『阿武隈裏日記』を改題しました。
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「かっこいい写真」を撮るためのカメラ選び2016/08/30 16:14

α6000
久々のデジカメネタ。
最近、「CMOS時代になってからは、技術革新の速度が速くなり、画素数が少なければきれいとは単純にいえなくなってきた」という話を友人のカメラマンと交わした。
CCDの時代には、画素数を無理に増やすことで1画素あたりの面積が小さくなって実質上の画質(見た目の写真のきれいさ)が悪化するという図式があった。
1000万画素を超えるあたりでその弊害が顕著になり、『デジカメに1000万画素はいらない』(講談社現代新書)を書いたのもその頃のことだった。
その後、CCDは消えていき、CMOSへの移行が進んだが、画素数はいきなり1000万画素超から始まり、ひどい画質のコンパクトカメラが続出した。

ところが、APS-Cサイズで1600万画素CMOSが出た頃に劇的な技術革新があり、現在ではAPS-CサイズCMOSは2400万画素あたりが主流だが、1600万画素から2400万画素に増やしたための画質劣化がほとんど見られない。
ということは、今の技術で1000万画素くらいのAPS-CサイズCMOSを作ってくれればいいのだが、CMOSメーカーとしてぶっちぎりでトップを走るソニーはそれをしてくれない。

プロは主にフルサイズのカメラを使う。
ソニー製のフルサイズCMOSは、現時点(2016年8月)で、α7sとα7sIIの約1200万画素、α7の約2400万画素、α7Rの約3600万画素、α7RIIの約4200万画素とあるが、最上位機種のα7sに搭載した1200万画素CMOSをそのままAPS-Cサイズにすると500万画素くらいになる。
私としては画素数はそれで十分だが、一般には1000万画素ないと不安を感じる人が多いだろうし、トリミングして拡大する場合もそのくらいはあったほうが便利なので、α7に搭載している2400万画素CMOSをAPS-Cサイズに切ったものでもいい。そうすると約1000万画素。ちょうどいい感じなのだが、ソニーはそういう「ちょうどいいCMOS」を絶対に作ろうとしない。

……というカメラ界の現状を踏まえた上で、「背景をぼかしたかっこいい写真を撮るためにはどのカメラを選ぶのがいいか」という考察をしてみた。
  • 背景をぼかしたアートっぽい写真を撮るにはAPS-Cサイズ以上の撮像素子が必要
  • フルサイズモデルはカメラとレンズを合わせて10万円以下では入手できないので、一般的な写真趣味には厳しい
  • フルサイズモデルでさえミラーレスに移行し始めている現在、APS-Cサイズモデルで大きなボディの「一眼レフ」は意味が薄い
  • となると、ソニーのα3桁シリーズ、キヤノンのMシリーズ、フジフィルムの3社から選ぶしかない
  • キヤノンのMシリーズは専用レンズが少なく、魅力的なレンズもあまりない。かといって従来型EFレンズをマウントアダプターで使うのもどうかと思う
  • フジは性能的には魅力があるが、ボディ、レンズ共に価格が高め
  • 撮像素子はどこもソニーで製造しているようなので、ソニーのα3桁シリーズかその前のNEXシリーズが無難か
  • NEX時代の1600万画素CMOSと現行の2400万画素CMOSの画質はほぼ同じ印象。扱いやすさならNEXだが、画質が落ちるわけでもないのでα3桁でもいい
  • NEX-5Rはコスパが優れていたが、ファインダーはあったほうが使いやすいので、一推しはNEX-6。あるいはα6000

……となった。
気に入らないこと、言いたいことはまだまだいっぱいあるのだが、「存在しない理想のカメラ」についてあれこれ言っても虚しいので、これが精一杯の現実解。
(以下の写真はすべてクリックすると拡大できる)


NEX-5R+50mm/F1.8で撮影 F2.0 ISO:400 1/25秒



α6000+50mm/F1.8で撮影 F2.0 ISO:400 1/15秒



NEX-5R+50mm/F1.8で撮影 F2.0 ISO:400 1/25秒……をIrfanViewで一発補整



α6000+50mm/F1.8で撮影 F2.0 ISO:400 1/15秒……をIrfanViewで一発補整

NEX-5R 上の写真をトリミングで拡大して一発補整



α6000 上の写真をトリミングで拡大して一発補整




パッと見、それほど画質や印象に差が出なかった。であれば、データ量があまりでかくならないほうが扱いやすいので、NEXの1600万画素でいいと思う。
 
 


