スポーツの力・魅力とは?2021/05/02 11:54

「報道ステーション」(テレビ朝日)より
『報道ステーション』で松岡修造が新谷仁美にインタビューしていた。

新谷仁美がどれだけの逸材で、魅力的な選手かは今さら説明するまでもないが、彼女を陸上界に復帰させた立役者である横田真人コーチがさらにすごい。
「自分しか信じられなかった」「自分以外はすべて敵だと思っていた」と言う新谷を見て、妻は「横田コーチは人に懐かない野良犬を拾ってしまったようなもので大変だったわね」と笑っていたが、まさに彼の「いきものがかり」としての才能と努力は大したものだ。(SNS上では「猛獣使い」と呼ばれているが、ここではソフトに「いきものがかり」にしておく)

横田は800mの選手として日本選手権4連覇、2011年の世界陸上(韓国・大邱)、2012年のロンドン五輪の日本代表にもなっているエリートランナーだ。オリンピックの陸上800mに日本人選手が出場するのは44年ぶりだった。
彼は現在、TWOLAPS Track Clubの代表として、コーチだけでなく、経営者としても活躍している。
TWOLAPSでは新谷の他に、楠 康成、卜部 蘭、館澤 亨次、田母神 一喜……といった選手たちが横田の指導を受けている。
しかし、彼らはTWOLAPSという企業の所属選手ではない。日本陸連公認レースなどに出るときの所属は別々なのだ。新谷と卜部は積水化学で、実際、実業団女子駅伝では積水化学チームの選手として走っている。楠と田母神はNPO法人阿見アスリートクラブの所属。つまり、TWOLAPSは所属・種目・男女の垣根を超えて「横田コーチと一緒に自分を高めていきたい」と決めた若者たちの集団なのだ。
私はそんな横田とTWOLAPSのファンになってしまったので、最近は陸上競技会でも、田中希実や三浦龍司の華々しい活躍に期待しながらも、彼らになかなか勝てない蘭ちゃんや楠を自然と応援してしまっている。

そのTWOLAPSが、すごいことをぶち上げた。
TWOLAPSは国内最高賞金の中距離サーキットを開催することにしました
中高生も市民ランナーもエリートランナーも参加できる陸上中距離レースの大会。800mや1500mといったオリンピック種目だけでなく、中距離の醍醐味である、駆け引き、ラストスパートがより際立つ種目として、最終ステージは1000mという聞き慣れないレースを予定。男女のシリーズチャンピオン(エリートの部)にそれぞれ賞金100万円を贈呈……素晴らしい企画だ。

こういうのを待っていたのよ!
こういう発想ができる人材、考えるだけでなく実行に移してしまう胆力や計算力、渉外能力のある人材。横田真人はまさにそうした能力を兼ね備えた人物だった。
これはもう、応援するしかないではないか。

もはや「東京五輪禍」

こうした取り組みこそ「スポーツの力」「スポーツが起こす感動」につながるものだと思うが、不幸なことに、東京五輪2020は巨大スポーツイベントが陥った負の面ばかり浮き彫りにしてきた。
それどころか、五輪のおかげで五輪以外の競技会が行えなくなるという災厄になりつつある。
日本が今までCOVID-19による死者が訪米諸国などに比べて少なかったのは、人種特有の要因(恐らくはHLA型など)、「ファクターX」と呼ばれる要因による幸運だろう。しかし、ここに来てインドやブラジルで多く見つかっている変異株が、日本人をはじめとする東アジアの人たちにとっても、かなり致命的な影響を与えるのではないかと懸念されている。
3月は空港検疫(抗原検査)で判明した陽性者157人のうち、インドでの行動歴がある入国者は8人だったが、4月は24日までに、242人中56人。特に先週の増加ペースは激しい。
「無症状の陽性者はウイルス量が少なく、抗原検査で陰性となる『偽陰性』が少なくない。入国者はほとんどが無症状なので、偽陰性の確率は高い方でしょう。水際対策の最後の要である空港検疫で抗原検査を採用するのは“自爆”を招くようなもの。抗原検査をすり抜けたインド由来の二重変異株感染者が入国し、既に感染を広めていてもおかしくありません」(中原英臣/医学博士・感染症学) (日刊ゲンダイ 2021/4/26

これに対して日本政府がインドやペルーなど6カ国・地域を新型コロナウイルスの変異株流行国・地域に指定して運用開始したのは5月1日から。あまりにも遅すぎる。すでに国内には相当数の感染者が存在しているだろう。
こんな調子の国が、世界中から人を集めるオリンピックを密集都市の東京で開催すればどんなことになるか……。
すでに、選手は2週間の待機を免除することで入国初日から練習できるようにするということも決めている。(外国人選手ら「2週間待機」免除へ 五輪めぐり政府方針 朝日新聞 2021/04/26
私は、いくらなんでも聖火リレーが開始される前に中止が発表になるだろうと思っていたが、まさかの強行だった。
しかもその異様さ、異常さは想像を超えたものだった。
東京五輪の聖火リレーは13日、新型コロナウイルスの感染拡大で公道での走行が中止された大阪府で、代替措置となるリレーが万博記念公園(大阪府吹田市)で始まった。公園内を閉めきって一般の観客を入れない異例の形式で行われ、太陽の塔や国立民族学博物館周辺など約3キロを15区間に分けた周回コースをランナーが走った。公道でのリレー中止は全国で初めて。

園内の出入り口4か所はすべて閉鎖され、太陽の塔や国立民族学博物館などの施設も臨時休館に。公園の出入り口には「関係者以外の入園はできません」と記した看板が設置された。
読売新聞 2021/04/13

公園を立ち入り禁止にして有名人が不自然な笑顔をカメラに向ける……この既視感はすぐに分かった。「桜を見る会」だ。
この異常さは、もはや「スポーツイベント」ですらない。

五輪を強行することで感染が広がり、ますますスポーツイベントの開催が危うくなる。どこが「アスリートファースト」だろうか。
「スポーツの発展のためにもオリンピックは1回やめたほうがいい」という主張を先月書いた(⇒こちら)。
  • IOCという興行の胴元と縁を切り、「オリンピック」という商標を使うことを一旦やめる。
  • 代わりに、スポーツ振興への「資金援助」の部分を担える、透明性の高い、公平公正なシステムを各競技団体の連携・連帯を通して新たに構築していくよう呼びかける。
  • そのために、現在の競技別世界選手権(世界陸上など)の運営組織、競技連盟に、「世界大会の価値を広げる」ことを提言し、援助する気運を高める。

これを日本が国を挙げてやれればいいのだが、ここまでの醜態を見ていれば、到底無理なことは分かる。

「発言」し始めたアスリートたち

そんな状況の中で、TWOLAPSという小さなグループが、本来のスポーツの力、スポーツの魅力を育てるために、できる限りのことをやると宣言し、動き出したのである。
これはとても困難なだけではなく、勇気がいる。
理想をぶち上げるだけでは実行できない。本当にスポーツを応援したいという企業や団体を味方につけて、金集めや組織編成をしていかなければならないが、慎重にやらないと政治家や利権関係者らから睨まれ、つぶされる可能性がある。
今私がこれを書いていることも、TWOLAPSにとっては迷惑なことになりかねないと危惧している。

