アレッポの悲劇 アサド大統領の素顔2017/01/25 01:57

アレッポの悲劇


いつどこで買ったのか分からないが、手元に残っている最後の2個のうち1個を開く

我が家ではシャンプーも含めて合成洗剤を使わない。洗髪はもう30年以上、固形石鹸でやっていて、リンスはしない。
食器洗いも衣類の洗濯も石鹸。最近は重曹も使うようになったが、合成洗剤は使わない。
で、洗髪は普通の無添加石鹸だとちょっときついので、オリーブオイル石鹸を使っているのだが、有名な「オリプレ」は通販以外ではまず手に入らないので、このアレッポの石鹸をドラッグストアなどでよく買っていた。
だから、ニュースで「アレッポ」ときくと、まず石鹸を思い浮かべる。
この石鹸を作っていた人たちは無事なのか? 石鹸は今でも作れているのか? ……などなど。

シリアをはじめ、中東紛争の裏には石油利権と民族対立、宗教が複雑に絡み合っていて、何が何だか分からない。情報もねじ曲げられて伝わってくるから、情報の一つ一つが本当なのか、演出されたものなのか判別するのが難しい。
日本もどんどんひどい状況になっているが、とりあえずまだ爆弾が落ちてこない、銃弾が飛び交わないというだけでも幸せだ。

アサド大統領の顔



TBSがアサド大統領の単独インタビューをして放送した。
「編集せずにノーカットで放送すること」という条件でのインタビューだそうだが、夜の「ニュース23」では一部を、翌日にCS「ニュースバード」でノーカット版を放送。
インターネットにもノーカット版動画を置いたので、今ならまだ見られる。
インタビュアーが星浩でよかったのか、という疑問があるが、とりあえずアサド大統領の顔と肉声、発言が伝わってきたこの映像は貴重な情報だった。
知的で、言葉の選び方も適確。話している内容は極めてまともで論理的。失礼な質問にも淡々と答える姿は紳士的。え? アサドってこんな人だったのかと驚いた人も多かっただろう。僕もその一人だ。

日本では「無慈悲で残忍な独裁者」というイメージが植えつけられているが、彼の言う「米欧からの情報だけに頼っている馬鹿馬鹿しさ」という批判はもっともだろう。もちろんアサド側の主張にも多くの嘘やごまかしがあるだろうが、米欧側メディアの情報が都合よく歪められていることは間違いない。



シリア情勢やクルド人問題についてのいろいろな説を集めてみた。

藤永茂氏(アルバータ大学理学部名誉教授)はブログで終始、米欧側情報に対して批判的な考察を展開していて興味深い。
シリア問題を考えるにあたっては、「クルド人問題」を少しでも理解しておかないとどうにもならない。
でも、そうした視点からの報道が日本ではほとんどされていない。
「ロジャバ革命」なんて、今回、藤永氏のブログを読むまではまったく知らなかった。
一部では女性解放などの革新的理想を掲げながら米ロの代理戦争に巻き込まれていくクルド人たち……。

米国がイスラム国にもトルコにもロジャバのクルド人防衛部隊にも武器を与えているという事実は、米国が世界に冠たる武器商売の国、死の商人たちが支配する国であることを考えれば、何の不思議もないのかもしれません。(ロジャバ革命は大きなドアを開ける(1)藤永茂)


マスメディアの報道に従っていると、シリアをめぐる戦況と政情は混乱混迷を極めているように見えますが、そうではありません。
ロシアやイランは地政学的算用からシリアのアサド政権を維持しようとしています。
アサド政権を速やかに打倒することに失敗した米国とトルコはシリア国内の戦争状態をできるだけ長引かせること、クルド人問題については、トルコも米国も、出来れば現在バルザニ大統領の率いるイラク北部のクルディスタン地域政府(KRG)の勢力が米国とトルコに支持されてシリア北部(つまりロジャバ)に拡大されることをひたすら願っているわけです。
ですから、ロジャバ革命を積極的に支持する国家勢力は全く見当たりません。このままで行けば、ロジャバのクルド人戦士たちの血は流されっぱなしで、結局、使い捨ての運命にあります。
ロジャバの人たちは米国の新大統領トランプに望みをかけているようですが、裏切られることになりましょう。(同ブログより)

真偽はともかく、こうした見解を、日本のメディアで見たことはない。

アサド大統領はインタビューの中で「あらゆる戦争は悪である。いい戦争などない」と言っていたが、例えば、「シリア軍に空爆された瓦礫の中から人々を救うボランティアグループ」として米欧のメディアでさかんに紹介され、ノーベル平和賞の候補にまでなった「ホワイトヘルメット」に関しても、賛辞だけでなく、情報操作された演出だという話もあって、一体何が本当なのかさっぱり分からない。
「イスラム国」の正体もよく分からない。彼らには莫大な資金援助があるはずで、その提供者は誰なのか。

