諸悪の根源は税金である2011/06/15 16:31

東電原発事故から何も学んでいない議論が多すぎるので、いくつか基本の基本ともいうべきことをまとめておきたい。

原子力発電にまつわる「嘘」を一度全部確認することから始める

  • 事故が起きたから放射性物質ができたわけではない。環境中に出たらとんでもないことになる放射性物質というゴミを大量に作りながら熱を出すシステムが原発。事故が起きなくても、日本国内に存在する放射性物質の量は変わらない。
  • そのゴミは他のものと違って、地球の循環システムにのせることができず、科学の力で処理することもできない。そういうものを、今生きている世代だけでなく、今の世代が死んだ後も、人間は果てしなく管理し続けなければならない。その負の遺産を次の世代に押しつけることで続けているのが原発。
  • そのゴミの保管費用とリスクを発電コストに入れていないのだから、原発の発電コストが安いというのは嘘。
  • そのような「高くつく」発電方法を日本がなぜ続けてこられたかといえば、莫大な税金を投入してきたから。その分も発電コストからは除外されている。しかも、最低限必要な安全対策さえも行わず、代わりに莫大な金をかけて「事故は起きない」という非科学的なメッセージを垂れ流し、国民を洗脳してきた。
  • 従って、税金を投入せず、電力会社にすべての費用と義務を負わせれば、電力会社は原発という割に合わない発電方法を選択することはない。(デモや訴訟などしなくても、自然に消滅してくれる)
  • 莫大な税金を投入するということは、そこに莫大な利権が生まれるということ。その利権をむさぼる者たちが、大規模な詐欺を「国策」という名のもとで進めてきた。(これは原子力発電に限らない)
  • 素人である国民が発電方法を考える必要はない。必要なのは、国が金を出さないこと(税金を投入しないこと)。国がやるべきことは企業(電力会社)に公害発生をさせず、徹底的な安全対策をさせること。それが守られなかったときの罰則を厳格に与えること。いかに安全で、安く、環境負荷の小さな発電をするかは、電力会社が考えればいいこと。彼らは「本当のこと」を知っているのだから、安全・コスト・環境負荷のバランスにおいて、その時代・状況にいちばん合った発電方式が自然に定着する。

現時点で、化石燃料を代替するものはない

  • 石油・石炭などの化石燃料は有限なのだから、使い続ければいずれはなくなる。(言うまでもない)
  • あらゆる産業や技術の基盤が石油なのだから、石油が完全に涸渇したときには今の技術や産業も成立しない。ウラン燃料を作りだすにも石油が必要だし、風車や太陽光パネルを作るのも石油が必要。「○○発電」は発電する技術のことであり、エネルギーを生み出す資源のことではない。技術が装置を作るためのエネルギーや資源を生み出してくれるわけではない。
  • なくなるのは化石燃料だけではなく、材料資源も同じ。一部レアメタルの採掘限界年数は石油より短い。もしかすると発電装置そのものを作るための材料が涸渇するほうが石油の涸渇より早いかもしれない。
  • 今できることは、まず省エネであり、無駄な生産活動を減らすことだが、それをやると経済がマイナス成長になるといって恐れている人たちが、あらゆる詐欺を働いて税金投入によるビジネス拡大をしている。原子力ビジネスはその典型。
  • CO2による地球温暖化説は、衰退していた原子力ビジネスを甦らせるための全地球規模の詐欺だったが、福島事故のためにそれも難しくなった今は、脱原発を理由にした新たな税金搾取詐欺ビジネスが生まれようとしている。
  • 新たなエネルギービジネスを動かしているのは一部のパワーエリート。ナイーブで勉強不足の政治家や識者と呼ばれる人たちが、まんまとそれにのせられている。正しいエネルギー政策を進めるためには、エネルギー産業に税金を投入したり、環境負荷や安全性の面での優遇措置を与えてはいけない。健全な産業として育たないからだ。

今回の被害補償を誰がどのようにするのか

  • 原発で深刻な事故が起きたときは、被害が大きすぎて一企業には到底損害を補償しきれない。だから一定額以上は免責にして、残りは国がなんとかしてくれ、という約束の下で日本の原発はスタートしている。これがそもそもの間違い。
  • 今回の事故が与えた損害への補償(無論、金で償えない損失・ダメージのほうがはるかに大きいのだが、まずは金で償うとして)は、まずは東電が丸裸になるまで東電の資産売却によって行うべき。発電に不要な資産を売却するのは当然だが、そんなものでは到底足らない。発電・送電設備も売る。
  • 発送電設備を買う側は、それによって儲けが出るという計算で買うのだから、発電、送電は設備を買い取った側が続けることになる。東電がつぶれても電気が作れなくなるわけではない。
  • 東電の原発資産を買い取る企業は現れるはずがない。もちろん、他の設備も、コストパフォーマンスの低いものは買い取らない。これこそ健全なことだ。ただし、前提として、国が余計な口を出さず(税金を投入して全量買い取り義務だの、補助金だのといったことを一切せず)、発電の方法はすべて企業に委ねる。その代わりに、安全対策義務違反を厳しく罰し、毒物・処理困難物の発生にもしっかりと罰則や税金をかける。(企業は儲からないことはやらないので、手抜きや公害発生の代償としての罰則や税金がそれより大きければ、金をかけてしっかり運営する)
  • 経営陣がゼロ給与状態になり、資産・設備をすべて売り尽くし、完全な丸裸になっても補償しきれない状態になったら国が補償の続きを行う。そのときには東電という企業は消滅しているが、これだけのことを起こしたのだからそんなことは当然のこと。原発が万一事故を起こせばこうなるのだということを他の企業にも肝に銘じてもらわないと困る。
簡単なことなのだが、それをやってこなかったのは、税金投入という詐欺ビジネスで私腹を肥やす人たちが政治や情報をコントロールしてきたから。その結果、国民が詐欺の被害にあいながら、ずっと気づいてこなかったから。

そして今また、同じことが繰り返されている。
自然エネルギービジネスに税金を投入しろとか、原発をやめるためには電気料金の値上げが避けられないといった詐欺論議に、またもやのせられようとしている。
頑張ろう日本、ではない。変な方向に頑張ってもらっては、この国はどんどんひどいことになる。そうではなく、
もう騙されるな! 日本!