「敬老」されない老人たち2018/09/17 22:02

今日は「敬老の日」で世の中的には休日。日本の法律によれば「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」趣旨の日だそうだ。

昨日、ホームに立ち寄って、羊羹2本を置いてきた。
親父と義母は元気だが、今もお互いが親戚関係であることに気づいていない。昨日などは二人並んで玄関に僕らを見送りに出てきたが、それでもお互いの関係を認識できていない。そのほうが問題が増えないので、そのままにしている。
親父はせん妄や多動が問題になっているので、先日からアリセプトの服用をやめてみているのだが、変化は見られないという。アリセプトが原因ではないか、まだ抜けきっていないか……いずれにせよ、アリセプトをやめても変化がないのであれば、服用する意味がないので、このままやめるか、他の薬(メマリーなど?)に替えてみるか、ということになるだろう。
メマリーは攻撃性をなだめるために精神安定剤的に処方されることもあるようだが、いずれにせよ、次回、主治医と相談することになる。
あとは、いよいよ秒読み段階みたいになったときに、どうするか。今のホームで看取りたいが、ホームで看取れる程度(範囲)で静かに穏やかに状態が移行するかどうかは分からない。今の主治医は訪問診療はしていないので(訪問診療医を見つけるのは至難の業)、その前に義母をお願いした訪問診療医に頼み込んでバトンタッチできるか、あるいは今の主治医に頼んで訪問看護師に指示書を書いてもらって対応しきれるか……。
まだまだ難題、不安が山積している。

義母は以前から被害妄想的な錯覚、思いこみ──自分の失敗を他人に原因があると思い込む症状(自分で片づけたものが見つけられず、「盗られた」「隠された」「取り上げられた」と訴える、など)が見られ、それは今も続いている。
二人ともスタッフには大なり小なり迷惑をかけているが、まだ暴れたりしないだけいい。
ここ数年、親の認知症や介護問題に直面してからは、もっとやっかいですさまじい話をたくさん耳にする。

事例1:
子ども(多くは息子)が親の状態を認めようとせず、病院に連れていかない、介護サービスを受けさせないという事例。
自分は会社に行ってしまい、親の介護は妻などにやらせている例が多く、被害は自分以外の身内や周辺の人たちが大きく被ることになる。息子の妻が「お義母さんの面倒はもう素人には無理。介護サービスを使いましょう」と言っても「まだ早い」などと言って取り合わない。自分では母親のオムツを替えることもしたことがないのに、だ。
夫が頑固で「お国の世話にはならん」と言い張り、自分では介護しきれない妻を抱え込むケースも多い。自分もそこそこ惚けているので、ちゃんと世話をしているつもりでもできてないから、妻は汚物まみれで悪臭を放ち、どんどん衰弱していく……。子供がいない場合、配偶者が介護サービスを受けようと決断しない限り状況は改善できない。国民年金しかもらっていない貧困老人夫婦所帯では、介護や医療は金がかかると思い込んで、頑なに公的サービスに背を向けているケースも多い。周囲がいくら説明しても理解しようとしない。こういう事例は本当に多い。

事例2:
身体は元気だが、歳を取ってどんどん性格が悪くなる人というのも結構いて、家族だけでなく、近所にも迷惑をかける。
家の前の荒れ果てた針葉樹林のおかげで陽があたらなくなったので、土地の持ち主(高齢の男性)に「伐ってもいいか」と相談すると、どうぞどうぞと言われたので伐ったところ、その妻が血相を変えて怒鳴り込んできて、数十万円の賠償金を要求された。面倒なので……と、その人は言われるまま数十万円を支払った。手入れしてなくて、何本かは枯れて倒れたりしているような林なので、当然、伐った木に経済的な価値などない。「どうぞどうぞ」と答えた戸主は妻には頭が上がらず逃げてしまう。息子も母親には逆らえず、見て見ぬ振り。こんな姑に耐えきれなくなった息子の妻は家を出て、老父母と息子だけになった一家はますます近所からは距離を置かれる。

事例3:
認知症になり、せん妄がひどく、暴力をふるうようになった女性。同居しているのは高齢の夫と息子夫婦。デイホームに預けても、スタッフを殴ったり噛みついたりするので、手に負えず、何か所も断られる。しかし、家族ではとうてい面倒はみられず、下半身が汚物のために爛れて見るも無残な状態に。見るに見かねた別のデイホームのスタッフが「もう、いいですよ」と言う家族を説得し、頑張って引き受け、噛みつかれたりしながらも一生懸命に下のケアをし、風呂に入れて手当するが、家に戻って数日後にはまた爛れた下半身、全身あざだらけの状態でやってくる。挙げ句の果てに、別居している独身の娘が「あそこのデイホームで痣を作った」と役所に訴え出た。ホームでも暴れるので小さな傷くらいできたかもしれないが、スタッフもこの利用者のせいで打撲やらかみ傷などの怪我が絶えない。
ケアマネも息子夫婦もそのことはちゃんと分かっている。ケアマネは「もう在宅介護では無理なので、どこか24時間入所の施設を探すしかない」というが、夫と娘が頑なに拒否する。特に娘が問題で、どうも、自分の生活費などを母親の年金などに依存しているから、母親が24時間入所施設に入ってしまうのを恐れているのではないかと周囲の人たちは見ている。

……ここ数年、こんな話ばかり見聞きしてきた。
どれも珍しい話ではない。これからはこういうタイプの「老害」事例がどんどん増えていき、それに人的にも経済的にも対処しきれなくなって、社会が疲弊していく。
それを思うと、単純に「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」なんてきれいごとだけではなく、真剣に超高齢社会の問題について考える日にしてもいいんじゃないかと思う。

俺だって老人なのに……

そもそも、こんなことを書いている自分自身が63歳の老人。同窓生の多くは孫がいて、おじいちゃん、おばあちゃんと呼ばれている年齢なのだ。
仲のよかった同窓生が何人もすでに亡くなっている。毎朝、起きるときの身体の辛さが日増しにひどくなってきて、ほんと、親父より自分が先に死んじゃう可能性も十二分にあるなと感じる。信長も歌っていたではないか「人生50年~~~♪」と。
しかし、僕らは敬老の日に誰からもねぎらってもらえない。還暦を超えても、子供のときと同じように、親に何かしなくちゃいけないかな、と気を遣う。
親のためにする「何か」というと、どうしても、病院に付き添ったり、オムツや薬を買いに行ったりということが頭に浮かぶ。
ホームに足を運ぶ回数が増えてきたが、それによって親父はむしろ不安をつのらせ、せん妄が増えている。自分のことで施設長と何か相談しているらしい。何かされるんじゃないか。病院や他の大きな施設に入れられてしまうんじゃないか、という不安が膨らむらしい。
会いに行けば単純に喜んで……ということではないので、敬老の日だから何か特別なことを、というのは、かえってよろしくない結果になる。そういうことまで計算して動かなければならない。

そんなこんなで家に戻ると、自分の体力・気力・創造力が落ちていることで思い悩む。
経験だけは積んでいるわけだから、今までの10倍、100倍の時間をかけてもいいと、ガバッと大きく構えようとは思っているのだが、最終的にできあがるものが、今までのクオリティよりぐんと落ちるのではキツい。生涯でいちばんの傑作が生み出せなくてもいいから、せめて若いときと同じレベルくらいの作品を生み出し続けたい。
でも、その判断もどんどんおかしくなるのだろう。自分に甘くなる? それとも、僻みっぽくなって、そこそこいい出来の作品も認められなくなる?
どちらも嫌だねえ。

そうそう、よくても悪くてもひと月に一曲作るぞプロジェクト(いつそんな名前になった?)だが、6月の曲『June Storm』に続く7月の曲『Mars and the moon』ができた↓ June Storm を作っているときから、アップテンポの打ち込みはキツいから、次はゆったりしたのをシンプルに打ち込みなしで……と思っていた。生ギターとEWIだけで……サクッと作ったと言いたいところだけれど、メロディが決まるまで、何週間もかかってしまったよ。
これはスマホのちっちゃなスピーカーやイヤホンではなく、ある程度低音がしっかりゆったり出るスピーカーで聴いてほしい作品
EWIはEWI USB付属のGarritan音源の中から、スーザホーンとチューバを6:4くらいでブレンドしてみた。
Logicをアップデートするために、やむなくOSをアップデートした話はすでにしたが、その結果、EWI USBの音源ソフトを立ち上げると警告が出るようになってしまった。Appleのサイトを見ると、今は警告だけだが、いずれは32ビットソフトは完全に使えなくなるようにするという。
GarritanのEWI USB音源を64ビット仕様にすることは考えていないだろう。ということは、Mac OSが完全に32ビットソフトを拒否するようになったら、この音が出せなくなるってことじゃないの。冗談じゃないよなあ。
Logicをアップデートしても、今のところなんにもメリットが増えたと思えないので、これ以上のOSアップデートはやめよう。

……なんてあれこれ悩んだり、試行錯誤できているうちはまだボケてないかな。うん、そう思いましょ。

ホッケー⇒今市高校⇒バドミントン⇒大堀⇒桃田⇒富岡高校2018/09/17 11:31

2018年現在の立ち入り規制区域図

ホッケーはラクロスよりマイナー?