この指摘はシリア政府からだけでなく、多くの人たちがしている



小林よしのり氏は「独裁の方が無秩序よりはるかにいい」と言っているが、これはまったくその通りだ。誰に殺されたのかもよく分からないまま毎日大量殺戮が続く状態をとりあえず収めることができるなら、多少のデメリットがあってもどうするのがいちばんいい(マシな)のか、てっとり早いのか……と考えるのは当然だろう。

どれだけ現在の情報が錯綜していても、ていねいに検証すれば歴史は嘘をつかない。大昔のことは検証できないとしても、近現代にどこで何が起こったのか、大まかなことは分かっている。
明治維新の頃、ヨーロッパ列強やアメリカは世界のどこで何をしていたか。
太平洋戦争を始める前までの日本はどんな空気に包まれていたのか。
そんな大昔のことではない。生で見てきた人もまだ少し生きている。

「神の鑿」の時代、日本はどんな国だったのかを知ろうと、いろいろ調べているうちに、「アメリカって、一体どれだけ戦争をしてきたのだろう」と思った。 調べると、「アメリカは、その歴史のうち93% - 1776年以来の、239年中、222年間が戦争」という記事を見つけた。
すさまじいな。
今もやっているわけで、ほとんど「休みなく戦争をしている国」という気がする。

嘘は、大きい嘘、大胆な嘘ほど見破られず、簡単に信じられてしまう。二酸化炭素温暖仮説とかはその代表だろう。
30年前、「石油はあと30年か50年で枯渇する」なんて言われていた。だから原子力エネルギーは必須だとか、核燃サイクルこそ資源のない日本が生き延びる唯一の道だとかいわれていた。30年経った今も、僕らは灯油を燃やして暖を取っているし、この冬もやっぱり寒い。

あと、この論も一理あるだろう。










特に最後の「日本は国際法に則り、今までのように中立の立場を守るべきだ」という主張はその通りだろう。
いかに戦争から遠ざかるか、近づかないか、下手に地雷を踏まないようにするかという戦略は、かつての自民党外交政策の柱だったはずだが、今の政権は自分から戦場に近づこう近づこうとしている。
かつての自民党政治家たちが苦渋の選択を重ねてきた歴史を、無知と傲慢でことごとくひっくり返している。
さらには、アメリカの大統領が単純なガキ大将タイプのトランプになったことで、この先どうなっていくのか、まったく予測がつかない。

アサド大統領の会見で、最後に触れた、国民のPTSD問題についての言葉は特に印象に残った。
今まで、一国の最高権力者が、国民の心の荒廃について深く憂慮している、その問題こそがいちばん深く、解決困難だと述べる姿を見た記憶がない。

CSのニュースバードでは解説役として国枝昌樹氏(元シリア全権大使)を呼んでいたが、彼もこの点に触れていた。
「人の頭をサッカーボール代わりにして遊んでいる子供たちが、正常な精神で大人になれるはずがない」と。
こうした問題を自ら口にするアサドは、計算ずくでそういう言葉を発しているのだろうか? そうは思えなかった。
今回のインタビューも、国枝昌樹氏がインタビュアーだったらよかったのに。現地に行くのが大変なら、今の時代、ネット回線で対談もできるだろうに。
用意した質問をたどたどしく読み上げるだけならインタビュアーはいらない。国枝氏のような人が行って、少しでも生の会話に引き込めれば、アサドの素顔ももっとよく見えてきたはずだ。

医者でもあるアサドは、もともとは政治や軍事からは遠く、学者肌で温厚な人物であるという。
そうした経歴や背景を知って、今回のインタビューを見ると、なるほどと思える場面や言葉が随所にある。国民のPTSDを最も憂慮しているという言葉もそうだ。

英国ガーディアン紙が報じた「アサドのメール」の記事も興味深い。まったくのデタラメではないような気がする。
一方で、アサドが「自国民の殺りくを主導しながら、制裁を逃れてiTunesのアカウントを得ているなんて、残酷非道な人間の姿を象徴するようなものだ」と言っている米政府報道官には、余計なお世話だろと言いたい。
「残酷非道な人間」なんだから音楽を楽しむような素養や権利はない、とでも言いたいのだろうか。
そういう言質こそが、アサド自身がいう「ばかげている」思い込みと偏見ではないのか。

ともかく、情報の真偽を知ることの困難さ、物事を複数の視点から見通すことの大切さを教えるきっかけとなった今回のインタビューは、とても貴重なものだったことは間違いない。



