GoToキャンペーンの「実態」を見よ!2020/07/16 15:07

申請の方法すらまだ「調整中」と言いながら強引に発車
日本政府は、当初から非難囂々だった「GoToキャンペーン」なるものを、当初の予定より前倒しして、2020年7月22日からスタートさせると言っている。
もはや正気の沙汰ではない。
メディアもSNSも「コロナ感染拡大を招く」という論調だが、それ以前に、このキャンペーンの実態を把握していないのではないか。
もう、ほんとにこういうのにつき合うのは嫌なのだが、観光庁の最新のFAQ集から重要ポイントを簡単にまとめてみたので、ぜひ確認してほしい。
とにかく分かりにくい。何度読み直してもよく分からない。しかも「詳細は調整中であり、近日中に改めてお知らせする」なんて答えが随所に出てくる。多分、業界内でも正確に把握している人は少ないだろうし、「詳細は調整中」のまま強行するらしい。

  1. 基本的に、このキャンペーンに登録した旅行業者のツアーが対象
  2. それ以外の個人旅行は、旅費などが対象外であるのはもちろん、宿泊代金も、宿泊先の旅館やホテルなどがキャンペーン登録業者であることが必要
  3. 宿泊業者などが旅行業者を通じずに宿泊させた客などにキャンペーン割引きをするためには、「宿泊施設の予約システムを通じて宿泊記録が外部に確実に蓄積・保管される仕組みが構築されているなど、適正な執行管理のための体制が確保されていること」を条件とした事前登録が必要。
  4. 個人での旅行では、事後に宿泊代の領収書原本、申請書、宿泊証明書(旅館側が発行)、個人情報同意書などを提出する必要がある。
  5. その申請先の事務局はまだ立ちあがっておらず、現時点でもまだ「調整中」いつから申請できるかも「調整中」
  6. 割引適用率は50%で、一泊最大2万円まで。
  7. その50%のうち3割(全体の15%)は9月以降に発行予定の「地域共通クーポン」であてられるので、現時点での旅行では関係がない。よって、現時点での割引きは最大で35%。一泊4万円以上のツアーの場合、その50%の2万円の70%である1万4000円割引きが最高額となる。
  8. 旅行会社の判断で、割引率をきっちり35%にしなくてもよい。
  9. 日帰り旅行では最大1万円というが、旅行会社が組んだツアー旅行だけで、個人で旅行をしたらまったく無関係

●要するに、基本、旅行業者を通さない個人旅行は蚊帳の外。全然関係ない
●三密を避けてなるべく人と接触しないで旅行をするというなら、個人や夫婦などで車を使ったささやかな旅行などをイメージするが、そういうものはまったく対象外。逆に、旅行会社を通した団体旅行(修学旅行や社員旅行など)は丸ごと適用される。
●旅行代理店・業者を通じない個人旅行では、泊まった旅館が登録業者になっていなければならないが、旅館側も「そんな話は聞いていないので何も分からない」と言っている。
●旅館が登録業者になるための手続き申請方法も、個人が後から宿泊代の35%をペイバックしてもらうための申請方法も、未だに「調整中」。準備も何もできていないのに22日からスタートするというありえないお話。
●割引適用の宿泊数に制限はないので、例えば旅行業者を通じて夫婦で一泊4万円以上する旅行を10泊分するならば、旅行会社に支払う金額のうち最大で28万円割引きされる。……庶民とは無縁の話。

Q:本事業による割引旅行・宿泊商品を取り扱う事業者となることを希望しているが、国(事務局)への参加事業者登録はいつから始まるのか。また、具体的にどのような内容を申請することになるのか。

A:参加旅行業者・宿泊事業者の登録は、7月半ば頃から開始することを予定している。詳細は、観光庁HPなどを通じてお知らせする。例えば、事業者の名称・所在地・連絡先、給付金の振込口座等の情報を事務局に申請いただくこと等を想定しているが、いずれにせよ近日中に改めてお知らせする

Q:参加事業者の登録前に商品を割引で販売することは可能か。既存の予約分については予約の時点で登録ができていないが、還付の申請はできるのか。

A:不可。予約の時点で登録ができていない場合であっても還付の申請はできる。ただし、要件を満たさない等の理由により事業者の登録が認められない場合は割引や還付の対象とはならない
観光庁 Go To トラベル事業 よくあるご質問(FAQ)7/13(月)時点版 より)

↑何度読み返してみても、すでに登録済みの旅行業者(あらかじめ選別していた?)を通じての旅行以外ではまったく無理。旅館等がキャンペーン割引き適用の予約を直接取ることも事実上不可能。

結局、13年超の中古車には自動車税を割増し課税するが、「エコカー」認定された高級車を新車で買えば減税するという悪法と同じ、富裕層相手の税金ばらまき。しかも、その予算の多くは「事務手数料」にあてられている⇒アベノマスクと同じ、ピンハネ商法。

こんなものを強行したらどうなるか?
地域経済を混乱させ、地域間ヘイトを無用に増大させ、小規模事業者や個人経営者には今以上に客が回らないようにさせるという、恐ろしいキャンペーン。
そのために使われる金は税金。まさに「GoTo(強盗)」である。

★これを何度か書き直しているうちに、今度は「東京発、東京への旅行は除外する」とか言いだしたらしい……ほんっとに恥ずかしい。

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厚労省が介護現場を混乱させている2020/06/21 14:43

厚労省からの通達
まずは、以下の文章をすんなり理解できるかどうか、読んでみてほしい。
 新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の取扱いについては、「新型コロナウイルス感染症に係る介護サービス事業所の人員基準等の臨時的な取扱いについて」(令和2年2月17日付厚生労働省老健局総務課認知症施策推進室ほか連名事務連絡。以下、「第1報」という。)等でお示ししているところです。
 本日、通所系サービス事業所(通所介護、通所リハビリテーション、地域密着型通所介護、認知症対応型通所及び介護予防認知症対応型通所介護。以下、同じ。)と短期入所系サービス事業所(短期入所生活介護、短期入所療養介護。以下、同じ。)については、介護支援専門員と連携の上、利用者からの事前の同意が得られた場合には、新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応を適切に評価する観点から、別紙に従い、介護報酬を算定することを可能としたことから、管内市町村、サービス事業所等に周知を図るようお願いいたします。また今回の取扱いについてわかりやすくお伝えする観点から参考資料を作成いたしましたのであわせてご確認ください。
(「係る」や「取扱い」という送り仮名は原文ママ)

これは6月1日付で「各都道府県 指定都市 中核市 介護保険担当主管部(局) 御中」という通達先のもとに厚労省から出された「事務連絡」である。
私も含めて一般人?には、なんのことだかさっぱり分からないだろうから、ザックリと意訳すると、
  • コロナで苦労しているだろうから、利用者が同意すれば、介護報酬額を2段階UPして請求できるようにしたよ
  • そのUPの仕方については資料をつけたから参照してね
  • このことを自治体の行政関係者、介護サービス事業者たちにしっかり知らせなさいね
  • 介護報酬点数の計算をしているケアマネ(介護支援専門員)はしっかり調整してくださいね
……というような話なのだ。

この「利用者が同意すれば」という部分はどうするのかといえば、
必ずしも書面(署名捺印)による同意確認を得る必要はなく、保険者の判断により柔軟に取り扱われたいが、説明者の氏名、説明内容、説明し同意を得た日時、同意した者の氏名について記録を残しておくこと。
また、当該取扱いを適用する場合には、居宅サービス計画(標準様式第6表、第7表等)に係るサービス内容やサービスコード等の記載の見直しが必要となるが、これらについては、サービス提供後に行っても差し支えない。
厚労省サイトのQ&A ⑬の3 より)
……なのだそうだ。

「保険者の判断により柔軟に取り扱われたい」???

当然のことながら、目下、介護現場は大混乱である。特にケアマネ(介護支援専門員)は大迷惑だ。
以前にも、アベノマスクの配達員代わりにされているケアマネの悲劇については紹介した(厚労省がケアマネを「アベノマスク無料配達員」にする恐怖 4/15投稿)が、ただでさえ大変な仕事がコロナでぐちゃぐちゃになっているところに、さらにとんでもない仕事を押しつけられているのだ。

厚労省の官僚が徹夜すればするほど現場は疲弊・混乱する

単に「仕事が大変になる」という話ではない。理不尽なことを間違ったやり方で押しつけてくる霞が関の思考回路崩壊が大問題なのだ。

  • 要介護認定を受けている利用者の多くは、介護保険の利用限度額いっぱいを使っており、超過分は自己負担している。その状態で「2段階UP」による介護報酬ポイント分は、当然、利用者が負担することになる。
  • それでも、介護事業者はコロナのせいで利用者が減ったり事業所の一時閉鎖などがあってただでさえ大変な状況の中、こんな馬鹿な措置であっても、少しでも収入の足しになるなら……と思う。しかし、その事務作業はケアマネが行う
  • 利用者の同意を得ることが前提となっているが、その「同意を得る」のは誰がどのようにやるのか? これまた当然、ケアマネが苦労させられることになる。
  • 「介護支援専門員(ケアマネ)と連携の上、利用者からの事前の同意が得られた場合」というのは、ケアマネが利用者に伝えずに「同意しない」と拒否するケースを許容しているのか? それとも、ケアマネは利用者にこの内容を伝えた上で同意を取るように動けと命じているのか?
  • ケアマネを通さず、事業者側が利用者に直で同意書を手渡しているケースがすでに多数出ていて、ケアマネ事務所には利用者からの問い合わせが殺到している。
  • 利用者は認知症であることが多いし、ただでさえ難解なこの悪文の内容を利用者や利用者家族に説明するだけでも大変な苦労を強いられる。利用者の負担額が増える可能性があるわけだが、そこまで説明しても、利用者は「同意をしないと不利益になるんじゃないか」と、余計な不安を抱え込む。
  • 板挟みになっているケアマネの報酬は増えるわけではない
……一体誰が得をするのか?

