『阿武隈裏日記』を改題しました。
たくきの日記はこちらからお入りください

デイホームのウクレレ2017/08/17 11:58

親父、入所者3人のデイホームに移る


今月から親父がお世話になっているデイホームに寄る。こんな感じのホーム



親父の部屋の掃き出し窓からは田んぼが見える


親父が元気になって、次の要介護認定継続審査では確実に要介護2以下に落とされ、特養にはいられなくなるだろうから、他を探してほしいといわれていた。
だけど、グループホームはどこも満杯だし、有料老人ホームや24時間介護付きのサ高住は高くて入れない。探した挙げ句に、ようやくひとつ見つけて、先月末、親父を横浜の特養から日光のデイホーム(自主営業で24時間介護もしてくれるので、業界では「お泊まりデイ」などとも呼ばれている)に移した。
近所になったので、ときどき様子を見に行っている。
今日はウクレレの弦を張り替えるために立ち寄った。
ウクレレ……前の特養にいたとき、親父がギターをやってみたいというようなことを言ったので、それは無理だから、ウクレレくらいなら……と応じたのが始まり。
まあ、無理だろうと思いながらも、Amazonで安いウクレレを買って前の施設(横浜の特養)に送った。
案の定、送ったまままったく手をつけることもなく、部屋の荷物が増えただけだった。施設長には許可を得ていたが、スタッフからは「やめてください」と言われたとも、後になって親父から聞いた。
今回、こっちのホームに移ってきて、そのウクレレもそのまま持って来たわけだが、それを見つけたスタッフのひとり(施設経営者の娘さん)が、興味を示して、「私にもできるかしら」みたいなことを言うので、「このウクレレで試してみてください」と言っておいた。
経営者(女性で僕と同い年。1955年生まれ)も「じゃあ、みんなでやりましょう。月に一回、息子さんがボランティアで教えに来てくれるといいのに」みたいなことを言いだして、あらま、どうしましょ、という感じになっているのだった。

ちなみに僕はギターは中学2年生のときから触っているけど、ウクレレは買ったこともないし、弾いたこともない。親父に買ってあげたウクレレを最初に見たときは「え? 4弦がなんで3弦より細いの? 中国製だから間違えてつけちゃったのか?」って思ったくらい、そのくらい何も知らなかった。




で、このウクレレ、弦が安物でなかなかチューニングが合わないということがAmazonのレビューにあったので、最初から替え弦を一緒に買っておいたのだが、今まで弦を替える余裕もなかった。どうせ触りもしないだろうし……という気持ちもあった。
でも、今度のホームではスタッフが興味を持ってくれたようだし、少しは展開するかもしれないと期待して、じゃあ、今のうちに弦を替えておこうかと思ったわけだ。

で、「こんちは~」と立ち寄ったら、経営者の娘さんが、これから買い物に行くので、親父を連れ出して一緒に行こうと思っていたという。気分転換&歩行練習というわけだ。
そういう対応が嬉しい。今までのような100人規模の施設では、決められた時間にリハビリ療法士が来て……という感じだが、ここはお泊まり組は親父を入れてもたったの3人なので、普通の家庭のような環境。毎日の生活に揺らぎがあり、その日によって何を食べるか、何をするかも変わっていく。本来、それが人間の生活ってものだ。
買い物に行くまでの間、ウクレレの弦を替えて、そこで一旦別れた。僕も同じスーパーで晩飯を買って帰ろうと思っていたのだが、狭い道だし、雨も降っていたので、「じゃあ、先に行くね」と一人で先に出て、スーパーで買い物をしていたら、後からやってきた親父に「よお!」と声をかけられた。
婆車のようにスーパーのカートを押している。なるほど~、これはうまい歩行訓練だ。
スタッフさんとの間で「ヨーグルト食べたいの? じゃあ、買う?」なんていう会話も聞こえてくる。ほんとに「普通の生活」がここにはある。
普通じゃない部分もあるのだが(下の世話とか入浴の介助とか)、普通にできる部分は普通にしようというのがこのホームのポリシーだという。
事前に説明は受けていたのだが、なるほどこういうことなのかと、改めて感心したり感謝したり……。


買い物に連れて行ってもらうため、ホームを出る親父。帽子は10個以上持っている。ホームに持ち込んでいない帽子もいっぱいある。今日は赤いキャップか……



ホームのスタッフと買い物をする親父。カートが婆車代わりになっている。ヨーグルトの売り場の前でなにやら「買う?」なんてやりとりしていた。そういう緩さも素晴らしいなと思う。スタッフさんの話では、親父は強がっているが、歩くのも今は4、5分が限界らしい



このとき、お盆だから……と買ってみたあんこ団子。ん? 甘味担当は佐藤さん?

デイホームのウクレレカタログ

翌日、「3000円で買えるなら私も買おうかしら」と言っていたスタッフのために、Amazonでいくつか調べてカタログのようにプリントして持っていった。
それで家を出ようとしたら、ちょうどミニアンプが届いたので、ちょっとチェックしてそのままEWIのバッグに入れて一緒に持っていったのだった。

ウクレレ未経験の僕がセンセをつとめるウクレレ教室?が本当に始まるのかどうかは分からない。ちゃんと日時を決めて……ではなく、ふらっと寄ったときについでに、って感じかもしれない。
教えることになったら、自分用にも買わなくちゃいけないのかな、とも思ったのだが、まだそこまで踏ん切りがついてない。買っても、自分では弾かないことは目に見えているからなあ。
ギターと違って、片手でひょいっと持てる楽器だから、教えるときも「ちょっと貸して……こう弾いてみて」とその場で渡しあって教えても十分かもしれないし。

親父に買ってあげたウクレレはAriaが扱っているいちばん安いやつで、クリア塗装のは¥2,114(通常配送無料)。他の色のはもう少し高いけど、概ね2000円台。ちょっと試してみるつもりならこれで十分。


これは21インチモデルといっていちばん小さいやつらしい。ギターを弾いている僕にはちょっと小さすぎる感じもあるので、その上の23インチか26インチモデルのほうが弾きやすそうだ。音も若干でかく出るんじゃないだろうか。

26、23、21インチモデルの大きさの違い。23くらいがちょうどいいのかな?


26インチモデルでも3000円台で買えるのね。
買っちゃおうかな。でも、もったいないな。親父が金のかかる施設に入った今は緊縮財政だからなあ。


23インチモデルだとこんなのがちょっとよさそう。4000円は高いけどねえ




26インチモデルでも3000円台からあるのね。自分で買うならこれかなあ。3550円かあ……今はちょっと痛いなあ




ちょっと贅沢をするならこれなんかもよさげだわね。チューナーもついていて7000円かあ……。ん~、さすがに今、ウクレレに7000円は出せないな。でも、これから始めようというあなた、7000円出せるなら、思いきってこれくらいのを買ったほうがいいかも

どうせなら派手で可愛いのがいいわ、というあなた?にはこれもいいかも。色によって値段が全然違うけど、音は同じでしょう。黄色、ピンク、水色がいちばん安くて2980円。オレンジと赤は人気なのか、4234円。色が違うだけで1200円以上も違うのか~。不思議


……というわけで、歳とってからギターを始めるのは難しいけど、ウクレレなら無理なく、十分できるし、楽しめるんじゃないかしら、というお話でした。

ウクレレの値段なんて気にしたことなかったけど、10年前にはこんな値段でこの品質の製品はなかったんじゃないだろうか。中国製、韓国製の楽器の品質が急上昇していて、侮れない。
デジタルの恩恵も大きいし、音楽をやるにはいい時代だ。




タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



久々に感動した買い物2017/08/17 11:25

2800円のミニアンプを買ってみた


こんな感じ


Amazonでコードレスのミニアンプが2800円で出ていた。おや、これはもしかするとEWIをつなげば、アンプのない場所でも身体一つで演奏できるのでは? と思ってポチしてみた。


これ↑。AROMAというブランドで、2796円


翌日届いた。

小さいだけでなく軽い。こんなんでちゃんと音が出るのだろうかと思うほど軽い


エレキギター用なので最初からディストーションが入った状態で立ちあがるが、ディストーションを切れば普通に使える。
SDカードで伴奏とミックスしたり、単純にスマホなどの外部スピーカーとしても使え、マイクもつなげられて、録音までできてしまうのだが、そういう機能はとりあえず試してない。腰につけてEWIを短いケーブルでつないで音が出せればOK。
やってみたらなんとかなりそうなので、そのままEWIを持って親父がいるデイホームに向かった。


小さいので、EWIのソフトケースに入ってしまった


デイホームでは、入所しているおばあさんから「俺は河原の枯れすすき」をやってとリクエストされ、なんとかやってみせた。表情はほとんど無表情だったけれど、施設長は「目がきらきらしていたから、脳にいい刺激になったはず」と言っていた。

こんな風に、ちょっとした宴会や飲み会の余興にはもってこいだ。最近は旅行にも行かなくなったけど、野外で空や海に向かって吹いたりもできるわね。




これ↑ お勧め!。マイクをつなげば拡声器としても使えるし、スマホをつないで普通に外部スピーカーとしても使える。2796円は安い!


タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



ファンレス小型PCで快適仕事環境を2017/07/18 22:27

XPだからやられた……という話は聞かない


新しく助手さんの仕事机に収まったabaのファンレスデスクトップ。薄い、軽い、小さい、静か、が美点。片手でひょいと掴んで運べる



現役を退いたDELLのデスクトップ。OSはXPだったが、EタックスがXPだとはねられるというようなこと以外は、特に問題は感じていなかったようだ。助手さん、確定申告のときだけWindows7のノートパソコンを使っていた


先日、僕のメインマシンの内蔵Cドライブが壊れてえらい目に合った
そのとき、すぐにサブ機として同じabaのファンレスデスクトップで、性能の落ちるモデルをサブ機として発注したのだが、それが届く前にAmazonから新しい内蔵HDDとWindows7のインストールディスクが届いたので、サブ機が届いたときにはもう今までのモデルが完全復活していた。
届いたサブ機はCeleron G1840 2.8GHzのCPUに外部メモリが4GBという代物で、メインマシンのCore i7-4790s 3.2GHz 16GBに比べればぐっとスペックは落ちるのだが、Celeron G1840というCPUはかなり「お買い得」なCPUらしい。初期のCore i3なんかよりはいいんじゃないか、ということもWEB上で読んだ。
実際、cpubenchmark.netなんかでデータを比較してみても、そのようである。↓

Celeron G1840は初期のCore i3よりベンチマークの点数も高い



それなら試してみるか……と購入に踏み切ったのだった。

Windows7がインストールされているマシンだが、これを最初から設定するのは気が遠くなるので(すでにそれをやったばかりだから分かる)、もう1台、SATAの1TB HDDを買って、メインマシンの環境設定が大体済んだところで、Windows Backupで作ったCドライブのクローンをそのHDDにそっくりコピーして取り付けた。元々入っていたCドライブHDDは外さずともなんとか隙間があったので、ケーブルを差し替えるだけですんだ。形の上では増設だが、元のHDDはつないでないので、ケースの中にしまってあるだけ。万万が一、ゼロからやり直したいときは、Windows7が入った状態から始められるけど、まあ、そういうことにはならないだろうな、もう。
Windows10にアップグレードする気になったときには使えるか……。

あとは、メインマシンから外してあった4GBメモリ×2が余っていたので、それを1枚足して8GBにした。
今度のサブ機は、同じabaのデスクトップだが、DVDドライブ付きのモデルにしたので、ケースが若干違う。よく見ると穴だらけで放熱効率がよくなるようにできている。代わりに猫の毛とかいっぱい入り込みそうだが……。

新品が届いてすぐに封印シールを剥がし、メモリ増設やHDDの追加をしたわけだが、ケースはビス3本で簡単に外れるので楽。

助手さんは僕が使わない桐Ver.8とかFireworks MX 2004とかが必須ソフトだというので、それをインストール。Fireworksはだいぶ前にマクロメディアがアドビに身売りして、現在では認証用サーバーが消えているため、共用シリアルナンバーを入力して認証しないといけない。どうもこういうのが多いのよね。
Illustratorもうちにあるのは8だが、これはディスクからインストールもできないため、裏技的にHDDからコピーすることになる。

そんなこんなで、最後はネットワークでの共有がうまくいかずに手こずったが、なんとかクリアして助手さんに渡した。
助手さんは動画編集なんかはしないので、これで十分サクサク動く。

ファンレス小型パソコンの勧め

ちなみに、Power Director15を買ってiMovieも使わなくなり、完全にLogicを動かすためだけの音楽専用マシンになったMac Miniは、Core i7 2.6GHzで16GBメモリを積んでいるから、メインマシンとほぼ同じスペック(CPUのクロック数がちょっと低いだけ)。
購入したときは、ちっちゃな筐体で音もしないことに驚いた。それなのに起動は速くサクサク動く。たまに落ちても、何もしなくても勝手に復帰してくれる。OSの安定度もWindowsより上という印象だった。
それ以後、でかいデスクトップマシンはもう過去の遺物だなと思うようになった。
abaのファンレスデスクトップの静かさにも感動したが、今回、内蔵HDDが壊れて、2.5型HDDはやはり3.5型に比べると信頼度が低いなあと痛感した。
2.5型のUSB外付けHDDは何台も壊れている。3.5型も壊れるが、やはり2.5型のほうが寿命が短い印象がある。
これからはSSDがあたりまえになるだろう。
SSDは前触れもなくいきなり壊れるので怖いという人もいるが、少しずつ壊れていくHDDのほうが、原因がつきとめられないで無駄な時間を取られたりして悲惨かもしれない。それに、SSDが壊れるときは寿命の時間に大体従っているので、Cドライブのバックアップを取っておけば「あ、壊れたか。じゃあ、交換」で済む。
これをスムーズにやるためには、Cドライブにはプログラム本体しか入れず、データは必ず外付けのドライブ(これはHDDでいい)に二重に取っておくことだ。

以上のことを踏まえて、お勧めのファンレスマシンと改造をまとめてみると……。





abaの静音設計デスクトップは静かで軽く小さく、本当に使いやすい。CPUはCeleron G1840で我慢して、メモリは8GB以上積む。メモリスロットは2つあるので、4GBのモデルを買って4GB足して8GBにするのもいいし、4GBを抜いて8GB×2で16GBにしてもいい。
内蔵の1TB HDDは使わず、SSDを購入して付け替える。
入れ替えソフトもいろいろあるが、Windows7付属のWindows Backupでも簡単にできる。
abaのマシンにはWindowsのインストールディスクはついていないので、ついでに空のDVDディスクにWindows修復ディスクを作成しておく。
8GBでいいなら、53800円+11135円(2017/07/18現在 Amazon調べ)で約6万5000円。DVDドライブはUSBで外付けすればいい。DVDドライブ内蔵がよければ、

↑このタイプを買って、自分で4GBメモリを足して8GBにする。
16GBにしたければ、8GBモデルを買うと4GBメモリ×2でくるので無駄になるから、最初から4GBモデルを買ったほうがいい。

Pentium N4200のECS LIVAZも魅力的



こちらは外見がMac Miniに似ているECS LIVAZというモデル
Pentium N4200というCPUを積んでいて、OSなしモデルは25981円(2017/07/18現在 Amazon調べ

Pentiumなんて、大昔のCPUじゃないの? と思ってしまうが、実はPentiumもCeleronもブランドとしては今も残っていて、新製品を出し続けている。


↑これは僕のメインマシンのCPU Core i7-4790S、今回購入したサブマシン~助手さんマシンになったCeleron G1840、そしてこのLIVAZの最新型に搭載されているPentium N4200の性能比較表(cpubenchmark.netより)だが、G1840の3分の2の速度が出ているので、そんなに悪くはない。実際にこのマシンで4K動画を再生してもこま落ちすることなくスムーズに再生できたという報告もある。
値段がCore i7より一桁安いことを考えたら、ものすごくお買い得なCPUだ。実際、今回購入したモデルは、普通の作業をしている限り、メインマシンのCore i7マシンとの差はほとんど感じられない。
であれば、これを買って、OS用にSSDを足して(M.2 2242スロットが1つついている)、メモリを一気に16GBにして使えば快適だろう。
費用は、本体が約2万6000円、メモリ8GB×2で約1万2000円、M.2 2242スロット用SSDが約1万円。合計4万8000円。
5万円以下で16GBメモリのSSDドライブ静音ミニモデルが手に入る。
性能的にはたいていのノートパソコン並みかそれ以上だし、USB 3.0コネクタ×3、2×ギガビットLANポート、Wi-Fi 802.11ac、1×HDMI、1×mDPと、拡張性はノートよりずっといい。動画編集などの重い作業をしないなら、これで十分だろう。
これに外付けHDDをつけて、データやメールソフト、FTPソフト、テキストエディタなどの常用プログラムは全部外付けに入れておけばいい。


8GB×2のメモリ。約1万2000円。普通の作業なら8GBで足りるはずだが、余裕を持ちたければ16GBまで積んでおくといい



128GBのSSD。約1万円。OSだけでアプリもそれほど入れないならこれでも十分いける



256GBほしければこのへんでどうか。1万3300円 これならプログラムファイルをそこそこ入れておいても大丈夫


ちなみに、最初からメモリを16GB積んで128GBのSSDも積んで、Windows10がインストールされているモデルも5万2800円だから、これを買ってしまうのが正解か↓。



高価なマシンを重くさせるという商法?

