川内村のカエルたちに未来はあるか2011/09/01 16:08

2008年のモリアオガエルの子

これは変態直後のモリアオガエル。まだ尻尾が残っているが、まるまると太って緑色の発色もよい。変態後に池や沼の周りの草木に登って、しばらくじっとしているが、そのうち森へと入っていく。
……これが正常。この写真は2008年8月に我が家の池のそばで撮ったもの。

で、今年はどうかというと……


これが今年2011年8月にかろうじて変態した直後のモリアオガエル。これは、下川内という川内村の浜側の地域、20km警戒区域ぎりぎりの水田脇樹上に産みつけられていた卵を、そのままだと真下に水がなかったので救出して、うちで孵化させてからオタマを池に放しておいたもの。
2008年のモリアオも同様に「救出卵」から孵化したオタマが我が家の池で育ったもの。条件は同じはずだが、変態直後の姿があまりにも違いすぎる。

今年生まれたカエルは、モリアオガエルだけでなく、アカガエルもアズマヒキガエルも全部小さかった。あまりに小さいと、変態後に死んでしまう。肉付きも悪い。
天候不順のシーズンでは、オタマが成長しきらずに小さなカエルとして変態することはあるが、今年の場合、7月以降、気温も上がっていたし、成長しきらない要因はあまり見あたらない。
考えられるのは、産卵~細胞分裂時期に浴びた放射線。モリアオガエルの卵を採取した下川内の田圃脇はかなり線量が高かった。空間線量で1μSv/h前後はあった。産卵時期にはもっと高かったはず。
これが原因で小さいまま変態したのではないか……と、どうしても疑ってしまう。


ちなみに、今年は平伏沼(モリアオガエルの繁殖地として国の特別天然記念物指定を受けている)のモリアオガエルの卵は全滅した。半分くらいの卵が孵化まではいったと思うが、落ちた場所に水がなかったのでオタマはそのまま干からびて全滅。


平伏沼が渇水したのは放射能とは関係がない。
6月半ばくらいまではかろうじて水はあった。7月に入ってからすっかり水が抜け、以後、かなりまとまった雨が降った直後も水はまったく溜まらない状態になっている。
明らかに、沼周辺の山全体の保水力が低下しているのだ。
以前、沼の周囲の林を違法伐採した事件があり、その直後にも一度水が干上がった。
その後、植林したりして、ようやく水が回復してきて、毎年無事に産卵ができていた矢先に今年の完全涸渇。
保水力の低下はなぜ起きたのかといえば、滝根小白井ウィンドファームに伴う林道工事などで万太郎山の稜線から木が消えたことと、ウィンドファームへの取り付け道路が水路のようになって、雨が山に染みこまずに一気に下に流れ落ちるようになったことがいちばん大きいと思う。
しかもその取り付け道路が6月から舗装工事を始めている。雨が降っても、この道路を水が一気に流れ落ちていく。おかげで泥水が夏井川に流れ込み、イワナやヤマメが産卵できなくなった。夏井川漁協はユーラスエナジー(滝根小白井ウィンドファーム事業主)に補償を求めていたが、入漁券をまとめ買いしてもらうことでごまかされてしまったらしい。
小白井川の脇を通る県道36号線が大規模工事をして、小白井川の川岸がコンクリートで固められ、川筋もまっすぐに変えられてしまったことも一因かもしれない。また、、周辺の田圃に水が入らなくなり、広範囲にわたって土地が乾燥したことなど、いろいろな要因が考えられる。
しかし、どの要素がどの程度関係しているかは分からない。
平伏沼は来年以降も水が入らないままなのではないか。山の保水力低下は簡単には元に戻らないだろうから。

言えることは、自然環境、特に山の保水力や地下水系は簡単に激変するということに対してあまりにも鈍感だということ。無謀で無神経な工事が多すぎる。金が入ってくればいい。道路がきれいになるのだから歓迎だという姿勢。工事をやるにしても、環境負荷を少しでも減らす方法を考えるべきだが、そういう発想はまったくないようだ。

今後はいろいろな理由をつけた大規模公共工事、特に除染を理由にした森林伐採や放射性物質を含んだ土や瓦礫などを埋めるゴミ処分場工事、巨大風車やソーラー発電施設ラッシュが起きて、緑地減少が一気に進むだろう。福島は放射能汚染の後は急速に自然を失い、日本のゴミ捨て場のようになるだろう。
それを阻止しようという気概も気力も体力も知恵も、福島には残っていないかのようだ。

今年の川内村には、いつもの年にはあたりまえに、いちばん多く見られるアカガエルの姿がない。
シュレーゲルアオガエルやアマガエルも田圃に水が入らなかったために激減し、ほとんど姿が見られない。もともと数が少なく、むしろ、今までは目立たなかったツチガエルやトウキョウダルマガエルといった希少種が、汚れた用水池に集まっていたりして、相対的に目立つようになった。

