参院選2019まとめ 山本太郎のゲリラ戦法など ― 2019/07/22 14:10
記憶が薄れないうちに、今回の参院選で「忘れてはいけないこと」をいくつかまとめておきたい。
要するに、国民の多くが、もはや投票所に足を運ぶだけの気力すらないほどに疲弊し、空虚感、無力感に支配された生活をしているということだ。
しかし山本自身は重度障害を持つ候補者二人を「特定枠」に置いたために、れいわが獲得した2議席分の得票(224万票あまり)では届かず、断トツ1位得票者でありながら落選した。
このことをマスメディアは「山本太郎落選」と伝えるが、車椅子や介護者がいないと発言も移動もできない議員を二人も国会に送り込んだことは、歴史的な出来事である。
議場では投票の際に議員が階段を上らなければならないし、車椅子で着席できる仕組みもない。議場には議員本人しか入れないという現行ルールを改正しない限り、当選しても議員は議場にすら入れない。この「国会の場がそもそもバリアフリーになっていない」ことを、山本は国民に改めて知らしめた。
これは、巨大な敵に立ち向かうためのゲリラ戦としては見事な勝利である。
本来なら、重度障害者を立候補させるということが分かった時点で報道価値があるはずである。候補予定者本人に取材してしかるべきだろうに。
これは何に対しての「忖度」なのか?
自治労役員、野田内閣時の首相補佐官、郵政労組役員、NTT労組出身の情報労連組織内候補、私鉄総連局長。
↑これは立憲民主党比例区上位当選者5候補のプロフィールである。この5人までが10万票を超えた。この結果を見れば明らかなように、立民は候補者選びの段階で国民に魅力を発信できていない。「個人の力」を引き出し、活躍させる土壌ができていないのだ。
テレビCMも下手すぎる。依頼している広告代理店が意図的に「ダサく」作って立民離れを仕掛けているのではないかと思うほどひどい。
要するに立民は「自己分析」ができていないのだ。
実働部隊として戦力になる候補者がいないわけではない。
原発問題で超人的な情報収集、データ解析能力を発揮してきたおしどりマコや、元NHK記者で、普天間基地問題の現場にも突撃取材を敢行する「元気な老人」小俣一平らは、議会に送り込めれば何人分もの起爆力を持っていたと思う。
しかし、おしどりマコは3万票に届かず、立民の比例区候補者(当選は8人)のうち12位、小俣は1万票すらとれずに同18位。
今回、NHKから国民を守る党が1議席を獲得したことが話題になっているが、立民は「今のNHKのあり方に憤りを感じている人は、ぜひ小俣一平氏に一票を投じてください。NHKの内実をいちばんよく知っているのは彼です」といったPRをすればよかった。
そういう戦略、小回り戦法ができないと巨大与党と渡り合えるはずがない。
「ならぬものはならぬ」「正々堂々と正面から挑む」とか言って、鎧甲冑に槍を持って新政府軍に突っ込んでいって討ち死にした会津藩みたいなことになる。それでは過去の社会党と同じ運命をたどることになりはしないか。
枝野代表は真面目さ、清廉さが売りだが、それだけでは「無党派層」を惹きつける求心力が足りない。合理性を持った策士や力技で動けるパフォーマーが必須だ。
山本太郎はその二役を一人でこなしたといえる。
マコ&一平は、次は衆院選でれいわから立候補してほしい。今の立民にいる限りは、活躍の場が与えられないまま歳だけ取ってしまうだろう。
ちなみにテレ東の選挙特番で、池上彰が山本太郎に「なぜ旧体制を守ろうとした新選組の名前を使うのか」みたいなことを言っていたが、戊辰戦争のことをよく分かっていないのではないか。
新選組(あのときは「新撰組」)は、東北戊辰戦争で会津藩の総大将となった西郷頼母(たのも)に「ゲリラ戦でなければ勝てない」と主張した。頼母はそれを拒否して「我々は正面から正々堂々と戦う」などと言って、最新兵器を持ちながらゲリラ戦を仕掛けてくる新政府軍に甲冑姿で突っ込んでいき、玉砕した。それではダメなわけで、「新選組」という名前はあながち間違ってはいないと思う。
このままでは若い人たちに安心した社会を引き継がせられないと訴える野党が若い世代からは支持されておらず、ある程度歴史を見てきた高齢者たちが現政権に危機感を抱いて野党に投票しているというのは実に皮肉だ。
選挙のたびに、若い世代に「投票しましょう」と呼びかけるポスターやら広告を目にするが、もういいんじゃないか。
そんな呼びかけよりも、メディアが現実をきちんと伝える努力をすることが先だ。
投票所に足を運ぶ気力がない
投票率が48.8%で、50%を割ったのは24年ぶり。過去2番目の低さだというが、過去最低の44.52%は1995年の参院選で、このときはまだ期日前投票制度がなかった時代だから、実質、今回が過去最低といえる。ちなみに今回の期日前投票数は過去最高である。要するに、国民の多くが、もはや投票所に足を運ぶだけの気力すらないほどに疲弊し、空虚感、無力感に支配された生活をしているということだ。
策士・山本太郎 ゲリラ戦を仕掛けて勝利
れいわ新選組を立ち上げた山本太郎は、比例区でおよそ98万票を獲得して、比例区の個人獲得票では断トツの1位になった。ちなみに2位、3位は自民党、公明党の候補者でどちらも59万票あまり。しかし山本自身は重度障害を持つ候補者二人を「特定枠」に置いたために、れいわが獲得した2議席分の得票(224万票あまり)では届かず、断トツ1位得票者でありながら落選した。
このことをマスメディアは「山本太郎落選」と伝えるが、車椅子や介護者がいないと発言も移動もできない議員を二人も国会に送り込んだことは、歴史的な出来事である。
議場では投票の際に議員が階段を上らなければならないし、車椅子で着席できる仕組みもない。議場には議員本人しか入れないという現行ルールを改正しない限り、当選しても議員は議場にすら入れない。この「国会の場がそもそもバリアフリーになっていない」ことを、山本は国民に改めて知らしめた。
これは、巨大な敵に立ち向かうためのゲリラ戦としては見事な勝利である。
意図的に山本太郎を黙殺するマスメディア
選挙前に、山本の行動をしっかり報じているマスメディアはほとんどなかった。特にテレビは完全無視に近かった。本来なら、重度障害者を立候補させるということが分かった時点で報道価値があるはずである。候補予定者本人に取材してしかるべきだろうに。
これは何に対しての「忖度」なのか?