嫌な話だが、セキュリティソフトがマシンを異常に重くさせ、HDDの寿命も縮めているということはある。
無料のセキュリティソフトにオマケで付いてくる「あなたのマシンを診断してサクサク動くようにします」的なソフトをインストールした途端、トラブル続出でCPUには負荷がかかりっぱなし、裏で何をやっているか分からず、もしかしてデータが勝手にネット上に出て行っているんじゃないか? みたいなことはよくある。
ウイルスが入り込む手口でいちばん多いのはメール添付ファイル。ZIPだけでなく、ワードやエクセルのファイルもマクロ機能を使ってウイルスを仕込んだり、詐欺サイトに接続させたりできるから、最近ではワード、エクセルファイルでの詐欺メール、ウイルスメールがものすごい数やってくる。
フィルタを厳しくすると、重要なメールも受信拒否になったりして、「メールが届かない」と騒ぐ羽目になる。

手口をよく理解した上で、余計なものを入れないで極力軽くしておくことが、コンピュータの寿命を延ばすことにもつながる。それも重要な「セキュリティ対策」なんじゃないだろうか。知らないうちにどんどん重くされているマシンは、重いというだけでイライラさせられ、操作ミスを引き起こし、ウイルスにつけ込まれやすい。

あとは、HDDやSSDは必ず壊れるものだと思って、必ずクローンを作っておくこと。
CPUやメモリが壊れることは滅多にないので、一度、まともに動く静かな作業環境を作ったら、マシン本体は案外長く使える。

Windows7マシンの環境設定備忘録

■Windows7 のデザインをクラシック風に変更
http://enjoy.sso.biglobe.ne.jp/archives/windows_os/
http://windows-7-kousokuka.jp/1-5/
(動画で説明)

■表示フォントを変更・大きく
https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/960737/ja
http://freesoft.tvbok.com/tips/win7rc64/desktop_customize1.html


■拡張メニューインストール
http://homepage1.nifty.com/mt_wide/

■フォルダ内表示を「一覧」デフォルトに
フォルダを開いた状態で、希望の表示にし、ツール(T)→フォルダーオプション(O)→表示にて
「フォルダーに適応(L)」をクリック

■CAPS/Ctrl入れ替え
http://www.softantenna.com/wp/windows/ctrl2cap/
http://citrras.com/archives/570

■IME起動キー変更
http://jugemchosuke.blogspot.jp/2011/07/ime-windows-7.html
http://iwakuni.main.jp/information-2/20120924MSIME-key.html

■フォーカスせずにホイールスクロール
http://all-freesoft.net/hard3/mouse/wizmouse/wizmouse.html
http://all-freesoft.net/hard3/mouse/alwaysmousewheel/alwaysmousewheel.html

■プレースバーのカスタマイズ・他 (Comfortable PC)
http://pc-zero.jp/software/comfortablepc_dl.html

■電源切る前に指定のフォルダをバックアップ
Before Poweroff
http://www.forest.impress.co.jp/library/software/beforeoff/
BackupF2F
http://www1.plala.or.jp/stein/labo/

■Illustrator8 をインストール(インストールディスクが使えない)
http://freesoft.tvbok.com/tips/win7rc64/x64_illustrator8.html


■旧マクロメディアソフトの認証
https://helpx.adobe.com/jp/x-productkb/policy-pricing/macromedia-legacy-activation-error.html


   



タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



連作小説「まえだっちとわたし」 第一話 前田清花2017/06/07 21:54


●第一話● 前田清花(さやか) 22歳



∇‡∇

 聖哉(せいや)と別れてきた。
 ものすごく腹が立つ。聖哉にではなく、今まであの程度の男とズルズルつきあってきてしまった自分にだ。
 あと、最後がお金のことでトラブったというのが情けなさすぎてイラつく。
 マックに入って、注文した途端、あいつは「払っといて」と言ってトイレに消えた。
 なにそれ。わたし、今日は3000円も持ってないんだよ。慌てて今注文した総額を頭の中で計算した。
 どういうつもりなのか、あいつはテーブルになかなか現れなかった。
 で、ようやくトイレから出てきたと思ったら「ごめん。財布忘れたっぽい。1万円貸して」……って、ヘラヘラ笑いながら言った。

「持ってないよ。今だって足りるかどうかドキドキしたんだから」
「足りるかって、ここの? 千円ちょっとだろ?」
「そうだけど」
「嘘だろ~。おまえいくら持ってんの? 今」

 聖哉はわたしより2歳年下で、なんか聞いたことのない大学に行ってる。「危機管理学部」だとか……学部名もなんだか聞いたことのないような……。
 わたしはそこそこ名前の知られた私大の理学部を卒業して、今年から社会人。聖哉がわたしのことを「おまえ」って呼ぶのを、今まではそんなに気にしなかったけど、なんか、急にムカついてきたんだ。さっきは。

「俺、今まで結構おごってやってね? マック一回くらいいいじゃん、って思ったけど、そんなにやべえの? おまえのケーザイジョータイ」

 確かに、何回かおごってもらったよ。でも、割り勘がほとんどだったよ。
 ……って、なんでそんな細かいこと、今持ち出すんだ。イラつく。耐えられなくなってきた。

「給料悪くないって言ってたじゃん。なんだっけ、ばい……」
「胚培養士」
「なんかよくわかんねえけど、バイトってわけでもないんだろ? 月20以上はいきそうって言ってなかったっけ?」
「まだ見習いだから17万くらいだよ」
「見習いで17ならいいじゃん。時給1000円に直したら……え~と……何時間分だ?」
「170時間」(そんな計算もできんのか、こいつは)
「そっか。30日で割ったら……え~と……」
「6時間弱でしょ。でもなんで30で割るの? わたし、休みゼロ?」
「だけど非正規じゃなかなか月17万はきついっしょ。見習い期間で17ももらえたらすげーよ。そのうち20くらいには上がるんだろ?」
「いろんなことがうまくいけばね。でも、わたし、借金軽く500万超えだからね。その20万から毎月5万ずつ返済したって100か月。3万ずつなら167か月で14年。順調に返済し続けたとしてもその時はアラサーどころか、下手したら40代だよ」
「そっか。じゃあ、金持ちとくっつくしかないか」

 そう言うと、聖哉はクククっと鳥みたいな声で笑った。
 この笑い方が可愛いと思ったこともあった。そう思うと、本当にもう耐えられなくなってきた。自分のバカさにだ。

「聖哉だって抱えてるんでしょ、学資ローン」
「うん」
「いくら?」
「月12万」
「フルじゃん。わたしよりやばくない?」
「なんとかなるっしょ」

 そう言ってまたクククっと鳥みたいに笑った。
 その瞬間、わたしの中で何かがプツンと切れた。ほんとに「プツン」って音が響いたんだ。脳の真ん中へんで。
 何が危機管理学部だよ。自分の危機管理、まったくできてないじゃん……とか、いろんな思いがいっぺんに噴火して、会話を続ける気持ちもなくなってしまい、わたしは無言のまま立ちあがると店を出た。
 聖哉は何も言わなかった。何が起きたのか理解できなかったんだと思う。
 
∇‡∇

「あちらの男性から同席リクエストが来ています」

 ……という声で数時間前の風景から引き戻された。
 店員が微妙な作り笑顔でわたしの横に立っている。軽く上げた右手の先には、眼鏡をかけたスーツ姿のおっさんがいた。わたしと目が合うと、軽く会釈した……ように見えた。
 激やば! 気を抜いていた。
 まさかこんなに早くわたしを指名してくる人がいるなんて。
 ここは「女性1ドリンク無料」のバー。店名は確か「プラチナウィンド」とかなんとか、ツッコミどころがいろいろありそうな名前だったけど、それはどうでもいい。
 男性客だけが入店の際にお金を払う。
 店内は男性客ゾーンと女性客ゾーンに別れていて、女性は鏡張りの壁に向かって、男性客カウンターには背を向けた形で座っている。(中には堂々と男性客ゾーンのほうを振り返って座っている女もいるけど)
 男性客は鏡に映る女性を見て、気に入った子がいれば店員に言ってそばに呼ぶことができる。
 俗に「出会い系」なんて呼ばれているお店。
 女性客の多くは売春目的だろう。……だろう、っていうのは、わたし自身はまだ身体を売ったことはないから、そういう店だということは知っているという意味だ。
 この店に来るのは2回目だった。最初は怜華と一緒に来た。怜華はバイト先の先輩だけど歳は1コ下。「今の時間だとご飯もただで食べられるかも」とかいって、この店に入った。
 お店のシステムとかについては、怜華からザックリとだけど教えてもらった。二人連れだと誘われにくいから大丈夫、とかも言っていた。
 あのときは1時間くらいいて、しっかりご飯もただで食べてから、誰にも指名されないまま店を出た。
 自分で言うのもなんだけど、わたしは美人でもかわいい系でもない。眼鏡かけているけど、お洒落じゃなくてマジ目が悪いだけ。メンテ代がかかるコンタクトより安いから眼鏡──それだけ。
 化粧やお洒落に使うお金もないから、こんな店に来てもおよそ指名されるなんてないだろうと気を緩めていた。周りには一目でプロだと分かる年増女や派手目の若い子もいたし……。
 わたしは恐る恐るそのおっさんを見た。
 安くなさそうなスーツにネクタイ。そういう姿で来る男は少ない。変なやつだなと思った。超ヤバイやつだったらどうしよう。
 逃げる口実を考え始めたとき、店員が少し屈むようにして耳打ちした。

「あのかたは紳士ですよ。保証します」

 こういう店の店員がそんなことを言うのが引っかかったけれど、仕方なくその男の隣に移動した。

「こんばんは。前田です」

 わたしが隣りに座るとすぐ、おっさんはにこやかにそう言った。すごくいい声で、しかも店員が言ったように、マジ「紳士」っぽくてビックリした。
 それにしても前田って……なにそれ、わたしとマルカブリ。

「レイカです」

 わたしは咄嗟に、最初にこの店に連れてきてもらったバイト仲間の名前を言ってしまった。言った後、ちょっとだけ罪悪感のようなものを感じたけど、すぐにどうでもいいや、って思い直した。

「ここにはよく来るんですか?」

 え? わたしに敬語? なにこの……人。(なんかもう、その時点でおっさんって呼ぶのは声に出さなくてもしっくりこない感じがした)

「いえ、2回目です」
「そう……」
「お……(お客さん、って言いそうになって、なんで店に雇われているわけでもないのにお客さんって呼ばなきゃいけないんだと気づいてやめた)……あの……よく来られるんですか? このお店」
「そうだね。ときどきね。お店の人にはもう顔を覚えられているかな」
「あの……なんでわたしを……?」
「特に理由は……いや、ちょっと怒ったような表情に見えたから、気になったのかな。嫌なことでもあったの?」

 あったよ。でも、あんたに説明する義理はないよ。

「別に……。すみません……なんか……愛想悪くて」
「いや、そんな……謝ることはないよ。お腹はすいてない?」

 すいてるよ。なけなしのお金はたいたバーガーも食べそこねたし。
 黙っていると、「前田さん」は気を効かせてくれたのか、こう続けた。

「何か食べる? ここじゃないほうがよければ外の店でもいいけど。ぼくもちょっとお腹空いてきているところだし」
「……はい……」

 危険な感じはしなかったので、思わずそう答えてしまっていた。
 
∇‡∇

 店を出ると、前田さんはいきなりこう言った。

「どこがいいかな。マクドナルドでもいい?」

 よくないよ。さっき聖哉と別れてきた場所じゃん。
 あ、そうか、ホテルに誘う前だから、なるべくお金も時間もかからないほうがいいってことか……。まいった~。わたし、そういう覚悟できてないし……。ほんとどうしたらいい?
 黙っていたら、前田さん、少し困ったような顔で言った。

「ここでもいいけど、お酒は飲める歳だよね?」

 すぐ目の前に看板はあちこちでよく見る居酒屋チェーン店があった。

「はい。大丈夫です」

 そう答えた後、どういう意味での「大丈夫」なのか、自分でもよく分からないまま言っているなと気づいた。
 マックよりはいいけど、個室に案内されたりすると怖いような気もした。でも、居酒屋ならすぐに出るのは不自然だから、むしろホテルに誘われるまでに時間が稼げるかもしれないとも思った。

「じゃあ、ここにしよう」

 入ったお店は賑やかで、客の年齢層は低そうだった。
 店員はわたしたちをどういう関係だと思っただろうか。気を利かせたのか、奥の狭い仕切りのある席に案内した。4人入ればぎゅうぎゅうになるようなスペースで、ドアはない。
 前田さんはメニューを先にわたしのほうに向けて「お腹空いてるんじゃない? 食事も頼んでいいよ。ぼくも軽く食べるから」と言った。
 その席は掘りごたつ式の席だったけれど、席についても前田さんは上着も脱がず、ネクタイも緩めず、黒い書類鞄を大事そうに自分のすぐ横に置いた。
 改めてよく見ると、黒い鞄は皺や傷だらけで、ものすごく使い込んでいた。でも、スーツやネクタイは高級そうだし、安サラリーマンには見えない。
 ちょっと間があったけれど、結局、前田さんは「すごく薄い水割り」ととろろ蕎麦。わたしはアップルサイダーとピザという、とても変な組み合わせで注文した。
 店員が注文を受けて消えると、前田さんはいきなり訊いてきた。

「学生さんですか?」
「いいえ」
「お仕事は何を?」

 なんだこの人。そんなこと訊いてどうすんだよ。……と思ったけれど、なぜか口調が嫌らしくないっていうか、自然体っていうか、そんなに嫌な感じはしなかったのが不思議だった。

「バイトはいろいろしてきましたけど、今年からは一本に絞れて……まだ見習いみたいな感じですけど」
「正規雇用になれたってこと?」
「……そうですね。保険証ももらえたし……」
「え? 今までは健康保険証がなかったの?」
「……はい。親が保険料払っていなかったみたいで……」

 なんだか役所の窓口で質問されているような感じ。やっぱりいい気はしない。

「病院に行ったときとかはどうしていたの?」
「病院には行かないです。保険証がないから。一度だけそれが分からないまま行ってしまって、そのときは結局十割負担でした。それ以降は一度も……。だから、保険証がもらえたのは嬉しくて……」

 前田さんはずいぶん驚いたような顔をしていた。

「あの……こんな話、面白いですか? つまらないですよね。不幸自慢みたいで」
「そんなことないよ、全然。とても勉強になる」

 はあ~? 勉強になる?? やっぱりこのおっさん変だ。もしかして不幸話マニア? 若い女の苦労話聞いてコーフンする変態?
 わたしはまたちょっと身構えてしまった。

「それで、今の仕事というのは、どんな仕事なの?」

 あ、そっか。さっきの質問にちゃんと答えてなかったね。
 どうしようか。あ、でも、今の仕事の話は特に不幸話じゃないし、退屈なだけだろうから、正直に答えても飽きられるだけで、とりあえず時間稼ぎできるかな。
 そう思って、わたしは真面目に説明することにした。

