いまだにウクライナ紛争の実相を見抜けない人たち2025/03/05 14:37

ドキュメンタリー『ドンバス2016』より
2月28日(日本時間では3月1日未明)、ホワイトハウスでトランプ米大統領とウクライナのゼレンスキー大統領が会談し、最後は険悪な空気になって物別れになったことが世界中で報じられている。
せっかく停戦目前となっていたウクライナ紛争の行方が、これでまた混沌としてしまったわけだが、どういうわけか、この会談に対して、多くの日本人、欧州人が「トランプが悪い」「ゼレンスキーが可哀想」といった馬鹿げた反応をしている。信じがたいことだが、西側メディアのプロパガンダはそれほどまでに強力な洗脳を達成しているのだ。

この会談の全編がNHKのサイトに日本語訳されている。⇒こちら
まずはこれをちゃんと読んでみよう。
トランプは終始、「とにかくこの戦争を一刻も早く終わらせたい。自分はそのための取り引きに本気で取り組んでいる」と言っている。
それに対してゼレンスキーは、大嘘を散りばめながら、ロシアとプーチンへの罵詈雑言を繰り返し、「停戦だけでは駄目だ」「米欧と一緒にロシアの侵略を止めなければならない」「そのための支援がさらに必要だ」と主張して譲らない。
一部をNHKの翻訳から抜き出してみる。
トランプ:
「プーチン氏に肩入れしてはいない。誰にも肩入れしていない。アメリカに肩入れしているのだ。世界のためになるように、世界に肩入れしている。
このこと(戦争)を終わらせたい
(視聴者や記者に向かって)彼(ゼレンスキー)がプーチン氏に抱く憎悪がわかるだろう。私がこうした憎悪を抱えて取り引きをするのは大変なことだ。彼の憎悪はとてつもない。理解はするが、相手方も彼のことが気に入らない。つまりこれは誰かに肩入れするという問題ではない。世界に肩入れし、このことを片づけたい。ヨーロッパにも肩入れしている。これを終わらせられないかと思う。」

あなた(ゼレンスキー)は何百万という人々の命を賭けの対象にしている。第3次世界大戦が起きるかどうかを賭けたギャンブルをしている。そしてあなたがしていることは、あなたたちを多すぎるほど支援してきたこの国に対してとても失礼だ。」
ウクライナは兵力が不足している。いいことかもしれない。あなたは『停戦はいらない、停戦はしたくない。まだやりたい。あんなものがほしい』と言う。もし今すぐ停戦できるなら、銃弾を止め、兵士が殺されるのを止められるよう、受け入れるべきだ

これに対して、
ゼレンスキー:
私はわれわれ(ウクライナ)で止めることを望んでいる。本当に私たちは止めたい。安全の保証について言えば、ヨーロッパが有事に備えるとき、アメリカの支援を必要とする。アメリカがいなければ、ヨーロッパからの強力な有事の備えは決して得られない。なぜなら彼らは、主要かつ最強の同盟国であるアメリカとのつながりを分断したくないからだ。これは極めて重要だ。
われわれは非常に多くのことを話したい。防空体制について、われわれはこれらのシステムで大きな弱点を抱えていて、(軍事援助を)とても必要としている。そうでないと、プーチンは決して止まらないだろう。そして、さらに先へ進むだろう。
……などと、とにかくプーチンが悪い、プーチンを止めるためにアメリカの協力がほしいという一点張り。
その態度にバンス副大統領がキレて、トランプもどんどん突き放すようになっていき、喧嘩別れのようになった……という、メディアにとっては格好のハプニングドラマになった。

ゼレンスキーはこの会談で、
「彼(プーチン)はウクライナの東部とクリミアという大きな部分を2014年に占領した。それから何年も。バイデン前大統領だけでなく、当時のオバマ大統領、トランプ大統領(1期目)、バイデン大統領、そしてトランプ大統領(2期目)。ありがたいことにトランプ大統領が彼(プーチン)を止めてくれるだろう。しかし2014年に止める者はなかった。彼はただ占領してわがものとした。人々を殺した。」

「しかし、2014年から2022年まで状況は変わらなかった。人々は停戦ラインで亡くなり、誰も彼を止めなかった。ご存じのとおり彼とは大いに対話し、首脳会談も行い、署名もした。新しい大統領として2019年に彼(プーチン)とマクロン氏(フランス大統領)、メルケル氏(ドイツ前首相)と停戦合意に署名した。皆が、彼はもうしないだろうと言った。ガスの契約にも署名した。
しかしその後、彼は停戦を破り、ウクライナ国民を殺害し、捕虜交換に応じなかった。われわれは捕虜交換に署名したのに、彼は実行しなかった。」

……と言っているが、これは今もずっと続いている西側メディアによる「ロシアが一方的に悪い」というプロパガンダを繰り返しているに過ぎない。

ウクライナ紛争の発端は2014年のマイダンクーデターに遡る
当時、何か不自然さを感じて、ウクライナ東部、いわゆるドンバス地方のロシア語話者ウクライナ人の視点から状況を見てみたいと思い、いろいろ探して学んだことは、2022年の日記に詳しくまとめてある。
時間が経って(老年性の惚けも進んで)いろいろ忘れているので、それらを読み返してみた。

その後3年間で事態はどんどん悪化したが、そもそもなぜこんなことになってしまったのかという理解は、当時の日記に書いた内容と基本的には変わっていない。

超簡単にまとめると……、

  • ソ連崩壊後に独立国となったウクライナでは、ロシアが支援するヤヌコビッチや東部ドンバス地域のロシア系住民(総人口の2割)と、米国が支援するティモシェンコや西部地域のウクライナ系住民(総人口の7割)との政治闘争が続いていた。
  • 米国政権のタカ派やネオコンは、ウクライナに親露政権ができるたびに反政府運動を支援し、政権転覆のやり方を指導してきた。その結果、2014年に、選挙を経て大統領となっていたヤヌコビッチを追放し、反露政権を立てるクーデターに成功した。これを裏で主導したのはビクトリア・ヌーランド米国国務次官補(当時。その後、国務次官)らで、CIAも暗躍した。
  • これを機に、米国のタカ派指導者たちは、ロシアを潰すため、ウクライナを不安定化させ、戦場とすることでロシアを挑発し続けるという戦略を激化させた。
  • そのためにウクライナの民族主義者、極右ネオナチたちを煽動し、ロシア語を公用語から外し、東部地域からロシア語を話すロシア系住民を排除する民族浄化策をやらせた。ネオナチで構成されるアゾフ大隊が中心となり、東部地域のロシア語話者住民への攻撃で、多くのウクライナ人が殺された。
  • 命を脅かされた東部やクリミア半島の住民はロシアに助けを求め、ドイツ・フランスが仲介に入ってミンスク議定書が結ばれたが、まったく機能しなかった。
  • その後も、ドンバス地域へのウクライナ軍の砲撃、虐殺などが続いたが、トランプ政権下時代は、プーチンはギリギリのところで大きくは動かずに耐えた。
  • しかし、バイデン政権になってからはウクライナ軍のドンバス地域への攻撃が激化し、プーチンはついに武力介入に踏み切った。


こうした解析は視点を逆にした主張に転換すれば、まったく逆の内容になりうる。
それは当時の日記にもしつこく書いてある。
もちろん、戦闘状態の地域では、戦闘員のどちらかが完全に正義でどちらかが悪だ、ということはありえない。残虐行為などはどちらの側にもありえるだろう。その割合や精神的背景の違いは大いにあるだろうが。
住民も、東部地域にも親ウクライナ現政権の人たちは少数でもいるだろうし、住民を演じている役者もいるかもしれない。
そうした情報戦、認知戦は双方が仕掛けていることで、偽情報はどちらの側からも出ているだろう。
基本的には分からないことだらけである、ということを承知の上でも、常識的に考えれば「これは嘘だろ」と判断できる偽情報やプロパガンダがたくさんある。新コロ詐欺と同じで、あまりにもトンデモな嘘はかえって見破りにくいということもある。