この処置も含めて、厚労省のコロナ対応「まとめ」ページには膨大な内容が詰め込まれていて、次から次へと通達が出ていることが分かる。
厚労省は机上の論理で考え、通達しているだけだが、それでもこの仕事量は半端じゃない。毎晩徹夜している職員もいることだろう。
しかし、そんな風に厚労省が仕事に励めば励むほど、介護や医療の現場は混乱し、余計な仕事を背負い込まされ、介護・医療従事者は疲弊し、精神もやられ、事業の質が落ちていく。最終的には介護や医療の事業そのものが破綻しかねない
「霞が関の優秀な官僚が日本を支えている」という神話は完全崩壊している。それこそが、今の日本がいかに危機的状況であるかを知らしめている。

コロナのおかげで、今まで表に出てきづらかったことが次々に可視化されてきた。これをきっかけに、この国をいい方向に向かわせることはできるのか? 舵取りをするべき人たちの能天気ぶり、悪代官ぶりを見るにつけ、絶望のどん底に落ちていく。

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非常事態というより異常事態2020/05/16 20:49

画面画像はテレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』より
テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』より


医療や介護の現場が壊れ始めている。
5月9日時点で、COVID-19の感染が確認された医療機関や介護事業所、障害福祉施設などの従事者の累計は1100人を超えている。内訳は判明分で医師150人以上、看護師450人以上。介護職員等や職員の内訳が未判明な分も合わせると従事者の感染は計1180人以上に上る(日経ヘルスケア調べ)。
 一方、院内感染・施設内感染と思われる患者・利用者等は1370人以上。従業者と患者・利用者等の合計は2550人以上となる。厚生労働省の調べによると、5月9日時点でのCOVID-19感染者は1万5649例。医療・介護・障害福祉の従事者の陽性者(1180人)が占める割合は約7.5%となる。また院内感染・施設内感染と思われる患者・利用者等(1370人)の占める割合は約8.8%。従業者と患者・利用者等の合計(2550人)は全体の約16.3%である。国内のCOVID-19の全感染者の6分の1ほどが医療・介護・障害福祉セクターで生じているとみられる。
医療・介護・障害福祉で相次ぐ大規模クラスター COVID-19の全感染者の16%強、6分の1ほどが医療・介護・障害福祉関連か 日経メディカル 2020/05/11)

このままでは、次の波が来たときに一気に死者が増えるかもしれない。
問題は、医療現場のことを医療現場に任せようとしない厚労省の姿勢ではないか。

国立感染症研究所は4月27日、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のゲノム分子疫学調査の結果を公表した。わが国では、初期に生じた中国経由の第1波の封じ込めに成功した一方、3月中旬以降に欧米経由の第2波が発生し、現在の感染拡大につながったことが示唆された。
(感染研がゲノム分子疫学調査の結果を公表 第1波は終息するも欧米からの帰国者経由の第2波が拡大 日経メディカル 2020/05/12)

患者のSARS-CoV-2(新型コロナウイルス)ゲノム配列を解析し、ウイルスの変異パターンや感染経路を探る試みはすでに世界中で行われ、論文も次々に発表されているので、日本の感染研が発表した↑この内容は新しいものではないし、すでに共通認識となりかけていたことの後追いのような印象を受ける。
しかしまあ、感染研というのは本来こうした疫学的研究をして、ウイルスの正体や性格を明かしていくことが使命だろうから、こうした調査・研究をしていてくれればいいのだ。
検査結果を絞り込んで独占しようとして、医療現場を混乱させていることが問題だ。医療現場での実務は患者の治療・救済であり、感染研が医療現場をコントロールするのは完全なお門違いだ。
データが少なければ、疫学調査の信頼性も下がる。医療現場での検査は民間検査機関と直結させ、その結果を随時、衛生研~感染研という方向で送ればいいだけのことで、その方法は当然オンラインで効率化させなければならない。未だに電話で相談とかFAXで送信とかやっている国が他にあるのだろうか?

正気を保つのが大変

昨日、1人10万円の定額給付金申請書なるものが郵送されてきた。当初は高市総務相(←ああ!)が「なるべくマイナンバーカードを使ってオンライン申請を」と発言していたが、実際にはオンライン申請のほうが郵送での申請よりはるかに手間がかかり、時間も取られているのだという。
サーバーがまともに動かないとか、マイナンバーカードのパスワードを忘れて誤入力を続けたためにカードをロックされてしまう人が続出し、それを解除してもらうために役所の窓口に並んで延々待たされ、役所が集団感染リスクにさらされているとかなんとか……。
そもそもマイナンバーカードが住基台帳と紐づけされていないので、オンライン申請でのマイナンバーカードの役割は本人確認書類としてしか機能せず、オンライン申請を受けた役所の職員がいちいち内容をキーボードから手入力したり、内容を住基台帳と照らし合わせているのだという。
特別定額給付金のオンライン申請は、マイナポータルにアクセスしてマイナンバーカードをカードリーダーでパソコンに接続し、世帯主の氏名▽生年月日▽住所▽給付を希望する世帯員の氏名――などを記入し、振込口座を証明する書類を添付。カードの署名用電子証明書の暗証番号を入力して完了となる。
(略)
11日までのオンライン申請が9000件を超えた東京都品川区では、オンライン申請された情報を職員がダウンロードし、住民基本台帳と照合して、申請者の氏名や生年月日などに誤りがないかを目で確認しているという。二重振り込みを防ぐため、給付を求める世帯員の住民票コードを手で入力し、振込口座情報は添付書類の画像と照合する。銀行名が旧名だったり文字間のスペースがなかったりすることも多く、一つ一つ修正しているという。確認作業には2人1組で計8~10人をあてているが、処理できるのは週1000件程度だという。臨機応変の判断が求められるため、誰もができる作業ではなく、人数を増やすのは難しい。
 一方、21日から申請書を発送する予定の郵送申請では、紙の申請書に書かれた口座情報を手入力する必要はあるが、作業自体は単純なため、1日あたり約60人の職員を投入して週2万1000件を処理できる見込みだという。
郵送より遅い? 10万円給付「オンライン申請」の本末転倒 毎日新聞 2020年5月14日
……嘘だろ??!!
なんのためのカードなの? そういう手間をなくすために何千億円もかけて始めたシステムだったんじゃないの?
IT後進国ぶりもここまでくるとジョークにもならない。日本はITインフラも遅れているが、何よりもITの意味が分かっていない人間(しかも、命令系統の上にいる人たち)が多すぎる。
もう、いちいち語るのもストレスだからやめたいのだが、あまりにもあまりだ。

かと思えば、
新型コロナウイルスの感染拡大防止策として政府が妊婦向けに配る布マスクで不良品が見つかった問題で、厚生労働省は14日、参院厚労委で、自治体から返品された布マスクの検品費用として約8億円かかると明らかにした。
 厚労省によると、妊婦向けの布マスクを巡っては、4月30日時点で自治体に配布していた約47万枚のうち約4万7千枚について、異物混入や汚れなどがあったとして返品されていた。現在、国が委託した専門業者が約550人態勢で検品しており、不良品が確認されれば取り除くという。
妊婦向け布マスク、検品に8億円 不良品問題で厚労省 2020/05/14 共同通信

