タヌパックブックスの現状2023/06/03 20:43

出版事業者としてISBNコードを取得したのはいつだったろうと日記を検索したら、2019年のことだった
あれから4年。タヌパックブックスでISBNコードを振っている本は37冊になる。コードは100冊分取得しているので、あと63冊余裕があるわけだが、もちろん、生きているうちにあと63冊作ることは不可能だろう。

当初から黒字経営は諦めていた。オンデマンド本は1冊単位で発注し、印刷・製本するので、単価が高い。それに取次業者の手数料と送料、さらにはAmazonへの手数料が高い。1冊売上ごとの手数料の他、売れても売れなくても毎月定額の契約料を取られている。ストレスになるだけなので細かい計算はしないことにしているが、黒字になっていないことは間違いない。
サメだかマグロだかは泳ぎ続けていないと死んでしまうとか。それと同じで、爺は創作し続けていないと生きていく気力が失せてしまう。ただ食べて、寝て、楽しいことだけしていればいいという毎日はありえない。もっとも、食べて、寝て、楽しいことをする時間がある生活というだけで、今の日本では相当贅沢なことなので、「それだけじゃ嫌だ」なんて、大っぴらには言えないんだけどね。

タヌパックブックスの出版物37冊の中で断トツのヒットは『新・狛犬学』で、今も週に1冊は売れ続けている。

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これ以外はほとんど売れないのだが、最近ようやく狛犬関連以外の本もポチポチ注文が入るようになった。

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正直なところ、狛犬関連以外の本の注文があると嬉しい。本業に近い(ヽヽ)のはそっちなんだよ、という気持ちがあるから。

生の会話がない生活


今朝、起きたときにふと思った。
ここ何年かは、助手さんとネコ以外とは生の会話をしていないな、と。

お店のレジで「お願いします」「ありがとうございます」と声をかけるだけでは会話とは言えない。宅配便のお兄さんに「ありがとうございます」と言うのも同じ。
それ以外は、散歩の途中でたまに近所の人に会って立ち話をするくらい。
それも世間話みたいなのが多いし、ここ3年は特に「内容のある話」を意識的に避けるようにしているところがある。
先日、散歩の途中で会った近所の老人(80代)が「酸化グラフェン」という言葉を発したので、そこからナノパーティクルだのシェディングだのスパイクタンパクだのという単語が出てくる会話が始まったのだが、今思うと、生の会話の中で相手から「酸化グラフェン」という単語が出てきたのは後にも先にもそのときだけだ。
文字としては一時期毎日のように見ていた単語だし、日記などにも何度か書いているが、助手さんを除けば、生の会話の中で使った(実際に声に出した)ことは一度もなかったと思う。
話す相手がいないからだ。
これって、ものすごく異常なことだよね。

本来なら学校や職場での会話の中に何度でも出てくるべき単語だろう。
今の自分の生活にそうした集団の中にいる時間がまったくないので、世の中全般ではどうなっているのか分からないが、おそらく知識や情報を吸収すべき中高生の間でも、そうした会話はほぼないのではなかろうか。

集団の中にいる時間がゼロである爺の今の生活は、世間一般から見ればかなり特殊なものだろう。
でも、毎日職場に通っているような人でも、仕事の伝達事項や客とのやりとりといった「定型」の会話以外の会話(例えば「酸化グラフェン」とか「アゾフ」とか「WHO」などの単語が出てくる会話)を、家族や友人と生で交わしている時間はほとんどないのではなかろうか。

超過死亡と自殺の推移

この3年間を振り返ると、遺伝子製剤注射が始まるまでの2020年には超過死亡は前年より減っていたが、注射が始まってからはどんどん増えている。
超過死亡が減った2020年でも、自殺者は増えている。ストレスを溜め込んだまま吐き出せない人が増えたからだろう。

超過死亡は注射のタイミングと連動しているが、自殺者は緊急事態宣言なる準ロックダウン政策のタイミングで急増している。

爺は歳のせいもあるが、今はもう人と生で接したい、会話したいという気持ちがなくなっている。むしろ、接することによる面倒やリスクを避けたいと感じている。
しかし、若いときにこんな世界が訪れていたらどうなっていたかと思うと、心底ゾッとする。

こういう世の中になってしまって、その原因が分かってきていても、未だに「瞞されていた!」「間違っていた」と認める人はほとんどいない。

そこで思うのは、戦前戦中の日本はどんな社会だったのだろうということだ。
欧米を相手に戦争をするなど馬鹿げている、他にやるべきことがあると考える人はそこそこいたのではないか?
そうした人たちはどのように日々を過ごしていたのだろうか。
想像してみようとしても、材料がない。社会の空気や大衆の心理状態を正確に伝える資料がほとんどない。
嘘を並べて人々を煽りまくった新聞記事や、一部の反戦を訴えた人たちの書いたもの、弾圧の記録などはあるが、そうした社会で人々が実際にはどんな気持ちで毎日を過ごしていたのか、なかなか見えてこない。
でも、「見えてこない」というのは今も同じだ。友人、隣人がどんな気持ちで生活しているのか、見えてこないし、見えてしまうことへの恐怖心もある。

