戦時下の竹槍訓練を皮肉ることは罪か? 水ダウを非難する人たち2024/09/01 20:53

『水曜日のダウンタウン』(TBS) 2024年8月28日放送
「水曜日のダウンタウン」がやってくれた。
「コロナ対策いまだに現役バリバリの現場があっても従わざるを得ない説」と題して、馬鹿げた「コロナ対策」を揶揄というか、反省?するような内容。
まともな思考をしているテレビ制作陣が生き残っていることが分かっただけでも、少しだけホッとした。
しかし、ネットでは「元医療従事者としては感染症対策バカにされた気分」「こっちは後遺症でまだ悩んでるんだよ」など、批判の嵐。
本当に闘った医療関係者は、軒並み攻撃され、排除されてきた。今でもまだそうだ。
……あのねえ……馬鹿なことは馬鹿なの。
馬鹿なだけでなく、大変な害を与えたの。特に子供たちへの害はとんでもなかった
そうした国家的犯罪、社会の暴力を、真面目な番組できちんと反省していない中で、まずはこうした方法で風穴を一つ開けようとすることこそ、メディアの最低限の良心であり矜持だろうに。

あの馬鹿げたマウスガードやらアクリル板やらが「感染症対策」だとまだ言う人たちがいることに脱力するが、そういう人たちが世界一多いこの国で、これからも生きていかなければならない。それも、これ以上免疫力を下げないように、NK細胞を増やすために極力楽しく、分かっていない人たちとも摩擦なく、自分を失わず……これ、相当難しいことだよね。



『水曜日のダウンタウン』(TBS) 2024年8月28日放送



たまたま同じ日に、我が家ではこんな番組↓も見ていた。2023年4月放送の『かまいたちの掟』(さんいん中央テレビ)の再放送(BSよしもとで)。地方局制作番組は呪いから解けるのが最も遅かったかもしれない。
あの期間に収録されたロケ番組は、今後、再放送率が下がるだろう。違和感とガッカリ感、無力感、怒り……が先に立ってしまい、普通の感覚で観ていられないから。仕方なく従っていた出演者たちは本当に気の毒だ。


『かまいたちの掟』(さんいん中央テレビ)2023年4月放送


知る限り、最も早くマスクを外したのは2023年3月18日放送の『出川哲朗の充電させてもらえませんか?』だった。
これも遅すぎるけれど、他の番組が軒並みマスクだらけ、アクリル板だらけだった中で、先頭を切ったことはしっかり覚えている。

マスメディアが国民を煽動した戦前戦中の文化

水ダウがネットで炎上しているのを見て、明治以降の日本は何も変わっていないのだなと、つくづく思った。

↑これは昭和18(1943)年の流行語トップ10だそうだ。どうやって順位をつけたのかよく分からないが、戦時中も政府に抵抗する庶民がいたことは分かる。
金鵄(きんし)上がって十五銭」がよく分からなかったのでネット検索したところ、↓こういう替え歌だった。
元歌は「紀元二千六百年」という「国民歌」↓。
Wikiによれば、
1939年(昭和14年)8月、内閣奉祝会・日本放送協会(現在のNHK)の主宰によって広く国民から「奉祝歌」を募集する企画によって誕生したもので、約1万8000の応募の中から、東京・神保町の教科書出版所店主増田好生の歌詞が一等に選ばれ、同時に募集した作曲は当時東京・杉並区在住だった音楽教諭森義八郎の曲が採用された。
だそうだ。
Wikiにはさらに
(作曲者の)森は後年、作曲家に転身し井の頭音頭や小学校の校歌などの作曲を手がけたが、酒癖があまりよくなかったとも言われ、この「紀元二千六百年」作曲直後に行った飲み屋での飲食酩酊の上で、「此の曲は大塚の花街で遊女を抱いた時の腰のリズムを使って作曲した」と放言して物議を醸した。

……ともある。

この曲を一般募集したNHKは、1981年5月に↓こんな番組を放送していた
ちなみに「金鵄」とはタバコのゴールデンバットのこと。敵性語として名称変更させられていたのだね。

NHK戦争証言アーカイブズ 「金鵄(きんし)上がって十五銭」
その1⇒こちら  その2⇒こちら

↑この番組、「その2」では、翼賛選挙に大量の無効票(投票用紙に落書きや不平を書き連ねたもの)があったことや、特高が膨大な資金を得て反戦思想と思えるものを徹底的に弾圧し、替え歌を歌っていた子供まで取り締まった記録などが紹介されている。