退職後、毎日、うちの前の畑でせっせと野菜作りをしているSさんの孫のゆいちゃんは、最近よくピンポ~ンとやってきて「み~ちゃんは?」とねだる。ゆいちゃんのお相手をするのが、み~の新しいお務めになっている。
み~ちゃんのお務め
昼寝をしていたのにゆいちゃんのお相手に起こされて若干機嫌が悪いみ~

そのゆいちゃんの両親はホッケーの選手だったそうで、Sさんはその関係からか、よく車で日本全国にホッケーの試合を応援しに行く。高速道路を使わず、車中泊しながらなので、一度出かけると数日戻って来ない。
栃木県は自転車のロードレースとアイスホッケーが盛んだということは、ここ日光に引っ越して来てから知ったのだが、フィールドホッケーも盛んだそうで、今年は地元の今市高校が全国大会で優勝したという。
先日のアジア大会でも日本は男女アベック優勝で、もっと話題になってもいいのに……とSさん。
リオデジャネイロまで4大会連続五輪出場を果たしている女子に対し、男子は1968年メキシコ五輪を最後に出場がなく、影が薄かった。昨年6月に復帰したオランダ出身のアイクマン監督の下、海外遠征を重ねて強化。東京五輪にはすでに開催国枠での出場の権利があるが、弾みがつく初のアジア王者となり、主将の山下は「前半に4点を入れられ、負けてしまうと思った。それでも、最後まで走りきることだけを一生懸命やった」と興奮気味に語った。
ホッケー男子が初の王者 3点差追いつく驚異の粘り 成長の証し 「ホッケーにとって大きな勝利」 産経新聞 2018/09/02

祝!ホッケー日本代表
3年次生の松本和将君がホッケーの日本代表としてサムライジャパンに選出されました。 高校生では唯一の代表入りとなります。
今市高校WEBサイトより)


フィールドホッケーという競技は世界的にはそこそこ競技人口も多いスポーツらしいし、日本でも、もっと競技人口が増えていけばいいのにねえ。
というわけで、フィールドホッケー部のある高校というのはどのくらいあるのか調べてみた。
首都圏のみのデータだが、どんな部があるかというリストが⇒ここにあった。
で、これはあるだろうなと思えるテニス部の有無を調べると、829校。8割を超えている。逆に、テニス部のない高校があることに驚く。
サッカー部は812校でテニス部のある学校とほぼ同じレベルだが、男子校と共学校だけなら95%なので、テニスより人気が高いといえそう。

じゃあ、少ない部はどんなものかな。
ゴルフなんて贅沢な大人のスポーツかなと思ったら、90校もある。
最近パワハラや暴力が問題になったアメフト、ボクシング、体操、重量挙げはどうかな?

アメフト部   54校
ボクシング部   28校
体操部   133校
重量挙げ部   15校

……体操部がかなり多いのは意外だった。学校外にクラブも多いだろうから、子どもの競技人口はかなりなものだろう。
あと、「重量挙げ部」ってあるんだねえ。高校に……。

その他、これは少ないだろ、と思えるのをチェックしていったのだが、かなり意外な結果になった。

釣り部   27校
自動車部   26校
射撃部   26校
ラクロス部   26校
水球部   20校
馬術部   16校

……馬がいなければ成立しなさそうな馬術部のある高校が関東だけで16校もある。北海道とかならまだ分かるけど……。
射撃部が26校というのも驚いた。高校生が銃を持てるのか?と疑問に思って少し調べてみたら、最初はビームライフルというのを使うらしい。その後、場合によっては「年少射撃資格者」という資格を取って、教員が所持しているエアライフルを借りて本格的にライフル射撃を練習することもあるのだとか。
自動車部というのもビックリ。工業高校なんかで自動車の修理を学んでいるとかかと思ったら、慶應義塾高校には本格的なモータースポーツの自動車部があった
他は、本田宗一郎杯Hondaエコマイレッジチャレンジという1リットルでどれだけの距離走れるか、というレースに参加するための部活動、というのも多いらしい。

ラクロス……どんな競技だっけ? セパタクローとかカバディとか、そういうレベルのマイナースポーツを一瞬思い浮かべたのだが、世界的にはかなり競技人口があるらしい。

で、こういうのより少ないのが、

ホッケー部   15校

え? 重量挙げ部と同じ? 馬術部や射撃部より少ないの? ラクロス部より全然少ないの?
これはビックリだ。

ということは、オリンピック代表になるのも競争率低い。サッカー部の1.8%。部員数にしたら1%を切っているんじゃないだろうか。つまり、単純に考えても、サッカーで日本代表になるより100倍可能性が高い。
それでも、アジア大会で男女ともに優勝するんだから、すごいじゃないか。
考えてみると、サッカーやラグビーに比べたら、身体のぶつかり合いは少ないだろうし、背が低くてもマイナス要因にはならない。日本人向きの競技なのだろう。もっと競技人口増やせばいいのに。

今市高校と富岡高校を結ぶバドミントン

ちなみに、今市高校のスポーツ系部活動部員数を見ると、バドミントン部もかなり多い。

今市高校のスポーツ系部活動部員数 (JS日本の学校 より)

かつてはインターハイ団体優勝などしていたそうで、そのときの選手の一人が女子バドミントンで活躍する大堀彩選手の父親・大堀均氏。
大堀氏は今市高校卒業後、日本体育大学~トナミ運輸と進んでバドミントン選手として活躍。全日本ジュニア単優勝、全日本総合複2位などの成績を残している。
三協アルミでバドミントンダブルス選手として活躍していた麻紀さんと結婚した。
2006年に福島県の富岡高校に赴任してバドミントン部監督就任。桃田賢斗や娘の優・彩姉妹をバドミントン選手として育てたが、2011年、福島第一原発の爆発で富岡高校は校舎を失い、生徒はバラバラに。
それでも翌2012年にはインターハイ女子団体優勝、世界ジュニア選手権では桃田賢斗を日本勢初の優勝に導いた。
ちなみに、大堀彩の姉・優もバドミントン選手で、夫の斎藤太一もバドミントン選手。斎藤太一選手も富岡中学~富岡高校で、大堀均氏の指導を受けている。
栃木県のバドミントン関係者の多くは、大堀ファミリーが「栃木県」と関係がないように報じられることに複雑な思いを抱いているらしい。

そんな話を知って、富岡高校や富岡町は今どうなっているのか、ちょっと調べてみた。
川内村にはスーパーもDIY店もないから、村民の多くは富岡が生活拠点だった。富岡に職場を持っている人たちも多かった。
僕らも富岡にはよく買い物に行ったので想い出はたくさんある。
Googleマップで見ると、富岡高校は⇒こんな感じになっている。
富岡高校だけでなく、原発爆発で立ち入りが規制された区域にあった双葉郡の各高校の生徒は、福島県内各地8校に分散させられ、(サテライト校、などと口当たりのいい言葉を使っているが)もともとの校舎には通えない「名前だけの高校」になった。
桃田選手や大堀彩選手の活躍で、メディアではサラッと「2013年 富岡高校卒業」「2015年 富岡高校卒業」などと書いているが、富岡高校は「物理的」には2011年3月以降は存在していないのだ。

2018年現在の規制範囲(Clickで拡大)


