危険な地域の地名を隠している!2011/03/18 19:15

周辺の線量測定値地図3月17日
文科省のサイトでは、モニタリングカーを走らせて原発周辺の線量測定値を公表しています。
この中で気になるのが、原発から北西30km地点(R114 津島付近。葛尾村と川俣町の境界あたり)での計測値が、

17日 14時00分 170.0マイクロシーベルト
17日 15時00分 158.0マイクロシーベルト
17日 15時15分  78.2マイクロシーベルト
18日 11時33分 140.0マイクロシーベルト
18日 13時32分 150マイクロシーベルト

……と、常に他よりも2桁高いということです。
原発正門前とかのごく近くでの計測値が280マイクロシーベルト前後で推移していますので、30km離れていて同じ3桁数値は異常です。

例えば、ここよりも距離的には10kmも原発に近い川内村の計測点(R399と小野富岡線がぶつかる交差点から少し南)では、

3月17日11時50分 2.1マイクロシーベルト
3月17日15時00分 2.0マイクロシーベルト
(これ以降、川内村内での測定値見つからず)

です。約80倍違います。
なぜこうなるのか?
乱暴な推察ですが、葛尾と川俣の境には山が続いていて、海側からそのへんにかけては概ね大きな谷状に低くなっているので、西風(海側に向かって吹く風)のときでも、風がゆるやかに逆流し、吹きだまる感じなのでは?
その先ずっと北西には福島市があり、福島市の数値も距離が相当離れている割には高いので、どうも原発から北西方向に風の通り道がある感じがします。
これが海側への風のときの数値なので、風が逆転して海側から内陸に向かって吹いたとき、どういうことになるのか? 簡単にミリシーベルト単位に上昇するかもしれません。
そうなってから、外に出て移動するのは放射性物質を吸い込む可能性が高く、危険。西風の今のうちに、山の稜線から東側の人たちは、極力山を越えて西側に避難すべきです。
葛尾村や川俣町に、県や国はきちんとこの情報を伝えているのでしょうか?
非常に心配です。
どうも、テレビでは地域を名指しで告げることを極力避けているようです。
今まで、パニックが起きていないことを見ても、それによってパニックになるようなことはありません。
ここは過疎の山村で、もともと人がほとんど住んでいないのですから、都会のような集団パニックは発生しえません。でも、私がそうだったように、情報を隠されていると察知したときは、慌ててしまい、冷静な行動が取れなくなります。メディア最前線にいる人たちへ。あなたがたの使命はなんなのか。今一度考えてみてください。
「パニックになることを避けるために」というお題目でなんでも免責されると思っていたら大間違いです。知っていて知らせないのは見殺しにするということです。
大して危なくないのだから今のうちにゆっくりと落ち着いて逃げなさい」というのが今の正しいメッセージの出し方でしょう。

石川迪夫──あの人は今2011/03/19 14:04

■I先生への返信

I先生

ごぶさたしております。
私も家内も無事です。昨日までは、対応してもらえるメディアを相手に緊急原稿を書いたり、ネット上にバラバラに出ている風向きや放射線量の数字などのデータをまとめて、そのデータを元に、郡山の避難所に待避した村の友人たちに向けて、「大丈夫だから安心するように」と伝えたり、1日中あたふたしていましたが、今日はかなり静かな日になっています。
テレ朝では、石川迪夫(日本原子力技術協会前理事長、現最高顧問)を昨日、今日と出演させ、全国民の怒りを沸騰(いや、「臨界」か?)させていますが、これはとてもいいことです。
細かい理論が分からない庶民でも、こういう人物が原子力の最高権威者として長い間この国をミスリードしてきたということがよく分かるでしょうから。
嬉々として喋りまくる彼の姿や表情を見て、恐怖を感じない人は相当鈍感な人でしょう。

僕が「エントロピー」という言葉を初めて知り、地球全体が宇宙に向かって増大したエントロピーを吐き出している「環境エンジン」構造をしているということを学んだのは、四半世紀前に、テレ朝の『朝まで生テレビ』を見たのがきっかけでした。
そのときの出演者一覧です。


