中古住宅物件の選び方(3) 建物内部のチェックポイントと改装2021/01/19 21:40

繊維壁の上から板を張って大壁方式で改装中
建物の基礎や屋根工事は素人では手が出ない部分がありますが、内装関連についてはDIYでもかなりのことができてしまいます。
例外は水回りや配管で、これは素人工事では無理ですし、電気関連は資格も必要です。
そのことを頭に入れて、見た目の印象などよりも、どのように改装できるのかをチェックしていくことが大切です。

まずは水回りをチェック

 中古住宅のチェックでいちばん重要なのは水回りです。水回りが問題を起こすと、修理に高額な費用がかかるだけでなく、他の箇所にも大きなダメージを与えます。
 給水・排水共に、配管の大部分は目に見えない部分を通っていますので、かなり注意深く見ていかないといけません。
給水管の種類
 水が水道なのか井戸なのかといったことについての注意点はすでに説明しましたので、次は配管を点検します。
 まずは、給水管の種類を見ます。古い鉄管だと、内部がほぼ確実に錆びたり痩せたりしていますので、今はなんとかなっていても、すぐに漏水する可能性があります。
 寒冷地では凍結に強い、内部が樹脂でシールされている鉄管が使われていることが多いのですが、この種類の配管であればかなり安心できます。
 比較的新しい家では、塩ビ管など樹脂製の配管が多いです。塩ビ管は劣化がほとんどなく、凍結にも強いので、まともな塩ビ管をしっかり固定配管してあれば、これも安心できます。
 壁の裏や床下を走っている配管は見ることはできませんが、壁に湿気が出ていないか、台所やトイレ、浴室の壁や床に不自然な染みや水滴がついていないかをしっかりチェックします。

↑シンクや洗面台の下も覗き込んで、こうしたジョイント部分からの漏水がないかもチェック。
給湯設備
 給湯はボイラーで行うのが普通ですが、ガスなのか灯油なのかをまず確認します。どちらが優れているというわけではありませんが、ボイラーの製造年や性能・形式は確認します。あまりに古いものであれば、今は使えてもすぐに壊れる可能性があります。
 ボイラーは新しいものほど燃費などの性能がよくなっていますので、古いものは最初から交換したほうがいいかもしれません。そうした費用も計算に入れながら見ていきます。
 台所の内部に設置する小さな給湯器は、昔の家ではあたりまえにありましたが、今は新築の際に設置することはまずないでしょう。そのタイプの給湯であれば、給湯システム全体を付け替えるくらいのことを考えたほうがいいかもしれません。
 もちろん、昔ながらに、囲炉裏で土瓶にお湯を沸かす生活がいいのだ、というスタイルを否定するものではありません。
↑屋外設置のガスボイラー(給湯器)の製造年をチェック。これは2008年製。製品の形式番号をネットで検索すれば、製造時期や性能も詳しく分かる。寿命は大体10~15年。
浴室
 現状のまま使えるのかどうか。改装するならどこまでやるのか、といったことを考えながらチェックします。
 古い浴室で、風呂釜が室内にあったりするような面倒な構造であれば、いっそ浴室内を空っぽにして、ただの浴槽だけの製品を入れて、ボイラーからの給湯とシャワーだけにするという改装がいいかもしれません。コストがかからず、きれいに仕上げられます。

↑浴室に、単独の洋風浴槽(舟型で給湯管接続しない、ただの湯舟タイプ。受注生産品で約10万円だった)を持ち込んでみる。このまま置いてもいいが、埋め込むことも可能。



舟型の洋風浴槽をセメントで埋め込んでいるところ。



タイルで仕上げた。配管は浴槽に直結しておらず、上から入れる方式。沸かし直しなどしない生活ならこれで問題ない。
トイレ
 よほど古い農家物件などでない限り、今はもうポットン便所(くみ取り式)はないでしょうが、もしそういう物件であれば、迷わず、水洗化しましょう。
 浄化槽を設置することになりますが、山奥の一軒家で広い敷地があるなら、土壌浄化方式というのも可能です。これはDIYでもできます。