上の図を見れば分かるように、富岡町は避難指示解除されたエリアが多いが、普通の町に戻るのは、僕らが生きている間は無理だろう。
富岡高校は、今は「物理的」にだけでなく、「名義上」も、もうない。「休校」となっているが、事実上は消滅したといえる。2015年には広野町に福島県立ふたば未来学園高等学校が開校したので、今後も「富岡高校」として復活することはないだろう。廃校ではなく「休校」としているのは、富岡町民らの心情を配慮してのことと思う。
そもそも、原発爆発の前から双葉郡の高校は過疎問題に直面していた。富岡高校は普通科を廃し、Jビレッジなどとの連携を図って、スポーツに特化した学校をめざしていた。川内村には富岡高校川内分校があったが、それも原発爆発の前に廃校になっている。
今後はふたば未来学園高等学校の関連などで、いろんなところからの金がどこにどう流れて、育成費やら設備投資やらに使われ……みたいなことが内輪の話題として進行していくのだろうと想像する。

僕らは川内村から日光に移り住んで、いちばん近い高校が富岡高校から今市高校になった。この2つの高校を結ぶキーワードがバドミントンだったというのが面白い。
それにしても、スポーツの世界で上に行くのは大変なことなんだと改めて思う。裏には、メディアが取り上げないいろんなドラマが隠れている。
芸能界もそうだし、人生、社会的な成功や名声を得る裏のドラマに耐えられない「弱い」人たちのほうが幸せな人たちなのかもしれない。
……なんてことをふと思ったのだった。


日光東照宮の修復作業がひどいという話(2) 眠り猫2017/09/02 20:20

眠り猫の修復では目よりも毛が嫌だ



↑修復前の眠り猫(2013年9月) ↓再修復後(2017年4月)


三猿の「修復」があまりに雑でひどいというクレームは多かったが、眠り猫についても一悶着あった。
2016年11月に修復後の姿がお披露目されたが、それを見た来訪者たちから「眠り猫なのに起きているじゃないか」というクレーム?が相次いだので、年を越して1月になってから再修復させたという。
僕が見たのは4月だったので、11月からひと月半ほどの間「薄目を開けて」いたという眠り猫は見ていないのだが、写真を見る限り、「薄目」に関しては違和感がないなあ。パッチリ開いたら大ごとだろうけれどねえ。
もともと小さな彫刻だから、生で見ても、閉じているのか薄目なのかなんて分からないんじゃないだろうか。
それよりも金色の絵の具でチャカチャカっと毛を描き込んでいるほうがはるかに気になる。
猿の毛の描き方以上に雑だし、そもそもこういう毛の描写がオリジナルにあったのだろうか? この毛を描き込んだことで、作品全体のクオリティが一気に下がったような印象を与えてしまっている。クレームをつけるなら目よりもこの毛のほうではないかな。

ちなみに、日光東照宮では、本殿、石の間及び拝殿、正面及び背面唐門、東西透塀、陽明門、東西回廊は国宝に指定されており、眠り猫は回廊の一部だから、自動的に「国宝の一部」ということになる。
回廊にはたくさんの彫刻が施されており、そのほとんどは見事なものなのだから、この際、眠り猫の彩色修復はむしろおとなしめに、地味にやっておけばよかったのではないかと思ったりもする。


『日光東照宮の狛犬と日光のはじめ狛犬たち』

狛犬図鑑01 日光のはじめ狛犬たち
あなたの知らない日光がここにある! 山奥にひっそりいる幻のはじめ狛犬なども網羅。ご案内は⇒こちらから



デイホームのウクレレ2017/08/17 11:58

親父、入所者3人のデイホームに移る


今月から親父がお世話になっているデイホームに寄る。こんな感じのホーム



親父の部屋の掃き出し窓からは田んぼが見える


親父が元気になって、次の要介護認定継続審査では確実に要介護2以下に落とされ、特養にはいられなくなるだろうから、他を探してほしいといわれていた。
だけど、グループホームはどこも満杯だし、有料老人ホームや24時間介護付きのサ高住は高くて入れない。探した挙げ句に、ようやくひとつ見つけて、先月末、親父を横浜の特養から日光のデイホーム(自主営業で24時間介護もしてくれるので、業界では「お泊まりデイ」などとも呼ばれている)に移した。
近所になったので、ときどき様子を見に行っている。
今日はウクレレの弦を張り替えるために立ち寄った。
ウクレレ……前の特養にいたとき、親父がギターをやってみたいというようなことを言ったので、それは無理だから、ウクレレくらいなら……と応じたのが始まり。
まあ、無理だろうと思いながらも、Amazonで安いウクレレを買って前の施設(横浜の特養)に送った。
案の定、送ったまままったく手をつけることもなく、部屋の荷物が増えただけだった。施設長には許可を得ていたが、スタッフからは「やめてください」と言われたとも、後になって親父から聞いた。
今回、こっちのホームに移ってきて、そのウクレレもそのまま持って来たわけだが、それを見つけたスタッフのひとり(施設経営者の娘さん)が、興味を示して、「私にもできるかしら」みたいなことを言うので、「このウクレレで試してみてください」と言っておいた。
経営者(女性で僕と同い年。1955年生まれ)も「じゃあ、みんなでやりましょう。月に一回、息子さんがボランティアで教えに来てくれるといいのに」みたいなことを言いだして、あらま、どうしましょ、という感じになっているのだった。

ちなみに僕はギターは中学2年生のときから触っているけど、ウクレレは買ったこともないし、弾いたこともない。親父に買ってあげたウクレレを最初に見たときは「え? 4弦がなんで3弦より細いの? 中国製だから間違えてつけちゃったのか?」って思ったくらい、そのくらい何も知らなかった。




で、このウクレレ、弦が安物でなかなかチューニングが合わないということがAmazonのレビューにあったので、最初から替え弦を一緒に買っておいたのだが、今まで弦を替える余裕もなかった。どうせ触りもしないだろうし……という気持ちもあった。
でも、今度のホームではスタッフが興味を持ってくれたようだし、少しは展開するかもしれないと期待して、じゃあ、今のうちに弦を替えておこうかと思ったわけだ。

で、「こんちは~」と立ち寄ったら、経営者の娘さんが、これから買い物に行くので、親父を連れ出して一緒に行こうと思っていたという。気分転換&歩行練習というわけだ。
そういう対応が嬉しい。今までのような100人規模の施設では、決められた時間にリハビリ療法士が来て……という感じだが、ここはお泊まり組は親父を入れてもたったの3人なので、普通の家庭のような環境。毎日の生活に揺らぎがあり、その日によって何を食べるか、何をするかも変わっていく。本来、それが人間の生活ってものだ。
買い物に行くまでの間、ウクレレの弦を替えて、そこで一旦別れた。僕も同じスーパーで晩飯を買って帰ろうと思っていたのだが、狭い道だし、雨も降っていたので、「じゃあ、先に行くね」と一人で先に出て、スーパーで買い物をしていたら、後からやってきた親父に「よお!」と声をかけられた。
婆車のようにスーパーのカートを押している。なるほど~、これはうまい歩行訓練だ。
スタッフさんとの間で「ヨーグルト食べたいの? じゃあ、買う?」なんていう会話も聞こえてくる。ほんとに「普通の生活」がここにはある。
普通じゃない部分もあるのだが(下の世話とか入浴の介助とか)、普通にできる部分は普通にしようというのがこのホームのポリシーだという。
事前に説明は受けていたのだが、なるほどこういうことなのかと、改めて感心したり感謝したり……。


買い物に連れて行ってもらうため、ホームを出る親父。帽子は10個以上持っている。ホームに持ち込んでいない帽子もいっぱいある。今日は赤いキャップか……



ホームのスタッフと買い物をする親父。カートが婆車代わりになっている。ヨーグルトの売り場の前でなにやら「買う?」なんてやりとりしていた。そういう緩さも素晴らしいなと思う。スタッフさんの話では、親父は強がっているが、歩くのも今は4、5分が限界らしい



このとき、お盆だから……と買ってみたあんこ団子。ん? 甘味担当は佐藤さん?