詳しくは「ガバサク流」の「デジタル一眼を買う前に読む!(2016年後期編)」をどうぞ。

よいお買い物

テレビ、洗浄便座、電動アシスト自転車などなど、「幸福になれる買い物」のヒント集。失敗しないための最低限の知識



私の「現役」カメラ4台 2016年版2016/05/02 12:10

これをこんな風にぶら下げてお散歩している

1000万画素以下のカメラがほしい

デジカメの本を最初に書いたのは岩波アクティブ新書の『デジカメ写真は撮ったまま使うな!―ガバッと撮ってサクッと直す』 だった。アマゾンで確認したら2004年7月発売ってなっているから、もう干支が一回りした昔、中越地震前のことなのだなあ。
それから「ガバサク理論」なるものを主張し続けて、「ガバサク談義」(http://gabasaku.com/)なるサイトも作って、たまに記事をUPしているけれど、実際にはカメラ談義の内容もすべて「のぼみ~日記」に含まれている。
というわけで、よく訊かれる「どんなカメラを使っているのか?」に答えます。
ポイントは「お金がないので高いカメラは買えない」「室内撮りや狛犬撮影が多いのでレンズが明るいのが第一条件」「画素数は極力少ないものを選ぶ」……ですかね。

オリンパス XZ-10


1/2.3型 CMOS。3968×2976(約1181万画素)。F1.8-2.7/4.7mm~23.5mm(26~130mm)。30~1/2000秒。221g(カード、電池込み)


常にこの状態
1日中この状態で腰にぶら下がっている


朝起きてから夜寝るまで、常に腰にぶら下がっているカメラ。あ、これ面白そうと思ったらすぐに取りだしてサクッと撮る。
最大の長所はF1.8-2.7と、レンズが非常に明るいこと。望遠端(130mm相当)でもF2.7なのだからすごい。
欠点は動作がもっさりしていること(連射速度も驚くほど遅い)とコンパクト機としてはボディが分厚く、見た目が野暮ったいこと。いいカメラなのに売れなかった(多分)のは、商品をパッと見た感じの印象がダサいからだろう。コンパクト機は見た目で売れる商品だろうからね。
こういう真面目なコンパクト機はもうなくなってしまった。製造終了してずいぶん経つが、まだ新品在庫が売られているようだ。オリンパスはこれの後継機種を出すつもりはないらしいので、これが壊れたらかなり困るだろうなあ。
☆紹介記事は⇒こちら

XZ-10で撮影 1/640秒、F3.5 クリックで拡大


オリンパス Stylus1


1/1.7型 CMOS。4000x3000(1200万画素)。F2.8(全域)/6-64mm(28~300mm)。1/2000~60秒。402g(カード、電池込み)
28-300mm相当で全域F2.8という使いやすさが最大の魅力。画質もXZ-10よりは上。連写速度などもはるかに上。マクロから野鳥までなんでもこれ1台でこなせる万能カメラ。
正確な電子ファインダーがついているのもいい。いざとなればマニュアルでピント合わせがしっかりできる。
ただ、基本的には1/1.7型CMOSのコンパクト機だから、背景はぼけないし、画質もAPS-Cサイズのカメラには負ける。
☆紹介記事は⇒こちら

Stylus1で撮影。1/640秒。F3.5  クリックで拡大


ソニー NEX-5R+ソニー50mm/F1.8


APS-Cサイズ CMOS。4912 x 3264(約1610万画素)。F1.8/50mm(75mm)。 バルブ or 30~1/4000秒。276g(本体とカード、電池込み。レンズ含まず)


コンパクト機の小さなCMOSではどうしても物足りない、あるいは背景をしっかりぼかして撮りたいという場合は撮像素子を大きくするしかない(そうしないと物理的にレンズの焦点距離が伸びないから)。
それでもなるべくコンパクトにいきたい、ということで、レンズ交換式ミラーレスカメラの登場。これがまあ、中途半端な規格のものが多くて、もはや1200万画素クラスのCMOSを使ったAPS-Cサイズカメラは見つからない。仕方なく、その次の1600万画素クラスから選ぶ。
NEX-5Rはファインダーがついていないのが失敗だった。このクラスのカメラになるとやっぱりファインダーは必要だなあ。というわけで、ファインダーのついているNEX-6をお勧め。
これは動画撮影と狛犬写真集用に使っている。レンズはもっぱらSony製の50mm/F1.8。このレンズは安くて助かる。セット販売のズームレンズ F3.5-5.6/16-50mm(24~75mm)だと背景がしっかりぼけてくれないので、今ではしまい込んで忘れている。
動画がいい感じで撮れるし、内蔵マイクの音もそこそこよい。これ以上音質を求める場合は、かなり高価な録音機を別に買う必要がある。
☆紹介記事は⇒こちら