「胚培養士です」
「はいばいようし?」
「……っていっても分からないですよね?」
「不妊治療で体外受精とかを手伝う……?」

 驚いた。胚培養士と聞いただけですぐに分かる人がいるなんて。

「知ってるんですか? もしかして前田さんって、お医者さんですか?」
「いやいや、全然。医学は素人ですよ。胚培養士のことは聞いたことはあるけれど、そんなに詳しくは知りません。ただ、胚培養士って、士ってつく職業なのに国家試験があるわけでもなく、国が認定する資格がいらないでしょ。無資格で人間の生命の操作に携わるっていいんだろうか、というような話が、以前、同僚との雑談の中で出たことがあってね。……でも、そのまま忘れてました」
「あの……前田さんって……」

 何者? って思ったけど、それ以上訊いてはいけないと思って口ごもった。すると、前田さんのほうから言ってくれた。

「公務員です。宮仕えだから、職場はいろいろ変わるんだけどね」

 そこで店に注文したものが届き始めて、会話のペースが少しだけゆっくりになった。
 前田さんはお腹が空いていたらしくて、注文したとろろ蕎麦をたちまち完食。わたしもずいぶんお腹空いていたんだけど、前田さんのペースには追いつけず、仕方なく、「ピザも食べますか?」と言った。前田さんは苦笑しながら「いやいや。ぼくはもういい。よかったら他にも頼んで」と言ってくれた。

「胚培養士って、実際には臨床検査技師とか獣医学部の卒業生がなったりするケースが多いんじゃないの? あなたも何かそういう経歴だったの?」

 なんかめんどくさい質問が来た。胚培養士でこんなに食いついてくるとは思わなかった。しかも、ついでという感じじゃなくて、本当に興味があるという顔だ。
 どうしようか……。正直ちょっと戸惑ったけど、こんな話をしているだけでいいなら、ホテルに誘われるよりはいいから、ある程度ちゃんと答えることにした。

「今は資格とかは何も持ってないです。獣医学部でもないです。大学は理学部でした。生物関係なので、胚培養士という仕事があるってことは知ってました。就職は、他にも製薬会社とか農協とかパン工場まであちこち受けたんですが全部落ちて、今いる病院での募集に最後ようやく引っかかって……」

 前田さんは頷きながら熱心にわたしの話を聞いていた。一言も聞き逃すまいとするような真剣な目つきになって、ちょっと怖くなった。なんか、警察で取り調べを受けているような気にもなったけど、合間にふっと見せる笑顔が自然で、わたしの気持ちも少しずつ楽になっていった。
 今までこんなこみ入った話を誰かに話したことはほとんどない。大学は私立で、学資ローンをフルに借りてなんとか通っていたから、学内で友達を作る余裕なんてなくて、授業以外の時間はびっちりバイト。睡魔と空腹と鬱だけの時間がただただ過ぎていった4年間だった。
 親ともたまにLINEで必要最小限の連絡をかわすだけで、近況報告みたいなこともしたことがない。
 こんな専門的な話をちゃんと聞いてくれる人が目の前にいるというだけで、なんだか開放感というか、ストレスが発散できるような感覚がわいてきた。うまく言えないけど、すごく不思議な感覚……。

「見習い扱いでもちゃんと就職できたことはすごくラッキーだと思ってます。でも、学資ローンの返済が500万以上あるんですよ。返済は秋からなんですけど、どう計算しても全部返し終えるのはずっと先だし、今の職場にずっとい続けるためには、やっぱり学会の資格取らないとだめだし、取るためにもこれからまたお金がかかるし……」
「学会の資格?」
「国家試験じゃないですけど、学会が2つあって、それぞれが認定する資格試験があるんです。それを取らないと仕事ができないということではないみたいなんですけど、やっぱり持っていないといつまでも見習いというか、部屋の掃除係や器具の点検みたいな仕事しか任せてもらえないみたいな……。だから、いずれはその資格を取りたいと思ってます。でも、正直、自信がないです」
「ああ、聞いたことがある。資格じゃなくて『認定』だね。その試験が難しい?」
「試験も難しいでしょうけど、やっぱりお金の面で。お金がないと勉強する余裕とか生まれないですよ。バイトづけだった学生時代よりはいいかもしれないけど、これからは返済していかなくちゃならないわけだし。それにつぶされて鬱になったりして動けなくなったら、解雇されちゃうだろうし。そういうプレッシャー、すごいですよ」
「ご家族は?」
「お父さんは失業中。お母さんはパートとかしてるけど、もちろんそんなんじゃどうにもならないし。妹がひとりいて、歳が離れていてまだ高校生なんですけど、やっぱりバイトづけでつぶれそう。わたしもそうだったけど、妹のほうが厳しいかも。おじいちゃんがボケちゃった分、きついと思う……」
「おじいさんの介護を妹さんが?」
「家族で手分けしてやってます。頭はそうとうやばくなってるけど身体はそこそこ動くんで、要介護2どまりで特養とかには入れなくて、今はおじいちゃんの年金の範囲内でデイサービスとかでやりくりしてるみたいだけど、介護保険料が上がってなんだかんだで年金の手取り額も少しずつ減っているみたいで、今まではおじいちゃんの年金の一部も家族の生活費に充てていたんですけど、これからは逆に、おじいちゃんの介護にかかるお金のほうが年金より多くなりそうだから、もう無理~、みたいな」
「それであなたも追い詰められて、あのお店に行って……?」

 前田さんはわりとあっさりと切り込んできた。

「え? いえ、そうじゃなくて……今日は特別でした。ちょっと気持ちが乱れていて……さっき、彼と……もう元彼ですけど……別れてきたんです。それもなんかもう、言うのもくだらない理由っていうか、しょーもない感じで別れて、自分が惨めで……」
「そう……。別れたほうがいいような相手だったの?」
「はい。今までズルズルきたのが許せない……自分が許せない、ってことですけど……そういう相手でした。多分、あいつはまだ別れた気になってなくて、ちょっと喧嘩したくらいに思っているんだろうけど、もう会わない。連絡来ても拒否るつもり」
「そう……。あなたがそう決めたらなら、きっとそれでいいんだと思いますよ。これから先、まだまだいろんな出会いがあるだろうし。なにより、あなたはちゃんと今、仕事を持っている。まずはお仕事をしっかりやることです。その毎日の中で開けてくる運もあるだろうし」

 なんだろこの人。学校の先生? きっとそうだ。公務員って言ってたし。職場が変わるとも言ってたから、公立学校なんだろう。もしかして校長先生くらい偉い人なのかも。
 だったら、やっぱり仕事のこととかあまり訊いてはいけないし、訊いても言うわけないな、と思った。
 その居酒屋にいたのは1時間半くらいだっただろうか。前田さんは突然腕時計を見ると、「じゃあ、今夜はこのへんで、ぼくはそろそろ帰らなくちゃ」と言った。
 え? ほんとに? これで終わり? なにこれ。人生相談?
 ポカンとしているわたしを置いて、前田さんはさっさと店の会計を済ませた。

「今日はありがとう。遅いから気をつけて帰ってね。これ、少ないけどタクシー代」

 店を出る直前、前田さんはそう言ってわたしに5000円札を1枚差し出した。

「よかったら、またお話聞かせてください」

 わたしはほとんどまともに返事もできないほど呆気にとられていた。でも、別れ際、LINEの交換だけはしてしまった。
 危ない人ではないと思ったから。
 
∇‡∇

 前田さんのことは強烈に印象に残ったけれど、その後は何もないままだった。
 LINEは交換したけれど、前田さんからもわたしからも、結局何も送らなかった。
 変な人だったな。でも、面白い経験だった。もう二度と会うこともないんだろうなと思うと、ちょっと残念な気もした。
 職場ではそれほどトラブルもなく、いいことも悪いこともなく時間が過ぎた。
 病院だから、男性医師や看護師、検査技師などもいたけれど、数からいえば女性のほうが多かった。地味な眼鏡女子のわたしは、男からも女からもあまり声をかけられることもなく、特に仲のいい友達ができるわけでもなかった。
 ひとり口の悪い男の研修医がいて、「きみって、いわゆる『チョイブ』……ちょうどいいブスだよね」なんて言われたりもした。首締めたろか~、田中光兵太(こうへいた)。おまえのあだ名、ヘーコイタにして病院内に浸透させてやろうか。今はわたしの頭の中だけでそう呼んでいるだけだけどな。
 秋になって、いよいよ学資ローンの返済が始まった。利率変動方式といって、返済開始時期にならないと正確な返済額が分からないので不安だったが、不安は見事的中して、予想よりも額が多かった。
 追い打ちをかけるように、千葉にいる家族の状況も悪化した。
 おじいちゃんは夏に脳溢血を起こして救急搬送。もともと認知症で、日々扱いがやっかいになっていたのが、一気に寝たきりになってしまった。
 口から食事が取れなくなり、わたしが知らないうちに、両親は胃ろう処置を決めてしまった。就職してから医療現場を少しは見てきているわたしには、意志表示できないような脳障害の患者に胃ろう措置がどれほど悲惨なことになるか分かっている。なぜ一言相談してくれなかったのだろう。
 しかも、これまた知らないうちに、おじいちゃんは愛知県にある介護施設に送り込まれてしまった。「胃ろうアパート」と異名を取る最悪の民間設備だ。胃ろう患者専門に受け入れている無届けサ高住。想像するのも恐ろしい。
 妹は公立高校に通うのも厳しくなり、中退してバイトだけの生活になった。大学まで行ったわたしに恨み言のひとつでも言うかと思ったら、全然そんなことはなく、明るく振る舞っている。
 でも、ひとつきつかったのは「おねえちゃんみたいに学資ローンの返済で息切れする20代よりは、さっさと仕事経験して、いろんな人に出逢って玉の輿にでも乗る可能性を残しておきたいから」という言葉だ。まったくその通りだもの。
 がんばれ妹。
 わたしはマジで応援している。玉の輿に乗ってくれ。そのほうがわたしの心も軽くなるから。
 わたしだってほんとは玉の輿とやらに……。
 ノンノンノン。今のわたしのように借金や金のない家族を抱えている女性と結婚しようという男性なんているはずがない。わたしがもう少し美人ならまだしも……ね。
 で、仕事はといえば……。
 バイト漬けの学生時代に比べれば、仕事の内容は特にきついというほどではなかったけれど、すればするほどわたしには「好きになれない仕事」だと思うようになった。
 お金のことでプレッシャーを受け続け、結婚はもちろん、子供を持つなんて到底考えられないわたしが、経済的に恵まれた夫婦の「不妊治療」のために働いている。
 余計なことを考えてはいけないと分かっていても、「そこまでして子供がほしい? 贅沢だね~。いいご身分だね~」と心の中で呟いてしまう……。
 きついな~。でも、つぶれるわけにはいかないよな~。高校中退してバイト漬けの妹のことを考えても、ほんとなら大学出ているわたしが稼いで援助しなければいけないのだから……。
 そんなこんなで、ぎりぎりで踏ん張っていたある日、仕事を終えて、培養室の掃除を一人で終わらせ、鍵を閉めて帰ろうとしてたとき、マナーモードを解除したスマホに変なLINEのトークメッセージが入った。

〔覚えてますか? その後、お仕事は順調ですか?〕

 汎用アイコンの下に「まえだっち」って出たので、一瞬誰のことだか分からなかった。わたしが自分でそういう名前に変更していたのに。
 少し迷ったけれど、返信した。

〔ご無沙汰してます。その節はごちそうさまでした。お礼も言えず失礼しました〕
〔いえいえ〕
〔わたしはなんとかやってます〕
〔それはよかった。いろいろあるでしょうが、きついときはふっと息を吐いて、淡々とこなしてください。真面目にやっていれば、いいこともありますよ、きっと〕
〔ありがとうございます〕
〔ではでは。がんばってネ〕

 え? それだけ?
 また会いませんか、とかではなくて?
 わたしからおねだりしたほうがいいのだろうか。またご飯ごちそうしてください、とか?
 でも、やっぱりそれは無理だ~。こっちからは言えないよ。
 でも、思いきっておねだりすれば、前田さんは会ってくれるだろう。そしてまた、わたしの話を真剣に、時折笑顔になって聞いてくれるだろう。
 その時間と空間をつい想像してしまった。心が少しずつ緩んでいくような感覚に浸れるかもしれない。
 でも、わたしからは言えないよ。なんでさっき誘ってくれなかったんだよ、前田さん。
 わたしがいけなかった? なんとかやってます、じゃなくて、きついんです、つぶれそうです、とでも言えばよかったの? そう言えば「じゃあ、また食事でも行きましょうか」って誘ってくれた?
 後悔の気持ちがどんどんじわじわ膨らんできて、スマホを持ったまま、わたしはしばらくドアのそばに立ち尽くしていた。

「わ! ビックリした~!」

 突然、目の前で声がした。

「幽霊かと思った~。勘弁してよ~。血圧上がっちゃうよ~」

 うざい!
 顔を見るまでもない。田中光兵太(こうへいた)だ。

「チョイブの次は幽霊に昇格ですか?」

 わたしはマジ頭にきてそう言った。

「チョイブ? なにそれ?」

 おいおい。忘れたのか? 自分が軽く口にした言葉が、人をどれだけ傷つけるか、おまえさんは気がつかないんだね。想像もできないんだね。
 わたしは確かに「ちょうどいいブス」かもしれない。口説くのに緊張するような美人じゃないし、そばにいるだけでゲロりそうなドブスでもない。中の下くらい? 下の下じゃないからいいだろってか? 「ちょうどいい」をつけるだけありがたく思えってか?

「チョイブって何?」

 ヘーコイタが繰り返した。

「はあ? 田中さんが言ったんでしょ」
「俺が?」
「ちょうどいいブス、チョブス……って……わたしに言わせるわけ?」

 わたしの語気がそうとう鋭かったのか、ヘーコイタはマジでびびったようだった。急に神妙な表情になって言った。

「俺が? そんなことを? ……だったら、ごめん……なさい……」

 え? わたし、今そんなに怖い顔してる? やだよ。せめて最後までジョークっぽくしてくれよ。

「いや、きっとそれは、いい意味で言ったんだよ。逆に、いい意味で。伝わりづらかったかな。ほんとごめん」
「いい意味とか、逆にとか、イミフな言い訳はいいです」
「いや、言い訳じゃなくて、……いや、言い訳だけど、ほんとにいい意味で言ったんだよ。まえだっちはなんていうか、安心感があるっていうか、安定しているっていうか……」
「まえだっち? わたしのことですか?」
「あ、ごめん。自分の中ではそう呼んでいたもんだから、つい。……前田さんは……」
「今ちょうど、わたしがまえだっちって名前をつけていた前田さんって人からLINEが入って読んでいたところなのよね。60くらいのおっさん。だから違う呼び方にしてもらえますか?」
「え? ……じゃあ、下の名前とか? 清花(さやか)さん?」

 おや、ヘーコイタはわたしの下の名前をちゃんと知っていたのか。それは感心。

「それでよし」
「じゃあ、清花さん。お詫びにどこかで夜食でもどうでしょう?」

 え?
 ビックリした。
 ビックリしすぎて、まじまじとヘーコイタの顔を見てしまった。
 いつものようなからかっている顔ではなかった。ちょっと頬が赤くなっていた。

「へー……」

 思わずヘーコイタと言いそうになる。やばいやばい。

「へー、って、なんか女王様っぽいっすね。そういうのも逆にヤバイな……あ、いい意味ですから。俺がMってわけでもなくて……純粋に……なんつうか……」

 ヘーコイタはまだちょっとあわあわしていた。
 へ~。そうきたか。
 わたしは一呼吸置いて、精一杯の優しい声で答えた。

「マクドナルド以外がいいな」
「了解っす、女王様!」

 ヘーコ……コーヘータは右足を少し引いて右手を軽く差し出し、いつものおどけた声にもどってそう言った。不思議と、もうウザイとは感じなかった。
 
 前田さん(まえだっち)。後でLINE入れますね。
 わたしはなんとかやっていけそうです。
(第一話 了)




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山口敬之事件と官邸とメディア2017/06/03 12:07

Japan Times 2017/05/30 の記事より。そのものズバリのタイトル
↑写真はJapan Times 2017/05/30 の記事より。そのものズバリのタイトル