東北に棲息する日本固有のカエル10種(アズマヒキガエル、ニホンアマガエル、ヤマアカガエル、ニホンアカガエル、タゴガエル、ツチガエル、トウキョウダルマガエル、モリアオガエル、シュレーゲルアオガエル、カジカガエル)のすべてが棲息している川内村。我が家の周囲数百メートル圏内でこのすべてが確認できている(カジカガエルは声だけを確認。他はすべて写真に収めた)が、今年はすっかり様相が変わってしまった。

「かえるかわうち」のスローガンが虚しい。
カエルが棲めなくなる村には人間も住めなくなるだろう。干上がった平伏沼は、今の川内村を象徴している。
   

報道されない「被災者格差」問題2011/09/01 18:18

ここにきて、避難所にボランティアで入っていた人たちからいろいろな話が伝わってくる。
双葉町の避難所となったリステル猪苗代(豪華リゾートホテル)では、「被災者」が、猪苗代町の地元の人たち中心のボランティアが炊き出しで出した食事に対して、
「こんなまずい飯が食えるか」
と文句を言って、不要な軋轢を生んだという。
同じ双葉町住民の避難所となった旧騎西高校にボランティアで入っていた人たちは、避難してきた人たちが、
「自分たちは、一生、国と東電が面倒みてくれる」
「原発敷地内の草取りは時給2,000円だった。今さら時給800円でなんて働けるか」
といった会話をしているのを聞いてショックを受けたという。

無論、こんな人たちは例外で、ほとんどの人たちが苦労していることは分かっている。しかし、こうした発言は人伝えでどんどん広がっていく。
彼らは自分たちの言葉がどれだけ周囲の人たちに衝撃を与えているか理解していない。その意識のズレに気づいていないことが、まさに「原発依存体質」の証明なのだ。

ビッグパレットは福島県内最大の集団避難所になっていたが、8月31日で閉所になった。
テレビのインタビューに「寂しくなるねえ」と答えていた人たちは、それが視聴者にとってどれだけ違和感のある言葉なのかに気づいていない。
避難所周辺のパチンコ店は連日大盛況。駐車場にはぴかぴかの新車が何台も見うけられた。義援金や東電からの仮払金で新車に買い換えたという人が少なくなかったという。
避難所内ではものが溢れていて、食器や寝具、衣類なども大量に配られた。それらを何度も受け取って、自分の車に積んで村の家に運び込んでいる人も多かった。
村に残っている人たちは、ものを満載した車で時折戻ってくる隣人に、「避難所は天国だよ。なんにもしなくても毎日飯が食えるんだから。今からでもおいでよ」と言われたと、情けなさそうに語っていた。

川内村では、「緊急時避難準備区域」解除になった後も村が出した「自主避難指示」をそのまま有効だとして続けるのだそうだ。
「帰っても安全だという担保が取れないうちは戻れない」と言うが、村の子供たちは川内小学校より放射線量の高い郡山市の小学校に間借りしている。
川内村の中心部の放射線量が高くて危険だというなら、福島県内に住める場所はほとんど残っていない。少なくとも中通りにはない。

ところで、「義援金」は国や県を通じて各自治体に渡っているが、そこから先、被災者にどう分配するかは自治体が決めている。

●双葉町の場合

【一次配分】:原発避難指示世帯に対して一律40万円(国:35万円、県:5万円)
【二次配分】:3月11日時点で双葉町に住民登録があった人、および住民登録はないが町内に生活の実態があった人に対して世帯員一人あたり25万円(国:21万2000円、県:3万8000円)

●川内村の場合
【村に直接届いた義援金の分配】
3月11日現在、川内村住民基本台帳に登録していた人一人あたり5万円

【国・県からの義援金 一次配分】
3月11日現在、東京電力福島第一原子力発電所から30kmの圏内に居住していた世帯(全域該当だが、別荘や空家などは対象外)に対して一世帯40万円(国義援金・35万円、県義援金・5万円)

【国・県からの義援金 二次配分】
川内村住民基本台帳および外国人登録名簿に登録されていた人、1人あたり28万円。
川内村住民基本台帳登録のない場合で、3月11日現在居住していて第1次配分金の該当になった世帯は1世帯として28万円。

これに加えて、東電からの仮払い補償金が、一次で100万円(一世帯あたり)、二次で一人最高30万円支払われる。
 
……つまり、家が壊れていなくても、家族が全員生きていても、例えば5人家族なら
双葉町で415万円(義援金一次:40万円、二次:25万円×5人で125万円。合計165万円。東電から一次:100万円、二次30万円×5人で250万円。全部で415万円)
川内村で455万円(義援金一次:40万円、二次:28万円×5人で140万円、村から5万円×5人で25万円、合計205万円。東電から一次:100万円、二次30万円×5人で合計250万円。全部で455万円)