そんな世界に向けて創作物を発表するという行為に張り合いがもてないのは当然だ。それでも創作をやめることは自分の命を縮めることだから、最後は自分という観客、自分という読者に向けて何が創り出せるかを考える。

「子供の世界」が消されていく

何度も言うようだけれど、この見えにくい戦争における最大の被害者は若年層だ。
特に自分の意思や努力では身を守れない子供たちは悲劇だ。
子供の世界が大きく変わってしまったことに、大人たちは気づいているのか?
おそらく分かってはいても、自分ができることは何もないと諦め、直視しないようにしている大人が大多数なのだろう。
厚生労働省と警察庁は2023年3月14日、2022年中における自殺の状況(確定値)を公表した。小中高生の自殺者数は514人で、1980年に統計を開始してから初めて500人を超え、過去最多となった。



心の病という面では、これも異常だ。



知力・体力・免疫力の低下もひどい。身体(脳ももちろん含めて)をしっかり作っていかなければならない時期に、それを疎外するものを半ば強制的に与えられてしまった。
今日も、インフルエンザで学級閉鎖だの、運動会の予行練習中に熱中症で生徒32人が体調不良を訴え、23人が病院に搬送されたなどというニュースがあった。


じわじわ進んでいるなあ。このじわじわぶりが実に巧妙で、現在進行中の戦争に対しての無力感だけが残る。

3回接種後の医療従事者の死亡率がSARS-COV-2出現前のそれと比較して有意に増加したかどうか、統計学的に検討を試みた。方法として標準化死亡比(Standardized Mortality Rate SMR)とその信頼区間を求めた(詳細な標準化死亡比に関する記載はSupplementary materialに別記とした)。

標準化死亡比(SMR)は、3回目先行接種をした医療従事者の実死亡数(1年間当たり)4,860人/予想死亡数2,882人から1.69となった。すなわち、3回目先行接種後に死亡した医療従事者の人数はSARS-COV-2出現前の一般人口よりも1.69倍多いと考えられた。

この「1.69倍」が有意に高いと言えるのか、信頼区間(95%、99%)を求めた。結果、標準化死亡比の95%信頼区間は1.64-1.73、99%信頼区間は1.62-1.75で、99%の確率をもって3回目ワクチンを先行接種した医療従事者の死亡率はSARS-COV-2出現前の一般人口より高いと考えられた。
新型コロナワクチン3回接種後の医療従事者の年間死亡率は?  大里 忍 Agora


何かを伝える、残すという望みもほぼ絶たれて……

若い人たちには、爺の経験や技術の伝達をしたいという思いは強いのだが、こちらから接近しても老害だのなんだのと思われるのがオチだという気持ちがある。
もちろん求められればできる限りのことをしたいし、するつもりだが、求められることもない。価値観が違う世界の間では有益・有効な交流は生まれない。

お袋が死ぬ数か月前くらいに電話の向こうで言っていた言葉が何度も甦る。
「死ぬ前ってこういう感じなのね」

そのときはまともに相手にしなかったし、「こういう感じ」がどういう感じなのか想像できなかったけれど、今の自分はまさに「そういう感じ」なのだわ。
なんというか、違う世界に隔離されたような感じ。
この隔離された世界がどんどん狭まっていき、最後は自分しかいない世界になったときが死ぬときなのかもしれない。

多分、最後まで手を動かし続けるのは文章を書くことだろう。
今考えている本は2冊ある。
一つは『情報宗教』『情報宗教が世界を滅ぼす』といったタイトルのもので、現在の社会を分析し、人間の本性を見つめ直すようなもの。
これはだいぶ前にストップしたまま。

もう一つは、社会を分析しても虚しいだけだという思いから、自分の死への準備として『神は成長する』というタイトルのもの。
これは完全に自分に向けて書いている。

↑『情報宗教』 の一部
↓『神は成長する』 の一部



肉体は消滅し、現世での記憶も消えるが、その肉体(脳)とリンクしていた「神」が存在している。それは普遍・不変・絶対という神ではなく、肉体と共に変化(成長)しうる「何か」である

……と、そんな想像を文章化しようとしている。

自分の中の「神」を少しでも成長させ、あるいは変化させてから、量子の世界に戻っていきたい。

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「飛んで火に入る夏の虫? ああ~、ワクチンね」2023/06/03 20:51

