福島第一原発で何が起きていたのか、今分かってきたこと2011/04/06 16:08

福島第一原発に使われているアメリカGE社製の原子炉Mark1構造図

2号機、3号機で何が起きたのか? 今、どうなっているのか?

 ここ数日、気になる情報が矢継ぎ早に入ってきました。
 まずは、今中哲二氏(京都大学原子炉実験所助教)がリーダーとなって急遽編成された「飯舘村周辺放射能汚染調査チーム」が3月28日、29日に行った「飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告」というもの。
http://p.tl/RN_n
 ↑PDFでここに発表されていますが、サーバーの能力が低いらしくて、常時重いので、一部内容をそのまま抜粋します。

3月28日と29日にかけて飯舘村周辺において実施した放射線サーベイ活動の暫定報告
飯舘村周辺放射能汚染調査チーム

調査メンバー:
今中哲二(代表) 京都大学原子炉実験所
遠藤暁 広島大学大学院工学研究科
静間清 広島大学大学院工学研究科
菅井益朗 國學院大學
小澤祥司 日本大学生物資源科学部
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//3月15日午前の2号炉格納容器破壊または4号炉使用済み燃料プール火災にともない放射能大量放出があり、それが北西方向に流れて『高放射能汚染トレース』が形成されたものと推察される。
放射性ヨウ素がかなりの割合で存在することを考えると、06:10 に発生した2号炉格納容器破壊にともなう大量の放射能放出が北西方向へ向かったと考えるのが妥当であろう。
添付1のデータによると、飯舘村での放射線量率の最大値は、3月15日18:20 の 44.7μSv/h である。
右は、アメダス飯舘ポイントの当時の気象条件である。
3月15 日 06:10 の格納容器破壊で放出された放射能雲が約12 時間かけて飯舘村近辺に達し滞留・沈着したものと思われる。//

//図5に基づくと、3月15 日の沈着から90 日間の積算被曝量は、曲田で95mSv、村役場で30mSvと予想される。
この値は、あくまで牧草地などの土壌の上に常時滞在する場合であり、車中で2/3程度、木造でも家の中では1/2 程度、コンクリート製の建物中では1/10 に軽減されるものと考えられる。
なお、原子力安全員会の『原子力施設の防災対策について』に定める『屋内退避及び避難等に関する指標』においては、外部被曝による予測線量(放射性物質又は放射線の放出期間中、屋外に居続け、なんらの措置も講じなければ受ける線量)が10~50mSv のときは『自宅等の屋内へ退避すること』、50mSv 以上のときは『コンクリート建屋の屋内に退避するか、又は避難すること』と提案されている。飯舘村の放射能汚染状況が深刻なものであることは言をまたないものである。//
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 図や表は転載していませんが、要するにこれを読んで分かることは、

  1. これだけの高濃度汚染があることを国や関係機関は15日時点で分かっていたはずなのに、当該地区への情報伝達をしなかった
  2. (衝撃的映像として放送された)1号機、3号機の水素爆発よりも、むしろ映像としては伝わってこない2号機や4号機からの高濃度の放射性物質漏れが主要な原因と思われる。
  3. 飯舘村付近が突出して汚染されたのはそのときの天候条件による「たまたま」の結果である。つまり、他のどの地域も飯舘村並み、あるいはそれ以上に汚染された可能性がある。風が海側から吹いていた場合などは、首都圏で同様の汚染が起きたことも十分考えられる。飯舘村以外の場所の汚染が軽度だったのは、ものすごく運がよかっただけ。(実際、海洋上ではとてつもない汚染を受けたが、海水が薄めていることと、人がほとんどいないことで結果が出てこないだけ)


