COVID-19の状況は「二周目」に入っている2020/08/06 14:24

COVID-19を巡る情報や対策は、そろそろ一周して、新しい周回に入ってきたように思う。

そう感じていたところ、かなり腑に落ちる意見論文を読めた。
⇒こちら 「新型コロナの実態予測と今後に向けた提言」(高橋泰、武藤真祐、加藤雅之 社会保険旬報 2020.6.21)

PDFだし、長くて読む気が起きないという人のために、ものすごくザックリとまとめると……

●新型コロナはインフルエンザウイルスに比べて毒性が弱く、体内に入っても感染しない(自然免疫の段階で身体が打ち勝つ)ケースが多い。

●日本ではすでに30~45%の人が体内にSARS-CoV-2を取り込んだことがあると思われる。その後、感染はしなかった(細胞内にまで入り込まれなかった)ので抗体検査もマイナスに出る。

●東アジアの人たちは、何らかの要因で、この「ウイルスを取り込んでも感染しない」あるいは「自然免疫だけで打ち勝ったので無症状や軽い風邪症状くらいで済んで、その後、抗体も作られていない」割合が欧米人よりずっと多い。

●COVID-19で重症化する理由には、主に2つの説がある。

 1)今回のウイルスパンデミック以前にあったS型コロナウイルスの感染による抗体が、「抗体依存性免疫増強(ADE)」効果を引き起こし、ある時点で容態急変を起こす。
 2)SARS-CoV-2そのものの毒性によるものではなく、SARS-CoV-2に感染したプレボテラ細菌がサイトカインストームを引き起こす。

●そういうウイルスであるという前提でのシミュレーションを行うと、現状(欧米のような強力な対策をしなかった日本で極端に死者が少ないこと)が説明できる。

●もしインフルエンザ並みに強力なウイルス(暴露すると100%抗体が陽性反応を起こす)であれば、現時点で日本人のほとんど(1億人以上)はSARS-CoV-2を体内に入れていないということになってしまう。そうであれば、これからウイルス暴露が広がれば、今後500万人以上が重篤化し、300万人以上が死ぬ計算になってしまう。

●現状を見る限り、そうであるとは思えない。

●よって、一律に何かを禁止したりするのではなく、年代によってリスクが著しく違うことを考慮した対策が必要である。

●つまり、0~29歳は、学校の授業やスポーツなどは元に戻す。クラスター発生が確認されたら、インフルエンザ同様に学級閉鎖などの対応をする。

●30~59歳もリスクは低いので、普通に社会活動をして、感染が分かった場合は監察下での自宅療養。クラスター発生時は職場閉鎖などの対応。

●60~69歳は、現役世代であれば自宅勤務、リモートワークなどで、人との接触を減らすことを推奨。

●70歳以上の世代、特に80歳以上の高齢者の場合、新型コロナに暴露した場合の死亡リスクは、若年者の数百倍から数千倍になり、感染リスクが急速に高まる。よって新型コロナが流行しているときは、これまで行われてきた隔離的な環境を推奨する。 また普段から、コロナ感染予防を徹底しながら外出などを行うなどが求められる。

ここから先は、特に今後、政治・行政が取り組まなければならない重要な提言なので、ほぼ原文のまま拾うと……、
●患者動向を的確にモニタリングし、 また遺伝子解析を早急に行い、現在の新型コロナと同様のウイルス株の再来か、毒性や繁殖力が以前より強くなった「発症力」が高いウイルス株が現れたのか、あるいはより「重症化しやすい」ウイルス株なのかを早急に見極め、それぞれに応じた対策を行えるような体制を早急に整備する。

●現在と同程度のウイルスであると分かっている間は、軽度の患者の対処基準を現状より軽くする。例えば、肺炎が認められる、あるいは呼吸困難が見られる場合は病院へ。肺炎や呼吸困難が認められないが発熱や倦怠感などの症状が強い場合は宿泊所等への隔離。PCR陽性で無症状 ・ 軽症は自宅待機とするなど、季節性インフルエンザと同じ診療方針で行なえるように新型コロナの対処の基準を改定する。

●日本の現場で使用されている新型コロナ治療薬の薬効を評価できるデータを集める仕組みを早期に立ち上げることを提言する。 また、日本人が重症化しにくい原因の解明は、他国の研究からは期待できず、BCG説や腸内細菌影響説が正しい場合、欧米人の薬効データは日本では参考にならないので、国内で使われている薬の効果を示すデータを多施設から吸い上げ、薬効を評価できるビッグデータを収集する仕組みを至急作る。 また、種々の検査データを含めて国内研究を推進する。

……ということである。

ザックリまとめたので、細部のニュアンスや意図は多少変わっているかもしれない。正確にはぜひ原文を読んでほしい。

これを読んだ上での個人的、補完的感想としては、

PCR検査論争はそろそろやめにして、それよりも次にやるべきこと(上の提言の後半部分)に早急に着手すべき。
PCR検査というのは、初期段階で徹底してやっておくべきだった。それがあれば今よりずっとまともなデータが得られて、次の手を打つ対策を練る方法にも根拠が増えたからだ。
しかし、今はもう次の周回に入っている。
今から「無症状者にも徹底的に検査を」というような主張はすでに「周回遅れ」の感が否めない。その費用とマンパワーを、通常医療体制の維持と、重症患者早期発見・治療対策にあてるべきだろう。
COVID-19以外の病気や怪我に対する医療レベルが落ちていくことは絶対に避けなければならない。このままでは、今度の冬にインフルエンザで死ぬ人がCOVID-19で死ぬ人よりずっと多いことになるのではないか。
今までなら大事に至らずにすぐに治療や手術を受けられた人たちが、状態を悪化させ、死んでしまうケースも急増するだろう。それこそ本末転倒である。

さらには、メディアがワクチン待望を煽るのもやめてほしい。季節性インフルエンザと違い、新型コロナでの重症化はサイトカインストームが関係している。ある種の免疫が重症化を引き起こす可能性がある限り、このウイルスに安全・効果的なワクチンができるとは思えない。また、ワクチンや治療薬をめぐる製薬会社と各国政府の契約などは、過去に不透明かつ正当性に疑いのあるケースがいくつもあったことにも注意したい。
ワクチンよりも、個々の症状、病態変化をしっかり観察した上で、これならこれが効くはずだ……という、経験とデータに基づいて既存の医薬品や治療法を活用する道を探るほうがずっと効果的、合理的だろう。

で、最後はいつも通りの「叫び」になるが……、いくら正論や有効であろう提案を明示しても、理解力のない政治家や、保身と前例主義、上からの命令に従うだけの官僚などは動かないのだから、国民が「国の体制を変える覚悟」が必要だ。上が腐っている限り、現場でどれだけ優秀な人が頑張っても、効果が現れにくい。
まずは我々一人一人が、しっかり覚悟を決めて、できることをしていくしかない。

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続・なぜ日本ではCOVID-19での死者が少ないのか?2020/03/28 11:26

志村けんが……の衝撃

朝(といっても11時近い)起きて階下に降りていったら、妻の第一声が「志村けんが……」だった。
え!? まだそれほどの歳でもないのに? と一瞬驚いたが、COVID-19感染が確認されて入院とのこと。それはもっとビックリだ。
ネットで調べると本当だった。
「一時は重体だったが今は快方に向かっている」という記事だったが、その後の情報ではECMO(extracorporeal membrane oxygenation「体外式膜型人工肺」)につなぐために転院したというではないか。ECMOは最後の最後の手段だから、本当なら、少しも「快方に向かっている」とは思えない。
さらにその後の報道から、経過をまとめると、
  • 3月16日 フジテレビ系「志村でナイト」の収録で台場の同局に入ったが、体調不良を訴え、控室に入って30分で退出し、帰宅
  • 3月17日 引き続き倦怠感があったため、自宅療養
  • 3月19日 発熱、呼吸困難
  • 3月20日 自宅を訪問した医師の判断で都内の病院に搬送。重度の肺炎と診断され、そのまま入院
  • 3月23日 COVID-19ウイルス検査の陽性反応が判明。夜に一時病状が悪化し危険な状態に
  • 3月24日 保健所による調査が行われ、発症日と濃厚接触者の特定が完了
  • 3月25日 ECMOにつなぐため、港区内から新宿区内の病院に転院
……ということだ。
気になるのは、いつどこでウイルスを取り込んでしまったのかということ。
「天才!志村どうぶつ園」では3月5日、NHKの新朝ドラ「エール」では3月6日、「あいつ今何してる?」では3月10日にスタジオでの収録に出ていたという。
COVID-19の潜伏期間は1~14日(多くは5~6日)というが、感染した場所が仕事場であれ飲み屋であれ、そこに一人でいたということはあまり考えられない。発症していない感染者がすでに複数いることは間違いないのだろう。