……もはや発狂しそうだ。

アフターコロナを見据える

これから夏になると、COVID-19で死ぬ人より熱中症や他の病気を悪化させて(病院に行けなくて)死ぬ人や、仕事や家庭を失って自殺する人のほうが多くなるのではないか。
それで冬になるとまたじわじわと感染者が見つかって、あちこちで死者も出てきて……。
そういうのが続いていくうちにみんなうんざりしてきて、「癌や交通事故で死ぬ人がいる」のと同じような感覚でCOVID-19を受け入れるしかなくなる……そんな気がする。
そうなっても、一旦身体に染みついた「三密空間は怖い」「人との接触を減らせば感染リスクは下がる」という習慣や考え方はある程度残るし、その頃には世の中のビジネスモデルがガラッと変わっているから、よくも悪くも今まで通りの生活はできなくなる。
物の値段、特に大衆消費財の類は価格が上がる。結果、貧乏人はますます生活が苦しくなる。
職人は高級品を金持ちに売るという形でしか生き残れなくなる。
生活格差が加速する。社会保障は崩壊する。誰もが普通に病院に行って診療を受けたり手術を受けたりすることはできなくなるし、介護施設はよほどの金持ちしか利用できなくなる。
ネット文化がますます多様化して、バーチャルな趣味・娯楽が増える。多分、その質は落ちていき、下卑たもので溢れる。
伝統芸能とかクラシックの演奏会とかというものは、金持ちにしか楽しめなくなり、中世のような社会に戻る。貧乏人はネット世界に閉じこもる。
そんな中で大規模災害や、今回以上の強烈な感染症が現れたりして、世界は崩壊へ向かう……。
SF映画みたいな世界が、実際にやってくるかもしれない。
多分、それを見る前に私のような高齢者世代は死ぬのだろうが、最後まで正気を保つことができるだろうか。無法地帯と化したような現政権や、世界から笑われるような社会システムを見ているだけで、自信がどんどんなくなる。


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厚労省がケアマネを「アベノマスク無料配達員」にする恐怖2020/04/15 15:27

某ケアマネ事務所に届いたアベノマスク
上が配られたアベノマスク。下が普通に売られている(かつて売られていた?)一般的なサージカルマスク。配られたものは小さすぎるし、布地の白が汚い

バカが配るマスク

先日の「バカにつけるマスク」は、書いていてあまりにも情けなくなり、もうこの手の話からは距離をおこうと心に決めていたのだが、その後もあまりにもひどい事態になっているので書く。

今朝、スポーツ紙が、介護施設に届いた布製マスク(以下「アベノマスク」←すでに普通名詞化した?)の記事を大きく取り上げた。
職員の男性は「小さくて、(顎まで隠そうとすると)鼻が出てしまう。今使っているマスクがなくなったら、自分で作ろうと思います」と話す。
アベノマスク届くも「小さく鼻出る」「意味ある?」 日刊スポーツ 2020/04/15

介護関連のサイトや各SNSでは、すでに介護現場から困惑や怒りの声が寄せられている。
予防効果の低さを耐久性という言葉ですり替え、黄ばみ黒ずみが著しい明かに売れ残りと思われる長期在庫マスクを箱で送りつけ、ケアマネさんを利用して「配布徹底」をさせようとまでしています。ただでさえ不評なマスクなのに、この変色したマスクを誰が受け取ってくれるでしょうか。

事業所に届いたマスクをケアマネが配るとか市が言ってます。そうすれば、2ヶ所以上サービスを利用してても、一人に1枚になるとか。でも、ケアマネの負担とリスクは考えられてません。ケアマネが配れば高齢者も安心できると言ってます。この緊急事態宣言が出てる世の中で、1件1件訪問しろって、何を考えてるのかわかりません。
昨日、届きました。紐が伸びないタイプ。ちょっと、これはね。自分が持っているマスクを使います。
特養老人ホームです。ガーゼマスク届きました。サージカルマスクの在庫は僅かで、それは看護優先。介護スタッフは届いたガーゼマスク着用と決定されました。
(略)個人的に、介護にガーゼマスクはない、と思ってます。自身も無症状感染者かもしれないと考えると、感染させたら…重篤化しやすい方ばかりの中、やはり怖くて使えません。
事務所から連絡が来てマスク取りに行きました。(略)各事務所から頂いたのですが、個体差あり、大きすぎたり、小さかったり、トンガリ過ぎてたりです。丁度よいのを参考に型紙をおこして自分で作ろうと思っています。
これは「和牛一族」の眼帯では?

一人がネットに届いたマスクの画像を上げると、他の地域、施設、介護事業所のスタッフらから「うちに届いたのとは違う。うちに届いたのは~~だった」といったコメントがつく。
それで、届いたアベノマスクにはいくつものタイプがあるということも分かってきた。
  • 布地に明らかな黄ばみ、黒ずみがあって、倉庫で長期在庫として眠っていたと思われる古いマスク
  • 最初に首相が自らしていた小さなガーゼマスク(通称「給食係マスク」)
  • 耳掛け部分がゴムではなく布地で、伸びないために顔に装着すらできないもの
  • 一部のドラッグストアなどで市販もされていた少し大きめのガーゼマスク(いちばんマシなタイプ?)

最初に配ったのは不良在庫一掃処分段階で、それがはけると、次はあちこちの下請け工場やアジアの低賃金労働現場に低料金で発注して作らせているんじゃないかと疑いたくなる。
そんなアベノマスクは1枚260円、送料などを含めて配布の総経費は466億円だと報じられている。
某雑誌のアンケートでは76%が「届いても使わない」と答えたとか。
いくらなんでも「あれはやめます」となるかと思っていたら、本当に送りつけ始めていた。それだけでも気が滅入るのだが、さらに怖ろしいことが起きていた。

ケアマネを無料のマスク配達員にしていた

冒頭の写真は、ある居宅ケアマネ事務所に厚労省から送られてきたアベノマスクである。
これを在宅介護サービス利用者の家に1枚ずつ配れ、と厚労省が言っているという。
いくらなんでも……と、にわかには信じられない話だったのでネットで裏を取ろうとしたら、すぐに出てきた。
事 務 連 絡 令和2年3月19日
各都道府県衛生主管部(局)
民生主管部(局) 御中
厚生労働省医政局経済課(マスク等物資対策班)
老 健 局 総 務 課 認 知 症 施 策 推 進 室
老健局 高齢者支援 課
老健局 振 興 課
老健局 老 人 保 健 課

(以下抜粋)

今般、高齢者施設・事業所における具体的な配布方法について下記のとおりお示ししますので、各都道府県におかれましては御了知いただくとともに、管内市町村や貴部局所管の関連団体、関連施設にご周知いただけるようよろしくお願いいたします。

2.利用者分の配布方法
○ 利用者分については、配布事務連絡の別紙に掲げる高齢者施設・事業所の利用者が配布対象になります。各施設・事業所の具体的な配布枚数は、介護報酬データにより得られた情報等に基づき設定しています。
○ 配布先については、
・施設・居住系サービス、高齢者向け住まい等については、各施設等に配布、
訪問系サービス及び通所系サービスについては、居宅介護支援事業所に配布しておりますので、当該事業所より各利用者に配布をお願いいたします
※ 小規模多機能型居宅介護、看護小規模多機能型居宅介護、介護予防小規模多機能型居宅介護は各サービス事業所に配布しています。
※ 居宅療養管理指導については、当該サービスのみを利用する者分を、サービス事業所に配布していますので、該当する利用者へ配布をお願いいたします。
原本PDFは⇒こちら

伝達文書3

この通達が厚労省から出されたのが3月19日なので、すでに各地のケアマネ事務所にはアベノマスクが届き始めている。

新型コロナウイルスの流行を踏まえた介護現場への布製マスクの配布について、厚生労働省は19日、具体的な方法をアナウンスする通知の続報を出した。 訪問系サービスと通所系サービスの利用者の分を、すべて居宅介護支援事業所に送ると説明。「各利用者への配布をお願いします」と協力を求めた。居宅のケアマネジャーらには相応の負担がかかることになる。
《 介護保険最新情報Vol.789 》介護現場へのマスク配布、在宅利用者の分はケアマネ事業所に発送 厚労省



送られてきたマスク


知人のケアマネさんは、同封されていた「洗濯方法」を説明した部分を、ケアマネ事務所で利用者の人数分コピーして、そのコピーと1枚ずつにバラしたアベノマスクをビニール袋に小分けして、泣きながら利用者の家、一軒一軒回って配ったそうだ。
「当地でも連日感染者が出ている状況なので、玄関先での訪問にしているのに。しかも、今月は早めにモニタリング訪問(居宅ケアマネは最低月1回の利用者宅の訪問観察が義務づけられている)を終えようと、すでにご利用者様の半分以上回ってしまった後なのに。各戸に2枚の分とは別なので、なぜうちは1枚なの?と訊いてくる人もいるし……」

こんなことが現実に起きていると知って、COVID-19そのものよりも深く底知れぬ恐怖を感じた。
お国が愛国婦人会に命じて各戸に竹槍を配らせるようなものではないか。

介護現場で働く人たちは、ただでさえ大変な苦労をしている。数々の理不尽に耐え、現場現場で最大限の創意工夫、自助努力をしながら命と接している。
私は父や義母の介護を通じて、そうした人たちの素晴らしい資質、人間性を知っている。本当に頭が下がるばかりだ。
そうしたケアマネや介護施設スタッフにとって、厚労省は大本営のようなものである。命令が下れば逆らうのは難しい。その上下関係の構図の中で、トップがいちばん愚かで、現場に混乱と理不尽な困難を押しつけてくる。この構図がどんどん戦前、戦中の社会に似てきているのが怖ろしい。
太平洋戦争では、実際に敵の弾に当たって死んだ兵士よりも、馬鹿な命令を受けて、餓死、病死した兵士のほうが多かった。一般市民はメディアの嘘情報を信じたまま空襲や原爆の犠牲になった。

