アジアにおけるワクチン接種率 ― 2021/05/17 15:54
昨日(2021/05/16)、COVID-19の感染率、死亡率や、ワクチン接種とその効果と不安材料に関する報道について、いろいろ危惧する点がある、ということを書いた。
何度も追記して長くなってしまったし、公開後に新たに知ったデータなどもあるので、ここで、問題点別にまとめなおしてみたい。
(2021/05/19~ さらに改稿)
例えば、最近「大阪のCOVID-19死者数はインドより多い」という発言が話題になっている。確認すると、大阪府のCOVID-19による累計死者数は1958人(5/17時点)で、人口100万人あたりにすると約223人。インドは191人。確かに「インドより多い」とは言える。
ちなみに、5月8日時点ではそれぞれ192人対174人だったから、どちらもここ9日間で一気に増えている。このまま増え続けると、コロナだけでなく、他の病気や怪我でも適切な対応をしてもらえず命を落とす確率が増えるという怖ろしい事態が待っている。
この「インドより多い」という表現は、インドはCOVID-19死者数が飛び抜けて多い国だというイメージのもとで語られているフシがあるが、実際にはインドの人口あたり死者数は世界100位前後で、累積死者数では「飛び抜けて死者が多い国」とは言えない。
しかし、現在のインドの死者数増加スピードは凄まじく、
また、インドは感染者数はやや減少傾向になっているようだが、ネパール、日本は増えたままなかなか減らない。
ハンガリー(3027人)、チェコ、ボスニア、ブルガリア、北マケドニア、スロバキア、ベルギー、スロベニア、イタリア、ブラジル、ペルー、イギリス、ポーランド、クロアチア、アメリカ、スペイン、メキシコ、ポルトガル、フランス、ルーマニア、コロンビア(1583人)……の順(worldometers.info 2021/05/17時点での集計より)。
多くの日本人はイメージできていないと思うのだが、東欧諸国がものすごく多い。
インドの197人は欧米諸国より1桁低い。日本は91人でインドの半分くらいということになっているが、インドは人種的にはアーリア系が多く、日本を含めた東アジア諸国(モンゴロイド系が多い)とは「ファクターX」的な要因がかなり違うであろうことも頭に入れておかなければならない。
ちなみに、韓国は37人、オーストラリアは35人、タイは8人、ニュージーランドは5人、台湾は0.5人、ベトナムは0.4人……で、アジア、オセアニア圏の国では日本の死者数は非常に多い。
「日本は欧米諸国に比べて非常に少ない」ではなく「アジア諸国の中ではインド、インドネシア、フィリピン、ネパールの次に多く、韓国の倍以上、香港の3倍以上、台湾の180倍以上の割合で死者が出ている」と伝えるのが正しい。
東アジア諸国で死者が少ないのは人種的(HLA=ヒト白血球抗原型など遺伝子関連の)要因が「ファクターX」になっているのだろうということは、今では世界中の研究者が考えている。しかし、オーストラリアやニュージーランドは人種的には欧米諸国に近いので、イギリスやアメリカ並みに死者が出ていてもおかしくなさそうだが、日本よりずっと少ない。
これは両国とも島国であるという特質を生かして、水際対策を徹底し、感染拡大防止策もしっかりやってきたことが成功しているのだろう。
同じ島国の日本はそれがユルユルだった結果、もはや手遅れ状態になってしい、他国よりも遅れた今になって危機が増大していることも、メディアはしっかり伝えなければならない。
OECDは「経済協力開発機構」のことで、現在37か国が加盟している。しかし、その37か国中、アジアの国は日本と韓国だけである。
では、COVID-19の死者が欧米より極端に少ないアジア諸国のワクチン接種率は現在どのくらいなのだろうか。
日本経済新聞社が「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」というデータをまとめてくれている。それによると、アジア諸国では、
国:100人あたりの接種回数(多い順)
しかし、よく見ると感染防止対策を絶賛され、実際に死者数も100万人あたり0.5人しかいない台湾が最下位なのだ。
日本が100人あたり4.8回なのに対して台湾は0.8回。5分の1以下である。
それなのに100万人あたりの死者数は日本が91人に対して台湾は0.5人。日本は台湾の182倍である。
