『新釈・クレムナの予言 タラビッチが見た2025年』2023/01/29 12:17

ミタール(左)とザハリヘ(右)
昨年末から執筆していたクレムナの予言の解説本?がようやく完成したのでご報告。


目次はこんな感じ↓




これはできることなら一般の出版社から出したい。
ただ、「売れやすいようにもっと煽って書きましょう」「いえこれは……」「この部分は反感を買うんじゃないですか。こういうことは書かないほうがいいのでは?」「いえ、そこがいちばん言いたいことなので……」みたいなやりとりはしたくないし、出るまでに半年はかかるだろうから、その間に世の中がどうなってしまうかもわからないこのご時世では、とりあえずは形として残しておきたいので、いつものオンデマンド方式で先行発売?した。
この内容で出版したいという版元があればすぐに譲渡する。

出だしはこんな感じ↓








この「はじめに」にも書いたのだが、クレムナの予言でいちばん興味を引かれたのは、予言の内容が当たる当たらないというようなことよりも、タラビッチが見た「神の世界」だ。
歳を取り、もうすぐ死ぬことが分かっている人間としては、現世(物理世界)に対する執着は薄れていき、自分の肉体を構成している量子がばらけた後の世界を想像する時間が増える。
タラビッチが言う「人には2つの顔がある。1つは生まれたときに着る服のようなものだが、もう1つは目には見えない」という言葉の中にも、量子論に通じるものを感じるのだ。

 若いときに美しく壮健な賢者も、歳を取ればどんどん醜く、弱くなる。
 美しく生まれても醜い弱者として死んでいく人生は虚しい。なぜ人は死んでしまうのに生まれてくるのかと、自問しない者はいない。
 長い間、人はそのように生き、死んでいった。
 しかし、死ぬときが命の終わりではない。
 人の「形」は一つではなく二つある。一つは生まれたときに人が自分のために縫う服であり、もう一つは死ぬときに神から与えられるものだ。だから、死んだ後も人はまだ生きている。
 人が持っているもう一つの顔は、目で見ることはできない。
(略)
 それは大地や水のようなものだ。
 水は冬に凍りつくが、春になるとまた吹き出し、流れ出す。大地にはまた新しい花が咲き、野草が芽吹く」

司祭が「そのもう一つの顔」はどのようなものなのかと訊ねると、タラビッチは「それは空中に存在する神の塵のようなもの(some kind of God's dust in the air)だ」というような説明をしたという。
司祭はその説明がまったく理解できなかったと語っている。

しかし、量子論の一端を囓っている現代人には、some kind of God's dust in the air こそ、量子の世界ではないかと想像できる。

電子は人間が観測していると粒子のような挙動をする。観測しないと波のように振る舞う。つまり、電子は、人が見ているか見ていないかで、挙動を変える

Amazonの書籍売れ筋を見ていたら、『死は存在しない』という本が売れているらしい。それも量子論で死を論じようとしているようだ。
タラビッチは19世紀セルビアの小さな村に生きた読み書きができない農夫だった。自動車もテレビもまだない時代に、毎日羊や馬の世話をしながら自然の中で暮らしていた。もちろん量子なんて知っているはずもない。そういう人間のほうが、スマホ漬けの現代人よりも「世界の本質」「実相」を感じることができたのではないか。
そういう視点を持ってクレムナの予言に接すると、当たった当たらないという占いレベルの楽しみ方ではない、知的な娯楽として楽しみ方ができる。
本書にはそういう思いも込めた。

伝われ~(佐久間くん風)

『新釈・クレムナの予言 タラビッチが見た2025年』
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米英は没落し、BRICs中心の世界になるというDeagel2025年予想の解説文を精読してみた2022/11/03 15:09

2025年の世界各国GDPランキング予想 by Deagel
これは一部の人たちの間ではだいぶ前から有名な話題なので、何を今さらと言われるかもしれないが……、

ディーガル(Deagel)という軍事や航空機関連の情報収集・分析をしているシンクタンクサイトがある。2003年からすでに20年近い歴史があり、それなりに評価されているようだ。
素性はよく分からないのだが、私は勝手に、若い中国系アメリカ人の軍事オタクとか、インテリ退役軍人のグループが運営しているのではないかなどと想像している。
このサイトが、2025年に世界各国がどのように変化しているかの予測というのを2014年から出していて、2020年8月に内容を更新した

各数字は左から人口、GDP(×百万USドル)、軍事費(×百万USドル)、USドルにおける購買力平価 (Power Purchase Parity)。上段が2025年の予測で、下段は2017年の実績。GDPの多い順に並べている
※USドル換算の購買力平価(PPP)=その国である価格で買える商品が米ドルならいくらで買えるかを示す交換レート
それ↑によれば2025年、アメリカは人口もGDPも日本より下位に落ちるらしい。人口にいたっては3億2000万人以上いたのが1億人を割り込むというのだから、ほとんどの人は「そんなバカな!」と笑い飛ばすに違いない。

↑見やすいように、人口とGDPの部分だけ切り取ってみた。アメリカは人口1億人を割り込み、GDPも87%減らしてブラジルより下位になっている。2019年にGDP世界5位だったドイツは22位で、この図の圏外にまで陥落している


↑これは2019年時点での実質GDPランキング。数字は左から人口(百万人)、実質GDP(PPP×人口 10億USドル)、公称GDP(10億USドル、軍事費(10億USドル)、USドルでの購買力平価(PPP)

アメリカが壊滅的な崩壊をする一方で、インド、ブラジル、インドネシア、メキシコ、パキスタンといった国々が人口もGDPも増やしている。
ヨーロッパは、フランスとイタリアがGDPトップ10に踏みとどまっている一方で、ドイツは22位でマレーシア、ナイジェリア、フィリピンよりも下位。英国にいたってはペルー(40位)やカザフスタン(43位)よりも下位の47位で、6500万人いた人口を5000万人減らし、1500万人に満たない小国に落ちぶれることになっている。

このトンデモな予想内容ゆえに、ネット上ではずいぶんと話題になっていた。

で、なぜこのような予想をするのかという理由について、サイトに掲載された解説(note)の全文を、改めてていねいに読んでみた。
Google翻訳だけでも十分に通じるのだが、以下、読みやすくするために一部意訳を交えて訳してみる。