「朝まで生テレビ」 1988年7月29日放送

司会:田原総一朗、渡辺宜嗣、美里美寿々

<推進派> 
逢坂國一((財)省エネルギーセンター専務理事)
石川迪夫(日本原子力研究所・動力試験炉部長)★
加納時男(東京電力(株)原子力本部副本部長)
近藤達男(日本原子力研究所・燃料・材料工学部長)
竹内榮次(中部電力(株)原子力計画部長)
田中紀夫((財)日本エネルギー経済研究所研究理事)
沼宮内弼雄(日本原子力研究所・保健物理部長)
舛添要一(東京大学・教養学部政治学科助教授)
森雅英(関西電力(株)原子力本部副本部長)
渡辺昌介(元・動力炉・核燃料開発事業団環境資源部長)

<是々非々派> 
西部邁(評論家)
コリーヌ・ブレ(フランス「リベラシオン」特約記者)
山口令子(ニュースキャスター)
栗本慎一郎(明治大学法学部教授)

<反対派> 
石沢善成(青森県南津軽郡常盤村農協組合長)
大島渚(映画監督)
小原良子(大分県主婦。著書「原発いらん、命がだいじ」ほか)
小中陽太郎(作家、評論家)
槌田敦(理化学研究所研究員)
暉峻淑子(埼玉大学教授)
中島哲演(福井県明通寺福住職)
平井孝治(九州大学工学部助手)
広瀬隆(著書「東京に原発を!」ほか)
室田武(一橋大学経済学部教授)


このとき、僕は推進派の「じゃあ、代替エネルギーはどうするんだ?」という質問に対して、室田武や槌田敦が、「その言い方は不誠実だ」「石油に代わるエネルギー源などない」「代替エネルギーなどということを言う前に省エネを考えるべきだ」といったことを苦汁に満ちた顔で答えたのが腑に落ちず、その後、二人の著書『エネルギーとエントロピーの経済学』(室田武著、東洋経済新報社)と『資源物理学入門』(NHKブックス)を読んでみました。
そして、人生観がガラッと変わったのでした。
ああ、世界というのはこうなっていたのか……と。
そこからは、まったく新しい目で世の中が見通せるようになりました。あのとき、二人がなぜ苦汁に満ちた顔をして答えなければならなかったのかも、よく分かりました。

ちなみにこのとき、「原発で事故など起こりえないんです!」と主張した推進派グループの中にあって、もっとも押しの強い態度で喋りまくっていたのが、昨日、今日、世界中の人たちから戦慄の目で見つめられていることに気づいていない、石川迪夫です。
話し方が与える独特の違和感、昔どこかで聞いた覚えがあるような気がしたのですが、やはりそうでした。
この期に及んで、「原発をやめたら日本の経済は衰退する」「津波でバックアップ電源が流れたのだから、今度は地下に埋めるとか小高い山の上に置けばいい」などと笑顔で言っています。
これはいわゆる「学者バカ」というタイプともまったく違いますね。
テレビはしばらくこの人をいっぱい露出するとよろしい。それがいちばん、国民に対して分かりやすい「解説」の仕方でしょうから。

東京がとりあえず危険な状態になっていないからOKだという論調には辟易します。
それは確かなことでしょう。でも、「事故など起こりえないんです!」と大声で言っていた人たちは、とりあえず黙って福島原発方向に深く頭を下げなさい。
被曝しながら作業している人たち、本来必要のない避難を強いられた住民、取り残された動物たち、これから先長い間、放射能汚染を気にしながら、また、風評被害で産業が壊滅状態になり、資産価値も失ってしまった状態で暮らしていかなければならない住民たちのことを、一瞬でも考えているんですか?
被害の規模がどの程度かなどという分析を、あなたたちにしてほしくない。

理論上どんなに安全な施設を作り得たとしても、それを動かす業界のトップ、学界のトップ、監視役組織のトップが正常な人間でなければ、安全ではありません。
危険なのは原発そのものよりも人間だということが、今回のことで改めてよく分かりました。