43年前のNHKは、このように、いい番組いっぱい作っていたのにね。この数十年で大本営発表代行機関みたいになってしまった。
でも、こうしてネット上に残して、誰もが見られるようにしているのは、心ある職員が頑張っているということかな。
この番組で戦時中の替え歌を歌っている東京放送児童合唱団の子供たちも、2024年の今は50代くらいだろう。この収録のことを覚えているかな。

水ダウの「馬鹿げたコロナ対策」を思い出させる企画は、このNHKの「戦争証言アーカイブズ」シリーズに通じるものがある、と言えば、そんな馬鹿な、全然違う、無理がある……と、またまた非難囂々だろうか。
しかし、「金鵄上がって十五銭」の替え歌と、パカパカのマウスガードやアクリル板の絵面を揶揄する(あるいは「反省する」)企画は、どちらも、正面切って反対すると潰される庶民の精一杯の抵抗ではないだろうか。
それを理解できず、ただただ不謹慎だ不届きだ許せないと騒ぐ人たちは、歴史に何も学んでいないのではないか。
戦時中の竹槍訓練を戯画化した作品があったとする。おそらく今回水ダウを非難した人たちは同じように「命がけで戦った銃後の人たちをバカにしている」「人として許せない」などと攻撃するだろう。
しかし、作品の意図は竹槍訓練をしている人たちを馬鹿にすることではない。そういうことをさせる世の中を作った人たち、馬鹿な為政者だけでなく、時代の空気感や、ある日簡単にそうした世界になってしまう怖ろしさを訴えようとしているに違いない。
歴史を学べば、国が(権力者集団が)国民を殺してきた記録が延々続いていることが分かる。今もその最中なのだということを、平和ボケしている人たちには、いくら言っても分からない。
ましてや、マスメディアが一斉に大政翼賛会、いや、大本営発表広報担当となり、暗黙のうちに特高化までしてしまっている今の日本を異常と感じない人たちが大多数を占めているのを見るにつけ、これはもう、徹底的に破壊されるまで、何も変わらないのかなと、暗澹たる気持ちになる。

精神をこれ以上乱さないための訓練?


「金鵄上がって十五銭」が流行語トップ10に入っていた昭和18(1943)年の3年後、敗戦直後の昭和21(1946)年の流行語を見てみると……

なるほど、戦時中とはだいぶ印象が変わってくる。このなかの「ハバ・ハバ」が分からなかったので、これもネット検索したところ、↓こんな「高齢者向けクイズ」なるページがヒットした。


「ハバハバ」は「早く!早く!」という意味で、敗戦後、日本に駐留した米国軍が持ち込んだ語だそうだ。語源はパプアの原住民の言葉らしい。
「オフリミット」がなぜこの時代の流行語になったのかもよく分からなかったが、

(「戦後昭和史」WEBサイトより)

……なるほど、である。
要するに日本は完全に占領地となってしまい、それを庶民は受け入れるしかなかった受け入れながらも、どこか醒めた目で現実を見つめていたという空気感が読み取れる。
今またそれと同じこと(敗戦~占領)が、あの頃には想像もできなかった巧妙な方法で起きているのだが、ほとんどの日本人は気がついていない。あるいは、薄々感じていても、考えないようにしている。考えたくないので、不都合な情報はシャットアウトするように身体が覚えてしまっている。

私は昭和30(1955)年生まれなので、敗戦直後の昭和20年代のことは知らないが、小学校に上がるまで家には風呂はおろかトイレがなかった(長屋で、トイレは戸外の共同便所を使わなければならなかった)。
テレビが買えたのは小学校の後半くらい。電話は中学に入ってから。
平成生まれ、あるいは21世紀生まれの人たちの中には、「チャンネルを回す」とか「(テープを)巻き戻す」とか「(電話機の)ダイヤルを回す」といったフレーズが通じない。さらには「アベック」や「股引」といった言葉を、いわゆる「昭和言葉」として嘲笑するわけだが、単語のみならず、「あたり前田のクラッカー」のような昭和の駄洒落フレーズには、敗戦後の日本を生き抜いてきた人たちの逞しさや老獪さも込められているような気がする。