There have been many questions about the countries forecast specially the one focusing on the United States of America (USA). They won't be answered one by one but below you can find some explanation, thoughts and reflections. We are going to keep this as short as possible.
特にアメリカ合衆国 (USA) に焦点を当てた国の予測について多くの質問がありました。 1つずつ回答することはできませんが、以下にいくつかの説明、考え、考察を極力簡単に示します。

The majority of the economic and demographic data used in the making of the forecasts is widely available by institutions such as the CIA, IMF, UN, USG, etc. You can see the most relevant data at every single country's page.
予測の作成に使用される経済および人口統計データの大部分は、CIA、IMF、国連、米国政府などの機関によって広く利用可能です。最も関連性の高いデータは、すべての国のページで確認できます。

There is a tiny part of data coming from a variety of shadow sources such as Internet gurus, unsigned reports and others. But all these sources are from the internet and are of public domain for at least a minority.
データの一部は、インターネットの専門家、署名のないレポートなど、さまざまな影の情報源(shadow sources)から得たものです。これらの情報源はすべてインターネットからのものであり、少なくとも少数派にとっては共通認識になっています。

For example, several years ago Dagong, the Chinese ratings agency, published a report analyzing the physical economy of the States comparing it with those of China, Germany and Japan.
The conclusion was that the US GDP was something between $5 to $10 trillion instead of $15 trillion as officially reported by the USG.
たとえば、数年前、中国の格付け機関である Dagong は、米国の実際の経済状況を分析し、中国、ドイツ、日本と比較したレポートを発表しました。その結果、米国の GDP は、米国政府によって公式に報告されている 15 兆ドルではなく、5 兆ドルから 10 兆ドルの間であると結論づけました。

We assume that the official data, especially economic, released by governments is fake, cooked or distorted in some degree.
私たちは、政府が発表した公式データ、特に経済データは、偽物であり、加工あるいはかなり歪曲されたものだと思っています。

Historically it is well known that the former Soviet Union was making up fake statistics years before its collapse. Western as well as other countries are making up their numbers today to conceal their real state of affairs.
歴史を振り返ってみても、旧ソ連は崩壊する前、何年もの間、偽の統計をでっち上げていたことはよく知られています。

We are sure that many people out there can find government statistics in their own countries that by their own personal experience are hard to believe or are so optimistic that may belong to a different country.
西側諸国を含む他の国々だって同じです。みなさん自国の政府が発表している公式統計は信頼できると思っていますが、それはあまりに楽観的です。あなたは自分が思っているのとは違う国にいるのかもしれません。

Despite the numeric data "quantity" there is a "quality" model which has not a direct translation into numeric data.
数値データはたくさんありますが、そうした数値データには直接変換されない「本質」というモデルがあります。

The 2014 strain of Ebola has a death rate of 50-60% but try to imagine what would happen if there is a pandemic of Ebola with hundreds of thousands or millions infected with the virus.
たとえば、2014年のエボラ出血熱の致死率は 50 ~ 60%(=数値データ)ですが、エボラ出血熱のパンデミックが発生し、何十万何百万もの感染者が出た場合はどうなるか想像してみてください(=「本質」モデル)。

So far the few cases of Ebola-infected people have "enjoyed" intensive healthcare with anti-viral and breathing assistance but above all with abundant human support by Physicians and nurses. In a pandemic scenario that kind of healthcare won't be available for the overwhelming number of infected leading to a dramatic increase of the death rate due to the lack of proper healthcare.
これまでのところエボラ感染者は少数だったので、抗ウイルス薬や呼吸補助による集中医療の恩恵を受けられましたし、何よりも医師や看護師によるこれでもかというほどの人的支援を受けることができました。しかし、パンデミックのシナリオでは、そのような医療は圧倒的な数の感染者に対して到底無理です。適切な医療が受けられず、死亡率は劇的に増加します。

The "quality" factor is that the death rate could increase to 80-90% in a pandemic scenario from the stated 50-60% rate. The figure itself is not important what is relevant is the fact that the scenario can evolve beyond the initial conditions from a 50% death toll to more than 90%. By the way, no pandemic or nuclear war is included in the forecast.
この場合の「本質」的要因は、パンデミックのシナリオでは、死亡率が50~60%から80~90%に増加する可能性があるということです。数字自体は重要ではありません。重要な問題は、シナリオが初期条件を超えれば、50% の死亡者数から 90% 以上に発展する可能性があるという事実です。
ちなみに、本予測にはパンデミックや核戦争は含まれていません

The key element to understand the process that the USA will enter in the upcoming decade is migration.
米国が次の 10 年に入るプロセスを理解するための重要な要素は「移民」です。

In the past, specially in the 20th century, the key factor that allowed the USA to rise to its colossus status was immigration with the benefits of a demographic expansion supporting the credit expansion and the brain drain from the rest of the world benefiting the States.
過去において、特に 20 世紀において、米国がその巨大な地位を確立することを可能にした主な要因は、人口増加による信用拡大と、世界の他の各地からの移民による頭脳流出が米国にもたらした利益です。

The collapse of the Western financial system will wipe out the standard of living of its population while ending ponzi schemes such as the stock exchange and the pension funds.
しかし、西側の金融システムの崩壊によって株式取引や年金基金などのネズミ講的な投資詐欺は終わりを告げ、国民の生活水準は完全に破壊されます。

The population will be hit so badly by a full array of bubbles and ponzi schemes that the migration engine will start to work in reverse accelerating itself due to ripple effects thus leading to the demise of the States.
今後は金融バブルと詐欺的投資が見事に絡み合い、移民の動機が逆方向に働くため、米国の人口は劇的に減少するでしょう。結果、米国は崩壊します。

This unseen situation for the States will develop itself in a cascade pattern with unprecedented and devastating effects for the economy.
米国にとってのこの目に見えない状況は、雪崩をうつように進み、経済に前例のない壊滅的な影響をもたらします。

Jobs offshoring will surely end with many American Corporations relocating overseas thus becoming foreign Corporations!!!! We see a significant part of the American population migrating to Latin America and Asia while migration to Europe - suffering a similar illness - won't be relevant.
多くの米国企業が海外に移転し、米国への仕事の発注はなくなります。その結果、米国企業は外国企業になってしまうのです!!! 人口の大多数は中南米やアジアに移動します。ヨーロッパは米国と同じ病を患っているので移住先にはなりません。