M9.0の地震(というより、大規模な地下の地滑り)により、予想されていた東南海地震が目前に迫っているかもしれません。浜岡原発は今も運転しています。
中部電力は「高さ12mくらいの防波堤を作る」などと言っているようです。そんな金があるなら、さっさと浜岡を安全に廃炉に向かわせ、同時に、安定即戦力である天然ガスや石炭火力発電設備を充実させて大規模災害時のバックアップをしておくことが先決だということくらい、誰が考えてもあったりまえのことでしょうに。
浜岡が福島の二の舞になったら、東京のパニックは尋常ではありません。そのときは覚悟を決めましょう。


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(追記)
1989年10月28日の第二回放送時の出演者一覧も載せておきます。
私が強く印象に残っているのはこの第二回のほうです。
司会:田原総一朗、渡辺宜嗣、美里美寿々

<推進派> 石川迪夫(日本原子力研究所・動力試験炉部長)、板倉哲郎(日本原子力発電(株)取締役技術開発本部副本部長)、加納時男(東京電力(株)原子力本部副本部長)、住谷寛(日本原燃サービス(株)常務取締役)、鈴木雄太(日本原燃サービス(株)取締役調査部長、宅間正夫(東京電力(株)原子力業務部長)、橋本寿(青森県六ヶ所村原子燃料サイクル施設対策協議会会長)、堀紘一((株)ボストン・コンサルティング・グループ日本担当副社長)、舛添要一(東大助教授。国際政治学者)、大和愛司(動力炉・核燃料開発事業団東海事業所安全対策課長)、山本正男(動力炉・核燃料開発事業団環境資源部長)

<反対派> 石川好(作家。ジャーナリスト)、大島渚(映画監督)、生越忠(地質学者)、久保晴一(青森県核燃阻止農業者実行委員会委員長)、高木仁三郎(原子力資料情報室代表)、槌田敦(理化学研究所研究員)、暉峻淑子(埼玉大学教授)、西尾漠(原子力資料情報室会員)、野坂昭如(作家)、室田武(一橋大学経済学部教授)、山本コータロー(ミュージシャン。タレント)

ガイガーカウンター到着2011/03/20 15:18

昨日(19日)昼頃、発注してあったガイガーカウンター(RADEX RD1706)が届いた。
イギリスのショップから取り寄せたのだが、そのショップも、昨日見たら、すでにすべての携帯式ガイガーカウンターは売り切れていた。
ショップのJameさんからは「Thank you for your email. We are pleased that your order arrived fairly quickly and that you are safe and well.
Hope you manage to keep safe and well.」という短い励ましのメールが届いた。
売り切れ!

RD1706はそこそこ高性能なガイガーカウンターで、放射線量の測定可能範囲は0.05~999マイクロシーベルト。
つまり、1ミリシーベルトまでを計れる。詳細には、
ガンマ線:0.1~1.25MeV(ミリオン-エレクトロン-ボルト=イオン・素粒子などのエネルギーの単位を表す)
X線:0.1~1.25MeV
ベータ線:0.25~3.5MeV

リアルタイムにマイクロシーベルト値でその場の放射線量を表示し、設定値以上になると警告音やバイブレーションで警告を発する。また「バックグラウンドモード」というのがあり、最初にその場の環境標準値(5箇所で5回計って平均を出す)を測定し、バックグラウンドモードに切り替えると、その基準値をどれだけ上回ったかを示す。
一般向けのRD1503、RD1503+といったモデルより上級機で、測定線量が1桁高いところまで計れる(一般向けの1503シリーズは上限が99マイクロシーベルト)のとバックグラウンドモードが使えるのが特徴。
すでに30km離れていても150マイクロシーベルト以上を計測している場所もあるので、そういう場所では99マイクロシーベルトまででは振り切れてしまうのでこっちにしたのだ。