他にも、サッカー協会会長(JOC副会長)、プロ野球選手(現時点で3名)……この人たちはみな軽症か無症状だ。プロ野球選手は、「最近料理や飲み物の匂いが感じられない」ということで耳鼻科を訪れたらPCR検査ができたというが、彼らは「有名人」だから検査できたのではないか。普通はそんな訴えだけでCOVID-19の検査まではしないだろう。
この感じだとすでに無症状や軽症の感染者は大変な数存在しているのではないか。

ニューヨークのデータは参考になりそう

1月15日~3月24日(70日間)の日本国内でのPCR検査数(累積)(感染者数ではない)を都道府県別に並べると、
  1. 東京:2013人
  2. 愛知:1895人
  3. 北海道:1794人
  4. 兵庫:1607人
  5. 和歌山:1316人
  6. 京都:930人
  7. 埼玉:898人
  8. 新潟:812人
  9. 大分:743人
  10. 福岡:703人
  11. 広島:656人
……という順番だそうだ。とにかく検査数が少ない。
1日あたりは都道府県別に1桁か2桁しか検査してない。いちばん多い東京都(人口約1400万人)の3月26日の検査総数は101件で、そのうち40人に陽性反応が出た。調べれば4割が感染者という結果(⇒こちらを参照)。
一方、同じ26日にアメリカニューヨーク州(人口約2000万人)では死者が前日から100人増え、385人になった。州内の感染者は前日から6448人増えている。検査数は当然1桁多いだろうから、1日で数万人単位で検査しているはずだ。
しかし、日本では検査しないために普通の肺炎で処理されている死者がかなりいるとしても、COVID-19による死者が異様に少ないのは確かなようだ。
そうなると、ますます日本における死者数の少なさには、何か特異な事情、要因があるのではないかと思ってしまう。

27日現在、世界の感染者数、死者数のデータを見ると、アメリカ国内の感染確認例が8万5996 人となっていて、ついに中国を抜いてしまった。
このうち3万9140人はニューヨーク州だ。
アメリカは州によって人種構成比が相当違うけれど、ニューヨークは「人種の坩堝」と呼ばれているくらいの国際都市だし、サンプル数も多いので、ここでの致死率は世界の平均的な数値に近いかもしれない。
3万9140人が感染して395人が死亡。致死率1%。
これは信用していい数字かもしれない。
ちなみに韓国は9332人感染して139人死亡。致死率1.5%。
ドイツは281/47278で0.6%。
スイスは197/11951で1.6%。
……で、これらの国は致死率が低い。

イギリスは580/11816で4.9%。
フランスは1698/29581で5.7%。
オランダは434/7469で5.8%。 ……で、かなり高い。

悲惨なことになっているのは、
イタリアの10.2%、スペインの8.4%。
イタリアはもはや感染者が確認できないまま死者がどんどん増えている状況らしいので、実際はもっとひどいのだろう。
医療崩壊したからだ、高齢者が多いからだ、と分析されているが、劇症化した人が次々に運び込まれる状況を見ると、やはり「他の地域とは何かが違う」と感じさせられる。

イタリアという国は、北と南ではまるで別の国であるかのように「人」も風俗も豊かさも違うらしい。
北イタリアのほうが生活水準が高く、人間性も神経質で心配性な人が多いという。対して南イタリアは開放的で陽気な人が多いが、街は汚く、盗難も多くて危険地帯。賃金も安くて、非正規雇用のnero(黒い労働)と呼ばれる日雇い労働者が多く、税金も払わない……。
となると、当然、COVID-19に感染して死ぬ確率は南のほうが高いと思うのだが、実際には逆で、感染者も死者も北部に集中している。なぜなのだろう?

アメリカに本社を置くバイオテクノロジー企業「23andMe」の研究では、南イタリア人の多くが、10%程度の遺伝子をMENA(中東/北アフリカ)から受け継いでいるのだそうだ。
もしかするとこうした遺伝子の違いが感染率や致死率の違いになっているのではないだろうか?
ドイツの致死率がイギリス、フランス、オランダなどより明らかに低いことも、遺伝子的な要因によるところが大きいのではないか?

……と、想像してしまうのだ。
何度も言うようだが、だからどうだ、ということではない。単純に、そういう要因がありそうだな、という話だ。
分からないことが多い現状で、断定的なことは何も言えないはずだ。例えば「日本ではPCR検査をしないから医療崩壊が起こっていないのだ。検査数を増やしてはならない」と力説する人がいっぱいいるが、1日万単位で検査しているニューヨーク州での致死率が1%と低いことを考えれば、おかしな説だと思わざるをえない。それよりも「何かの要因で日本は今のところたまたま大災厄から逃れられているだけではないか?」と疑ったほうがいいのではないだろうか。

もう一つの可能性「ウイルス変異説」

HLA型の違い(遺伝子的な要因)の他にも、地域によって広がっているウイルスの型が違うという説もある。
武漢で当初猛威をふるったウイルスはその後だんだん弱毒化していったが、ヨーロッパに広がったウイルスは変異を続けて、ある局面で強毒化したのではないか、というような説。
ウイルスが少しずつ変異していることは確かなようで、複数の研究がそう報告している。
ウイルスがほんの少し変異しただけで、感染しやすい人、感染すると重症化しやすい人が大きく変わるかもしれない。また、一度獲得した免疫があまり効かなくなり、再感染すると一気に重症化しやすい……というようなことも起こりえるかもしれない。
もしそうであるなら、中国で感染が収まったというが、今後は外から入ってきた変異後のウイルスで二度目の感染爆発ということだってありえるだろう。
もちろん、今まで「たまたま」「運よく」なんとなく危機をすり抜けてきた日本も、この先どうなるかまったく分からない。なにしろ未だに正体が摑みきれない、分からないことだらけの難敵なのだから、予測が立てられない。
一つ確実にいえるのは、COVID-19の感染そのものによる死者よりも、COVID-19の流行やパニック現象によって活動制限された社会で、疲弊して死ぬ人が増えるだろうということだ。
介護施設での集団感染の危険性がいわれているが、在宅の認知症高齢者が感染するとさらに悲惨だ。いや、感染しなくても、今まで保てていた生活が続けられず、死期が早まることは十分に考えられる。⇒これは韓国での例だが、日本でも同じことが起きるだろう。

1週間後、2週間後には、日本が、世界が、とんでもないことになっているかもしれない。
心の準備はしておかなければ……。


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気になる不顕性感染者の実数2020/03/14 21:23

