう駄目押ししている。
  • COVID感染者数を全数把握する意味はない。風邪の数を数えても得るものは小さい。
  • 無症状の者を検査する意味はまったくない。一方で、肺炎で死んだ人が新型コロナウイルスに感染していたかどうかの追跡調査は絶対にやらなければいけない。
  • 日本が目指すべきは、中国やその他の国よりもCOVIDの死亡率を減らすこと。
  • なんとなく都市機能を維持し、Skypeを使わない会議を続け、オリンピックもやって、なあなあでやり過ごしていけば、そのうちに世界中に新型ウイルスが蔓延し、問題が大きくなりすぎて誰も非難しなくなる。その流れでいけば政治的には成功したと思うのかもしれないが、感染症対策としては絶対に間違っている。
  • 本来ならば大臣や知事が記者会見をするのではなく、専門家集団が自分たちがやったこと、見つけたこと、これから見つけようとしていることを情報公開すべき。しかし専門家集団の存在そのものが見えてこない。
  • なあなあの対応でやり過ごすことは、長期的には「日本の発表、データは当てにならん」という評価になって大打撃になる。失った信用を取り戻すのはとても時間がかかる。中国はSARSのときにそれを思い知ったから、今必死で名誉挽回を図っている。
  • 新しい感染症が出た後の日本の総括はいつもグダグダだった。何をめざすか(使命)が曖昧なので総括もふわふわになる。今まではそれでやり過ごせたかもしれないが、今回は世界中から日本が注目されている。もうグダグダ、ふわふわは許されない。

しかし、今の日本では曖昧ふわふわグダグダどころか、 ↑こんなことが起きている。

上 昌広氏もほぼ同じことを言っているが、上氏はさらに「現場のことは現場をいちばんよく知る者に任せよ」「国は専門家ではないのだから指示を出すのではなく、後方支援に徹せよ」と強調する。
医療のことは各病院の院長が責任を持って指揮すればよい。現場特有の問題が必ずあって、それに合わせて臨機応変に動かなければいけないのだから、それを国がいちいち縛ったり、的外れな命令をしてはいけない、というわけだ。
ストレートな物言いをするために「反政府の左翼」などというアホな攻撃コメントも数多く目にするが、彼だけでなく、現場で命がけの活動をしてきた人たちは、政治家に期待できないことを嫌というほど学んできている。その結果、どうすればいいのかという具体策の提言をしているだけであり、政治色がどうのではなく、理系人間としての合理主義を貫いているだけなのだ。
上氏は2011年の津波被害や原発爆発後の現場に何度も足を運び、現地での復興の困難さを見てきている。
2015年に上氏が書いているこのリポートなどを読んでも、彼が極めてまっとうな合理主義者であることが分かる。
筆者たちが健診や内部被曝検査などの活動を遂行できたのは、川内村役場のチーム力のおかげだ。遠藤村長が率いる川内村役場の方々は、住民への説明、我々への案内などを完璧にこなしてくれた。
(2015年7月 ブログ「絶望の医療 希望の医療」上昌広 「住民の帰還問題を解決に導く川内村の特養」 より)
↑これを読んで、川内村に7年暮らしていた私も、村長や隣家のけんちゃん(ジョンの飼い主)の顔が浮かんで嬉しくなった。
ちなみに、原発爆発直後に川内村で起きていたことは、⇒2011年3月の日記のこのあたりに詳しく記録しているので、興味があるかたは読んでください。

メディアよ、しっかりしろ

毎度のことだが、メディア(特にテレビ)の報道については、本当にガッカリさせられる。
  • 1)ミステリーとかパニック小説のように、感染経路を追う推理みたいな話にして視聴者を引きつける
  • 2)水際作戦の失敗と市中感染を認めざるをえないとなって、責任論に持っていく
  • 3)あちこちに悲劇やアホ喜劇を見つけようとして、劇場化させる
……という段階が終わり、
  • 4)今までタブーだった東京五輪の開催危機に関して、いよいよ触れないわけにいかず、恐る恐る報じ始めて、政府と庶民(視聴者)の表情を窺う←(今ここ)
  • 5)東京五輪がどうなるのかは分からないが、その後、COVID-19は日常の一部と化していく。「今年のコロナウイルスはC型が主流のようです」なんて、インフルエンザと同じ扱いになるだけ←多分、こんな感じになっていくのではないかなあ……

……3.11の後がまさにこういう流れだった。今回も同じなのか? 何も学ばない、反省しないのか?