Nevertheless the death toll will be horrible. Take into account that the Soviet Union's population was poorer than the Americans nowadays or even then. The ex-Soviets suffered during the following struggle in the 1990s with a significant death toll and the loss of national pride.
しかし、移住できる人はまだいいのです。死者は怖ろしい数になるでしょう。旧ソビエト連邦の人口は、現在の、あるいは当時のアメリカの人口より少なかったことを思いだしてください。旧ソ連は、1990 年代に続いた地獄の苦しみの中で、膨大な人口と国としての誇りを失いました。

Might we say "Twice the pride, double the fall"? Nope. The American standard of living is one of the highest, far more than double of the Soviets while having added a services economy that will be gone along with the financial system. When pensioners see their retirement disappear in front of their eyes and there are no servicing jobs you can imagine what is going to happen next.
「プライドを倍増すれば失うものも倍になる」とでも言えばいいのでしょうか? いえいえ、現在、米国の生活水準は世界最高のレベルにあり、旧ソ連の2倍をはるかに超えています。しかしそれは「サービス経済」(実質的な製造・生産を伴わず、人的サービスによる経済)の賜物であり、今後、金融システムとともに失われます。年金受給者は老後の年金暮らしが目の前で消え、人的サービスという仕事そのものが目の前で消えていくのを経験します。さて、その後は何が起こるでしょうか。容易に想像できますよね。

At least younger people can migrate. Never in human history were so many elders among the population. In past centuries people were lucky to get to their 30s or 40s. The American downfall is set to be far worse than the Soviet Union's one. A confluence of crisis with a devastating result.
それでも、若い世代の人たちは移住できるかもしれません。しかし、現代は高齢社会です。人類史上、人口の中にこれほど多くの高齢者がいたことはありませんでした。過去何世紀にもわたって、人々は 30 代または 40 代になることができて幸運でした。米国の没落・滅亡は、旧ソ連のそれよりはるかに悲惨なものになるでしょう。現在の米国の危機は壊滅的な結果に至るのです。

The Demographic crisis in the former Soviet Union countries has extended for over two decades, if we accept that it ended early in this decade (2010s). The demographic crisis will hit the World in the near future and is projected to last between three and eight decades more or less depending on technological breakthrough and environmental issues.
旧ソ連諸国の人口危機は20年以上にわたって続きました。この 10 年間 (2010年代) の早い段階で終わっているとすれば、の話ですが。
人口激減の危機は近い将来に世界中を襲い、技術の進歩や環境問題が多少影響するとしても、30 年から 80 年程度続くと予測されています。

The aftermath is more likely a frozen picture with the population numbers staying the same for a very, very long period of time.
こうした人口動態の余波はその後も長期間続き、結果的には世界人口はほぼ同じ数を維持する可能性が高いでしょう。

The countries forecast population numbers do reflect birth/deaths but also migratory movements. Many countries are going to increase their gross population due to immigration while their native population may shrink.
各国の人口予測は、出生数/死亡数だけでなく、移住者の動態に影響されます。多くの国で、移民によって総人口が増加する一方で、元々の自国民人口は減少するでしょう。

Over the past two thousand years we have witnessed the Western civilization built around the Mediterranean Sea shifting to Northern Europe and then by the mid 20th century shifting to an Atlantic axis to finally get centered into the States in the past 30 years.
過去2000年にわたる歴史を紐解けば、地中海周辺に構築された西洋文明が北ヨーロッパに波及し、次にそれが20 世紀半ばまでに大西洋側に伸びて、過去 30 年間で最終的にアメリカに集中しました。

The next move will see the civilization being centered in Asia with Russia and China on top. Historically a change in the economic paradigm has resulted in a death toll that is rarely highlighted by mainstream historians.
次の動きは、文明がアジアに集中し、ロシアと中国がその頂点に立つことです。歴史的に見て、経済パラダイムの変化がもたらす死者数は、著名な歴史家たちでさえ予測できないほどの数に上りました。

When the transition from rural areas to large cities happened in Europe many people unable to accept the new paradigm killed themselves. They killed themselves by a psychological factor. This is not mainstream but it is true. A new crisis joins old, well known patterns with new ones.
ヨーロッパで地方の農村地帯から大都市への人口移動が起きたとき、新しい生活への変化を受け入れることができなかった多くの人々が自滅しました。彼らは変化に精神がついていけずに自滅したのです。これが歴史の本流というわけではありませんが、実際に起きたことです。要するに、新たな危機といっても、古くから知られている危機の繰り返しなのです。

Sorry to disappoint many of you with our forecast. It is getting worse and worse every year since the beginning of the pre-crisis in 2007.
私たちの予想で多くの皆様を失望させてしまい申し訳ありません。2007 年の危機の前触れ開始以来、状況は毎年ますます悪化しています。

It is already said that this website is non-profit, built on spare time and we provide our information and services AS IS without further explanations and/or guarantees.
この Web サイトは非営利であり、本業以外の空き時間に構築されており、私たちが提供する情報やサービスはありのままのものですが、詳細な説明や保証はされません。
We are not linked to any government in any way, shape or form. We are not a death or satanic cult or arms dealers as some BS is floating around the internet on this topic. Take into account that the forecast is nothing more than a model whether flawed or correct. It is not God's word or a magic device that allows to foresee the future.
Sunday, October 26th, 2014
しかし、私たちは、いかなる形においても、いかなる政府とも関係がありません。ネット上ではこのテーマに関して、私たちを悪魔的カルト組織だの武器商人だなどという戯言も一部乱れ飛んでいるようですが、決してそのようなものではありません。
欠陥があろうが正しかろうが、予測は予測にすぎないということをご了承ください。ここに示したことは、神の言葉でも、未来を予知できる魔法の装置でもないのですから。
2014年10月26日 日曜日

