ワクチン開発より既存薬の活用を2020/10/05 15:04

身体に悪いので、このところ政治関連やCOVID-19関連のことは書かないようにしていたのだが、久々に現在の世界におけるCOVID-19死者数状況を確認してみた。

ファクターXはやはりあるだろう

新型コロナで一体何人が死んだのか?
全世界の人口100万人あたり133人死亡している。これは累積の死者数。つまり、このウイルスが確認されてから現在までに、1万人に1人ちょっとがCOVID-19で死んだということになる。

やはり国・地域による偏在ぶりが目立ち、欧米に比べて東アジア諸国は極端に死亡率が低い。
世界平均より死亡率の高い国をざっと拾ってみた(worldometers.info による)。
統計に表れる死者数は、PCR検査数の多寡にも関係すると思われるので、念のため、人口100万人あたりの検査数も併記した(100以下は四捨五入)。

100万人あたり死者数100万人あたり検査数
ペルー98711万9000
ベルギー866 29万
ブラジル686 8万4000
スペイン686 27万2000
チリ 674 17万9000
米国 646 33万3400
英国 623 36万8500
メキシコ610 1万5500
イタリア595 19万3400
スウェーデン583 16万4200
フランス493 17万1100
オランダ376 14万2900
カナダ 250 20万

やはり、死亡率が高い国は欧米に集中している。
日本は100万人あたり13人が死んでいる。
100万人あたり13人という数字は、アメリカの約50分の1である。

日本のように、100万人あたりの死亡者数が2桁以下の主な国を見ていくと、
100万人あたり死者数100万人あたり検査数
インド 74 5万7100
フィンランド 62 19万5000
フィリピン 53 3万4900
ノルウェー 51 19万8000
インドネシア 41 1万2700
オーストラリア 35 30万3900
セネガル 19 1万0700
香港 14 44万1000
日本 13 1万7000
ケニア 13 1万0300
エチオピア 10 1万1200
韓国 8 4万5800
シンガポール 5 49万2200
ニュージーランド5 19万6000
中国 3 11万1200
タイ 0.8 1万0700
スリランカ 0.6 1万3500
ベトナム 0.4 1万0300
台湾 0.3 4000
モンゴル 0 2万2200
カンボジア 0 8500
ラオス 0 7400

……となっていて、やはり東アジアは極端に低い。
モンゴルは世界の平均より結核患者の数が多いそうだが、COVID-19で死んだ人は今のところ見つかっていないらしい。検査していないのではないかといわれそうだが、100万人あたり2万2000の検査数は日本の同・1万7000よりも多い。

オセアニアやアフリカも概ね低い。
アフリカ諸国のデータはどこまで信用できるのか分からない、と、多くの人は感じているだろう。検査数が少なければ、隠れコロナ死も多いはずだ……と。
でも、セネガル、ケニア、エチオピアの検査数は100万人あたり1万を超えているので、日本とあまり変わらないように見える。見落としがいっぱいある(隠れコロナ死が多い)としても、欧米に比べると少ないのは確かなのではないか。

つまり、COVID-19で死ぬ確率は、やはり遺伝子的な要因が大きく関係していると思わざるをえない

岩田健太郎教授は、日本でも高齢者の死亡率はイタリアとそれほど変わらないのだから、いわゆる「ファクターX」は存在しないのではないか、という主張をしていた
確かに、イタリアで一時期死亡者が続出したのは、高齢者施設などで集団感染が広まったことが大きく関係しているようだ。
それは確かだろうが、それだけでこんな差が出るとはどうしても思えない。

高齢者対応と既存の薬の活用が重要

ただ、ここでひとつ疑問に思うのは、高齢者施設で肺炎などで亡くなった入居者をPCR検査してみたらSARS-CoV-2が陽性だったという場合、死因は「新型コロナ感染症」とされてしまうのではないか、ということだ。
もともと身体のあちこちの機能が弱っていた終末期にある高齢者が亡くなった場合、直接の死因はコロナといえるのだろうか。
コロナが最後の駄目押し的要素になったとしても、もともと弱っていた内臓の機能や呼吸器系の障害がいちばんの要因であり、本来なら死亡診断書に「老衰」と書かれてもおかしくないような人でも、検査をしたらコロナ陽性だったから「死因は新型コロナウイルス感染症」とされている場合もあるのではないか。

いずれにしても、高齢者や病人が感染した場合は致死率が一気に上がるのは分かっているのだから、高齢者施設や病院での感染予防対策を徹底させることが第一だろう。
高齢者施設でアルコール消毒液などが足りないといっていたときに、全世帯にアベノマスクを配るだのというバカ施策をしていた官邸グループは恐ろしい。

さらには、若い人でも重篤化しやすい(サイトカインストームを起こしやすい)遺伝形質を持った人が、数は少ないとはいえ、確実に存在しているのだから、そういう重篤化しそうなケースをいち早く見抜いて、手遅れにならないうちに対応することが必要だ。
その有効策はワクチン開発ではない。既存の薬が有効だと分かってきたのだから、その治験を増やして、即応できるようなシステム作りを急がなければならない。
東京都救命救急センターでもある日赤医療センターでは、重篤化したCOVID-19患者が運び込まれる例が多いが、レムデシビル、デキサメタゾン、トシリズマブの3剤併用療法(RDT療法)を導入したところ、致死率が下がったと報告している。
トシリズマブは未承認なので、現在は臨床研究倫理委員会の承認および患者の同意を得て投与しているという。

メディアは、「早くワクチンが開発されるといいですね」などという言葉を決まり文句のように使っているが、分かっていないことが多い中で、副作用の危険性や有効度合が分からないワクチン開発よりも、既存薬による有効治療を確立するほうがはるかに重要だろう。

ワクチン開発競争には、製薬会社の利益や国家間の戦略が絡んだ不透明で怪しげな情報、金のやりとりも感じられる。そうしたものに巨額の税金が流れるよりも、地に足のついた実践的、効率的、合理的、公正公平な医療戦略に徹してほしい。
それをしっかりやった上で、大学の対面授業などはすぐに再開するべきだし、GoToだのなんだのに税金を使うよりも、「普通の生活」を再構築した上で、高齢者や、重篤化しそうな患者への医療対応に金とマンパワーと知恵をつぎ込むべきだ。
思うに、これは日本だけではないが、政府は現場の医療者より、感染症専門研究者の意見を重視しすぎたのではないか。
分からないこともまだたくさんあるが、分かってきたこともいろいろあるのだから、分かってきたことを判断材料として、冷徹な施策を進めてほしい。

ちなみに、今年、日本でCOVID-19陽性で死んだ人は1,597人(10月5日時点)だそうだが、今年に入ってからの自殺者は8月までで1万3109人である。
8月だけで1854人で、昨年8月に比べて251人増えたという。
特に若い女性が増えており、30代以下の女性の8月の自殺者数は前年に比べ74%増えている
コロナのせいで、この先も、自殺者増加の傾向は続くだろう。
誤解を恐れずにいえば、
日本では、COVID-19で死ぬ高齢者よりも、自殺する若者の数のほうがはるかに多いのである。
これから生きていく人たちに幸福を与えられる社会をどう作っていくかを、政治家や官僚には、真剣に考えてほしい。

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