「敬老」されない老人たち2018/09/17 22:02

今日は「敬老の日」で世の中的には休日。日本の法律によれば「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」趣旨の日だそうだ。

昨日、ホームに立ち寄って、羊羹2本を置いてきた。
親父と義母は元気だが、今もお互いが親戚関係であることに気づいていない。昨日などは二人並んで玄関に僕らを見送りに出てきたが、それでもお互いの関係を認識できていない。そのほうが問題が増えないので、そのままにしている。
親父はせん妄や多動が問題になっているので、先日からアリセプトの服用をやめてみているのだが、変化は見られないという。アリセプトが原因ではないか、まだ抜けきっていないか……いずれにせよ、アリセプトをやめても変化がないのであれば、服用する意味がないので、このままやめるか、他の薬(メマリーなど?)に替えてみるか、ということになるだろう。
メマリーは攻撃性をなだめるために精神安定剤的に処方されることもあるようだが、いずれにせよ、次回、主治医と相談することになる。
あとは、いよいよ秒読み段階みたいになったときに、どうするか。今のホームで看取りたいが、ホームで看取れる程度(範囲)で静かに穏やかに状態が移行するかどうかは分からない。今の主治医は訪問診療はしていないので(訪問診療医を見つけるのは至難の業)、その前に義母をお願いした訪問診療医に頼み込んでバトンタッチできるか、あるいは今の主治医に頼んで訪問看護師に指示書を書いてもらって対応しきれるか……。
まだまだ難題、不安が山積している。

義母は以前から被害妄想的な錯覚、思いこみ──自分の失敗を他人に原因があると思い込む症状(自分で片づけたものが見つけられず、「盗られた」「隠された」「取り上げられた」と訴える、など)が見られ、それは今も続いている。
二人ともスタッフには大なり小なり迷惑をかけているが、まだ暴れたりしないだけいい。
ここ数年、親の認知症や介護問題に直面してからは、もっとやっかいですさまじい話をたくさん耳にする。

事例1:
子ども(多くは息子)が親の状態を認めようとせず、病院に連れていかない、介護サービスを受けさせないという事例。
自分は会社に行ってしまい、親の介護は妻などにやらせている例が多く、被害は自分以外の身内や周辺の人たちが大きく被ることになる。息子の妻が「お義母さんの面倒はもう素人には無理。介護サービスを使いましょう」と言っても「まだ早い」などと言って取り合わない。自分では母親のオムツを替えることもしたことがないのに、だ。
夫が頑固で「お国の世話にはならん」と言い張り、自分では介護しきれない妻を抱え込むケースも多い。自分もそこそこ惚けているので、ちゃんと世話をしているつもりでもできてないから、妻は汚物まみれで悪臭を放ち、どんどん衰弱していく……。子供がいない場合、配偶者が介護サービスを受けようと決断しない限り状況は改善できない。国民年金しかもらっていない貧困老人夫婦所帯では、介護や医療は金がかかると思い込んで、頑なに公的サービスに背を向けているケースも多い。周囲がいくら説明しても理解しようとしない。こういう事例は本当に多い。

事例2:
身体は元気だが、歳を取ってどんどん性格が悪くなる人というのも結構いて、家族だけでなく、近所にも迷惑をかける。
家の前の荒れ果てた針葉樹林のおかげで陽があたらなくなったので、土地の持ち主(高齢の男性)に「伐ってもいいか」と相談すると、どうぞどうぞと言われたので伐ったところ、その妻が血相を変えて怒鳴り込んできて、数十万円の賠償金を要求された。面倒なので……と、その人は言われるまま数十万円を支払った。手入れしてなくて、何本かは枯れて倒れたりしているような林なので、当然、伐った木に経済的な価値などない。「どうぞどうぞ」と答えた戸主は妻には頭が上がらず逃げてしまう。息子も母親には逆らえず、見て見ぬ振り。こんな姑に耐えきれなくなった息子の妻は家を出て、老父母と息子だけになった一家はますます近所からは距離を置かれる。

