ガイガーカウンターを買うならSOEKS 01Mがよい2011/09/03 22:56

左は壊れてしまった1706
表の「阿武隈日記」に書いたのだが、このブログだけ読んでいるかたも多いと思われるので、実用情報として、ガイガーカウンター SOEKS 01M の情報を。
我が家に届いたガイガーカウンターとしては、これが5台目のガイガーカウンター。
1台目はロシア製のRADEX RD1706で、これはとても扱いやすく、性能もよかったのだが先日壊れてしまった。
RADEXの製品の中ではGM管を2本搭載している上位機種だが、3月13日にイギリスのショップに注文して、2万円台で購入できた。直後に世界中で品切れ。一時期はアマゾンやeBayで10万円を超える値段で出品されていた。今はSOEKS 01Mが大量に出回ってきたことを受けてか、5万円くらいにまで下がってきたようだ。
2台目は同じイギリスのショップで注文したクラシックなやつだったが、すぐに壊れたので返品・返金してもらった。
3台目は、実は最初に国内のショップに注文したもので、受付後に「申しわけありませんが……」と品切れを知らせるメールが来て、その後2か月以上経ったら突然送られてきた。これがRD1503という、最初に入手したRD1706の廉価版というか、普及版。今出回っているRADEXはほとんどがこれ。事故前の価格(2万円台後半)で買えたし、1706のスペアとしてそのまま持っていた。その後しばらくしてRD1706が壊れてしまったので、結果的には助かった。
1706に比べると、GM管が1本しか入っていないのと、測定範囲が2桁狭い(最高が1μSv/h)のが欠点だが、扱いやすさは評価できる。
4台目は、興味本位?で買ったクラシックなガイガーカウンター。これは表日記でも紹介済み。ほとんど趣味の品なので、実用性はほとんどない。目下ヤフオク出品中。
で、5台目が今回のSOEKS 01M。これはRADEXと同じGM管を1本使っている。従来のSOEKS 01に比べるとGM管が大型化して、回路も新設計になっている。まったくの「別物」と言える。つまり、「M」がついていない機種は買ってはいけない。現在も旧製品のSOEKS 01は売られているので注意。

↑上が旧型、下がSOEKS 01M。GM管の大きさがまったく違う

旧型は中国製のDP802iやBS2010と同じ中国製の小さなGM管を使っているらしい。これはSOEKSとしては、本格製品化する前のテスト版みたいなものと言えるのではなかろうか。
Mがついた新型では、TERRA-P,RADEX1503,RADEX1706(GM管を2本装備)と同じSBM-20-1 というガイガーミューラー管を使っている。

↑左からTERRA-P、RD1706、RD1503、SOEKS 01M すべて同じGM管を使っている(RD1706は2本)

このGM管は、セシウムではなくコバルト60の値でCPM(1分間に飛び込んでくる放射線の数)をシーベルト値に換算していると言われている。そのため、表示数値が現在の日本(要するに福島第一原発からだだ漏れになっている放射性物質=いちばん多いのはセシウム134と137)では実際より高めに出るので、0.7~0.8を掛けたくらいの数値が実際の数値に近いらしい。
実際に使ってみると、同じGM管を採用しているRADEXの1503に比べると測定値が頻繁に上下する。これは悪いことではない。それだけ高い頻度で測定しているからだ。今は壊れてしまったが、上位機種の1706と同じような傾向。
小さくて軽いし、液晶も見やすい。
人気の高いRD1706と比べての欠点は、
  1. アラーム音の閾値設定にバグがある(実際の3倍の値を設定する必要がある)
  2. 放射線量の高さに比例してアラーム音が変化するわけではない(閾値を超えると一定の間隔での音がするだけなので、あとは数値の変化に注目することになる)
  3. バックライトのカラー液晶を使っている分、バッテリーの減りが早い
……といったところ。
しかし、2万円台で大量に売られているので、簡単に手に入る(アマゾンならたいてい翌日には届く)し、癖を分かっていれば極めて信頼できる性能なので、目下、一推しだろう。失敗したくない、高い金を出したくないという人には最も安心してお勧めできる。

注意点は閾値設定にバグがあり、実際に設定したい閾値の3倍の数値を設定する必要があること。
例えば、閾値を1.2に設定すると、0.41μSv/hを超えると警告音が鳴る。
これはおそらく、旧型より計測速度が3分の1に(3倍速く)なった(改良された)ことと関係があるのだろう。計測速度が3分の1になったのに連動して警告音閾値も3分の1に計算されてしまうようなバグが残っていると思われる。
まあ、その程度のバグなら、最初から3倍の値を設定しておけばいいだけのことだ。
1.5μSv/hに設定すれば0.5μSv/hを超えたところで鳴るし、1.8μSv/hにしておけば、0.6μSv/hを超えたところで鳴る。

バッテリーの減りが早いという欠点は、エネループなどの充電式電池を使うことである程度解消できる。エネループはかなり寿命が長いし、本体からバッテリーを外さなくてもUSB端子から充電もできる。
充電式電池を使った場合は、本体の設定MENUの「Power」で、Accumulators を Yes に設定しておく必要がある(デフォルトではNoになっている)。逆に、普通の電池を使っている場合、これを Yes にしてはいけない。
USB端子が付いているが、これは電源供給機能のみで、将来、ファームウェアのバージョンアップがこれで行えるというような仕様にはなっていない。ただの外部電源端子だと思えばよい。