これを書いている現在(2020/03/14 16.28)、世界でCOVID-19に感染して死んだ人は5429人だという。
中国湖北省を除くと、イタリアが1266人で断トツに多い。以下、イラン:514人、スペイン:133人、フランス:79人、韓国:72人、米国ワシントン州:37人……と続いている。
死者/確認感染者数を比べると、中国以外では、
  • イタリア:1266人/17660人 (0.072
  • イラン:514人/11364人 (0.045
  • スペイン:133人/5232人 (0.025)
  • フランス:79人/3667人 (0.022)
  • 韓国:72人/8086人 (0.009
  • 米国:47人/2174人 (0.022)
  • 日本:21人/725人 (0.029)
……で、イタリアとイランの死亡率の高さが目立つ。特にイタリアは致死率が高い。
武漢のように医療体制が崩壊したからだというが、それだけではないのでは? という気もする。遺伝子的に重篤化しやすい人が多いのではないだろうか。
韓国が一桁低いのも目を引くが、これは検査数を徹底的に増やしているからという理由の他に、検査している対象に例の新興宗教信者が多く、その大半が40歳未満の女性だから、ということのようだ。
日本は検査数が異常に少ないのでこの数字は鵜呑みにできない。検査されないまま、ただの肺炎とされて死んでいる高齢者が相当数いるはずだ。今のままだと早急に手当てすれば回復する可能性のある患者をどんどん重篤化させてしまうだろう。
さらには、クラスター感染と呼ばれているケース(スポーツジムや屋形船など)を追跡調査した結果を見ていると、日本では若年層を中心に不顕性感染者の数が諸外国より多いのではないかという気もする。もしかすると韓国よりも多いのではないだろうか。
上昌広医師は、日本と韓国で死者数が少ないのを「ウイルスの特性」に要因があるのではないかとツイートしているが、この「特性」というのはやはりHLA型との関係を示唆しているのだろうか。ただ、データがない現状でHLA型との関連に言及することで、ただでさえ多い雑音が増えるのを回避しようとして明言を避けているのだろう。

そこで改めて日本国内でのPCR検査結果(3月13日時点。クルーズ船、チャーター便帰国者除く)を見てみると、
  • 検査総数:11231
  • 陽性者:659
  • ↑そのうちの無症状者:68
となっている。
陽性者のうち1割以上が無症状というのが不気味だ。
ちなみにダイヤモンドプリンセス号だけのデータを見ると、
  • 検査数:3711人(内、日本国籍は1341人で36%)
  • 陽性者:697人(19%)
  • ↑内・無症状者:328人(47%)
で、なんとおよそ半数は「無症状者」なのだ。
この「無症状者」というのは、「(隔離)入院後に有症状となった者は無症状病原体保有者数から除いている」とのことなので、ウイルスが体内に入ってもまったく発病しなかった人という意味になる。
感染しても1割以上の人は自分が感染したことが分からないどころか、なんの症状も出ないから普段通りに行動しているわけだ。
微熱程度の軽い症状のままで動いている人を含めればもっとずっと多いだろうから、今の日本では、自分が感染していることを認識しないまま普段通りに行動している感染者が数多くいると考えられる。
メディアでは指摘するのが半ばタブー視されているようだが、普通に考えれば「感染しても無症状または症状が軽い若年層が、意識せずに高齢者層にウイルスを感染させ、高齢者が発病する」という図式ができあがりつつあるのではないか。
この可能性を提起することで無用な差別発言やパニックが広がるのか、それとも各人が今まで以上に注意を払って高齢者の感染リスクを下げる努力を冷静にかつ紳士的にしていけるのか……後者であることを祈りたい。

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新型コロナウイルスは「バイオ経済テロ」か?2020/02/03 20:12

「陰謀論」というレッテル貼り

世の中のニュースは、大きなものほど真相はよく分からないところがある。
情報はいくらでも作れるし、加工するのはもっと簡単だ。権威のある機関(例えば政府機関とか大新聞社とか○○学会とか)が出している情報だから信頼できるかというと、まったくそんなことはないことを、(公文書改竄、破棄問題などを持ち出すまでもなく)すでに多くの人は理解している。
となると、真偽の分からない様々な情報を集めた上で、最後は自分の知識、経験、そして感覚(勘)などを総動員して、何が真相に近いのかを「推理」するしかない。
真剣に取り組んでも、自分がその事象に対して何かできるわけではないので、一種のゲームだと思って推理する。想像力や合理的判断力を働かせずに「公式発表」を鵜呑みにすることが「常識人」としての分別や品性ではない。
例えば、アポロ11号は本当に月に行ったのか? あれはでっち上げ映像ではないかという話が流れて、映画や本にもなった。この手の話は「陰謀論」とか「トンデモ」などと呼ばれて、ハナから論ずることさえ馬鹿げていると唾棄される傾向がある。
アポロが月に行ったのか、という件に関しては、僕自身は9割方「行った」のだと思っている。ただ、残り1割は「もしかしたら壮大な嘘かもね」と想像してみる「自由」を持ち続けている。陰謀論を打ち消す証拠をさらに検証する作業なども楽しみたい。
一方、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺がオズワルドの単独犯行だったという「公式発表」については、9割方「それは違うだろう」と思っている。数々の物証が、オズワルド単独犯行説に無理があることを示している。
9.11で、ソロモンブラザーズビル(第7ビル)が崩壊したのは事前に綿密な計画のもとに爆薬が仕掛けられていたからだ、という説についても、9.9割方「それはそうだろう」と思う。あの映像を見て、ツインタワー倒壊の衝撃で崩れ落ちたなんていう説を信じろというのはまったく無理な話だ。同様に、9.11でペンタゴンに突っ込んだのは乗っ取られた旅客機ではなく、ミサイル状の飛翔体だったという説も、9割方「そうなんだろう」と思っている。
では、9.11計画を立案して実行したのは何者なのか? アルカイダとかビンラディンが単独でやったとは到底思えない。そこから、そもそもビンラディンは役者だったのではないか……と話が発展していく段階で、さらにいろんな陰謀論が出てくる。そこにちょっとした無理や飛躍が見られると、たちまち「アホか」と唾棄され、排除される。こうした論に「トンデモ」だとレッテル貼りをするために、大きな嘘を仕掛けた側がわざとアホな陰謀論者を野放しにしたり、アホ陰謀論者を創り出して露出させることもありえる。

新型コロナウイルスはバイオテロか?

さて、ここで今、世界中で騒いでいる新型コロナウイルスの話に移る。
このウイルスに関しては、当初から武漢のウイルス研究所から流出したという説があり、それはデマだから相手にするなみたいな話も出ている。
元国連紛争調停官の島田久仁彦氏(現・株式会社KS International Strategies代表取締役社長)は、今回のウイルスの起源について、大まかにだが
  • 1)中国人民解放軍の生物兵器研究開発施設で感染した人からの感染(事故によるヒトーヒト感染)
  • 2)中国以外の「何者か」によるバイオテロ(中国・武漢で人為的にばらまいた)
  • 3)公式?発表通り、野生動物由来のウイルスが突然変異して武漢の海鮮市場経由で広まった
……という3つの可能性を示唆している
マスメディアでは1)と2)の可能性については絶対に触れないようにしているようだが、個人的には1)2)3)の順番で可能性が高いのではないかと思っている。(時間が経つにつれ、1)より2)説のほうがありえるかな? とさえ思う)
2)の場合、主目的は中国を中心とした経済市場に打撃と混乱を与えるというものだったのではないか。言い換えれば新種の経済テロ。これは実際そうなっているわけで、ありえる話だと思う。

人への感染そのものが目的だとすれば、致死率の低いウイルスを使った実験的なもの、あるいは「本番」(?)に向けてのシミュレーションという意味合いが強いのではないか。この場合は経済戦争の道具という意味合い以上に怖ろしい。宗教的狂気をはらんでいるからだ。

バイオテロではなく、事故的なもの、あるいは自然発生的なものであったとしても、今、ウイルスが世界中にどのような速度、規模で広がっているかを必死にデータ収集、解析しているグループが必ずいる。このウイルスの感染率、感染速度で致死率を上げたものをばらまいたときに、世界はどのように変化していくかを予測する人たち。
死者の数(何人殺せるか)だけでなく、そのとき各国はどのように対応するか、人々はどのように動くか(動かされるか)、メディアをどのように使えばどのような効果が現れるか……。そうした実験場になっていることは間違いない。

で、そういう現実世界で、我々庶民はどのように対応すればいいか──これはもう、受動的な対応しかできない。ウイルスがなぜ出現したかについて真相を知ったところで何もできないわけで、現状を把握して、自分はそれに対してどう行動すればいいかを考えるしかない。
今回のことでいえば、新型コロナウイルスと呼ばれているものがどの程度の危険性を持っていて、自分の生活とどのように関係してくるかを極力正確に予測し、リスクを下げることしかできない。
この「リスク」には、感染するリスクだけでなく、過剰反応してストレスをためたり、他者を攻撃したりすることで社会が乱れるというリスクも含まれる。現時点ではそうしたリスクのほうが、自分が感染して死んだりするリスクよりはるかに高いことは間違いない。