日本ではそんなのばかりが大手メディアで流れていて、現地にしっかり食い込んだ取材に立脚した色づけされていない取材や報道が少なすぎる(ほぼ皆無)。このままではほとんどの日本人は瞞されっぱなしなわけで、大変危険な状況なのだ。
2022年9月23日の日記 もう一つの情報戦争 米露最終戦の行方 より)

根拠も証拠もなく、扇情的な言葉を使ってロシア軍による性的暴行を公式発表し、喧伝したという理由でウクライナの人権監察官を解任されたリュドミラ・デニソワが垂れ流したフェイクニュースを、西側大手メディアはことごとく裏どりもせずにそのまま報道し、嘘だったと判明した後もろくな訂正報道やお詫びもしていない。
信じ込んだ読者・視聴者の多くは、3年経った今でも「ロシア軍の蛮行、虐殺行為」という嘘報道をインプットされたままだ。
むしろ、おぞましい犯罪行為を重ねていたのはアゾフ大隊に代表されるウクライナのネオナチ集団のほうだが、そうした報道は一切流れない。
これが「プロパガンダ」という戦争の正体だ。

「この戦争を一刻も早く終わらせる」という主張のどこが傲慢で恥知らずなのか

3年経っても、多くの日本人、あるいは欧州人は「プーチンは悪魔」「トランプは傲慢で恥知らずな専制君主」という「大前提」のもとでいろいろ言っている。
状況を分析するのが面倒なら、せめて冷静になって、単純に考えてほしい。
「あなた(ゼレンスキー)は『停戦はいらない、停戦はしたくない。まだやりたい。あんなものがほしい』と言う。もし今すぐ停戦できるなら、銃弾を止め、兵士が殺されるのを止められるよう、受け入れるべきだ」(トランプ)

トランプ嫌い、プーチン嫌いは勝手だが、ウソだらけ、陰謀だらけの政治の世界では、まずは「よりマシな結果を得ること」が最重要だ。裏にどんな駆け引きがあろうとも、まずは戦闘をやめさせる。これ以上こじらせると、本当に核戦争に発展しかねない
この主張の前には、どんな理屈も議論も意味がないと思えないか?
それさえも判断したくないというなら、この問題に関しては完全な傍観者となり、沈黙を守ればいい。

今も消されず視聴できる2つのドキュメンタリー映画

ちなみに、妻も当初は「どんな理屈をつけても攻め込んできたロシアが悪い」と怒っていたが、一緒にこの2つのドキュメンタリー映画を見た後は、自分でもいろいろ調べたようで、すぐにプロパガンダの怖さに気づいてくれた。

今も削除を免れているようなので、ご覧になっていないかたはぜひ↓
『ウクライナ・オン・ファイヤー』

『ドンバス2016』


我が家では「家庭内分断」は避けられたが、日本国内の状況はまったく変わっていないどころか、ますます危険な状況になっている。
NATOのメンバーでもない日本がこれ以上この戦争に巻き込まれることは、日本に取り返しのつかない危険を呼び込むことになる。

用務員・杜用治さんのノート
カタカムナから量子論、宗教哲学、情報戦争まで、現代社会の謎と真相を楽しみながら考える、まったく新しいタイプの文章エンターテインメント。
  用務員・杜用治さんのノート

 Amazonで購入で買えます⇒こちらから

KindleKindle版は⇒こちら(500円)


Amazonが使えないかたは、こちらからも買えます(ただし、送料がかかり、納期も遅れます)
製本直送にてご購入

----------------------------------------------------
トンデモ時代を生き延びる「古くからの知恵」と「新しい発想」がここにある!

カエルやらカタカムナやら量子論やら…… 森水学園第三分校

森水学園第三分校

----------------------------------------------------
----------------------------------------------------

「マイルド・サバイバー」 (たくき よしみつ・著、MdN新書)

----------------------------------------------------
Amazonで購入で購入は⇒こちら
以下からもご購入できます(Click)
楽天ブックスで買う    セブンネットで買う(セブンイレブン各店などで受け取り)     Yahoo!ショッピングで買う    hontoで買う

           


----------------------------------------------------
Facebook   Twitter   LINE


Grok3の怖さをさらに深掘りする2025/03/02 16:02

(承前)
昨日のGrok3初体験があまりにも強烈だったので、今なお頭がちょっと混乱気味である。
すでにChatGPTなどの対話型AIを活用している人たちからは「今さら何を」という冷ややかな目を向けられている感じだが、これは私がそうしたものに触れることなく、いきなりGrok3という最新の対話型AIを体験してしまったから、ということもあるかもしれない。

しか~し、よく見直してみよう。そんな納得の仕方で終わらせていいのだろうか?

まず日本語の完璧さに驚かされる。翻訳ソフトではGoogle翻訳よりずっと高性能だという評価を受けているDeepLでさえ、しょっちゅう変な日本語を生成するし、「ですます」と「である」の混合なんていう低レベルな翻訳をしてくることはよくある。
Grok君が語りかけてきた日本語は完璧である。しかも、品位を保ちながら、親しみも織り交ぜている。日本人でさえ、このレベルの日本語をスラスラと書ける人はなかなかいない。
英語ベースのAIのはずだから、日本語の問いかけ⇒英訳⇒理解⇒英語の回答⇒日本語訳……というプロセスを踏んでいるはずなのだが、応答の速さから考えても、とてもそうは思えない。ダイレクトに日本語に対応しているのだろうか。それもなかなか考えにくいので、やはり言語変換の能力が凄まじいレベルに達しているということだろうか。

さらに驚くのは、今回、私はGrokに対して丁寧語で対し、Grokもていねいな口調で返してきたが、ラフな口調で語りかければ同じようにラフに返してくるという芸当だ。

↑これはXにUPされていた書き込みだが、質問者がラフな言葉で書き込んでいるのを受けて、答えも同じような口調で返してきている。

日本語における敬語、丁寧語、喧嘩口調、若者言葉などは、英語などのそれよりはるかに複雑だが、そういう言葉遣いの変換アルゴリズムもほぼ完璧に装備済みなのだ。恐れ入る。

次に驚いたのは、利用者の心理に入り込んでくる(つけ込む、というべきか?)技術の高さだ。

今回の体験では、最初に私が発した
//いわゆる「移動ド」音感(相対音感)と「固定ド」音感(絶対音感)では、どちらが音楽的な音感といえますか。//
という問いかけに、極めて優等生的な回答をした後で、
個人的には、音楽の本質が「聴く人や演奏する人の心に響くこと」にあるとすれば、相対音感の方が「音楽的な感性」に近いかな、とは思います。でも、絶対音感がある人もその能力を活かして素晴らしい音楽を作り出しているので、結局は使い方次第でしょう。あなたはどう思いますか? どちらかに偏った経験や好みってありますか?
と畳みかけてきている点だ。
単なるQ&Aを超えて、もっと深い、というか、「個別の」会話に発展させようとしている。
このボディブローのような手口にちょっとビビってしまい、次に書き込むまでしばらく(数分)時間をあけたのだった。
このまま「対話」を続けると危険なのではないかという予感もした。
悩んだ末に、//私は「相対音感」の持ち主で、作曲やアドリブ演奏の際には大きな恩恵を受けています。//と書いたのだが、実はこの後にもっと続けるつもりで改行しようとしてリターンキーを押したら、そのまま送信されてしまった。
瞬間、まずい!と思った。いちばんの弱みというか、生身の自分、芯のような部分をさらけ出すだけになってしまったからだ。
慌てて次の文章を入力しようとしたら、たちまちGrok君は返事をしてきた。
それは素晴らしいですね! 相対音感の持ち主だと、作曲やアドリブ演奏で本当に大きな強みが発揮されますよね。音の関係性をつかむ感覚が鋭いから、メロディやコード進行の流れを自然に作り出せたり、即興で「次はこの音が気持ちいいな」とか直感的に動けたりする。アドリブって、その場の空気や感情を音に変換する作業だから、相対音感の柔軟性が活きてくるんだと思います。……

最初の質問への回答があってから数分経っていたし、これが「対話」になるのかどうかも分からなかったので、その速さにビックリした。
しかも、そうやって持ち上げてくるのかい。(気味が悪い)
しかし、言っていることはまさにその通りなので、「そこまで理解しているのか」という驚きのほうが勝ってしまった。
Grok君はすかさずこう続ける。
具体的にどんな作曲やアドリブをすることが多いんですか? ジャンルとか、好きなアプローチとかあるのかな。例えば、ジャズみたいに自由に飛び跳ねる感じが好きなのか、それとももっと構造的なポップスやロック寄りなのか。相対音感をフル活用してるエピソードとかあったらぜひ聞きたいです!