犯罪をもみ消すこともでっち上げることもできる

最初に1つの動画を紹介したい。
↑これは本当によくできている。3日後には10万リツイートを超えていた。オリジナルは⇒こちら


なぜこれを紹介するかというと、山口敬之氏の準強姦罪逮捕状が逮捕目前で取り消され、今なお山口氏は放置されている件を「まともに」考えてみるきっかけとして最適だと思ったから。
ちなみに「準強姦罪」は「準」だから強姦よりはマシというわけではまったくない。レイプの手段が暴行や脅迫なら強姦罪、酩酊状態や心神喪失状態で抵抗できない相手を襲えば「準強姦罪」で、どちらも3年以上20年以下の有期懲役(刑法177条、178条2項)。重い・軽いはない、同じ区分の罪だ。

まず、この事件を時系列でまとめておく。

  • 2015年4月3日 被害者・詩織さんは就職相談のために都内でTBSテレビ報道局ワシントン支局長(当時)・山口敬之氏と面会。山口氏は一時帰国中で、山口氏から詩織さんを誘っている。山口氏に案内された寿司屋で詩織さんは意識が混濁(それまでに経験がないほどのことだったので「薬物をもられた」と詩織さんは後に推認)。朦朧としながらも「駅で降ろして」と訴える詩織さんを抱きかかえるように山口氏はホテルの部屋に連れ込み、性行為に及んだ。
  • 2015年4月4日 目覚めたとき詩織さんは裸にされていて山口氏はそこに馬乗り状態だった。
事件後に山口氏が詩織さんに宛てた弁明メールから概略を引用すると、(略)
〈あなたは私の寝ていたベッドに入ってきた。その時はあなたは「飲み過ぎちゃった」などと普通に話をした。だから、意識不明のあなたに私が勝手に行為に及んだというのは全く事実と違います。あなたのような素敵な女性が半裸でベッドに入ってきて、そういうことになってしまった〉

 しかしホテルの関係者は、

客室に2つあったベッドのうち1つしか使われた形跡がなかった。しかも、そのベッドには血痕がついていた

 と証言しているというのだ。

〈あなたのような素敵な女性が半裸で…〉山口敬之が被害女性に宛てた弁明メール 安倍総理ベッタリ記者の準強姦逮捕状 デイリー新潮
  • 2015年4月末 詩織さんは高輪署へ被害届を出す。4月30日、高輪署が受理。
  • 2015年6月 高輪署から「準強姦罪での逮捕状を取った」と詩織さんに連絡が入る。
  • 2015年6月8日 山口氏を逮捕しようと空港で待ち構えていた捜査員に警視庁上層部から逮捕はするなと指示が入る。捜査員から詩織さんに「上からの指示で逮捕できなかった」と連絡が入る。ストップをかけたのは警視庁刑事部長(当時)の中村格(いたる)氏(現在は警察庁組織犯罪対策部長)。以後、捜査は高輪署から警視庁捜査一課に移る。
「そのとき、私は仕事でドイツにいました。直前に捜査員の方から(山口氏を)『逮捕します。すぐ帰国してください』と言われ、日本へ帰る準備をしていました。いまでも、捜査員の方が私に電話をくださったときのことを鮮明に憶えています。『いま、目の前を通過していきましたが、上からの指示があり、逮捕をすることはできませんでした』『私も捜査を離れます』という内容のものでした」(詩織さんの記者会見で)
  • 2015年8月26日 書類送検。

  • 2016年5月 山口敬之氏TBSを退社。
  • 2016年6月 山口氏が著書『総理』(幻冬舎)を出版。
  • 2016年7月10日 参院選当日の新聞各紙に山口敬之・著『総理』(幻冬舎)の広告が掲載される。
  • 2016年7月22日 代理人弁護士を通じて詩織さんに「嫌疑不十分のため不起訴処分となった」と伝えられる。

  • 2017年3月~ 山口敬之氏、ワイドショー番組への出演が突然増える。森友問題などで政権擁護発言を連発する。
山口氏が権力者側で大きな声を発信し続けている姿を見たときは、胸を締め付けられました。(詩織さん 記者会見で)
  • 2017年5月 週刊新潮がこの事件について山口氏に取材。取材依頼書をメールで送った後、「北村さま、週刊新潮より質問状が来ました。◎◎の件です」というメールが山口氏から週刊新潮編集部に誤送信された。◎◎は詩織さんの名字。「北村さま」は北村滋・内閣情報官であるというのがメディアの中では一致した見方。週刊新潮が北村内閣情報官に確認すると「何もお答えすることはありません。すいませんが。(いつから相談を?)いえいえ、はい。どうも」と一方的に切られたとのこと。
  • 2017年5月8日 山口氏が自身のフェイスブックで週刊新潮の取材を受けたことに対して弁明を綴る。その書き込みに安倍首相の昭恵夫人が「いいね!」をつける。
  • 2017年5月29日 詩織さんが顔と名前を出して事件の経緯と不起訴になったいきさつの不透明性について記者会見。検察審査会に不服申し立てを行ったことも表明。

改めて時系列を確認して驚くのは、事件発生後(当然官邸も知っていたはず)にもレイプ犯として逮捕状が出ていた人物が『総理』という首相PR本のようなものを書き、参院選当日には新聞各紙に広告まで打っているということだ。

二人の重要登場人物

ここまでで登場した中村格(いたる)警察庁組織犯罪対策部長(帰国する山口氏を空港で待ち構えて逮捕する寸前だった高輪署署員に逮捕中止命令を下した人物)と北村滋・内閣情報官(山口氏が週刊新潮の取材申し入れ直後に相談メールを送った相手)とはどんな人物なのかというと、

中村格・警察庁組織犯罪対策部長:第二次安倍政権発足時に菅義偉官房長官の秘書官をつとめて絶大な信頼を得ており、いまも「菅官房長官の片腕」として有名な警察官僚。警察庁組織犯罪対策部は成立目前の「共謀罪」摘発を統括する予定の部署であり、そのトップにいる人物
実は、「共謀罪」と「もみ消し」というのは親和性があります。
というのも、共謀罪(テロ等準備罪)法案には、「偽証の共謀罪」も含まれています。
捜査機関の見立てと異なる証言をしようとする者とその支援者(弁護士含む)を「偽証の共謀容疑」で逮捕することも不可能ではありません。
冤罪を晴らすための第三者の証言についても、証言する前に偽証の共謀で摘発される危険が指摘されています。実際、真実を述べようとする第三者に対する捜査機関による圧力はこれまでにも多く報告されています。
加害者が政権と関係する重要人物である場合にも、事件をもみ消す目的でこの偽証の共謀罪が濫用される危険は非常に高いと思われます。
共謀罪というのは捜査機関による事件もみ消し、権力の不正隠蔽にも好都合なツールなのです。
東京法律事務所blog 「共謀罪」と「犯罪のもみ消し」の親和性~権力犯罪の隠蔽も容易となる共謀罪~より)


北村滋・内閣情報官:昭和55(1980)年警察庁採用。以後、在仏日本国大使館一等書記官、警視庁長官官房総務課企画官、徳島県警察本部長などを経て、平成18に安倍内閣総理大臣秘書官に就任。平成23年内閣情報官。 “官邸のアイヒマン”の異名をもつ安倍首相の片腕
(安倍首相の)面会数が最も多かったのは、インテリジェンス(機密情報)を担当する北村滋内閣情報官だ。外交・安全保障に関する情報や選挙情報まで、内閣情報調査室が集める様々な情報を首相に報告する。1日に複数回、官邸を訪れることも多く、首相の休暇中に山梨県の別荘まで会いに行くこともある。第一次安倍政権で首相秘書官を務め、苦しかった時期に首相を支えたメンバーの一人でもある。
日本経済新聞 2017/01/29 面会多い相手は? 安倍首相の4年間、データで解剖 会食場所・週末… 政治面「首相官邸」欄から集計

↑日経のこの記事によれば、4年間で安倍首相が面会した回数断トツ1位がこの北村内閣情報官で659回。菅官房長官(323回)や麻生副総理(299回)の倍以上会っている。まさに「首相の片腕」であることがデータ的にも証明されているといえるだろう。

マスメディアはほとんど報じない

この事件を、メディアはどう報道したか。
5月29日の会見で、 詩織さんは「今回、この件について取り上げてくださったメディアはどのくらいありましたでしょうか? 山口氏が権力者側で大きな声を発信し続けている姿を見たときは、胸を締め付けられました。この国の言論の自由とはなんでしょうか? 法律やメディアは何から何を守ろうとしているのか、と私は問いたいです」と述べた

では、この記者会見後の各メディアの対応はどうだったのか?
スポーツ紙は日刊スポーツが大きく報じたほか軒並み会見の内容を伝えたが、肝心の大手新聞社は昨日の朝刊で取り上げたのは、毎日新聞と産経新聞がベタ記事で数十行ふれただけで、読売はいわずもがな朝日新聞すらも無視した。

さらに、テレビのほうは、NHKは無論、民放キー局でも、山口氏の古巣であるTBSの『NEWS23』や『ひるおび!』、コメンテーターとして山口氏を重宝していたフジテレビの『とくダネ!』『直撃LIVEグッディ!』はスルー。フジと同様に山口氏を番組で起用していたテレビ朝日は、29日の『報道ステーション』は報道しなかったが、30日朝の『羽鳥慎一モーニングショー』と『ワイド!スクランブル』は伝え、番組でバラツキがあった。
LITERA 山口敬之のレイプ告発会見でテレビが見せた弱腰、安倍応援団は「逮捕ツブしたのはTBS」とデマで官邸擁護

前川氏や詩織さんのように、個人が勇気を振り絞って声をあげても、メディアは黙殺したり、下世話な興味に訴えるような扱いにする。

さらには、

とか、

……というようなコメントが元文科大臣や元大学教授から発せられる。それに対する「いいね!」の数の多さにも目眩がする。

山口氏を起用し続けていたテレビメディアに、今すぐ、自力でできる企画を提案したい。
「検証:私たちはなぜ山口敬之氏を起用し続けてきたか」「山口敬之氏を番組コメンテイターに推薦してきたのは……」
なぜ自分たちはあれだけの回数、山口敬之をコメンテイターとして起用してきたのかという説明責任があるのではないか。
それをしないで、この事件は見て見ぬ振りではあまりにも無責任ではないのか。

民主主義を守れとかいう以前に、この国は本当に「法治」国家なのだろうか。法が機能していないではないか。
警視庁刑事部長がレイプ犯の逮捕状をもみ消しても放置。元文科大臣が前文科事務次官を「買春していた」と名誉毀損しても放置。森友&加計の「学園ドラマ」も完結編を作らずに放置。
……放置国家ニッポン。
いや、呆痴国家か……。

前川さんや詩織さんのように勇気を持って声をあげている人たちが不当に貶められているのを黙って見ているのは耐えられない。今が最後のチャンスだとも思うので、連日こういう文章を書いているわけだが、さすがにこう毎日ひどいものを見せ続けられていると気分が悪くなり、体調を崩しそうだ。
日増しに無力感に襲われるだけでなく、「はっきり書く」という行為に恐怖を感じる。まさに管理社会、密告社会へ突き進む政権の思うつぼだ。
これからは自分にしかできない方法で、もっと効果的な書き物、表現スタイルを模索していこうと、改めて思っているところだ。



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続・前川喜平という人物2017/06/01 01:51

ビデオニュースドットコムでインタビューに応じる前川喜平氏

「常識」とか「一般人」ってなんなの?


「共謀罪」が強行採決された。これからはこんなTシャツ↑を着て歩かなくちゃ、と呟いている人がいた。
ビールと弁当を持っていたら「花見」、地図と双眼鏡を持っていたら「犯行現場の下見」――。「共謀罪」の成立に必要な「準備行為」の判断基準について、金田勝年法相は28日の衆院法務委員会でこんな例示で説明した。
朝日新聞 2017/04/28


僕は年がら年中カメラを持って誰もいない神社の境内やら他人様の田圃の周辺をウロウロしているわけで、「一般人」と書いたTシャツを着ていてもすぐに通報されて捕まりそうだ。

これはもはや冗談ではなくなっている。
先日の日記でも書いたが、「貧困層の女性が出入りする出会い系バーというものに実際行ってみた」と説明する前川喜平前文科省政務次官の話に、「この人の思考経路はやはり異常だし、普通の思考回路の人だと思って議論することはナンセンスだ」と断じる人もいる。
この滅茶苦茶な決めつけは論外としても、テレビのワイドショーなどに出てくるキャスターやコメンテイターにも「あの言い訳は残念だった」「お小遣いを渡したというのを聞いて引いてしまった」「もっと常識を持ってほしかった」などと論評する人たちがかなりいる。
しかし、そういうことを言う人の神経や思考回路のほうがよほど問題がある。
前川氏の説明を整理すれば、
  • 貧困から抜け出せない女性が、売春を覚悟した金銭目的で女性客無料のバーに行って金を持っている男性から声をかけられるのを待つ……という世界があることをテレビのドキュメンタリー番組で知った
  • どういうところなのか、どんな人たちがどんな風にしているのか、実際に行ってみた
  • そこで何度か女性と話したり食事をしたりした。その際、お小遣いも渡した

……ということだ。
つまり、「そういう店」に来る女性は金銭目的であることがはっきりしているわけで、「そういう店」で女性から話を聞いて時間をとらせたら、謝礼を出さないほうが非常識だし、まともな大人といえないでしょ。
これが仮に新聞社やテレビ局が取材で「そういう店」に潜入して、店内で見つけた女性を連れ出して話を聞いた後、なんの謝礼も出さなかったら、なんちゅう非常識な大人だ、と僕は思う。

前川氏が退任後にボランティアをしていたNPO法人キッズドアの渡辺由美子理事長のブログを読んでも、前川氏の行動パターンは、文科省の外での行動については徹底して一私人として、自費で、身分を伏せてやっていたことが分かる。
5月30日放送の「直撃LIVEグッディ!」(フジテレビ)では、前川氏が出入りしていたバーに取材して、店員の証言などもとっていたが、「偽名を使っていた」「領収書はとっていなかった」「たいていは一人で悠然と食事をしたり飲んだりしていただけで、女性と話をしている時間は少なかった」「女性と一緒に店を出たのは1、2回」などと報じていた。それがまるで犯罪であり、会見での説明と大きく食い違うかのような伝え方だったが、どれもおかしなことではない。
最初は店の様子を見るために一人で店内を観察していたわけだし、話を聞かせてくれる女性がいれば店内で長々とするわけがない。ましてや領収書を求めないのはあたりまえではないか。(もっとも、政務活動費でSMバー……というすごい大臣もいたが……)
むしろ「たいていは一人で悠然と食事をしたり飲んだりしていただけで、女性と話をしている時間は少なかった」という店員の証言から、ああ、やはり前川氏は本当に本当のことを言っていただけなのではないかという思いが強くなった。

「それは楽しいですよ、女性と話をするのは」

前川氏は大手メディアだけでなく、個人ジャーナリストのインタビューなどにも応じている。

↑神保哲生氏のビデオニュースドットコムでも長時間インタビューに応じているが、その中で神保氏も前川氏が「貧困調査のために行った」という説明を「あの言い訳だけは残念だった」というようなことを言って「本当にそれだけですか?」と食い下がっている。
それに対して前川氏は「そりゃあ、女性と話すのは楽しいですよ。それが何割かと言われても……」と笑って答えている。なんて正直で自然体なんだと感心してしまった。
「そういう店に行って女性を連れ出したら絶対にホテルに連れ込んでやっているに決まっている」と思い込む人たちがネット上でワイワイ騒いでいるが、本当に、前川氏の言葉じゃないけれど「気の毒だ」と思う。

↑まさにその通り。
自分の思考回路、価値観、世界観以外の、もっと広くて深い世界が外側に広がっていることを死ぬまで知ることがない、知ろうとしない人たち。

僕が驚いたのは、教養も品性もない人たちではなく、メジャーメディアに登場する「識者」とか「知識人」と呼ばれるような人たちまでもが、社会の底辺、あるいは底辺とまではいかなくても「庶民感覚」「普通の生活感」について「常識」がないことだ。
自分たちもメディアから取材を受けたらその場の食事代やコーヒー代は出してもらってあたりまえだと思っているはずだし、場合によっては「お車代」ももらっているだろう。内容に比べて高額な「講演料」なんかもね。
ところが、相手が貧困にあえいでいる底辺の女性だと、「そんな場所でそんな子たちに金を渡すなんて非常識」「引いてしまった」となる。これって、無意識のうちに底辺の女性たちを差別していることにならないか。