↑NEX-5R+50mm/F1.8で撮った動画


ペンタックス K-r+シグマ18-50mm/F2.8


APS-Cサイズ CMOS。4288×2848(約1221万画素)。F1.8(全域)/18-50mm(28-75mm)。30秒~1/6000秒。約598g(専用電池、SDカード込み、レンズ含まず)


これは最近購入。
昔撮った狛犬写真を見ていると、これはそこそこきれいに撮れているなと思う写真のほぼすべてがペンタックスK-100Dで撮ったものだった。APS-Cサイズで600万画素CCDの一眼レフ。画像が明るく、発色も階層が深くてきれい。画像ソフトによる後処理でも、1画素あたりの光が多い分、反応がいい(きれいに変化してくれる)。この前はニコンのD70で、この後はソニーのα300を購入したのだが、どちらもK-100Dで撮った写真よりも画質がよろしくなかった。
しかし、K-100Dは設計が古いせいか、最近の大容量SDカードを使うとデータがとんでしまうということが2度あった。1000枚超えたあたりで一気にデータが飛ぶなんて、怖くて使えない。それで半隠居させたのだが、K100Dのためにと購入したペンタックス用のレンズが何本かあるので、もう一度ペンタックスを使ってみようと思い立ち、いろいろ考えた末にこのK-rがいちばんバランスがよさそうだと判断。
画素数が少ない分、NEX-5Rより画質がよい。
ペンタックスはレンズが豊富で、安く手に入るのがありがたい。シグマやタムロンなどのレンズメーカーのAPS-Cサイズ用レンズは、ニコン、キヤノン用と同時にたいていペンタックスのKマウント用も出ている。
欠点は液晶モニターが固定式であること。ペンタックスはバリアングルモニターをつける意志がないらしい。
それと動画はほぼ使いものにならないので、静止画専用になる。

K-rで撮影。1/60秒、F1.8 クリックで拡大



以上の4台が目下「現役」のガバサクチーム。お金がないし、このところ魅力的な新機種がずっと出てこないので、当分このラインアップでやりくりすると思う。
ここに紹介した4機種はすべて製造終了している。同じものを今から買おうとすれば、新品ではStylus1の後継機種Stylus1sしか製造されていない。
XZ-10はぎりぎり新品が売られている。よほど在庫が残っていたのだろう。
NEX-6もK-rもずいぶん前に製造終了で、今はもう新品ではまず入手できないと思う。程度のよい中古を探すしかない。アマゾンで確認してみたら、ほとんどのカメラは中古も含めればまだ入手可能のようだ↑(2016年5月現在)
なぜ中古を探さなくてはいけないのか。それは、CMOS製造の最大手であり技術的にも他社を引き離しているソニーが、今なお高画素数追求路線をやめないからだ。1/2.3型で1600万画素だなんて馬鹿げている。いいことはひとつもない。
カメラ本体の設計がソニーよりうまいメーカーも、撮像素子だけはソニー製にかなわない。だからソニー製CMOSを使う。結果、画素数を抑えたCMOSがこの世に出てこない。
乏しい光量の小さな画素をいくらたくさん集めてもきれいな写真にはならない。映像エンジンなるコンピュータ処理でどれだけごまかして「脚色」しても、不自然な色味のものができあがるだけだ。
ソニーが今の技術で600万画素~800万画素くらいのCMOSを出せば、デジカメの画質は一気によくなり、世界中の人が幸せになれるはず。
それがなぜできないのか、不思議でしょうがない。




iPhone6 のカメラ性能がよいことを実例で2015/09/06 23:02

iPod touch6のカメラ性能を検証する




iPod touchは第5世代で止まっていて、iPhoneが6になってもなかなか第6世代が出てこなかった。アップルはもうiPod touchは打ち止めにするんじゃないかなんて噂まで出ていたが、先月ほとんど前触れもなく、「ほらよ」という感じで発売された。
中身はほぼiPhone6と同じ。
大きな違いは大きさ、軽さ、価格。
iPhone6は 138.1 × 67.0 x 6.9 mm  129g。
iPod touch6は 123.4 × 58.6 × 6.1 mm  88g
片手で楽々操作するにはiPhone6は大きすぎるという感想が多いが、iPod touch6は寸法はiPhone5とほぼ同じで厚さはiPhone5の7.6 mmより1.5mmも薄い。
重さはiPhone6のおよそ3分の2。41g軽いというのはものすごい違いだ。
しかもiPhone6が9万円前後するのに対して、iPod touch6は2万円台から買える。これも大違い。

