バッテリー交換をしながら考えた日本の将来2021/06/06 15:41

パナソニックから「超納豆」に交換

その「国産ブランド」はどこ製?

17万円のラパンにつけているパナソニックのバッテリーがすぐに放電してしまうので、思いきってサイズの大きい韓国製バッテリーに交換した。
今までは60B19L。今度はバッテリー受け皿からはみ出る65B24L。 サイズがでかくなった分、バッテリーが上がりにくくなったはず。能力も60から65にちょっと上がっているし、これでだいぶ安心できるかな。

SuperNatto(「超納豆」??笑)という怪しげなブランドに不安を感じる人も多いかもしれないが、プジョーにつけたやつがもう3年くらい問題ないので、信用している。
ネットショッピングでは、韓国電池という会社が作っているアトラスというブランドのバッテリーがよく売れていて、評判もいい。自動車メーカー、農耕機メーカーなどが採用している例も多く、今や世界的なブランドなのだが、値段は国産ブランドのものよりずっと安い。
自動車用バッテリーといえば、昔はGSバッテリーが圧倒的な「一流」ブランドだったが、知らないうちにYUASAに吸収合併されていて、その後、パナソニックも吸収された。

GSバッテリーの歴史
  • 1895年 島津源蔵、日本で初めての鉛蓄電池を製造
  • 1908年 商標「GS」使用開始
  • 1912年 蓄電池工場(新町今出川)を建設
  • 1917年 日本電池(株)を設立、電気自動車「デトロイト号」を2台アメリカから輸入
  • 2004年 日本電池とユアサコーポレーションが株式移転により、持株会社である株式会社ジーエス・ユアサコーポレーションを設立
  • 2016年 パナソニック(株)の鉛蓄電池事業を譲受し、商号を(株)GSユアサ エナジーに変更

今はもう、GSもYUASAもパナソニックも、同じ経営母体になってしまったわけだ。株式会社GSユアサエナジーは、パナソニックというブランド名はそのまま残している。出光ZAXIAはそのOEM製品。

タイヤもそうだが、日本以外のアジアンブランド製品が「安かろう悪かろう」という時代は完全に終わっている。
我々高齢者世代は、なかなか頭の切り替え、というか、一度植えつけられた「国産=高品質・高性能」というイメージを捨てることが難しいのだが、東芝もパナソニックも、今ではブランド名だけが残り、実体は外国企業資本だったり、ほぼ中国製だったりする。
昔のブランドイメージは一旦リセットして考えないといけない時代なのだなあ。

「政治主導」でますますじり貧になる「技術大国」

最近、自動車製造業界では、半導体不足で工場生産がストップする事態が起きている。
今や世界的戦略物質である半導体の業界においても、日本はまた失敗を重ねようとしている。
5月21日、自民党は「半導体戦略推進議員連盟」(甘利明会長)なるものを設立した。
税金を投入し、「政治主導」で半導体産業を強くしていくというのだが、それがそもそも日本の「経済安全保障」を危うくさせているという指摘がある。
「日の丸半導体」はひいき目で見ても、世界を制する兆しは見えない。
 白物家電と同じく80年代には世界市場シェア50%を占めていたが、韓国や台湾に次々と追い抜かれ、今や2021年第1四半期の売上高ランキングにおいても、日本企業は15位にキオクシアが入るのみ。
自民党・半導体議連設立の10日後、経産省は、半導体受託製造で世界最大手の台湾企業TSMCが日本で実施する先端半導体の研究開発を支援し、5年間で190億円を拠出すると発表した。
税金ももらえるし、日本企業の技術に対して情報収集やリクルートもできる。うまくいけば、鴻海がシャープを傘下にしたように、技術力がありながらも経営に苦しむような日本企業を手中におさめることができるかもしれない。韓国としのぎを削るTSMCにとって何かしらのメリットがあると判断したということだ。いずれにせよ、彼らの頭には、「日本の半導体の国際競争力を高めてやろう」なんて発想が1ミリもないことは間違いない。
世界では「保守系政治家」は国益や国内企業の保護がまず第一なので、アメリカなど大国からの介入を嫌うのが普通だが、日本では「親米保守」という、愛国なんだか売国なんだかよくわからない人々が政治を動かしている。
そうなると当然そのしわ寄せは経済、つまり民間企業に押しつけられる。