上氏はテレビにもときどき出てくるが、事前に「政権批判のようなことは言わないでください」と念押しされることもあるそうだ。
連日テレビに出ずっぱりの岡田晴恵氏は、このところすっかりやつれてしまったように見える。やはり相当なプレッシャーを受けながらの出演で、身体より精神的な疲労が溜まっているのだろう。心配だ。
今日(23日)、日本テレビ「バンキシャ!」に出演した高橋央(ひろし)氏は、静かな笑みを時折浮かべながら、淡々とした口調で、感染がどんどん広がっていくのは専門家なら誰もが分かっていることで想定内だとした上で、「東京五輪は強行突破しようとしてはいけない。引き返す勇気も必要」だと述べた。おそらく、これには番組制作側も慌てたのではないだろうか。
これが最後の起用にならないことを祈りたい。

メディアはどこを見て報道すべきなのか。
誰も見る必要はない。見るべきは人の顔ではなく、現場の実状である。
今起きていることだけを伝えればよい。そして、誰かの代弁者ではなく、今起きていることを正しく分析し、合理的な判断を示してくれる人を呼べばよい。
例えば、23日には千葉市内の中学校に勤める60代の女性教諭が感染していたことが分かったと一斉に報じられた。
校内感染は起きていないのか? と心配するところまでは普通の伝え方だろう。しかし、「生徒たちにうつしていないのでしょうか?」という誘導は絶対にやってはいけない。これは完全なミスリードだからだ。
なぜなら、この教諭はたまたま具合が悪くなって検査をしたから感染が分かっただけであり、誰からいつどうやってうつされたのかは分からない。教諭から生徒へではなく、その逆である可能性がある。教諭より生徒のほうが数は多いし、若年層のほうが発症しにくいことはすでに分かっているのだから、無症状のまま感染している生徒が複数いて、そこから60代の教諭にうつった可能性も高いのだ。
さらにいえば、ウイルスに対して60代の教諭と10代前半の中学生とどちらが「弱者」かを考えれば、明らかに教諭のほうが弱者であろう。
では、この中学校の生徒全員を今からPCR検査できるのか? ……現時点での検査体制(恣意的に検査数を減らそうとしている)ではできないだろうし、するべきなのかどうかという判断も難しい……ということを、専門家たちの発言を聞いて学んだ私たちは知ることができる。
メディアの使命は、視聴者、読者が正しく判断できるような情報を提供することだけである。


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岩田医師と高山医師の絶妙な連係プレー?2020/02/21 22:39

世の中は「新型コロナウイルス」(以下「COVID-19」と表記)のことで連日大騒ぎになっている。
分からないことだらけだが、2月21日の現時点で見えてきたことをまとめてみる。

COVID-19について分かっていること

  • 感染力は強く、当初言われていた接触感染、飛沫感染の他にエアロゾル感染がかなりあるのではないかという情報やデータが出てきた
  • 感染しても気づかないくらい抵抗力のある人もいるが、その人たちも人に感染させる可能性はあるのでやっかい
  • 発症後の症状の最大特徴は「経験のないほどの倦怠感」で、起きて動く気力もなくなるほど。他に、なかなか下がらない熱、咳、ときには下痢など、風邪に似た症状
  • 若年層は感染しても症状が出なかったり、出ても回復が早く、ほとんど重症化しない
  • しかし、高齢者や持病のある人は風邪症状が続いた後、一気に重症化し、死に至ることもある
      ⇒(そのため、致死率は高齢者(65歳~)とそれ以下で分けて算出したほうがいいのではないか?)
  • 重症化の初期タイミングで抗HIV薬の投与により症状改善が望めるらしい
  • 日本での水際作戦は失敗し、2月下旬時点で、すでに日本国内での市中感染がどんどん拡大している
  • 終息予測はたっていない。SARSのときのように気温が高くなれば弱まるのかも不明。一旦感染した人が抗体を持ち、再感染しないのかもよく分からない