が渡っている。
双葉町では1人あたり83万円、川内村では1人あたり91万円という計算になる。

これに対して、自殺者が出た相馬市玉野地区(30km圏外で東電からの仮払金なし)ではどうなのか。

●相馬市の場合

【一次配分】
国義援金
 死亡義援金: 死亡者、行方不明者ともに、一人あたり35万円
 見舞金: 全壊・全焼=35万円/世帯、半壊・半焼=18万円/世帯

県義援金
 見舞金として一世帯あたり一律5万円

日本財団からの弔慰金・見舞金
 死亡者、行方不明者ともに一人あたり5万円

【二次配分】
 死亡・行方不明・全壊: 国56万円、県10万円(行方不明者は必要な調査完了後に振込み)
 半壊: 33万円(国28万円、県5万円)

 ……ということで、相馬市では死者や家屋の全半壊がない世帯へ渡ったのは、県義援金の見舞金一世帯あたり5万円しかない。5人家族なら一人あたり1万円だ。
相馬市玉野地区は飯舘村や福島市の霊山に隣接しており、線量は川内村中心部などよりずっと高い。
この汚染のひどかった飯舘村で酪農をしていて、住所は相馬市にあった人が自殺したことはニュースになったが、彼は妻と子供がフィリピンに逃れ、一人、自宅に戻ってきた後は、原乳出荷停止になり、毎日、搾った牛乳を捨てていた。この世帯には東電の仮払金も支払われていないから、5万円だけなのだ。

豪華リゾートホテルに避難して「飯がまずい」と文句を言っていた家族には数百万円が渡る一方で、避難先もなく、汚染された土地に残って毎日牛乳を捨てていた酪農家一家のように、30km圏外で無指定地域に住んでいた家族は、どれだけ汚染がひどくても、仕事や生活基盤を奪われて金が出ていく一方だとしても、現時点では5万円しか受け取れていない。これから農業や漁業などの被害に対する補償交渉を進めていくとしても、その前にみんな疲弊しきってつぶされてしまう。

さらに言えば、東電の二次仮払金は、家に戻ってきた時期が遅かった人には30万円支払うが、早く戻ってきた人には10万円しか支払わないとされている。

4月10日までに家に戻った人は10万円
5月10日までに家に戻った人は20万円
6月10日までに家に戻った人、まだ帰れない人には30万円

早く帰ってきた人というのは、老齢の親を抱えていたり、家畜の世話をしなければいけなかったり、消防などの公益業務に従事していた人たちが中心で、この人たちは誰もいなくなった村で自力で(自腹を切って)頑張ってきた人たちだ。
そういう人たちには少なく、避難所で毎日衣食住を世話してもらっていた人たちには多く払うというのだ。
逆ではないか。
実質、家に戻ってきていた人たちでも、仮設住宅やリゾート型避難所に申し込んで、ときどきそこに戻って無料の食事にあずかっていたり、市内のアパートを借りて「みなし仮設」(福島県の場合、月額最高8万円まで支給)に認定してもらい、別荘や事務所代わりに利用している人がたくさんいる。こうした人たちもみな「まだ家に戻っていません」ということで申請している。
そもそも、この期間、家に戻っても戻らなくても、みな本来の仕事や生活以外のことで追われて大変な日々を過ごしている。

現在、村で唯一開いている店と言ってもよいコンビニの経営者一家は、仕入れのトラックが入ってこなかった時期、郡山市内の市場で仕入れたわずかな商品を店に並べて、村に残っている人たちのために頑張った。
若旦那は、避難先の埼玉県から川内村まで今も通っている。
もちろん、動けば動くほど大赤字だが、村の中心で店を開いているという責任感からの行動だ。
他にも、自分は家に戻って仕事を続けていても、子供たちを県外の線量の低い場所に避難させるために毎日遠方まででかけて受け入れ先探しや手続きに追われたり、移転先を探し回ったり、仕事探しに明け暮れたり……。
みなそれぞれに大変な目にあっている。
こんな時期に「いつ家に戻れたか」と訊いていること自体がバカげている。誰一人、まともな状態では戻れていないのだから。

現場を知らない役人や企業人たちが机の上でもっともらしく線引きしたり基準を決めたりしている図には辟易する。
いちいち腹を立てていてもきりがないので、自力で動ける範囲内で自分の生活を、人生を守っていくしかない。
それが今のフクシマの姿だ。

   