うちではiPhoneを持つ予定はこれから先もない。何度か書いてきたが、ケータイはモバイルSuicaを使うため(キャッシュレス生活)とたま~に音声通話するためだけのもので、外出時にメールやらネットやらをやるばあいはiPadかiPod touchでやる。通信会社への支払いは月500円で、それを超えることはまずない。

今までは夫婦で専用のiPod touch4を1台ずつ持っていたが、今回は1台だけ購入した。

掌にすんなり収まる。軽くて薄い。ポケットに入れていても忘れてしまうほどの軽さだ




690円のガラスフィルムと

680円のクリアケースをアマゾンで購入してさっそくつけた。
ガラスフィルムは簡単に貼れた。とてもいい。

贅沢だと思ったが購入に踏み切ったのは、
  • iPhone6と同等と見られる内蔵カメラ(SONY製800万画素CMOS)の性能を知りたい
  • iPod touch4はネット接続が重いので時間が無駄になる
  • 今やスマホでネットを見ている人のほうが多いので、WEBページやデジタルコンテンツをみんながどんな感じで見ているのか実感する必要がある
という理由からだ。

特に内蔵カメラの性能と使い勝手は検証しなくてはと思っていた。

では、さっそく……。


とりあえず撮ってみた


撮影1枚目……明るいなあ……
1/30秒、F2.4、ISO 100、3.30 mm(31 mm相当)


上の写真をIrfanViewでサクッと補整
まず、何にも考えずに内蔵のカメラアプリを起動して撮ってみた。
第一印象は「明るく撮れすぎるなあ」ということ。
僕はカメラの露出は基本-0.3補正で撮ることにしているのだが、iPod touch6のカメラアプリで撮ると、+0.3から+0.7くらいの印象になる。
写真は白飛びしたら後から補正できないから、暗めに撮っておいて暗すぎたら後からガンマ補正で明るくしてやるという方法がいいのだが、iPod touch6で撮ると、その反対で後から暗めに補正してやらなければならなくなるケースが多くなる。
上の写真がその例。

しかし、暗い室内や逆光の場面でもそこそこきれいに撮れるのは感心。800万画素に抑えたアップルの常識を評価したい。

1/24秒 ISO200 
ISOが160以上になると、スマホの小さな画面で見ている分にはいいが、大きなモニターで見ると荒れが目立ってくる



1/40秒、ISO32
これなどは典型的に困った例。狙ったのは↓こういう感じの写真なのだが……


IrfanViewで補整


1/30秒 ISO25
これも明るすぎる


1/30秒 ISO200


1/30秒 ISO50


1/210秒 ISO25


1/120秒 ISO25


1/30秒 ISO160


上の写真をIrfanViewで補整


1/15秒 ISO800
ちなみに、上に並べた写真はすべてF値は2.4(開放)だ。
ここまで見てきて分かることは、iPod touchのカメラは、基本的には絞りは開放で、ISO値とシャッター速度だけで露出を調整しているということだ。一種のピンホールカメラと言うと言いすぎかもしれないが、あまりにも小さなレンズだから「絞る」ということはできない、最初から考えていないのだろう。
とにかく「最も使えそうな画像」を記録して、後はデジタル処理でなんとかするという発想。これはケータイカメラの考え方としては極めて正しい。
デジタルズームのためにある程度の解像度(画素数)は必要だが、それとてスマホの小さな画面で見るのが主な写真であれば、1000万画素以上なんて必要ない。画素数を抑えてしっかり1画素あたりの面積を確保し、取り込める光の情報量を豊かにすることこそ、「きれいな写真」を作る第一歩だとアップルはちゃんと判断できている。
優秀なCMOSをアップルに提供しているソニーが作るXperiaが画素数を欲張って墓穴を掘っているのとは対照的だ。