辛い話ばかりだと身体に悪いので、最後はそんな駄洒落フレーズを鑑賞しながら終わろうか。


あたり前田のクラッカー
あたりまえやがナイアガラ
ざまあ味噌漬け
ほんまかいな、そうかいな、かいな返して上手投げ
そんなの聞いとらんペット
ごめんめんめん明太子
さんきゅ~よんきゅ~母号泣
インド人もビックリドンキー
アイムソーリーヒゲソーリー
おつかれさんだーす軍曹
汗がダーダーダースベーダー
もういくつ寝ると和尚が来る?
なんまいだ~なんまいだ~オ~マイガ~
あとはよろしくさんじゅうろく
冗談はよしこちゃん
ありがとうさん、しみがかあさん
ありがたいわにアリゲーター
泣くなよしよし、よし!行くぞー
とんでもハップン歩いて10分
うまかった~ 牛負けた~


……さて、あなたは↑この中のいくつを知っているかな?

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「ラジオ体操第一」再発見?2023/07/22 21:37

猛暑が続いている。
我が家は標高253mだが、やっぱり暑いものは暑い。朝からエアコン入れっぱなし。お散歩もここ数日はさぼってる。

な~~んもやる気が起きないのだが、ふと思い立って、ラジオ体操第一をEWIで吹いてみた。
うろ覚えのメロディでもそれっぽくは吹けると思ったのだが、これがとんでもなくて、単純に難しい(ん? どういう意味やねん)。
移動ド相対音感のあたしには、最初の「背伸びの運動」は、
ミーミファソーミド ラーラシドー……
と聞こえる。その後も全部ドレミファ音階で聞こえるから楽勝かと思いきや、やってみたら運指が難しくてちょこちょこ間違える。音が結構ぴょんぴょん飛ぶのだね。
ということは、運指練習として最適な素材かもしれないと思い直し、ちょっと真剣にやってみた。

で、やっているうちに、この「曲」そのものに興味を抱いてしまい、作曲者は誰で、いつ頃できたのか、などなど、ネットで検索して調べてみた。

作曲者は服部(ただし)(1908年3月17日 - 2008年8月2日)という人で、なんと小林亜星のお師匠さんだそうだ。
100歳まで生きたのだね

亜星さんは師匠から、

1)「自分からアーティストを名乗るな」
2)「つまらない仕事はない。まず職人になれ」
3)「自分が音楽の神様だと思え」

と教えられたという。
対外的には謙虚に、しかし自分の中では誇りと自信を持て、ということかな。深いね。

こんなのも↓服部正の作曲だそうだ。

助手さんはこの歌詞を一部覚えていたが、あたしは「キンカン塗ってまた塗って~」のところしか知らなかった。

↓これもそう

で、ふと思ったのは……、

こういうの(ヽヽヽヽヽ)、今の世の中から消えているなぁ、と。
「こういうの」というのは、いろんな人がいろんな場所で、世のために何か作ろう、何かしよう、考えよう、と自然に思い、行動する、ということ。
損得とか、仕事だから、とか、そういうことより先に、ごく自然に「なにかいいことをしたい」と考える。
今はそういうのがあたりまえじゃなくて、希有なことになってしまった。おまえ、変わってるね、とか言われるようになってしまった。
ちょっと頭が回る人は、まず儲けよう、自分のためにどうすれば損をしないか、安全か、という金儲けと保身が行動原理の最上位にある。
政治家も官僚も企業家も弁護士も医者も……。
それが暗黙の「常識」になってしまった社会。
……ふうう、やだね。

愚痴っぽくなってきたので、とにかくやってみた結果を↓
長音階スケールのバリエーション的な運指に加えて、スタッカートとかスラーっぽい表現も入ってるから、かなり難しい。いろんな楽器でいい練習素材になりそう

練習してたら、助手さん曰く、
「ゆっくりやるとシネフィルイマジカのつなぎ音楽みたいにかっこよくなるんじゃない?」
音色だけで言っているのかと思ったが、ああ、なるほど、そのアイデアは素晴らしいかも。マイナーっぽくアレンジしたら面白いかもしれない。

それにしても指が滅茶苦茶なまってた。EWIはすっかりご無沙汰で、1年以上手にしてなかったからなあ。
いかんいかん。遺憾、遺憾。
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「飛んで火に入る夏の虫? ああ~、ワクチンね」2023/06/03 20:51