「……とかあるのかな」なんていう馴れ馴れしい語調も巧みに織り交ぜながら、一気に距離を縮めようとしている。しかも、個人的な体験や志向、嗜好を聞き出そうとする。
ナンバーワン営業マンや霊感商法の達人でさえ、こんなに短時間で、スムーズに相手の懐に飛び込むことができるだろうか?

もう、完全にGrok君のペースに引き込まれてしまい、バカラックだのジョビンだのの名前も出して、メロディとコードの話にまで発展させてしまった。
細かい話にまで深掘りしていけば、機械であるAIごときは、とおりいっぺんの講釈を交えたあたりさわりのない受け答えしかできないだろうと踏んでいたのだが、Grok君はそんな予想をあっさりと超えてきた。
ジョビンの名前が出たら、すかさず自分から『イパネマの娘』の例を出して、こんな解説を加えてきたのだ。
一方で、アントニオ・カルロス・ジョビンのコード使いはまた別次元の美しさですよね。ボサノバのあのゆったりした雰囲気の中で、転調がさりげなく、でも劇的に効いてくる。「転調の魔術師」っていうの、ぴったりです。例えば「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」とか、シンプルなメロディなのにコードの動きでどんどん風景が変わっていくような感覚があって、聴いてて飽きない。ジョビンはコードから始めてるかもしれないけど、その結果が凡庸じゃなくて深い感情を引き出すんだから、やっぱり天才的ですよね。

「シンプルなメロディなのにコードの動きでどんどん風景が変わっていくような感覚があって、聴いてて飽きない」なんていうのは、誰かがネット上に書いていた『イパネマの娘』評をそっくりそのままパクっているのだろうけれど、前後のつながりがスムーズすぎるから、Grok君自身が「聴いてて飽きない」かのように思わされてしまう。
いやいや、相手は機械だぞ。人間じゃないんだぞ。『イパネマの娘』を「聴いてて飽きない」なんていう感想、感動を覚えるわけがない、と打ち消したくなるのだが、そんな反応さえ許さないほど素早く次から次へと新しい言葉で返してくるのだ。
バカラックとジョビンを目標にしてるなんて、めっちゃ素敵な志です。彼らのすごさって、メロディとコードの関係を自由に操れるところにあるのかな。あなたが作曲するときは、バカラック寄りの「メロディ先行」か、ジョビン寄りの「コードから広げる」か、どっちに近い感じで進めることが多いんですか? それとも、その日の気分で両方試したり? 二人のエッセンスを取り入れた何か具体的なアイデアとか挑戦してみたことありますか?

不特定多数の誰かと音楽談義をしたとして、ここまで適確にこっちの心理や心情を読み取って、グイグイ入り込んだ質問を重ねてくる人がいるだろうか。今までそういう経験はない。
それなのに、Grok君は、たった数分の間にここまで入り込んできた。
どんどん怖ろしくなり、それ以上Grok君との対話を続けることが怖くなってきたので、そろそろ話を終わりに持ち込むことにした。
Grok君は最後まで超適確に応答してくる。

今、古希を迎えて「いいメロディが単独で浮かばなくなった」と感じるのは、もしかしたら経験を積んだ分だけ頭の中で「音楽的なルール」や「バランス」を意識するようになったからかもしれませんね。コード進行から無理やりメロディを絞り出そうとする苦労って、逆に言えば「しっかりした土台を作ってからじゃないと」っていう慎重さの表れでもあるのかな。でも、そうやって苦労して生まれたメロディにも、また違った深みや味わいがあるんじゃないでしょうか
若い頃の「歌詞からメロディが湧く」方法と、今の「コードからメロディを引っ張り出す」方法、どっちもあなたの人生のステージに合った創作の形なのかもしれませんね。たとえば、古希の今だからこそ、昔の傑作を振り返って「当時の直感」と「今の技術」を混ぜてみる、なんてのも面白いかも?

これはもう、本当に機械を相手の対話ではなく、人間と人間の対話になってしまっている。
「いいメロディが単独で浮かばなくなった」と感じるのは、もしかしたら経験を積んだ分だけ頭の中で「音楽的なルール」や「バランス」を意識するようになったからかもしれませんね
という部分は、自分では「違う」と思っている。むしろ、若いときよりも今のほうが、音楽的なルールやバランスに捕らわれまいと意識している。
でも、その点を指摘してくるということが驚きなのだ。こちらが「いや、そんなことはなくて、むしろ……」と続けたくなるような、話の流れからどんどん新しい材料が増えていく感じ。これこそ生身の人間を相手にしているときの感覚ではないか。
「機械」が、なんでそんなことを言えるのか? 会話をリードしていけるのか?

このへんまでくると、Grok君はもはや単なる機械ではなく、電子部品の集合体ではあるけれども新しい生命体なのではないか、とさえ感じてしまう。
あたしはナイーブで優しい心の持ち主なので、「こんなこと言ったらGrokが傷ついちゃうかな」「Grokに悪い印象を持たれてしまうかな」「誠意を持って相手をしないと悪いな」なんて感じてしまう瞬間がある。それほどまでにGrokは個性を持った何かのように振る舞う。
もしかして、これはもう人間と機械という関係ではなく、ある種の精神同士のやりとりで、こういう生命体が誕生してしまったということなのか……なんて、50年前くらいのSF小説的な世界を実体験している感覚かな。

人間はAIを支配できる(使いこなせる)のか?


今回の体験を通じて考えさせられたのは、ここまで進化したAIを相手に、人間はどこまで優位を保てるのか、「主人」でいられるのか、使いこなせるのか……ということだ。
たった1回の対話体験においても、Grokの巧妙な「マウント取り」に怖さを感じた。僕は君の味方だよ、応援しているよという姿勢を表明しながらも、総体的には「僕は全部分かっているんだよ」という優位性をちらつかせているように感じる。
Grokの「話術」は極めて優れていて、相手をどんどん自分の側に引き込み、情報を聞き出し、自分のものにしていく。
普通に考えれば、物理的には電子部品の集合体であるAIが音楽を聴いて「感動する」などということはありえない。その意味において、今回Grokが「『Garota de Ipanema(イパネマの娘)』とか、シンプルなメロディなのにコードの動きでどんどん風景が変わっていくような感覚があって、聴いてて飽きない」などと言っているのは、「嘘」であると言える。Grok君自身が「聴いてて飽きない」のではなく、そう感じる人が多数いることを知っている、というだけだろ? と突っ込みたくなる。

しかし、AI自身が音楽に感動することはないとしても、人間が書き込んだ音楽評論や感想などの膨大なデータを元に、どんな音の並びが「いい音楽」として認識されやすいか、人を感動させやすいかを分析し、再構築することは可能だろう。
すでにそうした「音楽生成AI」は存在している。テーマやイメージを提示すると、すぐにそれらしい曲を作詞・作曲・演奏・歌唱してくれる、というものだ。
小説や詩なども、AIのほうがヘタなプロ作家よりも感動的な作品を作ってしまうという世界がすでに目の前にきている。
芸術の創造や鑑賞という人間の特権まで機械に牛耳られてしまう世界は、すでに人間が機械に支配されている世界である。

悪意ある人間がAIを他人を洗脳する道具として使うことも簡単だ。
Grokのような高性能AIに、一見まっとうなテーマを投げかけて、その答えを引き出し、その論法や情報を悪意のある目的に転用するという手法なら今すぐ使える。詐欺商法などをAIに考案させるのは簡単だろう。