 水洗トイレでも、和式を洋式に変更するといったことはそれほど難しくありません。これは業者に任せましょう。便器は高いですが……。
 洋式便器がついているトイレに洗浄便座を追加するのは簡単です。価格も2万円くらいでありますし、DIYですぐにつけられます。ただし、トイレ内にコンセントがないと、そこまで電源を引っ張ってこないといけませんので、面倒です。コンセントの有無を確認しましょう。
 トイレの内装はDIYで十分できます。壁紙を貼り替える、板を貼るなどで、まったく雰囲気が変わります。

↑越後時代のリフォーム。和式のポットントイレを洋式に変更し、室内の壁を板張りに。板張りはDIYでやった。
 壁紙の張り替えはDIYでもできますし、コストも壁紙代だけですので大したことはありません。しかし、皺がよりやすいので、素人が失敗して何度もやり直して壁紙を無駄にするよりは、プロに依頼したほうがいいでしょう。内装屋さんに依頼しても、大工仕事は入らないのでそんなに高くはなりませんし、時間も短時間で終わります。
 面倒なのは古いタイプの繊維壁(表面がザラザラしていてボロボロ削れるタイプの壁)で、上に直接壁紙を貼れないため、下地工作が必要になります。壁が改装しやすいかどうかも確認しましょう。
 繊維壁や塗り壁の場合、いっそ板を柱の上から張って柱を見えなくさせる「大壁(おおかべ)」方式もお勧めです。これもDIYで十分にできます。趣味だと思えば楽しい作業です。
↑このタイプの繊維壁は、上から直接壁紙を貼れないが……、
柱の上から板を被せていく「大壁」方式の改装でガラリと印象を変えられる。


床(和室を洋室に)
 古い和室の畳を出してしまい、床を張って、壁も板張りにしてウッディな洋室に……といったことも、その気になればDIYでできます。自分でやれば材料費だけで済みますので、大工さんに頼むのとは桁違いに安くできます。
 ていねいにやる自信と根性がある場合は、下地板の上に根太(ねだ)を這わせて、間に断熱材を入れるといったこともできます。
 しかし、壁張りに比べると難易度はぐっと上がるので、初心者はプロに任せたほうがいいでしょう。「壁は自分でやるから、床だけお願い」という依頼の仕方もあります。大工作業は材料費よりも手間賃がバカにならないので、DIYと組み合わせることでコストがかなり変わってきます。
↑かつては(かいこ)部屋になっていた畳敷きの屋根裏部屋の畳を撤去して板張りに。洋風のロフト寝室になった。この程度はDIYでもできる。

照明
 田舎は夜になると周囲がまっ暗になります。室外灯が壊れていたり、なかったりする場合、1000円くらいから売られている中国製のソーラーライトがお勧めです。
 どのタイプも性能がよくて、いちいち配線をしなくていいのでお手軽。こんなのが役に立つのか?と思うかもしれませんが、明るさも十分ですし、5年くらいは問題なく使えます。安いので、壊れてもまた替えればいいだけです。

↑このタイプのソーラーライトは超お勧め。

↑配線いらずなのでどこにでも簡単に設置できる。

↑光量も十分で、電池交換の必要もない。安いので壊れたり劣化したりしたときは買い換えればいい。5年くらいは平気で初期性能を維持する。

 屋内の照明は好みで付け替えればいいのですが、古い家ですと照明用の電源ブラケットの規格が違っていたりして、ちょっと面倒なことがあります。

 照明に限りませんが、住宅の屋内設備の規格などは、概ね平成10(1998)年あたりで大きく変化(進化)しています。それ以降の建築であれば、概ね現代の規格と同じですが、それ以前の建築ですと、かなり贅沢な仕様の住宅でも、細かなところで「あれ? 規格が合わないな」とか「知っているのと違う」といったことが出てきます。
 中には、トイレの水洗タンクのように、昔ながらの方式(空気の入ったポリエチレンの浮き球で水の出口や給水バルブの開閉を行う完全機械式)のほうが、電気を使っている最新型(停電すると水が流せない)よりも非常時に強く、修理も楽、といったものもあります。なんでもかんでも電気に頼る都市型の生活は、災害時にはダメージが大きいことも覚えておきましょう。