結成16年以上(2007年12月31日以前に結成した)プロの漫才師のみが参加資格を持つ「ザ・セカンド」なる賞イベントが初めて行われた。
全国ネットの漫才賞レース番組(M-1グランプリと2011-2014のTHE MANZAI)の優勝者は出場できないという規定もあり、大会の目的は「実力がありながら注目を集めていないベテラン漫才師に光をあてる」ことだろう。
131組のプロ漫才師が参加して、述べ9日の選考を経て、最終8組に絞り込まれるという経過をたどった。
その8組による最終決戦が「グランプリファイナル」と題して5月20日にフジテレビ系列の地上波テレビで4時間10分という長時間にわたって生放送された。
最後の8組に残ったのは、
  • 三四郎 (マセキ芸能社)
  • マシンガンズ (太田プロダクション)
  • ギャロップ (吉本興業大阪)
  • 囲碁将棋 (吉本興業東京)
  • スピードワゴン (ホリプロコム)
  • テンダラー (吉本興業大阪)
  • 超新塾 (ワタナベエンターテインメント)
  • 金属バット (吉本興業大阪)
……の8組(上記順番は16⇒8組に絞られる「ノックアウトステージ」の点数順)。

この8組がトーナメント方式で制限時間6分(6分30秒を超えると減点)で対決し、3回勝ち抜けると優勝、というシステム。
たった8組で4時間以上の生番組を持たせるだけあって、無駄な引き延ばし演出や大量のCM時間があったが、内容はなかなか見応えがあった。

優勝したギャロップは、1回目(相手はテンダラー)ではいつものハゲいじりネタでつまらなかったが、2回目、3回目と尻上がりに違う作風のネタをしっかり演じきった。
応援していたマシンガンズと金属バットが1回戦でぶつかってつぶし合いになったのは残念だったが、マシンガンズはネタを2本分しか用意していなかった中で、アドリブと開き直りだけで3本目もやりきって見応えがあった。
準優勝となったマシンガンズの3本目はこの日の最低点数だったが、爺としてはいちばん笑えたし、感心もした。
普段はゴミ収集清掃員をしている滝沢秀一が目をみはるほど実力を上げていて、西堀亮も年齢と経験による落ち着きが出てきていてよかった。相変わらず早口すぎて、何を言っているのか聴き取れないところがいっぱいあるのだが、昔に比べて落ち着いて見ていられる。困った表情や、言葉が滑って一瞬言いよどむときの感じが特に面白くて、こういうコンビも珍しい。

最大のハイライトは金属バットの「ワクチンね」

……と、前置きが長くなってしまったが、この日の最大のハイライトはトップバッターで出てきた金属バットだった。
「ことわざ」をテーマにした漫才で、「思想強っ」とのツッコミも飛び出すなど、際どいワードを連発。アンバサダーを務める松本人志も「金属バットは、M-1でいつか見られると思っていたので、あえてこれまで見てなかったんですけど、こんな漫才なんやと思って、感動しています」と激賞し、SNSでも「テレビだぞ(笑)」「ぶっこむなー」などの声が飛んだ。マシンガンズに2点差で惜しくも敗退したが、確かな爪痕を残した。(オリコンニュース 5/20

SNS上でも「金属バットあれで負けるんか。ワクチンのくだり最高だったやろ」「金属バットもう1本見たかったなぁ」といった惜しむ声が多数寄せられた。(東スポWeb)

見ていない人には、これらの記事が何を言っているのか分からないだろうから、その部分を文字起こししてみる。



(ボケの小林がツッコミの友保に「諺の意味を教わる」というネタの終盤で)

小林:「鬼に金棒」……どういう意味?

友保:まあ、鬼みたいにただでさえ強いのに、これ来たらもっと強なっちゃうよ~、みたいなこっちゃ

小林:ああ~、あれか。パチンコ屋の中にATMあるみたいなことか

友保:それは「飛んで火に入る夏の虫」や、おまえ

小林:「飛んで火に入る夏の虫」? 「飛んで火に入る夏の虫」ってどういう意味?

友保:危ないって分かってんのに、ついつい飛び込んじゃうみたいなことやねん

小林:ああ~……ワクチンね

友保:思想(つよ)っ! おい! おまえ! おい! おい!