英米は没落し、BRICs中心の世界になっていく

……予測の数値は極端だが、この解説に示している考え方は概ね間違ってはいないように思える。
実際、現在の状況を見る限り、米国とNATO諸国の狂ったような自殺行為は、閾値を超えた時点で一気に世界を激変させる可能性が高い。
「文明がアジアに集中し、ロシアと中国がその頂点に立つ」という予測も、実際その通りに進んでいるように見える。
しかし、ロシアも中国も「世界制服」をしようというよりも、米国中心の詐欺的世界経済にほとほと嫌気がさしていて、自分たちの生存権をかけて、多極化世界を作ろうとしているように思える。
プーチンも習近平も、スターリンや毛沢東よりはるかに頭がよく、したたかなことは確かだ。
現在、核兵器を使うような常軌を逸した行動に出るかもしれない最も危険な国は米国だろう。(その場合は自国からは発射せず、ヨーロッパのどこかから発射するだろう)
アメリカの政府中枢が劣化していることは間違いないが、その末期症状の国に完全服従している日本が生き残れるのか?
日本の政府および野党も含めた政治家たちが、劣化したアメリカ政府よりはるかにどうしようもないことは疑いがない。ほんの少しの望みがあるとすれば、良心を捨てきれないまともな官僚が、面従腹背ののらりくらり戦法でアメリカを懐柔しつつ、BRICS諸国と裏でこっそり密約を結ぶなどして、うまく生き延びる道を探ることくらいだろうか。
2025年の日本がGDP世界4位にとどまっているというディーガルの予想が当たるとしたら、そうした奇跡的な結果でしかありえないと思うが、今の日本の状況を見ていると、いくらなんでも甘いのではないかと悲観してしまう。

Deagel予想は、moneyというものの本質は何なのか?という本質的な問題を突きつけている。
金(きん)や銀などの稀少金属が換算尺度だった時代が終わって、数字が印刷された紙きれになり、今は紙という物質でさえない電子データ上の数字に過ぎなくなっている。スマホのアプリで銀行口座に100万円入っていると表示される人は「100万円持っているとみなす」ということだ。
この詐欺的手法が通用しなくなり、資源や生産能力という「実質」がそのまま反映される社会に戻ったとき、米国一国支配が消えるという話は何の不思議もない。
国力の指標は人口とそれを支える資源と生産能力であるという至極あたりまえの考え方に立てば、人口は多くても資源が乏しい日本が新しい世界経済社会の中でGDP4位を保てるという根拠はなんなのだろう。

ともあれ、2025年……3年後の世界はどうなっているのか。いや、もう2年とちょっとだ。あっという間にやってくる2025年の世界を、見届けられるのかなあ。

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本日よりいよいよ新電力各社は事実上「終了~!」2022/11/01 15:13

今日11月1日は、ENEOSでんき、auでんき、ソフトバンクでんきなど、多くの新電力事業者が「燃料調整費」の上限撤廃を開始する日だ。
新電力事業者だけではない。10電力会社のうち沖縄電力を除く9社でも、自由化以降に設定した様々な新料金コースの燃料調整費上限額を撤廃している(東京電力、北陸電力、関西電力、中国電力、九州電力はすでに廃止。四国電力は11月より、北海道、東北、中部の3社は12月より撤廃。沖縄電力は上限額があるとはいえ、燃料調整費単価が11月時点で17.06円/kwで、九州電力の6.82円/kwの倍以上)。
楽天でんき(プランS、プランM、動力プラン)やLooopでんきは、すでに燃料費調整制度の上限設定を廃止している(Looopでんきは今年3月、楽天でんきは今年6月)。その上で、今後は燃料費調整単価を日本卸電力取引所(JEPX)の電力取引価格に連動した市場価格調整単価に変更するとしている。
日本卸電力取引所(JEPX)の取引価格は30分ごとに変動し、それが「従量料金」の部分にまで及ぶ仕組みらしい。
これにより、今後は燃料費の高騰が続くと電気料金が毎月際限なく値上げされていく。

新電力がスタートした当時と今では何が違うのか

電力の小売り事業が自由化されたのは2016年4月のことだ。
それまではいわゆる10電力会社が担当地域で独占的に事業を展開していて、一般消費者は電力会社を選べなかった。
当時の日記を振り返ってみると、いくつかこのことに触れている記述があった。
2016年3月16日の日記
2016年4月8日の日記
2016年4月8日の日記にはこんなことも書いてあった。
例えば、自社が作る電力の6割が再生可能エネルギーであるということをPRしている事業者がある。
再エネの比率がそこまで高いということは、言い換えれば、その事業者が自社で発電している電気の総量はわずかであり、多くは提携先である大電力会社(例えば東京電力)に依存しているということを意味している。
つまり、原発の電気を使うのは嫌だから、電気代が高くついても再生可能エネルギーを中心とした事業者と契約するという「意識の高い」人が増えれば増えるほど、その新電力事業者が提携している(原発を抱えている)大電力会社が発電している電気が契約者に回されることになる。
中には、契約した新電力事業者の「電源構成比」通りの電気が自分の家に届くと思い込んでいる人もいる。送電網が今までと同じ(東京電力管内なら東電の送電網)なのだから、そんなことありえないことくらい、ちょっと考えれば分かりそうなものだろうに。
↑自社での発電実績が乏しくても「再エネ比率」が高いとPRする事業者を選ぶとこうなる。ちなみに再エネ比率で謳っている数字は「設備容量」だから、実際にはその数分の1しか発電できない。

実際、今回の新電力事業者の相次ぐ倒産や撤退、燃料調整費上限撤廃などで、このことがきれいに実証された形になった。
例えば⇒この事業者は「環境にやさしい太陽光のでんきで暮らそう」がキャッチフレーズで「燃料調整費なし」だったが、電力取引価格高騰により2022年2月に新規受付停止、9月からは燃料費調整を導入して大幅値上げとなり、従来の契約者にとっても大手電力会社との契約より大幅に割高な料金になっていて、事実上「死に体」といえる。

Selectraのサイトより

そもそも、2016年当時はまだ「少し高くても再生可能エネルギーを重視している事業者の電気を使いたい」などと言っていた人たちも、今はそんな余裕などないだろう。

電力自由化以降の電気料金の仕組み

東京電力mp場合、電力自由化前からある一般家庭向け契約は「従量電灯B」(60A以下)というもので、料金体系は以下のようになっている。
↑これに「燃料費調整額」と「再生可能エネルギー発電促進賦課金」が加わったものが請求される。