デイホームのウクレレカタログ

翌日、「3000円で買えるなら私も買おうかしら」と言っていたスタッフのために、Amazonでいくつか調べてカタログのようにプリントして持っていった。
それで家を出ようとしたら、ちょうどミニアンプが届いたので、ちょっとチェックしてそのままEWIのバッグに入れて一緒に持っていったのだった。

ウクレレ未経験の僕がセンセをつとめるウクレレ教室?が本当に始まるのかどうかは分からない。ちゃんと日時を決めて……ではなく、ふらっと寄ったときについでに、って感じかもしれない。
教えることになったら、自分用にも買わなくちゃいけないのかな、とも思ったのだが、まだそこまで踏ん切りがついてない。買っても、自分では弾かないことは目に見えているからなあ。
ギターと違って、片手でひょいっと持てる楽器だから、教えるときも「ちょっと貸して……こう弾いてみて」とその場で渡しあって教えても十分かもしれないし。

親父に買ってあげたウクレレはAriaが扱っているいちばん安いやつで、クリア塗装のは¥2,114(通常配送無料)。他の色のはもう少し高いけど、概ね2000円台。ちょっと試してみるつもりならこれで十分。


これは21インチモデルといっていちばん小さいやつらしい。ギターを弾いている僕にはちょっと小さすぎる感じもあるので、その上の23インチか26インチモデルのほうが弾きやすそうだ。音も若干でかく出るんじゃないだろうか。

26、23、21インチモデルの大きさの違い。23くらいがちょうどいいのかな?


26インチモデルでも3000円台で買えるのね。
買っちゃおうかな。でも、もったいないな。親父が金のかかる施設に入った今は緊縮財政だからなあ。


23インチモデルだとこんなのがちょっとよさそう。4000円は高いけどねえ




26インチモデルでも3000円台からあるのね。自分で買うならこれかなあ。3550円かあ……今はちょっと痛いなあ




ちょっと贅沢をするならこれなんかもよさげだわね。チューナーもついていて7000円かあ……。ん~、さすがに今、ウクレレに7000円は出せないな。でも、これから始めようというあなた、7000円出せるなら、思いきってこれくらいのを買ったほうがいいかも

どうせなら派手で可愛いのがいいわ、というあなた?にはこれもいいかも。色によって値段が全然違うけど、音は同じでしょう。黄色、ピンク、水色がいちばん安くて2980円。オレンジと赤は人気なのか、4234円。色が違うだけで1200円以上も違うのか~。不思議


……というわけで、歳とってからギターを始めるのは難しいけど、ウクレレなら無理なく、十分できるし、楽しめるんじゃないかしら、というお話でした。

ウクレレの値段なんて気にしたことなかったけど、10年前にはこんな値段でこの品質の製品はなかったんじゃないだろうか。中国製、韓国製の楽器の品質が急上昇していて、侮れない。
デジタルの恩恵も大きいし、音楽をやるにはいい時代だ。




タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



久々に感動した買い物2017/08/17 11:25

2800円のミニアンプを買ってみた


こんな感じ


Amazonでコードレスのミニアンプが2800円で出ていた。おや、これはもしかするとEWIをつなげば、アンプのない場所でも身体一つで演奏できるのでは? と思ってポチしてみた。


これ↑。AROMAというブランドで、2796円


翌日届いた。

小さいだけでなく軽い。こんなんでちゃんと音が出るのだろうかと思うほど軽い


エレキギター用なので最初からディストーションが入った状態で立ちあがるが、ディストーションを切れば普通に使える。
SDカードで伴奏とミックスしたり、単純にスマホなどの外部スピーカーとしても使え、マイクもつなげられて、録音までできてしまうのだが、そういう機能はとりあえず試してない。腰につけてEWIを短いケーブルでつないで音が出せればOK。
やってみたらなんとかなりそうなので、そのままEWIを持って親父がいるデイホームに向かった。


小さいので、EWIのソフトケースに入ってしまった


デイホームでは、入所しているおばあさんから「俺は河原の枯れすすき」をやってとリクエストされ、なんとかやってみせた。表情はほとんど無表情だったけれど、施設長は「目がきらきらしていたから、脳にいい刺激になったはず」と言っていた。

こんな風に、ちょっとした宴会や飲み会の余興にはもってこいだ。最近は旅行にも行かなくなったけど、野外で空や海に向かって吹いたりもできるわね。




これ↑ お勧め!。マイクをつなげば拡声器としても使えるし、スマホをつないで普通に外部スピーカーとしても使える。2796円は安い!


タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



日光杉並木街道が「ソーラー街道」に2017/05/22 22:06

このノウサギが跳びはねていた野原はもうない

2017年4月 初めてじっくり見ることができたノウサギ
前回の「ナガミヒナゲシ騒動考」で、
「人間が作ったソーラーパネルが里山エリアの山の斜面や草原を根こそぎ消滅させ、草花だけでなく動物も地域絶滅させていることのほうが外来種がどうのこうのよりはるかに大問題なのだが、それはまた次のトピックで……」と書いて終わったが、ここに続きを書く。

いちばん怖いのは人間だが、さらにやっかいなのは……


先月の13日、日光に引っ越してきて6年目にして初めてノウサギを見た。越後時代にも阿武隈時代にもノウサギというのはほとんど見た記憶がない。一瞬、横切るのを見たとか、その程度ならあったようにも思うが、まじまじと観察できるほど近くで見た記憶はない。
それが、日光で、しかもすぐそばを車が通っているような原っぱで悠々と飛び回っているのを長い時間見ていられたのだから感激した。
その原っぱにはこのところいつ行ってもキジの夫婦がいて、そのときもキジを撮っていた。そうしたら目の前を何か違うものが横切っていったのだ。

もう一度見たいと思って、その後も何度か出かけたが、キジの夫婦は毎回いたが、ノウサギは現れなかった。

で、翌月の5月20日、主に別の目的で出かけたついでに横を通ったのだが、なんと、原っぱ全体が完全に消滅していた。


4月13日にノウサギを見たとき。矢印のところにノウサギ

5月20日、すっかり草むらが消え、重機が作業中



間違いなくメガソーラー建設だろう。すでに周辺の草むらがことごとくつぶされてソーラーパネルだらけになっているので、ここも狙われているのではないかと危惧していた矢先だ。
ここは草むらだけでなく、そこそこの水たまりを含む湿地もあった。そこにはオタマジャクシ(おそらく時期的に見てアカガエル)が泳ぎ、ヤゴなどもたくさんいた。通年、水が完全には抜けず、湿地を保っている場所というのはこのへんにはもうほとんど残っていない。ツチガエルなどがオタマジャクシのまま越冬するためにも必要だし、鳥や野生生物にとっても貴重な水場になっていたはずだ。
それがつぶされてしまったのは本当に痛い。

オタマジャクシやヤゴがいた水たまりも埋められていた



日光に引っ越してきた直後、町内の集まりで「自然環境を……」と口にした途端、「人間は自然を壊して生きているんだからしょうがない」と反論する人がいた。めんどくさいやつが引っ越して来やがった……と警戒の目を向けられたようだ。
俺たちは環境を壊して金を稼ぎ、よりマシな生活を営んできた。これからもそれは続くんだから、きれいごとを言うな……というわけだ。

しかし、こうした犠牲に見合うだけのメリットが人間にあるのか? 太陽光発電バブルはすでにはじけている。中小の業者はあちこちで倒産しているし、大手は最初から「建て逃げ」作戦だから、あと10年もすればあちこちで事業者不在ソーラーパネルが増えるだろう。
20年もすれば、ゴミとなって放置されたソーラー設備の撤去で、各自治体は苦労するに違いない。

すでに我々は高額な「再エネ賦課金」を電気料金に上乗せさせられている。金がかかる発電方式というのは、それだけエネルギーを使っているということだ。太陽光発電パネルを製造する過程で、すでに膨大な電気や資源を使っているからこそ高くつくのだ。それを回収できるだけの発電ができない、見込めないからこそ電気料金や税金を投入して無理をしている。

原資が税金や公共料金だから、そこに生じる利権にたかれば確実に儲かる。人の金で非合理な商売をして儲ける……この構図は原発を推進してきた国策と同じだ。問題が起きても誰も責任をとらないし、負の遺産を押しつけられ、つけを払わされるのは若い世代。これのどこが「クリーン」なのか。
発電にかかっただけ電気料金に上乗せしていいですよという「総括原価方式」をやめれば、必然的に、最も合理的で省エネの発電方法をとらざるをえなくなるから、原発も大型ウィンドタービンも無茶なソーラー発電もなくなり、日本の環境破壊は緩まる。
でも、総括原価方式をやめれば、利権も薄まるから絶対になくならないだろう。

日光杉並木は国の特別天然記念物に指定されているわけだが、その両側はすでにソーラーパネルだらけになっており、杉並木を通っていても杉の間から異質な光景が見える。

ナガミヒナゲシが危険生物だの駆除しろだのなんだのと言っている場合ではない。植物も動物も巻き込んだ大規模環境破壊が猛スピードで進んでいるのだ。すでに大変なダメージを受けているが、今からでもなんとか歯止めをかけないと、気がついたときには取り返しのつかないことになる。いや、すでになっている。

