ベルギーからワクチン第一便というニュースへの雑感2021/02/12 21:06

ワクチン第一便がベルギーから届いたと、テレビで生中継までする騒ぎになっている。
ベルギーのピュールスという小さな村に米国ファイザー社の工場があり、そこが欧州でのワクチン製造の拠点となっているそうだ。

ベルギーは人口1162万人の小さな国だが、コロナ死者は2万1000人を超えていて、人口に対する死者数は英国、米国、イタリアなどより多い。実質、世界一コロナ被害を受けている国。そこの小さな村で作られたワクチンが、人口あたり死者数がベルギーの1/30以下の日本に送られてくるんだなあと思うと、複雑な思いがある。(人口100万人あたりのコロナ死者数が1855人、日本は同・53人)。

その日本の100万人あたり53人の死者という割合は、同じアジアで見ると、韓国の29人、香港の25人、中国の3人、タイの1人、台湾の0.4人などに比べてはるかに多い。

ちなみに、今、全豪テニスが行われているオーストラリアは、感染者総数28,887人に対して死者909人(3.2%)。日本は感染者数41万人に対して死者6,678人(1.6%)。人種的な要素としてオーストラリアのほうが死亡率が高いと思える中で、感染者数を抑えているのは、防疫体制がしっかりしているからだろう。
オーストラリアの人口100万人あたりの検査数は526,641人、日本は58,994で、一桁違う。
(以上のデータはすべてworldometers.infoより)
こういうデータを見ても、日本がしっかり対策をしていれば、死者数を今の半分くらいにできていた可能性は高いと思う。



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4K・8Kテレビ放送の虚無2020/11/27 14:57

デジタル放送開始当時のテレビと今のテレビのリモコン
居間のテレビが冬になると液晶画面がおかしくなり、しばらくウォーミングアップしないと映らなくなっていた。数年前からなのだが、どんどんひどくなって、今年は室温15度以下でもおかしくなる。
あと、ときどき地上波のTBSが電波が弱くて乱れる。これはテレビのせいではなく、アンテナの受信環境のせいだろうから、ブースターを追加したり、いろいろやってなんとかしのいできたのだが、先日、これもひどくなり、アンテナ配線を抜き差ししているうちに、今度はBSが映らなくなった。
不思議なことに、BSが映らなくなったのに、110度CSは映るチャンネルと映らないチャンネルがある。
それも、時間と共に映らないチャンネルが増えていく。
これはアンテナ関連ではなく、内蔵チューナーがいかれてしまったんだろうと判断。しょうがない。買い換えるか。
このテレビ(42型)は購入してまだ9年しか経っていない。その前に使っていた37型のほうはまだピンピンしていて、しかも画質がきれい。同じREGZAなのに、なんで新型のほうが画質が悪いのかと不満には思っていたのだが、まあ、うるさく言うほどではないので、いろいろ調整して使ってきたわけだが、9年でアウトかい~。

どうせ買い換えるならでかいやつ、ということで、当初は42型⇒55型を考えたのだが、妻が「ついでにこの両脇のスピーカーも片づけられないの?」と言うので(北欧のAudio Proだったかな、なんかお洒落なトールボーイ型スピーカーを使っている)、スピーカーをどけた場合の最大サイズ(壁の横幅いっぱい)に収まる65型にした。

多分、65型でトリプルチューナーのやつではいちばん安い。USB外付けHDD4台つなげられる。540が出て、現在値崩れ中?Amazonで購入

ネットで調べて、いちばん安い店に発注したら、届くのに6日かかった。

機能的には満足のいくものだし、同じREGZAなので、使い方もほぼ一緒なのだが、案の定、音は悪い。
オーディオスピーカーは片づけてしまったので、なんとか調整して内蔵スピーカーで我慢……と思ったけれど、どうにも我慢できず、余っていたPC用のミニスピーカーを取り付けた。これ、なかなかの優れものなのよね。
大きさ的にも邪魔にならず、うまくいった。


こんな感じで落ち着いた。

4Kと従来のBSって、区別つく?

