細かいことですが……2011/04/17 21:12

理論と実際

このブログの一部や、表の日記(阿武隈日記)に、現在、「福島原発事故対策用臨時リンク集」というのを貼り付けています↓。

⇒文科省提供、周辺の空間線量率の測定結果

⇒上と同じものを出しているYahoo!のミラーサイト(こっちのほうが軽いですが、更新が文科省サイトより少し遅いです)

⇒全国の放射能(第一原発各号機の状態や世界各国で発表している放射性物質拡散予想なども見られます)

⇒アメダスの風向き情報

⇒大熊町の天気予測(風向き予報がよく分かります)

⇒ラジオ福島 ネット配信中

⇒ラジオ福島ホームページ(放射線量計測速報などリンク多数) ⇒福島第一原発周辺の各種数値計測リポート(東京電力提供)

⇒阿武隈(から避難中)裏日記

⇒武田邦彦氏の緊急発言

この最後の武田邦彦氏のブログへのリンクが気に入らないというかたから、何度もクレームが来ていますので、前にも書いたと思いますが、もう一度説明しておきます。

私は、武田氏の書いていることをすべて正しいと言っているわけではなく、そこに含まれる主張や考え方に、非常に重要な事実が含まれているので、参考になる、と思っています。
例えば、

原発深層流001 信用できる人、できない人 その1
原発深層流002 危険な原発? 安全委員会速記録(1)
原発深層流003 危険な原発・登場の瞬間

……というのがありますが、ここでは彼が原子力安全委員会の委員をしていたときに経験したことが書かれており、そうした「事実」を私たちが知っておくことはとても重要なことです。
彼はテレビに出てきたときも何度も繰り返しこのことを語っています。(ニコニコしながら言うので、多くの視聴者は違和感を抱くのですが、それはまあ個性ということで……)

//福島原発は「方針通りの結果」で、「想定外だから、大量の放射線が出て何が悪い」というのが保安院の態度に出ています.また、知事さんも市長さんもこのことはご存じです.
もし、電力会社の社長さん、知事さんが自ら「自分のところの原発は不安全だ」と宣言して、情報を出し、地元に説明をしたら、これからの日本は繁栄し、安全な社会になるでしょう。
その点で、今は正念場です.//(一部誤字を訂正させてもらいました)


こういう指摘は貴重です。
保安院がいかにでたらめなことをしてきたか。知事が原発の危険性を知っていないはずがないこと(知らなかったと言い張るのであれば職務怠慢)。こうした事実は、何度でも繰り返し発信してもらわないと。
マスコミが報じないだけに、彼の証言は重要です。

しかし、一方では、数値の扱いや仮定のし方、仮定の話での計算方法、危険性についての説明が、現実や実際とかなり乖離していて、一般の人がそれだけを読むと正しく判断できない面があります。

例えば、「原発深層流001 信用できる人、できない人 その1」の中で彼は、

//原発の近くの海から基準値の3355倍の放射性ヨウ素が検出されたとき、保安院は記者会見で「健康に影響がない」と言いました。
このような「真っ赤なウソ」が白昼堂々とテレビで放映され、ニュースで流れるという現状を「信用しろ」と言っても無理です.
(略)
たとえば、一般の人の被曝線量の限界は1年間に1ミリシーベルトになっていますが、その3355倍というと、3シーベルトを越え、50%の人が即死(急性疾患で死亡)するような放射線量になります。//


と書いていますが、海水中の放射性ヨウ素の基準値が3355倍というのと、3シーベルトで50%の人が死ぬというのを並べて書くのは、比較の対象が違うので意味がありません。彼が何度も指摘している「内部被曝と外部被曝を区別していない」というトリックと同じで、年間の累積被曝量と瞬間で被曝したときの放射線量とを比較するのは正しくないからです。「3000倍が問題でないという言い方はおかしい」と訴えたいのは分かるのですが、こういう書き方をすることで、彼の言わんとすること全体が信用性を失ってしまうことが残念です。

また、

//政府の発表は空間線量も含めてまったく信用できません。
空間線量はできるだけ計測器を持っている人がネットで発表し、それを使いたいと思います.1時間で0.6マイクロシーベルトより高いところには近づかず、1時間で0.11マイクロシーベルト以下のところは安心して生活するという「ケジメ」をハッキリつけたいと思います.//


とも書いていますが、現実問題として、私が今これを書いている部屋(川崎市)は、0.11μシーベルト/h以上あります(低いときで0.09、高いときで0.18マイクロシーベルトくらい)。
「1時間で0.6マイクロシーベルトより高いところには近づかず」などということを実践したら、日本国中自由に移動することもできません。
提示する数値があまりにも実態(現状)とかけ離れていることも、混乱を不必要に増やしてしまいます。
そうしたことから、一応、
(↑考え方の参考、メディア報道を見極める助けとして。数値や仮定の計算などは鵜呑みにしないでください。時間と共にどんどん冷静さがなくなっている感じがしますが、考え方の出発点としては参考になると思っています)
……という但し書き付きでリンクを表示しています。
ご理解いただけましたでしょうか。

まあしかし、武田氏も乱暴ですが、テレビのでたらめぶりは相変わらずです。
昨晩見ていた報道番組では、双葉町の精密機械工場社長が口にした「(線量計の数値が)5くらいだ」という言葉を受けて「5ミリシーベルトは一般人の年間許容線量基準の5倍を1時間で浴びてしまう計算だ」などと解説していましたが、どう考えてもこれは「マイクロシーベルト」でしょう。双葉町の中で、今も5000μシーベルト/hの放射線量が計測されているとは到底思えませんから。そのくらいはちゃんとチェックしてから番組を編集してください、とお願いしておきましょう。

私はもうすぐ川内村に戻るつもりです。
26日に東京で用事があるため、往復するのが大変なので、それまではここにいる予定ですが、原発が今のレベルをなんとか保っていてくれるならば、川内村が安全であることははっきりしているからです。

……と書いている今、机の上に置いてあるガイガーカウンターが警告音を鳴らすようになりました(瞬間的にでも0.3マイクロシーベルト/hを超えると警告音が出る)。今日から明日にかけて風向きが海から内陸側に吹く予報だったので嫌だなあと思っていたのですが……。こういうことを気にしながら生活していく日々になってしまったのですねえ。まったく。

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