ノウサギとの再会を願って、「兎が原」とでも名づけようかと思っていた草原はもうない。
「兎が原」の横は通学路だが、これから先、子供たちはノウサギやキジではなく、ソーラーパネルに埋め尽くされた土地を横目に見ながら通学することになる。その子たちは「再生可能エネルギー」は増やすべき重要なもので絶対的な「善」だと刷り込まれているから、これは「自然にとっていいもの」だと信じて成長するかもしれない。……やるせない……。

道路(通学路)側から見た光景。もうすぐここに黒いパネルが敷き詰められるはずだ


このままでは日光杉並木は「ソーラー街道」になる

このへんを散歩するたびに、オセロゲームのコマようにソーラーパネルが増えていく。「え? ついこないだ通ったときにはなかったのに……」と呆気にとられるのだが、だんだん麻痺してくるのが怖い
日光杉並木は、日本で唯一、国の特別史跡および特別天然記念物の二重指定を受けているのだが、そのすぐ脇をソーラーパネルで埋めていくことになんの制約もかからないのか? 
今日も重機が稼働中。ここはもうすぐパネルで覆われるだろう



消滅した「ウサギが原」のすぐ横。住宅や農地に隣接してすでに設置されたパネル



例幣使街道。杉の間から見えているのは牧場なのだが……



なにやらパネルを載せるフレームがすでに組み上がっているようだ。ここも牛からソーラーに転換か……



杉並木を挟んで反対側の草地。ここなどもすでに「予約済み」なのかもしれない



その先、日光山内に近づくにつれ、杉並木の間から見えるパネル群は増える



これだけ増えると植生や生態系も影響を受けないわけにはいかない。ただでさえ毎年倒れる杉が増えているのに、大丈夫なのか……



手前が例幣使街道の杉並木。そこに隣接して作られたメガソーラー。道を渡って見ると……↓



こういう規模のものがあっという間に作られている



国も県も市も、何を考えているのか?



ここを通って日光山内や奥日光をめざすハイカーやライダーたちは多いが、こうした風景に迎えられてどんな気分になるだろうか



ソーラーパネルを敷き詰められた側と街道を挟んで反対側。見えているのが杉並木(この向こう側が例幣使街道)。こちら側にもこうした草原があちこちあるが、この調子だとどんどんパネルが敷き詰められ、日光杉並木街道はソーラーパネルに挟まれた「ソーラー街道」になってしまいそうだ



ここも狙われそうだなあ。すでに「予約済み」なのかもしれない……




悩みながらもこんな動画を作ってみた(↑Clickで再生)
↑これを作りながら「プロテストソング」という言葉を思い出した。ずいぶん前に消えた言葉のような気がする。まさか人生の終わりにさしかかってこういうものを作るとは思わなかった

プロテストというよりも、ただただ悲しい、虚しい。

この地でノウサギに再会することは、もう一生ないかもしれない。

   

森水学園第三分校を開設

森水学園第三分校

↑BGMに使った『Uguisu 2017』の全曲はこちらでどうぞ(↑Clickで再生)



タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



「ナガミヒナゲシ騒動」考2017/05/22 21:28

これが悪魔の大魔王のように言われているやつ?

我が家の周りではむしろ減っているような気がするが……

最近、よく聞く「ナガミヒナゲシ」という名前。「異常繁殖して周囲の草花を枯らす悪魔のような花なので駆除してください」というような話として出てくる。
鮮やかなオレンジ色の花はよく見る。でも、うちの周囲ではたまに見る程度で、少なくともハルジオンやフランスギクのように群生しているのは見たことがない。
暴力的に増えるというのだが、むしろ、今年はめっきり見なくなった気がする。

それでなんとなく気になってググり始めたところ、興味深いページを見つけた。
東京農工大学大学院農学府教授(国際生物生産資源学教育研究分野・国際環境農学専攻)という肩書きを持ち、アレロパシーの専門家である藤井義晴教授とのやりとりを紹介している。
教授、「個人で作られているサイトに大学から情報をだしてもよいものかどうかわかりませんが、とりあえず個人的な情報として……」と、いろいろ書いてくださったそうで、親切だなあ……藤井教授。ちなみに僕と同い年らしい。

かなり詳しく⇒こちらに情報がまとめてあるので、興味のある方はそちらを読んでいただくとして、目にとまった部分をちょっとだけ引用させてもらうと……。
交差点でよく見かけるのはなぜ?

実ができるのがちょうど梅雨どきで、その雨で車のタイヤにくっついて道路沿いに広がっていると推定しています。
このような特性が都市の道路沿いに広がっている原因と思われます。


ナガミヒナゲシのアレロパシーについて

アレロパシーは私の専門分野で、その活性を自分達が開発した「プラントボックス法」や、「サンドイッチ法」という方法で検定しましたところ、相対的には強い活性がありました。
ただ、この話が一人あるきして、周辺の植物をアレロパシーでばたばた枯らすように思われているようですが、それほど強い現象ではなく、生育を少し阻害する程度と考えています。
たしかに、ナガミヒナゲシや、他のアレロパシーが強い植物で、周囲に他の植物が少ない現象が見られますが、それは、ほとんどが光の競合によるもので、アレロパシーの寄与はその一部と考えています。
ただ、このような光の競合が強い被覆植物で、アレロパシー活性が強いものは、他の植物の生育を抑制する可能性があると考えています。
ナガミヒナゲシが在来種に及ぼす影響については、今後研究しないとわかりませんが、個人的にはそれほど影響がないのではないかと考えています。
ぐにらぼ 「ナガミヒナゲシは本当に駆除したほうがいいの!?危険外来種って何なのだ!」 より)

ちなみに「光の競合」というのは、「日光が当たる箇所を植物同士で遮光してしまい、光合成がうまくできなくなってしまう現象」だそうだ。

アレロパシーは単純に「悪」と決めつけられない


さらに興味深かったのは、アレロパシー(他感作用)とは、「ある植物が他の植物の生長を抑える物質(アレロケミカル)を放出したり、あるいは動物や微生物を防いだり、あるいは引き寄せたりする効果の総称」ということで(Wikiより)、単純に悪いとかいいとかいえない、ということ。
ぐにらぼのページでも紹介されていた「日光種苗株式会社」のサイトによれば、クローバーなどのアレロパシー作用を活用して、雑草除去作業の軽減や、緑肥として利用することで化学肥料や除草剤の使用を減らすという無農薬農業の発想もある、とのこと。
なるほど、簡単にいいとか悪いとか悪魔だとか、決めつけられないのだなあ。


半ば都市伝説化している?

で、改めて我が家の周囲をナガミヒナゲシを探して歩いてみたのだが、なぜか見つからない。今までちょこちょこ目にしていたものはなんだったのか?
似て非なるものだった可能性もある?

改めて隣の草むらを丹念に探してみたが、一昨日あたり見たと思ったのに、今日は全然見つからなかった



こんなのとか……ニガナ……



こんなのとか……オッタチカタバミ?



こんなのとか……サギゴケ



ほぼ一日中陽があたらず、コンクリートで固められているカーポートのわずかな割れ目からタンポポが頑張って生えている。ここでもナガミヒナゲシの姿はない


やはり、我が家の周辺を見ている限りは、ナガミヒナゲシの脅威というのは感じられない。
「この話が一人あるきして、周辺の植物をアレロパシーでばたばた枯らすように思われているようですが(略)個人的にはそれほど影響がないのではないかと考えています」……という藤井教授の話は頷ける。
群生しているのはナガミヒナゲシではなくハルジオンやフランスギクで、それも他の草花と混在している。
滅茶苦茶生存が厳しそうな陽当たりの悪いコンクリートの隙間から生えてくるのもナガミヒナゲシではなく、タンポポやスミレだったりする。
大魔王ナガミヒナゲシがやってきて、他の草花をバタバタと死に追いやる……なんて図は、少なくとも我が家の周囲には展開していない。


改めてフランスギクやハルジオンの群生ぶりのほうがすごいと分かる



耕作地の縁に生えると危ないともいうが、ハルジオンばかりでナガミヒナゲシは見つからない。存在しないということではない。何度か見かけてはいるので、入り込んでは来ているのだが、その後、勢力を広げた気配はないということだ



ここではシロツメクサが優勢。これもアレロパシー植物だが、緑肥効果を狙って意図的に育てられることもある。ここは道端だから違うけどね



ここはシロツメクサとハルジオンが競合している



他にもこんなのも見つかるが、ナガミヒナゲシは……ない



ん? あった!