ロシア製。ボタンにマークも付いていない。でも、説明書を読んだら(ロシア製だが、説明書は英語)、想像していたよりはるかに簡単・明瞭な機械だったので安心した。
ツイッターで、ガイガーカウンターは初期設定や調整が難しく、素人には到底扱えるものではないなどと言っていた人もいたが、それは研究所にある本格的な測定器の話だろう。さっき見たテレビで、東工大の助教が同じものを持って「このスタジオでは○○で、まったく安全です」とやっていた。

これによれば、現在僕がいる川崎市麻生区では、0.15マイクロシーベルト前後である。
日本における大地からのγ線の時間当たりの空間線量率は、0.02~0.08μGy/h(1時間あたり)であり、ラドンを除く自然放射線による年当たりの線量当量率は、約1.1mSv/y(年間)だそうだ。1.1ミリシーベルト/年ということは、年間1100マイクロシーベルトだから、365×24で割ると0.12~0.13マイクロシーベルト。数値そのものはまったく問題になる数値ではない。かつて、もっと高いときはいくらでもあった。しかし、関東地方での最近の数値は0.0xマイクロシーベルトだから、原発事故の影響で高くなったことは間違いない。

このまま収束してくれると思っていたのに、最新のニュースによれば、3号炉(プルトニウムを含んだMOX燃料が炉内に入っている!)の炉心溶融が進んでいるらしく、格納容器に穴を開けて圧力を下げないと危ないらしい。これは危機的な状況だ。建屋はすでにボロボロで、格納容器は剥き出しなのだから、それに穴を開けるということは、高濃度放射能が風に乗ってばらまかれることを覚悟の上で、そうしないと爆発する状況まで来てしまっているのだ。
まったく、どこまで期待を裏切られ続けるのだろうか。

11日、津波でバックアップ電源がすべて流された段階で、とりあえず大型蓄電池を運び込むことはできなかったのか。そういう備えが数百キロ圏内にさえなかったということなのか。


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箱を開けてみる。思っていたより小さいな


とりあえず測定したところ、0.12マイクロシーベルトだった


バックグラウンドモードを起動するために5箇所の平均値を計測する画面

取説には、1.20マイクロシーベルトを超えたらその場から離れて、しかるべき組織に連絡した上で適切な処置を受けよという注意が書かれている。
文科省の測定では、昨日の東京(新宿区)や神奈川(茅ヶ崎)の測定値は0.04マイクロシーベルト前後で、0.15レベルが宇都宮市、水戸市で0.17くらい。もしRD1706の計測値0.12が正しければ、昨日の宇都宮市や水戸市よりは少しマシな程度ということになる。
いずれにしても、この数値自体は全然問題にならないのだけれど、いつもの値でないことは確か。

テレビで嬉々として喋りまくる石川迪夫を見ていて、1988年に放送された『朝まで生テレビ』を思い出した。顔がすっかり変わってしまっていたが、あのとき、推進派の先頭でひとり調子っぱずれなことをまくし立てていたのが石川迪夫だった。当時の肩書きは「日本原子力研究所・動力試験炉部長」。
正確な記録を見たいと思ってアマゾンに古書を注文した後、あれ? これってうちにあったのでは……と思って、書棚を見たらしっかりあった。うっかりしてしまった。
読み直してみると、広瀬隆や槌田敦がいかにまともなことを言っていたか、そして石川迪夫がその適確な指摘を関係のない数字や余計な説明を得意げにまくし立て、それに対して??となった司会の田原総一朗がいちいちストップさせて話題を変え、推進派の論理破綻に逃げ道を与え続けていたかがよく分かる。
詳細は今度、落ち着いたときに。
今は3号炉の致命的崩壊⇒高濃度放射能の拡散がとにかく心配だ。
3号炉はプルトニウムを含んだMOX燃料である。
なぜ日本でも有数の老朽化原発である福島第一でプルサーマルを許可するのかと迫られながらも認めた佐藤雄平県知事、国、そして、まったく必要のない危険因子追加行為を強行した東電は正気の沙汰ではない。