結成16年以上(2007年12月31日以前に結成した)プロの漫才師のみが参加資格を持つ「ザ・セカンド」なる賞イベントが初めて行われた。
全国ネットの漫才賞レース番組(M-1グランプリと2011-2014のTHE MANZAI)の優勝者は出場できないという規定もあり、大会の目的は「実力がありながら注目を集めていないベテラン漫才師に光をあてる」ことだろう。
131組のプロ漫才師が参加して、述べ9日の選考を経て、最終8組に絞り込まれるという経過をたどった。
その8組による最終決戦が「グランプリファイナル」と題して5月20日にフジテレビ系列の地上波テレビで4時間10分という長時間にわたって生放送された。
最後の8組に残ったのは、
  • 三四郎 (マセキ芸能社)
  • マシンガンズ (太田プロダクション)
  • ギャロップ (吉本興業大阪)
  • 囲碁将棋 (吉本興業東京)
  • スピードワゴン (ホリプロコム)
  • テンダラー (吉本興業大阪)
  • 超新塾 (ワタナベエンターテインメント)
  • 金属バット (吉本興業大阪)
……の8組(上記順番は16⇒8組に絞られる「ノックアウトステージ」の点数順)。

この8組がトーナメント方式で制限時間6分(6分30秒を超えると減点)で対決し、3回勝ち抜けると優勝、というシステム。
たった8組で4時間以上の生番組を持たせるだけあって、無駄な引き延ばし演出や大量のCM時間があったが、内容はなかなか見応えがあった。

優勝したギャロップは、1回目(相手はテンダラー)ではいつものハゲいじりネタでつまらなかったが、2回目、3回目と尻上がりに違う作風のネタをしっかり演じきった。
応援していたマシンガンズと金属バットが1回戦でぶつかってつぶし合いになったのは残念だったが、マシンガンズはネタを2本分しか用意していなかった中で、アドリブと開き直りだけで3本目もやりきって見応えがあった。
準優勝となったマシンガンズの3本目はこの日の最低点数だったが、爺としてはいちばん笑えたし、感心もした。
普段はゴミ収集清掃員をしている滝沢秀一が目をみはるほど実力を上げていて、西堀亮も年齢と経験による落ち着きが出てきていてよかった。相変わらず早口すぎて、何を言っているのか聴き取れないところがいっぱいあるのだが、昔に比べて落ち着いて見ていられる。困った表情や、言葉が滑って一瞬言いよどむときの感じが特に面白くて、こういうコンビも珍しい。

最大のハイライトは金属バットの「ワクチンね」

……と、前置きが長くなってしまったが、この日の最大のハイライトはトップバッターで出てきた金属バットだった。
「ことわざ」をテーマにした漫才で、「思想強っ」とのツッコミも飛び出すなど、際どいワードを連発。アンバサダーを務める松本人志も「金属バットは、M-1でいつか見られると思っていたので、あえてこれまで見てなかったんですけど、こんな漫才なんやと思って、感動しています」と激賞し、SNSでも「テレビだぞ(笑)」「ぶっこむなー」などの声が飛んだ。マシンガンズに2点差で惜しくも敗退したが、確かな爪痕を残した。(オリコンニュース 5/20

SNS上でも「金属バットあれで負けるんか。ワクチンのくだり最高だったやろ」「金属バットもう1本見たかったなぁ」といった惜しむ声が多数寄せられた。(東スポWeb)

見ていない人には、これらの記事が何を言っているのか分からないだろうから、その部分を文字起こししてみる。



(ボケの小林がツッコミの友保に「諺の意味を教わる」というネタの終盤で)

小林:「鬼に金棒」……どういう意味?

友保:まあ、鬼みたいにただでさえ強いのに、これ来たらもっと強なっちゃうよ~、みたいなこっちゃ

小林:ああ~、あれか。パチンコ屋の中にATMあるみたいなことか

友保:それは「飛んで火に入る夏の虫」や、おまえ

小林:「飛んで火に入る夏の虫」? 「飛んで火に入る夏の虫」ってどういう意味?

友保:危ないって分かってんのに、ついつい飛び込んじゃうみたいなことやねん

小林:ああ~……ワクチンね

友保:思想(つよ)っ! おい! おまえ! おい! おい!

小林:あれやんな

友保:あんた、そっち(ヽヽヽ)なんかい、おい

小林:なんか噂で聞いたんやけどな

友保:いろんな噂あるけどね。みんな違って全部かまへんけど、あんた、ちょっとやめとくわ。堪忍して、おまえ

小林:じゃあ、他のやつ教えて

友保:他なんやろ。まぁ、「嘘も方便」ちゅうのがあるんやけど

小林:あれ? そっちがワクチンか

友保:やめてくれ、おまえ、おい! どないしたんや、ハゲ、こら、おい! どないしてん、おまえ、おい!