(まだまだ続きますが、この続きは⇒「のぼみ~日記」でどうぞ)





iPhoneで撮る写真がデジカメよりきれいな理由2015/07/25 22:02

アップルの良識・ソニーの大罪

先日、久々に「ガバサク流」のサイトを更新した。

まずは、「ガバサク流まとめ講座 デジカメ新時代のカメラ選び」というのを新たに5ページ追加。
数年前、「仕事とパソコン」という雑誌に書いたものを改稿。次々に新機種が出てきても、こうこうこういう考え方でカメラを選べばよい、という内容にした。

他にも、「おすすめのコンパクトデジカメ」のページを更新。
XZ-10を推薦するページなども更新した。

で、ここではさらに裏話的なことを書いてみたい。

カメラと撮像素子(CMOSイメージセンサー)の世界で日本はトップを守れるのか

デジカメは日本のメーカーがまだ世界トップを走っている希有なジャンルになってしまった。
コンピュータもモバイル端末も負け。テレビも負け。液晶パネルも負け。電子機器業界で、カメラも負けてしまったらもう後がなくなるが、個々のメーカーを見るとどんどん規模縮小しているし、魅力的で画期的な新製品が出ない。

『デジカメに1000万画素はいらない』(講談社現代新書)でも書いたし、「ガバサク講座」でも何度か書いてきたことだが、撮像素子の画素数は多ければいいというものではない。それなのに高画素化競争をまだ続けようとするソニーの姿勢は困ったものだ。
デジカメが登場した頃の撮像素子はCCDが主流だったが、今ではすっかりCMOSになった。このCMOSは、ソニーが世界のシェアトップで、韓国のSamsung Electronics社と米国OmniVision Technologies社が2位3位の座を激しく争い、この3社だけで世界の市場占有率のおよそ3分の2を占めている。(4位はキヤノン)
日本ではソニーの他にはシャープ、キヤノン、東芝、パナソニックなどがCMOSを製造しているが、ソニーのシェアに比べれば「泡沫メーカー」と呼ばれても仕方ないほど弱い。
シャープはCCD時代にはデジカメ各社にOEM供給していたが、CMOS時代になってからはソニーに完全に負けてしまった。
キヤノンは自社製のCMOSを製造している数少ないカメラメーカーだが、かつてはコンパクト機のセンサーやレンズはOEMが多かった。
パナソニックはフォーサーズ用のCMOSを作っている。フォーサーズの提唱者であるオリンパスのCMOSもパナソニック製が多い。
富士フイルムは自社開発でEXR-CMOSという意欲的なCMOSを作っているが、実際の製造は東芝。
その東芝は韓国のサムスンと技術提携しているので、今後はソニー vs サムスン・東芝という構図がより明確になっていくかもしれない。

東芝とサムスンの提携はカメラ以外にもいろいろやっていて、意外なところでは東芝の洗浄便座はサムスンが製造している。これが相当優秀で、本家のTOTOをコストパフォーマンスで脅かす(というかC/Pでは圧倒する)存在になっている。
実は今の日光の家には洗浄便座がついていなかったので、引っ越しと同時にアマゾンで購入したが、それが東芝製だった。価格はわずか1万2000円ちょっとだったと思う。脱臭機能までついていて、4年近く経過した今もトラブルは一回もない。サムスンはすごいなあと、そんなところでも感心してしまう。

iPhone6の内蔵カメラのCMOSは、1/2.3型クラスのCMOSでは最小の画素数(=最大の画素ピッチ)

話をカメラと撮像素子(CMOS)に戻そう。

ソニーは現在、CMOS製造では世界トップの技術を持っている。これは業界の誰もが認めることだ。

iPhoneの内蔵カメラできれいな写真が撮れるのはすでに多くの人たちが体験していて、そのせいでコンパクトデジカメがますます売れなくなっているということがあるが、iPhone5/6の内蔵カメラに使われているCMOSもソニー製だ。
ただし、画素数は800万画素に抑えられている

『デジカメに1000万画素はいらない』をアップルは実践しているわけだ。

iPhone6のCMOSは6.1mm×4.8mm(29.3mm2)で、これはコンパクトデジカメによく使われている1/2.3型CMOSの6.2×4.7mm(29.14mm2)とほぼ同じ面積だ。
ソニー製の1/2.3型CMOSは、ソニーだけでなく多くのメーカーのコンパクト機に供給されているが、総画素数2000万画素以下のものはもはやない。
iPhone6のライバル機といわれているソニーのスマホXperia Z3の内蔵カメラもこの1/2.3型で2070万画素。CMOSの面積はiPhone6とほぼ同じなので、Xperia Z3のほうが1画素あたりの面積はiPhone6の約38%しかないということになる。
それを日本のメディアは、IT専門誌でさえ「スマホ最強のカメラスペック」などともてはやしている。馬鹿じゃなかろうか。