前に言いましたが、選挙終わってから候補や政党や支援団体のことを特番で見せられてもどうしろと言うんですか?まったくその通りである。
遅いだろう! 全く役に立たない。メディアが公職選挙法の改正を大優先にしないなら、開票特番やめて全部アニメでいいです。オチはありませんm(__)m
(デーブ・スペクターのツイッターより)
立憲民主党の「社民党化」「硬直化」を懸念する
れいわ新選組の健闘に対して、立憲民主党の魅力が一気に薄れたことが強く印象づけられた選挙でもあった。自治労役員、野田内閣時の首相補佐官、郵政労組役員、NTT労組出身の情報労連組織内候補、私鉄総連局長。
↑これは立憲民主党比例区上位当選者5候補のプロフィールである。この5人までが10万票を超えた。この結果を見れば明らかなように、立民は候補者選びの段階で国民に魅力を発信できていない。「個人の力」を引き出し、活躍させる土壌ができていないのだ。
テレビCMも下手すぎる。依頼している広告代理店が意図的に「ダサく」作って立民離れを仕掛けているのではないかと思うほどひどい。
要するに立民は「自己分析」ができていないのだ。
実働部隊として戦力になる候補者がいないわけではない。
原発問題で超人的な情報収集、データ解析能力を発揮してきたおしどりマコや、元NHK記者で、普天間基地問題の現場にも突撃取材を敢行する「元気な老人」小俣一平らは、議会に送り込めれば何人分もの起爆力を持っていたと思う。
しかし、おしどりマコは3万票に届かず、立民の比例区候補者(当選は8人)のうち12位、小俣は1万票すらとれずに同18位。
今回、NHKから国民を守る党が1議席を獲得したことが話題になっているが、立民は「今のNHKのあり方に憤りを感じている人は、ぜひ小俣一平氏に一票を投じてください。NHKの内実をいちばんよく知っているのは彼です」といったPRをすればよかった。
そういう戦略、小回り戦法ができないと巨大与党と渡り合えるはずがない。
「ならぬものはならぬ」「正々堂々と正面から挑む」とか言って、鎧甲冑に槍を持って新政府軍に突っ込んでいって討ち死にした会津藩みたいなことになる。それでは過去の社会党と同じ運命をたどることになりはしないか。
枝野代表は真面目さ、清廉さが売りだが、それだけでは「無党派層」を惹きつける求心力が足りない。合理性を持った策士や力技で動けるパフォーマーが必須だ。
山本太郎はその二役を一人でこなしたといえる。
マコ&一平は、次は衆院選でれいわから立候補してほしい。今の立民にいる限りは、活躍の場が与えられないまま歳だけ取ってしまうだろう。
ちなみにテレ東の選挙特番で、池上彰が山本太郎に「なぜ旧体制を守ろうとした新選組の名前を使うのか」みたいなことを言っていたが、戊辰戦争のことをよく分かっていないのではないか。
新選組(あのときは「新撰組」)は、東北戊辰戦争で会津藩の総大将となった西郷頼母(たのも)に「ゲリラ戦でなければ勝てない」と主張した。頼母はそれを拒否して「我々は正面から正々堂々と戦う」などと言って、最新兵器を持ちながらゲリラ戦を仕掛けてくる新政府軍に甲冑姿で突っ込んでいき、玉砕した。それではダメなわけで、「新選組」という名前はあながち間違ってはいないと思う。
若者を無理に投票所に引っぱり出さなくてもよい
18、19歳有権者の投票先は自民が41%でトップ。立憲が13.9%で2位。れいわは4番手の7.4%。 年代別では自民は20代、公明は10代で最も高く、立憲は40代まで、共産は50代までの得票率が全世代の平均値を下回り、ともに70代以上の得票率が最高だった。(時事通信より)このままでは若い人たちに安心した社会を引き継がせられないと訴える野党が若い世代からは支持されておらず、ある程度歴史を見てきた高齢者たちが現政権に危機感を抱いて野党に投票しているというのは実に皮肉だ。
選挙のたびに、若い世代に「投票しましょう」と呼びかけるポスターやら広告を目にするが、もういいんじゃないか。
そんな呼びかけよりも、メディアが現実をきちんと伝える努力をすることが先だ。
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