小林:いや、噂聞いて……

友保:噂あるけどな~、いろんな噂。なんやねんあれ、マイクロチップ入ってるみたいな噂は

小林:あった、あった

友保:なんやねんあれ。あんなもん入れるんやったら、イコカとかSuica入れてくれ、なあ



 ……とまあ、これが「『思想強っ』とのツッコミも飛び出すなど、際どいワードを連発」とか「ワクチンのくだり最高だったやろ」の部分である。

我が家では彼らのネタが終わった瞬間、まだ1本目だというのに「今日はこれが優勝でいいわ」「……だねえ」と、完全に満腹状態になっていた。

テレビメディアが遺伝子製剤詐欺に対して固く口を閉ざし、ひたすら政府の非道政策プロパガンダに徹していたこの3年間。そこに、ようやく小さいながらも風穴をあける芸人が出てきたかと思うと、一種感慨深いものがあった。
しかし、彼らがどんなつもりでこの「ワクチンね」「やめろ、おい!」のくだりを入れてきたのかは分からない。
よ~く考えると、両極端の解釈ができると気づいた。

1つは、「飛んで火に入る夏の虫=ワクチン」という比喩(というか、どストレートな暴露)を生放送でぶち込むにあたって、自分たちが消されないように用意周到な準備をしたという可能性。
小林はいつものように徹底してアホを装っている(これが実にいい味出していて、うまい)のに対して、ツッコミの友保は強く「やめろ、おい!」「おまえ、『そっち』なんかい」「みんな違って全部かまへんけど」と、いろいろな方面に対して免罪符的な言葉を投げかけている。この構成であれば、誰からも責められることはないという計算から練り上げたとすれば、実に見事だ。

もう1つは、ただ単にこれを悪ふざけの一つとしてやっているという可能性。
友保の「思想強っ!」「なんやねんあれ、マイクロチップ入ってるみたいな噂は」という言葉は、このネタではワクチンが危険だなどという噂はトンデモなデマとして扱っていますよ、そんなものはハナからまともに相手にしてませんよ、というメッセージと取れる。絶対安全地帯に立って、単にお笑いネタにしているという感覚なのかもしれない。
(ちなみに「思想強っ」というフレーズは彼らが発明したものなのか、それとも今の若者言葉として定着しているものなのか、爺は知らないが、小馬鹿にして突き放しているニュアンスであることは分かる)

さらには、ネットサーフィンが趣味という小林は情報を豊富に持っているが、友保は自分ではそこまで勉強しよう、調べようなどという根気は一切なく、ただただ楽しいことや悪ふざけをしながら生きていきたいというタイプで、ネタのすりあわせの中で二人の性格そのものが素直に出た結果……という見方もできるかもしれない。

いずれにしても、8:2くらいにきれいに「分断」された今の社会で、どちらの側からも受け入れてもらえる、しかも意表を突く形で笑いを誘える(その笑いの種類は8の側と2の側で全然違うのだが)。
今、これができるコンビは他にはいないだろうな。
能力的には、空気階段(かたまり)、ハナコ(秋山)、かもめんたる(う大)、あたりは十分できるはずだが、やりきる度胸も場もない。金属バットだからやれた。
そう考えると、実に貴重な存在のコンビであり、その個性と技術に拍手を送るしかない。

……まあ、こんな風に分析されるのは彼らにとっては迷惑でしかないから、書くべきかどうかだいぶ迷ったんだけどね。
それこそ「やめろや! おい!」と、友保からパンチが入りそうである。

真意は完全には分からないが、このネタですっかり小林圭輔に注目することになってしまった。陸上が好きというのもバッチぐー(死語)だしね。


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デイビッド・マーティン博士の「染色体=アンテナ」説2023/06/10 11:58

全世界ですでに2000万回以上再生されているという「新型コロナウイルス開発の1965年からの驚愕の歴史」なる動画を見てみた。
2023年5月3日、欧州議会・国際コロナサミットでの講演だが、内容もさることながら、この人物のキャラクターというか、個性が濃いので、興味を抱いてしまった。
彼の容貌(ヽヽ)からして年上かなと思ったら、なんと一回りも年下だった(←まあ、それはいいとして……)
講演は英語でされているが、日本語字幕をつけてくれた人がいる。司会者からの紹介や前置き部分を除けばそれほど長くないのでどうぞ↓。


彼の主張は、コロナウイルスやワクチンと称する遺伝子製剤の開発は50年以上前から始まっていたというもの。その主張自体は新しいものではなく、大筋では他の多くの科学者や製薬業界関係者、米国の政治家や軍関係者などが語っていることだ。