小林:あれやんな

友保:あんた、そっち(ヽヽヽ)なんかい、おい

小林:なんか噂で聞いたんやけどな

友保:いろんな噂あるけどね。みんな違って全部かまへんけど、あんた、ちょっとやめとくわ。堪忍して、おまえ

小林:じゃあ、他のやつ教えて

友保:他なんやろ。まぁ、「嘘も方便」ちゅうのがあるんやけど

小林:あれ? そっちがワクチンか

友保:やめてくれ、おまえ、おい! どないしたんや、ハゲ、こら、おい! どないしてん、おまえ、おい!

小林:いや、噂聞いて……

友保:噂あるけどな~、いろんな噂。なんやねんあれ、マイクロチップ入ってるみたいな噂は

小林:あった、あった

友保:なんやねんあれ。あんなもん入れるんやったら、イコカとかSuica入れてくれ、なあ



 ……とまあ、これが「『思想強っ』とのツッコミも飛び出すなど、際どいワードを連発」とか「ワクチンのくだり最高だったやろ」の部分である。

我が家では彼らのネタが終わった瞬間、まだ1本目だというのに「今日はこれが優勝でいいわ」「……だねえ」と、完全に満腹状態になっていた。

テレビメディアが遺伝子製剤詐欺に対して固く口を閉ざし、ひたすら政府の非道政策プロパガンダに徹していたこの3年間。そこに、ようやく小さいながらも風穴をあける芸人が出てきたかと思うと、一種感慨深いものがあった。
しかし、彼らがどんなつもりでこの「ワクチンね」「やめろ、おい!」のくだりを入れてきたのかは分からない。
よ~く考えると、両極端の解釈ができると気づいた。

1つは、「飛んで火に入る夏の虫=ワクチン」という比喩(というか、どストレートな暴露)を生放送でぶち込むにあたって、自分たちが消されないように用意周到な準備をしたという可能性。
小林はいつものように徹底してアホを装っている(これが実にいい味出していて、うまい)のに対して、ツッコミの友保は強く「やめろ、おい!」「おまえ、『そっち』なんかい」「みんな違って全部かまへんけど」と、いろいろな方面に対して免罪符的な言葉を投げかけている。この構成であれば、誰からも責められることはないという計算から練り上げたとすれば、実に見事だ。

もう1つは、ただ単にこれを悪ふざけの一つとしてやっているという可能性。
友保の「思想強っ!」「なんやねんあれ、マイクロチップ入ってるみたいな噂は」という言葉は、このネタではワクチンが危険だなどという噂はトンデモなデマとして扱っていますよ、そんなものはハナからまともに相手にしてませんよ、というメッセージと取れる。絶対安全地帯に立って、単にお笑いネタにしているという感覚なのかもしれない。
(ちなみに「思想強っ」というフレーズは彼らが発明したものなのか、それとも今の若者言葉として定着しているものなのか、爺は知らないが、小馬鹿にして突き放しているニュアンスであることは分かる)

さらには、ネットサーフィンが趣味という小林は情報を豊富に持っているが、友保は自分ではそこまで勉強しよう、調べようなどという根気は一切なく、ただただ楽しいことや悪ふざけをしながら生きていきたいというタイプで、ネタのすりあわせの中で二人の性格そのものが素直に出た結果……という見方もできるかもしれない。

いずれにしても、8:2くらいにきれいに「分断」された今の社会で、どちらの側からも受け入れてもらえる、しかも意表を突く形で笑いを誘える(その笑いの種類は8の側と2の側で全然違うのだが)。
今、これができるコンビは他にはいないだろうな。
能力的には、空気階段(かたまり)、ハナコ(秋山)、かもめんたる(う大)、あたりは十分できるはずだが、やりきる度胸も場もない。金属バットだからやれた。
そう考えると、実に貴重な存在のコンビであり、その個性と技術に拍手を送るしかない。

……まあ、こんな風に分析されるのは彼らにとっては迷惑でしかないから、書くべきかどうかだいぶ迷ったんだけどね。
それこそ「やめろや! おい!」と、友保からパンチが入りそうである。

真意は完全には分からないが、このネタですっかり小林圭輔に注目することになってしまった。陸上が好きというのもバッチぐー(死語)だしね。


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タヌパックブックスの現状2023/06/03 20:43