ガイガーカウンターを買うならSOEKS 01Mがよい2011/09/03 22:56

左は壊れてしまった1706
表の「阿武隈日記」に書いたのだが、このブログだけ読んでいるかたも多いと思われるので、実用情報として、ガイガーカウンター SOEKS 01M の情報を。
我が家に届いたガイガーカウンターとしては、これが5台目のガイガーカウンター。
1台目はロシア製のRADEX RD1706で、これはとても扱いやすく、性能もよかったのだが先日壊れてしまった。
RADEXの製品の中ではGM管を2本搭載している上位機種だが、3月13日にイギリスのショップに注文して、2万円台で購入できた。直後に世界中で品切れ。一時期はアマゾンやeBayで10万円を超える値段で出品されていた。今はSOEKS 01Mが大量に出回ってきたことを受けてか、5万円くらいにまで下がってきたようだ。
2台目は同じイギリスのショップで注文したクラシックなやつだったが、すぐに壊れたので返品・返金してもらった。
3台目は、実は最初に国内のショップに注文したもので、受付後に「申しわけありませんが……」と品切れを知らせるメールが来て、その後2か月以上経ったら突然送られてきた。これがRD1503という、最初に入手したRD1706の廉価版というか、普及版。今出回っているRADEXはほとんどがこれ。事故前の価格(2万円台後半)で買えたし、1706のスペアとしてそのまま持っていた。その後しばらくしてRD1706が壊れてしまったので、結果的には助かった。
1706に比べると、GM管が1本しか入っていないのと、測定範囲が2桁狭い(最高が1μSv/h)のが欠点だが、扱いやすさは評価できる。
4台目は、興味本位?で買ったクラシックなガイガーカウンター。これは表日記でも紹介済み。ほとんど趣味の品なので、実用性はほとんどない。目下ヤフオク出品中。
で、5台目が今回のSOEKS 01M。これはRADEXと同じGM管を1本使っている。従来のSOEKS 01に比べるとGM管が大型化して、回路も新設計になっている。まったくの「別物」と言える。つまり、「M」がついていない機種は買ってはいけない。現在も旧製品のSOEKS 01は売られているので注意。

↑上が旧型、下がSOEKS 01M。GM管の大きさがまったく違う

旧型は中国製のDP802iやBS2010と同じ中国製の小さなGM管を使っているらしい。これはSOEKSとしては、本格製品化する前のテスト版みたいなものと言えるのではなかろうか。
Mがついた新型では、TERRA-P,RADEX1503,RADEX1706(GM管を2本装備)と同じSBM-20-1 というガイガーミューラー管を使っている。

↑左からTERRA-P、RD1706、RD1503、SOEKS 01M すべて同じGM管を使っている(RD1706は2本)

このGM管は、セシウムではなくコバルト60の値でCPM(1分間に飛び込んでくる放射線の数)をシーベルト値に換算していると言われている。そのため、表示数値が現在の日本(要するに福島第一原発からだだ漏れになっている放射性物質=いちばん多いのはセシウム134と137)では実際より高めに出るので、0.7~0.8を掛けたくらいの数値が実際の数値に近いらしい。
実際に使ってみると、同じGM管を採用しているRADEXの1503に比べると測定値が頻繁に上下する。これは悪いことではない。それだけ高い頻度で測定しているからだ。今は壊れてしまったが、上位機種の1706と同じような傾向。
小さくて軽いし、液晶も見やすい。
人気の高いRD1706と比べての欠点は、
  1. アラーム音の閾値設定にバグがある(実際の3倍の値を設定する必要がある)
  2. 放射線量の高さに比例してアラーム音が変化するわけではない(閾値を超えると一定の間隔での音がするだけなので、あとは数値の変化に注目することになる)
  3. バックライトのカラー液晶を使っている分、バッテリーの減りが早い
……といったところ。
しかし、2万円台で大量に売られているので、簡単に手に入る(アマゾンならたいてい翌日には届く)し、癖を分かっていれば極めて信頼できる性能なので、目下、一推しだろう。失敗したくない、高い金を出したくないという人には最も安心してお勧めできる。

注意点は閾値設定にバグがあり、実際に設定したい閾値の3倍の数値を設定する必要があること。
例えば、閾値を1.2に設定すると、0.41μSv/hを超えると警告音が鳴る。
これはおそらく、旧型より計測速度が3分の1に(3倍速く)なった(改良された)ことと関係があるのだろう。計測速度が3分の1になったのに連動して警告音閾値も3分の1に計算されてしまうようなバグが残っていると思われる。
まあ、その程度のバグなら、最初から3倍の値を設定しておけばいいだけのことだ。
1.5μSv/hに設定すれば0.5μSv/hを超えたところで鳴るし、1.8μSv/hにしておけば、0.6μSv/hを超えたところで鳴る。

バッテリーの減りが早いという欠点は、エネループなどの充電式電池を使うことである程度解消できる。エネループはかなり寿命が長いし、本体からバッテリーを外さなくてもUSB端子から充電もできる。
充電式電池を使った場合は、本体の設定MENUの「Power」で、Accumulators を Yes に設定しておく必要がある(デフォルトではNoになっている)。逆に、普通の電池を使っている場合、これを Yes にしてはいけない。
USB端子が付いているが、これは電源供給機能のみで、将来、ファームウェアのバージョンアップがこれで行えるというような仕様にはなっていない。ただの外部電源端子だと思えばよい。