台湾やモンゴルは今までほぼ完全に感染を押さえ込めていたが、ここにきて、おそらく変異株の影響があるかと思うが、急に感染者、死者が出てきたため、急遽ワクチン接種政策を進めている。
これを見る限り、ワクチン接種率と死者数は比例していないように見えるが、ワクチン接種開始前に医療崩壊などで一気に死者が出たケースが多いだろうから、累積の死者数との比較ではなく、今後の動向を注視しなければならない。
モンゴルが今までCOVID-19での死者ゼロだったのは、草原地帯などが多く、人口密度も低い国内にウイルスが入ってきていなかったからだろう。それが一気に感染が広がったことの背景には、何らかの変異株が入ってきて、今までの均衡を破ったのではないかと疑う。同じモンゴロイド系人種の国でのことだけに、今後どうなっていくのかが非常に気になる。
モンゴルは感染者が出てきた今年2月から急遽ワクチン接種に乗り出し、急ピッチで接種人口を増やした。上記データによれば、目下人口100人あたりの接種回数は72.8回で、アジア圏諸国の中でも断トツトップである。そのため、感染者数は減ってきているが、今後、もし感染者数や死者数が下がりきらずにあるレベルでダラダラ続くとしたら、日本にとっても大きな不安材料になる。
つまり、COVID-19で重症者・死者を出さないための最大の施策は水際対策の徹底と感染防止の努力、そして医療崩壊を防ぐことだろう。
マスクをするとか密を避けるといった努力は国民一人一人の意識で対処できるが、水際対策や医療体制のほうは国民サイドではどうにもならない。
水際対策、感染防止策がこれだけルーズな国で10万人規模の入国者が大都市に集まる東京五輪を開催するのは、世界に対して無責任だと非難されても仕方がない。
最近、スポーツ競技会開催における感染防止策として「バブル」方式という言葉をよく聞くようになった。
競技会開催中、選手を「泡(バブル)」の中に包み込むように外部との接触を完全遮断するというものだ。
チームごとにホテルのフロアを貸し切り、食事も練習も別時間、別空間にして混じらせない。ホテルの各フロアには警備員を配置して選手や関係者が無断で出入りしないように見張る。
しかし、オリンピックのような大規模な大会でこれが可能だろうか? 仮にできたとしても、それはもはや「平和の祭典」「国や人種の垣根を越えた国際交流の場」とはほど遠い、囚人の護送のような風景になってしまう。
そんな大会にわざわざリスクを冒してまで出たくないと、出場を拒む選手も続出するだろう。そうなれば「世界最高レベルのスポーツ大会」でもなくなる。
こうした視点での議論もあまりなされていない。
オリンピックを中止しろ、いやそれはヒステリーだ、といった二項対立を煽るのではなく、きちんと「開催できる可能性と条件」「この状況下で強行する意義」について、データに基づいた論理的議論をしてほしいものだ。
前回も掲載したが、厚労省が公開している「新型コロナワクチン接種後に死亡として報告された事例の一覧(令和3年2月17日から令和3年5月7日までの報告分)」の中に見られる、認知症や心不全、脳梗塞歴を持つ高齢者の死亡例をもう一度見てほしい。
例えば、終末期にある認知症高齢者が大腿骨骨折した場合、手術を受けさせるべきか、誤嚥性肺炎を悪化させて口から食事が取れなくなったとき、経管栄養を施すべきか。そうした難しい問題に完全な正解はない。本人がすでに判断力を失い、寝たきりに近い状態の場合、医師や家族が代わりに決断しなければならない。本人がいかに苦しまず、穏やかな終末期を過ごせるかを考え抜いた末に決めなければならない。
そうした苦労を無視するかのように、「国が早くワクチンを打てと言っているから打つ」という姿勢はどうなのか。介護や医療現場の思考停止につながりかねないのではないか。
また、日本でワクチンの副反応と疑われる死亡例や重篤化例が目立つのは、欧米人と同じ量を打っていることも一因になっているのではないかという指摘をする医師もいる。副反応の重さや報告例は1回の接種の量に比例するというデータもあるそうで、平均体重が欧米人よりも軽い東アジアの人たちには欧米での量と同じでは過剰なのではないかというものだ。確かに、超高齢で体力もなく、体重も軽い人がほとんどの高齢者施設入所者などに大柄な欧米人と同じ量をそのまま打ってしまっている現状は問題がありそうだ。