国を動かしている政治家たちは、自分で電車や飛行機の切符を手配したり、ホテルを予約したり、スーパーに行って晩ご飯の食材を買ったり、どこのガソリンスタンドに行けば安いか調べたり、切れた電球を交換したり……そういう「普通の生活」を知らないまま、経験しないまま今の職に就いていないか。そんな「常識のない人びと」が国民を幸せにできるのか。
前川氏もそういう階層にいる一人だが、彼はそれでも自分の頭で考え、自分の意志で行動し、「現場」を見ようとした……それを犯罪者や変質者のように報道する官邸やメディア。
「引いてしまいました」というキャスターの笑顔を見て、僕はまさに「引いてしまった」のだった。

現職中にやるべきだった

菅官房長官は、「なぜ現職中に言わないのか」と言ったが、それに対して「こんな冷酷な言葉はない。首切り役人が刀を持っている前で『さあ、言いたいことがあるなら言ってみろ』と言っているのと同じ」と評した人がいた。本当にそうだ。
しかし、前川氏は上記の神保氏のインタビューでこう語っている。
「私に続け!」と言うつもりであれば、やっぱり現職中にやるべきだった。そこは私の忸怩たる思いの部分ですね。
現職中は「これは無理だ。抵抗できない」と(なってしまった)。せめて文部科学省の範囲内でもちゃんとやること(はやろうと思った)。これは特区制度全体の中での話ですから。
文部科学省は特区制度に関する限りは相談にあずかるというか協議にあずかる側。「それはおかしいじゃないですか。おかしいじゃないですか」と、担当の高等教育局専門教育課はず~っと言い続けてきた。しかし、結局押し切られちゃったわけですから、そこまではもうしょうがないんじゃないかな、と。
私が現職のときに、そこでもっと声をあげていれば(よかった)。今のように、こんな文書があるじゃないかと、内閣府はこんな無理を言っているじゃないですか、と、もっとオープンに言えば、もっとはっきりしていただろうし、私に続くという人も続々と出てきたかもしれない。
今の私は、何言っても平気じゃないか、と。「何言っても平気な人が何言っても、我々現職は、同じことはできませんよ」と言われてしまったら、私も、それはそうだよね、と言わざるをえない。

そう悔恨の念を吐露した上で、さらにこう続けている。
ただ、それでもね、後輩たちに言いたいのはね、役人には面従腹背というものがあるんだ、ということ。
とにかく、身も心も捧げるな、と。
身も心も「貸す」ことはあっても、取り返すときには取り返せ、と。
……こういう生き方は役人にはどうしても必要だと思うんですね。
とにかく、完全に権力のロボットになるようなことはしないで、自分の座標軸を持って、これはおかしいと思うことは思いながら仕事をする。その中で粘り強く、強靱に、機を見て、方向転換できるときには方向転換するとかですね、そういう術(すべ)ってのが必要だろうなと思うんです。
上の動画の42分あたりからの書きおこし)

これを聞いて、拙著『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』のあとがきに書いた一節を思い出した。
 最後に二つ、繰り返しになるかもしれませんが、重要なことを書いて終わります。
 ひとつは、人生において、すっきりとこちらが正解だという決断ができる場面は意外と少ないということです。
 例えば、あなたが大きなメディア(新聞社やテレビ局)の社員だとします。あなたは社会の不正を告発し、正義を伝えたいという理想を持ってその会社に就職しました。しかし、上司はあなたと考えが合わないだけでなく、事実を隠蔽しようとします。それがさらに上の人たちからの指示であり、意志でもあることが分かってきます。
 絶望したあなたには、「こんな会社は辞めてやる」と辞表を叩きつけることもできますし、その場はぐっと堪えてぎりぎりの妥協をしつつ、次のチャンスを待つという選択もできます。こんなとき、どちらを選ぶのが正解かは、簡単に言えません。
 そこに所属して働けば働くほど世の中を悪い方向に向かわせると確信できれば、辞めて不正を告発する努力をすることが正しいかもしれません。でも、巨大メディアを辞めてひとりで伝えられる力は極めて弱いので、なんとかメディアに残って、他の同じ志を持った仲間と一緒にじわじわ闘っていくほうがずっと効果的かもしれません。
 そういうとき、安易に逃げずに、命がけで考え、行動してほしいのです。そうした強い意志が集まれば、世の中は少しずつ変わっていくかもしれません。

(『3.11後を生きるきみたちへ 福島からのメッセージ』 岩波ジュニア新書 2012 あとがきより) 



官僚を辞めて、自分自身の言葉を発し続けている人たちは何人かいるし、メディアの世界でも、NHKを退社して、今はBSスカパー!の番組や自身が立ち上げたニュースサイト「8bitNews」などで活動している堀潤氏などにもあてはまることかもしれない。

私は公僕であって「国民の代表者」ではない

前川氏はさらにこうも言っている。
一旦大学が作られれば、毎年億の単位の私学助成を出して行くことになります。国民からあずかっている税金をその大学に注ぎ込むことになるわけですね。ずっと。その大学が存在する限り。
やはり、国民からあずかっている税金を正当に使うという意味でも、安易な大学の設置認可はできない。

公僕として、国民からあずかっている税金をいい加減に使うことはできないという信念を表明した上で、こう続けた。
私は事務方のトップではあるけれど、文部科学省のトップではないわけです。私は公務員として全体の奉仕者という自覚はあるけれども、「国民の代表者」ではない。
内閣総理大臣をはじめ、内閣を構成する大臣は、自ら国民の代表として選ばれた国会議員でもあり、その議院内閣制の下で、国会から選出された内閣総理大臣の下で任命された大臣ですから、国民の代表者ですよ。
国民の代表者として仕事をしているかたがたの決定には従わざるをえない。


……これは国民に向けた皮肉とも、精一杯のお願いともとれる言葉だ。
自分は公僕(全体への奉仕者)ではあるが、国民によって選ばれた「国民の代表」ではない。しかし、大臣たちは国会議員であり、国民が投票で選んだ代表である。公僕は「国民の代表」の決定に従わざるをえない……。
つまり、前川氏を理不尽な命令に従わざるをえないように追い込んでいるのは我々国民なのだ。間違った代表を選出している愚かな国民なのだ。
彼のような超優秀な人材を殺しているのは、この期に及んでも安倍政権を支持し続けている国民なのだ。
こうした絶対的な孤立を噛みしめながら、前川氏は行動している。
口先だけではなく、身体を張って行動している。


   

森水学園第三分校を開設

森水学園第三分校

タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



前川喜平という人物2017/05/28 22:06

前川氏を誹謗する菅官房長官(テレビ番組の画面より)
森友学園問題に続く「本命」加計学園スキャンダルも、メディアや野党のていたらくでこのままうやむやにされるのかと思っていた矢先、渦中にいた文科省の元事務方トップの人物が勇気ある告発証言をした。
最初に見たのは夕方の地上波ニュースで、すでに編集済みだったため、全編を見られないかと探していたら、CSのニュースバード(TBS系)でノーカット録画放送をやっているところだった。食い入るように見た。

概要はすでにあちこちに報じられているので、ここでは地上波や新聞ではなかなか報じない部分をまとめてみる。

文書が本物かどうか、とか、探せとかないとか←意味がない

この会見後も、野党は「問題となっている文書が本物かどうか、文科省内に保存されているはずだから確認しろ」というようなことを言い続け、官邸や文部科学大臣は「存在は確認できなかった」「再調査の必要はない」などとやりあっている。
……バッカじゃなかろか。
「私が目にした文書は、文科省の専門教育課が作ったものでありまして、専門教育課の職員が内閣府の藤原(豊)審議官のもとを訪れて、藤原さんがおっしゃったことを書き留めた。そういう性格の文書です。
私は部下だった職員が書いてあることを聞いてきたのだと。100%信じられると思っておりますので、藤原さんがそういうことをご発言になったということは私は確かなことであろうと思っております」(25日の記者会見より

当時の事務方トップが「この文書は私が説明を受けたときのレク文書に間違いない。作成した人物(部下)もまだ省内にいる」と言っているのだから、文書が本物であることはもはや議論の余地はない。
前川氏が事務次官として、この「総理のご意向」「官邸の最高レベルの……」という文書をもとに説明を受けたことは分かったのだから、それでも官邸や内閣府は関係ないというのであれば、「このレク文書を作成した文科省職員は上司を納得させるためにありもしないこと(内閣府、官邸側からの圧力示唆)を書いた」ということになる。官邸サイドは「我々はなんの指示も示唆もしていない。文科省の職員が勝手に忖度してそのようなレク文書を作成して上司に説明した」と証明する必要がある。
これを本気でやれば、板挟みの職員は確実に消されてしまうだろうが……。

なぜ京産大は排除されたのか?

そもそも「国家戦略特区」とは、
経済社会の構造改革を重点的に推進することにより、産業の国際競争力を強化するとともに、国際的な経済活動の拠点の形成を促進する観点から、国が定めた国家戦略特別区域において、規制改革等の施策を総合的かつ集中的に推進します。(首相官邸WEBサイト)

というもので、国がまず決めて、そこに事業者や自治体が応募するという形のものだ。
「普通はできないことを特別にそこだけは認めますよ」というのだから、競争相手を排除した独占的な事業が展開できる可能性がある他、
課税の特例
認定区域計画に定められている特定事業(内閣府令で定めるもの等に限る。)を実施する法人(国家戦略特別区域担当大臣が指定するものに限る。)の所得については、租税特別措置法で定めるところにより、課税の特例の適用があるものとすること。
国家戦略特別区域法の一部を改正する法律要綱 より)
など、様々な特典も与えられる。

この「特区」、いろいろある中で「教育」という分野には「公立学校運営の民間への開放(公設民営学校の設置)」(2015年特区法成立)というのがあっただけだったところ、「獣医学部の新設」が加わった(2017年1月告示 適用は今治市)。
この「獣医学部の新設」が加わった経緯もかなり不透明だが、そこに京都産業大学が名乗りを上げたのに、それを排除するためととられてもおかしくないような条件を加えた(2016年11月)。

文科省は、獣医学部新設で「既存の大学・学部では対応が困難な獣医師養成の構想が具体化」など内容に条件を課す修正を求めた。修正理由には「(加計学園が計画する)今治市の構想が適切であることを示す」とも指摘した。だが、実際の決定文では要求は却下され、逆に原案の「獣医師系養成大学等の存在しない地域」との地域的条件に「広域的に」「限り」の二つの文言が挿入された。(東京新聞 2017/05/23朝刊「加計学園に有利に加筆 獣医学部設置決定案に」

この「広域的に」「限り」が加えられた結果、京産大は隣の大阪府にすでに獣医学部を持つ大学があるため「該当せず」になってしまった。
その結果、
(6)名称:獣医師の養成に係る大学設置事業
内容:獣医学部の新設に係る認可の基準の特例
(国家戦略特別区域法第 26 条に規定する政令等規制事業)
学校法人加計学園が、獣医学部の設置の認可を受けた上で、愛媛県今治市において、獣医師が新たに取り組むべき分野における具体的需要に対応するための獣医学部を新設する。【平成 30 年4月開設】
首相官邸WEBサイトにある「広島県・今治市 国家戦略特別区域 区域計画(案)」平成29年1月20日 より)


……となり、この時点で「平成30年4月開設」と、開校の年月まで明記されている。同時に手をあげていた京産大の関係者でさえ「そんな早く開校できるはずがない。加計学園さんはその条件でよく手をあげたものだ」と驚いていたという。

この状況で「加計学園ありき」ではなかったという説明には到底無理がある。

(そもそも京産大にしろ加計学園にしろ、なぜそこまで「動物実験に特化した獣医学部」を開設したかったのか。製薬業界との関係はないのか……という疑問を抱いてしまうのだが、その問題は別だてで考えたい)

いちばんの問題は「国家が恣意的に個人を抹殺できる」という現状況

テレビメディアなどでは「最初から加計学園ありきで行政が歪められたということがあったのかなかったのか」が問題の本質だという論で報道しているが、ここにきてさらに恐ろしい、重大な問題が浮き彫りになっている。
それは、国家権力が自分たちに都合の悪い個人を、嘘や偽情報、自分たちの意のままになるマスメディアを使って貶め、社会的に抹殺するという恐怖だ。

読売新聞が「辞任の前川・前文科次官、出会い系バーに出入り」と題した記事を掲載したのは2017年5月22日のことだった。
文部科学省による再就職あっせん問題で引責辞任した同省の前川喜平・前次官(62)が在職中、売春や援助交際の交渉の場になっている東京都新宿区歌舞伎町の出会い系バーに、頻繁に出入りしていたことが関係者への取材でわかった。
教育行政のトップとして不適切な行動に対し、批判が上がりそうだ。
関係者によると、同店では男性客が数千円の料金を払って入店。気に入った女性がいれば、店員を通じて声をかけ、同席する。
女性らは、「割り切り」と称して、売春や援助交際を男性客に持ちかけることが多い。報酬が折り合えば店を出て、ホテルやレンタルルームに向かうこともある。(以下略)

この記事が掲載されたのは週刊誌や新聞、テレビの取材などに前川氏が応じる姿勢を見せた時期であり、なぜこのタイミングで退職して一私人となっている人間のスキャンダル記事を全国紙が大きく報じるのか、メディアや政界を少しでも知る人たちは仰天した。

鮫島浩? @SamejimaH 5月22日
このニュースからは以下の可能性が読み取れる。
①前文科次官には公安の尾行がついていた
②国家権力はこの情報を読売にリークした
③それは加計学園問題で情報を流出させた文科省への報復と脅しである。
共謀罪成立後に到来するのはこのような監視社会だ。
(ジャーナリスト・鮫島浩氏のツイート


一読して驚嘆した。
とてもではないが、全国紙が配信する記事とは思えなかったからだ。
(略)
「批判が上がりそうだ」
というこの書き方は、新聞が時々やらかす煽動表現のひとつで、「批判を浴びそうだ」「議論を招きそうだ」「紛糾しそうだ」という、一見「観測」に見える書き方で、その実批判を呼びかけている、なかなかに卑怯なレトリックだ。
書き手は、「批判を浴びそうだ」という言い方を通じて、新聞社の文責において批判するのではなく、記者の執筆責任において断罪するのでもなく、あくまでも記事の背後に漠然と想定されている「世間」の声を代表する形で対象を攻撃している。しかも、外形上は、「世間」の空気を描写しているように見せかけつつ、実際には「世間」の反発を促す結果を狙っている。
真意は
「な、こいつヤバいだろ? みんなでどんどん批判して炎上させようぜ」
といったあたりになる。
実に凶悪な修辞法だ。
「出会い系バーに出入りした人の“末路”」小田嶋隆の「ア・ピース・オブ・警句」 ~世間に転がる意味不明 日経ビジネスオンライン 2017/05/26


……まあ、普通の感覚ならこうとらえる。この国はすでに恐怖政治体制の国になってしまったのか。権力者が世界一の発行部数を誇る新聞社を使って個人をつぶすような国になったのか……と。

一方、こうした卑怯な個人人格攻撃に追い打ちをかける輩もわんさと出てくる。
代表的なものを一つあげれば、同日付の「アゴラ」には、元通産省大臣官房情報管理課長で、現在は徳島文理大学大学院教授という肩書きを持つ人物がこんな文章を載せている。

この人の思考経路はやはり異常だし、普通の思考回路の人だと思って議論することはナンセンスだ。そんな理屈、家族の中でも通用しないだろう。また、「昨年秋、(出会い系バーへの 出入りに関し)、杉田和博官房副長官からご指摘を受けた」と述べている。怪しげなバーに政府高官が出入りしているという情報があれば調べるのは、政府中枢として当たり前の活動だろうし、それは、かなり噂になっていたのではないか。
(略)
しかも連れ出してお金を渡している。別に問題ないという人もいるが、これが他省庁の次官ならまだしも文部科学事務次官だとまったく別の問題だ。いわば全国の学校の先生のトップに立っている人なわけだ。警察庁長官が酔っ払い運転したみたいなもの。そして、そういう常識のない人がいっている話が普通の元官僚のいっていることと同等の信用性はない。
「前川文書と出会い系バーの「真相」を推理する」 八幡和郎 2017/05/26)