もう読むことなどないと思っていたのに……


政府やメディアに「生き方」まで指図されたくない2011/03/20 18:26

■安全ならいいというものではない
今日は3号炉に関する情報が朝から乱れ飛びました。
一時は「格納容器内部の圧力が高くなってきたので、やむを得ず人為的に内部の蒸気を外に出して圧力を下げる」と発表されました。
これが何を意味するかといえば、「このままでは最後の砦の格納容器が圧力に耐えきれずに爆発し、高濃度の放射能が広範囲に拡散することになる。その最悪の事態を避けるために、周囲に高濃度放射能が出ることは目をつぶって格納容器に穴を開けて(あるいは通常そうした用途では使わないバルブを開けて)蒸気をそのまま外に出す」ということです。
東電の記者会見で、どこかの記者が「そのバルブには放射性物質を濾過するフィルターはついているんですか」と質問をしましたが、訊かれた広報担当者は「ないと認識しています」と、小さな声で答えていました。
午後には、「圧力は高いものの安定したので、蒸気を抜く作業は見送る」と発表。
このときも、記者のひとりはかなり気色ばんで、3号機の水位や圧力の数値について「水位が変わっていないのではなく、抜けきっていて水位計が動いていないだけなんじゃないですか。すでに剥き出し状態なんじゃないですか」と詰め寄っていましたが、それに対して広報担当者は明確に否定できないでおろおろと手元の紙をめくりながら口ごもっていました。
素人考えですが、3号炉、あれだけボコボコに吹き飛んでいるのですから、配管などが壊れていることは明白でしょう。格納容器そのものが壊れていなくても、蒸気が配管などからだだ漏れ状態なのは、普通に考えれば当然のこと。
そもそも、電源が来ていないのに、どうやって圧力や水位を知ることができるのか不思議で仕方ありません。だれも近づけないわけだし、格納容器の上は瓦礫の山で、外から見ても格納容器がどんな状態なのか目で確認できないわけだし。どうやって彼らは圧力や水温、水位のデータを得ているのか、どなたか詳しい方に教えていただきたいものです。
5、6号機では、補助電源をつなげることができたので水が回り始め、水温が下がってきたという報告もありました。
言い換えれば、1号機が水素爆発する前に、なにがなんでも喪失した外部電源、バックアップ電源の代わりをすべての原子炉設備につなげられたら、ここまで悪化することはなかったでしょう。
近隣や都内のあらゆる大型電源車に緊急援助を頼むとか、そういう行動が必要だったはずです。
放射能漏れが少ない時点で、とにかく電源復旧に全力をあげるべきなのに、それをしていない。
官房長官は「あらゆるデータから判断して(3号機に)注水はされていると認識しているし、それは関係部署全員の認識でもある」というようなことを言っていましたが、その具体的根拠は示していません。すべてが東電からの伝聞によるものでしょうが、その東電がおろおろしているのですから、見ているほうはますます焦ります。