ファンレス小型PCで快適仕事環境を2017/07/18 22:27

XPだからやられた……という話は聞かない


新しく助手さんの仕事机に収まったabaのファンレスデスクトップ。薄い、軽い、小さい、静か、が美点。片手でひょいと掴んで運べる



現役を退いたDELLのデスクトップ。OSはXPだったが、EタックスがXPだとはねられるというようなこと以外は、特に問題は感じていなかったようだ。助手さん、確定申告のときだけWindows7のノートパソコンを使っていた


先日、僕のメインマシンの内蔵Cドライブが壊れてえらい目に合った
そのとき、すぐにサブ機として同じabaのファンレスデスクトップで、性能の落ちるモデルをサブ機として発注したのだが、それが届く前にAmazonから新しい内蔵HDDとWindows7のインストールディスクが届いたので、サブ機が届いたときにはもう今までのモデルが完全復活していた。
届いたサブ機はCeleron G1840 2.8GHzのCPUに外部メモリが4GBという代物で、メインマシンのCore i7-4790s 3.2GHz 16GBに比べればぐっとスペックは落ちるのだが、Celeron G1840というCPUはかなり「お買い得」なCPUらしい。初期のCore i3なんかよりはいいんじゃないか、ということもWEB上で読んだ。
実際、cpubenchmark.netなんかでデータを比較してみても、そのようである。↓

Celeron G1840は初期のCore i3よりベンチマークの点数も高い



それなら試してみるか……と購入に踏み切ったのだった。

Windows7がインストールされているマシンだが、これを最初から設定するのは気が遠くなるので(すでにそれをやったばかりだから分かる)、もう1台、SATAの1TB HDDを買って、メインマシンの環境設定が大体済んだところで、Windows Backupで作ったCドライブのクローンをそのHDDにそっくりコピーして取り付けた。元々入っていたCドライブHDDは外さずともなんとか隙間があったので、ケーブルを差し替えるだけですんだ。形の上では増設だが、元のHDDはつないでないので、ケースの中にしまってあるだけ。万万が一、ゼロからやり直したいときは、Windows7が入った状態から始められるけど、まあ、そういうことにはならないだろうな、もう。
Windows10にアップグレードする気になったときには使えるか……。

あとは、メインマシンから外してあった4GBメモリ×2が余っていたので、それを1枚足して8GBにした。
今度のサブ機は、同じabaのデスクトップだが、DVDドライブ付きのモデルにしたので、ケースが若干違う。よく見ると穴だらけで放熱効率がよくなるようにできている。代わりに猫の毛とかいっぱい入り込みそうだが……。

新品が届いてすぐに封印シールを剥がし、メモリ増設やHDDの追加をしたわけだが、ケースはビス3本で簡単に外れるので楽。

助手さんは僕が使わない桐Ver.8とかFireworks MX 2004とかが必須ソフトだというので、それをインストール。Fireworksはだいぶ前にマクロメディアがアドビに身売りして、現在では認証用サーバーが消えているため、共用シリアルナンバーを入力して認証しないといけない。どうもこういうのが多いのよね。
Illustratorもうちにあるのは8だが、これはディスクからインストールもできないため、裏技的にHDDからコピーすることになる。

そんなこんなで、最後はネットワークでの共有がうまくいかずに手こずったが、なんとかクリアして助手さんに渡した。
助手さんは動画編集なんかはしないので、これで十分サクサク動く。

ファンレス小型パソコンの勧め

ちなみに、Power Director15を買ってiMovieも使わなくなり、完全にLogicを動かすためだけの音楽専用マシンになったMac Miniは、Core i7 2.6GHzで16GBメモリを積んでいるから、メインマシンとほぼ同じスペック(CPUのクロック数がちょっと低いだけ)。
購入したときは、ちっちゃな筐体で音もしないことに驚いた。それなのに起動は速くサクサク動く。たまに落ちても、何もしなくても勝手に復帰してくれる。OSの安定度もWindowsより上という印象だった。
それ以後、でかいデスクトップマシンはもう過去の遺物だなと思うようになった。
abaのファンレスデスクトップの静かさにも感動したが、今回、内蔵HDDが壊れて、2.5型HDDはやはり3.5型に比べると信頼度が低いなあと痛感した。
2.5型のUSB外付けHDDは何台も壊れている。3.5型も壊れるが、やはり2.5型のほうが寿命が短い印象がある。
これからはSSDがあたりまえになるだろう。
SSDは前触れもなくいきなり壊れるので怖いという人もいるが、少しずつ壊れていくHDDのほうが、原因がつきとめられないで無駄な時間を取られたりして悲惨かもしれない。それに、SSDが壊れるときは寿命の時間に大体従っているので、Cドライブのバックアップを取っておけば「あ、壊れたか。じゃあ、交換」で済む。
これをスムーズにやるためには、Cドライブにはプログラム本体しか入れず、データは必ず外付けのドライブ(これはHDDでいい)に二重に取っておくことだ。

以上のことを踏まえて、お勧めのファンレスマシンと改造をまとめてみると……。





abaの静音設計デスクトップは静かで軽く小さく、本当に使いやすい。CPUはCeleron G1840で我慢して、メモリは8GB以上積む。メモリスロットは2つあるので、4GBのモデルを買って4GB足して8GBにするのもいいし、4GBを抜いて8GB×2で16GBにしてもいい。
内蔵の1TB HDDは使わず、SSDを購入して付け替える。
入れ替えソフトもいろいろあるが、Windows7付属のWindows Backupでも簡単にできる。
abaのマシンにはWindowsのインストールディスクはついていないので、ついでに空のDVDディスクにWindows修復ディスクを作成しておく。
8GBでいいなら、53800円+11135円(2017/07/18現在 Amazon調べ)で約6万5000円。DVDドライブはUSBで外付けすればいい。DVDドライブ内蔵がよければ、

↑このタイプを買って、自分で4GBメモリを足して8GBにする。
16GBにしたければ、8GBモデルを買うと4GBメモリ×2でくるので無駄になるから、最初から4GBモデルを買ったほうがいい。

Pentium N4200のECS LIVAZも魅力的



こちらは外見がMac Miniに似ているECS LIVAZというモデル
Pentium N4200というCPUを積んでいて、OSなしモデルは25981円(2017/07/18現在 Amazon調べ

Pentiumなんて、大昔のCPUじゃないの? と思ってしまうが、実はPentiumもCeleronもブランドとしては今も残っていて、新製品を出し続けている。


↑これは僕のメインマシンのCPU Core i7-4790S、今回購入したサブマシン~助手さんマシンになったCeleron G1840、そしてこのLIVAZの最新型に搭載されているPentium N4200の性能比較表(cpubenchmark.netより)だが、G1840の3分の2の速度が出ているので、そんなに悪くはない。実際にこのマシンで4K動画を再生してもこま落ちすることなくスムーズに再生できたという報告もある。
値段がCore i7より一桁安いことを考えたら、ものすごくお買い得なCPUだ。実際、今回購入したモデルは、普通の作業をしている限り、メインマシンのCore i7マシンとの差はほとんど感じられない。
であれば、これを買って、OS用にSSDを足して(M.2 2242スロットが1つついている)、メモリを一気に16GBにして使えば快適だろう。
費用は、本体が約2万6000円、メモリ8GB×2で約1万2000円、M.2 2242スロット用SSDが約1万円。合計4万8000円。
5万円以下で16GBメモリのSSDドライブ静音ミニモデルが手に入る。
性能的にはたいていのノートパソコン並みかそれ以上だし、USB 3.0コネクタ×3、2×ギガビットLANポート、Wi-Fi 802.11ac、1×HDMI、1×mDPと、拡張性はノートよりずっといい。動画編集などの重い作業をしないなら、これで十分だろう。
これに外付けHDDをつけて、データやメールソフト、FTPソフト、テキストエディタなどの常用プログラムは全部外付けに入れておけばいい。


8GB×2のメモリ。約1万2000円。普通の作業なら8GBで足りるはずだが、余裕を持ちたければ16GBまで積んでおくといい



128GBのSSD。約1万円。OSだけでアプリもそれほど入れないならこれでも十分いける



256GBほしければこのへんでどうか。1万3300円 これならプログラムファイルをそこそこ入れておいても大丈夫


ちなみに、最初からメモリを16GB積んで128GBのSSDも積んで、Windows10がインストールされているモデルも5万2800円だから、これを買ってしまうのが正解か↓。



高価なマシンを重くさせるという商法?

