7月23日 東松山市で福島原発問題についての報告講演2011/07/11 11:00

講演会チラシ
7月23日、埼玉県東松山市で福島原発問題についての現地報告講演を行います。

■福島原発事故 現地からの報告■

「福島原発30km圏内に住む」
~いま、何が起こっているのか~
たくき よしみつ

●日時 2011年7月23日(土) 午後2時~4時半
●場所 埼玉県東松山市高坂市民活動センター視聴覚ホール
(東武東上線高坂駅下車 東松山市宮鼻860-2)
●入場無料(定員194名)
●主催 大工塾ネットワーク 協同組合「杢人の会」
●問い合わせ先 東松山市松山2339-3 080-1151-9100 みやうち
http://mokujin-no-kai.com/

原発村の実行部隊隊長・田中俊一 これが日本を騙し続けてきた手口だ2011/07/28 21:21


憤っていた人は僕だけではなかったようで、さっそくYouTubeにアップされていました。削除される前にぜひ見てください。
これ以上の説教強盗はない、というくらい見事な犯罪手口。
原子力委員会前委員長代理・元日本原子力学会長・元日本原子力研究開発機構特別顧問……といったバリバリの原子力推進人生を歩んできた大物・田中俊一氏(工学博士)が飯舘村長泥地区の区長の家に乗り込み、「村を除染するには、村に産廃場みたいなものを作って……」ともちかけるシーン。
すでに放射性物質で汚染されたゴミを捨てる「産廃のようなもの」を作る気満々で、設計図まで持っている。 しかも、訪れているのは役場ではなく区長の家。
原発、風発でさんざんやってきた手口とまったく同じ。
自分たちが騙してきた原発詐欺で日本がこんなことになっているのに、薄笑いを浮かべながら「これを作らないと帰れなくなっちゃうよ」と区長を籠絡する。
シロアリを他人の家の床下に撒いて、「お宅にはシロアリがいますね。駆除するには……」って持ちかける詐欺商法の究極兇悪バージョン。
田中俊一は原発推進をしてきた立場を「懺悔」して、これからは除染に努力するとか言っているが、その「懺悔」は、国民への懺悔ではなく、自分が所属していた原子力村への懺悔であることは明々白々。
「へまをしてしまって利権共同体の仲間たちに迷惑をかけた。お詫びとして、今度は自分が率先して詐欺実行部隊の先頭に立って動くよ」という懺悔。
東北の人たち、特に汚染された自治体の首長たちよ、この手口にまた乗っかるのか?
目を覚ましてくれ!

児玉龍彦氏の怒りの発言 2011年7月27日 衆院厚労委員会にて2011/07/29 16:40


全国民に見てほしい。
これがまともな学者の姿。


次に児玉参考人にお願いいたします

私は東京大学アイソトープ総合センター長の児玉ですが
3月15日に大変に驚愕いたしました

私ども東京大学には27か所のアイソトープセンターがあり
放射線の防護とその除染などの責任を負っております
それで、私自身は内科の医者でして、東大病院の放射線施設の除染などに
ずっと、数十年かかわっております

3月15日に、ここの図にちょっと書いてあるんですが
我々最初にまず午前9時ごろ東海村で5μシーベルトという線量を経験しまして
それを第10条通報という、文科省に直ちに通報いたしました
その後東京で0.5μシーベルトを超える線量が検出されました
これは一過性に下がりまして
次は3月21日に東京で雨が降り、0,2μシーベルト等の線量が降下し
これが今日に至るまで高い線量の原因になっていると思っています

それでこの時に枝野官房長官が
「さしあたり健康に問題はない」ということをおっしゃいましたが
私はその時に、実際はこれは大変なことになると思いました

何故かというと
現行の放射線の障害防止法というのは
高い線量の放射性物質が少しあるものを処理することを前提にしています
この時は総量はあまり問題ではなくて、個々の濃度が問題になります

ところが今回の福島原発の事故というのは
100キロメートル圏で5μシーベルト
200キロメートル圏で0.5μシーベルト
さらにそれを超えて足柄から静岡のお茶にまで及んでいることは
今日みなさん全てがご存じのとおりであります

我々が放射線障害をみる時には、総量をみます
それでは東京電力と政府は一体今回の福島原発の総量がどれくらいであるか
はっきりした報告はまったくされておりません!