しかし、一人一人が勇気をもって行動で示さなければ状況は悪化する一方だ。
「オリンピアン」という輝かしい称号を持つ超人的な競技者たちが、その後、およそスポーツとは似つかわしくないものに取り込まれ、惨めな姿を晒していく例を、我々はたくさん見てきた。それこそ、スポーツの持つ魅力を汚すものだろう。

新谷仁美は東京五輪2020について訊かれると、
「国民の理解が得られなければ、開催する意味はない」「アスリートだけがやりたい、国民のみなさんはやりたくないと言っていたら開催する意味が全くなくなってしまう」「命というものは正直、オリンピックよりも大事なものだと思う」だから「アスリートとしては賛成だけど、一国民としては反対という気持ちです」などとはっきりした言葉を発している。こういうところは、大坂なおみにも似ていて、とても好感が持てる。

新谷選手を見守る横田コーチも、「応援されることなく開催されるオリンピックはもはやオリンピックではない」と発言している。
華やかなスポーツだけでなく、日常にあるスポーツをもっと大事にしていくべきではないだろうか。「アスリートファースト」という言葉が都合よく使われ、「スポーツ」の名の下に国民の日常が奪われることを、アスリートは、スポーツは望んでいるのだろうか。それが置き去りにされてまで開催するべき理由がオリンピックにあるのであれば、それをきちんと説明して欲しい。コロナ禍でみんなが大変なこの時期にオリンピックを開催するべき理由を論理立てて説明して欲しい。僕らが求めているのは、失言ではなく論理的な説明だ。コロナに打ち勝った証にオリンピックがなぜ必要なのか。いまの日本に、いまの世界になぜオリンピックが必要なのか。(「スポーツをみんなのもとに返そう」 TWOLAPSのブログより

未来につながらないスポーツイベントなどいらない

TWOLAPSが中距離種目の競技会サーキットをやるというニュースに接したとき、私は近所の「ランニング少年」(中学2年生)のことをすぐに思い浮かべた。
2か月前に久々にすれ違ったとき「今は400mをやっています。栃木県の指定強化選手に選ばれました」と嬉しそうに言っていた。
しばらく見ないうちに顔中にニキビを作っていた彼の笑顔が思い浮かんだ。
彼は小柄で、兄たちもみんな身長は高くない。自分でもそのことを理解しているのか、将来は「学校の陸上部の監督になって生徒を指導したい」という目標を持っている。中学生で「将来は陸上を教えたい」という夢を持つというのもすごいと感心したのだが、彼のような子供たちがスポーツに対して純粋な憧れを持ち続けられるような社会であってほしい。
オリンピックがそうした夢をぶちこわすような存在になってしまうほど悲しいことはない。
今回の悲惨でみっともない「東京五輪禍」で歪みに歪んでしまった日本のスポーツ界、世界のスポーツ興行状況を底辺から修正していく力を、どんなに小さなことからでもいいから、積み上げていくことが求められている。
その力をTWOLAPSに見いだせたような気がして、本当に嬉しいのだ。
とりあえずは中距離レースのサーキットイベントという試みを応援したい。
とっても困難なことだろうが、負けるな。フレ~! フレ~!
だいぶ昔に作った応援歌。今回はTWOLAPSに向けて送りたい



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変異株蔓延は避けられない? 今、いちばん重要なことは何か2021/05/09 01:27

何をもたもたしているのだ! 画像は「報道1930」BS-TBSより

五輪代表選手に「本当に走っていいのか」と悩ませる罪

5月5日、「札幌チャレンジハーフマラソン」というのがあった。
東京五輪のマラソンレースをテストする意味を兼ねているという。
で、この大会、コロナの感染が拡大中の札幌市内で開かれたため、予定されていた10kmの市民マラソンは中止。沿道の応援は自粛を呼びかけるというレベルを超えて、急遽300人増強して770人に増やした「自粛呼びかけスタッフ」が「感染症予防のため観戦自粛をお願いします」というカードを首からぶら下げて沿道に立っていた。
その合間には「五輪開催反対」のプラカードを掲げた人もいたという。
そんな状況で走る選手のストレスも大変なものだっただろう。
五輪代表に決まっている服部勇馬選手は「この状況下で本当に走っていいのかと思うこともあったり、不安な状況で練習しているときもある」と打ち明けていたという。(服部勇馬「本当に走って良いのか」 コロナ禍の東京五輪強行開催に葛藤 デイリースポーツ

オリンピックと関係なくこの大会が開催されていれば、選手も、我々観戦を楽しむ側も、もっとずっと幸せな状態でいられたのではないか。
沿道での観戦で感染が広がるというが、観戦自粛のプラカードを首から下げて立っていた770人のスタッフのほうが、一か所に集まって指示を受けたり観客に声かけをしていたわけで、それのほうが感染リスクがありそうな気もするが……一体何をやっているんだか……。
なぜこうした「自粛警察」っぽい方向にばかり向かってしまうのだろう。

肝心な対策はやってない

そんなことよりはるかに重要なのは、海外からのウイルス(特に変異株)の侵入を防ぐことと、治療を受けられずに重症化してしまう感染者を減らすための緊急措置であることは明々白々だ。
全例入院治療がいいに決まっている。でもかなわないなら、医師にコロナ特例での免責を行い、対面なしで在宅酸素、ステロイド、抗菌薬、解熱薬、点滴をコンフォートセットにして処方できるようにしてほしい。まだ、私自身は実施例が少ないが、これ(コンフォートセット)で救える命もかなりある。滞在時間も30分以内にとどめられる。……この事態について全国民の理解が必要である。
(全員入院がかなわぬ現実と向き合う コロナ患者を看て回る訪問看護師の訴え 在宅酸素、ステロイド、抗菌薬、解熱薬、点滴のコンフォートセットを 日経メディカル 2021/04/30

3月は空港検疫(抗原検査)で判明した陽性者157人のうち、インドでの行動歴がある入国者は8人だったが、4月は24日までに、242人中56人。特に先週の増加ペースは激しい。(空港検疫コロナ陽性で「行動歴インド」入国者急増!二重変異株が抗原検査すり抜け日本で蔓延か 日刊ゲンダイDigital 2021/04/26
画像はBS TBS「報道1930」より


すでに蔓延してしまったイギリス型変異株は感染力も重症化率も高いし、若年層にも感染しやすいという。
それにも増して恐れるべきなのが「アジア人特有の免疫能力をかいくぐって感染し、ワクチンも効きにくいのではないか」と言われている、インドやブラジルから入ってくる変異株だが、政府はその怖さをまったく理解せず、ただただなんとか防止措置だのなんとか宣言だのを出す、出さない、延長する、しないなどと繰り返している。
そういうことじゃない。
「緊急」なのは、なんとか宣言を出すことではなく(それも緊急には出さないで毎度グダグダだが)、医療体制を変えて非常対応をすることと、外から危ない変異株を入れないように徹底的な水際検疫体制を敷くことだ。

まっ先にやらなければいけないのは医療現場への緊急対応。
上の訪問看護師の報告で分かるように、すでに関西は相当まずいことになっている。
自宅で苦しんでいる人が救急車を呼んでも受け入れ先が見つからない。1時間かけて駆けつけた訪問看護師は酸素ボンベや治療薬を持っていない。そのへんを今すぐ超法規的に対応させないと、助かる人が死んでしまうケースがどんどん増えていく。それをなんとかしようと思うのが先でしょ。
この状況のままインドの二重変異株とか、アジア人にとってかなりヤバそうなやつが一気に感染爆発したらどういうことになるのか?

