熱海の土石流は「犯罪事件」である2021/07/12 20:20

NHK「クローズアップ現代」より
NHK 「クローズアップ現代・カメラが捉えた脅威 緊急報告・熱海土石流」より(映像は今回の現場ではなく、過去に起きた京都の事例からのもの)
デタラメな太陽光発電所、風力発電所の建設がどれだけこの国を壊しているか、日本のメディアは、実態を絶対に伝えようとしない。
「再生可能エネルギー」という言葉が聖なる言葉になってしまっていて、不都合なニュースを最小限に伝えるときも「地球温暖化対策のために再生可能エネルギーの普及は不可欠ですが……」みたいな枕詞をつける。
不可欠でもなんでもないし、今のようなことを続けていたら、資源小国の日本は取り返しのつかないことになる。いつまでこんなバカなことをやり続けるつもりなのか。

熱海市で起きた「土石流」事件では、数十人の死者・行方不明者が出た。
原因は明らかで、
  • 沢の上流の谷に残土や産廃を投棄して埋めてしまったこと
  • 山の尾根筋を削って太陽光発電パネルを敷き詰めたこと
の2つだ。
しかし、メディアは「盛り土」という言葉を繰り返すばかりで、問題の本質を意識的に避けている感がある。
「原因はまだ特定できませんが……」というフレーズを繰り返す。

テレビには連日、「専門家」と呼ばれる人たちが入れ替わり立ち替わり登場するのだが、言うことが全部違う。
崩れた場所に見えている黒い土を指して「これが火山灰起因の本来の固い地層」という人がいるかと思えば、「火山灰土がこんなに黒いはずはないので、何か脂分を含んだ残土や産廃起因ではないか」という人もいる。どちらも「地質学者」なのだそうだ。

すぐ隣のソーラー発電施設は、当初、わざとテレビの画面に映らないようにしていたフシがある。
ようやく原因の一つである可能性に触れた学者が現れたが、案の定、その後、この説をフォローする報道はマスメディアからはほとんど出てこなかった。
別の学者はそのソーラー発電所脇に亀裂のような凹みがあるのを指して、「隣の盛り土が崩れたので引っ張られるようにして亀裂が生じている」と解説していた。
……いや、これはおそらく崩落の前からあったものだろう。今回のことでえぐれが広がっているとしても、だ。
田舎に暮らしている人ならみんな知っている。山に道を造れば、大雨が降ったときに流れる水で土がえぐれ、溝が掘られるのだ。そこを水が流れていって、どんどんえぐっていく。
だから、川内村に住んでいたときは、自分で私道の脇に雨水の通路を掘っておかなければならなかった。何もしないと道の真ん中を雨水が流れて溝が掘られてしまうため、車が通れなくなるのだ。
それを、ずっと前からその道の奥に棲んでいる人に言われて、道の横にシャベルで側溝を掘り、それが埋まらないように、ときどき掘り起こしていた。
こういう水の逃げ道がないと、道や斜面が大規模に崩落する。
都会の「専門家」って、そういう基本的な生活感もないままに理論だけで勝手に推理するような人が多いのだなぁと、改めて思った。
南伊豆の風車被害を見に行ったときも、現地の住民に教えてもらった。風車を建てるために山に道を造ったため、そこが雨水の道になってしまって土砂が上から流れてきて被害が生じた、と。
それで、慌てて「沈砂池」を道路の横に造ったけれど、たちまちそこも埋まってあふれてしまった、と。

山にウィンドファームやメガソーラーを作るな!

これは全国の風力発電・太陽光発電建設現場で起きている典型的な公害なのだが、メディアはほとんど報道しない。
私が2011年まで住んでいた川内村に隣接する滝根小白井ウィンドファームでも、建設中から降雨後の泥水流出がひどく、下流の夏井川では岩魚や山女が産卵できなくなり、夏井川漁協が事業者に補償を求めた。

↑風力発電施設工事のとき、大量の泥水が海や住宅地に流れ込んだため、対策として作られた「沈砂池」。しかし、大雨の後はこれもたちまちあふれてしまい、さらにもう一つ作る羽目に。写真は2010年1月、南伊豆にて


土木学会特別上級技術者の塩坂邦夫氏は、今回の熱海土砂詐害事件について、周辺の宅地開発・メガソーラー建設で、山の尾根が伐採され、土も削られたことで保水力が失われ、雨水の流れ道も変わってしまったことも一因、と指摘した。
それに対して、難波喬司・静岡県副知事(元・国土交通省大臣官房技術総括審議官)は、「そんなに広い地域の水が集まっていれば大洪水になっているはずだ」として塩坂氏の見解を否定した、という(盛り土崩落、宅地開発影響か 2021/07/09 時事通信社)

↑TBS『ゴゴスマ』で、自らのチームがドローンで撮影した映像を元に、今回の崩落原因を推理する塩坂氏。
ソーラーパネル設置のために削られた尾根は崩落現場より上にあり、ソーラーの建設道路が雨樋のように雨水を流すことになった可能性が指摘された。


崩落現場のすぐ隣りの尾根を削って建設された太陽光発電所。


塩坂氏はその後、7月9日には静岡県庁で記者会見し、「周辺の宅地開発で尾根が削られて水の流れが変わり、従来の範囲よりも広い地域から大量の雨水が盛り土一帯に流れ込んだ」と結論づけた。

現地調査に基づき「人災だ」と見解を公表した地質学者の塩坂邦雄さん(76)は9日、県庁での記者会見で、造成で尾根が削られたことによって雨水の流れ込む範囲(集水域)が変化、盛り土側に雨水が流入した結果、土石流を誘発したと分析した。
(略)
 塩坂氏は、盛り土付近の造成で尾根が削られたことにより、逢初川の集水域よりさらに北部にある、鳴沢川の集水域約20万平方メートルに降った雨も、盛り土側に流れ込んだと分析している。造成地側から盛り土側に水が流れた跡も確認したという。
(略)
河川の流域の一部分を別の河川が奪う地理的現象で、造成によって水の流れが変化し、逢初川よりも北部の鳴沢川に流れ込むはずの雨水が、谷を埋めた盛り土に流入。雨水が逢初川側に流れ込んだと主張した。
2021/07/09 熱海土石流 造成が誘発した人為的な「河川争奪」地質学者が指摘 毎日新聞

熱海の土砂災害を引き起こした背景は「モリカケサクラ」と同じ構図

山の頂上や尾根を伐採すると保水力や地下水脈が変わってしまい、土砂災害の原因となる、というのは、広く知られたことである。
それなのになぜ、国や熱海市は尾根筋の伐採・掘削や谷への残土・産廃の投棄を放置してきたのか。

マスコミが触れようとしないので、ネットで検索するしかない。
すると、すぐに答えが出てきた木下黄太氏のブログ記事三品純氏の記事にしっかり書かれていた。

まず、谷に残土や産廃を投棄して埋めた張本人は小田原市では悪名高い不動産業者。
その社長は自民党系の同和団体である「自由同和会神奈川県本部」会長。
ネット上には、2014年、自民党本部で行われた自由同和会中央本部第29回全国大会で議長を務めるこの社長の写真もあって、背景には安倍晋三首相(当時)が「日本を、取り戻す」というスローガンと共に大写しされたポスターが何枚も並んで写っている。

