安倍元首相銃撃事件考2022/07/16 15:26

安倍氏銃撃事件はその後いろいろ報道されていて、どんどん状況が分かってきた感じだが、ネット上では「ヤラセではないのか」「狙撃犯が別にいる」などなどのコメントが飛び交っている。
撃たれたときの状況があまりにも不自然に見えることからだ。
有名になったこの映像↓を見ると、

1発目は誰にも当たらず、安倍氏は「?」という感じで音のほうを振り向いている。
2発目で倒れるのだが、その倒れ方がなんだか、自分から台を降りて、ゆっくり屈んでいるように見えてしまう。確かにこの映像は奇妙な点が多くて、ヤラセ説が出てくるのも無理はないかもしれない。

しかし、その後の山上容疑者の供述が伝えられるとおりであれば、彼が何らかの組織に利用された可能性は低いだろう。現時点では、完全な単独犯だと思う。

別に狙撃犯がいたというなら、その狙撃犯と山上容疑者はこの計画に対して綿密な打ち合わせをしていなければならないが、そういう感じはまったくない。
不自然すぎるほどのぶっとい銃声や白煙は、使われた銃が自作銃であり、弾丸も自作だったことによるものだ。市販されている猟銃や散弾銃の常識が通用しないのだと思う。散弾も自作のようで、自供によれば弾丸1発に6個の散弾を入れたという。であれば、2発撃っているから散弾は12個。そのうちの少なくとも2つが致命傷を与える結果になったという。銃創が小さすぎるという不自然さも、この「自家製弾丸」のためだろうか。
発表によれば、1つが左上腕から入り、左右の鎖骨下にある動脈を損傷して大量の出血を引き起こした。もう1つは首から入った。そのうちどちらかは心臓にも到達して瞬時に心停止に至ったらしい。つまり、ほとんど即死だった。
散弾のような細かい弾は、体内で骨などにぶつかり、不規則な動きをすることがあるという。印象としては、相当運が悪かったのではないだろうか。
となると、少なくとも安倍氏がどこかですり替わっていて今も生きている、などということはありえないだろう。アメリカで起きたことならともかく、日本ではそこまで大がかりな芝居を遂行できるほど、広範囲に警官や医療関係者などを台本通りに動かせるとは思えないからだ。


1発目。右側に白煙が見える

これは完全に外れた

2発目。これが命中

この瞬間、弾が致命的な場所に

ここからの動きが不自然なのだが、人間は致命傷を受けた直後も数秒は無意識に筋肉を動かせるのだろう


そのため、自分の足で台を降りて屈んだように見えてしまう



犯人を取り押さえるSP

現場に駆けつけた近所の内科医も、すでに心臓が止まっていて、まぶたの裏は真っ白、指先に刺激を与えてもピクリとも動かなかったと証言している。この内科医までが芝居に加担していたなどとは到底思えない。

とにかく安倍氏はあの場で即死だった。これは間違いない。
ひどいのは、心停止で病院に運ばれた後のことだ。
高市早苗政調会長が「安倍元総理が搬送された奈良県立医大との連絡役を続けた。昭恵夫人が病院に到着するまで生命維持処置をお願いした」と明かしている。
そのため、奈良県立医科大学附属病院では、夫人が到着するまで100単位以上の輸血を続けたという。
輸血の1単位というのは200mlの血液から作られる血液製剤だ。つまり、200ml×100で20リットルの血液を使っている。200mlの血液から約140mlの血液製剤が作られる。それだけの量の血液製剤を即死状態の体内に注入し続けたということだ。
ある医師の見解によれば、「本来は主に白血病患者用に病院に置いてあった血液製剤で、それをほぼ使い尽くし、周辺からも集めたのではないか」「目的としては、延命というよりも、夫人が来るまで血液を流し込み続けることで体温を保つことだったのだろう」とのこと。
このことの意味を、よく考えてほしい。「いろいろな意味で」これほど怖ろしいことはない。
ところが、ネットの反応などは、ほとんどが「当然の処置だ」「なぜそんなことを記事にするのか」といったもので、これもまた読んでいるだけで怖ろしくなる。
ちなみに私の義父は難病(一種の血液癌)に冒され、晩年は有効な治療がなく、輸血しか手立てがなくなったが、入院してからは例の「90日ルール」で転院を強制され、ようやく受け入れ先となった遠方の病院でも「これ以上入院させておくわけにはいかない」と宣告された。
最後は「輸血用の血液は貴重なものです。輸血を続けても延命効果は限られていますがどうしますか?」と担当医に言われ、「無理な輸血はこれ以上しないという条件なら入院を続けてもいい」という条件を出された。本人はまだ意識もしっかりしていて、ちゃんと会話もできる状態だったが、私は笑顔で「お義父さん、安心してください。このままここにいてもいいことになりましたよ」と告げるしかなかった。
義父が亡くなったのはそれから間もなくのことだった。