嫌な話だが、セキュリティソフトがマシンを異常に重くさせ、HDDの寿命も縮めているということはある。
無料のセキュリティソフトにオマケで付いてくる「あなたのマシンを診断してサクサク動くようにします」的なソフトをインストールした途端、トラブル続出でCPUには負荷がかかりっぱなし、裏で何をやっているか分からず、もしかしてデータが勝手にネット上に出て行っているんじゃないか? みたいなことはよくある。
ウイルスが入り込む手口でいちばん多いのはメール添付ファイル。ZIPだけでなく、ワードやエクセルのファイルもマクロ機能を使ってウイルスを仕込んだり、詐欺サイトに接続させたりできるから、最近ではワード、エクセルファイルでの詐欺メール、ウイルスメールがものすごい数やってくる。
フィルタを厳しくすると、重要なメールも受信拒否になったりして、「メールが届かない」と騒ぐ羽目になる。

手口をよく理解した上で、余計なものを入れないで極力軽くしておくことが、コンピュータの寿命を延ばすことにもつながる。それも重要な「セキュリティ対策」なんじゃないだろうか。知らないうちにどんどん重くされているマシンは、重いというだけでイライラさせられ、操作ミスを引き起こし、ウイルスにつけ込まれやすい。

あとは、HDDやSSDは必ず壊れるものだと思って、必ずクローンを作っておくこと。
CPUやメモリが壊れることは滅多にないので、一度、まともに動く静かな作業環境を作ったら、マシン本体は案外長く使える。

Windows7マシンの環境設定備忘録

■Windows7 のデザインをクラシック風に変更
http://enjoy.sso.biglobe.ne.jp/archives/windows_os/
http://windows-7-kousokuka.jp/1-5/
(動画で説明)

■表示フォントを変更・大きく
https://support.microsoft.com/ja-jp/kb/960737/ja
http://freesoft.tvbok.com/tips/win7rc64/desktop_customize1.html


■拡張メニューインストール
http://homepage1.nifty.com/mt_wide/

■フォルダ内表示を「一覧」デフォルトに
フォルダを開いた状態で、希望の表示にし、ツール(T)→フォルダーオプション(O)→表示にて
「フォルダーに適応(L)」をクリック

■CAPS/Ctrl入れ替え
http://www.softantenna.com/wp/windows/ctrl2cap/
http://citrras.com/archives/570

■IME起動キー変更
http://jugemchosuke.blogspot.jp/2011/07/ime-windows-7.html
http://iwakuni.main.jp/information-2/20120924MSIME-key.html

■フォーカスせずにホイールスクロール
http://all-freesoft.net/hard3/mouse/wizmouse/wizmouse.html
http://all-freesoft.net/hard3/mouse/alwaysmousewheel/alwaysmousewheel.html

■プレースバーのカスタマイズ・他 (Comfortable PC)
http://pc-zero.jp/software/comfortablepc_dl.html

■電源切る前に指定のフォルダをバックアップ
Before Poweroff
http://www.forest.impress.co.jp/library/software/beforeoff/
BackupF2F
http://www1.plala.or.jp/stein/labo/

■Illustrator8 をインストール(インストールディスクが使えない)
http://freesoft.tvbok.com/tips/win7rc64/x64_illustrator8.html


■旧マクロメディアソフトの認証
https://helpx.adobe.com/jp/x-productkb/policy-pricing/macromedia-legacy-activation-error.html


   



タヌパックスタジオで生まれた音楽の1つ『アンガジェ』(↑Clickで再生)



スマホ対応進行中2015/09/06 19:05

のぼみ~日記へ
最近、フェイスブックのコメントを通して、改めて「スマホでネットの記事を読んでいる人が増えた」ことを痛感させられた。
僕自身はスマホを持っていない。iPod touch(4)を持っていて、これとモバイルルーターをセットで持ち出すことがあるが、あの小さな画面で小さな文字を読む気がしない。
しかし、今ではiPhoneに代表されるモバイルギアのみでネット閲覧をしている人がかなりいるようだ。
で、iPod touch6を買ったのをきっかけに、管理しているWEBサイトを徐々にモバイル対応させているところだ。
最初に手をつけたのはこのブログの親版とでも言うべき「のぼみ~日記」
本文のフォントをスマホで見たときに少しでも大きく見えるように、CSSにスマホ用の記述を追加して、アクセスするブラウザの横幅で自動振り分けできるようにした。
スマホのみなさん、少しは読みやすくなったでしょうか?

スマホ料金月額500円時代を生きる2015/06/27 22:07

bmobileの500円SIM docomo のロゴが入っている

モバイルキャリアを乗り換え LTEも月500円時代に

クリックで拡大。アマゾンに注文して翌日届いた500円SIMと前から持っていたモバイルルーター
このところ、NTTから下請けしたセールス会社からの電話がうるさい。
「フレッツ光をお使いですよね? プロバイダと回線料金をセットでおまとめになると月額料金が安くなりますのでお手続きしませんか?」という内容。
もうすでに5回くらいはかかってきた。
この場合のプロバイダというのはOCNなどのNTT系列プロバイダを想定していて、うちはASAHIネットだと言うと、「あ、それだとそちらのほうがお安いかと思いますので……」と引っ込む。それなら最初からかけてくるなよ。

ASAHIネットなど、NTT系以外のプロバイダでも、フレッツ光などの回線料金とプロバイダ料金を一括支払いにまとめることでトータル料金を安くするというサービスを始めている。うちもASAHIネット側で一括支払いにまとめた。
ASAHIネットでは固定IPサービスも使えるのがポイント高い。

で、そのASAHIネットから、モバイルもASAHIネットが安いですよ、今ならスマホやアンドロイドタブレットとのセット購入割引きもありますよ、というセールスメールが来た。
毎月2GB使えて、月額850円だという。
今契約しているモバイルキャリアはIIJMioのミニマムプランで、これは3GBで900円。3GB使い切らなければ余った分を翌月に繰り越せるというのがいい。
大して変わらない、というか、わずか50円の差ならIIJのほうがいいから無視だな、と思いつつ、念のためさらに調べてみたら、日本通信(bmobile)は月額500円(1GB)まで下げているのね。
1GBを超えたら自動的に追加1GBごとに250円。上限は5GB(1500円)で、それ以上にはならない。5GBを超えるとその月は速度が200kbpsに制限される。
ショートメッセージ(SMS)やマルチメディアサービス(MMS)には対応していないが、IP電話やメールが普通に使えるので、致命的な問題はないはず。

というわけで、乗り換えてみた。
SIMの代金(初期費用)が3000円なので、IIJとの差額400円/月を回収すのに8か月かかる計算。

アマゾンでポチして、翌日午前中にSIMカードが届いた。
さっそく、利用中のモバイルルーター(docomoのL-03E)のカードを交換。
L-03EのSIMはマイクロSIMだが、注文したのはさらに小さいナノSIM。アダプター(数十円~)を使えば大きいSIMにもなるのだから、いちばん小さいサイズにするのは当然。将来、ナノSIM仕様の端末を入手したときにそのまま使えるし。

支払いはクレジットカード払いのみ。あと、SIMを登録・開通させるのに携帯電話での手続きがいる。携帯を持っていない人は要注意か。(持っていなければ、誰かにケータイを借りて手続きすればいい。1分くらいで終わる作業で、一度だけだから)
で、それでOKかというと、そうではない。
SIMカードはこれで有効化できるが、それをルーターに差しただけでは使えない。ルーターの中には今までのIIJの設定が残ったままなので、これを書き換えないといけないのだ。APN設定という。
これがちょっと面倒だった。
パソコンにUSBで接続して、ブラウザから設定画面にログインしてbmobile用の新しい設定プロパティを作って保存、それに切り替える。
ルーター側で「USBテザリング」というのをONにしないと機能しなくて(ブラウザに何も出ない)、これに気づくのにちょっと時間がかかった。
それと、書き換えたらルーター側で「ソフトウェアバージョンアップ」のお知らせが出て、バージョンアップして再起動したら、今設定したばかりの内容が全部消えてしまって、やり直し。
……と、なんだかんだで小一時間取られてしまった。