あの辺りの山を無理矢理切り崩して、まず先に道を作っていったんです。
道を作る時に、図面が先にあるわけではなくて、こういう感じがいいんじゃないかみたいな感じで現場で緩く決めていって、それで道ができていくような流れです。その後で測量部の人がやってきて、測量して図面を書くという流れでした。計画がきちんとあるわけではなくて、むしろやったことを、後付で図面を作ってるという話です。まあ適当なんですよ、本当に。
とにかく道路を作れば、その先でまた森を崩して平地を作るみたいな状態です。
だからものすごく土砂が出るんですよ。
そうした現地での開発で出た土砂が捨てられた土砂の大半であったと思います。
木下黄太のブログ 2021/07/09 元社員への取材内容から抜粋)

↑こうしたことは、日本全国の山でごく普通に行われている。私も川内村時代には、そうした現場をたくさん見てきた。
とにかく、山を伐採し、削って平らにすれば、雨水は行き場を失い、土砂と一緒に流れていく。あたりまえのことなのだ。

テレビや新聞が意識的に避けているとしか思えない、これらの記事を読んでいくにつけ、気持ちが悪くなり、ただでさえ体調不良の昨今、見ないでおきたいという思いも強くなる。
しかし、どうもこのままうやむやにされてしまう可能性も出てきたので、議事録や登記簿などからはっきり分かっていること、信用できそうな記事から、ものすごくざっくりとこれまでの経緯をまとめると、↓こうなる。
  • 2006年9月  小田原市の不動産会社S社が伊豆山赤井谷一体を買取りで取得
  • 2007年頃~ 同社は麓側から徐々に工事道路を建設し、尾根筋を伐採、造成し始める
  •       並行して、谷に造成工事で出た土やビル解体などで出た産廃を投棄して埋め始める
  • 2007年7月  台風4号による降雨で、同社が所有し、宅地開発をしていた伊豆山七尾にある熱海市の水道施設調圧槽が同社所有の山林地からの土砂、流木により一部埋没。市は同社に対して土砂、流木の排除対応処理を文書で依頼するも、同社は応じず放置。市議会で問題になる。市議会の建設公営委員会での質疑応答にて、市の担当者は「(相手が)同和系列の会社でございまして、ちょっと普通の民間会社と違いますので……」という答弁。
  • 2009年6月  市議会で再度、同社の危険な開発行為問題について質疑応答あり。この時期、同社は宅地開発を諦めていた様子。熱海市内のホテル解体工事で出た産廃なども谷に埋めていたことを、同社の元社員が証言
  • 2009年11月 同社社長が小田原駅前に所有していたビルの一室を、違法風俗店と知りながら本来の家賃を上乗せして貸していたとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)容疑で神奈川県警に逮捕される。
  • 2011年2月22日 熱海市が同社所有の赤井谷の土地を差し押さえ。
  • 2011年2月25日 不動産、建設関連を複数所有するZ社の社長が買取り。面積は周辺一帯で合計約40万坪。
  • 2013年8月~10月 Z社傘下の複数の会社がZ社が買い取った伊豆山周辺の土地での太陽光発電所建設を申請し認可される。


このZ社の社長は、1989年、1985~87年までの3年間の所得20億4,000万円を8億3,000万円余と過少申告。所得税5億1,200万円を脱税したとして逮捕されている。さらには2004年にも、2003年12月期までの5年半で約4億円の所得隠しを指摘されていたことで摘発され、追徴課税されている。他にも関連会社がアスベストの不法投棄事件とか、もういろいろと……。

ほんとに気分が悪くなってきたので、もうやめたい。
どれもネット上を検索すれば簡単に読めるデータや記事なので、知りたい人はどうぞ探してみてほしい。
現代日本が抱えるさまざまな問題が、これでもかというほど、分かりやすく浮かび上がってくる。



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東京五輪2020契約書のトンデモ度2021/05/27 16:02

「ぼったくり男爵」が強気なわけ

今月初め、米国ワシントンポスト紙に掲載されたサリー・ジェンキンス氏(スポーツジャーナリスト)のコラム "Japan should cut its losses and tell the IOC to take its Olympic pillage somewhere else" が話題になった。
「国際オリンピック委員会(IOC)のフォン・ボッタクリ男爵と金ぴかイカサマ師たちの間では、いつの間にやら、日本を自分たちの足置き台として使おうということで決まっていたようだ。」と始まるこのコラム、日本では「ぼったくり男爵」という言葉だけが広まった感があるが、そこに書かれている内容を、アスリートも含めて、多くの人が読むべきだと思う。
原文は⇒こちらだが、幸い、クーリエジャポンのサイトに日本語での全訳が載っている。⇒こちら
ごく一部だけ抜き出してみる。
東京での夏季五輪開催が国益を脅かすのなら、日本の指導者たちはIOCに対し、略奪(plunder)はよその公国(duchy=公爵が支配する領土)へ行ってしてくれと言うべきである。
フォン・ボッタクリ男爵、別名トーマス・バッハIOC会長とそのお供の者たちには悪癖がある。それは自分たちをもてなすホストに大散財をさせることだ。まるで王族が地方にお出ましになったとき、そこの小麦が食べ尽くされ、あとに残るのが刈り株だけになるときのような話だ。
五輪マスト・ゴー・オンと横柄に言い張れるIOCの神経はいったいどうなっているのか。
その答えは、IOCの権力の源泉であるオリンピックの開催都市契約にある。これはIOCがいかに高圧的な組織であり、なぜ五輪開催都市が深刻な負債を抱えることになるのかを明らかにする文書である。
こんな「不平等条約」があっていいのか? その契約書全文も、今は日本語訳で全文が読める。⇒こちら

2013年9月7日にブエノスアイレスにおいて締結されたこの契約書は、IOC(ジャック・ロゲ会長、リチャード・キャリソン財務委員会委員長)と東京都(猪瀬直樹・都知事)、JOC(竹田恆和・会長)の間に交わされたもので、この4名の署名がある。

この契約書は80ページ以上にも上るので、そんなものは読んでいられないと言われそうだが、序文だけでも読んでみてほしい。
序文を読むだけでも、この契約の中身が相当危険なものであることを感じ取れるだろう。
オリンピック憲章に基づき、IOC は、オリンピック・ムーブメントの最高の権威であって、これを主導し、また、オリンピック競技大会は、IOC の独占的な財産であって、IOC はこれに関するすべての権利とデータ(特に、組織、運営、利用、放送、記録、表現、複製、アクセス、流布に関する、あらゆる形態、手法またはメカニズムのすべての権利であるが、これらには限定されるわけではない)を、 既存のものか将来開発されるものかを問わず、全世界を通して永続的にこれを所有する。

全てのオリンピック資産に関するあらゆる権利、およびそれらを使用する全ての権利は、営利目的、商業目的、または宣伝目的のための使用を含むがそれのみに限らず、独占的に IOC に帰属する。IOC はその権利の全部あるいは一部を、単独または複数の当事者に対して、IOC の定める条件および条項により、自ら単独の裁量にて使用の許諾をすることができる。

こんな文言を含んだ長い序文の後に、契約内容がズラッと書かれているのだが、開催都市・開催国がいかに屈辱的な立場を呑まされているかが、これでもか、というくらい並んでいて、目眩がする。

前述のコラムの筆者サリー・ジェンキンス氏は、一例としてこう述べている。
「医療サービス」に7ページが割かれており、開催国は五輪関係者として資格認定を受けた人全員に対し、「無料」で医療を提供しなければならないとされている。現地の病院に五輪関係者専用の病室を用意することもそこには含まれる。東京の組織委員会によれば、IOCの要求に応じるために約1万人の医療スタッフを振り向けなければならないという。