そこで私どもはアイソトープセンターのいろいろな知識を基に計算してみますと
まず、熱量からの計算では広島原爆の29.6個分に相当するものが漏出しております
ウラン換算では20個分のものが漏出していると換算されます

さらに恐るべきことには、これまでの知見で
原爆による放射線の残存量と、原発から放出されたものの放射線の残存量は
一年に至って原爆が1000分の1程度に低下するのに対して
原発からの放射線汚染物は10分の1程度にしかならない

つまり、今回の福島原発の問題はチェルノブイリと同様
原爆数十個分に相当する量と原爆汚染よりもずっと多量の残存物を放出したということが
まず考える前提になります

そうしますと、我々システム生物学というシステム論的にものを見るやり方でやっているんですが
現行の総量が少ない場合にはある人にかかる濃度だけを見ればいいのです
しかしながら、総量が非常に膨大にありますと
これは粒子です
粒子の拡散は非線形という科学になりまして
我々の流体力学の計算でも最も難しいことになりますが
核燃料というのは要するに砂粒みたいなものが合成樹脂みたいな物の中に埋め込まれています
これがメルトダウンして放出するとなると
細かい粒子が沢山放出されるようになります

そうしたものが出てまいりますと、どういうようなことが起こるかというのが
今回の稲藁の問題です

たとえば、岩手の藤沢町では稲藁57000ベクレル/kg
宮城県の大崎市17000ベクレル/kg
南相馬市10万6千ベクレル/kg
白河市97000ベクレル/kg
岩手64000ベクレル/kg
ということで、この数字というのは決して同心円上にはいかない
どこでどういうふうに落ちているかは
その時の天候、それから、その物質がたとえば水を吸い上げたかどうか

それで、今回の場合も私は南相馬に毎週700km行って
東大のアイソトープセンター、現在まで7回の除染をやっておりますが
南相馬に最初に行った時には1台のカウンターしかありません
農林省が通達を出したという3月19日には
食料も水もガソリンも尽きようとして
南相馬市長が痛切な訴えをウエブに流したのは広く知られているところであります

そのような事態の中で通達1枚出しても誰も見ることができないし誰も知ることができません
稲藁がそのような危険な状態にあるということはまったく農家は認識されていない
(それなのに)農家は飼料を外国から買って、何十万と負担をおって
さらに、牛にやる水は実際に自分たちと同じ地下水を与えるように、その日から変えています

そうすると、我々が見るのは
何をやらなければいけないかというと
まず、汚染地で徹底した測定ができるようにするということを保証しなくてはいけません
我々が5月下旬に行った時に、先ほど申し上げたように1台しか南相馬になかったというけど
実際には米軍から20台の個人線量計がきていました
しかし、その英文の解説書を市役所の教育委員会で分からなくて
我々が行って教えてあげて実際に使いだして初めて20個の測定ができるようになっている
これが現地の状況です

そして先程から食品検査と言われていますが
ゲルマニウムカウンターというものではなしに
今日ではもっと、イメージングベースの測定器というのが遥かに沢山、半導体で開発されています

何故政府はそれを全面的に応用してやろうとして全国に作るためにお金を使わないのか

3か月経ってそのようなことがまったく行われていないことに
私は満身の怒りを表明します!


第2番目です
私の専門は小渕総理の時から内閣府の抗体医薬品の責任者でして
今日では最先端研究支援というので30億円をかけて抗体医薬品にアイソトープを付けて癌の治療にやる
すなわち人間の体の中にアイソトープを打ち込むという仕事が私の仕事ですから
内部被曝問題に関して一番必死に研究しております

そこで内部被曝がどのように起きるかという問題を説明させていただきます

内部被曝というものの一番大きな問題は癌です
癌がなぜ起こるかというとDNAの切断を行います
ただし、ご存じのとおりDNAというのは二重らせんですから
二重らせんの時には非常に安定的です
これが、細胞分裂をする時には二重らせんが1本になって、2倍になり4本になります
この過程のところがものすごく危険です