まさに官邸の思惑通りの援護射撃だ。

「思考経路が異常」「普通の思考回路の人だと思って議論するのはナンセンス」「そんな理屈、家族の中でも通用しない」と言いきっているが、この「そんな理屈」の内容を前川氏の発言から正確に拾うとこうなる。

「出会い系バーというものがありまして、読売新聞で報じられたが、そういったバーに私が行ったことは事実です。
経緯を申し上げれば、テレビの報道番組で、ドキュメント番組で、いつどの局だったかは覚えていないが、女性の貧困について扱った番組の中で、こういったバーでデートの相手を見つけたり、場合によっては援助交際の相手を見つけたりしてお金をもらうという女性がいるんだという、そういう女性の姿を紹介する番組だった。
普通の役人なら実際に見に行こうとは思わないかもしれないが、その実態を、実際に会って話を聞いてみたいと思って、そういう関心からそういうお店を探し当て、行ってみた。
その場で話をし、食事したり、食事に伴ってお小遣いをあげたりしながら話を聞いたことはある。
その話を聞きながら、子供の貧困と女性の貧困はつながっているなと感じていたし、そこで話を聞いた女性の中には子供2人を抱えながら、水商売で暮らしている、生活保護はもらっていないけれど、生活は苦しい。就学援助でなんとか子供が学校に行っているとか、高校を中退してそれ以来ちゃんとした仕事に就けていないとか。あるいは通信制高校にいっているけどその実態が非常にいい加減なことも分かった。
いろいろなことが実地の中から学べた。その中から、多くの人たちが親の離婚を経験しているなとか、中学・高校で中退や不登校を経験しているという共通点を見いだした。
ある意味、実地の視察調査という意味合いがあったわけですけれど、そこから私自身が文部科学行政、教育行政をやる上での課題を見いだせた。ああいうところに出入りしたことは役に立った。意義があったと思っている」
25日の会見より


この発言に対して「思考回路が異常」「家族の中でも通用しない」というわけだが、そう決めつける根拠は何も示されていない。
ましてや、「警察庁長官が酔っ払い運転したみたいなもの」であるはずもない。
組織暴力団員でもない「一般人」が犯罪も何も冒していない時点で密かに身辺を調査され、プライバシーを侵害され、結果、なんの犯罪も出てこないのに新聞にほのめかしに満ちた記事が出て「批判が上がりそうだ」などと印象誘導される
これこそまさに今いちばんの懸念となっている「共謀罪」への恐怖そのものであり、すでにそういう国になってしまっているという実例ではないか。
ちなみに記者会見で前川氏は、「これは権力の脅しだと思うか」と問われて、「私はそんな国だとは思いたくない」ときっぱり答えている姿は、多くの人が見たとおりだ。

まずは正確な情報を──「ガールズバー」でも「風俗店」でもない

多いときは週に1度のペースで店に通い、女性たちの身の上話に耳を傾けた。女性たちの多くが、両親の離婚や学校の中退を経験していることを知った。
「この状態を何とかしなければという思いは、仕事の姿勢にも影響した。高校無償化や大学の給付型奨学金などに積極的に取り組んだ。私は貧困問題が日本の一番の問題だと思っている」(「Aera」(前川喜平はウソつきか? インタビューで答えた“総理と加計の関係”)


正直に言えば、僕自身最初は「貧困の実態調査」のために通ったというのはやや無理があるのではないかと思っていた。しかし、調べていけばいくほど、そう思い込んでしまう自分の品性・品行のほうに問題があるのかもしれないと思い始めた。

まず正確を期すために前川氏が通っていた店とはどんな店なのか、情報を探ってみた。
複数の情報はすべて歌舞伎町にあるバーを示している。その店は女性客は無料で入店できるが、男性客は60分3500円(1ドリンク付き)、120分4800円(2ドリンク付き)というバーで、営業時間は20.30~5.00。
様々なブログやツイッターの書き込みなどには「ガールズバー」とか「風俗店通い」などという記述も見られるが、どちらも間違いだ。ガールズバーというのは「バーテンダーが女性中心のショットバー」であり、まったく別業態。また、店に性的なサービスを提供する女性を控えさせている風俗店ともまったく違う。
夜しか開いていないので、公務員が勤務時間中に入店することはありえない。
また、女性が入店無料(ドリンクチケット付き)ということで、売春目的で入店する女性も多いのは事実だが、当然のことながら、男女問わず、客のすべてが売買春目的で来るわけではない。
実際、『彼女たちの売春(ワリキリ)』(扶桑社、2012年)の著者である荻上チキ氏は、自身のラジオ番組内で、「本を書くために自分も100回くらいそういう店に通ったし謝礼も渡した」と説明している


ついでにこの本を読んだ感想を書いているブログに分かりやすい、かつ印象的なまとめがあったので引用したい。
3.11以降の取材で福島に住み昼間は工場勤務、夜はワリキリの女性の言葉が切なかった。放射線量は気にならないとし「はい、病気になったらどうせ死ぬのだし。それよりお金のほうが心配」 これって彼女に限らず、いま3.11以降を生きるこの国の多くの人たちの心情に共通しているように思えてならない。
荻上チキの取材力、問題認識力に敬意を表したい。荻上チキはまとめた「n個の社会問題の数だけn個の処方箋、n個の排除の数だけn個の包摂を。買春男に彼女たちを抱かせることをやめたいなら、社会で彼女を抱きしめてやれ。そうすれば事態は幾分マシになる。彼女たちの売春、それは僕たちの問題でもあるのだ」
「ポポロの広場」より



前川喜平氏の人物像

前川氏が「女性は入場無料のバー」に通っていたこと自体はなんの違法行為でもないし、加計学園問題に対する「証言」とはまったく関係がない。そのことをまずはっきりさせておかなければならない。
しかし、すでに官房長官や世界一の発行部数を持つ大新聞が彼を「いかがわしい人物」「ポストに恋々としがみつく人物」だとほのめかしている異常事態が起きている今、そのほのめかしにどれだけのリアリティがあるのかを検証するために、いくつかの情報をまとめてみる。

地位に恋々としてしがみついているのは誰か?

まず、菅官房長官が語った「責任者として自ら辞める意向をまったく示さず、地位に恋々としがみついていた」という誹謗については、前川氏自身が25日の記者会見でかなり詳細に述べた経緯とまったく違っている。
私の退職、辞職の経緯は、誰に恨みを持つようなものでもなく、私は文科省のいわゆる天下り問題、再就職規制違反の問題について責任ある立場におりましたから、これは再就職等監視委員会からも違法行為を指摘されましたし、私自身も自分自身が行った違法行為、それから違法行為を行った職員に対する監督責任、そういったものが問われたわけでありまして。私が引責辞職したのは、自らの意思です。

1月5日だったと覚えてますけれども、私の方から松野文科大臣に監視委員会の調査の状況、文科省としての対応の状況などをご報告した際に、かなり多くの処分が不可避です、こういった事態にいたったことについては私が責任を取らざるを得ないと思いますと。従って、責任ある形で、辞職させていただきたいと申し入れた記憶がございます。私の方が、大臣に。

事務次官の辞職というのは勝手にはできない。辞職を承認する辞令をいただかなければならないので。辞職を承認していただきたいと私の方から大臣に申し上げた。大臣は慰留してくださいました。
しかし、私はこれは辞めるしかないということで、官邸とご相談したいとうことで、官邸にも大臣のお許しを得て、ご相談にまいりました。

ご相談の相手は、杉田(和博)官房副長官です。杉田副長官にも、これから起こるであろう文科省の職員に対する処分がどのようなものになるかの概略を説明しながら、私自身の引責辞職についても、お許しをいただきたいと申し上げたところ、『いいだろう』というお話を承りまして、それを持ち帰り、大臣に官邸からもご了解をいただきましたということで、事実上、私の辞職がそこで決まったということです。
5月25日の記者会見にて


菅官房長官の「恋々と地位にしがみつく」という誹謗中傷に少しでも分があるというのなら、前川氏のこの発言内容はことごとく嘘だということになるわけで、それを証明してほしいものだ。でなければ、菅官房長官の発言は、極めて悪質な嘘、でっち上げによる名誉毀損という犯罪になるだろう。

辞任後は夜間中学などでボランティア活動

国家権力がなりふり構わず個人攻撃を続ける一方で、前川氏の人物像を知る情報がいくつも浮上してきた。
前川さんは辞任後、二つの夜間中学校の先生、子どもの貧困・中退対策として土曜日に学習支援を行う団体の先生として、三つのボランティア活動をしている。

と報じたのは「Aera」(前川喜平はウソつきか? インタビューで答えた“総理と加計の関係”)だ。
これを裏付ける証言も出てきた。ボランティアしていたという「キッズドア」の理事長・渡辺由美子氏は自身のブログの中でこう語っている。

実は、前川氏は、文部科学省をお辞めになった後、私が運営するNPO法人キッズドアで、低所得の子どもたちのためにボランティアをしてくださっていた。素性を明かさずに、一般の学生や社会人と同じようにHPからボランティア説明会に申し込み、その後ボランティア活動にも参加してくださっていた。

担当スタッフに聞くと、説明会や研修でも非常に熱心な態度で、ボランティア活動でも生徒たちに一生懸命に教えてくださっているそうだ。
「登録しているボランティアの中で唯一、2017年度全ての学習会に参加すると○をつけてくださっていて、本当に頼りになるいい人です。」
と、担当スタッフは今回の騒動を大変心配している。年間20回の活動に必ず参加すると意思表明し、実際に現場に足を運ぶことは、生半可な思いではできない。
今回の騒動で「ご迷惑をおかけするから、しばらく伺えなくなります」とわざわざご連絡くださるような誠実な方であることは間違いがない。

なんで、前川氏が記者会見をされたのか?
今、改めて1時間あまりの会見を全て見ながら、そして私が集められる様々な情報を重ねて考えてみた。
これは、私の推察であり、希望なのかもしれないが、彼は、日本という国の教育を司る省庁のトップを経験した者として、正しい大人のあるべき姿を見せてくれたのではないだろうか?

大人は嘘をつく。
自分を守るためには、嘘をついてもいい。正直者はバカを見る。
子どもの頃から、こんなことを見せられて、「正義」や「勇気」のタネを持った日本の子どもたちは本当に、本当にがっかりしている。何を信じればいいのか、本当にわからない。
小さなうちから、本音と建前を使い分け、空気を読むことに神経を尖らせなければならない社会を作っているのは、私たち大人だ。
「あったものをなかったものにできない。」
前川氏が、自分には何の得もなく逆に大きなリスクがあり、さらに自分の家族やお世話になった大臣や副大臣、文部科学省の後輩たちに迷惑をかけると分かった上で、それでもこの記者会見をしたのは、
「正義はある」
ということを、子どもたちに見せたかったのではないだろうか?

「あったものをなかったものにはできない。」
そうなんだ、嘘をつかなくていいんだ、正しいものは正しいと、間違っているものは間違っていると、多くの人を敵に回しても、自分の意見をはっきりと言っていいんだ。

子どもたちとって、これほど心強いことはない。
「あったものをなかったものにできない。」からもらった勇気 キッズドア 渡辺由美子 オフィシャルブログ より)


さらに時代を遡ってみると、前川氏は今から12年前の2005年、小泉政権下で「三位一体改革」という名のもとに行われようとした義務教育費削減政策に真っ向から立ち向かい、個人的にブログまで立ち上げて反論を堂々と展開していた。
このブログは今もまだWEB上に残っていて読めるので一部を紹介してみる。
義務教育費はなぜ狙われたのか?
義務教育費国庫負担金を、三位一体改革の補助金削減の対象にするのは間違っている。
(略)
公共事業のように政・官・業のもたれ合い体質の強い分野よりも、義務教育や児童福祉のような分野の方が政治の世界からの抵抗をかわしやすい。特に義務教育や児童福祉の直接の受益者である子どもたちは選挙権を持っていないから、どんな目にあっても、彼ら自身には政治を変える力がない。地方6団体が平成17年7月20日に発表した補助金・負担金の廃止リストの中には児童養護施設の負担金も含まれている。身寄りのない子どもたちには彼らに代わって権利を主張する親もいない。政治的に完全に無力な存在だと言ってよい。そういう政治的弱者が狙われているのだ。
義務教育費国庫負担金には、徒党を組んで削減反対を唱え、「票」や「金」で政治を動かせるような圧力団体がいないのが現実の姿だ。
また、民間部門に比べると公立部門は政治力が弱い。だから私立所よりも公立保育所の方が、私立学校よりも公立学校が狙われるのだ。
前川喜平の「奇兵隊、前へ!」(その1)義務教育費はなぜ狙われたのか? より)


このブログ、赤裸々で大変読み応えがある。例えばこんな部分。
 義務教育費国庫負担金の堅持を求める文教関係議員を、「既得権益」だとか「利権」だとかいうもののために動いているかのように新聞が書くのは、私に言わせれば、無礼千万な話である。

(略)

義務教育費国庫負担金は「票」や「金」には結びつかない。純粋に義務教育が大切だと信じる人だけがこれを本気で守ろうとしているのだ。

中でもその真剣さにおいて際だっているのは保利耕輔氏である。

保利氏は、文部大臣だけでなく自治大臣も経験された方だ。総務省(旧自治省)は当初さかんに保利氏を味方につけようと工作した。我々が氏のもとにうかがうたびに「総務省はこう言っている。文部科学省はどう反論するのだ」と説明を求められた。生半可な説明では決して納得されなかった。氏は、両省の言い分をとことん聞き取り、熟慮に熟慮を重ねた末、義務教育費国庫負担制度は堅持する必要があるという結論に達せられたのだ。義務教育においては「教育の機会均等」は至上命題だ。然るに義務教育費国庫負担金を税源移譲に回せば、都道府県ごとの税収には大きな格差がでる。文部科学省の試算では、国庫負担金に比べて税収が上回るのが七都府県、それ以外の四〇道県では財源不足になる。地方交付税が不足を補填するから大丈夫だと総務省は言うが、地方交付税は削減の一途を辿っているではないか。そのような状態では、義務教育費の財源を交付税で保障することはできないはずだ。そうなれば、義務教育の機会均等は保障できなくなる。…保利氏はそのように結論を出されたのだと思う。

(略)

平成17年6月9日号の週刊新潮に奇っ怪な記事が載った。タイトルは「次は『文科省役人』のクビを狙う『小泉』」。この記事は郵政民営化法案に反対の動きをした総務省幹部の更迭人事を紹介した上で、「文科省関係者」の言葉として「次の生け贄」は文部科学省の結城事務次官と銭谷初等中等教育局長だと書いている。

(略)

「郵政民営化に目を奪われていますが、国と地方の税財政関係を見直す、いわゆる三位一体改革も小泉政策の大きな柱です。その中には、義務教育費の国庫負担制度改革も含まれている。独自財源を増やすことを狙って小泉改革に賛成する地方と、自らの権益を失うことに繋がるため制度維持を狙う文教族・文科省が対立しています。小泉は、結城と銭谷を反対派の象徴と見ているんです」(官邸関係者)
 そしてこの記事は、こう締め括られている。
「この“反対派”の二人に小泉首相はこう言い放った。『もうこれ以上、反対しないでくれ。分かってるね』二人は震え上がったという。」

この記事は完全な捏造である。誰よりもまず小泉総理に対する中傷である。官邸に呼ばれた事実もないのに「震え上がった」などと嘘を書かれた次官と局長も堪ったものではない。週刊新潮がこんなデタラメを記事にする雑誌だとは知らなかった。
一体誰がこんな記事を週刊新潮に書かせたのだろう。義務教育費国庫負担金の廃止・削減を狙う「誰か」であることは間違いない。極めて卑劣な行為である。

(略)

この記事が出てから間もない6月5日の日曜日、中教審義務教育特別部会は異例の日曜セッションを青山の公立学校共済施設で開いた。その会議終了後、会場から地下鉄の駅へ向かっていた私は、総務省自治財政局の務台調整課長が、見城美枝子委員に路上で話しかけているところに出くわした。

務台課長は、見城委員が義務教育費国庫負担金の廃止に賛成するよう説得を試みていた。私はその話に加わり、務台課長の主張に反論した。しばらく議論をしたあとで、務台氏が私に向けて最後に投げつけた言葉がこれだ。「前川さん、そんなこと言ってると、クビ飛ぶよ」
 クビと引き換えに義務教育が守れるなら本望である。週刊新潮は、文科省が「権益」のために制度を持しようとしていると書いたが、義務教育費に「権益」などというものは無い。仮にそんなものがあったとして、「権益」にしがみつく人間が「クビ」を賭けるようなまねをするだろうか。
前川喜平の「奇兵隊、前へ!」(その15)義務教育費に利権はない より)