契約書には確かにこう書かれている。
保健サービス:開催都市、NOC、および OCOG は、開催都市および開催国の関係当局を通じて、本大会に関連する医療/保健サービスのあらゆる事項について責任を負うものとする。
開催都市、NOC、および OCOG は、IOC から受けたすべての指示に従い、本国への送還を含む必要かつ適切な医療/保健サービスのすべての施策の確実な実施について責任を負う。
医療サービスは、本大会のために開催国に滞在中発生したあらゆる症状について、IOC が指定する一部カテゴリーの資格認定を受けた人々(選手、チーム役員、その他のチームスタッフ、技術委員、メディア、放映権を持つ放送機関、オリンピックのスポンサー/サプライヤー/ライセンシーのほか、IOC、IF、各国の国内オリンピック委員会の代表および職員が含まれるが、これらには限定されない)に対し、無料で提供するものとする。これらのサービスの範囲とレベルは IOC の書面による事前承認を必要とする。医療/保健サービスに関するさらなる詳細は、「医療サービスに関するテクニカルマニュアル」および「財務に関するテクニカルマニュアル」に示されている。

日本では、大会期間中に選手村で感染が広がったら、とか、選手だけの特権のように報じられているが、この契約書を読む限り、選手やチーム役員だけでなく、オリンピックのスポンサー、サプライヤー、メディアスタッフも含まれ、さらに念押しのように「これらには限定されない」とまで記されている。ものすごく曖昧かつ広範囲の「関係者」すべてが、五輪開催に関係して日本国内に滞在していたときの「あらゆる症状」について、無料で医療提供されることを保証しなければいけない。しかもその細かな内容についてはIOCが決定権を持っているというのだ。
これはもう、IOCは開催国の法律や国内事情に関係なく超法規的権力を握っていると言っているようなものだ。

これだけではない、例えば選手村の規定では、
OCOG(大会組織委員会)は、OCOG 単独の費用負担により、オリンピック選手村とその他の適切な宿泊施設を、IOC がその単独の裁量にて決定する期間中、すべての必要なサービスと共に提供する。
OCOG は、IOC がその単独の裁量にて決定する正式に資格認定を受けた選手およびチーム役員に対して、オリンピック選手村とその他の適切な宿泊施設における部屋と食事を、それらが利用可能な期間中、無料で提供するものとする。

となっていて、これが「お・も・て・な・し」ということか……と思うわけだが、その後にはさらに、
OCOG は、「オリンピック競技大会におけるアクレディテーション(資格認定)-ユーザーズ・ガイド」および「宿泊に関するテクニカルマニュアル」にて示されるように、放映権を持つ放送機関とオリンピックのスポンサーを含む、資格認定を受けたすべての者に十分かつ適切な宿泊施設を提供する責任を負い、かつ提供するものとする。
これらの資格認定を受けた者へのホテルまたはその他のタイプの宿泊施設の割当ては、大会基本日程に従い、IOC の書面による事前承認を必要とする。

新しく計画され建設されたホテルなど、本契約に基づき、IOC またはその他 IOC が承認した取決めによって具体的な価格が設定されていない場合には、本大会に参加する資格認定を受けた者のホテル客室、会議室、メディア村の部屋や関連するサービスの上限価格は、開催都市の申請書または立候補ファイルに記載された同等の品質、立地、サービスを持つホテルおよび部屋の料金を超えないものとする。開催都市の申請書または立候補ファイルに具体的な料金が記載されている場合で、これらの料金が上昇した場合、OCOG がその上昇分を支払う財務上の責任を負う
……などと事細かに書かれている。
要するにホテルの料金も「IOCが認定した価格以上になったら、差額は大会組織委員会が支払うこと」になっているのだ。

この調子で、大会開催に関して外国から入ってくる物品、機材、動物などには、「専属の入国・関税局、またはそれと同様の組織の創設を含む、必要なあらゆる手段を取る」とか、「開催国において支払われるべき関税、その他の税、または類似の金銭的負担を課せられることなく、迅速かつ簡易な方法で適切かつ必要な就労許可を得られるようにする」(12. 一定の人物、物品、動物に関する入国手続)

税金についても、
「開催都市および/または OCOG は、それらが源泉徴収税、関税、付加価値税、その他の間接税であるかにかかわらず、また現在あるいは将来のものであるかにかかわらず、本大会に関連して生じた収益に関して、(略)IOCまたは上記の当該第三者のいずれかが受け取った支払いについて、開催国、スイス、その他の管轄地域に支払わなければならない場合、IOC または上記の第三者が、適用される税金の支払後、当該税金が課せられないとしたら受け取れたはずの金額相当額を受け取れるように、開催都市または OCOG(あるいは、該当する債務者)が金額を上積みして支払うものとする。」
「開催都市および OCOG は、IOC または当該第三者が開催国で直接税および/または間接税の支払いを義務付けられる場合、当該直接税および/または間接税が請求されなかった場合と同じ状況になるように、状況に応じて、IOC または当該第三者に対して、彼らが開催国で負担されうる直接税および/または間接税を補償するものとする。」

……と、日本国内だけでなく、IOCがスイス(IOCの本部はスイス、ローザンヌにある)に支払うべき税金分も日本の五輪組織委員会が負担しろ、と言っている。

もっと驚くのは、オリンピック以外のイベント開催に関してまで口を出していることだ。
「IOC の書面による事前承認なしに、本大会期間中と本大会の前後の1週間に、開催都市自体、その近隣、あるいは他の競技会場で、本大会の計画、組織、資金調達および運営の成功、または本大会の一般公開やメディア報道に影響を与える可能性のある主要な公的または民間のイベント、会議、その他の会合を開催しない。」

組織委員会は、運営を進めるために何をやるにしても、いちいちIOCに事前の許可を得る必要があることも明記している。

「IOC の書面による事前承認なしに、本大会に関連して、OCOG と(政府組織または非政府組織かを問わず)国内、地方、または地元の組織との間でいかなる契約も締結しない。」
「IOC の書面による事前承認なしに、本大会に関連して、OCOG と(政府組織または非政府組織かを問わず)国際的組織、超国家的組織、あるいは外国政府との間で、交渉を実施したり、契約を締結したりしない。」

……とまあ、何様のつもりだ的内容が、これでもかこれでもか、と並んでいるのだ。

そして、駄目押しのように、
理由の如何を問わず IOC による本大会の中止または IOC による本契約の解除が生じた場合、開催都市、NOC および OCOG は、ここにいかなる形態の補償、損害賠償またはその他の賠償またはいかなる種類の救済に対する請求および権利を放棄し、また、ここに、当該中止または解除に関するいかなる第三者からの請求、訴訟、または判断から IOC 被賠償者を補償し、無害に保つものとする。OCOGが契約を締結している全ての相手方に本条の内容を通知するのは OCOG の責任である。

……と記している。
要するに、どんな事態になってもIOCは責任をとらない。開催国側がすべて後始末しろ。IOCには絶対に損をさせるな、という内容である。
こんな内容の契約書が21世紀の現代に存在しうるのか? と驚いてしまった。