この「燃料費調整額」というのが曲者で、これは「燃料費調整単価(1klあたりの平均燃料価格)」によってプラスのときもあればマイナスのときもある。
新電力会社ではこの「燃料費調整額」の部分が大手電力会社の従量電灯契約より安かったため、トータルの料金は概ね安くなったわけだ。
我が家が契約しているENEOSでんきの場合、この「燃料費調整単価」の上限は東電と同じ66300円/klに設定されていて、仮に燃料調達非が高騰して66300円/klより高くなってしまった場合は66300円で算定される。つまり「天井」が設定されている。
これは東電の従量電灯Bもまったく同じで、66300円/klが上限となっている。
↑10電力会社の燃料調整費単価の変化。東電の場合、今年1月まではマイナスだった
我が家の過去の電気料金支払明細をチェックしたところ、ENEOSでんきは燃料調整費単価を東電と同じにしているため、今年の1月までは燃料調整費はマイナスを維持していた。
ENEOSでんきは、こういう作業を明解にできるようにWEB上にデータをしっかり残し、いつでも参照できるようにしているところがエライ。
また、東電の新料金コースはすでに燃料調整費上限を撤廃しているのに、ENEOSでんきはこの10月まで撤廃せずに持ちこたえていたのだから、相当健闘したともいえる。
しかし、ついに耐えきれず、11月1日から、燃料調整費上限額の66300円/klを撤廃すると通告してきたわけだ。
東電の従量電灯形式以外のコースでは、12月の燃料調整費は11.92円/kWhと発表されている(11月に比べて2.20円UP)。上限設定ありの場合(5.13円/kw)の倍以上だ。
これが真冬や真夏の消費電力が多い月にのしかかってきたらとてつもない金額になる。

↑昨年1月と今年1月の明細比較
↑これを見ると一目瞭然だ。昨年1月より今年1月のほうが消費電力が9kw少ないが、燃料調整費のマイナス額が10倍違うので、トータルでは逆に4500円くらい高くなっている。それでもまだ燃料調整費はマイナス値にとどまっている。

これが9月になるとこうなっていた↓

↑昨年9月と今年9月の明細比較
↑今年のほうが12kw少ないが、1年前と比べて燃料調整費がマイナス952円からプラス1831円へと2783円も上がっている。冷暖房をほとんど使わずに済んでいる9月でもこれだから、真冬にはどうなるか想像するだに怖ろしい。

↑我が家の過去1年ごとの消費量と料金↓の比較
↑使用量はあまり変わらないが、料金は確実に上がっている↓


我が家の場合、今年9月の燃料調整費が357kwで1831円だが、燃料調整費上限額の66300円/klがあるからその程度で済んでいるわけで、上限額がなければその倍くらいになっているはずだ。
円安や原油や天然ガスなど地下資源輸入価格の高騰は当分止まらないだろう。
つまりは、燃料調整費上限なしや、市場価格連動による電気料金では、電気料金の上昇に歯止めがかからない
特に市場価格連動の料金体系は、突然電気料金が10倍になるなどという事態も過去に起きているわけで、これから先は悲惨なことになるだろう。
はっきり書いてしまえば、新電力会社はすでに「終了~!」になってしまっていると言ってもいい。

燃料費調整額上限撤廃の悪夢から逃れる方法

さて、末期症状になっている日本で、少しでも電気料金高騰による資産喪失を減らすにはどうすればいいか。
市場価格連動型は論外だが、燃料調整費に上限を設けている、あるいは燃料調整費そのものがない契約形態に切り替えるしかない。
新電力会社の契約コースからはそういう形態が消えてしまった。現在生き残っているのは、従来の「従量電灯」契約(燃料費調整額の上限あり)か、東電の「アクアエナジー100」(燃料費調整費そのものがない)という契約コースくらいである。

「アクアエナジー100」は、「東京電力グループの一般水力発電所(揚水発電およびFIT電気を除く)で発電されたものとみなされる電気」が「お客さまがお使いになる電気の量を常時上回ることをもって、水力100%の電気とみなす」という契約形態らしい。
FIT電気というのは、再エネの優遇を受けて高額で買い取られている電気のこと。そういう不公平な電気ではない、従来型の水力発電からの電気だけでまかなうと「みなす」というわけだ。
もちろんこれはあくまでも計算の上でのことで、実際に水力発電からの電気が分離されて契約者のもとに届くわけではない。しかし「みなす」と言う以上、このコースの契約者による電力消費量は従来型水力発電の発電量より少なくなければいけない。つまりは、現在の水力発電による発電量を超える契約はしないということになるはずだ。
水力発電からの電気だけでまかなうと「みなす」わけだから、当然「燃料」を使っていないことになり、燃料調整費も存在しないことになる。その分、基本契約料が高く設定されている。

従量電灯Bか「アクアエナジー100」か?

東京電力管轄地域以外の電力会社では「アクアエナジー100」のような契約コースはないので、燃料調整費上限のある従量電灯形式に戻すしかない。
東電の「アクアエナジー100」と従量電灯Bでどちらが安くなるかの分岐点を現在の燃料調整費単価上限価格5.13円/kwで計算すると、
30A契約で使用電気量が300kwの場合:

従量電灯B:858+19.88×120+23.83×180+5.13×300=858円(基本料金)+6675円(使用量料金)+1539円(燃料調整費上限)=9072円

「アクアエナジー100」:1683円(基本料金)+23.83×300(使用量料金)=8832円

これに加わる再エネ賦課金は同額なので、概ね300kwを超えて電気を使っている家庭では、基本料金がおよそ倍であっても「アクアエナジー100」のほうが得であるということになる。
これが燃料費調整上限がなくて、例えば10円/kwだとすれば、300kwの燃料調整費は3000円になる。

ENEOSでんきが東電と同じ燃料調整費上限額(5.13円/kWh)を設定していた間は従量電灯BよりENEOSでんきのほうが安かったが、今月からはそうではなくなる。
これを避けるために、目下、新電力で契約している人たちの多くが従来の従量電灯Bに契約を戻しているが、なぜか東電では従量電灯方式への変更はWEBでは受け付けず、電話での申し込みのみらしい。少しでも受入数を減らしたいということなのだろうか。