そのために、妊婦の胎児、それから幼い子ども、成長期の増殖が盛んな細胞に対しては
放射線障害は非常な危険をもちます
さらに大人においても増殖が盛んな細胞
たとえば放射性物質を与えると髪の毛
それから貧血、それから腸管上皮の
これらはいずれも増殖分裂が盛んな細胞でして
そういうところが放射線障害のイロハになります

それで私どもが内部に与えた場合に具体的に起こるので知っている事例を上げます

これは実際にはですね、一つの遺伝子の変異では癌は起こりません
最初の放射線のヒットが起こった後にもう1個の別の要因で癌の変異が起こるということ
これはドライバーミューテーションとかパッセンジャーミューテーションとか細かいことになりますが
それは参考の文献を後ろに付けてありますので
それを後で、チェルノブイリの場合やセシウムの場合を挙げてありますので
それを見ていただきますが

まず一番有名なのはα線です
プルトニウムを飲んでも大丈夫という東大教授がいるというのを聞いて、私はびっくりしましたが

α線はもっとも危険な物質であります
それは
トロトラスト肝障害という形で私ども肝臓医はすごくよく知っております
(註:トロトラスト:二酸化トリウムコロイドを主剤とするX線造影剤)

ようするに内部被曝というのは先程から一般的に何ミリシーベルトという形で言われていますが
そういうものはまったく意味がありません


I131(ヨウ素)は甲状腺に集まります
トロトラストは肝臓に集まります
セシウムは尿管上皮、膀胱に集まります
これらの体内の集積点をみなければ全身をいくらホールボディースキャンやってもまったく意味がありません

トロトラストの場合の、このちょっと小さい数字なんで大きい方は後で見て欲しいんですが
これは実際に、トロトラストというのは造影剤でして
1890年からドイツで用いられ1930年ごろからは日本でも用いられましたが
その後20~30年経つと肝臓癌が25%から30%に起こるということがわかってまいりました

最初のが出てくるまで20年というのは何故かというと
最初にこのトロトラスト、α線核種なんですが
α線は近隣の細胞を傷害します
その時に一番やられるのはP53という遺伝子です
我々は今ゲノム科学というので、人の遺伝子、全部配列を知っていますが
一人の人間と別の人間は大体300万箇所違います

ですから人間同じとしてやるような処理は今日ではまったく意味がありません

いわゆるパーソナルライフメディスンというやり方で
放射線の内部障害をみる時にも
どの遺伝子がやられて、どういう風な変化が起こっているかということをみるということが
原則的な考え方として大事です

トロトラストの場合は第一段階ではP53遺伝子がやられて
それに続く第二第三の変異が起こるのが20~30年後かかり
そこで肝臓癌や白血病が起こってくるということが証明されております

次にヨウ素131
これは、ヨウ素はご存じのとおり甲状腺に集まりますが
甲状腺への集積は成長期の甲状腺形成期が最も特徴的であり、小児におこります

しかしながら1991年に最初ウクライナの学者が「甲状腺癌が多発している」というときに
日本やアメリカの研究者はネイチャーに「これは因果関係が分からない」ということを投稿しております
何故そう言ったかというと1986年以前のデータがないから
統計学的に優位だということを言えないということです

しかし、統計学的に優位だということがわかったのは
先程も長瀧先生からお話しがありましたが、20年後です
20年後に何がわかったかというと
86年から起こったピークが消えたために
これは過去のデータがなくても因果関係があるということがエビデンス(evidence 証拠・根拠)になった
ですから、疫学的証明というのは非常に難しくて
全部の事例が終わるまで大体証明できないです

ですから今 我々に求められている
「子どもを守る」という観点からはまったく違った方法が求められます
そこで今行われているのは
ここには国立のバイオアッセイ研究センターという化学物質の効果をみる福島昭治先生という方が
ずっとチェルノブイリの尿路系に集まるものを検討されていまして
福島先生たちがウクライナの医師と相談、集めて
500例以上の、前立腺肥大の時に手術をしますと、膀胱もとれてきます
これをみまして検索したところ
高濃度汚染地区、尿中に6ベクレル/リットルという微量ですが
その地域ではP53の変異が非常に増えていて
しかも、増殖性のぜん癌状態
我々からみますとP38というMAPキナーゼと
NF-κB(エヌエフ・カッパー・ビー)というシグナルが活性化されているんですが
それによる増殖性の膀胱炎というのが必発でありまして
かなりの率に上皮内の癌ができているということが報告されております