これが「ぼったくり男爵」の中身である。

「切る」べきは代々木公園の木ではない

この内容を踏まえた上で、改めてジェンキンス氏のコラム全文を読んでほしい。すべて理解できるようになるはずだ。

コロナがあってもなくても、こんなオリンピックを「平和の祭典」と呼ぶことはできない。
ジェンキンス氏が言うように、
オリンピックは前々から深刻な病弊を抱えており、いまの東京の窮状も、その病弊の表れと言っていい。五輪は、関係者全員を痛みと疲労の極限まで追い込むイベントと化しており、
強欲と法外なコストのせいで、五輪は開催国にとって重大災害と同じくらいの負担を強いられるイベントになっている
のだ。

最後に、このところIOCと東京五輪についてはキレッキレのコメントを連発しているデーブ・スペクター氏のツイッター。


そう。どんなに苦しくても、痛みを伴っても、「IOCを切れ」。
日本はぼったくり男爵の「duchy」(貴族が支配する領土)ではない! とIOCと世界に向かって宣言し、行動するしかない。
これが唯一の答えだ。



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総務省とテレビ局の共犯による「地上波地獄」から抜け出せない日本の悲劇2021/04/19 20:13

東芝テレビのリモコン
↑これは我が家のテレビのリモコンである。
テレビのリモコンに最初からNetflixやhulu、YouTube、AbemaTV(現在はAbema)、U-NEXT、dTVといったインターネットテレビ放送のボタンがついている。
テレビがネットに接続されていれば、YouTubeとAbemaは無料で見られる。他のチャンネルも契約すればもちろん見られる。
接続はWi-Fiで行えるので、家庭内Wi-Fiがある家ならLANケーブルを接続する必要もない。
ネット経由だから、電波を受信するのと違って荒天で映像が乱れるようなこともない。
テレビの電源がOFFになっていても、リモコンのNetflixのボタンを押せば、テレビの電源が入り、Netflixに接続して、前回見ていた途中からサクッと再生を始める。いちいち番組を探し出す必要もない。

……もう、テレビはこれでいいではないか、いや、こうあるべきだろう、と思う。
視聴者が自由に選ぶ。よいと思うものには金を出す。くだらないものを押しつけられる義理はない。
無料で視聴できるものに広告がついてくるのは仕方がない。
しかし、録画できる放送にいくら広告をつけても、見る側は録画して広告をスキップしながら見る。我が家ではマラソンや駅伝の生中継でさえ、録画して、30分か1時間遅れくらいで「追っかけ再生」して、広告をスキップしながら見ている。これでは広告主にとっても意味がないのではないか。もっと安い費用でターゲティング広告ができるネット広告のほうがはるかに有効だろう。
その点でも、録画できる地上波放送は廃れていく運命にあるはずなのだが、日本ではいっこうにそうならないのが不思議だ。

地上波テレビは地方局だけでいい


テレビ放送がアナログからデジタルに切り替わったとき、私は「テレビ放送を地上波でやる必要はない。衛星放送やケーブルテレビ網でやれば、全国どこでも同じ番組を同時に見られる。受像器やアンテナを総入れ替えする大変革を強行するのに、地上波での放送に固執するのは、電波利権を死守しようという総務省とテレビ局の悪行に他ならず、国民は大変な損害を被る」という主張をした。詳しくは⇒こちら
テレビ放送のデジタル化は、テレビ文化の地域格差を解消する大きなチャンスだったのに、総務省はテレビ局と結託し、敢えてそれをせず、電波利権構造を死守した
衛星放送をメインにすれば、全国に新たな送信アンテナを建てる必要はない。つまり、送信側の費用はほぼゼロである。
受信側としても、アナログ停波となれば、どっちみちテレビそのものを買い換えなければいけないし、今までの地上波(VHS)アンテナもゴミになる。弱いUHF電波を受信するために屋根の上に高いマストを立てて不細工なアンテナをつけるよりも、家の外壁やベランダの柵にBSアンテナを取り付けるほうが、たいていの場合、作業が楽だし、費用も安い。
今売られているテレビ受像器にBS、CSを受信できない製品はまずない。地上波が届かない場所でもBS、CSなら受信できるというケースはたくさんある。実際、建物や山が邪魔して地上波の電波(UHF波)は届かないので、BS、CSだけ受信しているという人は多い。
現在、衛星放送(BS)にはすべての民放キー局がチャンネルを持っていて無料放送している。110度CSも合わせれば、チャンネルはありあまっている。衛星放送をメインに使えば全国どこでも衛星放送で同じ番組を見られるが、わざとそうしていない
そのBSでは、各放送局が金をかけて制作している人気番組はわざと放送せず、通販番組やら大昔の再放送しかやっていない。
こんな馬鹿げた話があるだろうか?

地上波(UHF帯)は遠くまで届かないし、遮蔽物に弱い。地上波は地方局が使って、その地域独自の情報をメインに放送すればいい。地上波はもともとそうした使い方が向いているのだ。

国はテレビの視聴環境地域格差を恣意的に温存した

テレビ放送をアナログからデジタルに切り替えるという大変革のとき、国と放送会社は結託して、国民に、まるで地上波でなければテレビを見られないかのような呪縛をかけ、巨額の税金を投入し、全国の地上波放送局の利権を守った
結果、放送文化の地域格差は解消されなかった、というより恣意的に「格差が温存された」というべきだろう。
現在も、青森・秋田・富山・鳥取&島根・山口・高知・大分・沖縄は民放局が3局、山梨・福井・宮崎は2局、徳島・佐賀には1局しか民放テレビ局が存在していない。
民放の地上波テレビ放送は、いわゆる4大ネット(日本テレビ系列、テレビ朝日系列、東京放送系列、フジテレビ系列)+1(テレビ東京系列)と、独立系地方局(テレビ神奈川やとちぎテレビなど十数局)で成り立っている。
例えば世界陸上は東京放送(TBS)系列の独占生中継だが、TBS系列局がない秋田県と福井県では見られない。
山梨県は日テレ系の山梨放送とTBS系のテレビ山梨の2つしか民放局がないので、多くの家庭ではケーブルテレビに加盟してフジテレビ、テレビ朝日、テレビ東京の番組を周回遅れで見ている。
TBS系列以外の系列は「クロスネット」と呼ばれる方式で、相乗り放送を認めている。例えばテレビ宮崎(宮崎県)は、TBS系列以外のフジ、テレ朝、日テレ系列の番組をまぜこぜにして放送している「クロスネット」どころか「トリプルネット」と呼ばれる放送局だが、当然、同時間帯に放送できる番組は1つなので、人気番組は日時をずらして放送するしかない。テレビ宮崎ではフジ系列の月曜夜9時台のドラマ(いわゆる「月9」)は5日遅れの土曜日の夕方に放送して、月曜夜9時にはテレ朝系の「月曜ワイド劇場」を放送している。

契約者が700人しかいないチャンネル

ちなみに、総務省幹部が東北新社の「菅首相の長男」を交えた会食をしていた問題が露見した後、芋づる式に表沙汰になってしまった外資規制法違反で、東北新社の衛星チャンネルであるザ・シネマ4Kが放送事業者として認定取消になり、サービス終了となった。
そこでさらに明るみになったのは、このザ・シネマ4Kの契約者数が全国で約700人しかいなかったことだ。
700人のために日本の放送衛星の貴重な帯域(4K放送が送信できる広い帯域!)が1つ埋められていたというのだ。