前半部分の字幕をいくつかつなげてみる↓


今となっては、内容はそれほど驚くことではないのだが、彼がこれらの歴史を徹底的に調べ上げ、公開されている資料(特許や法令など)をまとめて、すべてリンクしてネット上に公開しているという努力に驚いた。そこまでやって、まだ(抹殺されずに)生きているのも不思議で、ものすごく巧妙な裏プロパガンダ的なことなのかとまで疑いたくなる。

そこでさらにいろいろ見てみたのだが、↓この動画(2021年5月、“Free & Brave” Conferenceでの講演「How Did We Get Here?」)に出てくる「DNAはただのモデルにすぎず、人間の肉体にあるのは染色体なのだ。染色体は宇宙の真理を人間が受信するためのアンテナの役割をしている」というような主張が印象に残った。

同じような容貌の(←やめなさい)ハラリが徹底的に人間を「物質」として見ているのに対して、マーティン氏は徹底的な合理主義者でありながらも基本的には西洋のキリスト教的宗教観に近いものを持っているように思える。

それが興味深かったので、今執筆中の『神は成長する』の中で、こんなことを書いてみた。
■DNAは存在しない?

 遺伝子情報、あるいはゲノムやDNAといった言葉を私たち現代人はかなり無自覚に使っているところがある。
 1990年、米国でヒトゲノム計画というものが発足した。ヒトのゲノム(遺伝子)における全塩基配列を解析するプロジェクトで、30億ドルの予算が組まれ、2000年には、ビル・クリントン米国大統領とトニー・ブレア英国首相が「ゲノムの下書き版(ドラフト)が完成した」と発表した。2003年4月には完成版が公開され、ヒトの全遺伝子の99%の配列が99.99%の正確さで解析されたとしている。
 日本でも、2021年3月に、「東北大学東北メディカル・メガバンク機構」と製薬企業5社が参画した「統合解析コンソーシアム」なるものが発足し「官民共同10万人全ゲノム解析計画」なるものを始めた。同機構は翌2022年6月には、この計画に参加した約15万人のうち5万人分の全ゲノム解析を完了したと発表した。
 
 私はこの手の話をあまりまともにはとらえていない。その理由の一つは、当初、ゲノムにはタンパク質の生成に関与するコーディング領域と、それ以外のノンコーディング領域があり、大部分を占めるノンコーディング領域は意味のないジャンクDNAだなどという説明がされていたからだ。
 現在ではそのノンコーディング領域にもいろいろ役割があるらしいといわれているが、たとえジャンクと呼ばれた領域まで徹底的に解析したところで、そうした手法では生命やこの世界の成り立ちの謎のには迫れないと考える。
 
 イノベーション金融、貿易、無形資産金融関連の分析などをするM・COM社の創設者・CEOであるデイビッド・マーティン博士は、発明家、生物学者、作家など多くの顔を持つ論客だが、彼は「人間が持っているのは染色体であり、DNAなど存在しない」と言う(2021年5月、"Free & Brave" Conferenceでの講演「How Did We Get Here?」)。
 彼の論をよく聞くと、「存在しない」というのは一種のレトリックで、染色体は物質として存在しているが、DNAというのは人間を操るために、遺伝情報がそれで説明できるかのように発明された「モデル」「記号」にすぎない。DNAで生命の謎が解き明かせるなどということはない、という主張である。
 染色体が精緻に編み上げられたタペストリーだとすれば、DNAはそれをバラバラの糸に解いた糸くずのようなものだ。そんなものを積み上げて、一本一本の染色状態をデータ化したところで、タペストリー全体に宿る命が見えるはずはない、と。
 彼はさらに、染色体は螺旋状に巻かれたアンテナのようなもので、人間と人間を創造したもの(creator)とを結ぶ役割をしているが、DNAなどという「モデル」で人間を説明しようという企みのためにその結びつきが壊れてしまったという主張もしている。
 
 染色体が我々と神を結ぶアンテナなのかどうかという話は別にしても、遺伝子情報モデルで人間の命や意識の謎を解き明かせるという思いこみが傲慢で間違っているという主張には素直に頷ける。

■脳は他の何かとリンクしている?