ダイヤモンドプリンセス号問題

次に、注目を集めているダイヤモンドプリンセス号の乗員乗客の状況と、それに対する日本政府の対応については、こうなるだろうか。

  • 船籍はイギリス、運営企業はアメリカ(ダイヤモンドクルーズ社)。2月3日に横浜港沖に停泊した時点で乗客は2666人、乗組員が1045人(合計3711人)が船の中にいた
  • 乗客の国籍は56カ国・地域に渡り、このうち日本人の乗客はおよそ半数の1281人(*)。乗組員の国籍構成は詳細不明だが、ほとんどは東南アジア、南アジアの人たちらしい
  • 1月20日  横浜から出航。香港やベトナム、台湾、沖縄をまわって2月4日午前に横浜に帰港するスケジュールだった
  • 2月1日  香港で下船し帰国した乗客(80)がCOVID-19に感染していたと香港政府が発表
  • 2月3日  夜、予定より早く横浜港に到着。着岸はせずに停泊し、日本政府の検疫下に置かれる。厚労省から派遣された検疫官が入船し、発熱などの症状がある人を確認
  • 2月4日  この日の夕食までそれまで通り船内のレストランで食事を提供。シアターやカジノ、カラオケも営業していた(*)
  • 2月5日  乗員乗客のうち10人にCOVID-19感染が確認される。乗客全員を自室待機にする隔離措置を開始
  • 以後、発熱などの症状がある人を中心に感染検査を進めるが、検査体制が1日数百人規模のために追いつかず、検査結果が発表されるたびに感染者数が増大していく。この日、後に死亡する女性Aさん(84・基礎疾患なし)が発熱
  • 2月6日  乗組員にマスク着用命令が出る(*)。Aさんが発熱を訴えて船内医務室で受診
  • 2月10日  後に死亡する男性Bさん(87)が発熱。翌11日に下船して入院。5日に発熱したAさんが船内で問診を受け、投薬・点滴・ウイルスの有無を調べるため検体を採取
  • 2月11日  Aさんが船内で再々受診。医師は入院が必要と判断
  • 2月12日  DMAT(災害派遣医療チーム)などの医師38名、看護師36名、薬剤師17名が診療にあたるも、感染者は毎日確認され、累計が増え続ける。感染者のうち4人(うち日本人3人)が重症化し、集中治療室にて人工呼吸器をつけての治療(*)
     5日に発熱したAさんがようやく下船し、病院に搬送される。入院後、前日採取された検体検査で陽性が確認される。さらには検疫官1人も感染が確認される
  • 2月14日  5日に発熱し、12日に下船~入院したAさんの容態が悪化。酸素マスクをつけるが症状改善せず
  • 2月15日までに計218人の感染者が確認される。感染が確認された者は順次下船させて日本国内の病院等に入院させるが、感染者と同室だった家族などはそのまま部屋に隔離を続ける。さらには乗員は感染検査もほとんど受けられず、狭い相部屋にて過酷な労働を強いられていることが問題視される
  • 海外からは日本政府の検疫方法に非難の声が上がる。特に日本人に次いで乗客が多かったアメリカでは、「感染拡大の第二の震源地を作った」(ABCニュース)「公衆衛生の危機対応で『こうしてはいけません』という教科書の見本のような対応」(ニューヨークタイムズ)などの批判も
  • 2月16日  アメリカ政府はアメリカ国籍の乗客(425人)を船外に待避させるためにチャーター機を派遣し、本国へ移送開始。イギリス、イタリア、カナダ、オーストラリアなどの国も同様の対処をすると発表
  • 2月18日  神戸大学医学研究科感染症内科教授・岩田健太郎医師が、厚労省技術参与・高山義浩医師の助言を受けてDMATの一員という名目でダイヤモンドプリンセスに乗船したものの、すぐに退出を命じられる
  • 2月19日  ウイルス検査を受けて陰性とされた乗客の下船が始まる。この日は乗客443人が下船。バスで横浜駅などのターミナル駅に移動し、解放。公共交通機関などで各々が帰宅の途につく。解放後すぐに横浜駅地下街の寿司屋で食事をする夫婦もいた。この日までに検査が終了したのは3011人。陽性が確認されたのは621人(うち、無症状が322人)。下船直前での検体採取は行っていない ⇒下船後の乗客が後に感染が分かっても、いつ感染したのか追跡調査ができなくなる恐れ
     岩田医師が前日の体験をもとにYouTubeに船内の状況を問題視する動画を公開。たちまち拡散する。夜、高山医師がFacebookで同動画について一部の事実誤認などを指摘し、状況説明を行う
     一方、岩田医師を船から退出させたことについて、橋本岳・厚労副大臣がTwitterで「お見掛けした際に私からご挨拶をし、ご用向きを伺ったものの明確なご返事がなく、よって丁寧に船舶からご退去をいただきました。多少表情は冷たかったかもしれません。専門家ともあろう方が、そのようなルートで検疫中の船舶に侵入されるというのは、正直驚きを禁じ得ません」などと書き込み、「ちなみに現地はこんな感じ。画像では字が読みにくいですが、左手が清潔ルート、右側が不潔ルートです」と、写真を掲載したことで、それを見た人たちから一斉に「やはりグチャグチャじゃないか」と嘲笑と共に大反響が起きる。橋本副大臣はすぐにツイートを全削除した
  • 2月20日  入院していたAさん、Bさんが死亡
     船内で事務業務にあたっていた厚生労働省の職員1人と、内閣官房職員1人の感染を確認
     岩田医師は高山医師からの意見を受けてYouTube動画を削除。同日、日本外国特派員協会でSkype経由の記者会見に応じ、動画の削除の理由(データが公開されるなど対応が改善されたことで、初期使命を終えた)や、動画の中で訴えたことに基本的に間違いはなく、今も同じ考えであることを説明
     加藤勝信厚労相は同日夜に記者会見を開き、「明らかに検疫期間に発症者が減少しており、隔離が有効に行われた」として検疫が有効に作用したとの認識を示す