ザ・シネマ4Kが割り当てられていたのは「BS・左旋」と呼ばれる新しい放送衛星によるもので、従来のアンテナ、ケーブル、ブースター、コネクターなどの設備を対応した製品に交換する必要がある。そこまでして4K(ハイビジョン画質の4倍)、8K(ハイビジョン画質の16倍)の映像を見たい人がどれだけいるだろうか。
4K対応テレビを持っている人は、NHKの朝ドラや大河ドラマを従来のBSと4Kチャンネルの両方で見比べてみるといい。ほとんど差を感じないはずだ。8K映像に至っては畳1畳分とか、壁いっぱいくらいの面積に映し出さない限り、解像度の差が分からないはずだ。
BS左旋で契約者数700人のザ・シネマ4Kが免許取り消しになって消えた後、残るチャンネルはNHK BS8K、WOWOW 4K、ショップチャンネル4K、4K QVCの4つだが、通販専門チャンネルが2つも入っている。4Kで通販放送を見る必要がどこにあるのか? そもそもこうしたチャンネルが運営可能であることに疑問がわく。

『テレビが言えない地デジの正体』でも取り上げたが、競馬専門チャンネルといえる「グリーンチャンネル」は農林水産省とJRAが深く関係しているが、2019年度での放送サービス契約数は24万2887件(前年より-6,326 件)で、インターネット配信契約数が81,806 件(同、+14,003 件)だという。
こんなものはネット配信だけでよいではないか。そもそも地方競馬全国協会(NAR)はライブ映像配信サイトを開設し、全国各地の地方競馬の競馬場から、パドック、返し馬、レース映像のすべてを無料で同時配信している。スマホ時代の今、なぜJRAだけBSの有料チャンネルでしか見られないようにしているのか?
(2017年6月に柿沢未途衆院議員が「一般財団法人グリーンチャンネルの競馬中継放送に関する質問主意書」として質問しているが、政府の回答は「政府としてお答えする立場にない」というものだった。同時に質問した「グリーンチャンネルの理事長および役員に農水省、JRAのOBは何人いるか」という質問には、「8人のうち農水省OBが1人、JRAのOBが5人」という回答だった)。
日本における電波行政がいかにデタラメで不透明なものであるかという問題を、日本のマスメディアはほとんど報じていない。同じ利権構造の中にいるからだろう。
放送電波は公共インフラではないのか? 視聴者はもっと怒らなければいけない。

Netflixの前に日本の娯楽業界は為す術なしか?


最近、WOWOWで『The Sinner』の第3シーズンを全話一挙放送していたので、録画して数日かけて一気に見た。
恥を忍んでいえば、アメリカでここまでのレベルのドラマを制作しているとは思わなかった。こうした人間の複雑な深層心理まで掘り下げ、なおかつリアルな描写をするサスペンスドラマは、欧州ものばかりだと思っていたのだ。
アメリカのテレビドラマでは、今までCSのスーパードラマチャンネルで『メンタリスト』や『ブラックリスト』などを全話録画して見ていたが、あのレベルというか、ああいうテイストがアメリカのドラマで、『ブリッジ』や『キリング』のようなドラマはイギリスや北欧でしか作られていないと思っていた。
しかし、それは知らないだけだった。
『The Sinner』のシーズン1と2を見たいと思って捜したところ、Netflixで見られることが分かった。というよりも、シーズン2以降は、Netflixが主体となって制作しているらしい。
Netflixの契約者は2020年末時点で2億370万人だそうだ。日本でも2020年8月末時点での有料会員数が前年比200万人増の500万人を突破したという。
この500万人というのはまだまだ少ないと感じる。
Netflixでしか見られない作品は多数あり、しかも『The Sinner』のような一級品も多い。
作品の質の高さもさることながら、技術の先進性や安定度にも感嘆させられる。
わざと本番障害を起こしてすぐ復旧させることを繰り返して実際の障害発生に備える、という「カオスエンジニアリング」を実践したり、低いビットレートでも高画質で見られる技術を追求したりと、純粋な技術面でのレベルの高さはいうまでもなく、ソフト的な技術追求のレベルも極めて高い。
Netflixが持つ視聴嗜好のプロファイルデータは3億人分に上り、常にどんな作品が好まれるかを分析し、作品の制作指針を立てているという。万人にうけるものはえてして俗悪なものになりがちなので一概に誉められたことではないが、未だに前世紀の遺物である「視聴率」に頼っている日本のテレビ業界が太刀打ちできるはずもない。
Netflixの昨年度の年間収益250億ドル(前年比24%増)。営業利益は76%増の46億ドルだそうだ。
利益率約18%というのはネット事業としては少ないほうだという。2019年度は年間収益201億5,600万ドルに対して利益は26億ドルで、利益率は12.9%とさらに低かった。
これは、同社が利益の大半を作品制作費に投入しているからだという。
オリジナル作品制作費は2018年度が120億ドル(1兆3,200億円)、2019年度は153億ドル(1兆6,830億円)で、これは日本の民放キー局1社あたりの番組制作費(多くて年間1000億円程度)の10倍以上だ。日本国内5社の制作費を合計しても5000億円には届かないから、その3倍以上。
これだけ金のかかったオリジナル作品を、定額の契約料(画質と同時視聴人数によって、月額税込990円~1980円)だけで見放題になるのだから、日本でも契約者数がWOWOWやスカパー!を抜いたのは当然だろう。
ちなみにWOWOWの2020年度末の契約者総数は約279万件スカパー!の契約者数は約310万件である。
WOWOWは1984年「日本衛星放送」として、スカパー!は1985年に日本通信衛星(JCSAT)として出発して、どちらも35年以上の歴史がある。それが日本進出して6年に満たない(2015年9月から日本でのサービス開始)Netflixに大敗している。
契約者数の推移を見ると、WOWOWは2018年12月時点で290万人を超えていたのが2020年12月には278万人と、2年で12万人ほど減らし、スカパー!は2018年に325万人だったのが2020年には310万人と、2年で15万人減らしている。
ステイホームだの巣ごもりだのといわれて「おうち時間」が増えたはずの2020年度に契約者が離れていったというのはどういうことか。おうち時間が増えてじっくりテレビを見るようになった契約者が「なんだ、NetflixがあればWOWOWやスカパー!はいらないし高すぎるじゃん」と気づいたからだろう。
我が家ではWOWOWもスカパー!(110度CSの基本契約パック)も契約していたが、Netflix加入後、即、スカパー!は解約した。
スーパードラマチャンネルで見ていたドラマはほぼすべてNetflixでいつでも見られるし、ニュース番組もネットで24時間生配信している。残るはMusic Airでやっているアメリカのスタジオセッションや日本の無名ジャズバンド、アーティストたちの演奏録画あたりだが、それも滅多に「当たり」に巡り会うことはないので……。
スカパー!はもう「オワコン」だろう。スカパー!は2012年度には383万人の契約者がいたが、それから8年で72万人が契約解除している。
慣れというものは怖ろしいもので、今まで月額4389円を垂れ流していたのだなあ。
WOWOWはまだ解約まではしていない。WOWOWでしか見られないものの代表がテニスの4大大会生中継だが、これだけのために月額2530円はちょっと……と考えてしまう。
ついでにいえば、NHKは現在受信契約料金が月額2170円(クレジット・口座引き落とし払い)だが、地上波だけだと1225円である。せめてこれの逆バージョン、つまりBSだけの契約コースというのを設定してほしいものだ。地上波NHK、特に地上波のNHK総合は月額1000円以上の金を払ってまで見なければならないようなコンテンツがないからだ。