……で、ここからが本題。
知らないうちに、売られているテレビのほぼすべてが4Kチューナー内蔵になっていた。だから、届いたテレビも4Kチューナーが内蔵されていて、BSの4K放送が見られる。
しかし、4Kだの8Kだのって、まったくいらんなあ。
NHKの朝ドラなどは、BSプレミアム(解像度:1920×1080)と4Kチャンネル(3840×2160)が同じ内容を同時放送しているが、切り替えても違いが分からない。
もっと馬鹿げているのは、BSで4K、8K放送を開始するために、NHKのBS1や民放キー局のBSチャンネルの解像度が、それまでの1920×1080から地上波デジタルと同等の1440×1080に落とされた(2018年から)ことだ。
こういうのを本末転倒という。
このときも事情を知った視聴者や放送現場からは「なんとバカなことを」という声が上がっていたが、テレビメディアは一切このことを報じなかった。
しかも、「実際には放送各社のほとんどが番組の映像を1440×1080の規格で管理しているため、解像度が変更となった後も実際の画質はこれまでと変わらない」などという説明がされる始末。つまり、「ほとんどの放送コンテンツは1440×1080で編集・保存されているんだから、1440×1080で十分なのだ」と告白しているわけだ。
NHKの朝ドラはお金をかけて映像制作しているだろうから、解像度の違いが分かるはずだと思ってじっくり見てみた。
地上波(1440×1080)とBSプレミアム(1920×1080)の解像度の微妙な差はなんとなく分かる(画面に近づいてじ~~っと見て、そうかなぁ……と感じる程度)。でも、BSプレミアムと4Kの差は分からない。65型でも分からないのだから、42型くらいのテレビなら、まったくと言っていいほど分からないんじゃないだろうか。
ものすごく高いテレビだと液晶のクオリティが高くなって分かるのかもしれないけど、あたしゃ老眼だし、大画面テレビの目の前に座り込んで見ているわけではないので、意味なしホウイチだ。
ましてや、1日中通販番組をしている4Kチャンネルで「今ならお値段そのままで、もう一台オマケでついてきます!」なんてやっている人の顔をデカデカと映し出されてもねえ。

金のかけ方がおかしい

大宅壮一が「一億総白痴化」という言葉を使ったのはいつのことだったか。今ではその言葉を知っている人のほうが少なくなっているだろうなあ。
我々視聴者はもともとテレビによって白痴化していたのだが、テレビがでかくなっていき、4Kだ8Kだと騒ぐにつれ、さらにバカになっていく。
これ以上バカになっていいのか? 4K、8Kインフラに投資するより、質の高い番組を作るために金をかけようよ。それやらないと、俺たち貧乏人が作るYouTubeコンテンツにも負けるよ。

NHKにしても、昭和の懐かし映像を無理矢理高解像度化した変な映像なんて、元画像が粗いんだから、4Kで放送する意味はないでしょ。

貴重な電波の周波数帯資産、もっと違うものに割り当てられないのかと呆れるばかり。
テレビ放送が全部デジタル化したのはいいとして、あのとき、地上波の利権構造はリセットしておくべきだった。デジタル放送を受信可能エリアの狭いUHF帯中心でやる必要はまったくない。BSやネット回線が中心ということにして、地上波(AM、FM、UHFなど)はローカルメディアやデータ送信に割り当てていくべきだった。
それまでの利権を守るために、わざわざ狭くて性能の悪いメディアに固執した。これは総務省とテレビ局の癒着による罪。

今のテレビには最初からhuluだのNetflixだのというアプリがインストールされていて、視聴者に有料放送サービスを購入させるようにさせるようにと前のめりで攻めてくる。
クラウドサーバーに自動的に視聴者の視聴記録や嗜好を集めて、そのデータを裏で売買したり、あらゆる営業活動に利用したりする仕組みも入っている。
そこまでやっておいて、未だに地上波はBS、CSよりえらいとか、昔ながらのサンプル数が極端に少ない「視聴率」なんてものに振り回されていたりして、放送業界もバカで凝り固まっている。