……というわけで、現在のところ、新電力や10電力会社の新料金コースから乗り替えて燃料高騰の悪夢から少しでも逃れるには、従量電灯か東電の「アクアエナジー100」の二択となる。
「アクアエナジー100」はコースの設定趣旨からいって今後燃料調整費を導入することはないと思う。しかし、現在一律23.83円/kwの従量料金を値上げすることは十分に考えられる。そのへんが落とし穴だろうか。
将来、燃料費が昨年以前のレベルにまで下げ戻った場合も、従量電灯Bより割高になる可能性があるが、今の世界情勢を見れば、おそらくそんなに甘くはない。
というわけで、東電が「アクアエナジー100」の新規契約を打ち切るのは時間の問題だろう。
我が家では即対応したが、まだまだこの仕組みを理解できずにグズグズしている家庭が多いと思う。
気づかないうちにとんでもない電気料金が引き落とされているなんてことにならないよう、今すぐ真剣にチェックしたほうがいい。


最後に付け加えておきたいのは、こういう事態を招いた要因は何か、ということだ。
燃料が高騰しているから仕方がない……ではない。
燃料に限らず、輸入品の暴騰や極端な円安を招いたのは、盲目的な米国追従の対露制裁参加や、経済政策の失敗、包括原価方式や再エネ賦課金などの詐欺的な国内エネルギー政策の結果である。
新コロ騒ぎによる悪政で税金をどぶに捨てたことも響いている。
こういう危機を少しでも回避するためにうまく立ち回るのが政治の役割ではないのか。

この冬、ヨーロッパがどういうことになるか、しっかり見ておく必要がある。後追いする義理はさらさらないはずだ。

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熱海の土石流は「犯罪事件」である2021/07/12 20:20

NHK「クローズアップ現代」より
NHK 「クローズアップ現代・カメラが捉えた脅威 緊急報告・熱海土石流」より(映像は今回の現場ではなく、過去に起きた京都の事例からのもの)
デタラメな太陽光発電所、風力発電所の建設がどれだけこの国を壊しているか、日本のメディアは、実態を絶対に伝えようとしない。
「再生可能エネルギー」という言葉が聖なる言葉になってしまっていて、不都合なニュースを最小限に伝えるときも「地球温暖化対策のために再生可能エネルギーの普及は不可欠ですが……」みたいな枕詞をつける。
不可欠でもなんでもないし、今のようなことを続けていたら、資源小国の日本は取り返しのつかないことになる。いつまでこんなバカなことをやり続けるつもりなのか。

熱海市で起きた「土石流」事件では、数十人の死者・行方不明者が出た。
原因は明らかで、
  • 沢の上流の谷に残土や産廃を投棄して埋めてしまったこと
  • 山の尾根筋を削って太陽光発電パネルを敷き詰めたこと
の2つだ。
しかし、メディアは「盛り土」という言葉を繰り返すばかりで、問題の本質を意識的に避けている感がある。
「原因はまだ特定できませんが……」というフレーズを繰り返す。

テレビには連日、「専門家」と呼ばれる人たちが入れ替わり立ち替わり登場するのだが、言うことが全部違う。
崩れた場所に見えている黒い土を指して「これが火山灰起因の本来の固い地層」という人がいるかと思えば、「火山灰土がこんなに黒いはずはないので、何か脂分を含んだ残土や産廃起因ではないか」という人もいる。どちらも「地質学者」なのだそうだ。

すぐ隣のソーラー発電施設は、当初、わざとテレビの画面に映らないようにしていたフシがある。
ようやく原因の一つである可能性に触れた学者が現れたが、案の定、その後、この説をフォローする報道はマスメディアからはほとんど出てこなかった。
別の学者はそのソーラー発電所脇に亀裂のような凹みがあるのを指して、「隣の盛り土が崩れたので引っ張られるようにして亀裂が生じている」と解説していた。
……いや、これはおそらく崩落の前からあったものだろう。今回のことでえぐれが広がっているとしても、だ。
田舎に暮らしている人ならみんな知っている。山に道を造れば、大雨が降ったときに流れる水で土がえぐれ、溝が掘られるのだ。そこを水が流れていって、どんどんえぐっていく。
だから、川内村に住んでいたときは、自分で私道の脇に雨水の通路を掘っておかなければならなかった。何もしないと道の真ん中を雨水が流れて溝が掘られてしまうため、車が通れなくなるのだ。
それを、ずっと前からその道の奥に棲んでいる人に言われて、道の横にシャベルで側溝を掘り、それが埋まらないように、ときどき掘り起こしていた。
こういう水の逃げ道がないと、道や斜面が大規模に崩落する。
都会の「専門家」って、そういう基本的な生活感もないままに理論だけで勝手に推理するような人が多いのだなぁと、改めて思った。
南伊豆の風車被害を見に行ったときも、現地の住民に教えてもらった。風車を建てるために山に道を造ったため、そこが雨水の道になってしまって土砂が上から流れてきて被害が生じた、と。
それで、慌てて「沈砂池」を道路の横に造ったけれど、たちまちそこも埋まってあふれてしまった、と。

山にウィンドファームやメガソーラーを作るな!

これは全国の風力発電・太陽光発電建設現場で起きている典型的な公害なのだが、メディアはほとんど報道しない。
私が2011年まで住んでいた川内村に隣接する滝根小白井ウィンドファームでも、建設中から降雨後の泥水流出がひどく、下流の夏井川では岩魚や山女が産卵できなくなり、夏井川漁協が事業者に補償を求めた。

↑風力発電施設工事のとき、大量の泥水が海や住宅地に流れ込んだため、対策として作られた「沈砂池」。しかし、大雨の後はこれもたちまちあふれてしまい、さらにもう一つ作る羽目に。写真は2010年1月、南伊豆にて


土木学会特別上級技術者の塩坂邦夫氏は、今回の熱海土砂詐害事件について、周辺の宅地開発・メガソーラー建設で、山の尾根が伐採され、土も削られたことで保水力が失われ、雨水の流れ道も変わってしまったことも一因、と指摘した。
それに対して、難波喬司・静岡県副知事(元・国土交通省大臣官房技術総括審議官)は、「そんなに広い地域の水が集まっていれば大洪水になっているはずだ」として塩坂氏の見解を否定した、という(盛り土崩落、宅地開発影響か 2021/07/09 時事通信社)