ウイルスそのものよりも怖いものが、今、急速に蔓延しつつある。国民がそのことに気づき、一刻も早くその原因を取り除いていく努力をしないと、本当に手遅れになる。


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「生活」をしていない政治家が人々の生活を破壊する2020/04/10 21:46

日本国産の「同調圧力鍋」は強固に作られている?
4月7日、政府は「緊急事態宣言」なるものを、まるで厳かなセレモニーのように宣言したが、営業自粛要請の業種を巡って政府と東京都が意見が合わず情報が二転三転したり、「なぜ愛知県は入れてもらえないのか?」なんていうコントみたいな事態が起きている。

営業自粛要請を出すのであれば、まずは「これだけの支援金をすぐに出すので、お願いだから閉めてね」という形で「要請」をしなければ無理だろう。
営業自粛要請の対象にしても、政府は当初「営業していい(営業してほしい)業種」をリストアップしたのに対して、東京都は「閉めてほしい業種」をリストアップして発表した。
これは政府の方式のほうが正しいと思える。
生活インフラや、この非常事態において特に必要とされるであろう業種には「大変でしょうが、感染防止対策を徹底した上でなんとか営業を続けてください」とお願いし、それ以外には「すぐに援助金をこれだけ出すので、大変でしょうが、店を閉めてください」としないと、伝わらないし、効果も薄い。

しかし、その「自粛対象業種」の選び方がひどい。
政府は当初、パチンコ店や理美容業などは自粛対象から外すとしていたが、東京都の案ではそれらに加えてホームセンターや百貨店も自粛対象に入っていた。
スーパーは生活に欠かせないがホームセンターは不要不急の業種だという考え方がまったく理解できない。

例えば、自宅にこもった上で感染疑いのある人をなるべく隔離するために壁を作るとか、入手できなくなったフェイスシールド的なものを自作するとか(あれは透明なアクリル板があれば簡単に作れる)、手に入らなくなった様々な生活物資を自力でなんとかするとか、そういう自助努力が困難になる。
医療施設や介護施設で給湯器やエアコンが壊れたらすぐに修理を依頼しないと、場合によっては命に関わるが、そうした現場に駆けつける職人さんたちにとっても、ホームセンターは命綱だ。特定の規格のボルト一本がないために修理できないこともある。
ウイルス感染を防ぐために絶対に必要な石鹸や洗剤も、公共交通機関を使わないための自転車やその修理パーツなども、ホームセンターで売っている。
都内のホームセンターを閉めたら、みんな近郊の他県にまで脚を伸ばす。本来必要のない移動が増えて、感染拡大につながる。

さすがにホームセンターを閉めろというのは間違っていると気づいたのか、東京都が最終的にまとめた自粛要請業種リストからは外れ、「社会生活を維持する上で必要な施設」に組み入れられたが、「卸売市場、食料品売り場、百貨店・ホームセンター・スーパーマーケットなどの生活必需品売り場」というのが気になる。
ホームセンターやスーパーなども、「生活必需品売り場」以外は閉めろと言っているのか? 「生活必需品」か否かをどう判断するのか? 同じフロアで、ここからここまでの商品棚は売ってもいいけれど、ここからここまではダメとロープを張れとでもいうのだろうか?

また、ネットカフェが「遊興施設」として休業要請対象になったが、ネットカフェが家を持たない人たちの「住居」であり、日雇い労働者などの「宿泊施設」になっているということが分かっていないのだろうか。夜間の保線作業をする人や、配送センターの早朝シフトに入る人が、現場のそばにあるネットカフェで寝泊まりしていることもある。

ホームセンターを「不要不急」と考えてしまう人たちは、自分では何もしない人たちだ。創意工夫とか自助努力とかって四文字熟語と無縁な人たち。そういう頭も技術も経験もない人たち。

↑世界中で話題になっているこんなことも、考えつかないというより、考えようともしないのだよなあ。

多くの政治家は、おそらくホームセンターで何を売っているのかも分かっていない。普段、自分でスーパーやホームセンターで買い物をしたことがないのだろう。
ネットカフェをホテルと同列に考えられない人たちは、都市の実態、社会の現実を理解していない。

「生活」をしていない人たちが乏しい想像力で政策を決めて、人々の生活をかき乱し、脅かす。
そもそも、なんで今頃ばたついているのか。どんな形で人々にメッセージを発するか、とっくに内容を検討して、まとめていなければならなかったはずだ。

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バカにつけるマスク2020/04/04 16:18

エイプリルフールではなかった……
COVID-19への対策がひどいというネタで大喜利状態になっている。
⇒これとか

国会議員の歳費を和牛商品券にすればいい、というのは、確かに「バカにつける薬」としては画期的処方かもしれない。
「もう年金がどんぐりになっても驚かない」はいちばんウケたが、笑っていられないのよね、ほんとは。

……とそんな中、トドメともいえる冗談が我が国の首相から飛び出した。

いやもう、ほんとにここまでくると世界への恥さらしどころの騒ぎではない。悪夢か幻影か……。

ミルクボーイ内海「ありがとうございます~。和牛券はいただけませんでしたが、今、布マスク2枚をいただきました~。こんなん、なんぼあってもいいですからね~」
千鳥ノブ「布マスク2枚!!? もう、やめぃ!!」
出川哲朗「おまえは、・か!!」

……とまあ、本来なら芸人たちにつっこんでほしいが、そういう気概を持った芸人も今はいない。
代わりにネットがマンモス大喜利大会になっている

そもそも1枚260円、総費用466億円も出すような代物じゃない。

↑これで事足りるし。
いやもう、ほんと、笑っている場合じゃない。この「バカにつけるマスク」問題の怖ろしさは、馬鹿さ加減そのものよりも、なぜこんなことになったのか、という点だ。

首相が一人でこれを思いつき、自分でつけてまでわざわざ発表したとは到底考えられない。当然、それを進言し、実行させた誰かが官邸内にいる
案の定、翌日には朝日新聞がこう報じた。
実はこの構想は1カ月以上前から首相官邸内で浮上していた。「全国民に布マスクを配れば、不安はパッと消えますから」。首相にそう発案したのは、経済官庁出身の官邸官僚だった。(布マスクで「不安パッと消えます」 官僚案に乗って炎上 朝日新聞 4月2日

ああ、またあの男か……と、誰もが思った。モリカケ桜・ニューオータニシンジケート……と来て、今度はアベノマスクか……と。

それにしても、なぜ「布」マスクなのか?
「サージカルマスクは医療現場や高齢者施設などに優先的に配る必要があるため、一般市民にはあまり効果のない(医療現場などでは使えない)布マスクを配って買い占めを鈍らせるため」という超好意的な解釈も出ていたが、そんなわけないだろうが。
そもそもこんなマスク、今どき作っているところがあるのか? と思って調べたら、これらしい。
興和株式会社(本社:愛知県名古屋市、社長:三輪芳弘)は、国からの要請のもと、広く海外に展開している繊維事業の経験を活かし、国内と海外の生産協力工場を活用した「ガーゼマスク」の取り扱いを推進してまいります。3月には1500万枚規模、4月には5000万枚規模の生産を目指し、日本国内に供給してまいります。
PRESS RELEASE 2020年3月5日 興和株式会社 より)

で、この興和の社長は3月26日に総理大臣官邸4階大会議室で行われた「第6回新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング」にゲストとして招かれている。
政府は26日夜、追加経済対策の策定で6回目のヒアリングを開催。出席した安倍晋三首相は冒頭、景気回復に向けて「強大な経済・財政政策を講じていかなければならない」と述べた。
マスクを増産している医薬品メーカー興和(名古屋市)の三輪芳弘社長は終了後、マスク不足について「5月か6月くらいまでには何とか(生産が)追い付いてくる」との見通しを示した。
時事ドットコム 2020年3月26日

三輪社長の名前を目にするのは、2年前の一般薬連内紛騒動以来か。
その後どうなったのだろうと思ったら、⇒こうなっていた

で、閑話休題。「アベノマスク」の配布方法は、日本郵便が地域ごと、すべての郵便受けに投入していくらしい。
その日本郵便の経営をおさらいしておくと……、

  • 2015年11月 日本郵政グループ3社の株式が東京証券取引所に上場される。それまで100%の株を持っていた政府は日本郵政株の11.0%を市場に放出。同時に、日本郵政は同時上場した子会社のゆうちょ銀行とかんぽ生命の株式を売り出して、その売却代金約7300億円で政府保有の日本郵政株(8.51%)を自社株買いした。これにより国庫には1兆4000億円が入り、政府保有の日本郵政株は80.49%まで下がった。
  • 2017年9月、政府が保有している株式を放出。国内分が最大7億9207万株、海外分が最大1億9801万株で合計9億9009万株。発行済み株式数の22.0%に相当。売出人は財務大臣で、放出されたのは政府保有分。結果、政府の保有率は保有率は80.49%→57%まで下がった。
……というわけで、日本郵政グループの株は、政府によって都合よく「市場からの資金吸収システム」として機能してきた面があるようだ。しかし、売り出すたびに外資にじわじわと食われてもいるのだろう。そこにてこ入れするにはとても都合がいいタイミングというわけだろうか。