終末期にある高齢者たちが、ていねいな介護のもとで穏やかな終末期を過ごす権利を奪われるようなことにならぬよう、慎重な対応が求められる。
ともかく、医療従事者を含めて、ワクチン接種は自由意志に基づくという大原則の厳守、ワクチン差別をさせない広報と共に、早急に考えてほしい課題である。
何度も追記して長くなってしまったし、公開後に新たに知ったデータなどもあるので、ここで、問題点別にまとめなおしてみたい。
(2021/05/19~ さらに改稿)
「大阪はインドより死者数が多い」は本当だが……
まず、アジア圏(特に東アジア)の諸国では欧米諸国より1桁も2桁も死者数が少ないこと(ファクターX)を無視した報道が多い。例えば、最近「大阪のCOVID-19死者数はインドより多い」という発言が話題になっている。確認すると、大阪府のCOVID-19による累計死者数は1958人(5/17時点)で、人口100万人あたりにすると約223人。インドは191人。確かに「インドより多い」とは言える。
ちなみに、5月8日時点ではそれぞれ192人対174人だったから、どちらもここ9日間で一気に増えている。このまま増え続けると、コロナだけでなく、他の病気や怪我でも適切な対応をしてもらえず命を落とす確率が増えるという怖ろしい事態が待っている。
しかし、現在のインドの死者数増加スピードは凄まじく、
インドは、新規感染の平均報告数で世界でも最多となっている。世界で報告される1日の新規感染者の約2人に1人の割合を占める。 (ロイター COVID-19 TRACKER)だそうだ。
また、インドは感染者数はやや減少傾向になっているようだが、ネパール、日本は増えたままなかなか減らない。
日本政府最大の失策は水際対策の失敗と状況把握の遅れ
人口300万人以上の国の、人口100万人あたりのCOVID-19死者数順位は、ハンガリー(3027人)、チェコ、ボスニア、ブルガリア、北マケドニア、スロバキア、ベルギー、スロベニア、イタリア、ブラジル、ペルー、イギリス、ポーランド、クロアチア、アメリカ、スペイン、メキシコ、ポルトガル、フランス、ルーマニア、コロンビア(1583人)……の順(worldometers.info 2021/05/17時点での集計より)。
多くの日本人はイメージできていないと思うのだが、東欧諸国がものすごく多い。
インドの197人は欧米諸国より1桁低い。日本は91人でインドの半分くらいということになっているが、インドは人種的にはアーリア系が多く、日本を含めた東アジア諸国(モンゴロイド系が多い)とは「ファクターX」的な要因がかなり違うであろうことも頭に入れておかなければならない。
ちなみに、韓国は37人、オーストラリアは35人、タイは8人、ニュージーランドは5人、台湾は0.5人、ベトナムは0.4人……で、アジア、オセアニア圏の国では日本の死者数は非常に多い。
「日本は欧米諸国に比べて非常に少ない」ではなく「アジア諸国の中ではインド、インドネシア、フィリピン、ネパールの次に多く、韓国の倍以上、香港の3倍以上、台湾の180倍以上の割合で死者が出ている」と伝えるのが正しい。
東アジア諸国で死者が少ないのは人種的(HLA=ヒト白血球抗原型など遺伝子関連の)要因が「ファクターX」になっているのだろうということは、今では世界中の研究者が考えている。しかし、オーストラリアやニュージーランドは人種的には欧米諸国に近いので、イギリスやアメリカ並みに死者が出ていてもおかしくなさそうだが、日本よりずっと少ない。
これは両国とも島国であるという特質を生かして、水際対策を徹底し、感染拡大防止策もしっかりやってきたことが成功しているのだろう。
同じ島国の日本はそれがユルユルだった結果、もはや手遅れ状態になってしい、他国よりも遅れた今になって危機が増大していることも、メディアはしっかり伝えなければならない。
ワクチンですべて解決となるかはまだ分からない
メディアは「日本のワクチン接種率1.1%でOECD中最下位」といった報道をしたがる。OECDは「経済協力開発機構」のことで、現在37か国が加盟している。しかし、その37か国中、アジアの国は日本と韓国だけである。
では、COVID-19の死者が欧米より極端に少ないアジア諸国のワクチン接種率は現在どのくらいなのだろうか。
日本経済新聞社が「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」というデータをまとめてくれている。それによると、アジア諸国では、