日本政府と厚労省の対応

こうして見ていくと、厚労省が主張する「検疫・隔離は有効に行われた」という説明を素直に受け止めることはとてもできない。
すでに各方面から指摘されていることだが、
  • 検査体制が十分に整っているのに、民間検査機関での検体検査をなぜ行わなかったのか?
  • 船内に長期間閉じ込めることによって感染が広がり、重症患者が出てしまう危険性になぜもっと早く気づかなかったのか?
  • 対人接触回数が多い乗員の感染チェックがいちばん後になったのはなぜなのか?
……といった疑問がすぐに浮かぶ。
3000人を超える乗員・乗客を隔離して経過観察できる施設がなかったというが(中国武漢からチャーター便で帰国させた人たちの隔離場所であったホテル三日月では相部屋が生じたし、その後の政府関連施設では共同トイレの宿舎)、すでにほぼ完成している東京五輪選手村施設を使うことなどは誰も提案しない。
普通に考えればまっ先に思いつきそうなものだが、政治家もメディアも絶対に選手村のことは口にしない。それができたなら、世界中から「さすがはおもてなしの国だ。素晴らしい」と賞賛され、たとえオリンピックが開催できなくなっても、国のイメージは一気に上がっただろう。
選手村を使えない理由があるならそれを説明してもいいと思うのだが、東京五輪関連の話がリンクすることはトップレベルのタブーになっている感じだ。

高山医師と岩田医師の超絶連係プレー?

岩田医師が公開したYouTube動画については、一部では「スタンドプレー」「ただの目立ちたがり屋」「ヒーロー気取り」「現場にとって迷惑なだけ」といった批判が寄せられたが、それは違うだろう。少なくとも原発爆発の後に1F(いちえふ)に乗り込んだ某議員(なんと今回の専門家会議に政府側から参加しているらしい)のようなのと一緒にしては失礼だ。
岩田医師の動画に対して高山医師がFacebookに書いた文章と、それに対する外からの膨大なコメントが非情に興味深い。
まず、岩田医師、高山医師、両者の話を合わせると、実際にはこういうことだったようだ。