出版事業者としてISBNコードを取得したのはいつだったろうと日記を検索したら、2019年のことだった
あれから4年。タヌパックブックスでISBNコードを振っている本は37冊になる。コードは100冊分取得しているので、あと63冊余裕があるわけだが、もちろん、生きているうちにあと63冊作ることは不可能だろう。

当初から黒字経営は諦めていた。オンデマンド本は1冊単位で発注し、印刷・製本するので、単価が高い。それに取次業者の手数料と送料、さらにはAmazonへの手数料が高い。1冊売上ごとの手数料の他、売れても売れなくても毎月定額の契約料を取られている。ストレスになるだけなので細かい計算はしないことにしているが、黒字になっていないことは間違いない。
サメだかマグロだかは泳ぎ続けていないと死んでしまうとか。それと同じで、爺は創作し続けていないと生きていく気力が失せてしまう。ただ食べて、寝て、楽しいことだけしていればいいという毎日はありえない。もっとも、食べて、寝て、楽しいことをする時間がある生活というだけで、今の日本では相当贅沢なことなので、「それだけじゃ嫌だ」なんて、大っぴらには言えないんだけどね。

タヌパックブックスの出版物37冊の中で断トツのヒットは『新・狛犬学』で、今も週に1冊は売れ続けている。

↑「新・狛犬学」を検索すると……
↓Amazonのページでのランキング


これ以外はほとんど売れないのだが、最近ようやく狛犬関連以外の本もポチポチ注文が入るようになった。

↑現時点での発送待ちリスト

正直なところ、狛犬関連以外の本の注文があると嬉しい。本業に近い(ヽヽ)のはそっちなんだよ、という気持ちがあるから。

生の会話がない生活


今朝、起きたときにふと思った。
ここ何年かは、助手さんとネコ以外とは生の会話をしていないな、と。

お店のレジで「お願いします」「ありがとうございます」と声をかけるだけでは会話とは言えない。宅配便のお兄さんに「ありがとうございます」と言うのも同じ。
それ以外は、散歩の途中でたまに近所の人に会って立ち話をするくらい。
それも世間話みたいなのが多いし、ここ3年は特に「内容のある話」を意識的に避けるようにしているところがある。
先日、散歩の途中で会った近所の老人(80代)が「酸化グラフェン」という言葉を発したので、そこからナノパーティクルだのシェディングだのスパイクタンパクだのという単語が出てくる会話が始まったのだが、今思うと、生の会話の中で相手から「酸化グラフェン」という単語が出てきたのは後にも先にもそのときだけだ。
文字としては一時期毎日のように見ていた単語だし、日記などにも何度か書いているが、助手さんを除けば、生の会話の中で使った(実際に声に出した)ことは一度もなかったと思う。
話す相手がいないからだ。
これって、ものすごく異常なことだよね。

本来なら学校や職場での会話の中に何度でも出てくるべき単語だろう。
今の自分の生活にそうした集団の中にいる時間がまったくないので、世の中全般ではどうなっているのか分からないが、おそらく知識や情報を吸収すべき中高生の間でも、そうした会話はほぼないのではなかろうか。

集団の中にいる時間がゼロである爺の今の生活は、世間一般から見ればかなり特殊なものだろう。
でも、毎日職場に通っているような人でも、仕事の伝達事項や客とのやりとりといった「定型」の会話以外の会話(例えば「酸化グラフェン」とか「アゾフ」とか「WHO」などの単語が出てくる会話)を、家族や友人と生で交わしている時間はほとんどないのではなかろうか。

超過死亡と自殺の推移

この3年間を振り返ると、遺伝子製剤注射が始まるまでの2020年には超過死亡は前年より減っていたが、注射が始まってからはどんどん増えている。
超過死亡が減った2020年でも、自殺者は増えている。ストレスを溜め込んだまま吐き出せない人が増えたからだろう。

超過死亡は注射のタイミングと連動しているが、自殺者は緊急事態宣言なる準ロックダウン政策のタイミングで急増している。

爺は歳のせいもあるが、今はもう人と生で接したい、会話したいという気持ちがなくなっている。むしろ、接することによる面倒やリスクを避けたいと感じている。
しかし、若いときにこんな世界が訪れていたらどうなっていたかと思うと、心底ゾッとする。