国:100人あたりの接種回数(多い順)
- モンゴル:72.8回
- ブータン:63.1回
- シンガポール:55.0回
- 中国:25.3回
- 香港:24.4回
- インド:12.9回
- 韓国:8.6回
- ネパール:8.6回
- インドネシア:8.3回
- マレーシア:5.9回
- 日本:4.8回
- ミャンマー:3.3回
- タイ:2.9回
- フィリピン:2.4回
- ベトナム:0.9回
- 台湾:0.8回
しかし、よく見ると感染防止対策を絶賛され、実際に死者数も100万人あたり0.5人しかいない台湾が最下位なのだ。
日本が100人あたり4.8回なのに対して台湾は0.8回。5分の1以下である。
それなのに100万人あたりの死者数は日本が91人に対して台湾は0.5人。日本は台湾の182倍である。
台湾やモンゴルは今までほぼ完全に感染を押さえ込めていたが、ここにきて、おそらく変異株の影響があるかと思うが、急に感染者、死者が出てきたため、急遽ワクチン接種政策を進めている。
↓国:100万人あたりの死者数(累積)、100人あたりの接種回数、100万人あたりの検査数
- インド:197人、12.9回、226,213人
- インドネシア:174人、8.3回、56,252人
- フィリピン:173人、2.4回、113,832人
- ネパール:169人、8.6回、93,640人
- 日本:91人、4.8回、103,731人
- モンゴル:62人、72.8回、850,497人
- ミャンマー:59人、3.3回、47,540人
- マレーシア:58人、5.9回、320,936人
- 韓国:37人、8.6回、182,298人
- オーストラリア:35人、11.1回、681,057人
- 香港:28人、24.4回、1,965,735人
- タイ:8人、2.9回、116,148人
- ニュージーランド:5人、7.9回、416,339人
- シンガポール:5人、55.0回、1,772,663人
- 中国:3人、25.3回、111,163人
- ブータン:1人、63.1回、957,402人
- 台湾:0.5人、0.8回、23,948人
- ベトナム:0.4人、0.9回、31,514人
これを見る限り、ワクチン接種率と死者数は比例していないように見えるが、ワクチン接種開始前に医療崩壊などで一気に死者が出たケースが多いだろうから、累積の死者数との比較ではなく、今後の動向を注視しなければならない。
モンゴルの今後の動向が気になる
特に気になったのは、昨年まで死者数ゼロだったモンゴルが、ここにきて突然、感染者数も死者数も増え始めたことだ。モンゴルの新型コロナ感染者数↑と死者数↓の推移グラフ。(worldometersinfoより)
モンゴルが今までCOVID-19での死者ゼロだったのは、草原地帯などが多く、人口密度も低い国内にウイルスが入ってきていなかったからだろう。それが一気に感染が広がったことの背景には、何らかの変異株が入ってきて、今までの均衡を破ったのではないかと疑う。同じモンゴロイド系人種の国でのことだけに、今後どうなっていくのかが非常に気になる。
モンゴルは感染者が出てきた今年2月から急遽ワクチン接種に乗り出し、急ピッチで接種人口を増やした。上記データによれば、目下人口100人あたりの接種回数は72.8回で、アジア圏諸国の中でも断トツトップである。そのため、感染者数は減ってきているが、今後、もし感染者数や死者数が下がりきらずにあるレベルでダラダラ続くとしたら、日本にとっても大きな不安材料になる。
医療体制の改革と水際対策の徹底が急務
これらのデータから読み取れることは、ファクターXがほぼ同じ国であれば、死者が増えるかどうかは、感染拡大を抑えられるか、医療崩壊を防げるかにかかっているということだ。つまり、COVID-19で重症者・死者を出さないための最大の施策は水際対策の徹底と感染防止の努力、そして医療崩壊を防ぐことだろう。
マスクをするとか密を避けるといった努力は国民一人一人の意識で対処できるが、水際対策や医療体制のほうは国民サイドではどうにもならない。
水際対策、感染防止策がこれだけルーズな国で10万人規模の入国者が大都市に集まる東京五輪を開催するのは、世界に対して無責任だと非難されても仕方がない。