ずいぶん端折ったが、それでも相当長くなってしまった。全文は元のブログで。

ちなみに最後に出てくる務台調整課長というのは、福島を訪れた際に長靴がなくて、おぶわれて水溜りを渡ったことで一躍名をはせた務台俊介・元内閣府大臣政務官のことだ。

さらには、前川氏はこのブログ内で、近未来小説「義務教育崩壊!」なるものの構想まで書いている。
 「義務教育崩壊!」。私が書きたいと思っている近未来小説だ。第一章の書き出しは、200X年3月下旬の参議院本会議。義務教育費国庫負担法廃止法案が可決成立する場面である。
「起立多数。よって本件は可決されました」議長の声が響く。文部科学大臣がひな壇から議場の外へ出てくる。大臣を待っていた文部科学事務次官以下の幹部にまじって、義務教育費国庫負担制度の所管課長である後山悲平財務課長が佇立している。疲れ切った表情で赤絨毯の上を歩き始めた大臣に、後山は一つの書類を差し出す。表には黒々と「辞表」と書いてある。……
前川喜平の「奇兵隊、前へ!」(その3)近未来小説「義務教育崩壊!」より)


後山というのは前川の対意文字を連ねた洒落だろうが、辞表覚悟でこのブログを書いているという決意のようなものが滲んでいる。

事務次官就任後にも、こんな記事があった。

埼玉の夜間中学運動31周年を記念した集会が29日、JR川口駅東口にある複合施設「キュポ・ラ」で開かれ、文部科学省の事務方トップとして集会に初参加した前川喜平事務次官が「(夜間中学は)教育の場で重要な役割を果たしてきた」と評価し、文科省として公立夜間中学設置を推進する考えを示した。
1979年に文部省(現文科省)に入り、初等中等教育局長などを経て今年6月に次官になった前川次官は「教育は人権保障の中核。国籍に関わらず、全ての国民は等しく教育を受ける権利がある」と語り、卒業証書を受け取るだけの「形式卒業」や義務教育未修了者、不法滞在の外国籍の親を持つ子どもたちなど、教育を受ける権利を制限されてきた人たちに学びの場を提供してきた「夜間中学」を高く評価した。
文科省として公立夜間中学設置を推進するに当たっては、「多様な学習機会を確保する観点」から、不登校の生徒についても本人の希望を尊重して受け入れていく方針を明示。半世紀近く夜間中学運動に関わってきた元教師からは「大変大きな前進」と歓迎する声が聞かれた。
(以上、「夜間中学 埼玉の運動31周年集会 「重要な役割」 初参加、文科省事務次官が評価」 2016/10/31 毎日新聞埼玉地方版 より)

この記事には、
「個人的見解」としながら「夜間中学設置について、組織としての文科省はこれまで見て見ぬふりをしてきた。(夜間中学設置に賛同する)自分は(省内では)異端。居心地が悪かった」と吐露した。

……という興味深い箇所もあった。

前川さんの今回の反撃が、単に、前川さんが次官飛ばされて、でも、俺は食うに困んないで金はあるから一発爆弾落としてやるか、というんじゃなくて、前川さんに同情的な霞が関の官僚ってけっこう多いんですよ。人事をいじられて、政策も今まで自分たちが霞が関で積み上げてきたものを曲げられて、今の安倍政権はやっていると思っている人、多いですからね」(TBSラジオ・武田一顯記者 5月27日のMBSテレビ「ちちんぷいぷい」での解説より)


権力集中型の政権と対立し、「前川さん、そんなこと言ってると、クビ飛ぶよ」と脅されながらも、上に立たなければ行政を動かせない、と、仕事は有能にこなして、ついにトップに立った人。
どこをどう読んでも「恋々と地位にしがみつく」ような人物像は浮かんでこない。

ここまで調べてきて、僕は当初「貧困実態調査」のために出会い系バー通いはさすがに苦しいのでは……と疑っていた自分の狭量さを恥じた。
もちろん事実は知るよしもない。しかし、こんな人物であれば、「貧困実態の調査」のためにお忍びで出会い系バーに潜入して話を聞いていたという説明は、その通りだったのではないかと、最後は思うようになった。

ネット上では「出会い系バー通いの変態がボランティアで子供に近づいたとしたらもっと危ない」などというバカ丸出しのコメントが乱れ飛んだりしているが、ネットにバカがあふれるのはまあしょうがない。恐ろしいのは、巨大メディアが悪質な権力誘導型デマ発生装置にまで堕している現実だ。

文科省の元官僚として前川氏の先輩にあたる寺脇 研氏(現・京都造形芸術大学 教授)は、フェイスブックでこう報告している

某全国紙から、27日朝刊のために前川さんの記者会見についてコメントを求められ、以下のように述べた(文章は記者がまとめてくれたもの)。
その数時間後、その記者から暗い声で電話が…
「このコメントは載せるな、と上からの命令があり掲載見送りになりました」
なのでここに出します。
いやはや、この国の既成メディアの状態はひどい。
今回の一件でそのことも明らかになりつつあります。

前川前文科次官の会見は堂々たるもので、信念の人だと改めて感じた。覚悟を決めて証言したのだろう。
(以下略)


ずいぶん長くなってしまった。
しかし、大新聞があれだけいい加減な誹謗記事を出してくるのだ。それに対して検証する努力を怠れば、印象操作の餌食になってしまう。
散歩の途中ですれ違った中学生がこんなことを口にした。
「あの人って大金持ちの家に生まれてお金には全然困ってないんだって」
……おいおいおい。それはさらにどうでもいいことなんだよ。
あの人が踏ん張らなければ、今頃地方の小中学校はかなり厳しい状況に追い込まれていたかもしれないんだよ。あ~、それを僕も今の今まで知らなかったんだけどね……。

ナチス体制下のドイツで開かれたベルリンオリンピック。水泳女子200m平泳ぎの中継でNHKのアナウンサーは「前畑がんばれ!」と20回以上絶叫した。80年以上たった今、一強独裁政権に怯えるメディアの代わりに、僕らは「#前川がんばれ!」と言い続けよう。

   

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日光杉並木街道が「ソーラー街道」に2017/05/22 22:06

このノウサギが跳びはねていた野原はもうない

2017年4月 初めてじっくり見ることができたノウサギ
前回の「ナガミヒナゲシ騒動考」で、
「人間が作ったソーラーパネルが里山エリアの山の斜面や草原を根こそぎ消滅させ、草花だけでなく動物も地域絶滅させていることのほうが外来種がどうのこうのよりはるかに大問題なのだが、それはまた次のトピックで……」と書いて終わったが、ここに続きを書く。

いちばん怖いのは人間だが、さらにやっかいなのは……


先月の13日、日光に引っ越してきて6年目にして初めてノウサギを見た。越後時代にも阿武隈時代にもノウサギというのはほとんど見た記憶がない。一瞬、横切るのを見たとか、その程度ならあったようにも思うが、まじまじと観察できるほど近くで見た記憶はない。
それが、日光で、しかもすぐそばを車が通っているような原っぱで悠々と飛び回っているのを長い時間見ていられたのだから感激した。
その原っぱにはこのところいつ行ってもキジの夫婦がいて、そのときもキジを撮っていた。そうしたら目の前を何か違うものが横切っていったのだ。

もう一度見たいと思って、その後も何度か出かけたが、キジの夫婦は毎回いたが、ノウサギは現れなかった。

で、翌月の5月20日、主に別の目的で出かけたついでに横を通ったのだが、なんと、原っぱ全体が完全に消滅していた。


4月13日にノウサギを見たとき。矢印のところにノウサギ

5月20日、すっかり草むらが消え、重機が作業中



間違いなくメガソーラー建設だろう。すでに周辺の草むらがことごとくつぶされてソーラーパネルだらけになっているので、ここも狙われているのではないかと危惧していた矢先だ。
ここは草むらだけでなく、そこそこの水たまりを含む湿地もあった。そこにはオタマジャクシ(おそらく時期的に見てアカガエル)が泳ぎ、ヤゴなどもたくさんいた。通年、水が完全には抜けず、湿地を保っている場所というのはこのへんにはもうほとんど残っていない。ツチガエルなどがオタマジャクシのまま越冬するためにも必要だし、鳥や野生生物にとっても貴重な水場になっていたはずだ。
それがつぶされてしまったのは本当に痛い。

オタマジャクシやヤゴがいた水たまりも埋められていた



日光に引っ越してきた直後、町内の集まりで「自然環境を……」と口にした途端、「人間は自然を壊して生きているんだからしょうがない」と反論する人がいた。めんどくさいやつが引っ越して来やがった……と警戒の目を向けられたようだ。
俺たちは環境を壊して金を稼ぎ、よりマシな生活を営んできた。これからもそれは続くんだから、きれいごとを言うな……というわけだ。

しかし、こうした犠牲に見合うだけのメリットが人間にあるのか? 太陽光発電バブルはすでにはじけている。中小の業者はあちこちで倒産しているし、大手は最初から「建て逃げ」作戦だから、あと10年もすればあちこちで事業者不在ソーラーパネルが増えるだろう。
20年もすれば、ゴミとなって放置されたソーラー設備の撤去で、各自治体は苦労するに違いない。

すでに我々は高額な「再エネ賦課金」を電気料金に上乗せさせられている。金がかかる発電方式というのは、それだけエネルギーを使っているということだ。太陽光発電パネルを製造する過程で、すでに膨大な電気や資源を使っているからこそ高くつくのだ。それを回収できるだけの発電ができない、見込めないからこそ電気料金や税金を投入して無理をしている。

原資が税金や公共料金だから、そこに生じる利権にたかれば確実に儲かる。人の金で非合理な商売をして儲ける……この構図は原発を推進してきた国策と同じだ。問題が起きても誰も責任をとらないし、負の遺産を押しつけられ、つけを払わされるのは若い世代。これのどこが「クリーン」なのか。
発電にかかっただけ電気料金に上乗せしていいですよという「総括原価方式」をやめれば、必然的に、最も合理的で省エネの発電方法をとらざるをえなくなるから、原発も大型ウィンドタービンも無茶なソーラー発電もなくなり、日本の環境破壊は緩まる。
でも、総括原価方式をやめれば、利権も薄まるから絶対になくならないだろう。

日光杉並木は国の特別天然記念物に指定されているわけだが、その両側はすでにソーラーパネルだらけになっており、杉並木を通っていても杉の間から異質な光景が見える。

ナガミヒナゲシが危険生物だの駆除しろだのなんだのと言っている場合ではない。植物も動物も巻き込んだ大規模環境破壊が猛スピードで進んでいるのだ。すでに大変なダメージを受けているが、今からでもなんとか歯止めをかけないと、気がついたときには取り返しのつかないことになる。いや、すでになっている。

ノウサギとの再会を願って、「兎が原」とでも名づけようかと思っていた草原はもうない。
「兎が原」の横は通学路だが、これから先、子供たちはノウサギやキジではなく、ソーラーパネルに埋め尽くされた土地を横目に見ながら通学することになる。その子たちは「再生可能エネルギー」は増やすべき重要なもので絶対的な「善」だと刷り込まれているから、これは「自然にとっていいもの」だと信じて成長するかもしれない。……やるせない……。

道路(通学路)側から見た光景。もうすぐここに黒いパネルが敷き詰められるはずだ


このままでは日光杉並木は「ソーラー街道」になる

このへんを散歩するたびに、オセロゲームのコマようにソーラーパネルが増えていく。「え? ついこないだ通ったときにはなかったのに……」と呆気にとられるのだが、だんだん麻痺してくるのが怖い
日光杉並木は、日本で唯一、国の特別史跡および特別天然記念物の二重指定を受けているのだが、そのすぐ脇をソーラーパネルで埋めていくことになんの制約もかからないのか? 
今日も重機が稼働中。ここはもうすぐパネルで覆われるだろう



消滅した「ウサギが原」のすぐ横。住宅や農地に隣接してすでに設置されたパネル



例幣使街道。杉の間から見えているのは牧場なのだが……



なにやらパネルを載せるフレームがすでに組み上がっているようだ。ここも牛からソーラーに転換か……



杉並木を挟んで反対側の草地。ここなどもすでに「予約済み」なのかもしれない



その先、日光山内に近づくにつれ、杉並木の間から見えるパネル群は増える



これだけ増えると植生や生態系も影響を受けないわけにはいかない。ただでさえ毎年倒れる杉が増えているのに、大丈夫なのか……



手前が例幣使街道の杉並木。そこに隣接して作られたメガソーラー。道を渡って見ると……↓



こういう規模のものがあっという間に作られている



国も県も市も、何を考えているのか?



ここを通って日光山内や奥日光をめざすハイカーやライダーたちは多いが、こうした風景に迎えられてどんな気分になるだろうか



ソーラーパネルを敷き詰められた側と街道を挟んで反対側。見えているのが杉並木(この向こう側が例幣使街道)。こちら側にもこうした草原があちこちあるが、この調子だとどんどんパネルが敷き詰められ、日光杉並木街道はソーラーパネルに挟まれた「ソーラー街道」になってしまいそうだ



ここも狙われそうだなあ。すでに「予約済み」なのかもしれない……




悩みながらもこんな動画を作ってみた(↑Clickで再生)
↑これを作りながら「プロテストソング」という言葉を思い出した。ずいぶん前に消えた言葉のような気がする。まさか人生の終わりにさしかかってこういうものを作るとは思わなかった

プロテストというよりも、ただただ悲しい、虚しい。

この地でノウサギに再会することは、もう一生ないかもしれない。

   

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↑BGMに使った『Uguisu 2017』の全曲はこちらでどうぞ(↑Clickで再生)



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「ナガミヒナゲシ騒動」考2017/05/22 21:28

これが悪魔の大魔王のように言われているやつ?

我が家の周りではむしろ減っているような気がするが……

最近、よく聞く「ナガミヒナゲシ」という名前。「異常繁殖して周囲の草花を枯らす悪魔のような花なので駆除してください」というような話として出てくる。
鮮やかなオレンジ色の花はよく見る。でも、うちの周囲ではたまに見る程度で、少なくともハルジオンやフランスギクのように群生しているのは見たことがない。
暴力的に増えるというのだが、むしろ、今年はめっきり見なくなった気がする。

それでなんとなく気になってググり始めたところ、興味深いページを見つけた。
東京農工大学大学院農学府教授(国際生物生産資源学教育研究分野・国際環境農学専攻)という肩書きを持ち、アレロパシーの専門家である藤井義晴教授とのやりとりを紹介している。
教授、「個人で作られているサイトに大学から情報をだしてもよいものかどうかわかりませんが、とりあえず個人的な情報として……」と、いろいろ書いてくださったそうで、親切だなあ……藤井教授。ちなみに僕と同い年らしい。

かなり詳しく⇒こちらに情報がまとめてあるので、興味のある方はそちらを読んでいただくとして、目にとまった部分をちょっとだけ引用させてもらうと……。
交差点でよく見かけるのはなぜ?

実ができるのがちょうど梅雨どきで、その雨で車のタイヤにくっついて道路沿いに広がっていると推定しています。
このような特性が都市の道路沿いに広がっている原因と思われます。


ナガミヒナゲシのアレロパシーについて

アレロパシーは私の専門分野で、その活性を自分達が開発した「プラントボックス法」や、「サンドイッチ法」という方法で検定しましたところ、相対的には強い活性がありました。
ただ、この話が一人あるきして、周辺の植物をアレロパシーでばたばた枯らすように思われているようですが、それほど強い現象ではなく、生育を少し阻害する程度と考えています。
たしかに、ナガミヒナゲシや、他のアレロパシーが強い植物で、周囲に他の植物が少ない現象が見られますが、それは、ほとんどが光の競合によるもので、アレロパシーの寄与はその一部と考えています。
ただ、このような光の競合が強い被覆植物で、アレロパシー活性が強いものは、他の植物の生育を抑制する可能性があると考えています。
ナガミヒナゲシが在来種に及ぼす影響については、今後研究しないとわかりませんが、個人的にはそれほど影響がないのではないかと考えています。
ぐにらぼ 「ナガミヒナゲシは本当に駆除したほうがいいの!?危険外来種って何なのだ!」 より)

ちなみに「光の競合」というのは、「日光が当たる箇所を植物同士で遮光してしまい、光合成がうまくできなくなってしまう現象」だそうだ。

アレロパシーは単純に「悪」と決めつけられない


さらに興味深かったのは、アレロパシー(他感作用)とは、「ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称」ということで(Wikiより)、単純に悪いとかいいとかいえない、ということ。
ぐにらぼのページでも紹介されていた「日光種苗株式会社」のサイトによれば、クローバーなどのアレロパシー作用を活用して、雑草除去作業の軽減や、緑肥として利用することで化学肥料や除草剤の使用を減らすという無農薬農業の発想もある、とのこと。
なるほど、簡単にいいとか悪いとか悪魔だとか、決めつけられないのだなあ。


半ば都市伝説化している?