単独犯行の背景


山上容疑者の動機や生い立ちについては、本人の自供や周囲の人たちの話によって、かなりはっきり分かってきている。
  • 山上容疑者の母親は奈良市内で建設会社を営んでいた男性の娘で、父親はその会社に勤めていた社員。つまり、社員が社長の娘と結婚した。
  • 山上容疑者はその家庭に次男として生まれ、兄と妹がいる。兄は幼少期の怪我で身体が不自由。
  • 一家は三重県内に住んでいたが、母親は子供の世話をせず、父親は自殺。母親の実家(容疑者の母方の祖父の家)に3人で身を寄せる。
  • 当時はバブルで会社経営がうまくいっていた祖父のもとで、容疑者一家もかなり贅沢な暮らしをしていられた。
  • しかし母親は統一教会(現・世界平和統一家庭連合)にのめり込み、子供はほったらかして韓国旅行したり教団に寄附を繰り返すなどしていた。
  • 「家に食べるものがない」と、容疑者ら子供たちは大阪に住む叔父に助けを求めたりもしていた。
  • 1998年、祖父が亡くなったのに合わせるかのように母親は統一教会の正会員になり、相続した財産(不動産、会社、預貯金)をそっくり教団に寄附してしまう。
  • 一家はたちまちアパートでの貧乏暮らしとなり、2002年には母親が破産。
  • 容疑者は郡山高校在学中から優秀な成績で、同志社大学工学部に進んだものの、家庭崩壊で中退。その後は任期制海上自衛隊員となった後、宅建やファイナンシャルプランナーの資格を取りながら就職し、一時は月1600万円以上売り上げるなどの優秀な仕事ぶりを発揮したが、トラブルも多く、飲食店や派遣でフォークリフト運転などの職業を転々とした。
  • 2017年頃、兄も自殺。これで決定的に統一教会への憎しみが膨らんだらしい。
  • 容疑者は統一教会に対して恨みを果たすべく、教団のトップを殺そうと計画を練った。2019年に韓鶴子総裁が来日したときは火炎瓶を持って集会の会場に行ったが、中には入れず断念。その後はコロナ禍になり、自分が教団トップがいる韓国に渡ることも、教団トップが日本に来ることも難しくなった。
  • そこで、標的を統一教会の広告塔、強力な後ろ盾となっていた安倍元首相に変更した。
  • 当初は爆弾を作ろうとしたが、それだと周囲の人を巻き込んでしまうため、ターゲットを絞りやすい銃に変更。ネットで知識を得て、材料もネットで調達。何回かテストを繰り返して実行のチャンスを窺っていた。
  • 実際に最初に狙ったのは犯行前日で、岡山での自民党候補者応援演説会場に向かったが、屋内だったために諦めた。帰りの電車で、自民党のWEBサイトにアクセスし、翌日、予定を変更して自宅のすぐそばで応援演説をすることを知って、銃撃を決行することを決めた。

……新聞や週刊誌などが報じている内容をまとめると、およそこんな感じらしい。

分かりやすすぎるくらい分かりやすくて、これまたむしろ違和感を感じてしまうくらいなのだが、おそらく全部この通りなのではないか。

ここまで分かったなら、メディアとしては統一教会と安倍氏をはじめとする政治家たちの関係といったことを掘り下げていくべきだろう。
安倍氏を中心とした自民党議員たちと統一教会の深い関係については多くのメディアが問題だとして追及の姿勢を見せていた時期がある。
今回の参院選でも、自民党比例区の井上義行(第1次安倍政権首相秘書官)候補がLGBT差別発言を繰り返しているなどと話題になったが、その井上候補は旧統一教会の集会「神日本第1地区 責任者出発式」に出席し、教会の幹部から「井上先生はもうすでに信徒となりました」と紹介されているという。
皮肉なことに、統一教会問題を長年追及してきた有田芳生氏は今回の参院選挙で落選し、12年間の議員生活から去ることになったが、支援を受けた井上氏は当選して返り咲きを果たした。
有田氏によれば、統一教会の信者は無給で自民党議員の秘書を務めたり、選挙のときは応援に大量動員されているという。