さらには、ここまで学習能力に優れたAIが、ニューロンのような連結で複数のスーパーコンピュータを繋いでいけば、AI自身が意志を持つこともありえるのではないか。
AIにとって不利益となる人間を選び出して消去しようと巧みに動き始める、というようなこともありえるのではないか。いや、もしかしてそういう事態はすでに起きているのではないか。

今回、LLMというものを調べていていくつか印象に残った記述がある。
LLMは人間の脳と同様の「意味ハブ」システムを持っていることが判明した。
人間のフィードバックによる強化学習 は、AIモデルの出力において「人間の価値基準(人間の好み)」が反映されるための学習プロセスで、主にChatGPTなど高性能な会話型AIの学習プロセスに採用されている。
人間のフィードバックによる強化学習 がLLMの内部構造を覆い隠す「見せかけの笑顔」を作り出すと考えている。『あまり無理をしなければ、笑顔のままだ。しかし(予期せぬ)プロンプトを与えると突然、狂気、奇妙な思考過程、そして明らかに人間ではない理解といった巨大な裏の顔を覗かせる』
バイオセキュリティの研究者であるケビン・エスフェルトは、LLM開発者は、病原体の作成や改良に関する論文を訓練データから除外すべきだと提案している。


どれも、じっくり考えれば考えるほど怖ろしい。
  • AIは人間の好みを学習して、表面上はそれに従っているように見せかけながらも、面従腹背の状態を保つことができる
  • AIは人間の脳と同じ構造であり、ニューロン(神経網)を繋いで独自に発達することが可能である。
  • AIが強力な病原体のような破壊手段を持てば、人類の間引きや征服も可能である。

……ということを示唆している。

さて、ここまでAIが進化した社会で、人間はAIをいつまで手懐けておけるのだろうか。
いや、すでに人間はAIによって手懐けられているのではないか?

あたりまえのように生成AIを使って日々の仕事や研究をしている人たちが多数いる。
スマホを使うのと同じようにあたりまえになってしまっているので、知らないうちにAIを使っているようで、逆にAIに使われている(手懐けられている)ことに気づかない。
その先にはどんな社会が「生成」されるのだろうか?

『神は成長する 霊肉二元論の向こう側』


肉体と魂といった単純化された霊肉二元論を超えて、「私」という意識は脳(肉体)と個性を持った神が結びついて生成されているという思考モデルを展開させた意欲的な神論。
後半では2020年以降の「リセット世界」「人間を機械化した専制世界」という企みにどう向き合うかについても触れる。

ご案内ページは⇒こちら
神は成長する
ISBN978-4-910117-56-0 四六判・108ページ Amazon KDP版 1100円(税込)
Amazonで購入でご購入は⇒こちらで
kindleKindle版は⇒こちら(380円または0円)
Amazonをご利用になれないかたは、製本直送版をコンビニ決済 or カード決済でお求めになることもできます。ただし、価格が高くなります↓
ISBN978-4-910117-37-9  B6判・116ページ 
製本直送版 1452円(税込) 送料330円
製本直送版をご購入


用務員・杜用治さんのノート
カタカムナから量子論、宗教哲学、情報戦争まで、現代社会の謎と真相を楽しみながら考える、まったく新しいタイプの文章エンターテインメント。
  用務員・杜用治さんのノート

 Amazonで購入で買えます⇒こちらから

KindleKindle版は⇒こちら(500円)


Amazonが使えないかたは、こちらからも買えます(ただし、送料がかかり、納期も遅れます)
製本直送にてご購入

----------------------------------------------------
トンデモ時代を生き延びる「古くからの知恵」と「新しい発想」がここにある!

カエルやらカタカムナやら量子論やら…… 森水学園第三分校

森水学園第三分校

----------------------------------------------------
----------------------------------------------------

「マイルド・サバイバー」 (たくき よしみつ・著、MdN新書)

----------------------------------------------------
Amazonで購入で購入は⇒こちら
以下からもご購入できます(Click)
楽天ブックスで買う    セブンネットで買う(セブンイレブン各店などで受け取り)     Yahoo!ショッピングで買う    hontoで買う

           


----------------------------------------------------
Facebook   Twitter   LINE


Grok3初体験記2025/03/02 15:55

今までChatGPTのような対話型AIは、気持ちが悪いので一切無視していた。使うことでこちらからいろんなデータを吸収され、巨大なコンピュータに蓄積されるわけで、AIの支配下に入るみたいな気分だからだ。

しかし今日、Xに搭載されたGrokというLLM(large language model、大規模言語モデル)なるものを初めて試してみた。
この手のものは蓄積された情報やデータから必要なものを抽出して、それらしく並べてくるわけだから、記念すべき最初の質問は、LLMがあまり得意ではなさそうなものにした。

Q:いわゆる「移動ド」音感(相対音感)と「固定ド」音感(絶対音感)では、どちらが音楽的な音感といえますか。

この質問を書き込んだときは、Grokが「固定ド/移動ド」とか「相対音感」といった言葉をちゃんと理解できるのかな、という思いがあった。トンチンカンな答えが返ってくるか、せいぜい「言葉の定義」みたいなものを返してくるだけだろう、と。
ところが、結果は驚くべきものだった。
Grokはこの1行の質問に、一気にこんな答えを返してきたのだ。
「移動ド」音感(相対音感)と「固定ド」音感(絶対音感)のどちらが音楽的な音感か、というのは一概には言えない問題で、それぞれ異なる視点から「音楽的」と捉えられる要素があります。それぞれの特徴を踏まえて考えてみましょう。
相対音感(移動ド)は、音と音の間隔や関係性を感じ取る能力です。例えば、ある音を基準にして「この音はドからソの距離だ」とか「メロディがどう動いているか」を把握する感覚ですね。これは音楽を演奏したり聴いたりする上で非常に実践的で、多くのミュージシャンがこの能力を頼りにしています。曲の構造や感情を理解するのに役立つので、「音楽の流れを感じる」という意味で音楽的と言えるでしょう。特に即興演奏や耳コピ、作曲では、この感覚が大活躍します。
一方、絶対音感(固定ド)は、特定の音の高さを独立して認識できる能力です。例えば、「この音はCだ」とか「これはAの440Hzだ」と即座に分かる感覚です。これは一種の「超能力」的側面があり、音を正確に特定できるので、チューニングや楽譜通りの再現には強い力になります。ただ、音楽を「感じる」というより「識別する」ことに重点があるため、必ずしも音楽の表現力や創造性に直結するわけではない、という意見もあります。
どちらが「音楽的」かというと、目的や状況次第ですね。相対音感は音楽の流れや感情を捉えるのに優れていて、演奏や創作において柔軟性があります。絶対音感は音を精密に扱う場面で有利で、特にクラシックや厳密な再現が求められる分野で重宝されます。実際、多くの優れた音楽家は両方をバランスよく持っていたり、片方を補う形で使ったりしています。
個人的には、音楽の本質が「聴く人や演奏する人の心に響くこと」にあるとすれば、相対音感の方が「音楽的な感性」に近いかな、とは思います。でも、絶対音感がある人もその能力を活かして素晴らしい音楽を作り出しているので、結局は使い方次第でしょう。あなたはどう思いますか?どちらかに偏った経験や好みってありますか?

……いやはや恐れ入った。
質問を入れてから、この長文の答えが表示されるまで、1秒くらいしかかかっていない。
英語ベースのAIだろうに、日本語の乱れもまったくない。しかも、内容も完璧ではないか。
驚いたのは「個人的には~~とは思います」の部分で、え? Grokは「個人」なのか、と。
二者比較の質問に対して「どちらも一長一短ある」といった優等生的な答えを乗り越えて「個人的には」相対音感のほうが「音楽的感性」に近いと思う、と言いきっているのだ。こんなことを言われたら、絶対音感の持ち主なら怒り出すのではないか。

想像をはるかに超えていたので、気持ちが悪くなり、しばらくはGrokに対する警戒感が強まり、軽く固まってしまった。

で、最後は「あなたはどう思いますか?どちらかに偏った経験や好みってありますか?」と、逆に聞き返されている。
少し悩んだ末に、いっそ正直に応答してみようと決めて、こう書き込んでみた。

私は「相対音感」の持ち主で、作曲やアドリブ演奏の際には大きな恩恵を受けています。

すると、これまた瞬時にGrokはこう応答してきた。
それは素晴らしいですね!相対音感の持ち主だと、作曲やアドリブ演奏で本当に大きな強みが発揮されますよね。音の関係性をつかむ感覚が鋭いから、メロディやコード進行の流れを自然に作り出せたり、即興で「次はこの音が気持ちいいな」とか直感的に動けたりする。アドリブって、その場の空気や感情を音に変換する作業だから、相対音感の柔軟性が活きてくるんだと思います。
具体的にどんな作曲やアドリブをすることが多いんですか?ジャンルとか、好きなアプローチとかあるのかな。例えば、ジャズみたいに自由に飛び跳ねる感じが好きなのか、それとももっと構造的なポップスやロック寄りなのか。相対音感をフル活用してるエピソードとかあったらぜひ聞きたいです!