↑TBS『ゴゴスマ』で、自らのチームがドローンで撮影した映像を元に、今回の崩落原因を推理する塩坂氏。
ソーラーパネル設置のために削られた尾根は崩落現場より上にあり、ソーラーの建設道路が雨樋のように雨水を流すことになった可能性が指摘された。


崩落現場のすぐ隣りの尾根を削って建設された太陽光発電所。


塩坂氏はその後、7月9日には静岡県庁で記者会見し、「周辺の宅地開発で尾根が削られて水の流れが変わり、従来の範囲よりも広い地域から大量の雨水が盛り土一帯に流れ込んだ」と結論づけた。

現地調査に基づき「人災だ」と見解を公表した地質学者の塩坂邦雄さん(76)は9日、県庁での記者会見で、造成で尾根が削られたことによって雨水の流れ込む範囲(集水域)が変化、盛り土側に雨水が流入した結果、土石流を誘発したと分析した。
(略)
 塩坂氏は、盛り土付近の造成で尾根が削られたことにより、逢初川の集水域よりさらに北部にある、鳴沢川の集水域約20万平方メートルに降った雨も、盛り土側に流れ込んだと分析している。造成地側から盛り土側に水が流れた跡も確認したという。
(略)
河川の流域の一部分を別の河川が奪う地理的現象で、造成によって水の流れが変化し、逢初川よりも北部の鳴沢川に流れ込むはずの雨水が、谷を埋めた盛り土に流入。雨水が逢初川側に流れ込んだと主張した。
2021/07/09 熱海土石流 造成が誘発した人為的な「河川争奪」地質学者が指摘 毎日新聞

熱海の土砂災害を引き起こした背景は「モリカケサクラ」と同じ構図

山の頂上や尾根を伐採すると保水力や地下水脈が変わってしまい、土砂災害の原因となる、というのは、広く知られたことである。
それなのになぜ、国や熱海市は尾根筋の伐採・掘削や谷への残土・産廃の投棄を放置してきたのか。

マスコミが触れようとしないので、ネットで検索するしかない。
すると、すぐに答えが出てきた木下黄太氏のブログ記事三品純氏の記事にしっかり書かれていた。

まず、谷に残土や産廃を投棄して埋めた張本人は小田原市では悪名高い不動産業者。
その社長は自民党系の同和団体である「自由同和会神奈川県本部」会長。
ネット上には、2014年、自民党本部で行われた自由同和会中央本部第29回全国大会で議長を務めるこの社長の写真もあって、背景には安倍晋三首相(当時)が「日本を、取り戻す」というスローガンと共に大写しされたポスターが何枚も並んで写っている。

あの辺りの山を無理矢理切り崩して、まず先に道を作っていったんです。
道を作る時に、図面が先にあるわけではなくて、こういう感じがいいんじゃないかみたいな感じで現場で緩く決めていって、それで道ができていくような流れです。その後で測量部の人がやってきて、測量して図面を書くという流れでした。計画がきちんとあるわけではなくて、むしろやったことを、後付で図面を作ってるという話です。まあ適当なんですよ、本当に。
とにかく道路を作れば、その先でまた森を崩して平地を作るみたいな状態です。
だからものすごく土砂が出るんですよ。
そうした現地での開発で出た土砂が捨てられた土砂の大半であったと思います。
木下黄太のブログ 2021/07/09 元社員への取材内容から抜粋)

↑こうしたことは、日本全国の山でごく普通に行われている。私も川内村時代には、そうした現場をたくさん見てきた。
とにかく、山を伐採し、削って平らにすれば、雨水は行き場を失い、土砂と一緒に流れていく。あたりまえのことなのだ。

テレビや新聞が意識的に避けているとしか思えない、これらの記事を読んでいくにつけ、気持ちが悪くなり、ただでさえ体調不良の昨今、見ないでおきたいという思いも強くなる。
しかし、どうもこのままうやむやにされてしまう可能性も出てきたので、議事録や登記簿などからはっきり分かっていること、信用できそうな記事から、ものすごくざっくりとこれまでの経緯をまとめると、↓こうなる。
  • 2006年9月  小田原市の不動産会社S社が伊豆山赤井谷一体を買取りで取得
  • 2007年頃~ 同社は麓側から徐々に工事道路を建設し、尾根筋を伐採、造成し始める
  •       並行して、谷に造成工事で出た土やビル解体などで出た産廃を投棄して埋め始める
  • 2007年7月  台風4号による降雨で、同社が所有し、宅地開発をしていた伊豆山七尾にある熱海市の水道施設調圧槽が同社所有の山林地からの土砂、流木により一部埋没。市は同社に対して土砂、流木の排除対応処理を文書で依頼するも、同社は応じず放置。市議会で問題になる。市議会の建設公営委員会での質疑応答にて、市の担当者は「(相手が)同和系列の会社でございまして、ちょっと普通の民間会社と違いますので……」という答弁。
  • 2009年6月  市議会で再度、同社の危険な開発行為問題について質疑応答あり。この時期、同社は宅地開発を諦めていた様子。熱海市内のホテル解体工事で出た産廃なども谷に埋めていたことを、同社の元社員が証言
  • 2009年11月 同社社長が小田原駅前に所有していたビルの一室を、違法風俗店と知りながら本来の家賃を上乗せして貸していたとして、組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等収受)容疑で神奈川県警に逮捕される。
  • 2011年2月22日 熱海市が同社所有の赤井谷の土地を差し押さえ。
  • 2011年2月25日 不動産、建設関連を複数所有するZ社の社長が買取り。面積は周辺一帯で合計約40万坪。
  • 2013年8月~10月 Z社傘下の複数の会社がZ社が買い取った伊豆山周辺の土地での太陽光発電所建設を申請し認可される。


このZ社の社長は、1989年、1985~87年までの3年間の所得20億4,000万円を8億3,000万円余と過少申告。所得税5億1,200万円を脱税したとして逮捕されている。さらには2004年にも、2003年12月期までの5年半で約4億円の所得隠しを指摘されていたことで摘発され、追徴課税されている。他にも関連会社がアスベストの不法投棄事件とか、もういろいろと……。

ほんとに気分が悪くなってきたので、もうやめたい。
どれもネット上を検索すれば簡単に読めるデータや記事なので、知りたい人はどうぞ探してみてほしい。
現代日本が抱えるさまざまな問題が、これでもかというほど、分かりやすく浮かび上がってくる。