道具に支配された人間

テレビの解像度が上がるにつれ、肝心の番組の質はどんどん劣化しているのは確かだ。
この「ハイテク道具に支配され、主人であるべき人間の知性や感性が劣化する」という現象は、テレビ業界だけでなく、あらゆる産業、文化の分野で起きている。
結局、道具ばかり進化しても、使う我々がそれに振り回されるだけで、道具によって想像力が奪われてしまうのだろう。
受け手の想像力が劣化すると、送り手(創り手)の創造力もそれに合わせて低レベルな方向に合わせていく。そうしないとビジネスにならないから。
道具が進化して、今なお安価で入手できることはありがたいのだが、ある程度、道具は不自由、不完全なほうが、創意工夫をしながら、形のない価値(芸術とか哲学とか)を育てる力が育つのだろうな、と思う。

私は一般家庭にテレビがない時代に生まれた。近所のお金持ちが初めてテレビというものを買って、それを庭から縁側越しに覗きに行っていた時代を知っている。
テレビは今も完全な受動態道具だけど、創作や自己表現のための道具──例えば楽器なんかも贅沢品だった。
紙と鉛筆でさえチビチビと使わなければ怒られた。
本も高くて買ってもらえなかったから、同じものを何度も読み返した。
子どもの頃に何度も読み返した「シートン動物記」の文章がしっかりしていたから、今の文章作成能力につながったのかなあ、なんて思う。

ワープロが出てきたのは20代後半だったかな。そのうちにパソコンが出てきて、デジタル信号ですべて処理・記録するようになって……と、その後の劇的なデジタル革命を全部見てきたから、今の「最初からデジタルだけ」の世代とは違う価値観や歴史観を持っている。
まあ、いい時代に生まれたんだろうなあ。

……と、ジジイ根性丸出しの戯言はこのへんにして、さっさと創作活動をしなさい、って。

……というわけで、オマケはこんなのを……。


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ズブズブと森のおともだち2020/11/27 13:45

NHK総合で年に1度やる「コントの日」。過去2回はいまひとつスッキリしない感じが残って、まあ、NHKだからなあ……と受け流していたのだが、今年は面白かった。
すでにネットでも⇒こんな記事が出ていたりして、そこそこ話題になっているようだ。
概要は⇒ここにもまとまっているので、見逃した人はNHKの見逃し配信(あれって有料なんだっけ?)で見てみよう。
文春のサイトに、劇団ひとりと東京03のインタビュー記事も出ている。
テレビ雑誌のミニコラムでこれを取り上げようと思い、録画を復習見した。裏話とか読んでから見ると、2度楽しめる。

冒頭の「袋、いりません」は、アベノマスクやらレジ袋有料化で世の中に不必要な混乱と迷惑をもたらしたバカ政治への風刺が効いているし(しかも、あのコントなら文句も言えない)、「ステイホームで覚えたラーメン」は、本当の自分と向き合うことの難しさ、そして勇気という哲学的な?テーマを扱っていながら、東京03角田の怪演で、誰もそんなことを考えないまま笑っていられる。さすがは1年に1度の練り上げられたコントだわ。

そしてなんといっても、今回は「ズブズブと森のおともだち」の直球ぶりがすごかった。
ざっと内容をまとめると……

「ズブズブ」(劇団ひとり)はズルくて、闇の人脈を駆使して甘い汁を吸うのに長けた森のふくろう。ロボットの「マジメカ」(ロッチ・中岡)が買ってきたケーキを一人でこっそり食べてしまう。
そこに紅茶を持って「みんなでお茶にしましょう」とやってきた美少女・アリス(新川優愛)に、マジメカが「ズブズブさんが一人で僕のケーキを食べてしまった」と訴える。
アリスはズブズブを「人のものを勝手に食べたら、それはドロボーになるの」と戒める。
⇒「ひとのもの」(税金)、「勝手に食べる」(横領)

しかしズブズブは、歌手志望のアリスに「今度の森の歌手オーディションの審査員長は村長で俺の友達だ。今夜会うから、きみのこと話しておくよ。共存共栄。もちつもたれつでやっていこうじゃありませんか」と持ちかけると、アリスはそれに乗って、マジメカを「証拠はあるの? そもそもケーキなんてあったのかしら」と、逆に責める。
驚いたマジメカが「この森に正義はないのですか?」と訴えると、アリスは「真面目か!」と切り返す。
「あんたみたいなタイプ見てると、イライラするのよね」
(⇒真面目な人が上の地位に就いてきっちり指示されるより、悪代官やバカ殿に支配されているほうが気が楽だという、現政権支持層の声を代弁)

