電源車も用意できなかった東電とはなんなのか2011/04/06 21:43

■原発事故にまつわるお金の話

ざっくりとした金額でしか書けませんので、その点はご了承の上でお読みください。

1)原発一基あたりの新設には3千億円。廃炉に1千億円かかる
2)今回の事故の後始末。周辺住民への補償だけで10兆円
3)東京電力が東大に提供している「寄付講座」総額は5億円
4)電源車と接続ケーブル費用:不明
5)東京電力が原発推進PR広告に使った費用:不明

金額参照資料:
  1)AERA 2011/4/11号記事「東電『原子力村』の大罪」参照
  2)週刊現代2011/4/16号記事「国にカネはあるのか」
  3)東京大学寄付講座・寄付研究部門設置調(部局別)
    「東電のカネに汚染した東大に騙されるな!」(純丘曜彰)


今回の原発事故がここまでぐちゃぐちゃになってしまったのは、地震と津波が襲った3月11日午後から夜までの半日に、適切な処置ができなかったことが大きな原因です。
11日に起きたことを時系列でまとめると、

11日
14:46 地震発生。福島第一原発で稼働中の1~3号機が自動停止
15:23 津波の第一波が来る
15:41 津波による設備の流出・喪失と地下の予備電源設備冠水により、すべての非常用ディーゼル発電機が使えなくなったことが判明
19:03 首相が原子力緊急事態宣言発令
21:23 首相が第一原発から半径3km圏内の住民に避難指示
22:00過ぎ 電源車が到着したが、ケーブルが短くて届かず、かつ、プラグが合わないことが判明。使えず


この時点で、電源完全喪失という恐怖のシナリオがスタートしました。
陸側に東北電力からのバックアップ電源ケーブルを二重三重に敷いておけば、電源喪失は起きませんでした。
バックアップ電源設備を海側、しかも防水もしていないただの地下に置いておくなどという馬鹿げたことをしていなければ、自前のディーゼル発電は動いていたでしょう。
さらには、7時間もかけて到着したという電源車が「ケーブルの長さが足りず」「プラグの形状が合わず」使えなかったなどという間抜けな結果になっていなければ、冷却機能は回復していたはずです。
到着まで7時間もかかったということは、原発周辺に電源車さえ置いていなかったのです。接続ケーブルすら準備していなかったのです。施設の外側に、非常用送電受け口さえつけていなかったのです。ましてや、「プラグが合わなかった」というのはなんの冗談でしょうか。東電って電気屋さんではなかったでしたっけ?
これらの設備、電源ケーブルや電源車を用意するお金はいくらでしょう。東大の寄付講座への5億円では足りませんか?
原発推進広告に出演させたタレントたちへのギャラを足しても足りませんか?
住民への保障費が10兆円。その他にこの、電気をもう作りださない巨大な放射性ゴミの後片づけをするのにかかる費用も兆の単位でしょう。30年はかかります。今不誠実な言い訳をしている人たちはみんな死んでいますね。無論、汚染された土壌や海洋は金では復活しません。
電源車やケーブルにかかる金をケチって、原発推進CMや原発村を構成する御用学者の養成には金を惜しまなかった企業に、日本の基本インフラを任せておいていいはずがありません。

もっと強い揺れと高い津波が襲った女川原発では、今、原発敷地内にある東北電力所有の体育館が津波被災者の避難所になっているそうです。原発施設が避難所になっているのです。「絶対安全だ」と言い張っていたのですから、原発施設がいちばん安全=避難するなら原発へ……は当然のことではあるんでしょうが。
女川原発が無事だったことを見れば「未曾有の天災」だから仕方がないなどという言い訳は一切通用しないことは歴然です。
どうも電力会社のいかれ具合、ボケ具合は、会社の規模に比例しているようです。

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