「フクシマ」は福島の問題ではない(1) ― 2013/02/11 21:20
この動画↑は、フランスのCEREA(Centre d'Enseignement et de Recherche en Environnement Atmospherique)という研究機関がWEB上に公表している、福島第一から漏れたセシウム137の拡散シミュレーションだ。
CEREAは直訳すれば、大気環境の研究教育機関ということになるだろうか。フランス国立統計学校(国立土木学校)とフランス電力が共同出資している機関ということだ。
電力会社(フランスだから、もちろん原発メイン)が支援している機関だから、原発を否定するような活動はしていないはずで、放射性物質拡散を大袈裟にPRするような意図はないと思われる。
出所は⇒ここ
このページで発信しているメッセージがあるとすれば、「福島第一から漏れた放射性物質によって環太平洋エリア全体が汚染されたが、その汚染度合は、例えばアメリカ西海岸は西日本よりひどい」という内容だろう。
上の動画のようにほとんどの放射性物質が太平洋側に流れていった結果、セシウムによる土壌汚染は↓このようになったという。

↑クリックで拡大
関東・東北が真っ赤なのが悲しいが、西日本はほとんど汚染されていないことが分かる。
さて、ここで僕が言いたいことは2つ。
1)「フクシマ」は福島の問題ではない。地球規模の問題。首都圏がひどい汚染から免れたのは放射性物質が漏れたときの風向きや天候の「たまたま」の結果にすぎない
2)「たまたま」助かった日本は、この大失態から何を学んだのか? 何一つ学んでいないではないか。
廃炉技術の開発は、これから必須のものであると同時に、大きなビジネスになる。日本が今いちばん力を入れなければならないのはそこだ。
大気汚染防止のための排気フィルタリング技術において、日本は世界のトップレベルにある。中国に必要なのはこの技術と、環境を汚染しないためには金を使わなければいけないという思想・哲学だ。
ところが、原子力の分野では、日本は世界で最も野蛮なことを続け(もんじゅなど狂気の沙汰だ)、これだけ世界に放射性物質をばらまいておきながら、今後も「原発を輸出する」と言ってのける厚顔無知ぶり。輸出すべきは廃炉技術であって、間違っても原子炉ではない。
人間性がおかしいだけでなく、技術立国として生き残るというビジネス戦略、政治戦略面でも、まったく逆方向を向いている。
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_ VISVIM 通販 - 2013/07/23 19:49:48
「フクシマ」は福島の問題ではない(1): 阿武隈(原発30km圏脱出生活)裏日記

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