ワクチンワクチンと煽り立てる前に

ついでにいえば、ワクチンは無条件に高齢者優先にするのではなく、まっ先に医療従事者、介護施設関係者に打つのが筋だろう。
高齢者施設にいる老人たちは建物の外に出て行かない。感染するとすればそこで働いている人たちからウイルスをもらうのだから、施設スタッフがワクチン接種してない段階で入所者に打つというほど馬鹿げた話はない。
注射を打つ医師や看護師らがまだワクチン接種していないというケースも多いというのだから、馬鹿げている。(高齢者接種の医師「毎日ヒヤヒヤ」 医療者への接種、わずか2割 毎日新聞 2021/05/08

その次に優先するべきは、人との接触が避けられないエッセンシャルワーカーと呼ばれる人たち。
飲食店に時短営業やら酒類提供禁止をいうなら、まずその人たちにワクチンを打つべきだろう。
県境を越えて移動するなと言っても、巣ごもり生活やあらゆる経済活動を支えている運送業は今まで以上に走り回らなければならない。そういう人たちを優先すべきだ。
地域でいえば、人口密集地を優先し、過疎地は後回しでよい。

もちろん、将来にわたって安全性が確認されていない以上、打つか打たないかは本人が決定すべきであり、打ちたくない人に強制的に打つとか、心理的圧力をかけるというのは許されない。実際、ワクチン接種後に急死した医療従事者は複数人いるわけで、これをどうとらえるかはあくまでも個人の考え方次第だ。情報をすべて開示した上で、決定権は各人が握る、ということにするのは言うまでもない。

私は高齢者なので、すでに4月のうちにワクチン接種予約案内の書類が届いている。しかし、私のような、田舎暮らしで、せいぜい週1回程度の買い物以外では外出はしない、一日中家にいて人と接しない人間は、最も感染リスクが低いのだから、いちばん後回しでよい。
結局、政府が「医療従事者は○月から、高齢者への接種はすでに始まっていて○月までに完了」……といったうわべだけのスケジュールをPRしたいがための目くらまし広報なのだ。
そのワクチン接種も、受け付け方法がアナログで、まったくはかどらないというし、こんなバカな状況でワクチンに期待するのも無理がある。
それなのにメディアは連日、自粛がどうの、ワクチンがどうの、なんとか宣言の解除がどうの……と、大切な問題から目を反らせるような報道ばかりしている。
「欲しがりません勝つまでは」の戦時中と同じじゃないか。
もう、バカすぎて、日常生活がまともな精神状態で営めないよ。




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新型コロナワクチン狂想曲の実像 厚労省データをもとにまとめてみた2021/05/16 14:15

同調圧力で煮込まれることがいちばん怖い
ワクチン関連のことは、東京五輪関連以上に、何か書くと総攻撃を受ける気配が濃厚だし、デリケートな問題を数多く含んでいるので、身を守るためには黙っていたいのだが、知らないうちにとんでもない事態に進みそうなので、敢えて書く。
最初にお断りしておくが、私は「ワクチンを打つ、打たない論争」に火をつけるつもりは毛頭ない。これから書くことはすべて厚生労働省が公表しているデータに基づいた数値や内容である。厚労省のWEBサイトで丹念に捜せば元データや資料が直接見られる。
個々の記事は新聞記事に絞っており、個人のコラムなどからの引用ではない。
これらのデータが、あまりにも細切れに、散発的にしか表に出てこないので、ただでさえ分かりづらいCOVID-19やワクチンの現状が見えにくい。
なんとか全体像や最新の状況が見えるようにまとめてみたい、判断するための正しい材料を整理してみたい。そうした思いでこれを書いている。

「ワクチン報道」の危うい過熱ぶり

メディアの「ワクチン待望論」的な煽りや視点の持ち方が相当おかしい。
分かっているデータがあるのに、妙に及び腰で、わざと見えにくくしているフシがある。一方で、ウケ狙いの記事ばかり飛ばしてくる。
市長が医療従事者枠でワクチンを打ったのはけしからんとか、どうでもいい。むしろ、ワクチンを早く打たないと大変なことになると脅したり、ワクチンに少しでも不安があるという言葉を発する者を総攻撃したりする同調圧力が暴走することのほうが怖ろしい。

ワクチンについては、多くのことがまだ未解明であり、副反応や将来にわたっての影響がよく分からないまま打っている「見切り発車」であることは間違いない。
毎日数千人単位で死者が出ているような国・地域では、とりあえずワクチンでなんとかしろ、となるのは仕方がないだろう。しかし、当初から死者の割合が極端に低かった東アジアでは、まずはウイルスの侵入を防ぐ、感染を広げずに抑えるというやり方が先だったはずだ。
実際、他の国々はそれに概ね成功している。台湾などは見事なお手本だ。
台湾でCOVID-19での死者は100万人あたり0.5人、日本は同・91人で182分の1(worldmeters.infoのデータより)だが、ワクチン摂取率を比較すると、5月13日現在、台湾は100人あたり0.5回であり(日本経済新聞社作成のデータより)、日本の同・4.4回のおよそ10分の1である。
アジア・オセアニアの国々を人口あたりのCOVID-19死者数の少ない順に、100人あたりワクチン接種回数を併記して並べてみると、
国:100万人あたりの死者数、100人あたりの接種回数
  • ベトナム:0.4人、0.9回
  • 台湾:0.5人、0.5回
  • ブータン:1人、63.1回
  • 中国:3人、25.3回
  • シンガポール:5人、55.0回
  • ニュージーランド:5人、7.9回
  • タイ:8人、2.9回
  • 香港:28人、24.4回
  • オーストラリア:35人、11.1回
  • 韓国:37人、8.6回
  • マレーシア:58人、5.9回
  • ミャンマー:59人、3.3回
  • モンゴル:62人、72.8回
  • 日本:91人、4.4回
  • ネパール:169人、8.6回
  • フィリピン:173人、2.4回
  • インドネシア:174人、8.3回
  • インド:197人、12.9回
(↑青字は日本よりワクチン摂取率が低い)
……となり、日本よりワクチンを打っていない国で日本よりはるかに死んでいない国が多数あることが分かる。
つまり、単純に、ワクチンを打てば死ななくなる、というわけではない

ワクチンを巡るドタバタについては、いろいろな問題が指摘できるのだが、一番気になるのは安全性についての情報発信が頼りなさすぎることだ。
頭痛や倦怠感といった副反応はほぼ「ある」と思っていいようだが、その情報がほとんど出てこない。
仕事を休めない人やプロアスリートなどにとっては、たとえ数日間のことであったとしても重大な問題だ。