頻繁にバージョンアップしているが、最新バージョンは1.CLで、これは2011年の最終バージョンだとメーカーサイトで宣言している。
バージョンは2系統あり、古いほうから順番に、

1.2, 1.3, 1.4, 1.5, 1.6, 1.7
(2010年6月11日製造まで)

1.8, 1.9, 1.AL, 1.BL, 1.CL
(2010年6月11日以降の製造)

の2系統。
古いほう(バージョン1.7まで)は、液晶画面左側のバーが1つしかついていない。
このバーの左側は、計測時間を示すもの。バージョン1.8以降の01Mは10秒で1回計測している。
で、バージョン1.8以降では、
  • 計測が毎30秒から毎10秒になって計測速度が3倍になった
  • 10秒ごと(1計測ごと)に左から2番目の黄色いバーが伸びて、12回計測でフルになる
  • 表示される計測値は過去12回の平均値が表示される(旧バージョンでは1回ごとの計測値が表示されたので変動が激しかった)
  • 計測値が突然それまでの3倍になったり10分の1に減ったりした場合、この過去の平均値は一旦リセットされ、計測し直しになる
  • このような急激な変化があった場合、液晶画面の右側に赤い矢印2つ(上昇)や緑の矢印2つ(減少)が表示される
  • 計測値が過去平均より30%以上増えたり減ったりした場合は、赤い矢印(上向きか下向き)で表示する。この場合は過去平均値はリセットされない
  • 放射性物質検出が頻繁にある場合は、小さな四角いアイコンが黄色と赤に点滅。ほとんどない場合は黄色のまま点灯

……というのが変更点。これは、新バージョン製品についてくるマニュアルにも書いていないことなので、知っておく必要がある。
なお、今出回っているのはバージョン1.BLか1.CLが多いが、バージョン1.BLと1.CLの違いはほとんどない(USBをつないだときの電源表示のアイコンが微妙に違うだけらしい)ので、1.BLのほうが安く出ていればそちらを買ったほうがいい。
注意したいのは、バージョン1.7以前のSOEKS 01Mは避けること。MのついていないSOEKS 01は買ってはいけない。

↑矢印のバーが、バージョン1.8以降加わった


バージョン1.8からの変更点が、添付のマニュアル(ロシア語と英語)に書かれていないのが問題。
日本語マニュアル添付として売られているものも、この古いマニュアルをそのまま日本語訳しているので、やはり上記の変更点については書いていない。また、閾値のバグについても、書かれていない。

ということで、面倒な人は以下のようにすることをお勧めする。

1)購入したら電池はエネループの単4×2本にする
2)電源投入(真ん中の大きなボタンを長押し)後、Measuring と Main Menu を選択する画面に切り替わったら(英語表示になっている場合)、左のボタン(カーソル移動ボタン)でMain Menuを選んで右のボタン(決定ボタン)でメニューに入る
3)まずUnits(単位)をSievertに変更(決定⇒カーソル移動⇒決定後に真ん中のMenuボタンで戻る)
4)元の画面に戻るので、同じことをしてSettings(各種設定)に入り、Level mcSV/h を選んで、アラームを鳴らしたい閾値の3倍の数値を選んで決定(3倍にしないといけないのはバグ)
5)同様にSound設定画面に入り、Sound On は Yes、Sound Toneはお好みで(数字が大きいほど高音)、Keypad Tone(ボタンを押したときに音がするかしないか) は No(がうるさくなくてよい)、Sensor Soundは No(そうしないとうるさい)、Alarm Sound はYes、Volumeはお好みで(Hiにしておいたほうが気づきやすい)
6)次にSettingsのPowerに入り、エネループなどの充電式電池を使っている場合は Accumulators をYesにする。Auto Off,min. は液晶が消えるまでの時間(分)。私はその下のAlways On をYesにしてある(常時表示)ので、このオートオフは関係ない。バッテリーの減りを遅らせたい場合はここをNoにして、液晶オフまでの時間を設定しておく

以上でOK。

結論として、現在売られているガイガーカウンターでは、SOEKS 01Mが最も入手しやすく、まともに使えるモデルだろう。表示される数値のおよそ0.7掛けか0.8掛けが正確な数値と思っていればよい。
ベータ線も計測できるので、もし地表に近づけて大きく数値が上がる場合は、そこにセシウムが付着していてβ崩壊しているということを示す。腰の高さ以上で計る場合は地表からのベータ線の影響はほとんど受けないので、0.7を掛けたくらいが空間線量だと思えばよい。