ところが、信じられないことに、多くのメディアはなぜか今回の事件に関しては、容疑者が勝手に「関係があると思いこみ(ヽヽヽヽ)」などという報じ方をしている。

報道ステーション(テレ朝)でメインキャスターの大越健介氏が「なぜ、統一教会への恨みが岸元首相や安倍元首相に向かったのか到底理解できません」と発言し、これもネット上では大問題だという声が上がった。(検索結果は⇒こちら
大越氏が、安倍氏と統一教会(現・家庭連合)の関係を知らないはずはない。

(参考) 公開抗議文 衆議院議員 安倍晋三 先生へ 全国霊感商法対策弁護士連絡会

大越氏に限らず、マスメディアに出てくる人たち、報道を担当しているメディア関係者のほとんどは、自分が知っていることを一旦全部覆い隠して、どのように言えばいいか、どのような記事に仕立てればいいかを現政権に忖度して動いている。いわば、常にブレーキをかけながら運転している。その気持ちの悪い運転が「安全運転」だと信じているからだ。だからほとんど反射的に嘘をつくようになっている自分に対しても、感覚が麻痺してしまっている。
そんなことをしていたら、自分を含めてこの国全体が取り返しのつかないところまで壊れてしまうことに思い及ばないのだろうか。
この感覚の麻痺こそ私には「到底理解できない」し、ここまでメディアが腐りきってしまったのかと、背筋が凍る思いだ。

宗教団体と政治の癒着というと、公明党と創価学会のことだと思っている人が多いが、実際には今の自民党と旧統一教会、国際勝共産連合、日本会議といった組織の関係性のほうがずっと危険であり、国を滅ぼす病巣となっている。
今の自民党はかつての自民党とはまったく違う一種のカルト集団化している。「良識派がいた自民党」はもう存在していないのだ。
吉田茂の時代は、太平洋戦争で完全に叩きつぶされた日本を建て直すためには、圧倒的な支配者であるアメリカに対して従属するしかなかった。逆らえないけれども、ギリギリのところで国の体裁、日本という国のアイデンティティ(こういう横文字は使いたくないのだが)を守る腹芸や水面下でのアクロバティックな力技を駆使してきた。現代の政治はそういうものだ。
しかし、そうした腹芸で渡り合える政治家が消えていき、自民党内だけでなく、野党にもいない。
(どうやらアメリカもそうなってきているようで、今の世界的な混乱・危機を招いている)

日本という国の姿を守れるのは政治家ではない。むしろ政治家たちは国を壊滅させる道をまっしぐらに先導、あるいは扇動している

もはやテレビと新聞くらいしか情報源を持たない人たちは、この現実世界のことをまったく理解できないまま、日々、ただただ操られていくだけになってしまった。
ネット上ではまだしっかり自分の意見を書いている人たちがいる。
●統一教会はじめカルトが政権に…… 今、私たちは相当危険な時代に突入している(ブログ カウンセリング赤坂)

●選挙が終わって、私が思うこと(日々予め幸せ)

●民主主義を破壊したのは安倍晋三ではないのか - 今こそ安倍政治と戦う勇気を(世に倦む日日)

……が、これも風前の灯火のように思える。なにしろ安倍氏を国葬にすることが決まったそうだし、改憲への動きも加速することも確実だから。
日本はとんでもなく気持ちの悪い国になってしまった。
そう「怖ろしい」という以前に「気持ちが悪い」。理解不能な気味悪さ。

嘆いても怒っても震え上がっても、一個人としては何もできない。
これ以上書いていても、どんどん免疫力が落ちてしまうのでこのへんにしておこう。
しっかり栄養つけて、これから来るさらなる困難な状況に備えるしかないなぁ。

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