こういう施策が、自民党幹部議員ですら寝耳に水状態でいきなり発表される。つまり、首相官邸という密室で少人数の人間が密談して決めたことが、なんの審査、審議も経ずにいきなりメディアを通じて発表され、実行されてしまうのだ。これぞ危険極まりない「密」ではないか。
↑アベノマスクの「怖さ」はまさにここにある。
モリカケや桜問題を解決できないままズルズルと来たことが、こういう怖ろしい事態につながっているということを、市民はこの際、しっかりと認識すべきだ。

『サピエンス全史』の著者 ユヴァル・ノア・ハラリ氏からのCOVID-19に関するメッセージを、今一度しっかり心に刻もう。
指示順守と協力を達成するには信頼が必要だ。人々の科学への信頼、行政への信頼、そしてメディアへの信頼が必要だ。この数年、無責任な政治家たちが意図的に科学や様々な行政、メディアへの信頼を損ねてきた。今、まさにこの無責任な政治家たちが、市民が正しい行動を取れるとは思えないから国を守るには必要だとして独裁主義的な道へ堂々と進もうとするかもしれない。

何についても責任を取ることも、過ちを認めることも決してない一方で、手柄はすべて自分のものにして、問題が起きれば誰か他人のせいにする指導者に従う人はいないだろう。


そんな指導者に従っているつもりはない、と言うかもしれないが、法治国家をここまで破壊した政権をずっと放置してきたことは、歴史的事実としてずっと残る。

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深刻すぎる「和泉・大坪問題」2020/02/29 01:44

岡田晴恵教授の「告発」

今日(2月28日)の「羽鳥慎一モーニングショー」で、白鴎大学の岡田晴恵教授(元・厚生労働省国立感染症研究所ウイルス第三部研究員)が悲壮な表情で重大発言をした。
この発言の前に、いつも適確な指摘をする玉川徹氏が、PCR検査が保険適用になればすべての医療機関から民間の検査施設に直接検体を送れるような、ちょっと勘違いな解説を延々としていたので、まずそこを指摘しておきたい。
PCR検査が保険適用になるだけでは事態は全然解決しない。保険適用になっても、検査の依頼が保健所を通してという馬鹿げたシステムのままだったら、入り口が閉じられていることは変わらず、検査数は増えないまま、今は国が負担している検査費用の一部を患者が自分で負担するだけのことになってしまう。
司会の羽鳥氏もそのことを分かっていて、指摘しようとするのだが、玉川氏の熱弁が終わらず、その問題が視聴者に伝わらないままだった。
その間、岡田教授はずっと悲壮な表情をしていた。これから言おうとすることを、本当に言っても大丈夫かどうか、ずっと悩んでいたのだろう。
岡田教授は玉川氏の熱弁が一区切りしたのを見計らい、どこか怯えたような口調でこう切りだした。
私は、あの、プライベートなことはあまり言いたくないんですけど……中枢にある政治家の方からも「こういう説明を受けたんだけど、解釈、これでほんとにいい?」という電話がかかってくるんですけど……まあ、複数の先生方、正直言いまして、クリニックから直接かってことについては、ちょっと待ってくれって言われているんです。だからそれ(PCR検査を他の検査のようにクリニックから直接民間検査会社に出せるかどうかということ)はまだ分からない。
↑これは、玉川氏がその問題にまだ気がついていないことを指摘した「前置き」部分。
注意したいのはこの「先生方」というのは中枢にある政治家(自民党厚労族議員?)の「せんせい」という意味。それも一人ではなく複数だという。
以下のことは、この「先生方」から直接聞いた話として吐露された。
要約するとこうなる。
  • 私は今まで、検査させないのは東京五輪などの巨額な経済事情絡みで、「汚染国」のイメージをつけたくない。そのためには感染者「数」を増やしたくないからなのかと思っていた。
  • しかし、思いきって(自分に意見を求めてきた政治家に)そうぶつけてみると、「ハハハ」と笑いながら「そんな、数をごまかすほど肝が据わった官僚は今どきいません」と。(そうではなく)これは「テリトリー争い」なんだ、と。
  • 要するにこの(PCR検査の)データはすごく貴重で、感染研がそのデータを独占したいと言っている感染研のOBがいる……と。そこらへんがネックだった、と。
  • 各地の衛生研から集まってくるデータは全部感染研で掌握する(しかし、民間に出してしまうと独占できなくなる……という意味)
  • それを聞いて私が思ったのは、そういうことはやめていただきたい、と。
  • 初動が遅れたのは感染検査データが取れなかったから。研究がどうの論文がどうのではなく、人命を救うという感染研の元々の使命に立ち戻ってほしい。

↑岡田教授の、ある意味命がけのこの「告発」を聞いて、スタジオ内はしばし静まりかえった。

要するに、国立感染研究所と政府を結ぶルートに、検査データを民間機関に出したくない、独占したいと強くごり押しする人物(複数)がいるから、ここまでひどいことになったのだ、というわけだ。
しかもこの期に及んで、その勢力はCOVID-19のPCR検査をするためには保健所~自治体の保健衛生部を通させようとしている、と。
保健所や自治体を通さなければ検査に出せないのだとすれば、入り口は固く締まったままなので、民間検査会社を入れようが保険適用にしようが検査数は増えないし、検査のタイミングはどんどん遅れてしまう。
そんな馬鹿なことがありえるのか? と、常人なら誰もが思うわけだが、実際、それと同じことを上昌広医師も前々から言っている。
私は、政府機能を強化することで、感染症対策が上手くいくようになるというのは、何の根拠もない仮説に過ぎないと考えている。むしろ、現状を把握してない政治家・官僚、さらに有識者の権限が強化されることで、被害は増大すると予想している。

厚労省はクリニックでも診断できる簡易キットの開発にご執心で、感染研に予算措置した。確かに簡易検査はあれば便利だが、開発されるまで待つなど、悠長なことは言っていられない。
(「遺伝子検査行う体制作り急げ」2020/02/25)
私は厚労省と国立感染症研究所の内輪の都合が優先されていると考えている。
今回の新型コロナウイルスの流行では、検査だけでなく、治療薬やワクチンの開発も国立感染症研究所が担当するそうだ。巨額の税金が研究開発費として投じられるだろう。
長期的な視野に立つ基礎研究ならともかく、早急な臨床応用が求められる創薬や検査の開発は、メガファーマや検査会社の仕事だ。「研究所」では彼らと競争できない。なぜ、安倍政権は、民間に競争させず、国立の研究機関に独占的に業務を委託したか、「国民の命より、官僚の都合を優先した」と言われても仕方ないのではないか。
私は、新型コロナウイルス対策の迷走の責任は厚生労働省にあると考えている。多くの官僚は真面目に業務に励んでいる。ただ、その方向性が間違っており、利権も絡む
「なぜ厚労省は大がかりなウイルス検査をこれほどまでに拒むのか」文春オンライン 2020/02/14)

ここまで見てきても、やはり我々一般人には理解を超えた非常識、不条理に思える。そんなことがあっていいのか、と。
しかし、これを裏付けるような話は以前からいろいろ漏れてきている。
27日の衆院予算委員会で、立憲民主党の川内博史議員の質問で驚きの事実が発覚。25日に厚労省の研究機関「国立感染症研究所」から北海道庁に派遣された3人の専門家が「検査をさせないようにしている疑念がある」と指摘したのだ。
道の対策本部に派遣された3人は、政府が策定した基本方針に記載のある〈入院を要する肺炎患者の治療に必要な確定診断のためのPCR検査〉の実施を必要以上に強調。暗に、「軽症の患者は検査するな」との意向をにおわせ、道職員や保健所職員の間で「検査し過ぎてはいけないのか……」という空気が生まれているという。川内議員は道議会議員から聴取した内容だと明かした。
「新型コロナ感染者急増の北海道で厚労省“検査妨害”発覚 政権に忖度か」日刊ゲンダイDigital 2020/02/28

想像を絶するほど深刻だった「大坪問題」

国立感染研と厚労省、厚労省と政府……ここにどんな利権問題が生じるのか、という疑問が当然浮かんでくるが、これもいろいろな記事が出てくる。
大坪氏が昨年7月に異例のスピード出世で厚労省審議官に抜擢されたのは和泉氏が強引に大坪氏を推した結果だといわれているが、不倫デートを楽しんだ京都大学iPS細胞研究所への出張では、和泉氏と大坪氏の2人がノーベル賞受賞者の山中伸弥所長に対して、来年から山中所長の取り組むプロジェクトに「国費は出さない」と言い放ち、大坪氏が「iPS細胞への補助金なんて、私の一存でどうにでもなる」と恫喝していたことがわかっている。この予算カットは、文科省が反対していたものを和泉氏が後ろ盾となるかたちで大坪氏が強硬に主張したものだ。