それで、この量に愕然といたしましたのは
福島の母親の母乳から2~13ベクレル
7名で検出されているということが既に報告されていることであります

次のページお願いします

我々アイソトープ総合センターでは
現在まで毎週700km
大体一回4人づつの所員を派遣しまして南相馬市の除染に協力しております
南相馬でも起こっていることはまったくそうでして
20km30kmという分け方が全然意味がなくて
その幼稚園ごとに細かく測っていかないと全然ダメです
それで現在20kmから30km圏にバスをたてて1700人の子どもが行っていますが
実際には避難
その、南相馬で中心地区は海側で、学校の7割で比較的線量が低いです
ところが30キロ地点の飯館村に近い方の学校にスクールバスで毎日100万円かけて
子どもが強制的に移動させられています
このような事態は一刻も早くやめさせてください

いま、その一番の障害になっているのは、強制避難でないと保証しない
参議院のこの前の委員会で当時の東電の清水社長と海江田経済産業大臣がそういう答弁を行っていますが
これは分けて下さい

補償問題とこの線引きの問題と子どもの問題は
直ちに分けて下さい

子どもを守るために全力を尽くすことをぜひお願いします

それからもう一つは
現地でやっていますと除染というものの緊急避難的除染と公共的除染をはっきり分けて考えていただきたい

緊急避難的除染を我々もかなりやっております
たとえばここの図表に出ておりますこの滑り台の下
滑り台の下は小さい子が手をつくところですが、
この滑り台に雨水がザーッと流れてきますと
毎回濃縮します
右側と左側とズレがあって、片側に集まっていますと
平均線量1μのところだと10μ以上の線量が出てきます
それで、こういうところの除染は緊急にどんどんやらなくてはいけません

それからさまざまな苔が生えているような雨どいの下
ここも実際に子どもが手をついたりしているところなのですが
そういうところは、たとえば高圧洗浄機を持って行って苔を払うと
2μシーベルトが0.5μシーベルトまでになります

だけれども、
0.5μシーベルト以下にするのは非常に難しいです

それは、建物すべて、樹木すべて、地域すべてが汚染されていますと
空間線量として1か所だけを洗っても全体をやることは非常に難しいです
ですから、除染を本当にやるという時に
いったいどれだけの問題がありどれ位のコストがかかるかということを、イタイイタイ病の一例で挙げますと
カドミウム汚染地域、だいたい3000ヘクタールなんですが
そのうち1500ヘクタールまで、現在除染の国費が8000億円投入されております
もし、この1000倍ということになれば、いったいどのくらいの国費の投入が必要になるのか

ですから私は4つのことを緊急に提案したいと思います

第1に
国策として、食品、土壌、水を、日本が持っている最新鋭のイメージングなどを用いた機器を用いて
もう、半導体のイメージ化は簡単です
イメージ化にして流れ作業にしてシャットしていってやるということの最新鋭の機器を投入して
抜本的に改善して下さい
これは今の日本の科学技術力でまったく可能です

2番目
緊急に子どもの被ばくを減少させるために新しい法律を制定して下さい
私のやっている、現在やっているのはすべて法律違反です
現在の障害防止法では各施設で扱える放射線量、核種等は決められています
東大の27のいろんなセンターを動員して現在南相馬などの支援を行っていますが
多くの施設はセシウムの使用権限など得ておりません
車で運搬するのも違反です
しかしながら、お母さんや先生方に高線量の物を渡してくるわけにはいきませんから
今の東大の除染ではすべてのものをドラム缶に詰めて東京に持って帰ってきております
受け入れも法律違反です
全て法律違反です

このような状態を放置しているのは国会の責任であります
全国には
例えば国立大学のアイソトープセンターは
ゲルマニウムをはじめ最新鋭の機種を持っているところは沢山あります
そういうところが手足を縛られたままでどうやって
国民の総力を挙げて子どもが守れるでしょうか
これは国会の完全なる怠慢であります

第3番目
国策として土壌汚染を除染する技術を、民間の力を結集して下さい
これは、たとえば
東レだとかクリタだとかさまざまな化学メーカー
千代田テクノとかアトックスというような放射線除去メーカー
それから竹中工務店とか様々なところは、放射線の除染などに対してさまざまなノウハウを持っています
こういうものを結集して現地に直ちに除染研究センターを作って

実際に何10兆円という金額がかかるのを
いまだと利権がらみの公共事業になりかねない危惧を私はすごく持っております

国の財政事情を考えたらそんな余裕は一瞬もありません
どうやって除染を本当にやるか
7万人の人が自宅を離れてさまよっている時に 国会は一体何をやっているのですか!