おっと、このことではなく、表題の件を書くつもりだったのでした。
基準値を超える放射能汚染が見つかった牛乳やほうれん草、水道水の報道が続き、そのたびにメディアも政府も「まったく問題ない数値」を強調していますが、専門家が決めた「安全基準値」を超えている状況が、生活をしていく上で問題ないのかどうかを判断するのは、結局は我々、つまり個々の住民です。
福島県民はこれから、あらゆる困難を前提にして生きていかなければなりません。
実際に居住地域に残留している放射性物質の量、そこから出てくる放射線の量、汚染された土壌や水、農作物などから体内に摂取してしまうであろう放射性物質の量、そして実際よりはるかに過剰に反応する風評被害(国内だけではなく海外からのものも含めて)。
人間ですから、少しでも現場から遠く離れたところで暮らしたいと思う気持ちはありますが、実際にはそうはいきません。ローンを抱えて建てたばかりの家があったり、農場や工場、勤め先などの生活基盤があるわけですから。
いろいろなことを考えた上で、多少の放射能による危険要素には目をつぶって、この地で生きていったほうがまだ幸せだ、あるいはそうするしかない、という判断をくだすわけです。それは政府やメディアではなく、住民が判断することです。
ですから政府も行政機関も、もちろん事故の根本責任者である東電や保安院も(保安院はいちばん役に立たないどころか、こういう事態を招く土壌を作りだした張本人。さっさと解散させて、別の緊急対策組織を立ち上げるべき)、出すのは生のデータだけで結構
「○○で△△という数値が出ました。これは安全基準値の○倍です」
それだけで結構です。
その数値や現実を受け入れた上で、どう生きるか、どう対応していくか、それは結局は私たちが決断していくしかないのですから。
CTスキャン1回分の放射線量の何分の一だとか、そんなメッセージを付け加えるから、ますます信用できなくなるのです。
「安全基準を超えているけれど、実際にはぜ~んぜん安全なんですよ」と言いたいのであれば、それは国や行政ではなく、別のグループ(研究者グループや民間団体、個々の学者、専門家)が言えばよい。私たちはそうしたメッセージを取捨選択し、吟味し、今後の生き方、暮らし方を決めます。
なぜなら、国が言ってきた「安全」は嘘だったということが、すでに今、目の前で証明されているからです。
国と一緒に安全だと言ってきた、あるいは国に安全だと言わせてきたトップの人たちが、この状況においても、テレビで笑いながら「あなたがたと違って私たちは専門家なんだから」という口調でしょーもない数字を並べてみせる。そういう人物に権力を与えてきたのは国であり、権威あるなんとか学会やら教育機関、超優良巨大企業であり、その人たちが今回の事故を起こしたのです。安全だ安全だと言い続ける人物を信用していいのかどうかは、私たち自身が決めます。

私個人で言えば、すでに50代半ばを過ぎましたし、20年後に癌になる確率が何倍になりますというような要素よりも、福島で生きていくということの幸せを選ぶでしょう。
いろいろなことを考えた上で、決めていくしかありません。その判断のもとになる「いろいろなこと」は、住民ひとりひとりで違います。
その判断に先回りし、人をバカにした「安全宣言」をするのはやめていただきたい。
「安全」というは、比較の問題です。でもそれは、CTスキャン1回分の放射線量と今福島原発から出ている放射性物質が原因の放射線量とを比較することではありません。
今回の許し難い人災により、原発周辺住民は、今までに比べて極めて困難な生活を強いられ、今までより安全ではない環境を、希望の持ちづらい未来を押しつけられました。そういう「比較」の問題です。
その中で、住民たちはみんな、必死に考えて、苦渋の決断をしながらこれから生きていくのです。

さらに言えば、人間が生きていく上で、理論上の安全より大切なことがあります。
それは「生き甲斐」。
生きていく甲斐がない生活の安全を保証されても、少しも嬉しくないのです。
そうした人間として大切な心の中のことにまで、いい加減な比喩や論理のすり替えでズカズカと踏み込まないでいただきたい。

曾爺さんの鐸木三郎兵衛が生きていたら、どんな行動をとっていたのか。あの世の三郎兵衛とツイッターでつながりたいものです。

★義援金にご協力を★取次業者、ROUTER.FM様のご厚意により、2011年3月16日から同4月15日までの1か月間、タヌパックを含める全レーベルの音楽配信における取次手数料全額が東北関東大震災への義援金として使われることになりました。音楽を聴いて心を落ち着けながら、些少でも寄附ができるということです。右のアルバム試聴プレイヤーのBUYでご希望の配信ショップ(iTunesストアやAmazonなど)からご購入できます。ご協力を!! 
■福島原発事故対策用臨時リンク集

⇒文科省提供、周辺の空間線量率の測定結果

⇒上と同じものを出しているYahoo!のミラーサイト(こっちのほうが軽いですが、更新が文科省サイトより少し遅いです)

⇒アメダスの風向き情報

⇒大熊町の天気予測(風向き予報がよく分かります)

⇒福島第一原発周辺の各種数値計測リポート(東京電力提供)