 デイビッド・マーティン博士は、染色体は宇宙からの信号を受信するアンテナのようなものだと説明したとき、それは我々人間と「創造(creation)」あるいは「創造者(creator)」を結ぶものだと語った。
 博士は「神」という言葉を使わなかった。神という言葉を使うことで、既存の創作宗教の色がついてしまうことを嫌ったのだろう。
 この講演の様子はネット上に公開されているので、私はそのシーンを何度も見直してみたが、アプローチの手法が違っていても、彼が言わんとしていることは私が本書で探ろうとしている「神」のイメージにかなり近いと感じた。
 人間の個性や能力は脳を含めた肉体によって支配されており、肉体を形作る遺伝子情報が関係していることは間違いない。しかし、脳も肉体も「私」という意識によって動かされる道具であり、意識は肉体のみで構成されているのではない。
 何か別のものと組み合わさって意識が形成されている。マーティン博士はそれを「(宇宙という)創造(物)creation」あるいは「創造者 creator」という言葉で言い表そうとした。creationもcreatorも「単体」のイメージであり、複数存在しているという感じではない。
 私は「その何か」は必ずしも単数ではなく、複数であるかもしれないと感じている。複数ととらえると、いわゆる「魂」のイメージに近くなる。生命の数だけ(あるいはそれ以上)魂も存在していて、肉体が消滅しても魂は不滅である、というイメージ。
 マーティン博士の「染色体アンテナ説」では、おそらく我々の意識は染色体というアンテナが宇宙の創造者の意識から信号を受信して、別々の個性、別々の意識として働いているというイメージ(モデル)ではなかろうか。
 どちらも「意識は肉体(物質)要素だけでできているのではない」という考え方では一致しているが、イメージモデルは違う。乱暴かもしれないが、前者(魂のイメージ)は東洋的、後者(創造主のイメージ)は西洋的思考といえるかもしれない。
 さらには、人間は「肉体(body)・魂(soul)・霊(spirit)の三重の存在」であるという思考モデルもある。この場合は魂は個別のもので、霊はその個別の魂とリンクしている全体的な存在ということだろうか。


これを書いてから1週間近く経ってしまったが、その後、執筆はまったく進んでいない。どうにも疲れてしまって気力が長続きしないのと、思いついた考えがすぐにどこかへ消えていってしまうのだ。
脳の劣化だなあ。

まあ、ゆっくり取り組みましょう。



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(まえがき より)


(p.101 より)


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間違いを訂正するということ2023/06/10 16:22

↑テレビ番組を見ていたかみさん曰く「日本語が崩壊している」。

助詞の乱れはどんどんひどくなっているが、さすがにこれは許容範囲を超えている、と感じるのはジジババだけなのだろうか?
テレビの字幕では、話者が「食べれる」などの「らぬき言葉」で話してもちゃんと「~られる」と直して表示していたが、それも最近ではゆるくなってきた↓。
↑字幕でもこのありさま


↑ATOKでは入力した途端にこうして指摘してくれる


日本語の崩壊を「変化」として許容していくかどうかは数の力に委ねられている。
例えば、「全然」は打ち消しを伴う副詞だとされていたが、今では肯定の意味でも「全然使われている」し、元々は肯定の意味で使われていたのを戦前になぜか「否定表現に限る」とされてしまったらしい。
注意を要する用法
主に明治時代の文学作品など明治時代から戦前までの近代語に見られ、否定表現を伴わず「すっかり、ことごとく、完全に、全面的に」。 日本に入ってきた当初の用法はこちらであり、字義的にもこちらが正しい。 国語辞典によってはこの用法を記載しなかったり、記載した上でかつて使われた用法とするものもある。(Wikiより

最近は「普通に」や「滅茶苦茶」も守備範囲の広い副詞として多用されている。
「普通にうまい」「全然うまい」「滅茶苦茶うまい」
……の順でうまくなるのかな?

言葉は時代とともに変化していくのだから、こうした現象を大袈裟に「日本語の崩壊だ」と嘆いたり憤ったりしても仕方がないだろう。
しかし、自分でものを考えず、調べず、間違いが分かっても訂正できず、間違っていた過去を肯定するために意固地になって間違いを押し通すというのは、自身の理性・人格の崩壊だけでなく日本の崩壊に直結する。

恥ずかしい思い違いを思い出す

自分のことでいえば、中学生のとき「書き下ろし」の意味を取り違えていて、国語の授業で恥をかいた。
その質問をあたしに振った教師(渡辺護先生)は、半ば責任を感じたかのように、自分が大学生になるまで新約聖書と旧約聖書を、現代語訳かどうかの違いだと思っていたという恥ずかしい思い違いエピソードをまじえてフォローしてくれた。優しい先生だったなあ。

5冊目の小説単行本『G線上の悪魔』を書いたとき、編集者から「役不足」という言葉の使い方が逆であることをやんわりと指摘されて恥じ入ったこともある。


人生、間違い、思い違い、恥の連続である。だって人間なんだもの。

ごく最近の恥ずかしい間違いはPCR検査のこととかかな。
当初はなんでもっと積極的に検査しないんだ、と憤っていた。上 昌広医師などの主張に影響された部分もあったかもしれない。テレ朝のモーニングショーでも煽っていた。
あの頃、テレビで「PCR検査は意味がない」と主張していたのは木村盛世氏くらいだっただろうか。彼女が主張する「偽陽性」の実体を理解するまでに1年くらいかかった。