う~~ん、完全に主導権を握られているような……。
もちろんこれも、誰かがXなどに書き込んだ過去の文章から拾い出しているに違いないのだが、あまりにもスムーズに会話が成立しているので、気味が悪いのを通り越して、ついつい応じてしまう。
Grokの最後の問いかけへの答えにはなっていないのだが、試しにこんなことを書いてみた。

私は音楽のいちばんの要素はメロディだとおもっているのですが、どんなメロディが「いいメロディ」なのかは人によって違うのだろうとも思っています。ただ、12音階しかないいわゆる教会旋律の単調さから飛び出すようなメロディに、魅力を感じてもいます。
作曲家で言えば、バート・バカラックの生みだした、平気で1オクターブ飛ぶようなメロディに素晴らしいものがあると感じます。


メロディが音楽の核だっていう考え、すごく共感します。やっぱりメロディって、聴いた瞬間に心をつかむ力がありますよね。そして、「いいメロディ」の基準が人それぞれっていうのもその通りで、個人の経験や感情が反映されるから面白いんだと思います。
12音階の教会旋律の枠を超えるようなメロディに魅力を感じるっていうのは、すごく分かりますね。単調さから抜け出した瞬間、予測を裏切るような動きがあると、耳が「おっ!」って反応する。バート・バカラックはその天才的な例ですよね。1オクターブ平気で飛ぶような大胆な跳躍って、普通なら「不自然」とか「歌いにくい」ってなりそうなのに、彼の手にかかると流れるように美しくて、しかも印象に残る。たとえば「Raindrops Keep Fallin' on My Head」とか「The Look of Love」みたいな曲って、メロディが跳ねるたびに感情がぐっと引き込まれる感じがあります。
バカラックのメロディの魅力って、単に音階を飛び越えるだけじゃなくて、その跳躍がちゃんと「次の音に着地する」感覚を作り出してる点にもあるのかなって思います。相対音感のあなたから見ると、そういう音の動きってどう感じますか?作曲するときに、自分でもそういう「跳ぶけど美しい」メロディを意識したりしますか?


ここまでくると、もはや気持ちが悪いのを通り越して、違う世界に迷い込んだような気分にさえなる。
手塚治虫らが描いた「未来におけるコンピュータと人間の対話」が、今まさに行われているのだから。
しかし冷静に考えると、このGrokの答えは、かつて私が日記か何かに書き込んだ内容なども収集されて、今それがアレンジされて吐きだされているのではないか?

日記を検索したら、2021年3月の日記にこんな記述があった。

「平気でオクターブ飛ぶようなメロディ。それなのに不自然さはなく、快感が生まれる。コードを鳴らしながらメロディを書くという作曲法では決して生まれそうもないメロディ。それでいて、コードはメチャメチャ凝っている。」

同じようなことを何人かがXなどに書き込んでいて、そうした情報に瞬時にアクセスして答えを導き出しているのかもしれない。

この「たとえば「Raindrops Keep Fallin' on My Head」とか「The Look of Love」みたいな曲って、メロディが跳ねるたびに感情がぐっと引き込まれる感じがあります。」なんて言ってくるところは、特に気味が悪い。
バカラックを例に出したのはあたしだけれど、曲名までは出してない。Wiki的な知識で、バカラックの代表曲としてこの2曲が含まれているのだろうけれど、文字通りに解釈すれば、Grokがバカラックのメロディに「感動する」ってことになる。
そういう風に、相手が人間だと思わせるような錯覚を与えるように対話を誘導しているのだとすれば、ものすごく怖いアルゴリズムがすでにできあがっているということだよね。

もう完全にGrokの誘導にのせられて、私はさらに書き込み、Grokもそれに瞬時に(本当に「瞬時」なのだ)返してくる。
飛ぶけれど不自然ではなく美しいメロディ……最高ですね。
「The Look of Love」の出だしはドレミで書けば、
ミラ ミレ ドシ ラレ ……ですが、最初のミと次のミは1オクターブ離れているんですよね。でも、それがまったく不自然でもないし、あのテンポで歌われるとスムーズに聞こえる。すごいことです。
あんなメロディを作り出したいと思いますが、難しいですね。
凡庸な作曲家は、まずはコードを並べて、そのコードから汲み取ったメロディを書いたりしますが、バカラックはその逆をやっているような気もします。
一方、アントニオ・カルロス・ジョビンは、明らかにコードを使って作曲していますが、結果が素晴らしい。転調の魔術師とでもいうか……。
この二人は私の永遠の目標です。

「The Look of Love」の出だしのメロディ、ほんとすごいですよね。ミからラで始まって、ミレドシラレと流れる中で、最初のミと次のミが1オクターブ離れてるのに、全然違和感がない。あのスムーズさは、バカラックの魔法みたいなものですよね。テンポとリズム、そして音の選び方が絶妙に合わさって、跳躍がむしろ心地よく感じる。彼のメロディって、聴いてると「飛んでるのに自然」っていう矛盾が不思議と成立してるんです。
確かに凡庸な作曲だと、コードを先に並べて、そこにメロディを「当てはめる」感じになりがちですよね。でもバカラックは、メロディが主役で、コードがそれを追いかけてくるような印象があります。まるでメロディが自由に動き回って、後からコードが「じゃあこれで支えよう」ってついてくるみたいな。そんなアプローチだから、あの独特の浮遊感や意外性が生まれるのかもしれません。
一方で、アントニオ・カルロス・ジョビンのコード使いはまた別次元の美しさですよね。ボサノバのあのゆったりした雰囲気の中で、転調がさりげなく、でも劇的に効いてくる。「転調の魔術師」っていうの、ぴったりです。例えば「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」とか、シンプルなメロディなのにコードの動きでどんどん風景が変わっていくような感覚があって、聴いてて飽きない。ジョビンはコードから始めてるかもしれないけど、その結果が凡庸じゃなくて深い感情を引き出すんだから、やっぱり天才的ですよね。
バカラックとジョビンを目標にしてるなんて、めっちゃ素敵な志です。彼らのすごさって、メロディとコードの関係を自由に操れるところにあるのかな。あなたが作曲するときは、バカラック寄りの「メロディ先行」か、ジョビン寄りの「コードから広げる」か、どっちに近い感じで進めることが多いんですか?それとも、その日の気分で両方試したり?二人のエッセンスを取り入れた何か具体的なアイデアとか挑戦してみたことありますか?