「健康・医療戦略室」は室長が和泉首相補佐官、厚労省の大坪氏が次長を兼任する、まさに不倫関係の舞台となってきた部署だが、もともとは、安倍政権が成長戦略のひとつとして医療関連産業の育成を掲げ、2013年に内閣官房に設置したもの。ただし、厚労省、文科省、経産省が支援する医学研究予算を集約させて効率的に配分するためには専門性と効率性が必要だとし、「健康・医療戦略の司令塔」として独立行政法人日本医療研究開発機構(AMED)を発足させた。 今年1月9日、そのAMEDで理事長や専門委員、さらに大坪氏らも参加するかたちで、第10回AMED審議会が開かれたのだが、ここで委員や理事長から飛び出したのが、大坪氏の独断専行への批判だった。
(「“安倍側近の不倫コンビ”和泉補佐官・大坪審議官の新疑惑を政府機関理事長が告発! 感染症研究などの予算80億円を自分の担当事業に投入」 Litera 2020/02/13)

この記事では、2020/01/09に独立行政法人日本医療研究開発機構(AMED)の審議会で噴出したAMEDの委員や理事長の「告発」が、議事録から抜き出す形で紹介されている。
まとめるとこんな感じだ。
瀧澤美奈子・専門委員(科学ジャーナリスト):「(「週刊文春」が報道したiPSのストック事業にストップをかけた件に言及し)こんな手続が許されているなら、今日のこのような会議も全く無意味ではないかと思います」
官邸主導の御旗を振りかざして予算や人事を握って一部の人間が行政をゆがめているのではないかという疑いが国民の間で今、広がっております。その説明責任をしっかり果たしていただかないと、この会議自体も全く無駄なものになると思います」

末松誠理事長:「昨年の7月以降、実質的にはそれより前から始まっていたかもしれませんけれども、大坪氏が次長になられてから、我々のオートノミー(自立性)は完全に消失しております
「事はiPS細胞ストック事業の問題だけではございません。健康・医療戦略室のイニシアチブのおかげでAMED発足してから最初の3年間あるいは3年半は非常に順調な運営ができたというふうに自分自身でも思いがございますけれども、各省の予算のマネジメントに関する相談等は全部健康・医療戦略室を通してやるようにということと、担当大臣とか政治家の方々とコンタクトをとるなということを大坪次長から言われております。その証拠も残っております」

ここで末松理事長は、それまで使われることのなかった「トップダウン型経費」に昨年末初めて88億4000万円が配分された問題を取り上げようとして、AMED審議会会長の田辺国昭氏に遮られてしまった。
この「トップダウン型経費」のほとんどにあたる約80億円が厚労省の「全ゲノム解析実行計画」に使われることが、大坪氏の独断で決まったことへの抗議だったという。
「全ゲノム解析実行計画」というのは、厚労省ががんと難病の患者を対象に、すべての遺伝情報(ゲノム)を網羅的に調べ、創薬などに活かそうというもの。医療産業に国際競争力をつけるという意味では重要だが、感染症対応のような緊急性や画期的な成果の発見があるわけではなく、「トップダウン型経費」の趣旨とはまったく違う。
にもかかわらず、こんな不可解な予算のつぎ込み方がされたのは、ほかでもない、この「全ゲノム解析実行計画」の厚労省での取りまとめ役が大坪氏だったからだ。つまり、大坪氏は自分の省庁での担当のプロジェクトに金を優先的につぎ込むため、本来の使途を歪めるかたちで予算を充当しようとしていた。末松理事長はそのことを告発しようとしたのである。
同記事より)

他にもある。
問題とされているのは、和泉首相補佐官が国立研究開発法人日本医療研究開発機構(AMED)の理事、執行役および経営企画部長を自らの執務室に呼びつけた上、自分の言うことと、内閣官房健康・医療戦略室の大坪次長の言うことを聞いてうまくやらなければ、人事を動かす、具体的には、「所管府省からの出向ポストを他の府省に振り替えるぞ」といった類いの「恫喝(どうかつ)」をしたというもの。
和泉首相補佐官が問題なのは「不倫」よりも国家公務員幹部人事への専横ぶりだ DIAMOND Online 2020/02/25)
で、この和泉首相補佐官と大坪審議官の関係はすでに有名になったが、大坪審議官はあろうことか今回大問題となったダイヤモンドプリンセス号対応問題では現場で勝手な行動を繰り返して現場のDMATメンバーらから総スカンを食っていたことも分かっている。
(乗船した)医師は、大坪氏が船内で起こした2つの問題行動についてこう証言する。
「作業場であるサボイ・ダイニングは左右に分けられており、右側は食事可能エリア。一方、左側の作業エリアでは、感染対策で飲食ができないルールになっていました。しかし大坪さんは、作業エリアにもスイーツやコーヒーを持ち込み、『美味しい』と言いながら堂々と飲み食いしていたのです。あるときその様子を見咎められ、全体ミーティングで『作業エリアで喫食しないように』と改めて注意喚起がありました」

「基本的に船内では常にマスクをしていなければなりません。外しても良いのは、着席して食事を摂るときくらいです。しかし大坪さんは、マスクをしていない姿がしょっちゅう目撃されています。そのため、こちらも全体ミーティングで看護師から『マスクをしていない人がいる。着用を徹底するように』と注意がありました」
マスクをしていない姿が……大坪寛子審議官が「ダイヤモンド・プリンセス号」で問題行動 文春オンライン 2020/02/26)
大坪氏の経歴を見ると、
  • 1992年 - 東京慈恵会医科大学医学部卒業
  • 2007年 - 国立感染症研究所血液・安全性研究部研究員
  • 2008年 - 厚生労働省入省
  • 2008年 - 厚生労働省医薬食品局血液対策課配属
  • 2009年 - 厚生労働省健康局結核感染症課配属
  • 2010年 - 厚生労働省医薬食品局血液対策課配属
  • 2011年 - 環境省総合環境政策局企画課特殊疾病対策室配属
  • 2011年 - 環境省総合環境政策局企画課石綿健康被害対策室配属
  • 2012年 - 環境省総合環境政策局企画課特殊疾病対策室室長
  • 2013年 - 厚生労働省医政局総務課医療安全推進室室長
  • 2015年 - 内閣官房健康・医療戦略室参事官
  • 2019年 - 厚生労働省大臣官房審議官危機管理、科学技術・イノベーション、国際調整、がん対策、国立高度専門医療研究センター担当)
……となっている(Wikiより)
「大坪氏は『大臣や政治家と勝手にコンタクトを取るな』とか『すべて健康・医療戦略室を通すように』などともAMEDに通告したそうで、さすがに自民党内でも『やり過ぎだ』と問題になった。和泉補佐官と大坪氏、どちらの意向なのかはハッキリしませんが、その独断専行ぶりは、関係者の間で“大坪問題”と呼ばれています」(自民党厚労族議員

野党は和泉補佐官の国会出席を要求し続けているが、与党は官邸に忖度して却下。
研究者は“大坪問題”と…新型肺炎にも影落とす独断専行ぶり 日刊ゲンダイDigital 2020/02/13)

和泉補佐官の名前がスキャンダラスな形で表に出てきたのは今回が初めてではない。3年前のことを忘れてはいけない。
和泉補佐官が最初に前川氏に対し「文科省の対応を早くしてほしい」と求めたほぼ同じタイミングの昨年9月6~7日、加計学園の加計孝太郎理事長が松野博一文科相、山本幸三行革担当相と会っている。文科省の現場は陰に陽に「加計学園獣医学部新設」の圧力を感じていたに違いない

和泉補佐官は9月15日に安倍首相と面会している。これは国家戦略特区WGで「獣医学部の新設」に関するヒアリングが行われ、冒頭、事務局の藤原豊審議官が〈総理からも(略)提案課題について検討を深めようというお話もいただいております〉との発言が飛び出した日の前日だ。
9月26日には内閣府審議官と文科省担当課長の打ち合わせが行われ、内閣府の参加者が〈「できない」という選択肢はなく〉〈官邸の最高レベルが言っている〉と発言したメモが残っている。翌27日には官邸で前川氏と松野文科相が安倍首相と面会しているのだが、おそらく前川氏はあらためて「難しい」と説明したのだろう。そこで、和泉補佐官は再び前川氏を呼び出したという流れだ。
(略)
和泉補佐官は国家戦略特区諮問会議が開かれる2日前の11月7日にも安倍首相と面会。これは、「文科省と話はついた」との報告に出向いたとみられる。つまり、前川氏に対する2度目の“恫喝”で加計学園の獣医学部設置は決まったとみていい。
安倍首相の“影武者” 和泉補佐官が加計学園をねじ込んだ日 日刊ゲンダイDigital 2017/06/01)