 今中チームはどうやら、1号機や3号機の水素爆発よりも、2号機からの放射能漏れを重視しているようです。
 2号機は外から見る限り、建屋があまり壊れていないので、1号、3号、4号機に比べればまともなのかと錯覚しがちですが、実は、3月15日午前6時10分に爆発を起こしています。東電は保安院に「この爆発により、サプレッション・チェンバー(圧力抑制室=上の図で、いちばん下に見えているドーナツ状部分)が損傷している恐れがある」と報告しています。
 圧力抑制室は炉心に直結している部分で、原子炉本体と呼べる「圧力容器」の下部を構成しています。
 タービン(原子炉外部にある蒸気発電機)が停止して原子炉から主蒸気をタービンに送ることができなくなったとき、蒸気をベント管等によりこの圧力抑制室に導いて冷却し、原子炉圧力容器内の圧力を低下させるための設備です。また、非常用炉心冷却設備(ECCS)の水源としても使用されます。
 これが爆発により破壊された(要するに穴が空いて中の水が抜けた)というのです。
 つまり、2号機ではこの時点で炉心内の放射性物質が直接環境中に吹き出したと考えられます。
 1号機や3号機の爆発は、建屋が吹き飛び、めちゃめちゃになったものの、格納容器、そしてその中に収められている圧力容器は概ね無傷で残ったとされています(もちろんタービンと結んでいる配管などは大きく損傷しているでしょうから、そこからは漏れているはずですが)。
 対して、2号機は炉心を構成する圧力容器の一部がすでに壊れているという恐ろしい事態になったわけですから、そこから環境中に出てしまった放射性物質の濃度は桁違いでしょう。
 現地で、その後の冷却作業を2号機中心に切り替えたことも、事態の深刻さを裏付けています。

 今中チームが考えたように、もし飯舘村の放射能汚染の主原因が2号機からの放射性物質拡散であったとすれば、2号機の圧力容器が壊れたままで、炉心に注入している水がだだ漏れである以上、これから先も、何が起きるか分からないということになります。
 炉心の温度は確実に下がってきているので、再臨界などはまず起きないでしょうが、問題は、炉心部分と外界がつながってしまっている、遮る手段がない、ということなのです。
 水を入れなければ燃料集合体が露出して炉内の温度が上昇し、そこから高濃度の放射性物質が空気中に出ていきます。それを防ぐためには水を入れ続けなければいけませんが、圧力容器が壊れて水が漏れるのですから、注入した水は循環することなくそのまま外に出て行きます。この水は炉心を通っている水ですから、とんでもない汚染水です。

 その後の報道によれば、敷地内地下の配管系統やU字溝の類が古くてあちこち損傷していて、汚染水の流出経路もすぐには特定できないという信じがたい状況ですから、敷地内の土壌汚染はすでに致命的です。
 燃料集合体が露出して炉心の放射性物質が空気中に出てしまう(風次第でどこに飛ぶか分からない)よりは、水浸しにして敷地の土壌と海を汚染させたほうがまだマシだという判断の下に、切ない作業が今も進んでいるのです。
 4月6日になって、報道では「高濃度汚染水の漏れが止まった」と報じていますが、漏れが止まったということは、流入口が開いたままでの田圃の排水口を閉めたのと同じですから、これからは敷地内が田植え前の田圃状態になります。超高濃度汚染水でびたびたになった田圃で田植え作業ならぬ復旧作業を強いられるわけで、これはこれで想像を絶する図です。

 ついでに言えば、15日の時点で、政府や東電、関係省庁などは、一気に周辺地域への汚染が進み、そのときの風向きと降雨により、高濃度汚染エリア(いわゆる「ホットスポット」)が飯舘村周辺にできたことを知っていました。
 しかし、気象庁はだんまりを決め込み、日本気象学会理事長・新野宏は、気象学会会員である学者たちに「リサーチを勝手にするな。発表するな」と圧力をかけていのです。
 呆れたことに、この「お達し」は、これを書いている4月6日現在もまだ気象学会のWEBサイトに掲載されています
 消える前に当該部分を抜き出しておきます。

2011 年 3 月 18 日 日本気象学会会員各位
日本気象学会理事長 新野 宏

(~略)この地震に伴い福島第一原子力発電所の事故が発生し、放射性物質の拡散が懸念されています。大気拡散は、気象学・大気科学の1つの重要な研究課題であり、当学会にもこの課題に関する業務や研究をされている会員が多数所属されています。しかしながら、放射性物質の拡散は、防災対策と密接に関わる問題であり、適切な気象観測・予測データの使用はもとより、放射性物質特有の複雑な物理・化学過程、とりわけ拡散源の正確な情報を考慮しなければ信頼できる予測は容易ではありません。
今回の未曾有の原子力災害に関しては、政府の災害対策本部の指揮・命令のもと、国を挙げてその対策に当たっているところであり、当学会の気象学・大気科学の関係者が不確実性を伴う情報を提供、あるいは不用意に一般に伝わりかねない手段で交換することは、徒に国の防災対策に関する情報等を混乱させることになりかねません。放射線の影響予測については、国の原子力防災対策の中で、文部科学省等が信頼できる予測システムを整備しており、その予測に基づいて適切な防災情報が提供されることになっています。防災対策の基本は、信頼できる単一の情報を提供し、その情報に基づいて行動することです。会員の皆様はこの点を念頭において適切に対応されるようにお願いしたいと思います。