↑階段上の照明が妙に和風なものがついていたので……、

↑洋風のものに交換した。



↑和室についていた照明がダサかったので……、
↑階段上についていた照明と取り替えた。

塗装
 塗装業者がよくセールスに回ってきますが、そういう業者に依頼することはお勧めしません。セールス要員は素人で、そうした素人セールス要員を雇わないとやっていけない業者にはぼったくりが多いのです。高いだけでなく、派遣されてくる作業員が素人もどきでろくな仕事をしないこともあります。
 よほど特殊な作業でなければ、塗装くらいはDIYでやってみましょう。

 バルコニーや玄関ステップなどの防水、撥水が必要な部分は、すべり止め入りの防水塗料を使います。これは若干価格が高めですが、接着性がよく、雨に濡れても滑らないので安全面でもお勧めです。
 錆びてボロボロになった鉄柵や鉄階段などは、デボマリンという特殊な塗料(接着剤に近い?)を使うと、見栄えはともかく、驚くほどの強度回復が望めます。
 これは鉄橋などの補修に使うもので、プロの塗装屋さんでも知っている人は少ないと思います。一部の塗料専門店でしか入手できませんが、売っている店に頼めば通販もしてくれるでしょう。
 デボマリンは粘土状で扱いが面倒。価格も高く、一般の塗装には向いていません。錆がすでに出ている鉄部の塗装には、ビルドという湿気に強い塗料が向いています。ビルドは柔らかくて、塗装後なかなか乾かないので扱いづらく、価格も普通の塗料より高いので、普通の塗装屋さんは使いたがりません。
 塗装に関しては、腕(塗る技術)よりも、ていねいさと、使う塗料の種類(性能)によって、その後の持ちが大きく違ってきます。時間をかけてていねいに(東北の言葉でいえば「までいに」)作業をする覚悟があれば、プロに頼むよりもDIYのほうがよい結果になることがあります。
 塗料については、塗料専門店に相談すると、いろいろ教えてもらえます。塗装屋さんと塗料専門店は、儲ける部分がまったく違う職種なので、塗装屋さんに訊いてもダメです。塗装屋さんは利益が出やすいように安い塗料を使いたがりますし、自分の職種を奪われてしまうようなDIYの秘訣は教えたがりません。しかし、塗料専門店としては、価格に関係なく性能のよい塗料を売ったほうが気持ちがよいので、本当のことを教えてくれます。
↑上がデボマリン、下がビルド



↑↓このくらいボロボロになった鉄の階段も……、



デボマリンを塗って穴を塞ぎ……、


上からビルドを塗っておけば、当分は大丈夫。


 その他、DIYによる補修、改修はいろいろ経験してきましたが、要するに、建物の基本構造部分がしっかりしていれば、内装や諸設備は工夫次第で、ある程度どうにでもなるということです。
 DIY補修を楽しむくらいの余裕と気力がないと、田舎暮らしは続きません。
 逆に言えば、そうした体力や元気がない年齢になってからの移住であれば、山奥の一軒家などは難しいので、適度にスカスカした住宅地のそこそこ新しい建築の物件を選んだほうがいいでしょう。十分にきれいな物件でも、地域によっては、都市部では考えられないような値段で売りに出されています。

 また、プロに発注する場合、手数料を取られても、良心的な建築設計士に依頼したほうが安心です。建築士はいい加減なことをすれば仕事が続けられなくなるので、施主の立場に立って責任ある仕事をします。最新の材料情報や工法についても勉強しているので、古いタイプの職人さんよりも合理的な方法を提示してくれるかもしれません。また、施工後に問題が出た場合、責任をとらなければならないので、職人さんとの間に立って問題を解決する努力をします。
 建築士は多方面にわたって職人さんを知っていますし、いい加減な仕事をする職人さんは建築士としても仕事を任せられないので淘汰されていきます。建築士が依頼する職人さんは、素人が直で依頼する場合よりも安心できます。
 結果として、1割の手数料を支払ってでも、ちゃんとした建築士を介したほうが安心で、安上がりになることが多いのです。

 移転先で信頼できる建築士に出会えれば幸いです。良心的な建築士かどうかは、少し話をすれば分かります。自分の仕事に誇りを持っている人は、話し方や話の内容で、熱意や責任感が伝わってくるものです。

 このままコロナ禍が続いたり、首都圏が直下型地震に襲われたりすると、地方物件が高騰することも考えられます。身体が動き、金銭的にもギリギリまで追い込まれていないうちに、生活を変える決断を下す勇気と柔軟さが必要かもしれません。


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