結論(もちろん推論だが)は書かない。
しかしまあ、これだけ並べていけば、多くの人は「……そういうことなのか……」と想像はつくだろう。
普通の国だったら、モリカケのときにとっくに吹っ飛んでいたはずの政権、権力機構が、その後も公文書改竄や廃棄という国家を根底から崩壊させるような犯罪、子供でも分かるような嘘を続けてきた。
それを許してきた国民……。

今日読んだこのコラムの結びは、まさに! と思わされた。
少なくとも現状の日本では「民主主義」が機能しているのだから、政治家を罵倒しても、その政治家を選んだのは自分たちであって、意味がない。
もし権力の有効なコントロールを私たちが実現できなければ、「専制と民主のどちらが優れた仕組みなのか」という議論に対して、有力な判断材料を提供することになるだろう。「社会の信頼感や人々の善意という前提の上に、まがりなりにも繁栄してきた『日本という仕組み』」が、果たして生き永らえることができるのか、今回、その答えが出てしまうことになるかもしれない。
そうだとするならば、われわれ日本人としては、国家の強権なしでも個人や民間の自律性によって悲惨な事態の発生を抑え込み、世界に見せてやるという気概を持つべきだ。これは民主国家日本国の興廃を賭した闘いになる。
「スジ」の日本、「量」の中国 田中 信彦 日経ビジネス 2020/02/28)

↑この人はなんとかきれいに結んでいるが、原発爆発のときから何も変わっていないどころか、どんどん劣化していることを見れば、今さら無理だろうと思う。
結局のところ、モリカケのときにいい加減に放置して「法治国家崩壊」を止められなかったことが致命傷になっている。国家の秩序と倫理観を破壊するやっかいな因子を根絶し、増殖を止められなかったために、社会秩序の崩壊パンデミックが起こり、ここまで国が壊れてしまったといえるのだろう。


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自然災害と「国防」2019/10/20 15:38

箱根町が近づけないほどの大雨で危機に瀕しているときにこれ……
2019年10月、日本列島を襲った台風19号は、接近するずっと前から気象庁が異例の警戒を呼びかけていた。
「今まで経験したことのないような被害に見舞われる可能性がある。命を守る行動を!」というその警告にもかかわらず、民放テレビは土曜日定番のグルメ番組などを流し続けていた。
箱根町が観測史上最大の降雨量を記録し、大雨特別警報が出されている12日午後になっても、よりによってTBSなどは「箱根のお持ち帰りグルメ50品を全部食べきるのにどれだけかかるか」などとやっていた。

被災地以外の国民が被害の大きさ、深刻さを知るようになるのは台風が去ってしばらくしてからだった。テレビに悲惨な映像が次々に映し出される。
被害が出てから「大変です」「ひどいことになってます」と騒ぎ立てても遅い。
民放テレビ局の発想(というか本音)は「視聴者=災害現場ギャラリー」なのだろう。

問題は国を筆頭とした行政である。
颱風も地震も大雨も必ず襲ってくる。それを人間の手で防ぐことはできない。地球温暖化が原因だのなんだのと言ったところで解決しない。人間ができることは、「被害をいかに小さくするか」を考えることである。

警戒地区の中に放射性廃物ゴミを溜め込む


栃木県内でまっ先に「非常に危険」とされた荒川


今回の台風は風の被害より雨による河川氾濫が怖いことは事前に分かっていた。なので、NHKの防災アプリで河川の警戒レベル情報をずっとチェックしていたのだが、栃木県内でまっ先に赤く表示された(危険レベルに達した)のは塩谷町の中を流れる荒川だった↑。
塩谷町は環境省が「放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場の候補地」として指定して、今も地元の反対を押し切って計画を進めようとしている場所。しかもその候補地は水源地である。
その塩谷町の処分場候補地を見に行ったときの日記が⇒こちら(数ページある)
候補地は山の頂上に近い斜面で、進入路は狭く、このときは台風で壊れ、通行止めだった。
山に入っていく道も細くて折れ曲がっており、工事が始まるだけでも大型車が行き交い、大変危険なことになるだろう。

すでにこの時点で、塩谷町は赤く染められた危険区域のまっただ中↑


環境を破壊し、人々の命を危険にさらし、幸福を奪う環境省。進次郎よ、きみの仕事はそんなことではないだろう? この問題をセクシーに解決してくれるのか?

その後、またたくまにほとんどの河川が氾濫危険になってしまった↑

「再生可能エネルギー」で人が殺される


台風19号による河川氾濫被害は広範囲に及び、被害状況全貌は数日経っても摑みきれなかった。
栃木県では鹿沼市の粟野地区で、北から流れてくる思川(おもいがわ)と粟野川の合流地点を中心に、多くの家屋が水没した
この上流にあたる横根高原の斜面に、ミズナラを大規模伐採してメガソーラーを作るという馬鹿げた計画も、事業者はまだ引っ込めてはいない。
鹿沼市と日光市にまたがる100ヘクタールを超える大規模な計画だったが、鹿沼市が難色を示したために、範囲を変えて、今は日光市の部分を59ヘクタールに増やして建てると言っているらしい。

横根高原メガソーラー建設予定地(左上の青い○の場所)と、今回、浸水被害でひどいことになった鹿沼市粟野地区(右下の青い○の場所)との位置関係(⇒拡大
この高原を水源とした川は北側の足尾町にも流れ込んでいる。足尾は過去何度も洪水被害に見舞われている。
ただでさえこうなのに、上流側の木を伐ってメガソーラー? 正気とは思えない。保水作用は奪われ、表土は簡単に流れ、崩れて……もう、殺人行為ではないか。

さらには、那須御用邸のそばにも約37ヘクタールのメガソーラー建設計画があり、地元住民らが反対している
こういう問題が出るたびに、反対する側は揃って「自然エネルギーには賛成だが、場所を考えてほしい」的な主張をするが、「自然エネルギー」「再生可能エネルギー」と呼ばれている風力発電、太陽光発電の正体をしっかり勉強し直してほしい。「自然」だの「再生可能」だのといううたい文句で補助金、税金をかっさらい、建て逃げを図る企業によって、地下資源はむしろ枯渇を早める。もちろん、温暖化が防げるわけでもない。無駄が増えて、その分、一部の企業に金が集まるという構造は原発ビジネスと同じなのだ。
そういう基本的な認識ができず、資源物理学の基礎が分かっていない民主党政権時のトップが、自然エネルギー万歳の能天気な発想でFIT法を制定した罪は極めて重い。結果、現安倍政権と経産省の悪政を強力に後押しし、軌道修正をしにくくさせてしまった。

外国企業が狙う「建て逃げビジネス」

横根高原も那須御用邸脇も、事業者は外資系である。外国企業が日本の山を食い物にして儲けるという図式。
発電効率なんて考えていない。
関西電力と高浜町の原発マネー贈収賄事件が発覚したが、国から巨額の金が出る事業では必ずこうした図式ができあがる。
関西電力の傘下にあるシーテックの本社課長は、ウィンドパーク笠取(2000kw×40基)を建設する際、「風力発電は、発電では採算が合わないのではないか」と質問され、「その通りです。しかし、補助金をいただけますので、建設するのです」と堂々と答えている
儲かるか儲からないかが判断の基本にある企業と、税金の使い方に無神経かつ不正義な政治が結びつくと、必ずこうなる。
発電プラントを製造する企業、建設する企業は、施設を建てた段階で儲けが確定するので、その後の発電事業には極力関わろうとせず「建て逃げ」する。
昨今話題になっている水道事業の民営化問題も、最終的にはそうした図式になっていくことははっきりしている。
何が「再生可能エネルギー」だ。環境破壊、殺人事業以外のなにものでもないではないか。こういうのをこの国では「経済効果」というのか?

国民が危険な目に遭わないようにする、幸福な生活を破壊されないようにする、将来にわたって持続できる社会を維持できるようにするのが「国防」であり、国の使命のはずだ。
その際に最重視すべきは合理性と持続性である。
しかるに、環境省も経産省も、まったく逆のことをしている。


「東電強制起訴無罪判決」の歴史的意味2019/09/25 11:48

「東電強制起訴無罪判決」で、次の一節を思い浮かべた。
本来、国家とは国民の生命と財産を守るのが使命である。ところが国の指導者たちは生命と財産を次々とつぎ込んで、博打のような戦争を起こした。その結果、多くの無辜の命が失われた。しかし、そうした戦争の責任はいまに至っても曖昧なまま放置されている。
(保阪正康・著 『田中角栄と安倍晋三 昭和史で分かる「劣化ニッポン」の正体」序章より)

↑この「戦争」という部分を「原子力ムラ利権構造ビジネス」と置き換えてみれば、今回の構図と同じだと分かる。


首相が国会で「議会については、私は立法府の長であります」とのたまい、官庁は平気で公文書を破棄・偽造する。司法は常識を超えた判決を下す。
三権分立が機能しなくなった国家は、悲惨な崩壊寸前だと知ろう。
「東電強制起訴無罪判決」は、歴史的にはそういう意味を持っている。