ガラケー族生き残りへの道2017/01/31 14:57

家の中に残っているガラケーたち

FOMAガラケーが買えなくなる

昨年11月、docomoが「ガラケーは出荷終了です」と宣言した。
こうなると、FOMAの停波とかもいずれは避けられないのだろう。
今でもガラケーユーザーは相当数いるわけで、これから先、中古端末などに高値がつくことになるのかもしれない。
すでにAmazonでも新品は「残り1点」とか表示されているのがあるし、そもそも種類が少ない。値段は、今はまだ1万円台で買えるのもあるが、すでに3万円台以上になっているのもある。
端末が入手できなくなるのを恐れて今から予備機を買っておくという手もあるかもしれないが、それを使う前に停波になったりしたら目もあてられないし……。
そんなわけで、「スマホは嫌いだ」というガラケー族が生き延びていく道をいくつか探ってみた。
はたしてどこまで頑張れるのか、ガラケー族。
 
 
今ならまだ買える……?↑

なぜガラケーじゃなければ嫌なのか?


FOMA(iモード)ガラケーは入手困難


ガラケー族がスマホを拒否する理由はなんだろうか。

  • 1)基本料金が安くないと困る
  • 2)モバイルSuicaは絶対に必要
  • 3)端末形状として液晶画面剥き出しで重たいスマホを常時身につけていたくない
  • 4)スマホはバッテリーがすぐに減っていくので煩わしい
……とまあ、こんなところだろう。
このうち1)については、MVNO(Mobile Virtual Network Operator=仮想移動体通信事業者)なるものが群雄割拠し、格安スマホがどんどん出てきたから、みっちり調べればdocomoのガラケー契約(FOMA契約)と同等、あるいはそれ以下の料金でスマホを使うこともできるかもしれない。
2)も、最近ではiPhoneもApple Payというのが出てきて、モバイルSuicaが使える新モデルが出てきた。
となると、3)と4)あたりがいちばんの理由になるのだろうか。特に僕の場合は3)が大きい。生理的に嫌なのだ。

で、docomoもauも、ガラケー族がみんなスマホに移行することはありそうもないと気づいて、アンドロイドOSのガラケー風端末(「ガラホ」)を作っている。
docomoだとSH-01JとP-01Jというのが最新モデルで、どちらもOSはアンドロイドなのだが、外見も使い勝手も従来のガラケーそのもの。
高速通信のXiで通信できて(FOMAも拾うようだ)、音声も明瞭になったという。一般のアンドロイドスマホのようにアプリをダウンロードしてインストールすることはできず、メールやWEBブラウザ関連以外はLINEと地図アプリくらいしかインストールされていないが、ガラケー族にはそれで十分だろう。
Felicaには対応しているからモバイルSuicaは使える。
で、料金も「カケホーダイ」(月額2200円)か「カケホライト」(1回5分以内の通話は無制限定額で月額1200円)のどちらかを選び、それにケータイパック(通信データ量によって300円~上限4200円)を組み合わせればいいので、税込でも月額1944円から維持できる。
これなら現在うちで支払っている通信費(僕は約2000円、助手さんは2500円~3000円弱)と比べても、むしろ安いくらいだ。
この端末が、新規加入か乗換だと実質0円(総務省の指導もガラケーには緩いらしい)。機種変更でも約2万円。
となると、FOMA契約者の端末が壊れた場合、新たなFOMA端末が中古でもかなりの値段を出さないと買えなくなってしまった以上、これに契約変更するほうが現実的だと思える。

というわけで、自分用や助手さん用にFOMAガラケーの予備を買っておくのは見合わせた。
今の端末をできるだけ使い続けて、壊れたときに考えよう。

義母用にFOMAらくらくホン最後の1台を注文

FOMAがじり貧になるとはいえ、契約変更などの手続きが難しい認知症老人名義のガラケーなどは、なるべく今のまま使わせたい。
義母がガラケー(らくらくホン)の裏蓋を紛失してしまい、今は裏が剥き出しのままなんとか使っているらしい。そこで、とりあえずFOMA用のらくらくホンが1台だけ新品で某ショップに残っていたのをAmazonで注文した。
約2万円。
SPモードへの契約変更などは、本人をdocomoショップに連れて行かないと、委任状やらなにやらで面倒そうだし、今のSIMカードをそのまま挿せばいいだけの方法を選んだのだ。
ただ、親父のNTT回線解約ができなくて苦労させられた体験を踏まえると、義母のケータイも早めに子供名義で再契約しておいたほうがいいかもしれない。身体が動かなくなってからでは、解約させるのも面倒なことになりそうだから。

義母用に購入したFOMA仕様のらくらくホン。もうすぐ入手困難になるはず

FOMAの停波はいつか?