これまで日本が半導体産業にやってきたことや、コロナのワクチン政策を見れば明白だが、「やることなすこと日本を衰退させていく政策」が量産されていくという今の政治システムを変える必要がある
DIAMOND ONLINE 2021/06/03 台湾TSMCを巻き込む「日の丸半導体復活」構想が、日本の衰退を早める理由 窪田順生

韓国や中国の大手半導体メーカーの中には、複数の企業が、東京やその周辺(川崎や横浜)に半導体関連の「研究所」を既に設置している。日本で研究を行う建前になってはいるが、実際の目的は、日本国内の企業や大学研究室からの技術情報収集(あるいは少額の研究資金を提供した協業)、装置・材料の調達、日本企業に勤務する技術者のリクルートのいずれかあるいはすべてだろう。
日経XTWECH 2021/03/02 TSMCの日本工場は幻、日本企業の自助努力なくして半導体再興なし 服部 毅
 
どれだけ失敗すれば分かるのだろう、と呆れる。

日本を代表する企業である東芝が今のような惨めな状況になった最大原因はなんだったのか。
みんな忘れてしまっている。というか、メディアもしっかり報道しなかったから、国民のほとんどはその問題を知ってもいない。
東芝が2006年に社運をかけて傘下に収めた原発プラント大手、米ウエスチングハウス(WH)。その決断は10年余りの時を経て、日本を代表する名門電機メーカーとしての東芝を債務超過に転落させるという惨憺たる結果を招いた。東芝は2年間で1兆円近い原発関連の損失を計上、昨年の医療機器子会社の売却では事足りず、看板のフラッシュメモリー事業まで手放す可能性が現実味を帯びている。
ロイター 2017/02/15 原発で誤算、東芝の「失われた10年」 優良事業相次ぐ身売り

1兆円をどぶに捨てた米ウェスチングハウス(WH)の失敗をきっかけに東芝の凋落は始まり、何かといえば官僚が無責任に口先介入、資金不足につけ込んで侵食した外資が揺さぶりをかけ、経営陣に当事者責任が見られないまま、医療、半導体と付加価値の高い事業分野から切り売りしていった。その結果、鉄道インフラ、水力・火力発電、エレベーター、レジシステムなど多彩だが成長分野の核になる事業がない、という将来に展望を描けない企業となった。
現代ビジネス 2021/04/29 東芝の悲惨すぎる末路…なぜ“外資の草刈り場”となってしまったのか 伊藤博敏

……これがかつて「技術大国日本」と呼ばれた日本の姿だ。

庶民ができるせめてもの防衛術とは?

私たち世代はこの悲惨な状況に心を痛めながらも、もうすぐ死んでしまうので、地獄の底までは見届けないで済むかもしれない。
しかし、若い世代の人たちは、真剣に自分の将来を見据えて生き残り作戦を練らなければならない。

Super Nattoブランドのバッテリーを企画・輸入・販売している南進貿易株式会社は、福岡市にある自動車整備工場社長の息子が2010年にオートバイ用バッテリーの輸入販売をしようと設立した。創業してすぐ、海外から直接、独自ブランドでバッテリーを仕入れようと決意して今に至るという。この10年で確実に成長し、経営も軌道に乗っているようだ。
しかし、今は国産ブランド品より、中国や韓国、台湾製の製品のほうが概ね安いが、そのうち逆転するのではないか。円安で、日本の労働賃金はどんどん下がり、アジアの他の国々が日本の工場で製品を生産したほうが安くつく、なんてことになるだろう。
いや、すでにそうなってきているのだ。
アニメの制作現場なんかは、急速に中国に乗っ取られつつあるという。日本の職場があまりにも低賃金の地獄環境だから。
既に「日本のトップ級以外のスタジオは、単価が安いけど質が悪いので発注できない」(中国の配信大手)という声も出始めている。中国の求人サイトによると、アニメーターの平均月収は杭州が3万4062元(約52万円)で、北京では約3万元(約45万円)だった。
「これまでは中国が日本アニメの下請けだったが、もはや逆転している」
プレジデントオンライン 2021/04/06 「日本人なら中国人の3分の1で済む」アニメ制作で進む"日中逆転"の深刻さ 日本が中国の下請けになっている 中藤 玲

IT関連もそうだ。力のある者は、さっさと日本に見切りをつけて、仕事の場を海外に移している。ネット時代の現代では、別に移住しなくても、日本にいながら海外企業の下で働くことはできるしね。

若い人たちにアドバイスできるとすれば、とにかく英語と技術力を磨くことだ。ボ~ッと生きていたら、地獄のような人生しか待っていないよ。








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