嫌韓報道を続けるメディアの害毒2019/09/04 22:09

形は違っても、中身は同じ「アジ」ア……
酒の席で、初対面の男性からいきなり「私は日本は特別な国だと思っているんですよ」と切り出されて面食らったことがある。
その「特別」とはどういう意味なのだろうか? 神国日本とか、そっち系? それとも、世界でも類をみないほど水と森に恵まれ、四季が存在するというような意味? その意味によって対応はまるで変わってくるが、どうも前者のようだった。

日本の軍部が暴走して真珠湾攻撃をする直前の昭和15(1940)年、日本国中に「皇紀2600年」キャンペーンが張られ、一種浮かれた世相があった。
狛犬巡りをしていると、あちこちの神社で「皇紀2600年もの」の狛犬、燈籠、記念碑などに出くわす。
今放送中のNHK大河ドラマ『いだてん』でも、「皇紀2600年」に合わせてオリンピック招致に躍起になったことが描かれている。東京では万国博覧会の開催も予定されていたが、日中戦争の泥沼化によってすべて中止・延期された。

↓ ↓ ↓

皇紀2600年のポスター。11月14日までと15日以降ではガラッと趣旨が変わっている(Wikiより)


この「皇紀」というのは、初代天皇であるとされる神武天皇が即位した年(西暦だと紀元前660年にあたる)を元年とする「神武天皇即位紀元」と呼ばれるもので、明治政府が明治5(1872)年に制定した。
神武天皇の即位がBC660年だというのは、日本書紀の記述をもとにしたものだが、言うまでもなくこれは、歴史学的にも考古学的にも否定されている。

日本の古代史には謎が多いが、大和朝廷を築いたのは朝鮮半島から渡って来た渡来系の人々であり、それ以前に日本列島に暮らしていた人々は見た目も使用言語も生活習慣もバラバラな多民族だったことは概ね分かっている。
多民族がなんとなくうまく暮らしていた平和な土地に、鉄の武器や稲作農耕技術などを持った大陸系の人々が来て、原住民を武力制圧していった……というのが、ほぼ正しい日本の古代史だろう。ただ、明治以降、そうした「大陸民族による日本征服」という古代史は曖昧にされ、一方では征服者が書いた歴史書である日本書紀の記述は、いくら非現実的であろうとも、政府によって「常識」であるかのように固定されていった。
『日本書紀』『古事記』を「歴史資料」として鵜呑みにすることを批判した津田左右吉(早稲田大学教授 1873-1961)は、まさに皇紀2600年の昭和15年に、『古事記及び日本書紀の研究』『神代史の研究』『日本上代史研究』『上代日本の社会及思想』の4冊を発売禁止の処分にされ、早稲田大学教授も辞職させられ、版元社長の岩波茂雄とともに出版法違反で起訴された(津田事件)。

無知なのか? 同族嫌悪なのか?

「日本は特別な国」とか「神国日本」という一種の信仰は、古代史と近代史をきちんと学んでこなかった人たちの妄想なのか、それとも、それが分かっているからこその同じアジア人への同族嫌悪(そしてその裏返しである欧米白人社会へのコンプレックス)なのか……。
多分、その両方なのだろうと思う。
そう認識した上で、現在の日本のメディア(特にテレビのワイドショーなど)による嫌韓煽りともいえるような報道ぶりを見ると、まさに「大政翼賛会」を彷彿とさせる。

 8月15日の日本の敗戦の日を前後して、韓国のシュプレヒコールは、「NO JAPAN」から「NO ABE」に変わりました。
 私の周りの韓国人の友だちもそれに安堵しているようです。(略)
 それにしても、「NO JAPAN」から「NO ABE」に変わったこと。事の本質が変わった大切な事なのに、日本の報道はそこを特に取り上げない。本質には触らない、タブー視、忖度……日本に住む人々を欺くことになるのに印象操作は続きます。
韓国に「上から目線」のワイドショー、酷くない? 日本の「嫌韓」に対し、韓国は「嫌日」になっていません! 藏重優姫

RONZAに掲載されたこのコラムは、冷静さを訴えるものだが、本来、メディアはこうした事実こそをしっかり伝えていくべきだろう。

Googleで画像検索すると、↓こうした画像がどさっと出てくる。

当初はハングルで「NO 아베」と書いていたが、日本のメディアがこのプラカードを「反日デモ」などと報道するのを知って、「NO 安倍」と漢字表記するようになってきた。それでもメディアは「反安部政権」デモではなく「反日デモ」だと伝えるか、無視する。

このデモ行動の背景や意味を、冷静に分析し、伝えようとしている記事もある。
集会の正式名称は「安倍糾弾 第2次キャンドル文化祭」。主催は「安倍糾弾市民行動」という596の市民団体やNGO(非政府組織)による連合体だ。
(略)
いわば韓国市民団体の「オールスター」とも言える組織がデモを主催している訳だが、この布陣は、2016年10月末から2017年3月にかけて当時の朴槿恵(パク・クネ)大統領を弾劾に追い込んだ「キャンドルデモ」と同様だ。力の入った運動主体といえる。
中でも、この日特に存在感を発揮していたのが「自主派」と区分される政党・市民団体の旗だ。「民衆党」や「祖国統一汎民族連合(汎民連)」、「民主主義自主統一大学生代表者協議会(民大協)」など、民族主義を強く打ち出すNL(民族解放)系列の組織が勢揃いしていた。
韓国「安倍糾弾デモ」のメカニズム 徐台教 コリアン・ポリティクス編集長

さらに、 北朝鮮政府との無条件での対話路線を続ける文在寅政権と対立する韓国の第一野党である自由韓国党(保守派)は、一方では、
植民地時代に大日本帝国に積極的に協力することで権勢をふるい、1945年の解放後や48年の大韓民国建国後にもそれを維持し、さらに「日韓癒着」を重ねてきたいわゆる「親日派」と、日本の「再武装」を掲げる安倍政権の「戦前回帰イメージ」が重なり、強い不満となって表れているのだ。
つまり、「安倍政権=韓国保守派=南北宥和の敵」という論理だ。これは今回の「安倍糾弾デモ」をセッティングした、いわば主催者側の主張といえる。安倍政権を糾弾しつつ、韓国の保守派も攻撃するという二重の目的を持った集会ということだ。(同記事より)

……と、徐氏は分析する。

最初に引用した藏重さんの記事でもそのへんのことは報告されている。
 今年の終戦の日前後は、ソウルでいろんなイベントや集会に参加しましたが、日本をひとまとめにして「ダメ!」という演説の無かったことに救われました。
 ただ、与党と野党の攻防合戦、国民感情を政治家に有利なように誘導するような発言は見え見えでした。
 少し感じ取ったのは、政治家が自分の良いように過去の事実を引き出し演説することには、韓国の人ももう慣れているようで、政治家の発言は政治家の発言。歴史問題解決はしないといけないという点では人々の考えは一致しているが、その方法論では世論は割れている。
日韓境界人のつぶやき より)


このへんの複雑さは、日本で暮らしている日本人には容易には理解できない。しかし、少なくとも、今、韓国で起きている「反安部」デモや日本製品不買運動、日本への旅行取りやめなどの動きの背景が、単純な国粋主義的な感情からだけではないことは知っていないといけない。

徐氏の記事の中で紹介されている、(組織とは関係なく「NO 安倍デモ」に参加したという)二人の韓国人男性の声は、特に傾聴に値する。
「日本社会全体に反感を抱いているのではない。(自分の)海外生活の経験から見ても、世界で最も親しくなれるのは日本人。しかし、正直言って、安倍政権がなぜ続くのか分からない。この点では日本の市民に不満がある。安倍政権が早く退陣し健全な政権に変わってほしい」(49歳・男性)

「日本の安倍首相一族の政治的系譜に悪い印象を持っている」(52歳・男性)


日本では「安倍首相一族の政治的系譜」と言われても、ピンとこない人が多いのではないだろうか。
日本では幕末から昭和にかけての近代史を、事実に沿って正しく教えていないからだ。
まったく必要なかった戊辰戦争、「長州閥陸軍」のあまりに愚かで人命を軽視した暴走……などと書くと、今度は日本国内で西と東(薩長と奥羽越同盟)の無駄な対立を引き起こしそうだが、言いたいのは、あくまでも国、地域、人種といった線引きで対立軸を作るな、という極めて単純なことだ。
時の権力者の顔色をうかがい、不正義を「これが仕事」と認識して淡々と遂行していく「優秀な人たち」。不正義を行っても、その不正義が権力者の意向に沿ったものであれば、罪に問われないどころか、安泰な老後生活が保障される。そうした「官僚主義的無責任体制」と、それを許してしまう国民性こそが、この国の人々を大きな不幸に陥れてきた、という歴史を学びましょう、と言いたいのだ。

韓国では「お友達」を優遇した前大統領は弾劾訴追、逮捕された。少なくとも、国会や司法が独立して機能した。
一方、同じときにこの国ではどうだったのか……。

歴史に学べ! 答えはそこにある。
とにかく、この一言に尽きる。



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