まあ、それは個々人の価値観や経済事情に関わることなので、ここでは深入りしないでおこう。
ただ、ひとつ言えるのは、
ドラマや映画、コンサートの映像など、リアルタイムで見る必要のないものを「放送」で視聴する時代は終わった ……ということだろう。
時間に縛られる上に、だらだらと広告を見せられる。それだけでも地上波放送は弱点だらけであり、番組の提供形態としてはネットのオンデマンド配信に勝てない。
Netflixは他のネット配信サービスに比べて、ユーザーインターフェースが優れていることにも感心させられる。サクッと間髪を入れずつながるし、途中で止めても、次に見るときはなんの前触れもなくそこから続きを視聴できる。
テレビのリモコンでほぼすべての操作がサクサクできる。
モバイル端末には作品を丸ごとダウンロードすることもできる。
これだけできて、月額1490円(税込/スタンダードコース)。
このスタンダードコースというのは1080pの解像度で再生でき、同時に2画面で再生できる。アカウントを共有すれば、離れた場所に住んでいる家族などが、同じ時間、違う場所で、別々に視聴できる。家の居間で妻と子供がNetflixのドラマを視聴中、出張先のホテルで夫が別の番組を見る、などということが同一アカウントで可能なのだ。このシステムは、受像器1台ごとに契約しなければならないWOWOWなどとは大違いだ。
ダウンロードもできるNetflixは、電車内で、通信料金ゼロでドラマや映画を観ることもできる。
番組の質と数だけでなく、システムの上からも、WOWOWやスカパー!がNetflixに勝てる可能性はない。

このままでは日本全体が完全に「オワコン」になる

アメリカは今混乱のただ中で、ひどい面ばかりが目につく。しかし、GAFAにしろNetflixにしろ、腐ってもアメリカだなあ、とつくづく思う。
アメリカも日本も格差社会であり、その格差がどんどん広がっているが、アメリカはあらゆる面で「できる人たち」が活躍できる仕組みが生きている。
日本の格差社会は、金持ちがルールを逸脱してどんどん資産を増やし、庶民の生活が圧迫され、その結果、教育や文化が廃れていくという格差であって、本当に救いがない。
もう手遅れかもしれないが、完全に社会が崩壊する前に、なんとか教育をはじめとする社会制度を根本から改革していき、個人の才能や努力がしっかり花開き、他者の幸福に寄与するような社会に変えていかないといけない。
Netflixの社員の半数はエンジニアだという。技術者といってもいろいろで、システム開発だけでなく、ソフトウェアの解析や、より高いレベルの作品を生み出すための環境作り、発想やデザインを提供するという「技術者」も含まれる。日本の企業のように、上司からハンコもらうために書類の山と格闘したり、実りのない会議のために満員電車で出社したりする社員はいないのだろう。そういう部分をまずは変えていかないと、どうにもならない。

私たちジジババ世代はもう人生の残り時間がないので、なんとか今をやり過ごしながらうまく死んでいくことを考え、なけなしの金で工夫しながら生活を続けている。
でも、若い人たちは、このままの日本では本当に悲惨な将来しか待っていない。
ネトフリあればテレビなんかいらね~、と喜んでいるだけではダメなのだ。若い人たちが、ただ与えられ、消費させられるだけのゾーンに組み込まれてしまったら、社会は進化しないし、文化は廃退する。どんな分野でもいいから、自分たちが主役になる人生を勝ち取ってほしいのだ。



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菅正剛氏スキャンダルで浮かび上がった「電波利権」とは何か2021/02/27 22:20

テレビが言えない地デジの正体(2009年刊)
 菅首相の長男・菅正剛氏が総務省幹部らを接待していたというスキャンダルで、メディアは連日騒いでいる。
 しかし、そもそもなぜそういうことが起きるのかという「電波利権」の構造について解説してはくれない。テレビ局や新聞社にとって、いちばん公にしたくないことだからだ。
 電波利権とはどういうものなのか?
 2009年に上梓した『テレビがいえない地デジの正体』という本(ベスト新書)を読み返してみた。
 元原稿がファイルとして残っていないのだが、下書き段階のものがあった。出版されたときの文章はかなり変わっているし、データ(数字)も十数年前のものになっているので、ポイントをおさらいしながらまとめてみる。

田中角栄と電波利権の始まり

 地上波(UHFやVHF電波)放送は、電波が一定範囲しか届かない、あるいは、隣接する放送局は混信を避けるために十分に間隔をあけた帯域の電波を使うと決められている「不便さ」が、むしろ特別な権益を生み出す。特定地域の視聴者を簡単に「囲い込む」手段になるからだ。
 これにより、地方局は地元企業のテレビ広告を一手に独占できるだけでなく、ローカルニュース送信によって、情報を意のままにコントロールすることもできる。
 テレビ創生期、各地の有力者たちは、こぞってテレビ局を開設したがった。一度、放送免許を得てしまえば、半永久的に、莫大な権益を持つことになるからだ。
 地方テレビ局の誕生には、田中角栄が大きく関係している。
 田中は1957年、39歳の若さで岸内閣の郵政大臣に就任した。
 このとき、日本のテレビ局は、NHKが11局。民放は日本テレビ、ラジオ東京(TBS)、北海道放送、中部日本放送、大阪テレビの5局しかなかった。他にフジテレビとNET(現テレビ朝日)に予備免許が下りていたが、放送はまだ始まっていなかった。
 こんな状況で郵政大臣に就任した田中は、各県ごとに利権を一本化し、一気に34の地方局に放送免許を出した
 一旦開局すれば、テレビというメディアは巨大な利権を生む。かくして、政界と放送局は当初から密接な関係を保ってきた。錦の御旗のように使われる「報道の自由」というスローガンだが、テレビ放送においては、スタート時点からすでに危ういものだったのだ。なにせ、お上から免許が下りないと放送事業は始められないのだから。
 今では考えられないが、地方局のニュースでは、地元出身の政治家が「お国入り」するたびに映像付きで紹介した。これほど強力な選挙運動はない。
 一時期、田中は選挙区のある新潟放送で、「国政報告」の形を取った30分のテレビ番組を2つも持っていた。これに類したことは、田中だけでなく、全国で普通に行われていた。

4大ネットワークはこうしてできた

 現在の4大ネットワーク(JNN、NNN、FNN、ANN)の編成にも政治が大きく関与している。
 1972年、首相になった田中角栄は、全国のテレビ局を大胆に再編成することに乗り出した。これは、無視できない巨大メディアに成長したテレビを傘下におさめたいという大手新聞社の戦略に応えるものだった。
 1973年12月、朝日、読売、毎日の3大新聞社が首脳会談を行い、テレビ局ネットワークと新聞資本を再編成・統一することで合意した。これにより、東京放送(TBS)の新聞資本は毎日新聞社のみに。それまで東京放送(TBS)の準キー局だった大阪の朝日放送は朝日新聞社系列下に。その代わり、毎日放送(MBS)がTBS系列(JNN)に。毎日放送とネットワーク提携していたNET(日本教育テレビ。現テレビ朝日)は朝日放送のネット(ANN)に……といった大幅な再編成が成立した。
 現テレビ朝日の前身であるNETは、設立した1957年時点では、日本経済新聞社、東映、旺文社などが中心株主で、免許交付の条件は「教育番組を50%以上、教養番組を30%以上放送する」というものだったが、1973年には「総合局」の免許が交付され、朝日新聞社が大幅に株式を買い増しして、事実上「朝日系列」に組み入れることに成功した。
 新聞社とテレビ局が完全に系列化することは、ニュース配信時などには情報をすばやく共有でき、取材も連携が取れるといったメリットもあるが、複数の視点による報道、報道が政治権力から独立するという観点からはデメリット、危険性もはらんでいる。
 テレビの不正を新聞社が暴く、あるいはその逆のことができにくい
 放送免許という首根っこを押さえられている放送局が追及しづらい政府のスキャンダルを、新聞社が先陣を切って報道するということもしづらくなる。
 地デジ化を巡る報道などはその端的な例だった。テレビ局の利権に直接関わる問題だけに、新聞も大きく扱わないし、扱ったとしても、問題の核心には迫らず、表面的な報道に終始する。
 新聞社とテレビ局の完全系列化は、報道の基本精神を脅かす危険なものだったと言えるだろう。