まあ、あれはメディア総動員で国民を洗脳していたから、詐欺ビジネスのシステムとして利用されていると知るまでに時間がかかったのは無理もない……と、自分を慰めているのだけれど……。

↑こういうことなのだが、
結果、こういうことになる↓


日本の崩壊

今思うと、当初は医師や医学者らの多くがまんまと瞞されていたのだろう。
ダイヤモンドプリンセス号に乗り込んでいった岩田健太郎教授とか、様々なことが明らかになってきた2022年後半になってまで自分の医院に全自動PCR検査機を6台導入してPRしていた倉持仁院長あたりは、当初はかなり純粋な気持ちから行動していたのだろうが、時間と共にどんどん意固地になり、自分の間違いを訂正できず、どんどんミスリードを加速させる、やっかいな「インフルエンサー」になってしまった感がある。
自分の間違い(思い違い)に気づいた後、どうするか少し悩んだ末に権力や金力の側にすっぽりと身を落としたノーベル賞受賞者や医師会会長らの情けなさよ。同じような立場にいながら、命がけで声をあげ、行動している人たちの姿を、彼らはどんな気持ちで見ているのだろうか。
もっと悪質なのは、当初から平気で嘘をつき、補助金で私腹を肥やしたような連中や、この大規模詐欺によって国民が大変な被害を被ることを知りながら、保身のために情報戦争・生化学兵器戦争に加担した「専門家」、官僚、政治家らだ。
今まで同じ世界で力を合わせ行動してきた人たちにこうした極端な分裂が起きたことが、まさに今が「戦時中」であることを示している。

残念なことに、この国だけが未だに世界から取り残され、メディア(情報宗教)による洗脳が解けずにレミングの集団自殺のようなことを続けている。
悪質な政治家の中でも、最も危険な人物が次期首相候補のトップになっているという世論調査などを見るにつけ、これはもう原爆が落ちるくらいのショックが起きても変わらないのかもしれないと悲観せざるを得ない。

医療というものに対する信頼が、この3年で著しく落ちた。
医師ら、人々の健康や命に直接関わっている人たちに心からお願いしたい。
間違いに気づいたら、無茶な開き直りや嘘の上塗りのようなことをせず、せめてこれ以上被害を広げないために沈黙してくれ。



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土の地蔵 ~聖光学院時代の想い出 1~2023/06/27 11:27

小説『神の鑿』で使ったイラスト
爺のリハビリ一発録りシリーズは、リハビリというより、「昔作った歌を今も歌えるかどうかじたばた試しながら老いを実感しつつしみじみするしょーもないシリーズ」(長い)になっている。

小松くんが中学生のときに書いた「麗しき距離(ディスタンス)」という詩に、あたしが大学入学後に曲をつけた作品があって、Amキーのシンプルな曲なのだが、一部の人たちには人気があった。
単純な構成だけに、訴える力が強いのかもしれない。

最高音がGなので、若いときも通じてあたしが裏声なしで歌えるギリギリ。スローテンポでロングトーンも多いのでごまかしがきかない。リハビリにはもってこいの曲なのだが、やっぱりキツい。


この詩については(薄れかけているが)ちょっとした思い出がある。

中学2年のとき、同級生の工藤くん(現在は母校の校長・理事長)が「文芸同志会」というサークルを作りたいと言いだし、あたしにも声をかけてきた。
文芸よりも音楽に傾倒していたあたしは当初は断ったのだが、「よしみつがいなければ始まらない」とか言われて強引に引っ張り込まれた。
メンバーは数人。集まった作品は、工藤くんが実家(自動車の座席の土台などを作る金属加工工場)にあった湿式コピー機(青写真というやつ)で数部ずつ作った同人誌に載せたりしていた。
詩も俳句も短歌も興味がなかったあたしは、小説の真似事みたいなのを書いた。
連載、とか言いながら、未完のまま終わったりして、顧問(やはり工藤くんが強引に頼み込んだ)の井津先生からは「最初の数行を読んだときはすごい新人作家が出てきたと驚いたが、すぐにペラペラの流行ものみたいになってガッカリした」などと批評された。

この同人誌「新緑」(これも工藤くんが命名)の中で、断トツに輝いていたのが小松くんの詩で、みんながポカ~ンとするくらいのレベルだった。
というか、よく分からない「雰囲気」だけのものだったのかもしれない。いわゆる中二病みたいなやつ。

この『麗しき距離(ディスタンス)』にしても、わざわざ「距離」を「ディスタンス」と読ませたり、最後の「ゼロのアダージョ」(原文では「あだぁじぉ」となっていたような……)という言葉選びなんかが中二病っぽい。
みんな内心、かっこつけてるなあ、で、どういう意味よ、みたいなことは思っていたはずだが、批評するだけの自信も能力もなかった。