現役の医療従事者がワクチン接種後に急死している

接種後に急死した人が若い人も含めてすでに二桁いることも、あまり報道されていない。個別のケースが地方紙で散発的に記事が出るだけで、全国紙やテレビが包括的に報道しているのを見たことがない。
厚生労働省は5月12日、「新型コロナワクチン接種後の死亡として報告された事例の概要」として、「令和3年2月17日から令和3年5月2日までに報告された死亡事例は計 28 件となった。なお、上記に加え、令和3年5月3日から令和3年5月7日までに、医療機関又は製造販売業者から死亡として報告された事例が 11 件あった。」と報告した。
つまり、厚労省が把握しているだけで5月7日までに39件の死亡例があった。

画像は厚労省発表のデータより

厚労省が公開している「新型コロナワクチン(コミナティ筋注、ファイザー株式会社)接種後に死亡として報告された事例の一覧(令和3年2月17日から令和3年5月7日までの報告分)」から60代以下の死亡例だけ拾ってみると……、
  • 61歳 女 2021年2月26日接種 3月1日死亡 基礎疾患なし 死因:くも膜下出血
  • 46歳 男 2021年3月19日接種 3月20日死亡 基礎疾患なし 急性大動脈解離心タンポナーデ
  • 26歳 女 2021年3月19日接種 3月23日死亡 基礎疾患なし 脳出血(小脳)、くも膜下出血
  • 69歳 女 2021年3月17日接種 3月26日死亡 基礎疾患なし 脳出血
  • 65歳 男 2021年3月9日接種 3月28日死亡 基礎疾患不明 急性心不全(心臓死以外の原因となる所見なし)
  • 62歳 男 2021年4月1日接種 4月2日死亡  基礎疾患不明 風呂場で溺死
  • 51歳 男 2021年3月25日接種 4月8日死亡 基礎疾患なし 心室細動
  • 37歳 男 2021年4月5日接種 4月8日死亡 基礎疾患花粉症 死因不明
  • 55歳 男 2021年4月17日接種 4月19日死亡 既往症高血圧など 急性心筋梗塞
  • 44歳 女 2021年4月21日接種 4月25日死亡 基礎疾患なし  くも膜下出血
  • 45歳 女 2021年4月21日接種 4月26日死亡 基礎疾患なし 死因不明
  • 40歳 女 接種日不明 2021年4月26日死亡 死因不明
  • 26歳 男 2021年4月28日接種 5月3日死亡 基礎疾患片頭痛 死因不明
  • 63歳 女 2021年4月30日接種 5月3日死亡 基礎疾患なし 死因:脳底動脈瘤破裂、くも膜下出血
  • 51歳 女 2021年4月23日接種 5月7日死亡 基礎疾患:肺胞低換気症候群、肥大型心筋症、肺高血圧、腎不全(透析中)
  • 69歳 男 2021年4月29日接種 5月7日死亡 基礎疾患:大動脈解離、前立腺がん 死因:胸部大動脈解離
……となる。
その後も、
愛媛県は5月13日、医療従事者の50代女性が新型コロナウイルスのワクチン接種後に死亡したと明らかにした。2回の接種を受けたが、心不全や呼吸困難など副反応が疑われる症状があったという。(新型コロナ ワクチン接種後に50代女性死亡 医療従事者 副反応疑い症状あり 毎日新聞 2021/05/14

長崎県は13日、医療従事者を対象とした新型コロナウイルスワクチンの優先接種を受けた60代女性が、接種から数日後の今月上旬に死亡したと発表した。死因は脳底動脈瘤(りゅう)破裂とくも膜下出血で、現時点でワクチン接種との因果関係は不明。医療従事者の接種後の死亡確認は、県内で2例目。(ワクチン接種から数日後に死亡 長崎県の60代医療従事者 西日本新聞 2021/05/13

新型コロナウイルスのワクチン接種を巡り、神奈川県は14日、県内でこれまでに接種後に3人が死亡したと明らかにした。(ワクチン接種後、神奈川で3人死亡 2人の因果関係を分析中 神奈川新聞 2021/05/14

三重県は14日、県内で新型コロナウイルスワクチンの接種を受けた40代女性が接種から5日後の今月2日に死亡したと発表した。(新型コロナワクチン 40代女性、接種後に死亡 因果関係は不明 伊勢新聞 2021/05/15

……など、ここ数日だけでも、現役医療従事者を含むワクチン接種後死亡例が次々に報告されている。
65歳未満の死亡例はほぼ全員が現役の医療従事者だろう。つまり、健康体で毎日医療機関で働いていた人たちである。
わずか2か月あまりで健康体の現役医療従事者がワクチン接種後にこれだけの人数急死していることをどう捉えればいいのか。

二桁の急死例は「無視できる範囲」なのか?

これに対して、「現時点で医療従事者や高齢者などに行われたワクチン接種は合計400万回以上。接種後に死亡したのが39人なら、数百万人のうちの数十人だから無視していい」という論法がよく聞かれる。
厚労省も、2021年4月9日に公開した審議会資料の中で、「ワクチン接種後の出血性脳卒中死亡率は、0.12件/100万人・日であり、一般人口における出血性脳卒中死亡率0.97件/100万人・日と比較すると少ないので、問題ない」という論旨を記載している。
しかし、これはおかしいのではないか。ワクチン接種後に急死した人の中には現役の医療従事者が数多く含まれているのだ。病人や高齢者も含めた一般人口での出血性脳卒中の死亡率と比較するのは適当ではないだろう。
↑厚労省が2021/04/09に公開した審議会資料より。

インフルエンザワクチンの接種後の副反応疑いの死亡例と比較するなら分かる。これは過去10年以上にわたって、年間0件~4件程度である(厚労省「インフルエンザQ&A」より)。

さらには、ワクチン接種後の死亡例は厚労省に報告されている数十例がすべてではなさそうだ。
3月20日死亡の46歳の男性は旭川赤十字病院の事務職員である。3月19日に接種したが、翌20日に体調が急変し死亡。しかし、死亡原因がワクチン接種との関連性が証明できないとして、当初は報告されていなかった。それを、遺族が「報告してほしい」と要望し、4月になってから報告された(接種後に死亡、報告悩む医療機関…遺族は「国に伝えて」2021/05/09 読売新聞)。
他にも報告されていないケースがあるのではないだろうか。
さらには、これは死亡例だけであり、重篤な状態に陥ったケースは入っていない。数百例あるとも聞こえてくるが、そのデータもあるのかないのかよく分からない。
ワクチン接種後に重篤な状態になった人をしっかり病院が受け入れて治療できる体制が整っているのか、余裕があるのかも不安である。

打ちたくない人の人権を守れ

COVID-19感染での死者の年代別割合では、依然として若年層は低く、10代以下はほぼゼロである。


(画像は日本経済新聞社作成より)
それを踏まえると、若年層がワクチンを打って具合が悪くなったり、最悪死んでしまう確率と、ワクチンを打たずにCOVID-19になって重篤化したり死んでしまう確率と、どちらが高いのか……と疑いたくなる。
医療従事者がワクチン接種後に死亡した例では、40代、50代の女性が比較的多いように見える。
現段階で医療従事者で2回のワクチン接種を終えた割合は25%くらいらしいが、現場を知る医療従事者ほどワクチンの副反応には不安を抱えているのではないだろうか。しかし、口には出せないし、接種を拒否すると同調圧力で職場に居づらくなる。ただでさえストレス漬けの日々に、ワクチンストレスも加わって悲惨なことになっているのではないかと危惧する。