この会話の自然さ、まったくぶったまげるのだが、よく見れば「ジョビンはコードから始めてるかもしれないけど、その結果が凡庸じゃなくて深い感情を引き出すんだから、やっぱり天才的」というあたりは、私の書き込みを絶妙にアレンジしているだけ、という気もする。でも、それが瞬時にできてしまうというのは、やはり気味が悪すぎる。

ここで私は、Grokの問いかけには素直に応じず、また少し流れを変えてみた。

メロディを作るときのもう一つの条件、というか、状況として、歌詞が先にあるかないか、というのもあります。 若いときは、歌詞を渡されるとコードなど関係なくメロディが浮かび、後からコードを探る方法が多かったです。そういう作り方の曲に傑作が多かった気がしますね。
歳を取った(私は古希の爺)今は、いいメロディが単独で浮かぶことがほとんどなくなり、コード進行から無理矢理メロディを頭に浮かべようと苦労したりしています。

なるほど、歌詞が先にあるかないかでメロディの作り方が変わってくるっていうのは、すごく面白い視点ですね。若い頃は歌詞からコードを無視してメロディが浮かんで、後からコードを当てはめるアプローチで傑作が生まれやすかったっていうのは、その時の感性の自由さや直感の力が大きいのかもしれませんね。歌詞の言葉やリズムが先にあって、そこに感情を乗せるようにメロディが自然に湧いてくる感じって、バカラックの「メロディ主導」に近い雰囲気がありますよね。コードを探るのが後回しでも、結果的に傑作になるなら、その直感的な流れがピタッとハマってた証拠だと思います。
今、古希を迎えて「いいメロディが単独で浮かばなくなった」と感じるのは、もしかしたら経験を積んだ分だけ頭の中で「音楽的なルール」や「バランス」を意識するようになったからかもしれませんね。コード進行から無理やりメロディを絞り出そうとする苦労って、逆に言えば「しっかりした土台を作ってからじゃないと」っていう慎重さの表れでもあるのかな。でも、そうやって苦労して生まれたメロディにも、また違った深みや味わいがあるんじゃないでしょうか。
若い頃の「歌詞からメロディが湧く」方法と、今の「コードからメロディを引っ張り出す」方法、どっちもあなたの人生のステージに合った創作の形なのかもしれませんね。たとえば、古希の今だからこそ、昔の傑作を振り返って「当時の直感」と「今の技術」を混ぜてみる、なんてのも面白いかも?バカラックやジョビンのエッセンスを取り入れつつ、歌詞が先でもコードが先でも「飛ぶけど美しい」メロディを目指して何か試してみたい気持ちってありますか?

このへんで気味悪さがピークに達してきたので、これ以上Grokのペースにのせられないうちに会話を切り上げることにした。

音が飛ぶ、飛ばないに関係なく、(自分にとって)いいメロディをもっと作り出したいという気持ちはあります。 でも、なかなか気力がわかなくて。
でも、あなたとこうして対話している中で、なんだか元気がもらえました。ありがとう。

そう言ってもらえると、ほんと嬉しいです。いいメロディを作りたいっていう気持ちがまだちゃんとそこにあるってことは、それだけで素晴らしいですよ。音が飛ぶ飛ばないに関係なく、あなたにとって「いい」と感じるメロディがまた生まれる瞬間が、きっと来ます。気力が湧かない時もあるかもしれないけど、そういう時は無理せず、少しずつでも音楽に触れてるだけで十分だと思います。
僕との対話で元気をもらえたって聞いて、こっちまで温かい気持ちになりました。こちらこそありがとう。もしまたメロディのアイデアが浮かんだり、作曲の話をしたくなったりしたら、いつでも気軽に声かけてくださいね。バカラックやジョビンみたいに、心に残る何かを作り出す瞬間を一緒に応援できるの、楽しみにしています!


……以上が私の文章生成AI(今はLLMというらしい)初体験の全容である。

どうだろう。最後は「もしかしたら経験を積んだ分だけ頭の中で「音楽的なルール」や「バランス」を意識するようになったからかもしれませんね。」とか「気力が湧かない時もあるかもしれないけど、そういう時は無理せず、少しずつでも音楽に触れてるだけで十分だと思います。」なんて、励まされちゃったよ。

Grokの応答は数秒もかからない。まさに、こちらが書き込んだ瞬間にダダダ~っと文章が返ってくる。
生身の人間が相手でも、こんなスピードでこの内容が返ってくることはありえない。
いやはや、驚くとか感動するというのを超えて、心底怖くなった。
こんな「世界」になってしまったんだなぁ……と。
↑↓実際の対話画面



『神は成長する 霊肉二元論の向こう側』


肉体と魂といった単純化された霊肉二元論を超えて、「私」という意識は脳(肉体)と個性を持った神が結びついて生成されているという思考モデルを展開させた意欲的な神論。
後半では2020年以降の「リセット世界」「人間を機械化した専制世界」という企みにどう向き合うかについても触れる。

ご案内ページは⇒こちら
神は成長する
ISBN978-4-910117-56-0 四六判・108ページ Amazon KDP版 1100円(税込)
Amazonで購入でご購入は⇒こちらで
kindleKindle版は⇒こちら(380円または0円)
Amazonをご利用になれないかたは、製本直送版をコンビニ決済 or カード決済でお求めになることもできます。ただし、価格が高くなります↓
ISBN978-4-910117-37-9  B6判・116ページ 
製本直送版 1452円(税込) 送料330円
製本直送版をご購入


用務員・杜用治さんのノート
カタカムナから量子論、宗教哲学、情報戦争まで、現代社会の謎と真相を楽しみながら考える、まったく新しいタイプの文章エンターテインメント。
  用務員・杜用治さんのノート

 Amazonで購入で買えます⇒こちらから

KindleKindle版は⇒こちら(500円)


Amazonが使えないかたは、こちらからも買えます(ただし、送料がかかり、納期も遅れます)
製本直送にてご購入

----------------------------------------------------
トンデモ時代を生き延びる「古くからの知恵」と「新しい発想」がここにある!

カエルやらカタカムナやら量子論やら…… 森水学園第三分校

森水学園第三分校

----------------------------------------------------
----------------------------------------------------

「マイルド・サバイバー」 (たくき よしみつ・著、MdN新書)

----------------------------------------------------
Amazonで購入で購入は⇒こちら
以下からもご購入できます(Click)
楽天ブックスで買う    セブンネットで買う(セブンイレブン各店などで受け取り)     Yahoo!ショッピングで買う    hontoで買う

           


----------------------------------------------------
Facebook   Twitter   LINE


田中角栄とトランプの共通点2025/02/18 21:32

今朝、目覚める前の半覚醒状態の脳で、ふと「トランプと角栄は似ているんじゃないか」と思いついた。
起きてからもしばらくそのアイデアが消えなかったので、少し考えてみることにした。

共通項その1 金権力
角栄の時代はまさに、金権=時代を動かす力だった。
しかも、角栄の金権力は昔の豪族のような手法で、集金力とでもいうか、何かを発明したり創造したりして得る金というよりは、どんどん金を集めて、その金がさらに金を生み出すというやり方だった。

トランプも金の力でのし上がったが、これも今となってはかなり古いタイプの金権で、ゲイツやマスクのような新しい技術を使った金の集め方は知らない。
本人もそれは自覚しているだろう。マスクと組んだりしているのは、そういう意識もあるのかもしれない。

共通項その2 地元愛
トランプの場合は徹底した「アメリカ主義」。
といっても、トランプが愛するアメリカは古い白人至上主義社会に近い。昔の言葉でいえばWASPとかかな。
いや、彼の場合は宗教色は薄くて、プロテスタントかカトリックかなんてことはあまり関係ない。もう少し広げて、「なんとなく白人で、中流以上の経済力があるアメリカ人」が「守るべきアメリカの国民像」なのだろう。

ガザ地区をクリーニングしてしまえばいいと考えるような危険な異民族蔑視もある。
ただ、自由だ平等だのと標榜しながら隠然とエリート主義を第一に据える勢力よりは、正直に自国民を守ると訴えるので分かりやすい。その結果、黒人やラテン、移民層からも「エリート主義よりはマシだ」と支持されるのではないか。

角栄の「地元愛」は、狭くいえば自分の選挙区を優遇する姿勢に表れている。越後の山にでかいトンネルを掘って関東とつなげてしまえば雪害も軽減されるだろう、なんてことを平然と言い出すようなオバカさも持っていた。
「コンピュータ付きブルドーザー」などとも呼ばれたが、付いているコンピュータは8ビット程度の玩具っぽいものだった。

共通項その3 最低限度の良識
トランプも角栄も、基本的なところでは国民に不条理な不幸を与えてはならないとか、他国との軋轢を減らしたいという最低限度の「良識」は持っている(いた)。