⇒阿武隈(から避難中)裏日記

今起きていることと今後のこと2011/03/21 15:10

ここ数日で感じていることは、(保安院は問題外なので無視するとして)政府、東電、テレビ番組に呼ばれて解説している学者らが言っていることを、見ている私たちは、非常に高度な技術で「翻訳」して聞かなければならないのだな、ということです。
話している人の性格や個性、所属している団体とその人の生活を保障しているであろうお金の出本(東電社員なら東電から給料をもらっているし、御用学者は国から研究費をもらっている。官僚は何があっても関係がない最も安定した収入基盤がある)、そして老化速度(はっきり言えばボケ具合)やもともとの頭の程度などを総合的に見抜いた上で、彼らが言っている内容から、嘘と事実を選別し、正しい情報、ものの考え方の指針などを抽出し、さらに残った材料を自分で再分析する必要があるわけです。
これには大変な技術と冷静さが要求されます。

……ということを前提として、細かい説明ははしょった上で、いろいろな人が言っていることをまとめてみます。これは本当だろう、まともな考え方だろうと、「私」が今の時点で判断し、予測を立てたことは以下のことです。自分への忘備録としてここに残しておきます。

■何が起きているのか
  1. ・炉心溶融は起こっていない。従って再臨界や炉心の爆発はない
  2. ・しかし、燃料棒がかなり壊れている可能性が高い
  3. ・使用済み核燃料プールは一部あるいは相当部分が空焚き状態になっている
  4. ・相当量の放射性物質が漏れ出している非常事態には間違いない
  5. ・放射性物質の拡散状況には偏りがあり、今までのところ、なぜか北西方向の汚染がひどい
  6. ・首都圏の汚染はまだ深刻ではないが、21日午後、これを書いている時点でじわじわと線量数値が上がっている傾向が見られる(手元のガイガーカウンターでは、ときおり瞬間的に0.3マイクロシーベルト/時を超えるので、短く警報音が鳴り始めた。昨日はこんなことはなかった。ただし、概ね0.15マイクロシーベルト前後なので、怖がるようなレベルではまったくない)
  7. ・メディアでの「安心です」キャンペーンは、内部被曝と外部被曝の区別をしていないのが大きな問題。重要なことは、内部被曝を少しでも減らすため、放射性物質を吸い込まない、飲まない、食べないようにすること
■今後の予測と対策(短期)
  1. ・おそらくこのままゆっくりと収束に向かうが、今出ている放射性物質を大まかに封じ込めるまでにも相当な時間がかかる
  2. ・3号炉や1号炉など、建屋が吹き飛んでいる炉では設備の損壊が激しく、電源をつないだからすぐに制御が回復することはまずないだろう。汚い海水(ゴミだらけの塩水)をジャバジャバかけてしまったので、電気系統はもはや使いものにならないだろう。電気系統どころか、バルブも動かなくなっているというが、海水の塩分が付着して動かなくなった可能性がある
  3. ・放射性物質の飛散状況は風向きなどによって大きく違ってくるので、細心の注意を持って監視していかなければならない(それなのに気象庁が詳しいデータを出さない。現場周辺のアメダス情報もなぜか止まったまま)
  4. ・周辺住民は放射能雨に濡れないようにすることが最重要。雨が降っていないとき、風上にあるとき、まだガソリンがあるうちに、できるだけ遠くに避難できるなら避難すべき
  5. ・放出されている放射性物質は主にヨウ素とセシウム。ヨウ素は半減期が8日なので、1か月以上経てば自然に消滅する。ヨード剤はあまり意味がないのではないか。セシウムは半減期が30年と長いので、吸い込まないようにすることが重要。体内に入ったものも、尿と一緒にかなり排出される分があるので、オシッコを我慢しないこと。
■長期的な予測と対策
  1. ・使用済み核燃料プールには鉛を入れて封印するしかない。あそこからもはや使用済み核燃料を他に移動させることはできないので、福島第一原発全体がチェルノブイリと同じ「象の足」状態に鉛封印されるはず。ということは、福島が永久に使用済み核燃料(正確には「使用中」だった核燃料も含む)最終埋設場所になる
  2. ・その代わり、福島県に新規原発は建たないだろう(それを許すようであれば、救いがない)
  3. ・いくら政府が安全宣言を出したところで、福島県を中心とする周辺エリアの風評被害は今後避けようがない
  4. ・福島県の農業、漁業は壊滅的な風評被害を受ける
  5. ・原発周辺の自治体は大連合を結成し、一刻も早く独自の安全確認施設を立ち上げる必要がある。その施設で正直な検査をして結果を発表する。国や県の指示待ちではダメ。今後は自分たちで再生する決意が必要
  6. ・農作物、水産物は地産地消重視にシフトするしかない
  7. ・地元経済力を保持するために、それ以外の分野(技術分野、サービス分野、あらゆるベンチャービジネス)での産業振興を急ぐべき