最近、スポーツ競技会開催における感染防止策として「バブル」方式という言葉をよく聞くようになった。
競技会開催中、選手を「泡(バブル)」の中に包み込むように外部との接触を完全遮断するというものだ。
チームごとにホテルのフロアを貸し切り、食事も練習も別時間、別空間にして混じらせない。ホテルの各フロアには警備員を配置して選手や関係者が無断で出入りしないように見張る。
しかし、オリンピックのような大規模な大会でこれが可能だろうか? 仮にできたとしても、それはもはや「平和の祭典」「国や人種の垣根を越えた国際交流の場」とはほど遠い、囚人の護送のような風景になってしまう。
そんな大会にわざわざリスクを冒してまで出たくないと、出場を拒む選手も続出するだろう。そうなれば「世界最高レベルのスポーツ大会」でもなくなる。
こうした視点での議論もあまりなされていない。
オリンピックを中止しろ、いやそれはヒステリーだ、といった二項対立を煽るのではなく、きちんと「開催できる可能性と条件」「この状況下で強行する意義」について、データに基づいた論理的議論をしてほしいものだ。
認知症高齢者、基礎疾患のある高齢者へのワクチン接種を再考せよ
最後に、前回も書いたことだが、特養などの介護施設に入っている認知症の超高齢者に「機械的に」ワクチンを打つのは人道に反すると私は思っている。前回も掲載したが、厚労省が公開している「新型コロナワクチン接種後に死亡として報告された事例の一覧(令和3年2月17日から令和3年5月7日までの報告分)」の中に見られる、認知症や心不全、脳梗塞歴を持つ高齢者の死亡例をもう一度見てほしい。
- 102歳 女 2021年4月12日接種 4月16日死亡 基礎疾患:誤嚥性肺炎、慢性心不全(大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症)、マインベース・テオロング・アムロジピン・テルミサルタン(を内服) 死因:誤嚥性肺炎、気管支喘息、心不全
- 90歳 女 2021年4月20日接種 4月22日死亡 基礎疾患:心臓病、高血圧、大動脈解離(H24)、心房細動(R3)、脳梗塞、骨粗しょう症、バイアスピリン、リセドロン等内服 死因:急性心不全、心筋梗塞等
- 101歳 女 2021年4月23日接種 4月26日死亡 基礎疾患:高齢、高度アルツハイマー型認知症 死因:心肺停止
- 90歳台 女 2021年4月19日接種 4月20日死亡 基礎疾患:不明 死因:老衰
- 92歳 女 2021年4月26日接種 4月28日死亡 基礎疾患なし 死因:老衰
- 91歳 女 2021年4月27日接種 4月27日死亡 基礎疾患:アルツハイマー型認知症、慢性心不全・陳旧性心筋梗塞(3年以上前)、胆のうドレナージ術後(2021年1月) 死因:心肺停止
例えば、終末期にある認知症高齢者が大腿骨骨折した場合、手術を受けさせるべきか、誤嚥性肺炎を悪化させて口から食事が取れなくなったとき、経管栄養を施すべきか。そうした難しい問題に完全な正解はない。本人がすでに判断力を失い、寝たきりに近い状態の場合、医師や家族が代わりに決断しなければならない。本人がいかに苦しまず、穏やかな終末期を過ごせるかを考え抜いた末に決めなければならない。
そうした苦労を無視するかのように、「国が早くワクチンを打てと言っているから打つ」という姿勢はどうなのか。介護や医療現場の思考停止につながりかねないのではないか。
また、日本でワクチンの副反応と疑われる死亡例や重篤化例が目立つのは、欧米人と同じ量を打っていることも一因になっているのではないかという指摘をする医師もいる。副反応の重さや報告例は1回の接種の量に比例するというデータもあるそうで、平均体重が欧米人よりも軽い東アジアの人たちには欧米での量と同じでは過剰なのではないかというものだ。確かに、超高齢で体力もなく、体重も軽い人がほとんどの高齢者施設入所者などに大柄な欧米人と同じ量をそのまま打ってしまっている現状は問題がありそうだ。
終末期にある高齢者たちが、ていねいな介護のもとで穏やかな終末期を過ごす権利を奪われるようなことにならぬよう、慎重な対応が求められる。
ともかく、医療従事者を含めて、ワクチン接種は自由意志に基づくという大原則の厳守、ワクチン差別をさせない広報と共に、早急に考えてほしい課題である。
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