 4月4日には、読売新聞が、気象庁が海外向けには放射性物質拡散予測データを渋々伝えているものの、国内に向けてはまったく発表していない事実を報じました。
 国際原子力機関(IAEA)は、「国境を越える放射性物質汚染が心配されるときには、各国の気象機関が協力して拡散予測を行うこと」を要請しています。
 これに従い、日本の気象庁も、東日本大震災当日の3月11日から毎日1~2回、放射性物質の拡散予測を計算していました。それを海外には伝えており、ドイツやノルウェーなどの気象機関はそのデータにさらに独自の分析を加えて拡散予想を公開していますが、事故の当事者国である日本国内では隠されていたのです。

■3号機の爆発は水素爆発だったのか?

 もうひとつ気がかりなのは、3号機の爆発が1号機と同じ水素爆発だったのか、ということです。
 私自身は今でもそう思っていますが、そうではないと見ている人もいるようです。
 週刊現代4/16号に、福島第一原発の原子炉(米GE社のMark1)設計を担当したGE社のもと設計士・菊地洋一氏という人物のコメントが紹介されています。
「3号機だけが熱でグニャグニャに曲がっているでしょう。アメ状に折れ曲がっている。これは明らかに水素爆発ではありません。何らかの理由で鉄骨を溶かす800度以上の超高熱にさらされ、鉄骨の骨組みが溶けた。水素爆発ではここまでの事態にはならない。何かもっと重大な事態が起き、それがいまだに報告されていないか、誰も正確に事実を把握していないのでしょう」

 3号機の爆発が1号機のときとはまったく違う規模だったことは、爆発映像を流したテレビでも言っていました。
 煙の色も違うし、爆発の瞬間に炎が建屋を包んでいるし、煙も上方向に高く上った、という解説で、両方の爆発シーンを並べて比較した映像も紹介されました。
 しかし、その後3号機も水素爆発だったと発表されてからは、誰もこのことには触れません。
 本当に「何かもっと重大な事態が起き、それがいまだに報告されていないか、誰も正確に事実を把握していない」のであれば、その重大な事態とはなんなんでしょうか。

 私自身は、今の情報だけであれば、3号機の爆発は水素爆発であり、1号機より大きな原子炉だったから溜まっていた水素も多く、爆発も大きかったのだろうと推測しています。
 3号機の爆発が飯舘村のようなホットスポットを作りだした原因だったとすれば、逆に、これから先、爆発が起きなければ放射性物質の空中への大量飛散はないということになるので、むしろ安心できます。
 このへんも、しっかり調査・分析して報告してほしいものです。

 ところでこの菊池氏が同じ週刊現代の記事の中で、過去における驚くべき体験を証言しています。
 1970年代末、彼がGEの設計士として福島第一原発に赴任していたとき、2号機の補修が必要になって作業を開始しようとしたところ、東京電力社内に原子炉工事をしたときの図面が残されていなかった、というのです。
 福島第一原発の歴史を見ると、

1967年9月29日:1号機を着工する。
1968年(昭和43年)3月29日:国が2号機の原子炉設置を許可する。
1969年(昭和44年)4月4日:福島県と東京電力の間で「原子力発電所の安全確保に関する協定」が締結される。
7月1日:3号機の原子炉設置許可申請を提出する。
1970年(昭和45年)1月23日:国が3号機の原子炉設置を許可する。
7月4日:1号機において核燃料を初めて装荷する。
11月17日:1号機の試運転を開始する(翌年5月11日に記念式典を実施する)。
1971年(昭和46年)2月22日:5号機の原子炉設置許可申請を提出する。
3月26日:1号機の営業運転を開始する。