冷静に考えると、IIJのままでもよかったのかな、とも思う。SIMカード代の3000円を回収するのに8か月かかるわけだし。
余剰分の翌月繰り越しで、実際には常に2GB以上の余裕を持って接続していたから。
まあ、うちの場合、外出する頻度が極端に少ないので、月1GBでも十分だと思うけれどね。

モバイル端末使いこなし術


ここで、今回気づいたことのまとめを。

SIMの抜き差しは実用的でない

 複数の端末(タブレットとスマホとノートPCなど)に1枚のSIMを抜き差しして使い回すのは面倒だし、小さなSIMカードだから、紛失したり破損したりする危険性がある。月500円なら、使う端末の数だけカードを用意して複数契約したほうがいい。

モバイルルーターで1つにまとめる

 あるいはモバイルルーターをメインにして、それを介して複数の端末を接続すればいい。その使い方なら、iPod touchをiPhoneのように使うこともできる。
 うちで使っているL-03Eというモバイルルーター(LGエレクトロニクス社製でdocomo仕様)はバッテリー容量がでかいので、まずバッテリー切れの心配をする必要がないし、いざとなればスマホなどの充電器としても使える(ルーター側のバッテリーからスマホに充電できる)。この安心感も大きなポイント。

音声通話をIP電話サービスに限定してしまえば、月500円のスマホ生活もできる

 スマホもSIMフリーが増えてきた。1万円前後でそこそこのスマホが買える。これを携帯電話会社と契約せず、bmobileやIIJのような格安データ通信SIMで使えば、月額500円のスマホ生活も可能になる。
 家やオフィスにWi-Fiがあるなら、そこではそのWi-Fi接続で使い、移動中だけ格安SIMで使う。
 音声通話が必要なら、SMARTalk、050Plus、LINEなどのIP電話サービスを使う。
 ちなみに、IP電話サービスには、発信しかできないものと050の固定番号をもらって受信もできるタイプのもの(これは月額基本料が300円くらいから)がある。完全に1台だけしか端末を持たずに音声電話も受けなければならない場合は固定の050電話番号も必要になるだろうから、それも含めると月額基本料は1000円くらいになる。(どのサービスが自分に向いているかの判断は⇒このサイトが便利)
 IP電話は、110番通報や一部の無料通話番号にかけられないという弱点はあるが、LINE中心で、音声電話はほとんど使わない、なんていう人もいるのだから、自分に合わせた使い方をよく考えて選べば、通信費が劇的に安くなることは間違いない。

iPhoneじゃなくて、iPod touchでOK

 SIMフリーになってアップルストアから普通に買えるようになったとはいえ、iPhoneは10万円近くする。Wi-Fi接続すればiPhoneとほぼ同じ機能が使い倒せるiPod touchは2万円台から。家ではWi-Fiで、外出時にはルーターと一緒に持ち出せばいいだけ。
 iPod touchは2015年6月現在、5のままで、iPhoneより1世代前だけれど、それでもiPod touch4に比べればサクサク動くし、不満はあまりないのでは? 実際、iPod touch+ルーターでiPhone同様の使い方をしている人がずいぶん増えた。  

いちばんの問題はモバイルSuica対応

 うちの場合、ケータイ(ガラケー)を手放せない最大の理由はおサイフケータイ(実際にはモバイルSuicaだけ利用)が必要だから。モバイルSuicaでしか使えない新幹線の割引き予約サービス(スーパーモバ得)、あらゆる公共乗り物の切符代わり、売店やコンビニでのキャッシュレス支払い……と、もはやケータイは通話よりもモバイルSuicaとして使っていることのほうが多い。
 このオサイフ機能、Felicaという規格が日本独自仕様のため、国外ではほとんど使えないし、そのために世界標準モデルのスマホには機能がついてない。
 アンドロイドスマホの一部(FeliCaチップ搭載機種)はiDなど一部を除くほとんどのおサイフ機能が使えることになっているが、これにもdocomoの端末(docomoが販売した端末)じゃないとダメとか、制限がある。(⇒このページの解説が分かりやすい)
 iPod touchにFeliCaチップが搭載されるなんてことは将来にわたってありえないだろうし、iOS系アプリでまとめている人がアンドロイドスマホと二刀流にするのも意味がなさそう。
 iPhoneにくっつける「おサイフケータイ ジャケット01」なんてのも出たが、せっかくお洒落に決めたのにその上からオムツ穿かせるみたいだし、肝心のモバイルSuicaに対応していないので論外。

月500円からのスマホ、タブレット生活! 日本通信おかわりSIM
 ……というわけで、我が家の利用方法は、docomoのガラケー契約×2人と、bmobileの月500円契約でiPod touch×2、iPad miniを外出時に使う(端末は別々でルーターは共用)というスタイル。
ガラケーの契約料金は家族割りだのなんだのを組み合わせれば結構安いので、500円モバイルと組み合わせても合計料金はスマホを通信会社で契約する料金より安い。いざというときは2種類の回線が使えるのでどちらかが不通になってもどちらかが生きている可能性も出てくる。
 年老いた親との通話で050電話は不便だし、モバイルSuicaとして使うときも、蓋が閉まるガラケーのほうがスマートだし落としにくい。
 そんなわけで、まだまだガラケー契約を切れない。

 昔はこんなことでいちいち悩むことはなかったのにね。便利になったんだか不自由になったんだか……。

(余談)
熟年世代でiPhoneやアンドロイドスマホを使っている人の中には、メールアドレスがガラケー時代から引き継いだxxx@docomo.ne.jpなどのケータイアドレスのままで、しかもケータイアドレス以外からのメールは受信拒否(ケータイ会社の初期設定のまま)だったりする。おかげでこちらから送ったメールがことごとく届かない。子供に教えられてちょっとだけLINEを使い始めたりするけれど、今まで通り、音声通話に使うことが多い。同世代の友人(固定電話)とスマホで長話していたりする。なんのためにスマホ(つまりインターネット環境)にしているのか分からない。
で、家には光回線引いているのに、コンピュータもWi-Fiも使っておらず、ひかり電話だけで高額な回線料金を払い続けていたりする。
子供が家にWi-Fi環境を作っても、Wi-Fiに切り替えてスマホでネット接続することを知らないから、馬鹿高い通信料を通信会社に二重に支払ってスマホでYouTubeを見ていたりする。家でしか使わないのに、わざわざ通信契約込みのタブレットを買ったりする。
そういう人たちは通信料金とかあんまり気にしていないようだ。年金や預金で余裕がある世代なのだろう。
だから「IT弱者」という呼び方もちょっと違うかな。
僕は60代に入ったので、世代的にはそうした人たちのほうに近いが、貧乏で百円単位のお金を節約するのに汲汲としているという点では若い人たちに近い。
貧乏なまま歳を取るのは辛いね。

文化の厚みを知っている熟年世代はデジタル革命についていけず、いいように金を吸い取られる。若い世代はワーキングプアの時期がどんどん長くなる中で、通信費節約術に頭を使わざるをえず、濃厚な文化を生み出す時間も知恵も足りない。

……なんだかなあ……。

「ドレスの色の見え方が違う」問題 暇つぶし研究2015/03/01 19:25

白・金? or 青・黒?
「ドレスの色が違って見える問題」の研究


一昨日あたりから「このドレスの色は金と白? それとも黒と青?」っていう論争がネット上を席巻している。
ある女性がネットに投稿した写真が「騒動」の発信源らしい。またたくまに世界中に広まったようだ。
あまりに騒がれすぎているので、ここで敢えて取り上げるのも大人げない?気もするが、久々に面白いネタだったので、とことん調査してみた。