そしてナレーション:
「何はともあれ一件落着。みんなおともだちを大切にしようね。そうすればいけないことをしても、もみ消してくれるから

このへんで「森のおともだち」⇒森友 ってことに気づく人がどれくらいいたか……。
第2話はさらにすごい。
森の運動会で「かけっこ」で競うことになったズブズブとマジメカ。ズブズブは鳥なので走るのは苦手。そこで審判員のアリスに「鳥は走るのが苦手なんだよね。1位の賞品のいちごは大好物なんだけどなあ……」と耳打ちする。
アリスは、ズブズブの口利きで森の音楽会に出られたお礼として、ズブズブのスタート地点をゴールテープの直前にするというとんでもない贔屓をする。「私はただ、いちごが好きって言っただけですよ」とにんまりするズブズブ(⇒直接指示はしない。相手に忖度させるという暗喩
それでもほとんど歩けずにマジメカに負けてしまうズブズブ。
すると今度は村長がこっそり、1位と2位の賞品を入れ替えてしまう。1位がドングリのキーホルダー。2位は山盛りのいちごに。「ズブズブさんのおかげで例の誘致の件もうまくいきそうですしねえ」と村長(東京03豊本)。
憤慨するマジメカに、マジメカを作った博士(ロッチこかど)がやってきてこう言う。「だから俺はおまえを作ったんだ。この森の深い闇と戦うために。でも、正面からまともに行っても無理なんだ」(⇒野党の非力さを嘆く人々の声を代弁

このへんで、徒競走とかじゃなくて「かけ」っこと言っていることに気づく人はほとんどいなかっただろうなあ。
最後は劇団ひとり作詞、竹内まりや作曲のテーマソングをみんなで歌う。

♪友達大好き。僕はズブズブ。芸能プロの社長さん、闇カジノのオーナーさん、演歌歌手のタニマチさん、家族ぐるみさ。みんな大好き。ズブズブになれば笑顔になれるから。甘い蜜舐めようよ。盃交わそうよ。骨までズブズブ♪

そこに桜の花びらが舞い落ちるという、ど直球なエンディング。

江戸末期、お上の華美禁止令に負けず、「じゃあ、色をつけなければいいんだろ」と、白木彫刻を極めていくという楽しみ方を追求した彫刻屋台の彫刻師たちや、その屋台を繰り出して祭りを続けた町民の精神で、このトンデモな時代をのりきりたい。

テレビ番組制作者たちよ、庶民を軽く見てコントロールしようとする番組作りではなく、庶民と共に文化を作り上げるのが君たちの仕事だ。
いつかまたルネッサンスはくる。そう信じて、こういう番組作りをじっくりつづけるのじゃよ。

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『彫刻屋台図鑑01 鹿沼の彫刻屋台』

ユネスコ無形文化遺産登録で注目が集まる鹿沼の彫刻屋台。全27屋台を128ページフルカラーで「アート」として見つめ直す写真集。
B6判・128ページ フルカラー オンデマンド 無線綴じ  1680円(税別) 送料:220円
■ご案内ページは⇒こちら 

『彫刻屋台図鑑02 宇都宮・今市の彫刻屋台と天棚』 

写真・文:たくき よしみつ 写真:鐸木郁子  地元の人でも滅多に見ることがないという石那田、徳次郎の屋台(計12台)の他、今市の6台、その他、東下ヶ橋の天棚など、合計23台をフルカラー写真で収録。収録写真画像500枚超。類書がない貴重な資料。
B6判・132ページ フルカラー オンデマンド 1680円(税別) 送料220円
ご案内ページは⇒こちら