政府や厚労省は高齢者へのワクチン投与をとにかく急がせていて、まだワクチンが1箱も届いていない自治体にまで「7月末までに高齢者へのワクチン投与を完了させよ」と圧力をかけている。
新型コロナウイルスの高齢者へのワクチン接種をめぐる国の全国調査で、「7月末に完了できない」と回答していた兵庫県内の複数の市町に対し、国や県が強い働きかけをして完了時期を変更させていたことが神戸新聞の取材で分かった。国の12日の発表では、県内の全41市町が「7月末に完了」と回答しているが、実現に疑問を抱く市町も多く、調査の信頼性が問われる。(高齢者ワクチン接種完了時期 国が圧力「7月末で」 神戸新聞 2021/05/14

首都圏のある市長は4月下旬、総務省幹部から電話を受けて「7月に終わらせるにはどんな手伝いができるか」と繰り返し聞かれたという。医療従事者の確保が見通せず、8月以降と回答した市長は「『7月中にできる』と言わせたい様子だった。達成できなければ、自治体のせいにするつもりかもしれない」と憤る。同様の照会を厚生労働省から受けた首都圏の町長は「数字だけでも接種が進むように見せたくて、圧力をかけているのでは」と語った。(高齢者のワクチン接種「7月完了」に躍起の政府 自治体へ働き掛け強める 東京新聞 2021/05/13

しかし、今までも何度か書いてきたが、特養などの介護施設に入っている認知症の超高齢者に「機械的に」ワクチンを打つのは人道に反するのではないか
上記の厚労省が出している「死亡例」の中には、
  • 102歳 女 2021年4月12日接種 4月16日死亡 基礎疾患:誤嚥性肺炎、慢性心不全(大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症)、マインベース・テオロング・アムロジピン・テルミサルタン(を内服) 死因:誤嚥性肺炎、気管支喘息、心不全
  • 90歳 女 2021年4月20日接種 4月22日死亡 基礎疾患:心臓病、高血圧、大動脈解離(H24)、心房細動(R3)、脳梗塞、骨粗しょう症、バイアスピリン、リセドロン等内服 死因:急性心不全、心筋梗塞等
  • 101歳 女 2021年4月23日接種 4月26日死亡 基礎疾患:高齢、高度アルツハイマー型認知症 死因:心肺停止
  • 90歳台 女 2021年4月19日接種 4月20日死亡 基礎疾患:不明 死因:老衰
  • 92歳 女 2021年4月26日接種 4月28日死亡 基礎疾患なし 死因:老衰
  • 91歳 女 2021年4月27日接種 4月27日死亡 基礎疾患:アルツハイマー型認知症、慢性心不全・陳旧性心筋梗塞(3年以上前)、胆のうドレナージ術後(2021年1月) 死因:心肺停止
……といった、どう考えても本人がワクチン接種に対する理解ができていたとは思えないケースも載っている。
心臓病や脳梗塞の既往症のある90代以上の認知症高齢者にワクチンを打ってしまっているのだ。
しかも、死因が「心肺停止」とか「老衰」というのも多い(「心肺停止」が「死因」?)。この人たちは、介護スタッフや医療者以外、家族とも面会禁止で接触していなかったはずで、施設外で感染することも人に感染させることもありえない人たちだ。
そういう超高齢者に機械的にワクチンを投与して、数日後に亡くなったときの死因は「老衰」とか書いているのだ。余計なことをして終末期の苦しみや不安を増加させただけではないのか。
ただでさえ(コロナ以前から)、終末期の近い高齢者(特に認知症が進んでいる高齢者)への医療をどうするかは、医療者も家族も介護スタッフも、ものすごく悩みながら対応している。そうした苦労を無視するかのように、「国が早くワクチンを打てと言っているから打つ」という姿勢はどうなのか。介護や医療現場の思考停止につながりかねないのではないか。
「接種後に老衰で亡くなることがある」と伝える? m3.com
最後のケースの91歳女性の報告には、「接種当日の朝の食事は全量摂取するなど著変なし。(ワクチン接種との)因果関係あり」と記されている。

こういう状況の中で、厚労省から各自治体へ、高齢者向けのワクチンが間に合わない場合、医療者用に配布した分を回すようにとの指示があったという(「ワクチン足りず、医療従事者用を回せ」国が高齢者接種の7月末完了で“脅し” 自治体が反発 2021/05/13 AERA DOT)。

厚労省からの指示書。画像はAeraドット より

何がなんでも高齢者へのワクチン接種を完了させたことにしたいのだろう。
都心に大規模ワクチン接種会場を設営というが、感染を恐れて家に籠もっていた高齢者たちがゾロゾロと長距離移動して東京に集まってくることのほうがよほど感染リスクが高いのではないか?
……もう、滅茶苦茶である。

とにかく、「現状の各種データを分かりやすく可視化して示してくれ」と言いたい。
判断するための正しい材料を提示してくれ。
データや情報を出さないまま、ウケ狙いや前のめりの報道はやめてほしい。
同調圧力鍋の中で国民がグツグツと煮込まれていくような社会には大きな悲劇が待っている。それは歴史が何度も証明してきた。
この調子では、1年後、2年後、この国はどうなっているのか。


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アジアにおけるワクチン接種率2021/05/17 15:54

モンゴルのCOVID-19死者数の急増(worldometers.infoより)
昨日(2021/05/16)、COVID-19の感染率、死亡率や、ワクチン接種とその効果と不安材料に関する報道について、いろいろ危惧する点がある、ということを書いた。
何度も追記して長くなってしまったし、公開後に新たに知ったデータなどもあるので、ここで、問題点別にまとめなおしてみたい。
(2021/05/19~ さらに改稿)

「大阪はインドより死者数が多い」は本当だが……

まず、アジア圏(特に東アジア)の諸国では欧米諸国より1桁も2桁も死者数が少ないこと(ファクターX)を無視した報道が多い。
例えば、最近「大阪のCOVID-19死者数はインドより多い」という発言が話題になっている。確認すると、大阪府のCOVID-19による累計死者数は1958人(5/17時点)で、人口100万人あたりにすると約223人。インドは191人。確かに「インドより多い」とは言える。
ちなみに、5月8日時点ではそれぞれ192人対174人だったから、どちらもここ9日間で一気に増えている。このまま増え続けると、コロナだけでなく、他の病気や怪我でも適切な対応をしてもらえず命を落とす確率が増えるという怖ろしい事態が待っている。
この「インドより多い」という表現は、インドはCOVID-19死者数が飛び抜けて多い国だというイメージのもとで語られているフシがあるが、実際にはインドの人口あたり死者数は世界100位前後で、累積死者数では「飛び抜けて死者が多い国」とは言えない。
しかし、現在のインドの死者数増加スピードは凄まじく、
インドは、新規感染の平均報告数で世界でも最多となっている。世界で報告される1日の新規感染者の約2人に1人の割合を占める。 (ロイター COVID-19 TRACKER
だそうだ。
また、インドは感染者数はやや減少傾向になっているようだが、ネパール、日本は増えたままなかなか減らない。