↑これが「元ネタ」らしい

実物は「黒と青」 要するに写真の色味がおかしい


↑これが実物 
このドレスの「実際の色」は黒と青だそうだ。販売サイト↑にある写真がいちばん本物に近いだろう。50ポンドで売られている。
しかし、問題の写真はどう見ても「黒と青」には見えない。撮影時の設定が狂っているのか、カメラの性能が悪くて逆光に耐えきれず色情報が飛んでしまっているのか、後から意図的に色味を変えたのか……とにかく正しい色に記録されていない。
これはまず疑いの余地がない事実。

ネット上にはたちまちいろんな説が登場した。
一つ目は、「脳内で推測した『環境光』によって色を補正して認識するため、逆光ととらえるか順光ととらえるかで違う色に見えてしまう」というような説。一種の錯視である、というわけだ。
⇒ここ とか ⇒ ここではそうした「錯視説」を唱えている。

その論証の材料として、騒動の元になった画像のホワイトバランスを極端にいじった画像を並べて説明を試みている人たちがたくさんいる。
下の画像はその代表例。

Twitterに投稿された「どMなキョン・真打」さんが作成した元写真、金色に見える写真、青に見える写真

それでも残る謎

上の画面は、元の写真の「白か青か」で揉めている部分を四角く切り取って、これが「青」に見えるにはどこまで補整したらいいかを実験しているところ。
ご覧のように、ガンマ補正で極端に暗くして、RGBでは、赤をど~んと落とし、緑も落とし、青はど~んと上げると、ようやく「青」になる。
「青と黒に見える」と言っている人は頭の中でこれだけ極端な修正をしているのだろうか?
この写真の色味やホワイトバランスが大きく狂っていることは歴然だが、問題は、その「色情報がおかしくなった写真」をなんの事前情報もなく見て、「青と黒にしか見えない」という人がいっぱいいることだ。

これも多くの人が試みているが、そもそも元写真の色情報はどうなのか?
僕もやってみた。

「黒」か「金」かで揉めている部分の色をスポイト抽出↑


色情報はこうなる↑


「青」か「白」かで揉めている部分の色をスポイト抽出↑

色情報はこうなる↑


もう少し分かりやすく四角に切り取ってみる↑


切り取った部分はこうなっている↑(A)


「青」か「白」かで揉めている部分を切り取ると↑


切り取った部分はこうなっている↑(B)
上の切り取った四角形を単独で見て、これを「折り紙」だとしたら何色に見えるだろうか。
(A)を「黒」だと言い張る人はいないのではないだろうか? 普通に見れば、金茶色、黄土色、濃いベージュ……いろんな言い方がありそうだが、間違っても「黒」ではない。
(B)はちょっと微妙で、正確にいえば「白」ではない。見たまんまなら、青みがかったグレーというところだろう。カラーピッカーで色情報を見ても、青系統であることははっきりしている。だからこれを「青」と言う人は間違っているとは言えない。青が何かの拍子に白っぽく写ってしまった、という解釈を脳内ですることはありそうだ。

つまり、「白と金」と見ている人は、この写真の色そのものから判断している。逆光あるいは暗い場所で撮ったために、白はグレーになり、金は黄土色のように写っている、と脳が判断している。
逆に、「青と黒」と言っている人は、極端に色を暗めに修正して見たことになる。



このカラーピッカーのチャートで分かるように、色の薄い部分の実際の色情報としては明るいブルーグレーなのだが、このポイントを右下に移動させていけば(暗くしていけば)青系統の色になる。

ということは、
  • 白と金 に見えている人は、実際の写真の色に近い色で判断している
  • 青と黒 に見えている人は、実際の写真の色ではなく、その色情報を極端に暗めに脳内で補整して見ている
ということになる。

さらに興味深い仮説

大体のところはこういうことだと思うが、それでも、なぜ金茶色を黒に、明るいブルーグレーを濃い青にまで補整してしまう人が多数いるのか、まだスッキリしない。
多分違っていると思うが、興味深い仮説もひとつ紹介。
「青と黒」に見える人の多くは女性だそうである。で、実際のドレスの色は青と黒である。女性のほうがファッションには敏感なので、このドレスの本当の色は青と黒だと、経験則、あるいは配色の好み(センス)が働いて色味が壊れる前の実物が何色かを「見抜いている」のではないか? という説。
う~~ん。面白いけれど、無理がある?

もうひとつ、これはかなり可能性が高いと思うが、「色の名前」と実際の色の照合具合(レンジの広さ)が人によって違うからだ、という説。どこまでを「青」と言うのか……というような問題。
今回の写真の、

↑これを、同じように見えてはいるけれど、「青みがかったグレー」だと認識している人と「薄い」だと認識している人がいる、というわけだ。言い換えると言葉(色の名前)の「定義」の問題。
グレーなら白が影に入ればグレーに見えるから、「もとは白だよね」と脳が判断する。
一方で「薄い青」だと思っている人は、広義で「青」と言っている。(よく訊いてみると「濃い青だとは言っていない。薄いくすんだ青だ」というように説明する人がいる)
であれば、見ているモニターの輝度もかなり関係してくる。明るくしていれば青には見えづらいし、暗くしていれば青に見えやすい。

哲学?の命題で、ある人が「青」だと認識している色が別の人には「赤」く見えているかもしれない。でも、色の名前と見えている色をお互いに照合して「違う」と分かることはできないので、永遠にその違いに気づくことはない……というのがある。
そんなことも思い起こす。

錯視の種類と個人差

以下は「オマケ」。

今回の「騒動」を錯視の一種だとするなら、錯視しやすさ(度合)は当然個人差があるだろう。
また、錯視にはいろいろな種類があり、明暗差の補整錯視と色味の補整錯視では起きやすさが人によって違うことも考えられる。
今回の現象を説明しようとしているWEBページやブログには、いろんな錯視サンプルが出ている(中には今回の説明のためにわざわざ作ったらしいものもある)のでいくつか紹介してみる。


まずは有名な明暗差の錯視。上の図は⇒こちらから引用させてもらった(そのさらに元があるのだと思うが分からない)。
誰が見てもAとBが同じ濃さには見えないが、実際に切り取って並べてみると同じだと分かる↓


同じサイトに、色味が変化して見える実験としてこんな図もある↓



瞳の部分がそれぞれ水色、黄色、赤に見えるが、実際には同じグレーだ、というもの↓

↑左の画像の左右の瞳部分を抽出して並べたもの


今回のドレスの色騒動を説明するために作られたイラストもある。
⇒ここ にある女の子のイラストや、⇒ここにあるモデルの女性の明暗差でドレスの色が変わって見えるかという画像に関しては、どちらも僕の場合は同じに見えて、大きな差は感じなかった。(2つめのページの女性の画像は、左側はスカートのいちばん下の部分を女性と一緒に暗くしてしまっているので黒くなってしまってはいるが、これは単なる処理ミスだろう)


……とまあ、こんなところでしょうか。
セシウムがどうのとかいう話題ばかりだと疲れるから、たまにはこういうネタで盛りあがるのもいいかもね。
そうそう。今回の騒ぎの中で、いちばんうけたのはこれ↓かな


惜しいのは「金と銀」としたら、「赤と青」にしないとね。「青と赤」じゃ逆ですから~! (ギター侍風に)


↑最近いちばん感動した買い物 小さな黒い箱をつなぐだけで家庭のテレビで世界の娯楽を楽しめる

『花子とアン』をきっかけにして知る「時代」の真相・深層2014/09/27 12:26

あの時代が今にそのまま重なる

NHKの連続テレビ小説『花子とアン』。なんだかんだで毎日見ているのだが、戦争に突入するあたりからのグダグダになっていく程度がひどかった。
ネット上でも多くの人が違和感を表明しているが、例えば、あの時代、庶民が簡単に家から電話をかけて用事を伝えるなんてことがあったはずがない。

同じ連続テレビ小説でいえば、

『おしん』 おしん 明治34年(1901)生まれ
『ごちそうさん』 め以子 明治38年(1905)生まれ
『カーネーション』 糸子 大正2年(1913)年生まれ

よりさらに昔、明治26年(1893)に村岡花子は生まれている。
……という指摘を読んで、改めて「そうだよなあ~」と思った。
昭和30年(1955年)生まれの僕でさえ、子供時代は家に電話など引けなかった。ものすごい贅沢品だったから。
若い脚本家とは、そのへんからしてもう時代感覚がそうとうずれてしまっているのだなあ。