新型コロナとエイズ2020/08/27 14:54

エイズを題材にした小説
「感染」を巡って、恐怖や疑念が世の中に渦巻き、メディアが騒ぎ、不当な差別・偏見が広がる……かつてこれに似たことがあった。
今から30年近く前、1990年代初めの、エイズをめぐる報道や社会の風潮がそれだ。
30年も前のことだから、若い人は知らないだろうし、30代くらいの人も記憶にはないだろう。
私は強烈に覚えている。
というのも、「エイズをテーマにした映画を作るから原作を書いてみないか」と持ちかけられ、実際に書き上げたからだ。
主人公が若い男女で、エイズの絡んだ話であればなんでもいい。映画はその「原作」とは関係なく脚本家を立てて進めるので、「原作」ということにさえしてくれればOKである……という、ひどい依頼内容だった。
出版社の担当編集者の知人が持ち込んできた話だった。
日本を代表する映画会社の社長が代替わりして、その若社長が社長就任と同時に「エイズ映画を作る」とぶち上げたという。映画はもう制作着手しているが、売り出すために「原作」となる文芸作があったほうがいいから、何かないか……という。
「どうする? 話の筋はなんでもいい、って、ひどいよね。でも、あなたを売り出すきっかけにはなるかもしれない」
「受けたほうがいいでしょうか?」
「そうね。話題になれば、本を買って読んでみようという人も出るし、読めば、作品のクオリティは映画とは別にちゃんと評価されるでしょうから」
編集者にそう言われ、私も同意し、書き上げた。
当時、精神的に不安定な時期で、自分の人生、命というものを見つめ直す作業として取りかかった。
書き上げた小説は純文学路線で評価が高かったが、映画の「原作」にはならなかった。当時、テレビに多く露出していた女性「ノンフィクション作家」のルポ本を「原作」とすることにした、とのことだった。
そのルポはアメリカでのエイズ患者との交流を書いたノンフィクションだから、完全なフィクションの恋愛ドラマである映画とはなんの関係もない。それでも「原作」と銘打てるのかと呆れ、驚いたが、内心、自分の作品が「原作」として使われないことになってホッとしたものだ。

話が少しずれたが、今のコロナ騒ぎを見ていると、あのときの空気感に似ているなと思うのだ。

もちろん、HIVと新型コロナウイルスでは、感染の仕方も違うし、エイズは日本の社会をひっくり返すほどの現象は生まなかった。
しかし、連日のようにメディアが騒ぎ立て、人々がエイズという得体の知れない感染症に対して恐怖を植えつけられ、多くの人がエイズ感染者に対して偏見と差別の眼を向け、排除するような行動をとったという点で、今の社会と共通するものがある。

そこで、改めてエイズ騒動がその後どうなったのか、確認しつつ、今の新型コロナウイルスの状況と比較してみた。

HIV保有者数
  • 世界:3800万人(2020年現在の推定。UNAIDSによる)
  • 日本:2万836人(2018年末。エイズ動向調査委員会)

SARS-CoV-2陽性反応者数
……このデータを見ると、現時点で、全世界では、SARS-CoV-2陽性反応者(PCR検査陽性者)の数よりHIV保有者のほうが1.6倍くらい多いらしい。
では、それぞれのウイルスが原因で死んだ人の数はどうか。

HIV関連疾患による死者数
  • 世界:2019年1年で69万人(50万~97万人)が死亡。HIV感染が始まってからの累計では3270万人(2480万~4220万人)が死亡。(UNAIDSによる)
  • 日本:現在は治療薬が普及して年間死者が2桁を超えることはない(2018年は18名。APIネット調べ)。HIV感染者の平均余命も健康人とほぼ変わらない。

COVID-19による死者数
  • 世界:累計で約82万人(8月26日時点 ジョンズ・ホプキンス大学による)
  • 日本:累計で1218人(8月26日時点 同上)
エイズ感染者と関連死の数は、現在ではアフリカが圧倒的に多い。これは貧困層に治療薬が行き渡っていないことも大きな要因だろう。
しかし、当初は欧米での死者も多かった。

日本における死亡者は,1995年に男子52名,女子4名であり,以後,男子50名前後,女子数名の状況は変化せず,2006年には男子55名,女子5名となっている.
アメリカの状況は日本とは大きく異なる.1987年の男子12,088名,女子1,380名からはじまり,急速に死亡者が増加し,1995年には男子35,950名,女子7,165名とピークを示した.その後急激に減少し,2005年には,男子9,189名,女子3,354名となっている.
1995年以降の死亡者の急激な減少は,HAART療法の効果によるものと推定される.
一方,ポルトガル,ウクライナ,ロシアなどでは,この死亡者の急激な減少はみられず,特に南アフリカでは死亡者が1990年以降急激に増加し,減少傾向はまったく見られない.HAART療法等により,未だHIV/AIDSによる死亡者の減少が見られない諸国において,死亡者が減少することを期待したい.
東京都健康安全研究センター年報,60巻,283-289  2009年