 ……となっています(Wikipedia参照)。
 71年に営業運転を開始した原子炉の建設図面が、70年代末には東電社内に残っていなかった??
 そんなバカな話があるでしょうか。
 いくらなんでもこの記事は信用できないのではないかと私は思ったのですが、4月5日、高濃度汚染水が海に漏れだしていた件は、パイプやトンネルからではなく、その下の「砕石層」を通って流れ出していたという報道に接し、考えが変わりました。そこまでいい加減な工事をしていて、老朽化にも気づかなかったのであれば、最初から杜撰だった、気が緩んでいたということもありえるだろうと。
 少し詳しく説明すれば、当初、汚染水が噴き出しているのを目視できた場所の上流には、電線などが通る管路や電源ケーブル用のトンネルなどがあって、汚染水はこれらを通ってきていることが分かりました。もちろんこれらは「水路」や「排水管」ではなく、ケーブル類をまとめて這わせたり、人間が点検しやすいように作っているトンネルですから、決して水が入ってはいけない通路です。
 そこに高濃度汚染水が流れ込んできていること自体が大問題なのですが、その経路を遮断しても汚染水の海への流入は少しも止まりません。そこでさらに調べると、そうした通路の下に土台として埋めた砕石層(要するに土の中)を通っていることが分かったので、そこに直接止水剤を注入したというのです。
 私は越後の家で「土壌浄化層」「土壌トレンチ」という土壌バクテリアを利用して排水を浄化するシステムを自分で作ったことがあるので、砕石層が水の通路になることは体感的にもすぐ分かるのですが、ここに通っているのは炉心を通過して高濃度に汚染された水なのです。これが、U字溝やパイプではなく、地面の下の土壌そのものに流れ出しているというのですから、もはや冗談にもなりません。
 ここに止水剤を注入したとしても、今なお汚染水はだだ漏れ状態なのですから、敷地内はどんどん汚染水で水浸しになっているのです。

 福島第一原発が今後どうなっていくのか、現時点では誰にも分かりません。
 分かってきたのは、「想定外」の堕落、怠惰、無責任、無能力が、電力会社と政府、そしてアカデミズムの世界で構成される「原子力村」にて蓄積されていたことです。
 今まで大きな事故が起きなかったことのほうが奇跡的と思わざるをえません。

電源車も用意できなかった東電とはなんなのか2011/04/06 21:43

■原発事故にまつわるお金の話

ざっくりとした金額でしか書けませんので、その点はご了承の上でお読みください。

1)原発一基あたりの新設には3千億円。廃炉に1千億円かかる
2)今回の事故の後始末。周辺住民への補償だけで10兆円
3)東京電力が東大に提供している「寄付講座」総額は5億円
4)電源車と接続ケーブル費用:不明
5)東京電力が原発推進PR広告に使った費用:不明

金額参照資料:
  1)AERA 2011/4/11号記事「東電『原子力村』の大罪」参照
  2)週刊現代2011/4/16号記事「国にカネはあるのか」
  3)東京大学寄付講座・寄付研究部門設置調(部局別)
    「東電のカネに汚染した東大に騙されるな!」(純丘曜彰)


今回の原発事故がここまでぐちゃぐちゃになってしまったのは、地震と津波が襲った3月11日午後から夜までの半日に、適切な処置ができなかったことが大きな原因です。
11日に起きたことを時系列でまとめると、

11日
14:46 地震発生。福島第一原発で稼働中の1~3号機が自動停止
15:23 津波の第一波が来る
15:41 津波による設備の流出・喪失と地下の予備電源設備冠水により、すべての非常用ディーゼル発電機が使えなくなったことが判明
19:03 首相が原子力緊急事態宣言発令
21:23 首相が第一原発から半径3km圏内の住民に避難指示
22:00過ぎ 電源車が到着したが、ケーブルが短くて届かず、かつ、プラグが合わないことが判明。使えず