で、改めて我が家の周囲をナガミヒナゲシを探して歩いてみたのだが、なぜか見つからない。今までちょこちょこ目にしていたものはなんだったのか?
似て非なるものだった可能性もある?

改めて隣の草むらを丹念に探してみたが、一昨日あたり見たと思ったのに、今日は全然見つからなかった



こんなのとか……ニガナ……



こんなのとか……オッタチカタバミ?



こんなのとか……サギゴケ



ほぼ一日中陽があたらず、コンクリートで固められているカーポートのわずかな割れ目からタンポポが頑張って生えている。ここでもナガミヒナゲシの姿はない


やはり、我が家の周辺を見ている限りは、ナガミヒナゲシの脅威というのは感じられない。
「この話が一人あるきして、周辺の植物をアレロパシーでばたばた枯らすように思われているようですが(略)個人的にはそれほど影響がないのではないかと考えています」……という藤井教授の話は頷ける。
群生しているのはナガミヒナゲシではなくハルジオンやフランスギクで、それも他の草花と混在している。
滅茶苦茶生存が厳しそうな陽当たりの悪いコンクリートの隙間から生えてくるのもナガミヒナゲシではなく、タンポポやスミレだったりする。
大魔王ナガミヒナゲシがやってきて、他の草花をバタバタと死に追いやる……なんて図は、少なくとも我が家の周囲には展開していない。


改めてフランスギクやハルジオンの群生ぶりのほうがすごいと分かる



耕作地の縁に生えると危ないともいうが、ハルジオンばかりでナガミヒナゲシは見つからない。存在しないということではない。何度か見かけてはいるので、入り込んでは来ているのだが、その後、勢力を広げた気配はないということだ



ここではシロツメクサが優勢。これもアレロパシー植物だが、緑肥効果を狙って意図的に育てられることもある。ここは道端だから違うけどね



ここはシロツメクサとハルジオンが競合している



他にもこんなのも見つかるが、ナガミヒナゲシは……ない



ん? あった!



でもたった一本だけ。ハルジオンに囲まれていて、ハルジオンのほうがはるかに強いことが分かる



う~~む。
ナガミヒナゲシが目立つ場所というのは概ね都会で、ナガミヒナゲシが出現する前にすでにほかの野草が消えてしまっている場所なのではなかろうか。だからナガミヒナゲシばかりが目につくのではないか……?
なんだか、考えれば考えるほど、一種の都市伝説みたいなものに多くの人が乗せられているんじゃないかとも思えてくる。学識者や自治体までが「危険だ」と主張するわけだから、いわゆる(嫌いな言葉だが)ちょっと「意識高い系」の人たちが連鎖反応的に「美しさに瞞されないで! 抜いて!」と叫ぶ……。少しでも異論を挟めないような雰囲気が形成されていく。
CO2温暖化説やピロリ菌の恐怖……みたいなものかもしれないなあ……と。

そもそもこの「騒動」はなぜ起きたのか?

で、さらに調べていくと、想像以上に「騒動」というか「事件」になっていたようで、改めて興味がわいてしまった。
この「ナガミヒナゲシ事件」の経緯をまとめてみると……:
  • 2009年 国立研究開発法人農業環境技術研究所というところが、「平成21年度 研究成果情報」という刊行物の中で「ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強く、雑草化リスクが大きいので、広がらないようにする必要があります」というトピックを発表。
  • 2011年3月 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)というところが出している「農環研ニュース」90号に、前出の藤井義春教授が「春に気をつける外来植物:ながみひなげし」と題するトピックスを発表。ナガミヒナゲシの全国への分布状況やアレロパシーの研究成果を発表。この文章、ナガミヒナゲシについてやすたけまりさんが詠んだ歌なども紹介されていて、かなり面白い。「六月の信号待ちのトラックの濡れたタイヤにはりつく未来」
  • 2016年5月 作家・寮美千子氏がフェイスブック上で「ナガミヒナゲシ退治2016」というタイトルでナガミヒナゲシのアレロパシーなどについて書き、さらには「危険外来植物のナガミヒナゲシ。駆除の理解を促すチラシを作りました。ダウンロードして、ご自由にご利用ください」としてチラシPDFを配布。これがネット上を駆け回ることに。
  • 2017年5月 慶應義塾大准教授・有川智己氏(理学博士、経済学部)が、「このチラシは「デマ」と言って良い.「危険外来生物」という用語やカテゴリーがあるかのような書き方だし,「特定外来種よりも「危険」な植物なんだ!」というような「誤解」を巻き起こしている」と注意喚起

この騒動に対して、ツイッターやフェイスブック上では活発にコメントが寄せられていた
ナガミヒナゲシの外来種駆除キャンペーンに違和感がある。
その場所に、ナガミヒナゲシに駆逐されそうな日本在来種があるなら仕方がないが、そもそも外来種だらけの町なかの草むらなら、何を守ろうとしているのか分からない。
凶暴な植物とレッテルを貼り、全国的に指名手配する方法はヘイトに似る。

だから外来種でも抜くな、駆除するな、と言いたいのではない。

けれど、
これは凶暴な、日本に生えていてはいけない植物だ!
と指名手配的に叫ばれると、
そもそも連れてきたのは誰で、在来種を駆逐したのは誰?
と思ってしまう。

いちばん凶暴な生きものは人間だなあ、と悲しくなる。

そしてさ
たとえ外来種でも
わたしたちが気づくころには
もう五十年も日本にいるんだよ

そこには
日本の虫たちも含めた
小さな宇宙が出来上がっている
こともある

特定外来種の花に
希少昆虫を見つけることだってある

自然って
一筋縄ではゆかない
澤口 たまみさん

そもそも在来種は絶対的に守られるべきなのかとか、他の植物の成長を阻害するアレロパシーもナガミヒナゲシにかぎった話ではないとか、ナガミヒナゲシが繁殖しやすい環境を人間が作っている点とか、そういうことを一切抜きにしてナガミヒナゲシを邪悪な存在であるかのごとく喧伝するって、どうなの?
黒川 巌さん


くどいようだが拡散されてる「ナガミヒナゲシは危険外来植物」というのは個人による造語であり実際は要注意外来種にも指定されていない。確かに近年場所によっては繁殖は目立つが、外来種が繁殖している場所であって在来種とは競合していない。在来種と外来種の区別さえつかない人は騒いでいるが
もも さん


どれも頷ける。
これらのコメントに共感するのは、ここ数日で僕自身が自分の目で、自分が住んでいる場所、道路の脇、農地のすぐそば、コンクリートの隙間、農地の中……など、あらゆる環境を観察してみたからだ。
ナガミヒナゲシなんかよりハルジオンのほうがよほど強烈じゃないかと学んだし、むしろ今年のほうが去年までより数が少なくなった気がするからだ。
「一時的にわっと繁殖しても、放っておけば落ち着く。騒ぐほどのものじゃない」「ナガミヒナゲシが目立つ場所はそもそもすでに在来種などは消えていた厳しい環境」といった説のほうがはるかに納得できる。

そんなことよりもっとやっかいなのは……

中にはこんな意見もあった。

内容に誤りがあり、行きすぎているのは問題だが、一般市民が外来種に問題意識を持つのはとてもいいこと。根本的な大間違いではないし、駆除そのものが悪影響をもたらすわけでもないので、学者が市民に「デマ」と断罪するのは言い過ぎではないかと。もっと優しい言い方で啓発して欲しいと思った。
丸山宗利ω? さん


これも考えさせられるコメントだった。

内容には問題があっても、それがきっかけで問題意識を持つ人が増えるのはいいことだ、という論にはときどきでくわすのだが、実際には、自分がそれを知らなかったことに気づいて、きちんと情報を追って、自分の頭で考え、判断できる人はとても少ない。圧倒的に多くの人たちは、鵜呑みにしてしまい、死ぬまで情報修正できない。これは高等教育を受けている人、社会的地位の高い人でもそうした落とし穴にはまってしまう危険性を妊んでいる。というか、そういう人ほど、自分に自信があるから気づきにくい。

これは自戒を込めて言っている。
僕自身、先入観を持っていい加減に書いてしまうことがかなりあるし、なんとなく疑問に思っていたことに対してそれらしい答えが提示されると飛びついてしまうことがある。そうであってほしい結論に整合する情報だけ選択し、不都合な情報は排除してしまうという傾向は、多かれ少なかれ誰もが持っているのではなかろうか。
だからこそ気をつけなければいけないし、一度広まってしまった間違い情報を訂正するのは容易ではない。

こうした危険性の最たるものは「自然エネルギー」礼賛だろうか。
これは本当にやっかいだ。
人間が作ったソーラーパネルが里山エリアの山の斜面や草原を根こそぎ消滅させ、草花だけでなく動物も地域絶滅させていることのほうが外来種がどうのこうのよりはるかに大問題なのだが、それはまた次のトピックで……。





メガソーラーとミサイル2017/04/26 21:02

横根高下メガソーラーの規模と位置

広大な雑木林の斜面に16万7000枚のソーラーパネル

県立前日光自然公園である横根高原の南東斜面にプロ野球公式グラウンド90面分(約107ヘクタール)のメガソーラーを建設するという計画があることをつい先日知った。
「横根高原メガソーラー建設 差し止め求め署名提出 鹿沼市に市民団体」という東京新聞の記事
前日光(まえにっこう)県立自然公園内の横根高原に大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を建設する計画を巡り、開発予定地が広がる鹿沼市の市民団体「横根高原の自然を守る会」の小野彰史代表らが16日、市役所を訪れ、佐藤信市長と横尾武男市議会議長に対し、建設に反対する市民らの署名8796筆を添え、建設差し止めに向けた対応を求める要望書を手渡した。
市と同会によると、事業者は東京都新宿区の外資系企業「カナディアン・ソーラー・プロジェクト」が設立した「CS栃木鹿沼合同会社」。カナディアン社は昨年11月、地元向けに説明会を開き、横根山頂から九合目付近の107ヘクタールを開発し、太陽光パネルを設置すると説明。建設予定地は鹿沼市が7割程度、残りが日光市にまたがる。
(東京新聞 2017/02/17)


これに先立ち、今年1月25日には鹿沼、足利、栃木、佐野の4市長が栃木県に「再生可能エネルギー発電施設導入に関する規制の見直しを求める要望書」というものを出している。これになぜか日光市は参加していない。何を考えているのか!>日光市

要望書は4市長の連名で、(1)県立自然公園条例における規制の見直し (2)県統一ガイドラインの策定 ──の2項目。この日は佐藤信(さとうしん)鹿沼市長、岡部正英(おかべまさひで)佐野市長はじめ、4市の関係者が県庁を訪れた。
佐藤市長は「県立公園内へのメガソーラー設置を非常に危惧している。規制見直しを国に働き掛けてほしい」と説明。福田知事は「国が間もなくガイドラインを策定する。市町と連携しながら課題に対処したい」と答えた。
(「メガソーラー規制、栃木県に要望 県内4市長」下野新聞 2017/01/26)


どういう場所なのか、実際に見に行ってみた。
見渡す限り雑木林の山。主木はミズナラで、隣接する国有林は水源涵養保安林に指定されている。
クリックで拡大
あまりに広大で把握できない。今見えている部分は全部伐採されるだろう


この部分をかつてヤマハが所有していたのが問題のはじまり。ヤマハがもてあまして転売したことで今回の計画が出てきた。
クリックで拡大
これから新緑の季節


計画地を見て思ったのは、これはもう、反対運動をするまでもなく計画は頓挫するのではないか……ということ。あまりにも馬鹿すぎる。
普通に考えれば、こんな計画が合理性を持つわけがない。冬には雪も積もるし、ろくに発電もしないのではないか。標高1000mを超える場所だから、資材運搬や伐採した木の運び出しなども困難。どれだけ金をかけるつもりなのか。
送電線も新たに引くわけだし、計画として無理がありすぎる。
土砂崩れや下流側での井戸の水涸れ、河川の汚濁、川魚の死滅などが起きる可能性は高いから、損害賠償を求めて訴訟も起きるだろう。そういうものすべてに対応できるだけの力が企業側にあるとは到底思えない。建て逃げ同然の結果になって、最後は自治体が税金を投入して後始末をすることになる。自治体もそんな余裕はないから、膨大な処理困難ゴミを山の斜面に放置したままになる可能性が高い。

あまりにも馬鹿すぎる。助手席で妻も呆れ果てた顔で言った。「いくらなんでもこれはないでしょう。立ち消えになるんじゃない?」……と。
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しかし、このような奈良県の現実を見ると、今の日本、どんなに馬鹿なことでもやらかす「想定外の馬鹿」がいるのだと知らされる。
横根高原はこの何百倍の規模のウルトラ馬鹿なのだが……。↓
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昨日も、近所で反対の署名集めをしていたら、ある人がこう言った。
「それって脅しみたいなもので、嫌なら自治体が買い取れということなんじゃないですか?」
そこまで考えてやっているとは思えないが、こういう馬鹿なことを引き起こす原因を作った再エネ振興政策の罪は大きい。企業の目的は発電ではなく金儲け。税金や電気料金に含まれている再エネ賦課金がなければハナから成立しない話。
いずれにしても企業が税金をむしり取るための詐欺と恐喝の合わせ技みたいなものだ。

自分の目に触れないところでどれだけひどいことがあろうと関係ない……という心理

ここを見に出かける直前に、「日米首脳が電話協議」という速報ニュースを見ていたので、こんなことをしている間にもミサイルが飛んできたりして……などと思った。
そういえば、松本サリン事件のときは神奈川の大山で狛犬の写真を撮っていて、売店のおばちゃんから「長野のほうで毒ガス事件が起きたみたいですよ」と聞いたのだった。

建設予定地を見終わって、山を下りながら考えた。

アメリカ政府は自国(本土)に被害が及ばないなら、他国でどれだけ人が死のうがあまり気にしない。中東やアフガンでしてきたことを見ればそれは明らかだ。
北朝鮮がほんとにアメリカ本土にまで届く核ミサイルを手にしてしまいそうだと分かった今、その前に叩けるなら、日本や韓国に多少(?)の被害が出てもいいと思っているだろう。
たとえがまずいかもしれないが、僕だって、本音を言えば横根高原に東京ドーム25個分のメガソーラーができるより、わが家の隣に数十坪のミニソーラーができるほうがはるかに死活問題だと考える。人間のエゴってそういうものだ。
アメリカの人たちが「あのアホが飛ばした核ミサイルがこっちに届く可能性があるなら、その前に、日本を舞台にしたミサイル合戦を起こして、徹底的に叩いてほしい」と、口には出さなくても思っているとしても、それは自然なことだ。
日本に関心を持つ世界じゅうのひとたちが、「なぜ日本人は、せっかく平和を享受して、この先の未来も戦争を避けうる幸運なポジションを占めているのに、わざわざ戦争に巻き込まれる国にしたいのか?」と疑問を述べるようになってから、もう何年も経っている。
怪訝な顔の世界の国ぐにを精力的に安倍首相が駆けずり回って、オカネをばらまきまでして説得して、憲法がすでに国民の合意によって改憲されたという真実とは異なる虚像をつくりだしてまで、全力でめざしたゴールに、やっとたどりついた。(ガメ・オベールの日本語練習帳 「新時代に入った日本」


……まさにそうなんだろう。あらゆる面で、今までの時代とは違う時代に突入した日本。

横根高原メガソーラーに反対する
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