Xperiaの内蔵カメラは以前から「食べ物がまずそうに写る」と言われていたが、小さなCMOSに高画素を詰め込めば色階調が浅くなるのであたりまえだ。
「こんなの食べたよ~」とブログにちょろっとUPする写真が1000万画素だの2000万画素だの必要なわけがない。


iPhoneの内蔵カメラセンサーは、かつては米国オムニビジョン社のものだったが、iPhone5からメインカメラ(背面のカメラ)をソニー製CMOSにして、iPhone6では前面(サブ)カメラのCMOSもソニー製に切り替えた。コストはソニー製のほうが高いはずだが、技術的にソニーのほうが勝っていると判断したからだろう。(アップルとソニーの間で価格を巡る壮絶な駆け引きがあったことは容易に想像できる)
しかし、ソニー製CMOSを採用する際、アップルは高画素CMOSしか作っていなかったソニーに、敢えて「800万画素で作れ」と注文した。そのほうがきれいな画像になることが分かりきっているからだ。
現在、デジカメ用の1/2.3型CMOSで1000万画素より少ない画素数のものは製造されていないので、このクラスのCMOSではiPhone用のCMOSこそが画素ピッチ(1画素あたりの面積)が最も大きいということになる。きれいに撮れるのは当然だろう。
アップル社にはこうした「良識」がある。ソニーにはない。

iPhoneが800万画素に抑えた(大きな画素ピッチの)ソニー製(技術力業界トップ)のCMOSを採用した時点で、写真の実質的きれいさや使いやすさでは勝負がついていた。
iPhoneに供給した800万画素CMOSはiPhone以外には供給しないという契約をソニーがアップルと結んでいる(結ばされた)のかどうかは知らないが、ソニーは自社製のスマホ Xperia ではこの優秀な新型CMOSを使わず、苦し紛れに?デジカメと同じ1/2.3型CMOSを採用した。
結果は……iPhoneユーザーが知っているとおりだ。
⇒このWEBページなどに、両機種での撮り比べ写真があるのでごらんあれ。
明るい屋外ではなんとかごまかせても、屋内での写真(特に食べ物)や花などの撮影ではXperiaの惨敗だ。
画素ピッチが2.5倍も違うのだから当然だろう。

コンパクトカメラに魅力的な製品がなくなってしまったのは、CMOSで圧倒的な技術力とシェアを持つソニーが高画素路線をやめなかったことも一因だ。 今からでも、ソニーの技術で600万画素くらいのCMOSを作れば、カメラ業界はガラッと様変わりするかもしれない。それが業界のリーダーとして正しい姿勢だと思う。
しかし、ソニーは相変わらず画素数を増やし続けて「どうだ、すごいだろ」と見栄を切る路線をやめない。
今のままだと、ウォークマンで失敗したのと同じ轍を踏むかもしれない。


なぜ日本のメーカーは世界のトップを走り続けられないのか……。
思うに「競争」だけを意識し、製品に対する哲学や良心がないからだ。
売れるためにどうするかは考える(ユーザーをいかに騙すか、その気にさせるかには腐心する)が、本当にいい製品(自分が好きな商品、責任を持てる製品)を作ろうとしない。

他社が真似できないほどのすぐれた技術を持っているのに、メーカーとしての哲学や良心がない。そんな環境からは斬新なアイデア、画期的な新製品も出ない。
「技術大国日本」と呼ばれた国をこんな姿にしてしまったのは誰だ。

たまには息抜きを……2015/01/31 22:02

のぼるくんの「日課」 本日はお休み

お勧めデジカメ2009年8月版2009/08/07 18:38

SONY α330
本宅サイトガバサク談義に、お勧めデジカメの09年8月版を掲載しました。
デジタル一眼レフはSONYのα330。コンパクト機はどんどんひどくなる一方で、結局、重くてもLX3。
中級機はSONYのHX1。
あと、動画機能重視派には、マイクロフォーサーズのGH1。
SONYの健闘が光ります。

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