でもたった一本だけ。ハルジオンに囲まれていて、ハルジオンのほうがはるかに強いことが分かる



う~~む。
ナガミヒナゲシが目立つ場所というのは概ね都会で、ナガミヒナゲシが出現する前にすでにほかの野草が消えてしまっている場所なのではなかろうか。だからナガミヒナゲシばかりが目につくのではないか……?
なんだか、考えれば考えるほど、一種の都市伝説みたいなものに多くの人が乗せられているんじゃないかとも思えてくる。学識者や自治体までが「危険だ」と主張するわけだから、いわゆる(嫌いな言葉だが)ちょっと「意識高い系」の人たちが連鎖反応的に「美しさに瞞されないで! 抜いて!」と叫ぶ……。少しでも異論を挟めないような雰囲気が形成されていく。
CO2温暖化説やピロリ菌の恐怖……みたいなものかもしれないなあ……と。

そもそもこの「騒動」はなぜ起きたのか?

で、さらに調べていくと、想像以上に「騒動」というか「事件」になっていたようで、改めて興味がわいてしまった。
この「ナガミヒナゲシ事件」の経緯をまとめてみると……:
  • 2009年 国立研究開発法人農業環境技術研究所というところが、「平成21年度 研究成果情報」という刊行物の中で「ナガミヒナゲシはアレロパシー活性が強く、雑草化リスクが大きいので、広がらないようにする必要があります」というトピックを発表。
  • 2011年3月 国立研究開発法人 農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)というところが出している「農環研ニュース」90号に、前出の藤井義春教授が「春に気をつける外来植物:ながみひなげし」と題するトピックスを発表。ナガミヒナゲシの全国への分布状況やアレロパシーの研究成果を発表。この文章、ナガミヒナゲシについてやすたけまりさんが詠んだ歌なども紹介されていて、かなり面白い。「六月の信号待ちのトラックの濡れたタイヤにはりつく未来」
  • 2016年5月 作家・寮美千子氏がフェイスブック上で「ナガミヒナゲシ退治2016」というタイトルでナガミヒナゲシのアレロパシーなどについて書き、さらには「危険外来植物のナガミヒナゲシ。駆除の理解を促すチラシを作りました。ダウンロードして、ご自由にご利用ください」としてチラシPDFを配布。これがネット上を駆け回ることに。
  • 2017年5月 慶應義塾大准教授・有川智己氏(理学博士、経済学部)が、「このチラシは「デマ」と言って良い.「危険外来生物」という用語やカテゴリーがあるかのような書き方だし,「特定外来種よりも「危険」な植物なんだ!」というような「誤解」を巻き起こしている」と注意喚起

この騒動に対して、ツイッターやフェイスブック上では活発にコメントが寄せられていた
ナガミヒナゲシの外来種駆除キャンペーンに違和感がある。
その場所に、ナガミヒナゲシに駆逐されそうな日本在来種があるなら仕方がないが、そもそも外来種だらけの町なかの草むらなら、何を守ろうとしているのか分からない。
凶暴な植物とレッテルを貼り、全国的に指名手配する方法はヘイトに似る。

だから外来種でも抜くな、駆除するな、と言いたいのではない。

けれど、
これは凶暴な、日本に生えていてはいけない植物だ!
と指名手配的に叫ばれると、
そもそも連れてきたのは誰で、在来種を駆逐したのは誰?
と思ってしまう。

いちばん凶暴な生きものは人間だなあ、と悲しくなる。

そしてさ
たとえ外来種でも
わたしたちが気づくころには
もう五十年も日本にいるんだよ

そこには
日本の虫たちも含めた
小さな宇宙が出来上がっている
こともある

特定外来種の花に
希少昆虫を見つけることだってある

自然って
一筋縄ではゆかない
澤口 たまみさん

そもそも在来種は絶対的に守られるべきなのかとか、他の植物の成長を阻害するアレロパシーもナガミヒナゲシにかぎった話ではないとか、ナガミヒナゲシが繁殖しやすい環境を人間が作っている点とか、そういうことを一切抜きにしてナガミヒナゲシを邪悪な存在であるかのごとく喧伝するって、どうなの?
黒川 巌さん


くどいようだが拡散されてる「ナガミヒナゲシは危険外来植物」というのは個人による造語であり実際は要注意外来種にも指定されていない。確かに近年場所によっては繁殖は目立つが、外来種が繁殖している場所であって在来種とは競合していない。在来種と外来種の区別さえつかない人は騒いでいるが
もも さん


どれも頷ける。
これらのコメントに共感するのは、ここ数日で僕自身が自分の目で、自分が住んでいる場所、道路の脇、農地のすぐそば、コンクリートの隙間、農地の中……など、あらゆる環境を観察してみたからだ。
ナガミヒナゲシなんかよりハルジオンのほうがよほど強烈じゃないかと学んだし、むしろ今年のほうが去年までより数が少なくなった気がするからだ。
「一時的にわっと繁殖しても、放っておけば落ち着く。騒ぐほどのものじゃない」「ナガミヒナゲシが目立つ場所はそもそもすでに在来種などは消えていた厳しい環境」といった説のほうがはるかに納得できる。

そんなことよりもっとやっかいなのは……

中にはこんな意見もあった。

内容に誤りがあり、行きすぎているのは問題だが、一般市民が外来種に問題意識を持つのはとてもいいこと。根本的な大間違いではないし、駆除そのものが悪影響をもたらすわけでもないので、学者が市民に「デマ」と断罪するのは言い過ぎではないかと。もっと優しい言い方で啓発して欲しいと思った。
丸山宗利ω? さん


これも考えさせられるコメントだった。

内容には問題があっても、それがきっかけで問題意識を持つ人が増えるのはいいことだ、という論にはときどきでくわすのだが、実際には、自分がそれを知らなかったことに気づいて、きちんと情報を追って、自分の頭で考え、判断できる人はとても少ない。圧倒的に多くの人たちは、鵜呑みにしてしまい、死ぬまで情報修正できない。これは高等教育を受けている人、社会的地位の高い人でもそうした落とし穴にはまってしまう危険性を妊んでいる。というか、そういう人ほど、自分に自信があるから気づきにくい。

これは自戒を込めて言っている。
僕自身、先入観を持っていい加減に書いてしまうことがかなりあるし、なんとなく疑問に思っていたことに対してそれらしい答えが提示されると飛びついてしまうことがある。そうであってほしい結論に整合する情報だけ選択し、不都合な情報は排除してしまうという傾向は、多かれ少なかれ誰もが持っているのではなかろうか。
だからこそ気をつけなければいけないし、一度広まってしまった間違い情報を訂正するのは容易ではない。

こうした危険性の最たるものは「自然エネルギー」礼賛だろうか。
これは本当にやっかいだ。
人間が作ったソーラーパネルが里山エリアの山の斜面や草原を根こそぎ消滅させ、草花だけでなく動物も地域絶滅させていることのほうが外来種がどうのこうのよりはるかに大問題なのだが、それはまた次のトピックで……。





メガソーラーとミサイル2017/04/26 21:02

横根高下メガソーラーの規模と位置

広大な雑木林の斜面に16万7000枚のソーラーパネル

県立前日光自然公園である横根高原の南東斜面にプロ野球公式グラウンド90面分(約107ヘクタール)のメガソーラーを建設するという計画があることをつい先日知った。
「横根高原メガソーラー建設 差し止め求め署名提出 鹿沼市に市民団体」という東京新聞の記事
前日光(まえにっこう)県立自然公園内の横根高原に大規模な太陽光発電所(メガソーラー)を建設する計画を巡り、開発予定地が広がる鹿沼市の市民団体「横根高原の自然を守る会」の小野彰史代表らが16日、市役所を訪れ、佐藤信市長と横尾武男市議会議長に対し、建設に反対する市民らの署名8796筆を添え、建設差し止めに向けた対応を求める要望書を手渡した。
市と同会によると、事業者は東京都新宿区の外資系企業「カナディアン・ソーラー・プロジェクト」が設立した「CS栃木鹿沼合同会社」。カナディアン社は昨年11月、地元向けに説明会を開き、横根山頂から九合目付近の107ヘクタールを開発し、太陽光パネルを設置すると説明。建設予定地は鹿沼市が7割程度、残りが日光市にまたがる。
(東京新聞 2017/02/17)