以上です

文字起こしの出典はこちら。一部、誤字や聞き取りミスなどを訂正・補足しました。
地上波のゴールデンタイムで全部放送すべきですね。



児玉龍彦氏が警告する低線量被曝、内部被曝による癌発症の危険性・追補2011/07/30 11:39

 2011年7月27日、衆議院厚労委員会に参考人として招致された児玉龍彦東京大学アイソトープ総合センター長は、声を震わせ、ときに絶叫しながら、政府の無策への怒りを爆発させた。わずか16分の中で、彼は多くの重要な指摘をしたが、その中で内部被曝についての部分を抜き出して、少しでも我々素人にも理解できるよう、噛み砕いた表現で要点をまとめてみる。

 私の専門は人間の身体にアイソトープを打ち込んで癌の治療をするというもの。内部被曝に関しては最も力を入れて研究している。
 内部被曝のいちばんの問題は癌を引き起こすこと。DNAの二重らせんが切断されることが引き金になって癌ができる。DNAの二重らせんは細胞分裂をするとき1本になってから2倍になって4本になる。このときが非常に危険。だから、細胞分裂が盛んな胎児、幼児は放射線障害を受けやすい。大人では細胞の増殖が盛んな部位が影響を受けやすい。
 中でもいちばん怖いのはアルファ線の内部被曝である。
 具体例としては、トロトラストというドイツのハイデン社が発売した二酸化トリウムを使ったエックス線造影剤が出すアルファ線が原因で20年後、30年後に癌になる「トロトラスト肝障害」などは、私たち医者は誰もが知っている。
 内部被曝については、何ミリシーベルトという数値で議論するのはまったく意味がない。
 ヨウ素131は甲状腺に集まる。トロトラスト(に含まれていたトリウム)は肝臓に集まる。セシウムは尿管上皮や膀胱に集まる。これらの体内の「集積点」を見なければならない。だから、全身をスキャンするホールボディカウンター検査をいくらやっても意味がない。
 ヒトゲノム計画の完了によって人の遺伝子配列は全部分かっているが、人間の遺伝子配列は個人によって約300万箇所違う。現代の最先端医学では、人間はみな同じとみなして遺伝子異常を研究することはしない。
 放射線によってどの遺伝子がやられて、それがどう変化するかというのを見ていかないといけない。トロトラストのアルファ線障害の場合、P53という癌抑制遺伝子が異常を起こすことが引き金になって、20年から30年後に肝臓癌や白血病が起きることが分かっている。
 同様にヨウ素131は甲状腺に集まるため、甲状腺形成期にある成長期の子供が影響を受けやすい。
 1986年に起きたチェルノブイリ原発事故以後、子供の甲状腺癌が多発していると初めて報告したのはウクライナの学者で1991年のことだったが、それに対して日本やアメリカの学者は「因果関係が証明できない」とネイチャー誌に投稿して否定しようとした。
 1986年以前の正確なデータがないから証明できないという論旨だったが、それから20年経過して、甲状腺癌発症のピークが消えたために、ようやくこれはチェルノブイリと関係があると統計学的に証明された。
 このように、放射線と癌の関係を疫学的に証明することは非常に難しい。長い時間が経過するまで証明はほとんどできない。
 だから、今我々に求められていることは、そんな時間の経過を待つことなく、とにかく子供を守るということ。
 日本バイオアッセイ研究センターの福島昭治先生が、長年、チェルノブイリ事故後、周辺の汚染地域で、主に尿路系(膀胱、尿道など)に蓄積されているものを調べ、発癌の関係を研究していらっしゃる。
 福島先生がウクライナの医師と協力して、前立腺肥大手術のときに500例以上の膀胱サンプルを検査したところ、高濃度汚染地区では、尿中に6ベクレル/リットルという微量のセシウムが検出された。この地域ではP53遺伝子の変異が非常に増えていて、しかも、増殖性の前癌状態(ある組織に癌ができる前に、癌に先立って介在する病変)が起きている。これによって増殖性の膀胱炎が起き、かなりの率で上皮内の癌もできているということが報告されている。
 一方、福島に住む母親の母乳からは2~13ベクレルのセシウムが検出されているとすでに報告されている。この現実には愕然とするしかない。