中越地震で越後(震源地の一つであった川口町)にコツコツと建てていた「終の棲家」を捨てなければならなくなり、阿武隈の地で生活を始めて7年目。
正直に告白すると、私はこの地の風土に息苦しさを感じ始めていました。
はっきり言えば、「補助金、助成金たかり体質」がすっかり形成されてしまい、「生きていくには仕方ないべ」と、ふるさとの豊かな自然を切り売りし、国家権力や巨大企業の下で、そこそこの金をもらう代わりに大人しく生きていく道を選んでしまう。
そこに一石を投じ、「そうではなく、自分たちの力で『外貨』を獲得するという気概を持ちましょうよ」と提唱する「よそ者」は、危険分子として排除する。
都会から移ってきた人の中にも、そうした「なあなあ」に慣れることが地元に溶け込むことだと勘違いしている人がいる。
そうした人は、実は一部にすぎず、多くの人たちは素朴で、粘り強く、愛情豊かな人たちなのですが、風力発電問題などで、一部の人たちのずるさや無責任さ、自分だけ儲かればいいという人間性の低さに辟易していたことも事実です。

そこに起きたのが、今回の原発事故です。
まさかここまで東電がバカだったとは、思ってもいませんでした。それこそ「想定外」のバカさ加減。

これ以上の汚染が避けられて、ゆっくりと収束していくのであれば、おそらく私は、多少の放射能汚染が残っていても、阿武隈の地に戻り、地元の復興に少しでも貢献できるよう、生活し続けることになると思います。
そういう決意を固めつつあるところです。
大量の放射性物質がばらまかれてしまったことで、むしろ今まで以上に前向きな気持ちで生まれ故郷の福島に向き合えそうだという気持ちになっています。
今まで以上にやりがいのある仕事をし、生き甲斐を感じられる人生を送れる気がします。
放射能で人生が10年縮んだとしても、私自身は50代半ばまで大きな悲劇も苦労もなく生きてきましたから、もう十分です。私の年代以上の人たちも、今、そうした覚悟を固めている人が多いのではないかと思います。
おっちょこちょいや無責任な人がいなくなって、心ある人たちだけが残れば、理想を持ってリスタートしやすいかもしれません。

しかし、もし、この期に及んでも、地元住民の多くが「復興のためには新しい原発を建ててもらうしかない」「俺たちには何もできないんだから、連中の言うことをきくしかない」という考えなら、希望が持てません。そうした土地で教育活動からやり直すだけの時間はありませんので、残りの人生設計を根本から変更する必要が出てくるでしょう。
昨日も書きましたが、これは私にとって、残りの人生における「生き甲斐」の問題です。
ですから、一般論として書いているのではありません。くどいようですが、私自身への忘備録ですので、ご批判にいちいち耳を傾ける気はありません。

阿武隈が、これから先も、魅力ある、そこで暮らす人たちにとって生き甲斐を感じられる場所であり続けてほしい。今はそう願いつつ、原発の放射能漏れがこれ以上ひどくならずに収束に向かうことを祈っています。

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