登場人物たちのメイクなどにしても、放送第1回では、3時間かけた特殊メイクによって、あごの下にはたるみ、手の甲に皺まで入れたリアルな52歳に変身した主演の吉高由里子をして「さすがNHKさんとも思いました」と言わせた気合いの入り方だったが、その52歳の花子が出てくる同じ空襲で逃げ惑うシーン(9月13日放送の第144回)では、顔はファンデーションを塗ってつやつやピカピカ。ネット上でも、ずいぶん突っ込みが入った
戦争の描き方も淡泊で、大阪制作の『ごちそうさん』などがそれなりに頑張って伝えようとしていたのに比べると、完全に「逃げた」印象だけが残った。

それにもまして気持ちが悪いのは、実在の人物をモデルにして、しかも主人公は実際の筆名(村岡花子)で登場しているのに、登場人物たちの描き方が、史実とかけ離れていることだ。
そのへんの指摘は、北海道大学大学院法学研究科准教授 中島岳志氏のツイッターが話題になった。簡潔かつとてもまとまっているので、一部、紹介してみたい。

●村岡花子は、時代の流れに逆らえず大政翼賛会に参加し、子供を戦場に駆り立てるような言動をしたのではなく、児童文学作家として「主体的に関与」し、自分の信念に従っていた
1938年1月1日の『婦女新聞』誌上に掲載された座談会「事変下に於ける子供の導き方」で、村岡花子は「戦争は国家の意思」であり、「個人的心理的な観方」を滅却せよと訴えています。同時代のナチスに対しても好意的。
『婦女新聞』1941年9月21日号に寄せた文章では、「大日本婦人会」の活動に対して強く「協同一致」を求め、「自我を滅した御奉公であるやう」求めています。
「児童読物の浄化」(『婦女新聞』1938年1月20日号)では、「今度政府が幼少年の読物の浄化運動に乗り出したことは大変結構なことだと思います」と思想的検閲による発禁処分を肯定し、「今までどうして放つておいたのだと叱りたいところです」と述べています。
『婦女新聞』1938年1月1日号には「時変下に於ける子供の導き方」という座談会が掲載され花子も参加していますが、議論の中心テーマは「児童の本能的な発動力の善導」です。そこで花子は「戦争は国家の意志ですからね」と言い、国民が一つになることを訴えています。
花子は「今度の事変は思想戦といはれるやうに、赤い思想に対しても考へられることです」とも言い、全体主義的団結を説いています。また子供については「戦傷に対しては、感謝するようにすべきですね」と言い、「感謝の気持ちで恐怖を抑へ」よと述べています。
花子は戦争で負傷した兵士について「有難いと思へと、何時も子供等に話して居りますわ」とも言っています。

●白蓮の姑・槌子(龍介の母、滔天の妻)の描き方はあまりにも嫁姑問題の一般受け狙いで、史実と違う
槌子は白蓮を宮崎家に温かく迎え、黒龍会による攻撃から守った人物です。宮崎家では家事と育児は槌子が一手に引き受け、白蓮は病に臥す龍介に代って小説を書き、家計を支えました。
姑の槌子は中国革命に献身した夫・滔天を支え、時に危険を顧みず革命家を匿った女性です。家事・育児も白蓮に代ってほとんど引き受けた人……

●宮崎龍介の描き方があまりにもいい加減で、視聴者は話が見えない
宮崎龍介が逮捕されたのは、日中戦争勃発時に近衛文麿の密使として中国に渡ろうとした際、それを阻止したい陸軍の介入によるものでした。場所は神戸港。家族の目前で逮捕されたわけではありません。また、陸軍の意図には反していましたが、内閣総理大臣の意図に従って動いた結果でした。
宮崎龍介が1940年に書いた『世界新秩序の創造と我が新体制』(大有社)という本がありますが、ここではヒトラーのもと「ドイツ民族の芸術的に見事に出来上つた民族国家の姿」を絶賛しています。政治は「国家民族を理想的に造り上げる芸術である」というのが龍介の持論でした。
日中戦争期の龍介の中心的議論は「国家のために国民がある」という国家有機体論であり、ヨーロッパ・アメリカ・アジアという3つのブロックに世界が分割されるという「天下三分論」です。龍介は日本を盟主とするアジアブロックが、他の二つを抑えることを構想しました。
龍介は言います。「若し日本民族が八紘一宇を為さんとするならば、三つのブロックの中で最も速くそのブロックを完成し、而も之を最も強力に最も高度に作り上げなければならないのであります」
「花子とアン」では龍介一家と花子一家が思想的に対立し、絶縁状態になるように描かれていますが、龍介と花子の立場は、極めて近接していました。


さらに興味深いのは、中島岳志氏は、村岡花子が全体主義的思想に傾倒していくきっかけは、息子の死を経験し、キリスト教の信仰をより強めたことと結びついている、と洞察していること。
こういう考察は、単なる史実を超えて、人間の本質というか、性(さが)というか、弱さというか……そういう哲学的な探求の入り口ともなるので、小説家的には、こうしたレベルの話のほうに反応してしまう。

村岡花子のエッセイに「どうして」(『若き母に語る』池田書店、1960年)という名文があります。息子を亡くした時のことを書いたものですが、「血を吐く思い」の中でキリスト教の信仰を確かにした様子が描かれています。「自分の祈りがきかれなかったところに、神の意志のはたらきがある」。
しかし、この時「服従の平安」を得たことが、のちに軍国主義を追随し、時代の空気に飲み込まれていくことにつながるのだと、私は考えています。息子の死は、彼女の後半生に大きな影響を与えることになりました。

……他にも、今年の7月に登場した新メディア「リテラ」にあった、あの時代の女性たち、母親でもあった文化人たちがなぜ国家全体主義に傾倒したのか……そこには婦人参政権運動との連動があったからだ、という文章も読んだ。
ここでも、花子がしぶしぶ、あるいは受け身的に国家全体主義に流されていったのではなく、積極的に発言していることが紹介されている。
これも抜粋してみる。

 さらに、『女たちの戦争責任』(岡野幸江、長谷川啓、渡辺澄子、北田幸恵・共編/東京堂出版)には、花子が、
「私は戦争の文化性を偉大なものとして見る。平時には忘れがちになつてゐる最高の道徳が戦争に依つて想起され、日常の行動の中に実現される」
「母は国を作りつつある。大東亜戦争も突きつめて考へれば母の戦である。家庭こそは私どもの職場、この職場をとほしての翼賛こそ光栄ある使命である」
 などと随筆集に書き綴っていたことが明かされている。加えて、内閣情報局と大政翼賛会の指導のもとに結成された文学者組織である日本文学報国会のイベント・大東亜文学者大会で、花子は「子供たちの裡にこそ大東亜精神を築き上げるべき」と述べているのだ。
しかし、戦争に積極的だったのは、もちろん花子だけではない。ドラマのなかでも売れっこ作家の宇田川満代(山田真歩)が従軍記者となって気炎を揚げるようすが描かれているが、実際、少女たちに絶大な支持を得ていた人気作家・吉屋信子や、『放浪記』で有名な林芙美子も従軍記者として戦地に赴いている。その上、日露戦争時には「君、死にたまふことなかれ」と歌った与謝野晶子や、日本のフェミニストの先駆者である平塚らいてう、市川房枝といった人物たちでさえ、先の戦争に協力的だったのだ。
(リテラ 田岡 尼)

こうした複雑な時代背景を知るきっかけを与えてくれたことが、『花子とアン』の功績と言えるのかもしれない。

まあ、今の日本では、テレビドラマにリアリティや人間性への洞察を求めるのは無理だから、事典の目次みたいなものだと思えばいいのだろう。テーマの入り口を見つけたら、あとは自分で探索していかないとね。そうしないと、懸命に生き抜いた人たちに対しても失礼なことになるだろうから。

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