 この最後の部分、日本バイオアッセイ研究センターの福島昭治氏の研究については、7月26日の東京新聞夕刊に掲載された『論壇時評 放射能との闘い』(金子勝)でも紹介されているので、その部分を抜き出す。

児玉龍彦「『チェルノブイリ膀胱炎』 長期のセシウム137低線量被曝の危険性」(『医学のあゆみ』7月23日号)によれば、日本バイオアッセイ研究センター(神奈川県)所長の福島昭治博士らによって、前癌状態である「増殖性の異型性変化を特徴とする『チェルノブイリ膀胱炎』」が発見されている。
 そして、「すでに福島、二本松、相馬、いわき各市の女性からは母乳に2~13ベクレル/kgのセシウム137が検出」されており、この濃度は、福島博士らが調査した「チェルノブイリの住民の尿中のセシウム137にほぼ匹敵する」。
「そうすると、これまでの『ただちに健康に危険はない』というレベルではなく、すでに膀胱癌などのリスクの増加する可能性のある段階になっている」と警告する。

 福島昭治氏の論文は、一部、WEB上でも読めるので、ひとつを紹介しておきたい。

 ウクライナのチェルノブイリ原発事故後、周辺汚染地域では過去15年間で膀胱癌の発生頻度が約1・6倍に上昇したと報告されている。その原因として現在も土壌中に残存する低レベルCs137の長期間暴露が考えられる。我々は臨床的に膀胱がん症状のない汚染地域住民の膀胱粘膜に、上皮異形成や上皮内がんを含む膀胱がんの発生率が、汚染地域住民の24時間尿におけるCs137(セシウム137)レベルにほぼ比例して上昇していることを見いだした。
 我々はまた、汚染地域住民の膀胱に上皮異形成や粘膜内癌を高頻度に伴う特異的な慢性増殖性膀胱炎を見いだしチェルノブイリ膀胱炎と命名した。その膀胱病変においてはp53、p21、サイクリンD1等、様々な癌関連遺伝子が異常発現していると共にiNOS、 COX2なども異常発現しており、この地域の膀胱病変発生には酸化的ストレス傷害が深く関与することを証明した。
 さらに、原発事故後に認められた膀胱癌が事故前に同地域で得られた膀胱癌と比べp53遺伝子変異頻度が有意に低く、この地域の膀胱癌発生のメカニズムが一般的な膀胱発癌と異なった経路で発症する可能性が示唆されたため、近年その異常発現がヒト膀胱発癌に深く関与すると考えられているgrowth factor receptorの発現を免疫組織学的に検索した。
 その結果、抗FGF-R3、抗EGF-R1、抗EGF-R2抗体について汚染地域の症例は非汚染地域症例に比べ有意に高い染色性を示し、汚染地域住民の膀胱粘膜病変の発生にはこれらgrowth factor receptorの発現も関与していることが判明した。以上、これまでの研究によりチェルノブイリ原発事故後の周辺汚染地域住民には膀胱癌が多発する傾向にあり、またその発生原因に関しては現在一般的に考えられている膀胱発癌経路と異なった経路で発生する可能性があることが示された。
(科学研究費補助金データベース http://kaken.nii.ac.jp/d/r/00137077 より)


 本当に残念なことだが、3月15日以降、1Fの北西に留まっていた人たちは、かなりの内部被曝をしてしまっている。ヨウ素を身体に入れてしまった子供たちは特に心配だ。
 我々は、人類史上初めてと言ってもいい規模の被曝実験動物になってしまった。

以下は、児玉龍彦氏が7月27日の衆院参考人招致証言で使った解説資料(児玉氏のフェイスブックより http://www.slideshare.net/ecru0606/ss-8725299)
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