携帯電話料金がテレビ局を支えている

 放送局や携帯電話会社にとって、特定の電波帯域を使える権利は大変な資産であり、莫大な利権が発生する。
 では、一旦電波帯を割り当てられた放送局にとって、電波は「ただ」なのだろうか?
 日本では、1993年5月までは実質「ただ」だった。
 1993年5月からは、「電波利用料」というものが導入され、すべての「無線局」は、電波を利用するための利用料金を支払わなければならなくなった。
 この「無線局」というのは、放送局も入れば、携帯電話の利用者(携帯電話端末)も該当する。携帯電話の電波利用料は1台あたり年間140円(当初は540円。その後420円になり、2008年10月より250円、現在は140円)。携帯電話会社が利用料金に組み入れて徴収し、まとめて支払っている。
(2017年度に携帯電話事業者が支払った電波利用料の総額はNTTドコモが167億円、KDDIが114億円、ソフトバンクが150億円だった)。
   一方、テレビ局が使っている電波帯域は非常に広いが、2005年度以前には、年額わずか2万3800円だった。これに対して、携帯電話は当初一律1台540円で、個人で使う携帯電話機1台とテレビ局の電波使用料が44倍しか違わない。つまり、テレビ局の電波使用料が携帯電話機利用者44人分でしかないという、とんでもない料金制度になっていた。
 2005年度からは、使用する電波の帯域幅や地域の人口密度、出力などを考慮した算出法になったが、それでも全国のテレビ・ラジオ局が支払っている電波利用料は携帯電話事業者が支払っている電波利用料に比べれば極端に安い。
 2015年の電波使用料内訳を見ると、携帯電話キャリアのNTTドコモ 201億円、KDDI 131億円、ソフトバンク 165億円に対して、公共放送のNHKが約21億円、日本テレビ系列は約5億円、TBS系・フジテレビ系、テレビ朝日系、テレビ東京系は約4億円で、テレビ局が支払った電波利用料は利益に対して1%未満という微々たるものだった(Wikiより)。

電波利用料がどう使われているのかも不透明

 電波利用料は、「総合無線局監理システムや電波監視システムの整備・運用、周波数逼迫対策のための技術試験事務、携帯電話の過疎地での基地局維持・設置」などに使われることになっているが、2001年度からは地デジ化のために巨額が使われた。テレビ局のことを、なぜ携帯電話利用者が負担しなければいけないのかという疑問の声があったが、結局は押し切られた。
 ついでに言えば、電波利用料の一部は、総務省の出先機関で、美術館のチケット代や野球のボール代など、職員のレクリエーション費にも使われていた。2008年5月、民主党の調査で分かったものだが、民主党の指摘を受けて調査した総務省の発表によれば、計11ある地方総合通信局のうち6つの通信局で、チケット代、ボール代、ボーリングのプレー代などが支出されていたという。民主党の調査では、他にもラジコン購入費や職員のレクリエーションに使った貸し切りバス費用などもあるという。
 これに対して、増田寛也総務相(当時)は、「法律上書いてある」ことで、法的には問題がないとの考えを強調した。

英国BBCを蹴ってグリーンチャンネルを入れた総務省

 BSの電波帯再編における利権争奪戦にまつわる話をさらにまとめると、2009年、BSのアナログハイビジョン放送(NHKが2チャンネル、WOWOWが1チャンネル持っていた)を廃止して、空いた帯域にデジタル放送を入れるという再編時、フルハイビジョンなら6チャンネル分、標準画質なら24チャンネル分が空くことになった。それに加えて新規にBS19という「空き地」へ、18企業・団体から合計22チャンネル分の応募があったが、総務省は英国BBCや米国ディズニー社を落として、スターチャンネル、アニマックス、グリーンチャンネル、Jスポーツなどを「合格」とした
 グリーンチャンネルは「財団法人競馬・農林水産情報衛星通信機構」というところが運営しているが、これは農水省、総務省共同管轄委託放送事業者。日本中央競馬会の関連法人でもある。
 グリーンチャンネルはすでにスカパー!で放送をしていたが、このBS格上げによって、一気に価値の高い「BS委託放送事業者」になった。
 その一方で、英国BBCが「家族層向けのドキュメンタリーやドラマなど娯楽番組の有料チャンネル放送をしたい」という申請は蹴ったのだ。
 これによってどれだけの日本国民が良質の番組を見る機会を失ったことか! ああ、BBC!! 『モンティパイソン』や『グレートブリテン』見たかったよ!! BBC制作のドキュメンタリーが東京五輪問題をどう扱ったのか見たかったよ!!

 今回話題になった菅正剛氏関連のスキャンダルでは、東北新社傘下の「囲碁将棋チャンネル」のBS入りに疑惑の目が向けられたが、こうした不透明な決定は今に始まったことではないのだ。

地上波はローカル放送にして全国ネット番組はBSやネット経由で流せ

 放送事業者選定の不公正感もひどいが、電波帯域の無駄使いも目に余る。
 現在、BSでは広帯域を使う4K放送が始まっているが、内容をしっかり見てほしい。通販番組やら大昔のドラマの再放送(当然画質は粗い)を平気で流している。
 そもそも4K放送など必要なのか? NHKの朝ドラなどはハイビジョン画質と4K放送を同時に流しているので、BSの4Kチャンネル対応チューナーを内蔵したテレビがあるなら見比べてみてほしい。画質の差など分からないし、目を凝らして多少の差が分かったとしても、それがなんだ、という話だ。大切なのは番組内容の質だろうが。
 今回、菅正剛氏が関わる接待スキャンダルで注目された「囲碁将棋チャンネル」は、かつての標準画質のままの番組を流しているので、最後に余ったスロットに割り当てられたのはある意味当然なのだが、それだってもっと違う活用法がある。
  BSのハイビジョン画質1チャンネル分の帯域は、昔の標準画質なら3チャンネル分送信できるのだから、4対3画面時代の再放送をしているのはもったいない。かつての標準画質番組を再放送する専用の狭い帯域のチャンネルとして設けてくれたほうが「囲碁将棋チャンネル」よりは多くの視聴者が喜ぶだろう。囲碁将棋番組はネットでのオンデマンド配信に向いている内容であり、BSでリアルタイム放送する意味はない。

 長くなってきたのでそろそろまとめたい。

 この拙著で私が主張したかったのは、
  • テレビ放送をデジタル放送に移行するのはいいとして、なぜ「地上波」でやる必要があるのか。BSやケーブルテレビ、インターネット回線を使えば全国どこでも同じ数のテレビ局が見られるのに、わざわざ「地上波」にして地域格差をつけるのは利権保守以外の目的は考えられない。
  • 電波は公共財なのだから、裏で変な取り引きをせず、入札や電波利用料をすべて公開して、視聴者の利益を守れ
 ……ということだ。
 10年以上経っても、何にも変わっていない。