↑この報告は2009年のものでかなり古い。
その後は少しずつ死者数が減っているが、
2017年末現在、HIVとともに生きている人は世界で3,690万人となっています。また、2017年に新たにHIVに 感染した人は180万人、エイズ関連疾患によって亡くなった人は94万人となっています(国連エイズ合同計画(UNAIDS)より)。
日本では、近年1,500人前後が新たにHIVに感染・エイズを発症していると報告されています。また、HIVに感染していたことを知らずに、エイズを発症して初めて気づいたというケースが、新規HIV感染者・エイズ患者数の約3割を占めています。
日本政府広報オンライン

……だそうで、現在は年間69万人(推定)だが、2000年代前半には世界で年間約200万人が、数年前までは年間100万人前後の人がエイズ関連で死んでいたのだ。

しかし、日本で暮らしていると、エイズで年間100万人死んでいるという話を聞くことはほぼない。エイズのことなど長い間忘れていたという人がほとんどではないだろうか。

日本国内では男子数十名、女子数名のレベルの死者だった1990年代、同じ時期、アメリカでは男子数万、女子数千名レベルでエイズで死んでいたというのも、今のCOVID-19による死亡状況に通じるものがある。2桁どころか3桁多い。

新型コロナもエイズ同様に忘れられていく?

新型コロナウイルスが、 前回の「まとめ」にあるようなものであるとすれば、今後、時間はかかるだろうが、エイズ騒動と同じように推移していくのだろうか。
つまり、

  • 世界は新型コロナウイルスと共存していく。人々はこのウイルスが存在していることを徐々に忘れて、普通に生活するようになる。
  • 日本では発病者や重症化する人の数が少ないので、メディアも徐々にこの話題に飽きて、もっと刺激的な話題へとシフトしていく。
  • しかし、世界レベルでは医療が十分受けられない国、人種、貧困層などで、毎年相当数の人がCOVID-19で死んでいく。
  • 死者は貧困層や途上国に集中するようになる。
  • ワクチンや治療薬開発、販売を巡って、製薬会社などと国家レベルでの取り引きが行われるが、詳細は一般人には知らされない。


……歴史が教えてくれるところでは、こうなっていく気がする。
また、医療現場や介護現場は疲弊し続け、今までのレベルでは医療・介護サービスを受けることが困難になり、COVID-19以外での死者も増えるが、そうしたデータや現場の事情は徐々に報道されなくなるだろう。

ちなみに、UNAIDSでは、新型コロナウイルスパンデミックによって、HIV治療薬の高騰や中低所得国への供給不足が懸念されるとしている。
これはHIVに限らず、他のあらゆる疾病や怪我の患者にもいえることだ。

冷静にデータを読み取り、医療や介護の金とマンパワー資源を合理的に配分し、福祉レベルを下げないことを目指す政治に切り替えることが急務である。

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コロナより「コロナ自粛強要」で社会が壊れる2020/08/26 22:00

暴露と感染の広がり方 高橋泰教授の説明図(https://toyokeizai.net/articles/-/365254?page=4 より)

↑「新型コロナウイルス感染の広がり方」(高橋泰教授による説明図 「東洋経済ONLINE」より)

「自然免疫で撃退説」のおさらい

前回、COVID-19に対する高橋泰教授らの「実態予測と提言」をまとめたものを紹介したが、こうした提言が複数の医師や研究者から出てきてひと月以上経つのに、未だにメディアは毎日「新規感染者数は○人でした」という伝え方を変えていない。
高橋教授の主張は、東洋経済ONLINEにいくつか出ているので読める。
●新型コロナ、日本で重症化率・死亡率が低いワケ 高橋泰教授が「感染7段階モデル」で見える化(2020/07/17)
●高橋泰教授が新型コロナをめぐる疑問に答える 暴露と感染の広がり方、PCR検査の問題を解説(2020/07/27)
●新型コロナ、「2週間後」予測はなぜハズレるのか 高橋泰教授「データに合う新型コロナ観を持て」(2020/08/07)