FOMA端末を大切に使っていたとしても、FOMAそのものが終わってしまったらどうにもならない。
docomoの例でいうと、FOMAになる前にはmovaという一世代前の通信規格の時代があり、2008年12月に新規利用申込が終了し、2012年3月31日に停波したという歴史がある。うちでも一時期、FOMAとmova両方を自動切り替えで受信できるケータイなんてのを使っていたことがある。
FOMAはまだ契約は可能だが、端末が入手できない以上、新規契約申込み終了は目前だろう。
2012年から契約者数は減少していて、今後は周波数帯再編もあり、FOMAが使っていた帯域の一部が段階的にXi用に転換されているそうだ。しかし、キャリア会社が思っていた以上にガラケーユーザーはしぶとく残っていて、端末もなかなか壊れないし、海外のケータイとの関係(ローミング)もあるから、完全停波できるのはまだまだずっと先、という話も聞く。

au回線で格安スマホを新たに購入してみる

そんな面倒なことをしているのなら、さっさと格安スマホに乗り換えればいいのに、という人は多いと思う。
僕はスマホを常時持つのは嫌だが、上京するときなどは乗換案内アプリは必須なので、iPod touch6とモバイルルーターを別に持っていく。
これは助手さんも同じスタイルなのだが、助手さんのiPod touchは6ではなく4のままなので、使えるアプリはどんどん減っていき、ネット接続も遅くて、しょっちゅう落ちるという。
格安スマホが出てきた今は、敢えてiPod touch+モバイルルーターである必要はない。助手さんと僕が別々に家を出ているときは1つしかないモバイルルーターを共有できないし、助手さん用には新たに格安スマホを持ったほうがいい。
調べると、MVNOではおかわりSIMのb-mobileはとっても速度テストの成績が悪い
ここでいい成績を出しているmineoのサイトを見ると、arrows M02という富士通製の1つ古いモデルを24000円で売っていて、データ通信だけなら月額700円から。
もっと安い端末もあるのだが、オサイフ機能がない。当面、モバイルSuicaはガラケーで使うとしても、将来、助手さんが完全にスマホに乗り換えることもありそうなので、端末にはやはりおサイフケータイ機能はほしいから、このモデルあたりが最低ラインだろうか。

arrows M02


で、ここで「ん? 待てよ」と気づいた。
mineoはdocomo回線にもau回線にも対応していて、どちらも選べる。
そこで、ここは敢えてau回線のほうを選ぶという手があるな、と気づいた。
3.11直後に痛感したのは、いざというときに通信手段は複数持っていたほうがいい、ということ。
FOMAがつながらなくなったとき、auやmova端末はつながったとか、いろいろな事例があったようだ。あのときは川内村にいて、翌3月12日に原発爆発をテレビで知ってすぐに避難したのだが、前日地震直後、ケータイが瞬時に不通になった中で、まだバックアップ電源で動いていたひかり電話回線から親父のauへはつながった。また、隣町に出たら、持っていたauから神宮寺(白河市)のdocomoへはつながって、一夜泊めてもらえたので助かった。いざというときにdocomoだけでなくau回線端末を持っているのは意味がある。
しかも、都内の速度テストでもauのほうが速いというのだから、ここはauを選んでおけば、我が家では、固定光回線(NTTのフレッツ光)、Xi回線(モバイルルーター用に契約しているb-mobile)、docomoのFOMA回線(従来のガラケー)、auのLTE……と、4種類の通信回線を使えることになる。大災害が起きたときなども、どれか1つはつながる、ということはあるかもしれない。
arrows M02はWi-Fiのルーター代わりにもなる(テザリング機能)ので、docomoやフレッツ光が不通になってauだけ生きているというような状況がもしうまれたときは、このスマホをルーター代わりにしてMacBOOKやiPadを使うことも可能だろう。

mineoの契約はいちばん安いauのデータのみの契約にするつもりだが、月額100円プラスで050電話もつけられるようだし、普段家にいるときはWi-Fi接続で使えばいいので通信料はかからない。外出時だけなら、月に500MBも使わないだろう(超過しても低速ならつながる)。

↑Amazonでこの「クーポン番号」を買ってから申し込むと、初期費用3240円がかからないので2200円くらい得になる

そんなわけで、助手さんだけもうすぐスマホデビューする。その後も、しばらくは通話はdocomoのFOMAガラケー(カケホーダイ)で、モバイルSuicaもガラケーでやるはずだけれど。

ちなみに、docomoのスマホユーザーがガラケー(ガラホ)契約に切り替えたい場合などは、auの新規契約をしたほうがdocomoに違約金を払ってでも安くつくケースが多いともいう。auではガラホの新規契約では端末代が実質無料になるからだとか。
なんだかなあ……。
通信関連のことはパソコン環境よりはるかに複雑で、変化の速度も凄まじく、裏技の裏技みたいなのが次々に出てきて、とてもついていけない。
こんなことを考えなければならないために、時間が奪われていくのが腹立たしい。