  • 岩田医師は当初からダイヤモンドプリンセス号への対応に疑問を持っていたが、乗客や関係者から「なんとかならないか」という悲痛な訴えを受け、現場に行くことを決意
  • 岩田医師は、現場で指揮にあたっていた高山医師とは旧知の間柄で、今までもこうした現場で共に仕事をしたこともある「仲間」と認識している。そのため高山医師に現場に入りたいと電話で相談する
  • 高山医師は厚労省の役人、自衛隊、DMATなどが複層的に入り乱れている現場で、すでに始まろうとしている乗客の下船手続きなどで手一杯だった。ただでさえこれ以上の混乱を押さえたいところにストレートな性格の岩田医師が乱入してくるとやっかいだと直感し、周囲を刺激せずに入ってもらうため「やり方を考えましょう」と応じる
  • 高山医師は厚労省のスタッフとして動いていたが、誰を入れていいという権限はないので、現場で一緒に動いていた「環境感染学会」に相談してみることを提案する。岩田医師はさっそく環境感染学会に「現場に入りたい」と申し入れるが、しばらく放置された後に断られる
  • そこで高山医師は、次に「DMAT(災害派遣医療チーム)のメンバーとして入ってはどうか」と進言する。その際、「DMATとして入る以上は、DMATの活動をしっかりやってください。感染管理のことについて、最初から指摘するのはやめてください。信頼関係ができたら、そうしたアドバイスができるようになるでしょう」と伝えた。岩田医師は「分かりました」と言ってDMATに合流した
  • 岩田医師はDMAT合流後、DMATのチーフドクターからは「あなたにはDMATの仕事(医療行為など)は期待していない。あなたは感染のプロなのだから、そっち方面の仕事をするべきだ」と言われる
  • それを一種の拒絶とはとらえなかった岩田医師は、すぐに周囲に感染対策アドバイスを始めるが、現場では翌日に迫っている下船のための準備に追われていて、(あなたが言うことはすべてごもっともで、自分たちもそう思いながらここまできたが)今さらそんなことを言われてもどうしようもないという空気になる
  • 結果、煙たがられるだけになってしまい、さらには橋本厚労省副大臣の怒りを買い(「なお昨日、私の預かり知らぬところで、ある医師が検疫中の船内に立ち入られるという事案がありました。事後に拝見したご本人の動画によると、ご本人の希望によりあちこち頼ったあげくに厚生労働省の者が適当な理由をつけて許したとの由ですが、現場責任者としての私は承知しておりませんでした」とツイートしている)、すぐに追い出される
  • 岩田医師は憤懣やるかたなく、すぐにYouTubeに動画をUPした
  • その動画はたちまち波紋を呼び、メディアも岩田医師を追いかけ、テレビ出演させるなどした
  • この状況を見て、高山医師は岩田医師と話し合い、とりあえずYouTubeの動画は削除してもらった
  • 岩田医師は、問題指摘の目的は果たせたし、橋本副大臣が無能ぶりを自ら証明するようなオマケまでつけてくれたことで、高山医師との連携を尊重し、お互いの役割分担、棲み分けを意識しながら、外国特派員協会での会見にも今までより慎重な言葉を選びながら応じた

……この流れを見ていくと、高山医師と岩田医師は、(ご本人たちにはそのような意図はなかったとしても)結果として絶妙な連係プレーをしたのではないかと思う。いっぱいいっぱいの極限状況にあった現場の業務を必要以上にかき乱さず、同時に問題点を広く世に知らしめることになったのだから。
Facebookのコメント(医療関係者が多い)などを見ても、高山医師は人望があることがよく分かる。また、岩田医師とは性格が正反対なようでいて、お互いの能力を信頼し、認め合っていることも察せられる。
このレベルの人たちが司令塔になって最初から問題にあたっていたら、事態はずいぶん違っただろうなと思う。

私も含めて、専門外の一般庶民ができることは、彼らのような優秀な人たちがしっかり活躍できる環境を作れるように、政治、行政、メディアを見張ることしかない。
別の問題でだが、あるコラムで、こんなことを言っている人がいた。
何かを隠蔽する際に「無能を理由にする」というやり方が、日本だけで許されている。場合によっては、後で「ご褒美」の昇進が待っていることすらある。


責任論ということでいえば、それを許している国民の責任がいちばん重いのではないか。



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