 7万円の接待で何を食ったかなんてどうでもいい。総務省とメディアのズブズブ関係によって、我々はもっと大きな損失を被っているのだ。

オマケ:顛末記

 この本は、校了して、印刷所で印刷が始まる直前の部数決定会議で、出版社の社長が突然「なんでこんなくだらない本を出すことになったんだ?」と激怒し、いまさら出版停止にはできないならと、部数を極端に減らした。2000だったか3000だったか忘れたが、とにかく当時の新書の刷り部数としてはありえないような数。書店にまともに並ぶのも難しい数で、まるで「売れては困る」というような異様な決定だった。
 さらには、担当編集者は出版直後に編集部を外されて異動になり、その後、退職してしまった。
 私のせいで熱心な若手編集者の人生まで狂わせてしまい、その後は本を出版することがすごく怖くなったものだ。
 担当編集者は、「何か圧力があったとは思いません。単純にこんなものは売れない、という言われかたでした」と説明していた。
 そうかもしれない。内容を知った政府筋から社長に圧力がかかった、などということはないだろう。単純に「なんでこんな売れそうもない本を出すんだ」ということだったのだと思う。

 10年以上経っても、人々が「与えられたもの」だけを受け入れ、消費していくという社会風潮は変わっていないわけで、電波利権の闇をどうにかしよう、などという本よりも、ゲームの攻略本や有名人のゴシップとか、金儲けの本とか、健康法の本とか、韓国・中国憎しみたいな本が売れる。
 ただでさえ本が売れなくなった時代に、物書きはどう生き延びるか……。そういうことも、今はもう深刻に悩んではいない。
 「一人に向かって」。一人が見えなければ「自分に向かって」、やれることをやる、という心境かなあ。



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地震で出てきた週刊プレイボーイと原発爆発後の10年2021/02/14 21:30

2012年3月19日号の週刊プレイボーイ
昨夜遅く(23時過ぎ)、大きな地震があった。
久しぶりに長く、かなり揺れたので、3.11のときの感覚が甦った。
幸い、棚からものが落ちたりギターケースが倒れたりしただけで、大した被害もなく収まったと思っていたが、一夜明けたら、仕事部屋の本棚が大きく歪んで、崩壊寸前になっているのが分かった。
壁に打ち込んでいたビスがすっぽ抜けて、大きな隙間ができている(↑)。

その隙間から週刊プレイボーイが出てきた。

なんでこんなものが? と引っぱり出してみた。何か楽しい写真でものっているのかとパラパラとめくっていくと、自分の写真と目が合ってビックリした。

すっかり記憶から消えている。改めて発売日を確認すると2012年3月のものだ。ということは、日光に引っ越してきてすぐの頃だなあ。

扉の写真は記者に撮られているが、いつどこでインタビューされたのか記憶にない。
改めて記事を読んでみた。3ページしかないので、ものすごく小さな字で組んであり、読みづらい。
 作家のたくき よしみつが7年近く住んだ福島県川内村を離れたのは昨年の3月12日、福島第一原発1号機の爆発映像がテレビに映し出された直後のことだった。
 自宅は原発から25km地点。心臓がバクバクした。放射能被曝の危険が迫っていた。
「逃げるぞ!」
 妻にそう告げると、身の回り品をザックに詰め、車で神奈川県川崎市の仕事場にたどり着いた。
……記事はそんな風に始まっている。

その後の展開について短くまとめると……、
  • 3月26日に線量計を手にして荷物を取りに一度村に戻ったが、実際、村の中の線量は村民が避難した郡山市内より低かった。
  • 地震による被害はほとんどなく、プロパンガスも井戸水も電気も使える。友人たちも村に戻り始めていたので、一緒に村を立て直すことに協力できないかという思いで、4月末に村に戻った。
  • 「失望はしていませんでした。いや、むしろ川内を魅力ある村へと再生させるチャンスかもしれないとさえ思っていたんです」
  • それまでの村は、多くの人が隣町にある福島第一原発、第二原発に関係する仕事をしていて、原発依存度が高かった。そのため、村本来の魅力である豊かな自然を生かして新しい産業やビジネスを興そうという動きが起きなかった。
  • 一方で、大規模風力発電施設、ゴルフリゾート、産業廃棄物処理場などの誘致話には熱心で、その都度、村では賛成派・反対派に分断されていがみ合い、自然環境がじわじわと壊されてきた。
  • そうした空気から脱却して、今度こそ本当の自立した村を作り上げるチャンスではないかと、主に移住者たちと話し合った。
  • しかし、そんな意気込みはすぐに消えた。東電からの補償金・賠償金バブルのようなことが起きて、多くの村民が、「村に戻ったら金がもらえなくなる。それなら今のまま、金をもらい続けて郡山と村を行き来する二重生活を続けたほうが楽だ」と考えるようになってしまったからだ。
  • 補償金の後は、除染ビジネスバブルのようなことも起きた。そっとしておけばまだしも、わざわざ内部被曝の危険を冒すような除染はすべきではない。
  • このままではどうにもならないと判断して、あちこち移転先を捜した末に、日光へ引っ越した。

……といった内容。


この記事や、講談社から出した『裸のフクシマ』という本のおかげで、多くの人たちから非難され、攻撃されたのを思い出す。

現在、川内村は、双葉郡の中ではいち早く立て直しに成功した村として知られる。よくここまで持ち直したな、と思う。隣接する町村に比べて汚染度合が低かったこともあるが、村長の手腕によるところが大きい。
清濁合わせて飲み込んで、難しいバランスをとりながら、着地点を探る。それが政治家の腕であり、求められる資質、精神性なんだと思う。
今、国のトップにいる政治家たちは、あまりにも欲ボケ、権力ボケ、金ボケしすぎている。

記事の最後にはこうある。
原発マネーでシャブ漬けのままでは、いくら帰村宣言をしても川内村の復興はおぼつかない。「原発ぶら下がり症」を克服するには、まず、この原因を作った東電や保安院、原子力委員会、原子力安全委員会、原子力機構などの原発村を解体して人間をすべて入れ替えることが必要です。

これを読んで、今の東京五輪組織委員会の騒動にも同じような構図があると改めて感じた。
「五輪マネー」にトンチンカンな期待をする人たちが、税金を好き放題使って社会を壊していく。その結果、オリンピックは本来の意義、素晴らしさを失い、統制不能の巨大怪物になってしまった。
東京五輪2020は、中止にするにしても、無理矢理無観客開催を強行するにしても、運営する組織のトップは大変な非難に晒され、あらゆる種類の困難に直面する。それを受け止めた上で、なんとか後始末を進め、その後の社会にさらなる悪影響を及ぼさないよう必死に努力しなければならない。それができるような、賢く、タフで、豪腕なリーダーがいるだろうか?
原発爆発後の10年を振り返れば、今からいい方向に軌道修正していける可能性は限りなく低いだろうと、絶望的な気持ちにならざるを得ない。

原発が爆発して、世界中に放射性物質をばらまいた直後の日本で、五輪開催に手をあげ、「復興五輪」だのというお題目をぶち上げた人たち。その傲慢さと無恥を、天はこれ以上許してくれるのだろうか。

今回の地震は、3.11や原発爆発を経験しながら、そこから何も学ばないどころか、開き直って今まで以上の傲慢・強欲な社会を作ってしまったこの国への、天からの最後の警告なのではないかと感じた。
昨日の地震のおかげでこのプレイボーイ誌が出てきたのも、そういうことだったのかもしれない。

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