こういう世の中になってしまって、その原因が分かってきていても、未だに「瞞されていた!」「間違っていた」と認める人はほとんどいない。

そこで思うのは、戦前戦中の日本はどんな社会だったのだろうということだ。
欧米を相手に戦争をするなど馬鹿げている、他にやるべきことがあると考える人はそこそこいたのではないか?
そうした人たちはどのように日々を過ごしていたのだろうか。
想像してみようとしても、材料がない。社会の空気や大衆の心理状態を正確に伝える資料がほとんどない。
嘘を並べて人々を煽りまくった新聞記事や、一部の反戦を訴えた人たちの書いたもの、弾圧の記録などはあるが、そうした社会で人々が実際にはどんな気持ちで毎日を過ごしていたのか、なかなか見えてこない。
でも、「見えてこない」というのは今も同じだ。友人、隣人がどんな気持ちで生活しているのか、見えてこないし、見えてしまうことへの恐怖心もある。

そんな世界に向けて創作物を発表するという行為に張り合いがもてないのは当然だ。それでも創作をやめることは自分の命を縮めることだから、最後は自分という観客、自分という読者に向けて何が創り出せるかを考える。

「子供の世界」が消されていく

何度も言うようだけれど、この見えにくい戦争における最大の被害者は若年層だ。
特に自分の意思や努力では身を守れない子供たちは悲劇だ。
子供の世界が大きく変わってしまったことに、大人たちは気づいているのか?
おそらく分かってはいても、自分ができることは何もないと諦め、直視しないようにしている大人が大多数なのだろう。
厚生労働省と警察庁は2023年3月14日、2022年中における自殺の状況(確定値)を公表した。小中高生の自殺者数は514人で、1980年に統計を開始してから初めて500人を超え、過去最多となった。



心の病という面では、これも異常だ。



知力・体力・免疫力の低下もひどい。身体(脳ももちろん含めて)をしっかり作っていかなければならない時期に、それを疎外するものを半ば強制的に与えられてしまった。
今日も、インフルエンザで学級閉鎖だの、運動会の予行練習中に熱中症で生徒32人が体調不良を訴え、23人が病院に搬送されたなどというニュースがあった。


じわじわ進んでいるなあ。このじわじわぶりが実に巧妙で、現在進行中の戦争に対しての無力感だけが残る。

3回接種後の医療従事者の死亡率がSARS-COV-2出現前のそれと比較して有意に増加したかどうか、統計学的に検討を試みた。方法として標準化死亡比(Standardized Mortality Rate SMR)とその信頼区間を求めた(詳細な標準化死亡比に関する記載はSupplementary materialに別記とした)。

標準化死亡比(SMR)は、3回目先行接種をした医療従事者の実死亡数(1年間当たり)4,860人/予想死亡数2,882人から1.69となった。すなわち、3回目先行接種後に死亡した医療従事者の人数はSARS-COV-2出現前の一般人口よりも1.69倍多いと考えられた。

この「1.69倍」が有意に高いと言えるのか、信頼区間(95%、99%)を求めた。結果、標準化死亡比の95%信頼区間は1.64-1.73、99%信頼区間は1.62-1.75で、99%の確率をもって3回目ワクチンを先行接種した医療従事者の死亡率はSARS-COV-2出現前の一般人口より高いと考えられた。
新型コロナワクチン3回接種後の医療従事者の年間死亡率は?  大里 忍 Agora


何かを伝える、残すという望みもほぼ絶たれて……

若い人たちには、爺の経験や技術の伝達をしたいという思いは強いのだが、こちらから接近しても老害だのなんだのと思われるのがオチだという気持ちがある。
もちろん求められればできる限りのことをしたいし、するつもりだが、求められることもない。価値観が違う世界の間では有益・有効な交流は生まれない。

お袋が死ぬ数か月前くらいに電話の向こうで言っていた言葉が何度も甦る。
「死ぬ前ってこういう感じなのね」

そのときはまともに相手にしなかったし、「こういう感じ」がどういう感じなのか想像できなかったけれど、今の自分はまさに「そういう感じ」なのだわ。
なんというか、違う世界に隔離されたような感じ。
この隔離された世界がどんどん狭まっていき、最後は自分しかいない世界になったときが死ぬときなのかもしれない。