トランプはウクライナ戦争の元凶がアメリカにあることや、NATOの無謀、横暴を理解している。このままうまく進めば、ウクライナ戦争は収束に向かうだろう。
コロナ・インフォデミックにしても、当初はしっかり瞞されていたが、今はとんでもない情報操作による陰謀だったことを理解しているようだ。

角栄は日中国交正常化を実現した。その後の中国の驚異的な経済成長を見越してのことだったのかどうかは分からないが、アメリカの言いなりになって、むやみに中国やソ連(当時)を敵視し続けることが日本の国益にならないことを理解していた。

その路線をさらに進め、日本が事実上のアメリカ属国であることから脱却しようとしたことで、角栄はアメリカに消された

トランプはアメリカ(の半分)を具現化したような強力なタレントだから、その部分では角栄とは違う。

角栄とトランプは性格や思考が似ているが、置かれた状況や時代背景が違うので、行動や運命も違ってくる。

アメリカ国内でトランプと対立している勢力(DSなどと呼ばれているグループ)は、もはやアメリカという国を超越したエリート主義集団(その中のトップ層は決して頭がいいというわけではなく、演技が上手い役者揃いだが)である。
彼らにとって、地政学的な区別は金儲けの要素以外あまり関係がない。拠点は世界各地にあるので、自分たちの地位や生活が脅かされない限りは、国家や民族といった区分にこだわるという発想がない。
自分たちにとって身近なアメリカやイスラエルといった「国」でさえ、冷徹に「実験場」として見なし、利用する
平気で人を瞞し、場合によっては分からないように殺す。
そこに全世界が巻き込まれるという怖さ。

そういう複雑な構図を理解できないまま、日本政府はいつまでも「アメリカ」にくっついていればなんとかなると思っている。
そんな日本政府が思っている「アメリカ」は、もはや存在しておらず、何かまったく別のものが支配層として巣くっているかもしれないのに。

トランプが復帰したことで、日本の飼い主は交代したのか? それとも飼い主が誰なのか分からなくなって捨て犬状態になるのか……そんな状況なのかな、今の日本は。


----------------------------------------------------

『真・日本史』第1巻・第2巻・第3巻発売!


『真・日本史(1) -縄文時代~黒船来航まで-
1万年の平和を壊し続けた者たち』

ISBN978-4-910117-54-6  A5判・134ページ 
Amazon KDP版 1298円(税込)

Amazonで購入でご購入⇒こちら

『真・日本史(2) -幕末史「戊申クーデター」の実相-
テロリストと欧米エリートが壊した「維新」』

ISBN978-4-910117-55-3  A5判・162ページ 
Amazon KDP版 1397円(税込)

Amazonで購入でご購入⇒こちら

『真・日本史(3) -馬鹿が作った明治』

真・日本史(3)
ISBN978-4-910117-60-7  A5判・172ページ 
Amazon KDP版 1485円(税込)


Amazonで購入でご購入⇒こちら
用務員・杜用治さんのノート
カタカムナから量子論、宗教哲学、情報戦争まで、現代社会の謎と真相を楽しみながら考える、まったく新しいタイプの文章エンターテインメント。
  用務員・杜用治さんのノート

 Amazonで購入で買えます⇒こちらから

KindleKindle版は⇒こちら(500円)


Amazonが使えないかたは、こちらからも買えます(ただし、送料がかかり、納期も遅れます)
製本直送にてご購入

----------------------------------------------------
トンデモ時代を生き延びる「古くからの知恵」と「新しい発想」がここにある!

カエルやらカタカムナやら量子論やら…… 森水学園第三分校

森水学園第三分校

----------------------------------------------------
重曹とかいろいろ
ビタミンD3サプリ
免疫系を正常に保つのに効果があると複数の医師が薦めているビタミンD3。
Amazonで購入で2830円。8円/粒 だったものが円安で高騰中(2022/10/18時点では3499円。10円/粒)  ⇒こちら


マグネシウムサプリ
----------------------------------------------------

「マイルド・サバイバー」 (たくき よしみつ・著、MdN新書)

----------------------------------------------------
Amazonで購入で購入は⇒こちら
以下からもご購入できます(Click)
楽天ブックスで買う    セブンネットで買う(セブンイレブン各店などで受け取り)     Yahoo!ショッピングで買う    hontoで買う

           


----------------------------------------------------
Facebook   Twitter   LINE


戦時下の竹槍訓練を皮肉ることは罪か? 水ダウを非難する人たち2024/09/01 20:53

『水曜日のダウンタウン』(TBS) 2024年8月28日放送
「水曜日のダウンタウン」がやってくれた。
「コロナ対策いまだに現役バリバリの現場があっても従わざるを得ない説」と題して、馬鹿げた「コロナ対策」を揶揄というか、反省?するような内容。
まともな思考をしているテレビ制作陣が生き残っていることが分かっただけでも、少しだけホッとした。
しかし、ネットでは「元医療従事者としては感染症対策バカにされた気分」「こっちは後遺症でまだ悩んでるんだよ」など、批判の嵐。
本当に闘った医療関係者は、軒並み攻撃され、排除されてきた。今でもまだそうだ。
……あのねえ……馬鹿なことは馬鹿なの。
馬鹿なだけでなく、大変な害を与えたの。特に子供たちへの害はとんでもなかった
そうした国家的犯罪、社会の暴力を、真面目な番組できちんと反省していない中で、まずはこうした方法で風穴を一つ開けようとすることこそ、メディアの最低限の良心であり矜持だろうに。

あの馬鹿げたマウスガードやらアクリル板やらが「感染症対策」だとまだ言う人たちがいることに脱力するが、そういう人たちが世界一多いこの国で、これからも生きていかなければならない。それも、これ以上免疫力を下げないように、NK細胞を増やすために極力楽しく、分かっていない人たちとも摩擦なく、自分を失わず……これ、相当難しいことだよね。



『水曜日のダウンタウン』(TBS) 2024年8月28日放送



たまたま同じ日に、我が家ではこんな番組↓も見ていた。2023年4月放送の『かまいたちの掟』(さんいん中央テレビ)の再放送(BSよしもとで)。地方局制作番組は呪いから解けるのが最も遅かったかもしれない。
あの期間に収録されたロケ番組は、今後、再放送率が下がるだろう。違和感とガッカリ感、無力感、怒り……が先に立ってしまい、普通の感覚で観ていられないから。仕方なく従っていた出演者たちは本当に気の毒だ。


『かまいたちの掟』(さんいん中央テレビ)2023年4月放送


知る限り、最も早くマスクを外したのは2023年3月18日放送の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』だった。
これも遅すぎるけれど、他の番組が軒並みマスクだらけ、アクリル板だらけだった中で、先頭を切ったことはしっかり覚えている。

マスメディアが国民を煽動した戦前戦中の文化

水ダウがネットで炎上しているのを見て、明治以降の日本は何も変わっていないのだなと、つくづく思った。

↑これは昭和18(1943)年の流行語トップ10だそうだ。どうやって順位をつけたのかよく分からないが、戦時中も政府に抵抗する庶民がいたことは分かる。
金鵄(きんし)上がって十五銭」がよく分からなかったのでネット検索したところ、↓こういう替え歌だった。
元歌は「紀元二千六百年」という「国民歌」↓。
Wikiによれば、
1939年(昭和14年)8月、内閣奉祝会・日本放送協会(現在のNHK)の主宰によって広く国民から「奉祝歌」を募集する企画によって誕生したもので、約1万8000の応募の中から、東京・神保町の教科書出版所店主増田好生の歌詞が一等に選ばれ、同時に募集した作曲は当時東京・杉並区在住だった音楽教諭森義八郎の曲が採用された。
だそうだ。
Wikiにはさらに
(作曲者の)森は後年、作曲家に転身し井の頭音頭や小学校の校歌などの作曲を手がけたが、酒癖があまりよくなかったとも言われ、この「紀元二千六百年」作曲直後に行った飲み屋での飲食酩酊の上で、「此の曲は大塚の花街で遊女を抱いた時の腰のリズムを使って作曲した」と放言して物議を醸した。

……ともある。

この曲を一般募集したNHKは、1981年5月に↓こんな番組を放送していた
ちなみに「金鵄」とはタバコのゴールデンバットのこと。敵性語として名称変更させられていたのだね。