これに先立ち、今年1月25日には鹿沼、足利、栃木、佐野の4市長が栃木県に「再生可能エネルギー発電施設導入に関する規制の見直しを求める要望書」というものを出している。これになぜか日光市は参加していない。何を考えているのか!>日光市

要望書は4市長の連名で、(1)県立自然公園条例における規制の見直し (2)県統一ガイドラインの策定 ──の2項目。この日は佐藤信(さとうしん)鹿沼市長、岡部正英(おかべまさひで)佐野市長はじめ、4市の関係者が県庁を訪れた。
佐藤市長は「県立公園内へのメガソーラー設置を非常に危惧している。規制見直しを国に働き掛けてほしい」と説明。福田知事は「国が間もなくガイドラインを策定する。市町と連携しながら課題に対処したい」と答えた。
(「メガソーラー規制、栃木県に要望 県内4市長」下野新聞 2017/01/26)


どういう場所なのか、実際に見に行ってみた。
見渡す限り雑木林の山。主木はミズナラで、隣接する国有林は水源涵養保安林に指定されている。
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あまりに広大で把握できない。今見えている部分は全部伐採されるだろう


この部分をかつてヤマハが所有していたのが問題のはじまり。ヤマハがもてあまして転売したことで今回の計画が出てきた。
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これから新緑の季節


計画地を見て思ったのは、これはもう、反対運動をするまでもなく計画は頓挫するのではないか……ということ。あまりにも馬鹿すぎる。
普通に考えれば、こんな計画が合理性を持つわけがない。冬には雪も積もるし、ろくに発電もしないのではないか。標高1000mを超える場所だから、資材運搬や伐採した木の運び出しなども困難。どれだけ金をかけるつもりなのか。
送電線も新たに引くわけだし、計画として無理がありすぎる。
土砂崩れや下流側での井戸の水涸れ、河川の汚濁、川魚の死滅などが起きる可能性は高いから、損害賠償を求めて訴訟も起きるだろう。そういうものすべてに対応できるだけの力が企業側にあるとは到底思えない。建て逃げ同然の結果になって、最後は自治体が税金を投入して後始末をすることになる。自治体もそんな余裕はないから、膨大な処理困難ゴミを山の斜面に放置したままになる可能性が高い。

あまりにも馬鹿すぎる。助手席で妻も呆れ果てた顔で言った。「いくらなんでもこれはないでしょう。立ち消えになるんじゃない?」……と。
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しかし、このような奈良県の現実を見ると、今の日本、どんなに馬鹿なことでもやらかす「想定外の馬鹿」がいるのだと知らされる。
横根高原はこの何百倍の規模のウルトラ馬鹿なのだが……。↓
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昨日も、近所で反対の署名集めをしていたら、ある人がこう言った。
「それって脅しみたいなもので、嫌なら自治体が買い取れということなんじゃないですか?」
そこまで考えてやっているとは思えないが、こういう馬鹿なことを引き起こす原因を作った再エネ振興政策の罪は大きい。企業の目的は発電ではなく金儲け。税金や電気料金に含まれている再エネ賦課金がなければハナから成立しない話。
いずれにしても企業が税金をむしり取るための詐欺と恐喝の合わせ技みたいなものだ。

自分の目に触れないところでどれだけひどいことがあろうと関係ない……という心理

ここを見に出かける直前に、「日米首脳が電話協議」という速報ニュースを見ていたので、こんなことをしている間にもミサイルが飛んできたりして……などと思った。
そういえば、松本サリン事件のときは神奈川の大山で狛犬の写真を撮っていて、売店のおばちゃんから「長野のほうで毒ガス事件が起きたみたいですよ」と聞いたのだった。

建設予定地を見終わって、山を下りながら考えた。

アメリカ政府は自国(本土)に被害が及ばないなら、他国でどれだけ人が死のうがあまり気にしない。中東やアフガンでしてきたことを見ればそれは明らかだ。
北朝鮮がほんとにアメリカ本土にまで届く核ミサイルを手にしてしまいそうだと分かった今、その前に叩けるなら、日本や韓国に多少(?)の被害が出てもいいと思っているだろう。
たとえがまずいかもしれないが、僕だって、本音を言えば横根高原に東京ドーム25個分のメガソーラーができるより、わが家の隣に数十坪のミニソーラーができるほうがはるかに死活問題だと考える。人間のエゴってそういうものだ。
アメリカの人たちが「あのアホが飛ばした核ミサイルがこっちに届く可能性があるなら、その前に、日本を舞台にしたミサイル合戦を起こして、徹底的に叩いてほしい」と、口には出さなくても思っているとしても、それは自然なことだ。
日本に関心を持つ世界じゅうのひとたちが、「なぜ日本人は、せっかく平和を享受して、この先の未来も戦争を避けうる幸運なポジションを占めているのに、わざわざ戦争に巻き込まれる国にしたいのか?」と疑問を述べるようになってから、もう何年も経っている。
怪訝な顔の世界の国ぐにを精力的に安倍首相が駆けずり回って、オカネをばらまきまでして説得して、憲法がすでに国民の合意によって改憲されたという真実とは異なる虚像をつくりだしてまで、全力でめざしたゴールに、やっとたどりついた。(ガメ・オベールの日本語練習帳 「新時代に入った日本」


……まさにそうなんだろう。あらゆる面で、今までの時代とは違う時代に突入した日本。

横根高原メガソーラーに反対する
↑クリックすると反対署名用紙などがダウンロードできるページにジャンプできます。ぜひご協力ください




日本で「犬」に狂犬病予防注射をするということ2016/05/02 11:41

ご近所の老犬(13歳くらいらしい)のお散歩係に就任して数か月。
いつも僕の顔を見るたびに狂喜乱舞して、リードをつける間もなくグイグイ引っ張って暴走するのに、数日前から突然元気がなくなり、日増しにひどくなっていた。
ついには腰も立たず、立ちあがろうともしない。
「どしたの? お散歩行かなくていいの?」と、しゃがみ込んで3分くらい話しかけてみたが、動かない。
諦めてそのまま帰った。
翌日、買い主さんに「様子がおかしい」と話したところ、「そういえば先週、狂犬病の予防注射打ったんですよ」と言われた。
それが原因なのだろうか……と、ネットでいろいろ検索してみたら、ほぼ間違いなくそれが原因らしいと分かった。
今までも、なぜ何十年も発生していない日本で狂犬病の予防接種が義務化されているのか疑問に思ってはいたが、子供の頃しか犬を飼っていないので、あまり深く考えたことがなかった。
「たぬ」にはフィラリアの薬だけはきちんきちんと飲ませていたけれどね。

「狂犬病」とは何か?

  • 狂犬病は人間も含めてほぼすべてのほ乳類に感染する。英語ではRabies または hydrophobia(恐水症)で、「犬」という単語は出てこない
  • ラブドウイルス科リッサウイルス属のウイルスを病原体とするウイルス性の人獣共通感染症の1つで、遺伝子型で7種に分けられるうちの1種。他の6種は主にコウモリが感染源
  • 感染した動物が噛みついたり引っ掻いたりして唾液などの体液が体内に入ることが主な感染原因。
  • ヒトからヒトへの感染例はないが、感染した人間が他人に噛みついたりすれば、理論上は感染する可能性はある
  • 潜伏期は数日から数年と幅が広い。一旦発症すると致死率はほぼ100%で、治療法はない
  • 全世界では毎年5万人くらいが死んでいる(うち約3万人はインド)。主な流行地はアジア、南米、アフリカ。北米ではアライグマなどの野生動物による感染が多い
  • 日本では1956年以降は感染報告はゼロで、根絶されている。他にもイギリス、ノルウェー、スウェーデン、オーストラリア、ニュージーランド、ハワイ……などなど、島国を中心に、根絶されたとされる地域は多い
  • 日本で狂犬病ウイルスが根絶された後の日本人の死者は、1970年にネパールを旅行中に犬に噛まれて帰国後に発症、死亡が1名。2006年に京都と神奈川在住の60代の男性2名(フィリピンに2年間滞在)がフィリピンで犬に噛まれた後、日本に帰国後に発症して死亡の合計3名
  • アメリカでは人への感染は年間数名程度。スカンク、コウモリ、アライグマ、キツネなどの野生動物で毎年6,000~8,000件。ネコが200~300件。イヌが20~30件の感染報告がある