日本政府最大の失策は水際対策の失敗と状況把握の遅れ

人口300万人以上の国の、人口100万人あたりのCOVID-19死者数順位は、

ハンガリー(3027人)、チェコ、ボスニア、ブルガリア、北マケドニア、スロバキア、ベルギー、スロベニア、イタリア、ブラジル、ペルー、イギリス、ポーランド、クロアチア、アメリカ、スペイン、メキシコ、ポルトガル、フランス、ルーマニア、コロンビア(1583人)……の順(worldometers.info 2021/05/17時点での集計より)。

多くの日本人はイメージできていないと思うのだが、東欧諸国がものすごく多い
インドの197人は欧米諸国より1桁低い。日本は91人でインドの半分くらいということになっているが、インドは人種的にはアーリア系が多く、日本を含めた東アジア諸国(モンゴロイド系が多い)とは「ファクターX」的な要因がかなり違うであろうことも頭に入れておかなければならない。
ちなみに、韓国は37人、オーストラリアは35人、タイは8人、ニュージーランドは5人、台湾は0.5人、ベトナムは0.4人……で、アジア、オセアニア圏の国では日本の死者数は非常に多い
「日本は欧米諸国に比べて非常に少ない」ではなく「アジア諸国の中ではインド、インドネシア、フィリピン、ネパールの次に多く、韓国の倍以上、香港の3倍以上、台湾の180倍以上の割合で死者が出ている」と伝えるのが正しい。
東アジア諸国で死者が少ないのは人種的(HLA=ヒト白血球抗原型など遺伝子関連の)要因が「ファクターX」になっているのだろうということは、今では世界中の研究者が考えている。しかし、オーストラリアやニュージーランドは人種的には欧米諸国に近いので、イギリスやアメリカ並みに死者が出ていてもおかしくなさそうだが、日本よりずっと少ない。
これは両国とも島国であるという特質を生かして、水際対策を徹底し、感染拡大防止策もしっかりやってきたことが成功しているのだろう。
同じ島国の日本はそれがユルユルだった結果、もはや手遅れ状態になってしい、他国よりも遅れた今になって危機が増大していることも、メディアはしっかり伝えなければならない。

ワクチンですべて解決となるかはまだ分からない

メディアは「日本のワクチン接種率1.1%でOECD中最下位」といった報道をしたがる。
OECDは「経済協力開発機構」のことで、現在37か国が加盟している。しかし、その37か国中、アジアの国は日本と韓国だけである。
では、COVID-19の死者が欧米より極端に少ないアジア諸国のワクチン接種率は現在どのくらいなのだろうか。
日本経済新聞社が「チャートで見るコロナワクチン 世界の接種状況は」というデータをまとめてくれている。それによると、アジア諸国では、

国:100人あたりの接種回数(多い順)
  1. モンゴル:72.8回
  2. ブータン:63.1回
  3. シンガポール:55.0回
  4. 中国:25.3回
  5. 香港:24.4回
  6. インド:12.9回
  7. 韓国:8.6回
  8. ネパール:8.6回
  9. インドネシア:8.3回
  10. マレーシア:5.9回
  11. 日本:4.8回
  12. ミャンマー:3.3回
  13. タイ:2.9回
  14. フィリピン:2.4回
  15. ベトナム:0.9回
  16. 台湾:0.8回
……となって、日本はやはり下から数えたほうが早い。
しかし、よく見ると感染防止対策を絶賛され、実際に死者数も100万人あたり0.5人しかいない台湾が最下位なのだ。
日本が100人あたり4.8回なのに対して台湾は0.8回。5分の1以下である。
それなのに100万人あたりの死者数は日本が91人に対して台湾は0.5人。日本は台湾の182倍である。
台湾やモンゴルは今までほぼ完全に感染を押さえ込めていたが、ここにきて、おそらく変異株の影響があるかと思うが、急に感染者、死者が出てきたため、急遽ワクチン接種政策を進めている。

↓国:100万人あたりの死者数(累積)、100人あたりの接種回数、100万人あたりの検査数
  1. インド:197人、12.9回、226,213人
  2. インドネシア:174人、8.3回、56,252人
  3. フィリピン:173人、2.4回、113,832人
  4. ネパール:169人、8.6回、93,640
  5. 日本:91人、4.8回、103,731人
  6. モンゴル:62人、72.8回、850,497人
  7. ミャンマー:59人、3.3回47,540人
  8. マレーシア:58人、5.9回、320,936人
  9. 韓国:37人、8.6回、182,298人
  10. オーストラリア:35人、11.1回、681,057人
  11. 香港:28人、24.4回、1,965,735人
  12. タイ:8人、2.9回、116,148人
  13. ニュージーランド:5人、7.9回、416,339人
  14. シンガポール:5人、55.0回、1,772,663人
  15. 中国:3人、25.3回、111,163人
  16. ブータン:1人、63.1回、957,402人
  17. 台湾:0.5人、0.8回23,948
  18. ベトナム:0.4人、0.9回31,514
(↑青字は日本よりワクチン接種率が低い。緑字は日本より検査数が少ない。)
これを見る限り、ワクチン接種率と死者数は比例していないように見えるが、ワクチン接種開始前に医療崩壊などで一気に死者が出たケースが多いだろうから、累積の死者数との比較ではなく、今後の動向を注視しなければならない。

モンゴルの今後の動向が気になる

特に気になったのは、昨年まで死者数ゼロだったモンゴルが、ここにきて突然、感染者数も死者数も増え始めたことだ。

モンゴルの新型コロナ感染者数↑と死者数↓の推移グラフ。(worldometersinfoより


モンゴルが今までCOVID-19での死者ゼロだったのは、草原地帯などが多く、人口密度も低い国内にウイルスが入ってきていなかったからだろう。それが一気に感染が広がったことの背景には、何らかの変異株が入ってきて、今までの均衡を破ったのではないかと疑う。同じモンゴロイド系人種の国でのことだけに、今後どうなっていくのかが非常に気になる。
モンゴルは感染者が出てきた今年2月から急遽ワクチン接種に乗り出し、急ピッチで接種人口を増やした。上記データによれば、目下人口100人あたりの接種回数は72.8回で、アジア圏諸国の中でも断トツトップである。そのため、感染者数は減ってきているが、今後、もし感染者数や死者数が下がりきらずにあるレベルでダラダラ続くとしたら、日本にとっても大きな不安材料になる。