事例3:
認知症になり、せん妄がひどく、暴力をふるうようになった女性。同居しているのは高齢の夫と息子夫婦。デイホームに預けても、スタッフを殴ったり噛みついたりするので、手に負えず、何か所も断られる。しかし、家族ではとうてい面倒はみられず、下半身が汚物のために爛れて見るも無残な状態に。見るに見かねた別のデイホームのスタッフが「もう、いいですよ」と言う家族を説得し、頑張って引き受け、噛みつかれたりしながらも一生懸命に下のケアをし、風呂に入れて手当するが、家に戻って数日後にはまた爛れた下半身、全身あざだらけの状態でやってくる。挙げ句の果てに、別居している独身の娘が「あそこのデイホームで痣を作った」と役所に訴え出た。ホームでも暴れるので小さな傷くらいできたかもしれないが、スタッフもこの利用者のせいで打撲やらかみ傷などの怪我が絶えない。
ケアマネも息子夫婦もそのことはちゃんと分かっている。ケアマネは「もう在宅介護では無理なので、どこか24時間入所の施設を探すしかない」というが、夫と娘が頑なに拒否する。特に娘が問題で、どうも、自分の生活費などを母親の年金などに依存しているから、母親が24時間入所施設に入ってしまうのを恐れているのではないかと周囲の人たちは見ている。

……ここ数年、こんな話ばかり見聞きしてきた。
どれも珍しい話ではない。これからはこういうタイプの「老害」事例がどんどん増えていき、それに人的にも経済的にも対処しきれなくなって、社会が疲弊していく。
それを思うと、単純に「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」なんてきれいごとだけではなく、真剣に超高齢社会の問題について考える日にしてもいいんじゃないかと思う。

俺だって老人なのに……

そもそも、こんなことを書いている自分自身が63歳の老人。同窓生の多くは孫がいて、おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばれている年齢なのだ。
仲のよかった同窓生が何人もすでに亡くなっている。毎朝、起きるときの身体の辛さが日増しにひどくなってきて、ほんと、親父より自分が先に死んじゃう可能性も十二分にあるなと感じる。信長も歌っていたではないか「人生50年~~~♪」と。
しかし、僕らは敬老の日に誰からもねぎらってもらえない。還暦を超えても、子供のときと同じように、親に何かしなくちゃいけないかな、と気を遣う。
親のためにする「何か」というと、どうしても、病院に付き添ったり、オムツや薬を買いに行ったりということが頭に浮かぶ。
ホームに足を運ぶ回数が増えてきたが、それによって親父はむしろ不安をつのらせ、せん妄が増えている。自分のことで施設長と何か相談しているらしい。何かされるんじゃないか。病院や他の大きな施設に入れられてしまうんじゃないか、という不安が膨らむらしい。
会いに行けば単純に喜んで……ということではないので、敬老の日だから何か特別なことを、というのは、かえってよろしくない結果になる。そういうことまで計算して動かなければならない。

そんなこんなで家に戻ると、自分の体力・気力・創造力が落ちていることで思い悩む。
経験だけは積んでいるわけだから、今までの10倍、100倍の時間をかけてもいいと、ガバッと大きく構えようとは思っているのだが、最終的にできあがるものが、今までのクオリティよりぐんと落ちるのではキツい。生涯でいちばんの傑作が生み出せなくてもいいから、せめて若いときと同じレベルくらいの作品を生み出し続けたい。
でも、その判断もどんどんおかしくなるのだろう。自分に甘くなる? それとも、僻みっぽくなって、そこそこいい出来の作品も認められなくなる?
どちらも嫌だねえ。

そうそう、よくても悪くてもひと月に一曲作るぞプロジェクト(いつそんな名前になった?)だが、6月の曲『June Storm』に続く7月の曲『Mars and the moon』ができた↓ June Storm を作っているときから、アップテンポの打ち込みはキツいから、次はゆったりしたのをシンプルに打ち込みなしで……と思っていた。生ギターとEWIだけで……サクッと作ったと言いたいところだけれど、メロディが決まるまで、何週間もかかってしまったよ。
これはスマホのちっちゃなスピーカーやイヤホンではなく、ある程度低音がしっかりゆったり出るスピーカーで聴いてほしい作品
EWIはEWI USB付属のGarritan音源の中から、スーザホーンとチューバを6:4くらいでブレンドしてみた。
Logicをアップデートするために、やむなくOSをアップデートした話はすでにしたが、その結果、EWI USBの音源ソフトを立ち上げると警告が出るようになってしまった。Appleのサイトを見ると、今は警告だけだが、いずれは32ビットソフトは完全に使えなくなるようにするという。
GarritanのEWI USB音源を64ビット仕様にすることは考えていないだろう。ということは、Mac OSが完全に32ビットソフトを拒否するようになったら、この音が出せなくなるってことじゃないの。冗談じゃないよなあ。
Logicをアップデートしても、今のところなんにもメリットが増えたと思えないので、これ以上のOSアップデートはやめよう。

……なんてあれこれ悩んだり、試行錯誤できているうちはまだボケてないかな。うん、そう思いましょ。

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