(2011/12/14 追記)
一時期、とんでもない値段をつけていたRADEXの1503と1706が、ようやく3.11以前の価格に戻ってきた。
バッテリーの持ちなどを考えると、RADEXはSOEKSより使いやすい。使われているGM管は同じ。
たまに計るだけの人はSOEKSでいいが、汚染地域で電源を入れっぱなしにしていたい場合などは、RADEXをお勧めする。GM管を2本搭載している1706は、高価だが測定時間が早い。測定可能範囲も1503より2桁高いので、汚染地帯に住む人や汚染地帯に足を踏み入れる人は最低限これくらいのものを持っていたほうがよい。

   

放射性物質を含んだ土の「中間」貯蔵などありえない2011/09/09 11:50

「中間貯蔵施設」という欺瞞


「除染」という言葉が飛び交っているが、最初に断っておきたい。
 放射能は、焼して消滅させるとか、薬をかけて中和させるということは一切できない。 
 放射能を消す科学技術は存在しない。
 できるのは「拡散」か「移動」だけ。あとはひたすら時間が経って放射能が減るのを待つしかない。
「拡散」というのは、一か所に高濃度で溜まっていると危険だから、広く薄く拡散させたほうがまだ危険性が減るという考え方。「移動」は、危ないものが町の真ん中や公共施設付近にあるよりは、どこか人の近づかないような辺鄙な場所に移動させたほうが安全だ、という考え方。

 細野原発担当相が、「福島県内に核汚染物質中間貯蔵施設を建設することをお願いすることはやむをえないが、最終処分場は福島県外に」云々ということを発言したことで、佐藤雄平福島県知事が態度を硬化させたと報じられている。
 ここに出てくる「汚染物質」とは、主に「放射性物質を含んだ土壌」をさしていると思われる。警戒区域などで倒壊した家屋の瓦礫なども含まれるだろう。
 こうしたゴミは、本来原発から出てくる高濃度放射性廃棄物(現実には「廃棄」できないので単に「廃物」と呼ぶべきだという話もあるが……)のように、キャスクに封印されていたりガラス固化処理されているわけではない。ほとんどはダンプカーの荷台に積まれてどど~っと降ろされる類のものだ。そうしたゴミに「中間」とか「永久」という、高濃度核廃棄物処分(これも正確には「処分」できないが)と同じような言葉を使っていることは欺瞞以外のなにものでもない。
 ここで言う「中間処理施設」とうのは、一般の産廃場とあまり変わらない。概念図を見ても、コンクリート壁やシート、ベントナイト(水を吸収する粘土状の物質。ネコのトイレ砂などにも使われている)で放射性物質の浸み出しをある程度防ぐだけで、基本的には「埋めてしまえ」という発想のものだ。
 将来、ここからわざわざもう一度土や瓦礫を掘り起こして他の場所に移動させるなどということはありえない。もしやったとすれば、移動先で同じことを繰り返すだけだ。
 そもそも放射性物質は時間と共に放射能が低下していくのだから、早い時期の貯蔵場所のほうが危険性が高い。「中間」だからまあいいでしょ、という話ではない。
 
 一方で、学校などの公共施設で、いわゆる「除染」作業を徹底的にやることは必要だし、すみやかにやらなければならない。出たゴミを運び出さなければどうしようもないのだから、それをひっそり溜め込む場所が必要になることは自明のことだ。
 その場所を福島県内に作ることは、移動距離や費用から考えて、あるいは、「すでに汚染されてしまっている土地は有効利用が極めて限られているのだから、そういう場所に運ぶのがいちばんいい」という理由から当然と言えば当然だろう。そこに感情論を持ち込んでも解決できない。
 
 それを認めた上で、次のことは言っておきたい。

1)除染作業は、「効果」を最大限に発揮できる方法、範囲で行うべき
2)これを原発に代わる新たな利権ビジネスにしてはいけない

 これが守られないと、日本の国土は今よりひどいダメージを受けかねない。経済力もしかり。
 
 例えば、空間線量が1μSv/hに満たないような森林を軒並み「除染」名目で伐採してしまうのは、効果の点からいってバカげている。
 ところが、もともと原発にぶら下がってきた浜通り地域を中心に、福島県内ではすでに、仕事になればなんでも受け入れたいというムードが強まっている。
 はいやりましょう、と、地元は諸手を挙げて引き受ける。下請け・孫請け・三次受け・四次受け……という、原発作業員の「人夫出し」と同じ構造が復活して、本来の「除染」という目的とは違う「雇用が作り出せればそれでいい」という理由で進められる。
 そうなったときの福島は、もう「再生」も「復興」もない。ただのビジネスゲームの場として投機マネーや税金が投入される賭博場と化すだろう。
 そこに生きて幸福を得られると思わなければ、人は他の場所に移動していく。人が心豊かに住めない場所で、いくら巨大な金が動いたとしても、「豊かな場所」と呼べないのは言うまでもない。

 放射性物質を含むゴミを置く場所を福島県内に作ることは仕方がないと認めるには、いくつもの条件がある。
 まずは「中間貯蔵」などという欺瞞は一切口にするな。
「放射能で汚れたゴミをここに永久に置かせてください」と正直に言え。
 次に、その規模を最小限に抑えられるような効果的方法を必死で探せ。一切の無駄・利権を排除せよ。
 
