白河や会津が怒るのは当然 バカの極致「文科省原子力損害賠償紛争審査会」2011/12/14 11:20

賠償金支払い対象の23市町村と汚染度合は一致していない

8万円/40万円の追加賠償金の根拠は何か?

福島第一原発爆発・汚染「事件」をめぐって国や県がやっていることはとことん滅茶苦茶で、『裸のフクシマ』に書いた通りだが、今もまだまだでたらめが続いている。
最近では、12月6日に文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会(能見善久会長)が求めた「警戒区域、計画的避難区域などを除く福島県の23市町村を対象に全住民に1人あたり8万円、妊婦と18歳以下の子どもに1人あたり40万円」という賠償金問題。
この賠償金は「自主避難への賠償」ということらしい。30km圏内や「緊急時避難準備区域」、「計画的避難区域」などは命令を下して避難させたのだから、それに対する補償をするが、それ以外の地域では逃げようが留まろうが知ったことではない、というのが今までの国や東電の賠償姿勢だった。
これではいけないので、自主的に避難した人たちにも賠償しましょう、ということらしい。
しかしこの賠償金は、決められた23市町村では、逃げた逃げないに関わらず全住民に一律で支払われる。であれば、支払われる根拠は、避難しなければならないほどの放射能汚染への恐怖心、不安、ストレス、現実の健康被害、そして、経済的打撃(農産物など一次産業への被害はもちろん、放射能汚染によって様々な職場、職業で従来通りの経済活動継続が不可能になったこと)などに対しての損害賠償と考えるのが適切だろう。
であれば、今回の23市町村の選定はまったく実情に合っていない。

該当する23市町村とは、
福島市、二本松市、本宮市、桑折町、国見町、大玉村、郡山市、須賀川市、鏡石町、天栄村、石川町、玉川村、平田村、浅川町、古殿町、三春町、小野町、相馬市、新地町の19市町村と、いわき市、田村市、伊達市、川俣町の4市町(すでに補償金が支払い開始されている緊急時避難準備区域など以外)の合計23市町村だ。
福島県の土地勘がないかたがたにはピンとこないだろうから、文科省が発表している土壌汚染マップに重ね合わせて表示してみる。以下のピンク色の線の内側が該当地域だ。


一目瞭然で分かるが、白河市などは、かなり汚染されているにも関わらず外されていて、汚染の度合いが低い石川町や玉川村、平田村、浅川町、古殿町、小野町などは入っている。
汚染の度合とはまったく合致していないのだ。
白河市がいちばん分かりやすいが、白河市で「自主避難」した市民は、12月1日の時点で126世帯286人。数が少ないから外したとでも言うのだろうか。白河市の鈴木市長は「市内でも放射線量が高い地域がある。子どもの健康被害を心配する親も多いのに、自主避難者が少ないから賠償金が出ないというのはおかしい」と主張している。当然だ。
会津は概ね汚染の度合が低かったが、南会津町の南部などは結構やられていて、石川町、玉川村、平田村、小野町あたりよりひどい。
そもそも、「福島」というレッテルを貼られて農産物などが売れなかったり、浜側からの被災者を受け入れて苦労していることは会津も同じなのだ。
猪苗代町も外されたが、原発立地でさんざん電源交付金などの恩恵を受けてきた人たちを豪華リゾート施設に受け入れ、住民がボランティアで炊き出しをした挙げ句に、一部の「避難者」から「毎日同じものを食わせるな」「飯がまずい」などと文句を言われた猪苗代町の人たちは、今、どう思っているだろうか。
今まで我慢してきた怒りが爆発しているはずだ。
お上や、現場を知らない学者たちがこういうバカな施策を次々に出してくるたびに、福島はずたずたにされる。
子供が3人いる5人家族を例にとれば、賠償金は136万円(40万円×3+8万円×2=136万円)になる。136万円がもらえるもらえないの差は大きい。
もとより、被害の度合は人によって大きく違い、補償の不公平は避けられないのだから、補償するなら福島県内全域というようなくくりでやるしかないのは分かりきったことなのに、この無神経さ、間抜けぶりはなんなのだろう。
無論、放射能汚染被害を被っているのは福島県の住民だけではない。
栃木県、宮城県、群馬県、茨城県などでは、石川町や平田村などよりずっと汚染がひどい地域がある↓。


宮城県丸森町の保科郷雄町長も、「空間放射線量が丸森より低い福島県内の自治体が該当しているのに、福島でないというだけで、我慢しなければならないのは納得できない」と声を上げている(河北新報記事)

あったりまえの話だ。
もう、話題にするのも嫌になる。

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