この時点で、電源完全喪失という恐怖のシナリオがスタートしました。
陸側に東北電力からのバックアップ電源ケーブルを二重三重に敷いておけば、電源喪失は起きませんでした。
バックアップ電源設備を海側、しかも防水もしていないただの地下に置いておくなどという馬鹿げたことをしていなければ、自前のディーゼル発電は動いていたでしょう。
さらには、7時間もかけて到着したという電源車が「ケーブルの長さが足りず」「プラグの形状が合わず」使えなかったなどという間抜けな結果になっていなければ、冷却機能は回復していたはずです。
到着まで7時間もかかったということは、原発周辺に電源車さえ置いていなかったのです。接続ケーブルすら準備していなかったのです。施設の外側に、非常用送電受け口さえつけていなかったのです。ましてや、「プラグが合わなかった」というのはなんの冗談でしょうか。東電って電気屋さんではなかったでしたっけ?
これらの設備、電源ケーブルや電源車を用意するお金はいくらでしょう。東大の寄付講座への5億円では足りませんか?
原発推進広告に出演させたタレントたちへのギャラを足しても足りませんか?
住民への保障費が10兆円。その他にこの、電気をもう作りださない巨大な放射性ゴミの後片づけをするのにかかる費用も兆の単位でしょう。30年はかかります。今不誠実な言い訳をしている人たちはみんな死んでいますね。無論、汚染された土壌や海洋は金では復活しません。
電源車やケーブルにかかる金をケチって、原発推進CMや原発村を構成する御用学者の養成には金を惜しまなかった企業に、日本の基本インフラを任せておいていいはずがありません。

もっと強い揺れと高い津波が襲った女川原発では、今、原発敷地内にある東北電力所有の体育館が津波被災者の避難所になっているそうです。原発施設が避難所になっているのです。「絶対安全だ」と言い張っていたのですから、原発施設がいちばん安全=避難するなら原発へ……は当然のことではあるんでしょうが。
女川原発が無事だったことを見れば「未曾有の天災」だから仕方がないなどという言い訳は一切通用しないことは歴然です。
どうも電力会社のいかれ具合、ボケ具合は、会社の規模に比例しているようです。

今すぐやるべきこと2011/04/06 22:57

■当面何をすべきか?

ああすればよかったのに、誰それが悪いというのは後回しにして、とりあえず今何をすべきなのかを考えてみます。

●福島第一原発現場での処理

1)放射線量が高すぎて作業員が近づけない、瓦礫が散乱してとても本来の冷却系を復活(修理)することはできないので、外部で新しい冷却水循環装置を組み立て上げて現地に大きなユニットのまま運び、各原子炉につなぐ
2)瓦礫処理にはロボットや遠隔操作重機を投入。
3)使用済み核燃料プールの水循環はディーゼルポンプなどでとりあえず回し、その間にやはり外部で冷却水循環装置を組み立てておく。ある程度冷えたところで鉛投入やプールのみの応急密閉を検討。
4)そうした作戦を指揮するしっかりした指揮官を選出し、保安院や東電とは切り離した緊急対策組織を作る。
5)緊急対策組織に事故処理の全権を与える。東電経営陣などの上層部はただちに作業から切り離し、権限を剥奪する。
6)緊急対策組織には、電力会社、プラントメーカー、自衛隊、消防、警察、海外からの専門家、米軍特殊部隊などから選りすぐりのメンバーを集めて「オール人類」体制で作業にあたる。東電からは本当に実力のある現場メンバーのみを選抜してその新組織に強制的に迎え入れる。

●気象庁、国土地理院、文科省、各大学研究室チームなどの連携

1)周辺地域および日本全国の放射線量測定体制の強化。土壌、海洋汚染状況の把握と速やかな発表体制を構築
2)周辺地域の現時点での放射線量だけでなく、蓄積線量や原発からの汚染物質飛散ルート予測を逐一発表

●農水省、厚労相などの連携

1)農作物、水、水産物の放射能汚染安全基準を「暫定」ではなく確定制定する
2)各自治体とも連携して、放射能汚染状況調査施設を増強。サンプル調査の頻度を上げると同時に、安全証明の発行システムを速やかに構築する

●原発被災地住民救済・救援・復興対策

1)20~30km圏内の「屋内待避」「自主避難」は効力も意味も不鮮明なので白紙に戻し、より細かな放射能汚染情報の発信と、付近に残っている住民へのバックアップ態勢を強化する
2)距離に関係なく、放射能汚染が著しいエリアには直接国が組織した「健康被害管理組織」が出向いて避難場所を提供した上で避難させる。
3)避難区域を指定する方法を、半径○kmではなく、はっきりと地図上に区画線を引いた指定に変える
4)原発周辺の物資が届かないエリアでは、無人になった民間のガソリンスタンドやインフラ関連店舗(燃料店、設備工事業者など)を、経営者との合意契約の上で、臨時に国の直轄下に置き、基本的な物資供給を滞らせないようにする
5)汚染が低いエリアは原発からの距離に関係なく、自治体の主導に委ね、早期の正常化を図る