詳しくは原文を参照してほしいが、1つだけ重要な指摘をあげれば、
「PCR検査陽性者」イコール「新型コロナウイルス感染者」ではない、という点だ。
  • 新型コロナウイルスは暴露力(体内に入り込む力)は強い
  • しかし、伝染力と毒性は弱く、かかっても多くの場合は無症状か風邪の症状程度で終わる
  • ウイルスが身体に入り込んだ状態でPCR検査をすれば陽性反応が出る。
  • しかし、多くの場合(高橋教授らのチームは、日本では98%と推定)、自然免疫だけでウイルスを排除してしまうので、無症状かごく軽い風邪のような症状で終わってしまい、ほとんどの人はウイルスが身体に入り込んだことに気づかない
  • この「自然にウイルスを排除した人たち」は、体内に新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)に対する抗体を作るまでもなく終わっているので、その後、抗体検査をしても陰性となる。
  • 残り2%の人たちは自覚的な症状(風邪や肺炎のような症状)が出て、SARS-CoV-2に対する免疫を獲得する(その後、抗体検査をすれば陽性と出る)。
  • この2%の人のうち、ごく一部の人たちにサイトカインストーム(免疫暴走)が発生して重症化し、死者も出る。

……そういう分析内容だ。
つまり、「PCR陽性者」=「新型コロナ感染患者」ではないし、必ずしもスプレッダー(ウイルスをばらまき、感染者を増やす人)だともいえない。
PCRが陰性になった人は感染歴がない人ではないし、明日以降、スプレッダーになる可能性はある。

もちろんこれは現時点では1つの仮説なのだが、現状と照らし合わせてみると、非常に納得がいく仮説だと思える。
重要なのは、何人がウイルスに暴露しているか、暴露したか、ではなく、重症化する人を減らすこと、重症化する人をいち早く見つけて有効な治療をすること、なのだ。
で、問題はサイトカインストームが発生して重症化する確率だが、
20代では暴露した人10万人中5人、30~59歳では同1万人中3人、60~69歳では同1000人中1.5人、70歳以上では同1000人中3人程度、
……という推定値だという。

この確率が、アジア人はなぜか欧米人より二桁低い。その理由がいわゆる「ファクターX」などと呼ばれるようになったものだ。
BCG説や生活習慣要素など、様々な「ファクターX」候補が挙げられているが、HLA型などの遺伝的要素が最も大きいのであろうということは、多くの医師、研究者が感じているし、すでに多くの論文も出てきている。

「新規感染者数」という伝え方の問題

以上のことを踏まえれば、「新規感染者数」の増減で騒ぐことにはほとんど意味がない。
なぜなら、PCR検査で陽性が出た人の数というのは、その時点でたまたま体内にSARS-CoV-2が入り込んでいる状態で、それが検査したから判明した、ということであって、COVID-19(SARS-CoV-2に感染して病理症状が出た状態)の増減傾向を示すものではないからだ。
同様に、抗体検査で陰性を示す人が、過去にSARS-CoV-2に暴露していないことにもならない
「感染経路が不明な人の割合」というのはもっと意味がない。感染経路など分からなくてあたりまえなのだから。
家族の一人にPCR陽性者が出たので家族全員を検査したら全員陽性だったとする。その場合、「家庭内で感染」と分類されるのかもしれないが、その家族全員が別々の場所でウイルス暴露して、たまたまそういう人たちが集まっている家庭なのかもしれない。
暴露する力が非常に強いウイルスなのだから、どんなに注意をしてもウイルスが身体に入り込むことはある。それを「感染者」というレッテルを貼って「隔離しなければ」とか「不注意だ」とか「マスクもしないで……」などと騒ぎ立てる──しかもそれを一部メディアが率先してやっていることのほうがよほど恐ろしいし、社会に大変なダメージと悪影響を与えている。