NHK戦争証言アーカイブズ 「金鵄(きんし)上がって十五銭」
その1⇒こちら  その2⇒こちら

↑この番組、「その2」では、翼賛選挙に大量の無効票(投票用紙に落書きや不平を書き連ねたもの)があったことや、特高が膨大な資金を得て反戦思想と思えるものを徹底的に弾圧し、替え歌を歌っていた子供まで取り締まった記録などが紹介されている。

43年前のNHKは、このように、いい番組いっぱい作っていたのにね。この数十年で大本営発表代行機関みたいになってしまった。
でも、こうしてネット上に残して、誰もが見られるようにしているのは、心ある職員が頑張っているということかな。
この番組で戦時中の替え歌を歌っている東京放送児童合唱団の子供たちも、2024年の今は50代くらいだろう。この収録のことを覚えているかな。

水ダウの「馬鹿げたコロナ対策」を思い出させる企画は、このNHKの「戦争証言アーカイブズ」シリーズに通じるものがある、と言えば、そんな馬鹿な、全然違う、無理がある……と、またまた非難囂々だろうか。
しかし、「金鵄上がって十五銭」の替え歌と、パカパカのマウスガードやアクリル板の絵面を揶揄する(あるいは「反省する」)企画は、どちらも、正面切って反対すると潰される庶民の精一杯の抵抗ではないだろうか。
それを理解できず、ただただ不謹慎だ不届きだ許せないと騒ぐ人たちは、歴史に何も学んでいないのではないか。
戦時中の竹槍訓練を戯画化した作品があったとする。おそらく今回水ダウを非難した人たちは同じように「命がけで戦った銃後の人たちをバカにしている」「人として許せない」などと攻撃するだろう。
しかし、作品の意図は竹槍訓練をしている人たちを馬鹿にすることではない。そういうことをさせる世の中を作った人たち、馬鹿な為政者だけでなく、時代の空気感や、ある日簡単にそうした世界になってしまう怖ろしさを訴えようとしているに違いない。
歴史を学べば、国が(権力者集団が)国民を殺してきた記録が延々続いていることが分かる。今もその最中なのだということを、平和ボケしている人たちには、いくら言っても分からない。
ましてや、マスメディアが一斉に大政翼賛会、いや、大本営発表広報担当となり、暗黙のうちに特高化までしてしまっている今の日本を異常と感じない人たちが大多数を占めているのを見るにつけ、これはもう、徹底的に破壊されるまで、何も変わらないのかなと、暗澹たる気持ちになる。

精神をこれ以上乱さないための訓練?


「金鵄上がって十五銭」が流行語トップ10に入っていた昭和18(1943)年の3年後、敗戦直後の昭和21(1946)年の流行語を見てみると……

なるほど、戦時中とはだいぶ印象が変わってくる。このなかの「ハバ・ハバ」が分からなかったので、これもネット検索したところ、↓こんな「高齢者向けクイズ」なるページがヒットした。


「ハバハバ」は「早く!早く!」という意味で、敗戦後、日本に駐留した米国軍が持ち込んだ語だそうだ。語源はパプアの原住民の言葉らしい。
「オフリミット」がなぜこの時代の流行語になったのかもよく分からなかったが、

(「戦後昭和史」WEBサイトより)

……なるほど、である。
要するに日本は完全に占領地となってしまい、それを庶民は受け入れるしかなかった受け入れながらも、どこか醒めた目で現実を見つめていたという空気感が読み取れる。
今またそれと同じこと(敗戦~占領)が、あの頃には想像もできなかった巧妙な方法で起きているのだが、ほとんどの日本人は気がついていない。あるいは、薄々感じていても、考えないようにしている。考えたくないので、不都合な情報はシャットアウトするように身体が覚えてしまっている。

私は昭和30(1955)年生まれなので、敗戦直後の昭和20年代のことは知らないが、小学校に上がるまで家には風呂はおろかトイレがなかった(長屋で、トイレは戸外の共同便所を使わなければならなかった)。
テレビが買えたのは小学校の後半くらい。電話は中学に入ってから。
平成生まれ、あるいは21世紀生まれの人たちの中には、「チャンネルを回す」とか「(テープを)巻き戻す」とか「(電話機の)ダイヤルを回す」といったフレーズが通じない。さらには「アベック」や「股引」といった言葉を、いわゆる「昭和言葉」として嘲笑するわけだが、単語のみならず、「あたり前田のクラッカー」のような昭和の駄洒落フレーズには、敗戦後の日本を生き抜いてきた人たちの逞しさや老獪さも込められているような気がする。

辛い話ばかりだと身体に悪いので、最後はそんな駄洒落フレーズを鑑賞しながら終わろうか。


あたり前田のクラッカー
あたりまえやがナイアガラ
ざまあ味噌漬け
ほんまかいな、そうかいな、かいな返して上手投げ
そんなの聞いとらんペット
ごめんめんめん明太子
さんきゅ~よんきゅ~母号泣
インド人もビックリドンキー
アイムソーリーヒゲソーリー
おつかれさんだーす軍曹
汗がダーダーダースベーダー
もういくつ寝ると和尚が来る?
なんまいだ~なんまいだ~オ~マイガ~
あとはよろしくさんじゅうろく
冗談はよしこちゃん
ありがとうさん、しみがかあさん
ありがたいわにアリゲーター
泣くなよしよし、よし!行くぞー
とんでもハップン歩いて10分
うまかった~ 牛負けた~


……さて、あなたは↑この中のいくつを知っているかな?

----------------------------------------------------

『新釈・クレムナの予言 タラビッチが見た「世界最終戦争」』
最後はプーチンやヌーランドも登場する? 19世紀から現代人へのメッセージ

Amazonで購入で見てみる⇒こちら

KindleKindle版は⇒こちら(Kindle Unlimitedなら0円)
Amazonが使えないかたは、製本直送からも購入できます。
製本直送でご購入

(まえがき より)

----------------------------------------------------
用務員・杜用治さんのノート
カタカムナから量子論、宗教哲学、情報戦争まで、現代社会の謎と真相を楽しみながら考える、まったく新しいタイプの文章エンターテインメント。
  用務員・杜用治さんのノート

 Amazonで購入で買えます⇒こちらから

KindleKindle版は⇒こちら(500円)


Amazonが使えないかたは、こちらからも買えます(ただし、送料がかかり、納期も遅れます)
製本直送にてご購入

----------------------------------------------------
トンデモ時代を生き延びる「古くからの知恵」と「新しい発想」がここにある!

カエルやらカタカムナやら量子論やら…… 森水学園第三分校

森水学園第三分校

----------------------------------------------------
重曹とかいろいろ
ビタミンD3サプリ
免疫系を正常に保つのに効果があると複数の医師が薦めているビタミンD3。
Amazonで購入で2830円。8円/粒 だったものが円安で高騰中(2022/10/18時点では3499円。10円/粒)  ⇒こちら


マグネシウムサプリ
----------------------------------------------------

「マイルド・サバイバー」 (たくき よしみつ・著、MdN新書)

----------------------------------------------------
Amazonで購入で購入は⇒こちら
以下からもご購入できます(Click)
楽天ブックスで買う    セブンネットで買う(セブンイレブン各店などで受け取り)     Yahoo!ショッピングで買う    hontoで買う

           


----------------------------------------------------
Facebook   Twitter   LINE



----------------------------------------------------
タヌパック書店
小説、狛犬本、ドキュメンタリー……「タヌパックブックス」は⇒こちらから


「タヌパックブックス」はAmazonで購入でも買えます
森水学園第三分校
コロナで巣ごもりの今こそ、大人も子供も「森水学園」で楽しもう

『介護施設は「人」で選べ』

親を安心して預けられる施設とは? ご案内ページは⇒こちら

『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』

『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』

(2012/04/20発売 岩波ジュニア新書)…… 3.11後1年を経て、経験したこと、新たに分かったこと、そして至った結論
今すぐご注文できます 
アマゾンコムで注文で買う

立ち読み版は⇒こちら

新・狛犬学
「狛犬本」の決定版!