 児玉龍彦博士(東大アイソトープ総合センター長)も、7月27日の衆議院厚生労働委員会参考人説明で訴えていた。その最後の部分を、ほぼそのまま紹介したい。

「国策として、土壌汚染を除染するために、民間の力を、技術を結集してください。
 東レだとかクリタだとか、さまざまな化学メーカー。千代田テクノとかアトックスというような放射線除去メーカー。それから竹中工務店なども、放射線の除染などに関してさまざまなノウハウを持っています。こういうものを結集して、直ちに現地に除染研究センターを作ってください。
 今のままだと、何十兆円という金額がかかるだのと、利権がらみの公共事業になりかねないという危惧を、私はすごく持っております。国の財政事情を考えたら、そんな余裕はまったくありません。
 どうやって除染を本当にやるか。7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に 国会は一体何をやっているのですか!」

 この「利権がらみの公共事業になりかねないという危惧」の意味をきちんと分かった人は少ないと思う。
 残念ながら、原発担当大臣や新しい総理大臣も分かっていない、あるいは分かっていても、今までの流儀でいくしかないと思っているに違いない。

裸のフクシマ

『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(たくき よしみつ・著)

(2011/10/15発売 講談社 単行本)…… ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。
驚愕の事実とメディアが語ろうとしない本音の提言が満載。
第1章 「いちエフ」では実際に何が起きていたのか?
第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

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「除染」は幻想を捨てることから始まる2011/09/26 21:57

■完全な「除染」なんてできない と結論されたリポート

山内知也 神戸大学大学院海事科学研究科教授が、「放射能汚染レベル調査結果報告書 渡利地域における除染の限界」というリポートを発表した。

「渡利小学校通学路除染モデル事業が8月24日に実施されたが、報告された測定結果によれば、各地点空間線量は平均して「除染」前の 68%にしか下がっていない」
「除染作業の実態は側溝に溜まった泥を除去したということであって、コンクリートやアスファルトの汚染はそのままである。道路に面した住宅のコンクリートブロック塀や土壌の汚染もそのままである。一般に、除染は広い範囲で実施しなければその効果は見込めない。今回の計測において通学路の直ぐ側の地表で 20 μSv/h に及ぶ土壌の汚染があった」


などとして、

「文字通りの『除染』は全く出来ていない。Cs-134 の半減期は2年、Cs-137 のそれは30年である。したがって、この汚染は容易には消えず、人の人生の長さに相当する。そのような土地に無防備な住民を住まわせてよいとはとうてい考えられない」

と結論づけている。

渡利地区に人を「住まわせてよいかどうか」という判断は簡単にはできないが、「除染」について多くの人が抱いている幻想を打ち砕く内容であることに間違いはない。

報道では「早く住民が戻れるように国が全力を挙げて除染に取り組むべし」といった論調が目立つ。そう言っておけばいちばんの安全牌だということだろうが、具体的な内容に踏み込まないで、単純化された正義として「除染事業」が暴走することを恐れる。
この問題を論じるためには、大前提として、「放射性物質を消滅させる技術は存在しない」という認識を全国民が持つことから始めなければならない。しつこいようだが、除染というのは、放射性物質を「移動」か「拡散」させることであって、消せるわけではない。
屋根に付着したセシウムを洗い流せば、屋根から流れ落ちたセシウムが付近の地表や排水に流れ込むから、排水枡や雨樋の出口などでは除染後にむしろ線量が高くなるのはあたりまえのこと。前出の「放射能汚染レベル調査結果報告書~」でもそうした結果を報告している。
では、除染──特に都市部の除染が簡単にはできないということを認めた上で、何を優先的にするべきなのか。
このリポートを書いた山内教授のように「そのような土地に無防備な住民を住まわせてよいとはとうてい考えられない」と結論づけるなら、そこから先、具体的にどうすればいいのか。
まず、そのような場所に、

1)住んではいけないので強制的に退去させる
2)住むか住まないかは住人の判断に委ねる

という選択肢がある。

1)の場合は、低線量被曝をしてもいいから今の場所に住み続けるという「権利」を奪うことになる。その結果、ストレスや経済苦で死期を早める人のほうが、放射線が原因で死ぬ人よりはるかに多いことははっきりしている。特に高齢者はそうだ。
それでも住民を強制的に退去させることは正しいことなのか。正しいとするなら、何を基準に線引きをするのか。(空間線量の数値だけでよいのか)

1)の場合も2)の場合も、住民がそこを出て新しい場所で生活をするための支援・賠償をしなければならない。その場合の支援はどうするのか。
例えば、豪邸に住んでいた金持ちと安アパート暮らしの貧乏人に対する支援(賠償)額に差をつけるのか、それともその人が所有していた不動産の価値には関係なく、一律で金を支払うのか、という問題が出てくる。
さらには、子供のいる世帯と大人だけの世帯では差をつけたほうがいいという考え方も当然出てくる。

