危機管理能力~加計学園、大坪問題 ― 2020/03/15 17:18
危機管理分野であまりにも能天気でありつづける日本は、世界中から奇異な目で見られている。
台湾出身、米国在住の化学者で毒物研究の世界的権威、杜祖健(英語名はアンソニー・トゥー)氏(89)のインタビュー記事が非常に興味深かった。
89歳でも頭がしっかりしている人はすごいなと驚くと同時に、BSL-4施設といえば、日本では国立感染研と理化学研究所筑波研究所にしかなくて、理研の筑波研究所は住民の反対に遭ってレベル3までの実験しか行わないことになっていることを思い出す。
そして、BSL-3といえば、加計学園の岡山理科大獣医学部問題でも、当初の設計のデタラメさが話題になった。
その後どうなったのかと、岡山理科大獣医学部の公式WEBサイトを覗いてみると……、
で、この岡山理科大獣医学部の微生物講座を率いるために国立感染研究所獣医科学部長を辞めて2019年4月に微生物講座教授として就任したのが森川茂氏で、岡山理大教授就任時には同じ国立感染研のウイルス第一部主任研究官と研究員の2名を引き連れていった……という話も最近読んだばかり。
その森川教授は、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の「感染症研究課 平成31年(令和元年)度 感染症実用化研究事業(新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業)」に 「動物由来感染症の制御に資する検査・診断・予防法に関する研究」で応募している。
そのAMEDで理事長や委員が「官邸主導の御旗を振りかざして予算や人事を握って一部の人間が行政をゆがめている」「大坪氏が次長になられてから、我々のオートノミー(自立性)は完全に消失している」と告発した、いわゆる「大坪問題」の主役が、大坪寛子厚生労働省官房審議官と、その後ろ盾といわれる和泉洋人首相補佐官。
……こう見ていくと、日本が諸外国に比べてあまりにも危機管理能力がない、「対外情報収集力」がなさすぎる、という国家の存亡に関わる大問題もまた、一周回って「大坪問題」や加計学園にたどり着くような気がするのだが……。
いやはや、知れば知るほど、ほんとに「怖い」ね。
台湾出身、米国在住の化学者で毒物研究の世界的権威、杜祖健(英語名はアンソニー・トゥー)氏(89)のインタビュー記事が非常に興味深かった。
杜氏は、今後は現状の感染拡大防止措置の強化、徹底などをはかり、治療薬の開発を急ぐとともに、日本の政権中枢に対しては国家レベルでの対外情報収集力の強化や、有事の際の隔離病院船の整備など、教訓を将来に生かすことの重要性を訴えている。
「2003年、中国広東省から感染拡大したSARSに苦慮した台湾では、早期にBSL-4施設を整備し、SARSウイルスをはじめ炭疽菌などを培養、研究してきた」と証言。実際、李登輝政権時代には中国の蘭州発とみられる口蹄疫で養豚業が打撃を受けたこともあり、続投が決まった蔡英文政権でもヒトや家畜なども含め、中国発の未知の病原に強い警戒心が根底にあった。
また、「一般には知られていないが、台湾の研究所でもSARSウイルス漏出騒ぎが発生し、大事に至る前に収束させたことがある」とし、台湾がこの失敗からも危機管理能力を伸長させてきた点を指摘。
(「日本は手遅れ」生物兵器の世界的権威が断じる理由 日本は急げ、「対外情報収集力向上」と「隔離船病院の導入」 JBpress 2020/03/15)
89歳でも頭がしっかりしている人はすごいなと驚くと同時に、BSL-4施設といえば、日本では国立感染研と理化学研究所筑波研究所にしかなくて、理研の筑波研究所は住民の反対に遭ってレベル3までの実験しか行わないことになっていることを思い出す。
そして、BSL-3といえば、加計学園の岡山理科大獣医学部問題でも、当初の設計のデタラメさが話題になった。
(国立研究所の動物実験施設管理専門家の指摘) 「ウイルスに汚染される、使用済みケージ、SPF清浄動物、感染動物死体部屋の空気が、同じ狭い廊下を通過する構造となっている。これでレベル3のウイルスを取り扱ったら簡単にバイオハザードがおきる」
(【加計問題】「危険なウイルスの漏出100%起きる-専門家が指摘」、内部文書公開の市民団体が警告 志葉玲 2017/08/24)
その後どうなったのかと、岡山理科大獣医学部の公式WEBサイトを覗いてみると……、
動物から人へ
これまでの獣医学は主に動物を対象にした学問でしたが、動物でもヒトでも感染症コントロール、新しい医薬品開発、予防・治療は共通するという考えで、動物とヒトの健康を科学する教育を行います。
(「岡山理科大学の獣医学部の特徴」 大学公式WEBサイトより)
2014年のアフリカにおけるエボラウイルスの大流行は、高病原性の新興感染症ウイルスの脅威を世界に改めて意識させました。1994年にオーストラリアで発生したヘンドラウイルス、1998年からアジアで報告されているニパウイルス、2001年のSARSコロナウイルス(CoV)、2012年から報告されているMERS CoVなど次々と新たなウイルスが出現しています。(略)
このような新興感染症ウイルスに対する対策・研究を国立感染症研究所において、いわば最前線で体験してきたスタッフメンバーによって微生物学講座は、起ち上げられます。
我々は、バイオセーフティーレベル(BSL)3の実験室を活用して、また日本の、または海外のBSL4施設とも共同研究を実施しながら、最前線での戦いを継続していきます。こうした活動を通じて、この領域で専門家として活躍できる人材の育成を目指します。
(微生物講座「One World, One Health」に貢献する! 岡山理科大獣医学部公式WEBサイトより)
で、この岡山理科大獣医学部の微生物講座を率いるために国立感染研究所獣医科学部長を辞めて2019年4月に微生物講座教授として就任したのが森川茂氏で、岡山理大教授就任時には同じ国立感染研のウイルス第一部主任研究官と研究員の2名を引き連れていった……という話も最近読んだばかり。
その森川教授は、AMED(国立研究開発法人日本医療研究開発機構)の「感染症研究課 平成31年(令和元年)度 感染症実用化研究事業(新興・再興感染症に対する革新的医薬品等開発推進研究事業)」に 「動物由来感染症の制御に資する検査・診断・予防法に関する研究」で応募している。
そのAMEDで理事長や委員が「官邸主導の御旗を振りかざして予算や人事を握って一部の人間が行政をゆがめている」「大坪氏が次長になられてから、我々のオートノミー(自立性)は完全に消失している」と告発した、いわゆる「大坪問題」の主役が、大坪寛子厚生労働省官房審議官と、その後ろ盾といわれる和泉洋人首相補佐官。
……こう見ていくと、日本が諸外国に比べてあまりにも危機管理能力がない、「対外情報収集力」がなさすぎる、という国家の存亡に関わる大問題もまた、一周回って「大坪問題」や加計学園にたどり着くような気がするのだが……。
いやはや、知れば知るほど、ほんとに「怖い」ね。


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