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地震で出てきた週刊プレイボーイと原発爆発後の10年2021/02/14 21:30

2012年3月19日号の週刊プレイボーイ
昨夜遅く(23時過ぎ)、大きな地震があった。
久しぶりに長く、かなり揺れたので、3.11のときの感覚が甦った。
幸い、棚からものが落ちたりギターケースが倒れたりしただけで、大した被害もなく収まったと思っていたが、一夜明けたら、仕事部屋の本棚が大きく歪んで、崩壊寸前になっているのが分かった。
壁に打ち込んでいたビスがすっぽ抜けて、大きな隙間ができている(↑)。

その隙間から週刊プレイボーイが出てきた。

なんでこんなものが? と引っぱり出してみた。何か楽しい写真でものっているのかとパラパラとめくっていくと、自分の写真と目が合ってビックリした。

すっかり記憶から消えている。改めて発売日を確認すると2012年3月のものだ。ということは、日光に引っ越してきてすぐの頃だなあ。

扉の写真は記者に撮られているが、いつどこでインタビューされたのか記憶にない。
改めて記事を読んでみた。3ページしかないので、ものすごく小さな字で組んであり、読みづらい。
 作家のたくき よしみつが7年近く住んだ福島県川内村を離れたのは昨年の3月12日、福島第一原発1号機の爆発映像がテレビに映し出された直後のことだった。
 自宅は原発から25km地点。心臓がバクバクした。放射能被曝の危険が迫っていた。
「逃げるぞ!」
 妻にそう告げると、身の回り品をザックに詰め、車で神奈川県川崎市の仕事場にたどり着いた。
……記事はそんな風に始まっている。

その後の展開について短くまとめると……、
  • 3月26日に線量計を手にして荷物を取りに一度村に戻ったが、実際、村の中の線量は村民が避難した郡山市内より低かった。
  • 地震による被害はほとんどなく、プロパンガスも井戸水も電気も使える。友人たちも村に戻り始めていたので、一緒に村を立て直すことに協力できないかという思いで、4月末に村に戻った。
  • 「失望はしていませんでした。いや、むしろ川内を魅力ある村へと再生させるチャンスかもしれないとさえ思っていたんです」
  • それまでの村は、多くの人が隣町にある福島第一原発、第二原発に関係する仕事をしていて、原発依存度が高かった。そのため、村本来の魅力である豊かな自然を生かして新しい産業やビジネスを興そうという動きが起きなかった。
  • 一方で、大規模風力発電施設、ゴルフリゾート、産業廃棄物処理場などの誘致話には熱心で、その都度、村では賛成派・反対派に分断されていがみ合い、自然環境がじわじわと壊されてきた。
  • そうした空気から脱却して、今度こそ本当の自立した村を作り上げるチャンスではないかと、主に移住者たちと話し合った。
  • しかし、そんな意気込みはすぐに消えた。東電からの補償金・賠償金バブルのようなことが起きて、多くの村民が、「村に戻ったら金がもらえなくなる。それなら今のまま、金をもらい続けて郡山と村を行き来する二重生活を続けたほうが楽だ」と考えるようになってしまったからだ。
  • 補償金の後は、除染ビジネスバブルのようなことも起きた。そっとしておけばまだしも、わざわざ内部被曝の危険を冒すような除染はすべきではない。
  • このままではどうにもならないと判断して、あちこち移転先を捜した末に、日光へ引っ越した。

……といった内容。


この記事や、講談社から出した『裸のフクシマ』という本のおかげで、多くの人たちから非難され、攻撃されたのを思い出す。

現在、川内村は、双葉郡の中ではいち早く立て直しに成功した村として知られる。よくここまで持ち直したな、と思う。隣接する町村に比べて汚染度合が低かったこともあるが、村長の手腕によるところが大きい。
清濁合わせて飲み込んで、難しいバランスをとりながら、着地点を探る。それが政治家の腕であり、求められる資質、精神性なんだと思う。
今、国のトップにいる政治家たちは、あまりにも欲ボケ、権力ボケ、金ボケしすぎている。

記事の最後にはこうある。
原発マネーでシャブ漬けのままでは、いくら帰村宣言をしても川内村の復興はおぼつかない。「原発ぶら下がり症」を克服するには、まず、この原因を作った東電や保安院、原子力委員会、原子力安全委員会、原子力機構などの原発村を解体して人間をすべて入れ替えることが必要です。

これを読んで、今の東京五輪組織委員会の騒動にも同じような構図があると改めて感じた。
「五輪マネー」にトンチンカンな期待をする人たちが、税金を好き放題使って社会を壊していく。その結果、オリンピックは本来の意義、素晴らしさを失い、統制不能の巨大怪物になってしまった。
東京五輪2020は、中止にするにしても、無理矢理無観客開催を強行するにしても、運営する組織のトップは大変な非難に晒され、あらゆる種類の困難に直面する。それを受け止めた上で、なんとか後始末を進め、その後の社会にさらなる悪影響を及ぼさないよう必死に努力しなければならない。それができるような、賢く、タフで、豪腕なリーダーがいるだろうか?
原発爆発後の10年を振り返れば、今からいい方向に軌道修正していける可能性は限りなく低いだろうと、絶望的な気持ちにならざるを得ない。

原発が爆発して、世界中に放射性物質をばらまいた直後の日本で、五輪開催に手をあげ、「復興五輪」だのというお題目をぶち上げた人たち。その傲慢さと無恥を、天はこれ以上許してくれるのだろうか。

今回の地震は、3.11や原発爆発を経験しながら、そこから何も学ばないどころか、開き直って今まで以上の傲慢・強欲な社会を作ってしまったこの国への、天からの最後の警告なのではないかと感じた。
昨日の地震のおかげでこのプレイボーイ誌が出てきたのも、そういうことだったのかもしれない。

『阿武隈梁山泊外伝』

『裸のフクシマ』(講談社刊)の続編ともいうべき実録。阿武隈は3.11前から破壊が進んでいた。
夢や生き甲斐を求めて阿武隈の地へ棲みついた人たちがどのように原発爆発までを過ごし、その後、どのように生きることを決断していったか。
なかなか書けなかった赤裸々な実話、エピソードを時系列で綴った記録。
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