小松くんは辛口で、あたしを捕まえては他のメンバー(といっても二人くらいしかいなかった)の作品をけちょんけちょんに笑い飛ばしていた。あたしとしては、自分の小説もどきは文豪・小松くんの目にはどう写っているんだろうと気が気ではなかった。

文芸サークルは高校になっても続いたが、小松くんが、『新緑』はあまりにもダサいとクレームをつけて、誌名は「塔」に変わった。
その頃になると、小松くんの詩はどんどん言葉遊び的なものになっていって、中学時代の意味深なニュアンスが消えてしまった。
やがて大学受験が近づき、「塔」も自然消滅。

聖光学院卒業後、小松くんは現役で東大に進み、少林寺拳法部に入って作務衣(っぽい服?)に下駄履きで闊歩していた。あたしは時々麻雀に誘われたりしたが、麻雀はルールを知らないからと断り続けた。
麻雀抜きで誘われた飲み屋で、白菜鍋が美味いことを生まれて初めて知った。
「美味いだろ? 美味いんだよ。これが大人の味だよ」
みたいなことを、小松くんはあたしの隣で御猪口を片手に満足そうに言っていた。

大学卒業後、小松くんは電通に就職し、コピーライターとして活躍していたようだが、その頃からは疎遠になった。
一方、文芸同志会を立ち上げた工藤くんは明治大学で自分が部長のサークルを立ち上げ、一般人も募るスキーツアーを企画・主催するなど、観光会社もどきのことをしていたが、卒業後は母校・聖光学院に社会科(政治経済)の教諭として就職した。

あたしはレコードデビューでいろいろ失敗し、迷走の20代を過ごしていた。
その頃、作詞が面倒で、他人の詞に曲をつけたほうがいい作品が書けそうな気がして、小松くんが「新緑」時代に書いていた『麗しき距離』『無言歌』という詩を思い出してメロディをつけてみた。
1976年6月に上智でやったアンガジェ解散コンサートでも歌ったので、遅くとも1976年前半までにはできていたことになる。

後にCDに収録する際、小松くんに「地蔵は『土の地蔵』でいいんだよね? 石の地蔵、って書いたバージョンも見た気がするんだけど」と手紙で確認したら、
「書いたことも忘れていたくらいだから覚えてないけど、普通に考えれば地蔵は石でしょ」
 という素っ気ない返事が来た。
いや、「土の地蔵」だったように思うがなあ……と訝っていたら、その後すぐに、
「地蔵は土でした。土じゃなければだめです」
 という訂正の葉書が届いた。

だろ? 石の地蔵はあたりまえなんだよ。土の地蔵だから徐々に形を失っていく。そこに無常観が出る。

遠目には真っ白で美しい鶴(=麗しき距離)が、実は泥にまみれたドジョウを食って生きている(実体)。
その鶴が空高く飛んでいく姿(=麗しき距離)が、夕闇の藍(あい)色に紛れて、やがて闇に飲み込まれていく(幻想)。
美しい鶴の姿を包み込むのは、愛(あい)か、哀(あい)か……(願望と現実)。

そんな鶴の声(歌)が、雪降る夜半に染み通る。真っ白な雪に埋もれていく、誰かが手慰みで作った土の地蔵が、それを聴きながら、ああ、おのれの命(物質としての姿形)ももうすぐ消えていくんだなと、ほろ酔い気分で心の中で歌っている。

清濁、美醜を合わせ持つ命の営み。
形あるもの、いつかは消えゆく。消えていくから美しい……。

そういう詩なんじゃないの? だから「石の地蔵」じゃダメでしょ。作者が忘れてどうする。しっかりせえよ! と思ったものだ。

十代のときの感性を、人は大人になるにつれ忘れていく。
ユーミンが、アルバム『ひこうき雲』に収められた曲は、あの頃の自分にしか作れない作品で、今はもうあのときの感性は失ってしまったから書けない、というようなことを何かの番組で語っていた。
小松くんにしてもユーミンにしても、十代のときにキラキラと輝く才能と感性を発揮していた。
比べてこのあたしは、ただただ欲情をまき散らし、自己中心に振る舞い、「売れている曲のメロディに共通する傾向は?」なんて邪心にとらわれて曲を書いていた凡庸なバカだった。
50年経って、今はそうした失敗をしっかり俯瞰できているが、あの頃の瞬発力や、放っておいてもメロディが湧き出てくるような力は失ってしまった。

いろんなことを考えながら、まだまだ邪心だらけのまま歌っている爺である。
この距離感は、ちっとも麗しくないよなあ。
土の地蔵の心境になるのはほど遠い。

2016年2月28日 工藤くんに召集された7人には小松くんも入っていた。
KAMUNAの全盛期に、この講堂でコンサートをやりたかったなあ。


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