医療体制の改革と水際対策の徹底が急務

これらのデータから読み取れることは、ファクターXがほぼ同じ国であれば、死者が増えるかどうかは、感染拡大を抑えられるか、医療崩壊を防げるかにかかっているということだ。
つまり、COVID-19で重症者・死者を出さないための最大の施策は水際対策の徹底と感染防止の努力、そして医療崩壊を防ぐことだろう。
マスクをするとか密を避けるといった努力は国民一人一人の意識で対処できるが、水際対策や医療体制のほうは国民サイドではどうにもならない。
水際対策、感染防止策がこれだけルーズな国で10万人規模の入国者が大都市に集まる東京五輪を開催するのは、世界に対して無責任だと非難されても仕方がない。
最近、スポーツ競技会開催における感染防止策として「バブル」方式という言葉をよく聞くようになった。
競技会開催中、選手を「泡(バブル)」の中に包み込むように外部との接触を完全遮断するというものだ。
チームごとにホテルのフロアを貸し切り、食事も練習も別時間、別空間にして混じらせない。ホテルの各フロアには警備員を配置して選手や関係者が無断で出入りしないように見張る。
しかし、オリンピックのような大規模な大会でこれが可能だろうか? 仮にできたとしても、それはもはや「平和の祭典」「国や人種の垣根を越えた国際交流の場」とはほど遠い、囚人の護送のような風景になってしまう。
そんな大会にわざわざリスクを冒してまで出たくないと、出場を拒む選手も続出するだろう。そうなれば「世界最高レベルのスポーツ大会」でもなくなる。
こうした視点での議論もあまりなされていない。
オリンピックを中止しろ、いやそれはヒステリーだ、といった二項対立を煽るのではなく、きちんと「開催できる可能性と条件」「この状況下で強行する意義」について、データに基づいた論理的議論をしてほしいものだ。

認知症高齢者、基礎疾患のある高齢者へのワクチン接種を再考せよ

最後に、前回も書いたことだが、特養などの介護施設に入っている認知症の超高齢者に「機械的に」ワクチンを打つのは人道に反すると私は思っている。
前回も掲載したが、厚労省が公開している「新型コロナワクチン接種後に死亡として報告された事例の一覧(令和3年2月17日から令和3年5月7日までの報告分)」の中に見られる、認知症や心不全、脳梗塞歴を持つ高齢者の死亡例をもう一度見てほしい。
  • 102歳 女 2021年4月12日接種 4月16日死亡 基礎疾患:誤嚥性肺炎、慢性心不全(大動脈弁狭窄症兼閉鎖不全症、三尖弁閉鎖不全症)、マインベース・テオロング・アムロジピン・テルミサルタン(を内服) 死因:誤嚥性肺炎、気管支喘息、心不全
  • 90歳 女 2021年4月20日接種 4月22日死亡 基礎疾患:心臓病、高血圧、大動脈解離(H24)、心房細動(R3)、脳梗塞、骨粗しょう症、バイアスピリン、リセドロン等内服 死因:急性心不全、心筋梗塞等
  • 101歳 女 2021年4月23日接種 4月26日死亡 基礎疾患:高齢、高度アルツハイマー型認知症 死因:心肺停止
  • 90歳台 女 2021年4月19日接種 4月20日死亡 基礎疾患:不明 死因:老衰
  • 92歳 女 2021年4月26日接種 4月28日死亡 基礎疾患なし 死因:老衰
  • 91歳 女 2021年4月27日接種 4月27日死亡 基礎疾患:アルツハイマー型認知症、慢性心不全・陳旧性心筋梗塞(3年以上前)、胆のうドレナージ術後(2021年1月) 死因:心肺停止
稀ではあるが、新型コロナワクチンの副反応の中でもいちばん危険だと疑われているのは、抗体反応と関係して血栓ができ、心不全や脳卒中などを起こして急死するというものだ。それなのに、ただでさえ抵抗力のない超高齢者にワクチンを機械的に打つのは、どう考えても間違っていると思わざるをえない。
例えば、終末期にある認知症高齢者が大腿骨骨折した場合、手術を受けさせるべきか、誤嚥性肺炎を悪化させて口から食事が取れなくなったとき、経管栄養を施すべきか。そうした難しい問題に完全な正解はない。本人がすでに判断力を失い、寝たきりに近い状態の場合、医師や家族が代わりに決断しなければならない。本人がいかに苦しまず、穏やかな終末期を過ごせるかを考え抜いた末に決めなければならない。
そうした苦労を無視するかのように、「国が早くワクチンを打てと言っているから打つ」という姿勢はどうなのか。介護や医療現場の思考停止につながりかねないのではないか。

また、日本でワクチンの副反応と疑われる死亡例や重篤化例が目立つのは、欧米人と同じ量を打っていることも一因になっているのではないかという指摘をする医師もいる。副反応の重さや報告例は1回の接種の量に比例するというデータもあるそうで、平均体重が欧米人よりも軽い東アジアの人たちには欧米での量と同じでは過剰なのではないかというものだ。確かに、超高齢で体力もなく、体重も軽い人がほとんどの高齢者施設入所者などに大柄な欧米人と同じ量をそのまま打ってしまっている現状は問題がありそうだ。
終末期にある高齢者たちが、ていねいな介護のもとで穏やかな終末期を過ごす権利を奪われるようなことにならぬよう、慎重な対応が求められる。
ともかく、医療従事者を含めて、ワクチン接種は自由意志に基づくという大原則の厳守、ワクチン差別をさせない広報と共に、早急に考えてほしい課題である。



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ルクセンブルク、モンゴルに学ぶCOVID-19最新情勢と対策2021/05/19 22:06

COVID-19を巡る世界の情勢は去年と今年では大きく変わった。
最新データから読み取れることは主に、
  • 今年初めくらいから欧米や中東の一部を中心にワクチン接種が始まったことで、欧米では感染者数や死者数が徐々に減ってきた
  • 変異株が多数現れて「ファクターX」の内容も微妙に変わり、今では感染の主舞台がアジアに移ってきた感がある
  • 医療体制をしっかり建て直した国と崩壊したままの国で、「死亡率」に開きが出ている
……といったことだ。
以下、いくつかの国をモデルに、最新のCOVID-19状況を把握してみたい。

ルクセンブルク

最近、Netflixで『カピタニ』という刑事ドラマを見て、制作国であり、ドラマの舞台となっているルクセンブルクという国に興味を持った。
Wikiによれば、
  • 神奈川県や佐賀県くらいの面積に人口は約50万人。(同じくらいの面積の神奈川県は約870万人、佐賀県でさえ87万人)
  • 首都ルクセンブルクは、ベルギー、ドイツ、フランスに囲まれ、ブリュッセルやストラスブールと並んで、ヨーロッパのど真ん中に位置する世界都市
  • 道路や空路(航空貨物大手のカーゴルックス航空が本拠地を置く)といった交通網がよく整備されていて、オランダ(国際的な海運業の中核)にも近い「欧州における物流の要所」
  • 国民1人あたりのGDPは世界第1位
  • 税金が安く、英語やフランス語、ドイツ語といった「欧州の主要言語がすべて通じる」理想的な環境にあるため、欧州圏にビジネス展開しようとする世界企業にとっては魅力的な立地条件を有している
  • IT先進国で、アップル、eBay、Skypeなど数多くの世界的IT企業が本社機能を移転している
  • 高度に発達した工業と豊かな自然(特に田園風景)とが共存。その自然の豊かさから「欧州における緑の中心地(Green heart of Europe)」と称される
  • 情報通信分野(放送メディア産業)の振興に力を入れてきた結果として、現在はRTLグループ(欧州随一の規模を誇る放送メディアの企業複合体)とSES S.A.(欧州のみならず世界有数の規模を誇る衛星放送事業者)の二大メディア複合体を擁し、欧州における同分野の中核を担っている
……のだそうだ

未だにワクチン接種予約方法が超アナログで混乱をきたしている日本から見るといろいろな点で羨ましい限りだ。
しかし、ルクセンブルクは世界の中でもCOVID-19感染が相当厳しい地域に位置している。様々な国に囲まれ、交通の要所でもあるということは、感染予防の点からは極めて不利な条件下にあると言えるだろう。