こうしてまとめてみると、まず第一に「狂犬病」という名称がまずいだろうということが分かる。そういう名称にしているのは日本だけだ。
東南アジアなどでは犬を放し飼いにしているのがあたりまえで、しかも特定の飼い主がいない(なんとなく地域の人たちが餌をあげている)ような状況が多いので、ワクチン投与がなかなか進まない。だからアジアでは犬に噛まれて感染するケースが多い。
南米ではコウモリがいちばん多いし、アメリカではアライグマなどの野生動物がいちばん多い。
犬猫をペットとして飼っている環境が日本と近いと思われるアメリカでは、犬よりネコのほうが感染例は1桁多い。

アメリカの例では、こんな記事を見つけた。
 米国ではアライグマ、狐、スカンク、コウモリが狂犬病ウイルスの宿主となっていて、動物での狂犬病の87%を占めるといわれています。コウモリによる狂犬病は急には拡がらないので、流行の原因とはみなされていません。最近、問題になっているのはアライグマの狂犬病です。

 アライグマの狂犬病は以前は米国南東部フロリダ州に限局していました。しかし1989年10月にニュージャーシイ州でアライグマの狂犬病がみつかり、1990年だけで37例がみつかっています。地図を見るとフロリダからノースカロライナを飛び越して狂犬病が拡がったことがよく分かります。
この理由としては、ハンターが狩猟用のアライグマの数を確保するためにフロリダから3500頭のアライグマを1977年にバージニアに放したためと考えられています。人為的な流行の拡大です。
公益社団法人日本獣医学会 連続講座第17回「野生動物の狂犬病」 より)


以上のことから分かるのは、日本に再び狂犬病ウイルスが持ち込まれる可能性があるとすれば、海外から持ち込まれた動物を介して以外はまず考えられないということだ。
日本にいる犬が感染するとしたら、海外から感染した動物が持ち込まれ、その動物に咬まれたり引っ掻かれたりした場合だ。室内飼いされている犬、つながれている犬にそんな可能性があるだろうか?
それよりも、海外から持ち込まれる動物の徹底的な検疫体制を作ることが先ではないか。
「人間を噛む可能性がある動物は犬がいちばん多い」というが、そもそも、まずは飼っている犬が感染している動物(人間を含む)に接触しなければ感染することはありえない。
ワクチン注射は、すでにウイルスが存在している場所で、感染動物を根絶させるためには最も効果的な方法だ。これは間違いない。しかし、一旦根絶した後は、感染していない動物、しかも犬だけを選んでワクチン注射を続ける意味が見つけられない。
感染の可能性が高いのはむしろ海外渡航した人間である。ワクチンを打つ必要性があるとすれば、人間のほうだ。
海外で感染した人間が帰国後に犬に噛みつくことはまずないだろうから、日本の犬に注射しても意味がない。
また、検疫体制の不備を突いて海外から感染動物(可能性が高い例としてはフェレットなど)がペットなどとして持ち込まれてしまった場合も、最初に感染するのはその動物と接する機会がない犬ではなく、そのペットの飼い主である人間だろう。
ロシア船にのせられた犬が港で放されて云々という話もあるが、それとて、もしその犬が感染していたら、最初に噛まれるのは犬ではなく人間だろう。港に日本で飼われている犬が放されていることはまずないが、人間はいっぱいいるのだから。
ましてや、都会の犬のように室内飼いされている犬、放されていない犬がアライグマやフェレットに噛まれて感染する可能性は限りなくゼロだ。
一方で、狂犬病のワクチン注射をすることで老犬や幼犬が体調を崩し、下手をすればそのまま死んでしまうというケースはいくらでもある。

誤解しないでほしいのは、ここで言いたいのは、まずは海外から入ってくる動物の検疫を徹底せよ、ということだ。それをしないで、限りなく安全な国内の犬にせっせと毎年注射しているのはおかしいでしょ、と。
そもそも、野生動物をペットとして輸入・販売することを全面禁止にすれば、どれだけ狂犬病再侵入の危険を減らせることか。なぜできないのか。

オーストラリアでは狂犬病のワクチン注射は「禁止」されているという。犬への負担もさることながら、ワクチン注射で下手に抗体を作ってしまうと、ウイルスが国内に入り込んだときにすぐに発見できなくなる可能性があるから、ウイルスがワクチンへの適応性を持って変異してしまうこともあるかもしれないから、ということらしい。
すぐに発見できればすぐに処置できるので、感染が広がる前にブロックできる……と。
なるほど、そのほうがはるかに合理的な考え方だ。
酪農大国オーストラリアでは、ウイルスの侵入を防ぐことは国の産業を守る上で最上位重要項目だ。真剣に考えてそうしているのだ。

日本では、一旦決めてしまったことを変更するのは怖い、面倒だ、責任を取りたくない……という精神が、行政のあちこちで不合理を生じさせている。それによって被害を被るのはいつも弱者だ。
要するに、意味のないことは明白だけれど、「犬のことだ(注射で死ぬとしても犬のほうで、人間は死なない)し、費用は飼い主の全額負担だからいいや」「やめたら製薬会社や獣医師界から猛烈な突き上げが来るから放っておこう」ということなのだろう。

ご近所の犬はその後少しずつ回復し、昨日あたりはほぼ以前と同じように元気に歩けるようになった。一安心。でも、来年はどうなのか……。
犬を連れて散歩していると、いろんな人に声をかけられる。すると、「ああ、うちでもそうです。狂犬病の予防注射をした数日後に急にご飯を食べなくなって、何日かぐったりしていました」とか「前に飼っていた犬は狂犬病の予防注射をした翌週に突然ぐったりして死んでしまったので、今の犬にはこわごわさせている」といった話を聞く。
なんという理不尽な、そしてひどい話だろうか。

ちなみに、獣医さんによっては「病弱なので狂犬病予防接種は避けたほうがよい」というような証明書を出してくれるらしい。

奇跡の「フクシマ」──「今」がある幸運はこうして生まれた

7つの「幸運」が重なったからこそ日本は救われた! 電子書籍『数字と確率で実感する「フクシマ」』のオンデマンド改訂版。
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新・マリアの父親

たくき よしみつ・著 第4回「小説すばる新人賞」受賞作『マリアの父親』の改訂版。
新・マリアの父親
A5判・124ページ オンデマンド 980円(税別) 
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原発村の実行部隊隊長・田中俊一 これが日本を騙し続けてきた手口だ2011/07/28 21:21


憤っていた人は僕だけではなかったようで、さっそくYouTubeにアップされていました。削除される前にぜひ見てください。
これ以上の説教強盗はない、というくらい見事な犯罪手口。
原子力委員会前委員長代理・元日本原子力学会長・元日本原子力研究開発機構特別顧問……といったバリバリの原子力推進人生を歩んできた大物・田中俊一氏(工学博士)が飯舘村長泥地区の区長の家に乗り込み、「村を除染するには、村に産廃場みたいなものを作って……」ともちかけるシーン。
すでに放射性物質で汚染されたゴミを捨てる「産廃のようなもの」を作る気満々で、設計図まで持っている。 しかも、訪れているのは役場ではなく区長の家。
原発、風発でさんざんやってきた手口とまったく同じ。
自分たちが騙してきた原発詐欺で日本がこんなことになっているのに、薄笑いを浮かべながら「これを作らないと帰れなくなっちゃうよ」と区長を籠絡する。
シロアリを他人の家の床下に撒いて、「お宅にはシロアリがいますね。駆除するには……」って持ちかける詐欺商法の究極兇悪バージョン。
田中俊一は原発推進をしてきた立場を「懺悔」して、これからは除染に努力するとか言っているが、その「懺悔」は、国民への懺悔ではなく、自分が所属していた原子力村への懺悔であることは明々白々。
「へまをしてしまって利権共同体の仲間たちに迷惑をかけた。お詫びとして、今度は自分が率先して詐欺実行部隊の先頭に立って動くよ」という懺悔。
東北の人たち、特に汚染された自治体の首長たちよ、この手口にまた乗っかるのか?
目を覚ましてくれ!
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原発が爆発する前の2010年、阿武隈山中のスタジオにこもって制作した自選ベスト曲アルバム
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裸のフクシマ 『裸のフクシマ 原発30km圏内で暮らす』(たくき よしみつ・著) (2011/10/15発売 講談社 単行本)…… ニュースでは語られないフクシマの真実を、原発25kmの自宅からの目で収集・発信。
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