事業所を失う場合や、移転した場合、事業そのものができなくなる場合の補償はどうするのか。
例えば、何十年もかけてその地区で信用を得て生徒数を増やしてきた学習塾などは、他の場所に移転しても同じ事業をすぐに始めることは不可能だ。温泉宿とかプロパンガス配給、新聞配達店など、その場所でしか営めない事業はたくさんある。
そうした個別の対応は到底不可能だと分かっているからこそ、国は「除染をして戻りましょう」と言っているのではないか。
出ていく決断をした人たちが、「効果が薄い除染などに税金を注ぎ込むくらいなら、移転費用として補償金を出せ」と考えるのは当然のことだ。

あまりにも問題は深刻かつ複雑。本気で検討し始めたらとんでもない金額の話になってしまうし、福島県が消滅しかねない。
その結果と言うべきか、現時点では、都市部の住民に対する補償はほとんどされていない。話題にすることも避けられている印象がある。
このまま「除染」だけが公共事業として進められると、本来、賠償を受けるべき住民たちの財産は踏み倒されたまま、税金が新たなビジネスに注ぎ込まれて、そこで儲ける者が出現するだけということになりかねない。

空間線量というのは、現時点では地表や建造物、植物などに付着したセシウムから出ているガンマ線(正確にはセシウムはベータ線を出して放射性バリウムになり、その放射性バリウムがガンマ線を出して安定バリウムに変わる。その過程で放射されるガンマ線)の数値がほとんどだ。排水溝などで飛び抜けて高い数値が出るという場合は、たいていはベータ線も一緒に計っている。ベータ線は空気中ではせいぜい1メートル程度しか飛ばないので、地表から1メートルの高さで測っている場合はベータ線の影響はほとんど数値に出ない。
これらを外部被曝した場合のことを指して、一部の「専門家」は、安全だ、まったく問題ない、と主張している。
外部被曝だけであれば実際そうかもしれない(そうではないかもしれないが)。
だからこそ、空間線量だけの議論に持ち込まれてはいけないのだ。
問題は放射線を出している物質を体内に取り込んでしまい、体内で被曝し続ける内部被曝。中でもいちばん恐ろしいのはプルトニウムを吸い込んで肺に付着させることだが、プルトニウムが本当に拡散していないのかどうか、信用できそうなデータがなかなか出てこない。このことのほうが問題だ。プルトニウムの検出には高価な機器と手間(長い検査時間)を要するからだが、まずはこれに金を注ぎ込んで徹底した調査をしなければ、どれだけの危険が存在しているのか分からない。
食品の検査態勢がまったく手薄であることも明白で、検査態勢強化のために金を惜しんではならない。
優先順位をつけるとしたら、そっちではないか。
もし、微量であってもプルトニウムやストロンチウムが広範囲に飛び散っているということが分かったら、それらを体内に取り込んで内部被曝するかどうかは、くじ引きのようなものになる。ほとんど防ぎようがない。空間線量が高い場所では放射性物質が多いわけだから取り込んでしまう確率も高くなるが、低いから安全だということにはならない。量の問題以前に、取り込むか取り込まないか、○か×かという問題になってくるからだ。
土やアスファルト、コンクリートの表面を剥いで移動させたりする作業をすれば、何かに付着して動きを止めていたプルトニウムをまた空中に舞い上がらせ、それを吸い込む危険性も増すだろう。
プルトニウムはアルファ線を、ストロンチウムはベータ線を出すが、これらは例の「ホールボディカウンター」でも検出できない。つまり、セシウムよりずっと危険な核種を体内に取り込んでしまっているかどうか、知る術がない。
となれば、それが原因で死んだとしても証明ができない。
何から何まで分からないのであれば、内部被曝の確率を下げるためには、もうもうと粉塵を巻き上げながら道路の表面を大規模に剥がし始めた福島になど暮らしたくない。ひたすら福島から遠くで生活するしかない、という結論に達する。
子供を福島から遠ざけたいと思うのは、親としては当然のことだろう。
この危険回避には金がかかる。つまり、できる人とできない人がいる。
命を守れるかどうかは金次第という世界。

原子力エネルギーを使うのはやむをえないという考え方は、こういう不平等社会を「仕方がない」と思う人たちの考え方だ。そういう考えの人たちが「除染」を熱心に口にするときは、注意したほうがいい。
 
裸のフクシマ

『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(たくき よしみつ・著)

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第2章 国も住民も認めたくない放射能汚染の現実
第3章 「フクシマ丸裸作戦」が始まった
第4章 「奇跡の村」川内村の人間模様
第5章 裸のフクシマ
かなり長いあとがき 『マリアの父親』と鐸木三郎兵衛

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