感染地域のまっただ中の小国。さぞ死者も出ているのではないかと思ってチェックしてみると、

↑ルクセンブルクのCOVID-19死者数の推移(worldometers.info より)
↑ルクセンブルクでは昨年3月に第1波がきて死者がかなり出た後はかなり踏みとどまり、年末年始にかけて大きな波がきて、今も増えたり減ったりしているが、感染者数に比べると死者は概ね少ない。
昨年11月のピーク時、感染者が1日1万人を超えていたが、死者は10人/日が最高で、それ以上にはならなかった。医療崩壊していなかった証拠だろう。

感染者数の推移を見ると、

↑ルクセンブルクの感染者(検査陽性者)数の推移(worldometers.info より)
やはり昨年末に急増している。
ルクセンブルクでのワクチン接種は今年1月から始まり、現在はおよそ国民の32%ということらしい。
これはヨーロッパ諸国としては平均的な数字だろう。
ちなみに、日本は2月末あたりから始まって、現在はおよそ3.5%。だいぶ違う。
↑ルクセンブルク、ヨーロッパ平均、日本のワクチン接種率の推移(Our World in Data より クリックで拡大)

ワクチン接種率が3割を超えたのが今年の3月半ばで、それ以降、徐々に新規感染者数も死者数も減っている。
次のグラフはルクセンブルクの感染者が無事に回復・退院した割合と死亡に至った割合の推移だ。

↑オレンジの線が死者の割合、緑が回復した人の割合(worldometers.info より)
昨年3月13日に最初の死者が出て以来、一気に下がり、以後は新規感染者数に比例して死者も増減しているが、「死亡率」は低いまま抑え込んでいることが分かる。

これはとても重要なデータで、医療崩壊をしたかどうかの指標になる。

日本

日本ではどうかというと、こうなる↓

↑日本の場合。回復者(緑色)と死者(オレンジ色)の割合の推移(worldometers.info より)
昨年3月~5月にかけては医療現場が混乱していたことが窺える。その後も夏にかけての死亡率は一気には下がらず、秋になってなんとか踏みとどまったことが分かる。

これは「感染した後に死亡した割合」であり、「死者数」ではない。感染者数と死者数の推移はこうなる↓

日本の場合。↑新規感染者数 と ↓死者数の推移(worldometers.info より)


死亡率は低く抑え込めているものの、感染者数に比例して死者数も増えていることが分かる。

↑新規感染者数(オレンジ色)と回復者数の推移(worldometers.info より)

インド

これが、目下医療崩壊が深刻なインドの場合だとこうなる↓。


↑インドの感染者数推移。今年4月に一気に上がり、今はなんとか減る傾向を見せているように見えるが……。(worldometers.info より。以下同)
↑インドの死者数推移。感染者数は減る傾向を見せているが、死者数はまだ下がっていない。


↑インドでの回復者と死者の割合の推移。割合にすると低いままだが、感染者数が多いので死者数は下がっていない。

インドでは医療崩壊が起きていると思われる。新規感染者数が減っているというのも、医療現場がパンクしているため検査が追いついていないだけではないだろうか。死者数についても、実際にはもっとずっと多いのではないかと疑われている。
日本がこうなるかならないかは、今が正念場だろう。その緊張感が、政府からまったく伝わってこないのは悲劇だ。

モンゴル

目下、私が最も注視している国がモンゴルである。
モンゴルは、昨年はずっと新規感染者が毎日一桁、二桁で続き、死者も出さないという、アジアの中でもCOVID-19被害が極端に少ない国だった。
それが今年3月に突然、感染者が1万6000人を超えるという急増に見舞われた。

↑モンゴルの感染者数↑ と 死者数↓

1日の死者数はずっとゼロだったが、今年4月以降には最多で12人という日もあった


↑5月19日現在の累積死者数は227人(worldometers.info より

モンゴルが他のアジア諸国と違うのは、それまでずっと感染者がゼロに近かったのに、感染者、死者が出ると直ちにワクチン接種を開始し、ものすごいスピードで摂取率を上げたことだ。
広い国土に人口が332万人程度という、極端に人口密度が低い国だからできたという面があるが、それにしても徹底している。

↑ごく短期間で、すでに国民の半数以上がワクチンを接種している。

同国は、今年に入って「一戸 一人」PCR検査実施キャンペーンを始め、その後すぐ、2月23日からワクチン接種をスタートさせる計画を立て、実行に移した。
国立感染症センターの倉庫にワクチン保管室が設置され、1月には-70度の冷凍機を26台(18万人分収蔵可能)を購入。
感染リスクの高い保健分野の医療従事者、警察をはじめとする公務員、高齢者、基礎疾患のある人を優先とすることも決められた。(montsame 2021/02/18
肝心のワクチンは、2月22日に、アストラゼネカ(製造はインド血清研究所)15万本、シノファーム(中国医薬集団)製30万本が到着。それらはインド政府、中国政府が無償提供。さらにはロシア製のスプートニクVも3月第一週に到着。
シノファームとスプートニクVについては世界保健機関(WHO)の許可が下りていない3月5日の段階で、モンゴル保健省が独自の判断で承認して接種を開始した。
その他、COVAXプログラム(WHOの途上国向け新型コロナウイルスワクチン共同購入枠組み)も利用してファイザーやモデルナのワクチンも使用しているらしい(その割合などは非公表)。
ワクチン接種費用のために世界銀行からおよそ5000万ドルの融資も受ける予定。
ワクチン以外では、4月10日から外出禁止令を発令し、全国民に1人当たり一律30万トゥグルク(約1万1,400円)を給付(情報元は「ビジネス短信」など)……と、とにかく徹底している。

モンゴルはモンゴロイド系人種の代表といえ、日本人とはHLA型をはじめ、遺伝子要因がかなり共通していると思われる。そのモンゴルが目下アジアにおいて最もワクチン接種率が高いわけで、今後、感染者数、死者数がどのように推移していくのか、注視している。
ワクチンの効果か、すでに感染者数は減ってきているようだ。
このまま一気に減っていけばいいのだが、もし、なかなか下がりきらずに死者も一定レベルで出続けるようなことになれば、日本にとっても相当怖ろしいことになる。

ワクチン接種率の推移。上からモンゴル、ルクセンブルク、インド、世界平均、日本 (Our World in Data より クリックで拡大

自己防衛を徹底するしかない

日本は残念ながら、ワクチン接種のシステムも滅茶苦茶だし、政府は問題の核心を直視せず、政局がどうのとか、政権維持がどうのという関心しかない。
この状況がすぐに改善されることは不可能なわけで、国民はひたすら冷静に状況を分析し、自分でできる感染防止策を続けるしかない。
もう飽き飽きしているとは思うが、極力人混みには出ない、人がいる場所ではマスクをする、といったことを続けるしかないだろう。
パニックや偏見で行動することがいちばん危険であり、社会状況を悪化させる。
そうなると、コロナそのもので健康を損なうよりはるかに怖ろしく、息苦しい社会になっていく。
それを避けることは、我々一人一人がしっかり意識を持って行動することで可能なはずだ。


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