多分、最後まで手を動かし続けるのは文章を書くことだろう。
今考えている本は2冊ある。
一つは『情報宗教』『情報宗教が世界を滅ぼす』といったタイトルのもので、現在の社会を分析し、人間の本性を見つめ直すようなもの。
これはだいぶ前にストップしたまま。

もう一つは、社会を分析しても虚しいだけだという思いから、自分の死への準備として『神は成長する』というタイトルのもの。
これは完全に自分に向けて書いている。

↑『情報宗教』 の一部
↓『神は成長する』 の一部



肉体は消滅し、現世での記憶も消えるが、その肉体(脳)とリンクしていた「神」が存在している。それは普遍・不変・絶対という神ではなく、肉体と共に変化(成長)しうる「何か」である

……と、そんな想像を文章化しようとしている。

自分の中の「神」を少しでも成長させ、あるいは変化させてから、量子の世界に戻っていきたい。

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『新釈・クレムナの予言 タラビッチが見た2025年』2023/01/29 12:17

ミタール(左)とザハリヘ(右)
昨年末から執筆していたクレムナの予言の解説本?がようやく完成したのでご報告。


目次はこんな感じ↓




これはできることなら一般の出版社から出したい。
ただ、「売れやすいようにもっと煽って書きましょう」「いえこれは……」「この部分は反感を買うんじゃないですか。こういうことは書かないほうがいいのでは?」「いえ、そこがいちばん言いたいことなので……」みたいなやりとりはしたくないし、出るまでに半年はかかるだろうから、その間に世の中がどうなってしまうかもわからないこのご時世では、とりあえずは形として残しておきたいので、いつものオンデマンド方式で先行発売?した。
この内容で出版したいという版元があればすぐに譲渡する。

出だしはこんな感じ↓








この「はじめに」にも書いたのだが、クレムナの予言でいちばん興味を引かれたのは、予言の内容が当たる当たらないというようなことよりも、タラビッチが見た「神の世界」だ。
歳を取り、もうすぐ死ぬことが分かっている人間としては、現世(物理世界)に対する執着は薄れていき、自分の肉体を構成している量子がばらけた後の世界を想像する時間が増える。
タラビッチが言う「人には2つの顔がある。1つは生まれたときに着る服のようなものだが、もう1つは目には見えない」という言葉の中にも、量子論に通じるものを感じるのだ。

 若いときに美しく壮健な賢者も、歳を取ればどんどん醜く、弱くなる。
 美しく生まれても醜い弱者として死んでいく人生は虚しい。なぜ人は死んでしまうのに生まれてくるのかと、自問しない者はいない。
 長い間、人はそのように生き、死んでいった。
 しかし、死ぬときが命の終わりではない。
 人の「形」は一つではなく二つある。一つは生まれたときに人が自分のために縫う服であり、もう一つは死ぬときに神から与えられるものだ。だから、死んだ後も人はまだ生きている。
 人が持っているもう一つの顔は、目で見ることはできない。
(略)
 それは大地や水のようなものだ。
 水は冬に凍りつくが、春になるとまた吹き出し、流れ出す。大地にはまた新しい花が咲き、野草が芽吹く」

司祭が「そのもう一つの顔」はどのようなものなのかと訊ねると、タラビッチは「それは空中に存在する神の塵のようなもの(some kind of God's dust in the air)だ」というような説明をしたという。
司祭はその説明がまったく理解できなかったと語っている。

しかし、量子論の一端を囓っている現代人には、some kind of God's dust in the air こそ、量子の世界ではないかと想像できる。

電子は人間が観測していると粒子のような挙動をする。観測しないと波のように振る舞う。つまり、電子は、人が見ているか見ていないかで、挙動を変える

Amazonの書籍売れ筋を見ていたら、『死は存在しない』という本が売れているらしい。それも量子論で死を論じようとしているようだ。
タラビッチは19世紀セルビアの小さな村に生きた読み書きができない農夫だった。自動車もテレビもまだない時代に、毎日羊や馬の世話をしながら自然の中で暮らしていた。もちろん量子なんて知っているはずもない。そういう人間のほうが、スマホ漬けの現代人よりも「世界の本質」「実相」を感じることができたのではないか。
そういう視点を持ってクレムナの予言に接すると、当たった当たらないという占いレベルの楽しみ方ではない、知的な娯楽として楽しみ方ができる。
本書にはそういう思いも込めた。

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