頻繁にバージョンアップしているが、最新バージョンは1.CLで、これは2011年の最終バージョンだとメーカーサイトで宣言している。
バージョンは2系統あり、古いほうから順番に、

1.2, 1.3, 1.4, 1.5, 1.6, 1.7
(2010年6月11日製造まで)

1.8, 1.9, 1.AL, 1.BL, 1.CL
(2010年6月11日以降の製造)

の2系統。
古いほう(バージョン1.7まで)は、液晶画面左側のバーが1つしかついていない。
このバーの左側は、計測時間を示すもの。バージョン1.8以降の01Mは10秒で1回計測している。
で、バージョン1.8以降では、
  • 計測が毎30秒から毎10秒になって計測速度が3倍になった
  • 10秒ごと(1計測ごと)に左から2番目の黄色いバーが伸びて、12回計測でフルになる
  • 表示される計測値は過去12回の平均値が表示される(旧バージョンでは1回ごとの計測値が表示されたので変動が激しかった)
  • 計測値が突然それまでの3倍になったり10分の1に減ったりした場合、この過去の平均値は一旦リセットされ、計測し直しになる
  • このような急激な変化があった場合、液晶画面の右側に赤い矢印2つ(上昇)や緑の矢印2つ(減少)が表示される
  • 計測値が過去平均より30%以上増えたり減ったりした場合は、赤い矢印(上向きか下向き)で表示する。この場合は過去平均値はリセットされない
  • 放射性物質検出が頻繁にある場合は、小さな四角いアイコンが黄色と赤に点滅。ほとんどない場合は黄色のまま点灯

……というのが変更点。これは、新バージョン製品についてくるマニュアルにも書いていないことなので、知っておく必要がある。
なお、今出回っているのはバージョン1.BLか1.CLが多いが、バージョン1.BLと1.CLの違いはほとんどない(USBをつないだときの電源表示のアイコンが微妙に違うだけらしい)ので、1.BLのほうが安く出ていればそちらを買ったほうがいい。
注意したいのは、バージョン1.7以前のSOEKS 01Mは避けること。MのついていないSOEKS 01は買ってはいけない。

↑矢印のバーが、バージョン1.8以降加わった


バージョン1.8からの変更点が、添付のマニュアル(ロシア語と英語)に書かれていないのが問題。
日本語マニュアル添付として売られているものも、この古いマニュアルをそのまま日本語訳しているので、やはり上記の変更点については書いていない。また、閾値のバグについても、書かれていない。

ということで、面倒な人は以下のようにすることをお勧めする。

1)購入したら電池はエネループの単4×2本にする
2)電源投入(真ん中の大きなボタンを長押し)後、Measuring と Main Menu を選択する画面に切り替わったら(英語表示になっている場合)、左のボタン(カーソル移動ボタン)でMain Menuを選んで右のボタン(決定ボタン)でメニューに入る
3)まずUnits(単位)をSievertに変更(決定⇒カーソル移動⇒決定後に真ん中のMenuボタンで戻る)
4)元の画面に戻るので、同じことをしてSettings(各種設定)に入り、Level mcSV/h を選んで、アラームを鳴らしたい閾値の3倍の数値を選んで決定(3倍にしないといけないのはバグ)
5)同様にSound設定画面に入り、Sound On は Yes、Sound Toneはお好みで(数字が大きいほど高音)、Keypad Tone(ボタンを押したときに音がするかしないか) は No(がうるさくなくてよい)、Sensor Soundは No(そうしないとうるさい)、Alarm Sound はYes、Volumeはお好みで(Hiにしておいたほうが気づきやすい)
6)次にSettingsのPowerに入り、エネループなどの充電式電池を使っている場合は Accumulators をYesにする。Auto Off,min. は液晶が消えるまでの時間(分)。私はその下のAlways On をYesにしてある(常時表示)ので、このオートオフは関係ない。バッテリーの減りを遅らせたい場合はここをNoにして、液晶オフまでの時間を設定しておく

以上でOK。

結論として、現在売られているガイガーカウンターでは、SOEKS 01Mが最も入手しやすく、まともに使えるモデルだろう。表示される数値のおよそ0.7掛けか0.8掛けが正確な数値と思っていればよい。
ベータ線も計測できるので、もし地表に近づけて大きく数値が上がる場合は、そこにセシウムが付着していてβ崩壊しているということを示す。腰の高さ以上で計る場合は地表からのベータ線の影響はほとんど受けないので、0.7を掛けたくらいが空間線量だと思えばよい。


(2011/12/14 追記)
一時期、とんでもない値段をつけていたRADEXの1503と1706が、ようやく3.11以前の価格に戻ってきた。
バッテリーの持ちなどを考えると、RADEXはSOEKSより使いやすい。使われているGM管は同じ。
たまに計るだけの人はSOEKSでいいが、汚染地域で電源を入れっぱなしにしていたい場合などは、RADEXをお勧めする。GM管を2本搭載している1706は、高価だが測定時間が早い。測定可能範囲も1503より2桁高いので、汚染地帯に住む人や汚染地帯に足を踏み入れる人は最低限これくらいのものを持っていたほうがよい。