厚労省などは「クラスター対策」を最重視してきたようだが、日本ですでに3割以上がウイルス暴露を経験しているとすれば、「一人の陽性者の周辺を調べれば一定数の陽性者は出る」のは自然なことだろうから、それが「クラスター」なのかどうかも分からない。
高橋教授はこのことを図で説明している(↑冒頭の図)。
↑高橋泰教授が説明に使った図。東洋経済ONLINEの記事より。Clickで拡大)
その説明を要約すると、
  • 図の水色の四角で囲んだ部分が、新型コロナに暴露した(ウイルスを体内に取り込んだ)人。
  • その中で色がついているのが暴露した後に感染(細胞内にウイルスが入り込んでしまった)人。
  • 青色の人は自然免疫が強く、ほぼ無症状か気がつかないほどの軽症。ウイルスの排出もほとんどなくスプレッダーにならない。
  • 黄色の人は「無自覚スプレッダー」。一時的にウイルスを排出するが、自分は自然免疫で治ってしまい、感染したことに気づかない。
  • ところが、発生確率は低いが、自然免疫では抑えられず獲得免疫が出動し、風邪のような症状もかなり出て、ウイルスも多めに排出して人にうつすオレンジの人が出てくる。
  • さらに、明らかな熱や咳などの症状が出たのが赤色の人で、PCR検査したら陽性になって入院することになる。
  • その赤色の人の周辺を検査したら陽性者が4名見つかった。そこで、この赤色の丸で囲まれた部分を、現状では「クラスターが発生した」と表現しているが、実はたまたま、見つかったにすぎない。
  • 現在は検査を増やしているので、陽性者の発見が増えている。3月下旬は検査数が少なかったが、実効再生産数はピークであり、この時にもっと検査していたら、今の数十倍から数百倍のPCR陽性者が見つかっていたのではないか。

つまり、
  • 3月下旬頃に検査数を増やしていたら、今よりずっと多い陽性者が出ていたはず。
  • 今は「クラスター」とみなしているグループも、多数存在している陽性者の一部をたまたま切り取っているだけ。

……だというのだ。

求められる対策とは

こうした説が、複数の医師、研究者から出されているのに、メディアはなぜかひと月以上経った今でも無視、あるいは意図的に排除しているように思える。なぜなのか?
厚労省をはじめ、対策に関わる人たちの多くは、すでにこの説の妥当性について肯定的な考えに傾いていると思われるが、箝口令を敷いたかのように口を閉ざしている。 政府上層部、多くの政治家は、この説の内容を理解することさえできておらず、問題にコミットすることを恐れている。さらにひどい連中は、コロナを利用して、いつも通りの利益誘導型政策を連発することになんら罪悪感も羞恥心も持っていない。

そんな状況で、私のような素人が、またまた「合理的な対策とは」などと主張するのも虚しすぎるのだが、やはり一人一人が声を上げることが求められていると思うのでまとめておきたい。

  • 政治や行政のリーダーは、国民に向かって、真摯に、新型コロナウイルスの最新分析情報を分かりやすく説明し、過剰反応や間違った認識を改めるように言葉を尽くすべき。
  • PCR検査については、医療従事者、高齢者施設従事者などの定期的な無料検査の速やかな実施と、クリニックレベルの個人病院からでも、医師が必要と判断した場合の保険診療、検査機関(民間含む)への検体提出を可能にする。そのための設備投資やシステムの合理化を進める。
  • 医療や介護の現場でのリスクを下げ、医療・介護従事者の負担を減らすためのシステム構築と資金の投入。合理的なマンパワーの配分。
  • アベノマスクやGoToキャンペーンなど、現場を混乱させ、マイナス要因を増やすだけのバカ政策、コロナと無関係な利益誘導政治を反省し、金とマンパワーを必要とされる現場に有効かつ速やかに投入できる施策へ転換。
  • メディアは政府の顔色を窺わず、視聴者や読者の「食いつき」を計算せず、危機を情緒的に煽らず、社会の木鐸としての自覚を持ち、正しい情報を分かりやすく伝える努力を。
  • 50代までの層には、正確なリスクを伝えると同時に、高齢者や病人など、高リスクの人たちへ自分たちが感染させて死なせる可能性を自覚させ、行動規範の形成を促す。
  • 教育現場やスポーツやイベントビジネスの現場などでは、過剰な自粛要請よりも、常識的な新マナーの共有で正常化を。

今のままでは、ウイルスによる病死などより、ウイルスが引き金となった思考停止による「社会崩壊」のほうがはるかに恐ろしい結果をもたらすだろう。

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